北海道の企業経営者の皆様、そして総務ご担当者様。近年、世界的な情勢の変化や原材料価格の高騰により、エネルギーコストの最適化は喫緊の経営課題となっています。特に、冬場の暖房需要が高い北海道においては、電気代や燃料費の増加は企業の収益を圧迫しかねません。同時に、地球温暖化対策への国際的な要請が高まる中、企業活動におけるCO2排出量削減、すなわち「脱炭素経営」への転換も避けて通れないテーマです。
しかし、これらの課題に対し、漠然とした不安を抱えている企業も少なくないのではないでしょうか。どこから手をつければ良いのか、初期投資の負担をどう軽減するのか、そもそも自社にとって最適な対策は何なのか。こうした疑問にお応えするため、本稿では、苫小牧市が企業のゼロカーボン推進を強力に支援する「苫小牧市ゼロカーボン推進事業補助金」について、エネルギーコスト最適化の専門家である株式会社totokaが詳細に解説します。
この補助金を活用することで、貴社はエネルギーコストの削減とCO2排出量削減を同時に実現し、持続可能な経営体制を確立することができます。補助金の基本概念から具体的な申請手続き、さらにはtotokaが提供する専門的なサポートまで、幅広くご紹介いたしますので、ぜひ最後までご一読ください。
苫小牧市ゼロカーボン推進事業補助金とは
苫小牧市は、環境負荷の少ないまちづくりを目指し、二酸化炭素排出削減に取り組む企業を支援する目的で「苫小牧市ゼロカーボン推進事業補助金」を設けています。これは、企業が省エネルギー設備または再生可能エネルギー設備を導入する際に必要となる経費の一部を補助する制度です。本補助金は、企業のゼロカーボン推進を支援し、苫小牧市が目指す「ゼロカーボンシティ」の実現に寄与することを目的としています。
「ゼロカーボンシティ」とは、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにすることを目指す都市のことです。苫小牧市もこの目標達成に向け、企業活動における脱炭素化を積極的に推進しています。本補助金は、この大きな目標に向けた具体的な取り組みを後押しする重要な施策と言えるでしょう。
補助金の種類と対象設備
本補助金には、大きく分けて二つの種類があります。
• 省エネルギー設備導入補助
CO2排出量削減に資する省エネルギー設備の導入を支援します。
• 再生可能エネルギー設備導入補助
CO2排出量削減に資する再生可能エネルギー設備の導入、特に太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援し、再生可能エネルギーの普及促進を図ります。
補助対象となる設備は、地球温暖化の防止に資する未使用の省エネルギー設備および再生可能エネルギー利用設備のうち、事業の用にのみ供する設備と定義されています。中古品やリース品(一部例外あり)は原則として対象外となりますが、リース契約やPPA(電力購入契約)モデルでの導入が再生可能エネルギー設備導入補助の対象となる場合もあります。
省エネルギー診断の重要性
省エネルギー設備導入補助金を受けるためには、省エネルギー診断の受診が必須要件となります。省エネルギー診断とは、環境物品等の調達の推進に関する基本方針に掲げられる技術資格を有する者、または同等と認められる技能を有する者が、事業所等における設備等の稼働状況、運用状況、エネルギー使用量などを調査・分析し、その結果に基づき省エネルギー対策に係る設備・機器の導入、改修、運用改善、エネルギー管理体制・管理方法について提案を行うものです。
この診断は、単に補助金申請のための形式的なものではありません。専門家が貴社のエネルギー使用状況を客観的に評価し、具体的な改善提案と、それによって見込まれるCO2排出削減効果、さらには投資回収期間の試算まで行ってくれるため、コスト最適化と脱炭素化に向けた最適なロードマップを描く上で非常に有用です。totokaは、この省エネルギー診断から、診断結果に基づいた最適な設備選定まで、一貫してサポートいたします。
補助金活用の実践ガイド
苫小牧市ゼロカーボン推進事業補助金を活用し、エネルギーコストを最適化するためには、詳細な要件と手続きを理解しておく必要があります。ここでは、具体的な補助対象者、要件、経費、補助金額、そして申請から交付までの流れについて掘り下げて解説します。
