技術支援を8ステップで解説
申請から実績報告・成果報告までの8ステップ
SII指定設備補助金(設備単位型)は、対象設備の確認から始まり、交付申請、交付決定後の工事、実績報告、成果報告の順に進みます。各ステップで必要になる確認事項と、totokaが技術面で支援する内容をまとめました。
対象設備の選定と型番確認
最初に行うべきことは、更新する設備が補助対象に該当するかを確認することです。SII指定設備補助金では、あらかじめ対象設備カテゴリや登録型番が定められています。導入を検討している設備について、SIIが公開する型番リストで補助対象かどうかを確認します。
- 高効率空調
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 低炭素工業炉
- 冷凍冷蔵設備
- 制御機能付きLED照明器具
- 変圧器
- 産業用モータ
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
現状設備とエネルギー使用量の把握
省エネ効果を算定するために、現在の設備がどれだけのエネルギーを消費しているかを把握します。設備ごとの消費電力・燃料使用量・稼働時間などを確認し、更新前後の比較に使える根拠データを整えます。
現在使用している設備がどれだけの電力や燃料を消費しているかを確認します。電力計やエネルギーモニタリング機器を使用し、必要に応じて一定期間のデータを収集します。
1日のなかで消費量が多い時間帯や、季節による変動を把握します。ピーク時の消費量や稼働条件は、省エネ効果を計算するうえで重要な指標になります。
技術資料・必要書類の整理
補助金活用には、会社情報だけでなく、対象設備の仕様書・見積書・省エネ効果の計算根拠など、設備に関する技術資料が必要です。建物所有者と設備所有者が異なる場合や、リースを活用する場合は、追加書類が必要になることもあります。
- 交付申請に必要な情報 ― 省エネ計画、導入設備、事業所情報など
- 会社情報 ― 登記簿謄本・決算書など、企業の基本情報
- 設備情報 ― 対象設備の仕様書・見積書・型番資料
- 省エネ効果の根拠資料 ― エネルギー削減率の計算書、使用実績、稼働条件など
SIIポータル入力に必要な数値整理
SII指定設備補助金では、ポータルサイト上で設備情報や省エネ効果に関する数値を入力します。特に重要なのは、導入前と導入後のエネルギー使用量を比較し、省エネルギー量・省エネルギー率を具体的な数値で示すことです。
交付申請に向けた最終確認
資料が整ったら、SIIの専用ポータルサイトで必要事項を入力し、提出に進みます。例年、1次公募・2次公募など複数回の公募が行われるため、締切から逆算したスケジュール管理が重要です。
- 提出先(ポータルサイトURL)と締切日を再確認する
- 不備指摘に迅速に対応できるよう、担当者と連絡体制を決めておく
- 設備仕様・見積・省エネ計算の整合性を最終チェックする
- 必要に応じて、行政書士による書類作成・提出代理の範囲を確認する
交付決定後の工事着手
採択された場合、交付決定通知を受領した後に設備導入を開始できます。ここで最も重要なのは、交付決定前に契約・発注・着工を進めないことです。
交付決定前に開始した工事・契約・発注は補助金の対象外となる可能性があります。必ず交付決定通知を受け取ってから、工事の契約・発注・着工に進んでください。
実績報告と補助金の受給
事業完了後は、実績報告に必要な書類を整理します。報告内容が承認されると、補助金が指定の口座に振り込まれます。工事前後の写真や支払証憑は、後から揃えるのが難しいため、工事開始前から管理しておくことが重要です。
- 設備導入前後の写真(施工前・施工後)
- 注文書・契約書の写し
- 支払通知書・振込明細など支払いの証拠書類
- 導入設備の銘板写真
- 仕様書・納品書・検収資料など、設備を確認できる資料
成果報告(省エネ効果の実証)
補助事業の完了後、導入した設備による省エネルギー効果を実測データで示す成果報告が求められます。省エネ効果が確認できない場合などは補助金の返還を求められることがあるため、条件は最新の公募要領で確認してください。省エネルギー率やエネルギー使用量の削減量を測定し、補助事業の効果を報告します。
省エネ補助金の「指定設備」とは(設備単位型の概要)
「指定設備」とは、SIIがあらかじめエネルギー消費効率などの基準を定め、基準を満たすものとして公表した設備のことです。令和7年度補正予算では「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」の名称で公募されており、指定設備へ更新して省エネルギー化を図る事業に、設備費の一部が補助されます。
設備単位型は、公募要領上、次の事業区分に分かれています。本ページで主に扱うのは、最も基本となる(Ⅲ)設備単位型[従来枠]です。
| 事業区分 | 内容 | 補助率 | 上限額/下限額 |
|---|---|---|---|
| (Ⅲ)設備単位型[従来枠] | 指定設備への更新 | 1/3以内 | 1億円/30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[メーカー強化枠] | GX要件を満たしたメーカーの指定設備への更新 | 1/3以内 | 3億円/30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[トップ性能枠] | トップ性能基準を満たす設備の導入(更新・新設) | 更新1/2以内、新設1/5以内 | 3億円/30万円 |
