経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要について解説

補助金の概要

  1. 国民生活の保護(1.2兆円): 物価高騰に対応するため、燃料油、電気・ガス価格の激変緩和措置が実施されます。具体的には、燃料油価格激変緩和対策事業(1532億円)、電気・ガス価格激変緩和対策事業(6416億円)、LPガス配送合理化支援(77億円)が含まれます。
  2. 地方経済の支援と賃上げの促進(6000億円): 中堅・中小企業支援、物流やコンテンツ産業の推進、万博支援などが行われます。例えば、中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化投資(3000億円)、中小企業生産性革命推進事業(2000億円)があります。
  3. 国内投資の促進(2.7兆円): 半導体、AI、量子技術等の開発・整備や再生可能エネルギーの導入促進に大規模な投資が行われます。具体的には、ポスト5G情報通信システム基盤強化(6778億円)、先端半導体の国内生産拠点確保(6322億円)などです。
  4. 社会変革の推進(160億円): 人口減少問題への対応として、デジタルライフライン整備などが行われます。
  5. 国民の安全・安心の確保(730億円): 福島復興(廃炉、ALPS処理水風評対策)、中小企業災害復旧支援、ウクライナ復興などが含まれます。

設備投資に利用可能と思われる補助金

小売価格低減に資する石油ガス配送合理化・設備導入促進補助金【77 億円】

遠隔でのガス栓の開閉や遠隔検針が可能なスマートメーター、配送車両等の導入、充てん所の自動化等に資する設備の導入支援を行うことで、人手不足解消、配送業務の効率化を図る。また、LP ガスタンク等の導入支援を行うことで、需要家側のガス購入コストの低減を図る。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金【2,025 億円】(R5 年度:910 億円)(GX)
省エネルギー投資促進支援事業費補助金【300 億円】(R5 年度:250 億円)

省エネ性能の高い設備への更新に係る費用を補助する「省エネ補助金」。前年度に創設した複数年の投資計画に切れ目なく対応する仕組みを全類型に適用するほか、脱炭素に繋がる電化・燃料転換を促進する類型を新設。

高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金【580 億円】(GX)

家庭のエネルギー消費の約3割を占める給湯分野につき、高効率給湯器の導入を支援。また、寒冷地の高額な電気代の要因となっている蓄熱暖房機等の設備を一新する場合には、加算措置を行う。

既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業【185 億円】

設置スペース等の都合から、ヒートポンプ給湯機等の高効率給湯器の導入が難しい賃貸集合住宅向けに、小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ等)の導入支援策を新設。

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金【1,291 億円】(GX)
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金【400 億円】

電気自動車や燃料電池自動車等について、購入費用の補助を通じて初期需要の創出・量産効果による価格低減を促進する。
また、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電設備等の購入費及び工事費、燃料電池自動車の普及に不可欠な水素ステーションの整備費及び運営費の補助を行う

物流効率化に向けた先進的な実証事業【55 億円】

物流の 2024 年問題等を踏まえ、荷主企業による物流施設の自動化・機械化に資する機器・システムの導入等に係る実証を実施し、投資効果の明確化を行う。また、ラストワンマイル配送の省力化に向け、公道を走行する自動配送ロボットの大規模なサービス実証を行う。

需要家主導太陽光発電等導入促進事業【256 億円】(R5 年度:160 億円)

地域との共生を前提に、需要家・発電事業者・小売電気事業者が一体となって太陽光発電の導入に取り組む事業や、FIP 認定を受け、蓄電池を導入する事業を支援することを通じて、新たな再エネ導入モデルの拡大を図る。

家庭用蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業【100 億円】

家庭用・業務産業用蓄電システムの設備導入を支援することにより、電力の需給バランスの調整に必要となる設備の確保を図る。

災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業【20 億円】

避難所や多数の避難者・避難困難者が発生する施設等の社会的重要インフラにLPガス・石油製品の「自衛的備蓄」を促し、災害対応能力を強化する。

災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業【13 億円】

災害時に機能を維持する必要性のある施設(避難施設、防災上中核となる施設等)において、災害時にも対応可能な天然ガス利用設備の導入・更新の支援を行う。

まとめ

これらの具体的な項目は、国民生活の安定、地域経済の活性化、技術革新の促進、社会変革の推進、安全・安心の確保を目指し、日本経済の持続可能な成長と国民の生活向上を目的としています。

また、補助金の確定情報等については、改めて情報提供していきます。