補助対象者
本補助金の対象となるのは、以下の要件を全て満たす事業者です。
- 市内に事務所または事業所を有する中小企業であること。
- 中小企業の定義は「中小企業基本法」に準じ、業種ごとに資本金の額または出資の総額、常時使用する従業員の数のいずれかの要件を満たす会社および個人となります。
- 製造業、建設業、運輸業、その他の業種(卸売業、サービス業、小売業を除く):資本金3億円以下または従業員300人以下。
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下。
- サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下。
- 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下。
- 会社法人以外の法人(社会福祉法人や医療法人など)や個人事業主も、主たる業種に応じた要件を満たせば対象となります。
- 国または地方公共団体が出資する企業・団体は対象外です。
- 市税を滞納していないこと。
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する風俗営業以外の営業に従事していること。
- 事業主または会社法に規定する役員が、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員でないこと。
- その他、補助対象の事業所等として適さないと認められる事項がないこと。
補助対象設備を導入するにあたり、それぞれに満たすべき具体的な要件があります。
省エネルギー設備導入補助の要件
- 省エネルギー診断の受診と設置効果の認定:環境物品等の調達の推進に関する基本方針に掲げる技術資格を有する者が行う省エネルギー診断を受診し、その診断に基づき設置効果が認められた設備であること。過去3年以内に受診した診断も有効です。
- CO2排出量削減率:設置する設備・機器における二酸化炭素の排出量が、改修前と比較して20%以上削減されること。ただし、照明設備は30%以上の削減が必要です。これは設備単体での削減率が求められます。
- 設置場所と用途:苫小牧市内に設置され、補助対象経費は事業用のみに供する設備であること。
- 総額の要件:補助対象経費の総額が**30万円以上(税抜)**であること。
- 事業着手と完了期限:補助金交付申請は、設備の納品または工事の開始をもって「事業着手」とみなされる日の前日までに行う必要があります。事業完了(設置工事および支払い・領収書受領の完了)は、令和8年3月31日までに行い、報告書を提出する必要があります。
- 新品であること:未使用品であることが条件で、中古品やリースは対象外です。また、既存設備の更新であることが必要です。
再生可能エネルギー設備導入補助の要件
本事業は、環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を活用しているため、国の交付要件を満たす必要があります。
- CO2排出削減効果:CO2の排出削減に効果のある設備であること。
- 新品・商用化された設備:商用化され、導入実績のある設備であり、中古設備でないこと。
- J-クレジット制度への登録不可:J-クレジット制度への登録を行わないこと。
- 事業着手と完了期限:補助金交付申請は、契約締結行為または工事着工日のいずれか早いほうを「事業着手」とみなされる日の前日までに行う必要があります。事業完了(設置工事および支払い・領収書受領の完了)は令和8年2月28日までに、報告書を提出し、交付金の支払いが令和8年3月31日までに完了する必要があります。年度内に支払いが完了しない場合、補助金交付は取り消しとなります。
- 設置場所と用途:苫小牧市内に設置され、補助対象経費は事業用のみに供する設備であること。
- 太陽光発電設備に関する追加要件:
- FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)またはFIP(フィードインプレミアム)制度の認定を取得しないこと。
- 自家消費率:導入する設備で発電して自家消費する電力量を50%以上とすること。全量売電は対象外です。