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う指定設備への更新・改造・新設 | 更新・改造1/2以内、新設1/5以内 | 3億円(電化は5億円)/30万円 |
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 | EMS機器の導入((Ⅲ)または(Ⅱ)との組み合わせ) | 中小企業者等1/2以内、大企業等1/3以内 | 1億円/30万円 |
表:設備単位型の事業区分(出典:SII「公募要領<4次公募用>」。上限額・下限額は事業全体)
(Ⅳ)は設備単位型では単独で申請できません。単独の場合は、SIIの「工場・事業場型」ページ(別の公募要領)で申請します。設備単位型を選ぶ理由は「省エネ補助金(SII)は設備単位型がおすすめ?2026年度の公募と新設枠を解説」で解説しています。
対象設備のカテゴリ一覧(令和7年度補正)
公募要領の別表1は、指定設備を次の15区分と「その他SIIが認めた高性能な設備」で定め、区分ごとに種別と基準値を決めています。
| 設備区分 | 対象の種別 | 基準・注意点(別表1) |
|---|---|---|
| 高効率空調 | 電気式パッケージエアコン、ガスヒートポンプエアコン、チリングユニット、吸収式冷凍機、ターボ冷凍機 | エアコンは能力クラスごとの基準値(電気式はAPF、GHPはAPFp) |
| 産業ヒートポンプ | 空冷ヒートポンプチラー、循環加温式、温水(熱回収・水熱源)、熱風、蒸気発生、施設園芸用 | 種別・温度条件ごとのCOP |
| 業務用給湯器 | 業務用ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型給湯器(ガス・石油) | 潜熱回収型は給湯熱効率94%以上(高位発熱量基準) |
| 高性能ボイラ | 蒸気ボイラ、温水ボイラ | ボイラ効率95%以上(低位発熱量基準) |
| 高効率コージェネレーション | コージェネレーション設備 | 基準は別表1を参照 |
| 低炭素工業炉 | 燃焼式、抵抗加熱式、誘導加熱式、その他電気加熱式 | 原則、型番は事前公表されず申請者が基準適合を確認 |
| 変圧器 | 油入変圧器、モールド変圧器 | トップランナー基準(目標年度2026年度以降)に準じ、達成率105%以上 |
| 冷凍冷蔵設備 | 電気冷蔵庫・冷凍庫、冷凍機内蔵形ショーケース、コンデンシングユニット、冷凍冷蔵ユニット | 種別ごとの基準値 |
| 産業用モータ | モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機、インバータ | 圧縮機を除き、原則、型番は事前公表されない |
| 制御機能付きLED照明器具 | 無線式・有線式・人感/明るさセンサ付の調光制御設備 | 昼光色・昼白色・白色は100lm/W以上、温白色・電球色は50lm/W以上。ランプ互換の口金や既設器具の改造を伴うものは対象外 |
| 生産設備 | 工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシン | 2015年以降に販売開始されたモデルであること等、設備ごとの基準 |
| その他 | 上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」 | SIIのホームページで公表 |
表:指定設備の設備区分(出典:SII「公募要領<4次公募用>」別表1)
型番ごとの適合可否は、SIIの『指定設備』の補助対象設備一覧で検索できます。製品型番リストは製品型番登録のページにも公開されています。変圧器の補助金はキュービクル補助金2026|変圧器の更新に使える国・北海道・札幌市の制度で整理しています。
補助率・上限額と、対象になる費用
(Ⅲ)設備単位型[従来枠]の補助率は、中小企業者等も大企業等も1/3以内です。上限額は事業全体で1億円、下限額は30万円です。
従来枠では、補助対象設備の「設備費」のみです。原則3者以上の価格競争の結果、最低価格を上限として計上します。
設計費、運搬費、撤去・廃棄費、据付費・工事費、配線・配管などの材料費、オプション設備、交付決定前の経費、消費税・地方消費税は対象外です。
令和7年度補正の公募スケジュール(2026年11月2日時点)
設備単位型は4次公募までが終了しました。5次公募の概要・スケジュールは、詳細が決まり次第SIIが公表するとしています(2026年11月2日時点)。
| 公募回 | 公募期間 | 状況・備考 |
|---|---|---|
| 1次 | 2026年3月30日〜4月27日(17:00) | 終了 |
| 2次 | 2026年6月1日〜7月9日(17:00) | 終了 |
| 3次 | 2026年8月20日〜9月28日(17:00) | 終了 |
| 4次 | 2026年10月5日〜10月30日(17:00必着) | 終了。郵送のみで持参は不可。交付決定は12月下旬の予定 |
| 5次 | 未公表 | 概要・スケジュールは詳細が決まり次第SIIが公表(2026年11月2日時点) |
表:設備単位型の公募回(出典:SII「新着情報一覧」「公募情報」、2026年11月2日に確認したSII設備単位型ページ)
5次公募の期間・予算・公募要領の変更点は、2026年11月2日時点で公表されていません。4次公募用の公募要領にも「3次公募の採択結果により、4次公募の予算が変動する場合がある」との記載があります。最新の内容は、SIIの設備単位型ページで確認してください。