- 出力は50キロワット未満であること。
- 自己託送を行わないものであること(一般電気事業者が維持、運用する送配電ネットワークを介しての自己託送は対象外)。
- 10キロワット以上の設備の場合、廃棄等費用について必要な経費を算定し、積立等を実施するよう努めること。また、火災保険や地震保険、第三者賠償保険等に加入するよう努めること。
- 設備の更新や増設は対象外で、新規導入のみが対象です。
- 蓄電池に関する追加要件:
- 太陽光発電設備の付帯設備として同時に設置するものであること。蓄電池単体での導入は補助対象外です。
- 太陽光発電設備によって発電した電気を蓄電するものであり、平時において充放電を繰り返すことを前提とした設備であること。
- 停電時にのみ利用する非常用予備電源でないこと。
- 蓄電池の価格が、家庭用(20kWh未満)で12.5万円/kWh以下、業務用(20kWh以上)で11.9万円/kWh以下(いずれも工事費込み・税抜き)となるよう努めること。
- 補助対象となる経費は、原則として以下の項目に限定されます。
- 工事費:補助対象事業の実施に必要な設備・機器の設置工事等に要する経費。
- 設備費:補助対象事業の実施に必要な設備・機器の購入等に要する経費。
- 業務費:補助対象事業の実施に必要な設備・機器に係る調査・設計等に要する経費。
- 事務費:補助対象事業の実施に必要な事務に要する経費(再生可能エネルギー設備導入補助のみ対象)。
- いずれの経費も、市内事業所にかかる経費に限定されます。
- 補助対象外となる経費も明確に定められていますので注意が必要です。
- 国・道が助成する事業と重複する事業の経費(国の補助金がある場合は補助対象経費から控除)。
- 事業所等の管理費、維持費。
- 食糧費、遊興費。
- 事業の中止・廃止に伴うキャンセル料、負担金。
- その他事業に適さないと認められる経費。
- 消費税および地方消費税。
- 省エネルギー診断に係る診断費用。
- 土地購入費、建物および設備賃借料、各種手数料、各種保険料、水道光熱費および人件費。
- 再生可能エネルギー設備導入補助では、フェンス、門扉材、フェンス設置工事、申請・検査立会費、伐採・整地工事費、キュービクル改造工事など、直接的に工事に関係しないもの。
- 補助事業の実施にあたっては、原則として市内に事業所を有する事業者を活用するよう努めることとされています。また、2社以上の事業者からの見積書を添付し、少なくとも1社は市内事業者から見積もりを取る必要があります。
対象となる補助金額
省エネルギー設備導入補助
◦ 補助率:補助対象経費(消費税除く)の2分の1以内。
◦ 補助上限額:100万円/社。千円未満の端数は切り捨てられます。
再生可能エネルギー設備導入補助
◦ 太陽光発電設備:最大出力値に1キロワット当たり7.5万円を乗じた額。
▪ 最大出力値は、太陽光パネル(モジュール)の公称最大出力合計とパワーコンディショナーの定格出力合計のいずれか低い方の値(キロワット表示・小数点以下切捨て)が用いられます。
▪ 例:太陽光パネル公称最大出力合計10.5kW、パワーコンディショナー定格出力合計10kWの場合、低い方の10kWに7.5万円を乗じた75万円が補助金額となります。
◦ 蓄電池:蓄電池の価格の2分の1以内。
▪ 家庭用(20kWh未満):141,000円/kWhの2分の1。
▪ 業務用(20kWh以上):160,000円/kWhの2分の1。
▪ いずれも工事費込み・税抜き価格を基準とします。千円未満の端数は切り捨てられます。
申請から交付までの流れ
補助金の申請から交付までのプロセスは段階的に進行します。totoka は各ステップでスムーズな手続きを徹底サポートします。
1. 交付申請(受付開始:令和7年4月1日~)
- 申請書類は要綱所定様式を使用し 苫小牧市役所へ持参(郵送不可)
- 主な提出書類
- 補助金交付申請書(様式第1号)
- 事業実施計画書
- 補助対象経費予算内訳書
- 見積書(2社以上:うち1社は市内事業者が望ましい)
- 法人の登記事項証明書
- 市税納付状況調査同意書
- 設備仕様資料(カタログ / Web)
- 既存設備および新設予定場所の写真、事業所外観写真
- 設置予定場所の配置図
- 【省エネ設備】 過去3年以内の省エネ診断結果、診断者資格写し、CO2削減量資料
- 【再エネ設備】 売電契約書(売電する場合)、(蓄電池導入時)結線図、発電電力消費計画書
- 書類は返却されないため控えを保管
- 虚偽や不正記載は申請取消
2. 交付決定と通知
- 審査で適正と認められれば交付決定通知
- 先着順(不備なし前提)かつ予算到達で締切 のため早期準備が重要
- 再エネ設備補助は国の交付決定日以降(令和7年5月末頃予定)に採択
- 採択時、企業名等が公表される場合あり
- 予算状況により満額とならない可能性
3. 事業計画の変更・中止・廃止
- 交付決定後に目的変更 / 中止 / 廃止する場合は事前承認(様式第2号・第3号)
- 目的変更を伴わない 費用10%以内の減少 は変更申請不要
- 変更で交付額を増額することは不可
4. 事業完了報告書の提出
- 事業完了後速やかに完了報告書(様式第4号)+必要書類を持参提出
- 必要書類例:領収書写し、実施状況写真
- 銀行振込証憑は可 / 手形・小切手払いは不可
5. 補助金額の確定と交付
- 完了報告審査後、補助対象外経費を除外して額確定
- 確定後に交付(振込)
6. 関係書類の整理保管と財産管理
- 提出資料・帳簿は 事業完了年度の翌年度から5年間 保管
- 取得・効用増加した財産は目的に沿って管理
- 単価50万円以上 の機械・器具・備品等は承認なく目的外使用・譲渡・交換・貸付・担保・処分不可
- 処分収入が生じた場合、市へ納付求められるケースあり
7. 事後調査の実施
- 目的(CO2削減等)達成状況を事業完了年度から 2年間 「達成状況報告書(様式第5号)」で報告
→ こうした複雑な工程を totoka がワンストップでサポートします。初めてでも安心してご相談ください。
FAQ(よくある質問)
省エネ診断に関する質問
Q1:省エネルギー診断とは?
A1:有資格者が現場調査し、改善提案・投資額と回収期間の試算を行い最適対策を提示するプロセスです。
Q2:過去3年以内に診断済み。再診断は必要?
A2:その診断結果に基づく設備導入なら再診断不要。
Q3:診断範囲は?
A3:事業を実施する施設全体。
Q4:オンラインのセルフ診断は対象?
A4:対象外。専門資格者による診断が必須。
Q5:報告書にない設備を導入したい。対象?
A5:原則対象外。同等性能証明があれば対象になる可能性。
Q6:複数機器更新時も設備単体で20%以上CO2削減が必要?
A6:はい。照明は30%以上。
Q7:省エネ診断費用は補助対象?
A7:対象外。
再生可能エネルギー設備に関する質問
Q8:蓄電池単体導入は対象?
A8:対象外。太陽光と同時設置が条件。
Q9:全量売電は対象?
A9:対象外。発電量50%以上の自家消費が必要。
Q10:リース / PPA は対象?
A10:対象。補助額相当控除と耐用年数末までの継続使用措置の証明が条件。
Q11:既設太陽光の入替や増設は?
A11:対象外。新規導入のみ。
Q12:中古品・有償譲受品は?
A12:対象外。実績ある新品のみ。
Q13:太陽光発電設備の補助金算出方法は?
A13:モジュール公称最大出力合計とパワコン定格出力合計の小さい方(kW・小数点切捨て)× 7.5万円。
共通の質問
Q14:同一法人で複数回申請できる?
A14:1申請のみ(1回内で複数設備導入可)。
Q15:交付決定は受付順?
A15:はい(不備なし前提)。予算到達で終了。
Q16:年度内に完了と支払いが終わらなかったら?
A16:交付取消リスク大。工程管理が重要。
Q17:補助金返還が求められるケース?
A17:目的外使用・譲渡・貸付・担保・廃棄、不正行為、要綱違反等。
まとめ:totokaと共にエネルギーコスト削減とゼロカーボン化へ
本稿では「苫小牧市ゼロカーボン推進事業補助金」の流れ・必要書類・管理・FAQを整理しました。省エネ設備導入は日々のエネルギーコスト削減とレジリエンス向上、再エネはクリーン電力の自家消費とESG評価向上に直結します。
一方で、書類整備・CO2削減量算定・スケジュール遵守など専門的負荷は大きく、内部リソース圧迫が課題になりがちです。
エネルギーコスト最適化・脱炭素のご検討段階からお気軽に totoka へお問い合わせください。最適な補助金活用プランをご提案します。