申請前によくあるつまずき
次の項目は4次公募用の公募要領に書かれている内容です。公募回で変わる部分があるため、申請する回の公募要領で再確認してください。
- 交付決定前の契約・発注 ― 交付決定前に発注等を完了した事業は補助対象外で、事前調査費など交付決定前の経費も対象外です。一方、3者見積の依頼や競争入札は、1次公募の公募要領の公開日(2026年3月25日)以降の発行日であれば、交付決定前でも有効です。
- 型番の確認 ― 導入予定の型番が指定設備として公表されているかを、補助対象設備一覧で確認します。登録されていない型番で申請する場合は、メーカーのカタログや仕様書で基準値を満たすことを示す必要があります。
- 省エネ量の算定 ― 省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり1kl/千万円以上のいずれかが必要です。4次公募用の要領では、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の実績データで算出し、稼働時間や生産量を減らすだけの削減は含められません。成果報告で計画値の達成が必要なため、誤差を見込んだ安全率を乗じた値にします。
- 3者見積の取り方 ― 異なる販売事業者3者に、条件を統一して依頼します。補助対象経費と対象外経費を判別できる明細が必要です。依頼先に同一資本関係の法人が含まれる場合は、資本関係のない法人2者以上から取得します。発注先は、見積を取った3者のいずれかです。
- 更新の条件 ― 更新前後で使用用途が同じこと、中古品でないこと、予備・兼用・将来用の設備でないこと、導入設備の性能が既存設備より低くないことが条件です。事業活動に供していない設備や、専ら居住を目的とした事業所の設備は対象外です。
- 所有者と使用者が違う場合 ― 設備の所有者と使用者が異なるときは、共同申請が原則です。申請者が店子の場合は、建築物の所有者の設備設置承諾書が必要です。
- 完了期限と支払い ― 4次公募では、事業完了(検収と支払いの完了)は原則2027年1月31日まででした。支払いは金融機関への振込で、割賦払いや手形払いは認められません。申請書類は配送状況が確認できる方法で郵送し、ポータルの入力内容と一致させます。
北海道で検討するときの注意
公募要領に北海道向けの枠はありませんが、寒冷地で使う設備に関わる次の定めがあります。
電気式パッケージエアコンの寒冷地仕様は、性能区分ごとの基準エネルギー消費効率に0.9を乗じた数値を満たせば補助対象です。仕様の違いは寒冷地エアコンとは?普通のエアコンとの違い・デメリット・必要なケース【北海道】で解説しています。
水冷式のパッケージエアコンは、トップランナー基準がないため対象外です。冷媒にオゾン層を破壊する物質を使う設備も対象外です。
温水ボイラは、ボイラ効率95%以上(低位発熱量基準)が基準です。真空式・無圧式の温水発生機は熱効率95%以上(同基準)で判定されます。潜熱回収型給湯器は94%以上(高位発熱量基準)です。
4次公募では、交付決定が12月下旬の予定で、事業完了は原則2027年1月31日まででした。(推測)冬期は納期や工事日程に余裕が少なくなりやすいため、5次公募の日程が出たら、完了期限から逆算して確認します。
SII指定設備補助金のよくある質問(FAQ)
A. 設備単位型の従来枠では、補助対象経費は設備費のみです。据付費・工事費、配線・配管などの材料費、運搬費、撤去・廃棄費、設計費、消費税は対象外です。(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型では、中小企業者等に限り工事費が対象になります。
A. 2026年11月2日時点で、SIIは5次公募の概要・スケジュールを「詳細が決まり次第公表する」としており、期間などは未発表です。4次公募では、3者見積の依頼は2026年3月25日以降の発行日なら交付決定前でも有効でした。5次公募の扱いは、公募要領の公開後に確認してください。
A. 型番の登録はメーカーが行うもので、申請者の手続きは不要です。登録されていない型番で申請する場合は、見積を取ったメーカーのカタログまたは仕様書を添付し、基準値を満たす該当ページを示す必要があります。低炭素工業炉と産業用モータ(圧縮機を除く)は原則として型番が事前公表されず、申請者自身が基準適合を確認します。
A. 補助対象経費が重複する他の補助金との併用はできません。ただし、地方公共団体の一般財源による補助金等との併用は認められています。中小企業経営強化税制との併用は可能と公募要領に記載があります。SIIは、国税庁から圧縮記帳等の対象となる国庫補助金等に該当する旨の回答を得たとして、税理士等への相談を案内しています。税制は中小企業経営強化税制で省エネ設備を即時償却|北海道企業の節税と補助金併用ガイドを参照してください。
A. 交付決定前に発注等を完了した事業は、補助金の交付対象になりません。事前調査費など交付決定前に要した経費も対象外です。競争見積の取得は交付決定前でも有効ですが、契約・発注は必ず交付決定日以降に行います。
出典:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領<4次公募用>、設備単位型ページ、公募情報(4次公募)、新着情報一覧、製品型番登録。2026年11月2日に確認。
お困りではありませんか?
※2026年11月2日時点の情報です。公募の有無・要件は年度・公募回ごとに変わります。申請前に最新の公募要領で必ずご確認ください。
