省エネ法定期報告情報の開示制度とは?対象・手続き・開示項目を解説【2026年版】

省エネ法定期報告情報の開示制度とは、特定事業者等が国に提出している定期報告書・中長期計画書の内容を、事業者自身が「開示宣言」をしたうえで、資源エネルギー庁がPower BIの「開示シート」として公表する制度です。令和5年度(2023年度)の試行運用を経て、令和6年度(2024年度)から、エネルギー使用量が原油換算で年1,500kL以上の特定事業者等すべてを対象にした本格運用になっています。

確認できた最新の公表は令和7年度分です。確報版では、2025年11月14日までに参加宣言した特定事業者2,343者のうち、2,338者の開示シートが公表されています。令和8年度は、2026年8月31日までに2,864者が参加宣言しました(令和7年度以前からの継続参加を含む)。令和8年度の速報版は2026年11月初旬頃の公表予定です。確報版のみを希望する場合の開示宣言は、資源エネルギー庁のスケジュール図では11月13日までとされています。

この記事では、制度の開始時期と対象、任意開示の仕組みと開示項目、手続きと時期、公表サイト、2023年4月施行の改正省エネ法との関係、特定事業者の要件と提出時期、北海道経済産業局の窓口、開示するメリットと注意点を、資源エネルギー庁・経済産業省・e-Gov法令検索の資料にもとづいて整理します。2026年10月28日時点の情報です。

この記事でわかること
・開示制度の仕組み、開始時期、年度ごとの参加状況と最新の開示年度
・対象となる特定事業者等の要件(年1,500kL以上)と、届出・定期報告・中長期計画の提出時期
・2023年4月施行の改正(非化石エネルギーへの転換、電気の需要の最適化)と開示シートの関係
・開示される項目、選択開示と自由記述欄、令和8年度の手続きと日程
・開示するメリット・注意点と、北海道経済産業局の窓口

更新履歴

  • 2026年10月28日:全面改訂。令和7年度の確報版と令和8年度の参加状況、令和8年度の日程、2023年4月施行の改正との関係、特定事業者の要件と提出時期、北海道経済産業局の窓口を追加。令和7年度の日程の記述と、根拠を確認できなかった記述を削除
  • 2025年9月16日:初版公開

1. 省エネ法定期報告情報の開示制度とは?

省エネ法(正式名称は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」。資源エネルギー庁は「省エネ・非化石転換法」とも表記しています)は、事業者全体のエネルギー使用量が原油換算で年1,500kL以上の事業者を「特定事業者等」とし、毎年度、エネルギーの使用状況や非化石エネルギーへの転換の取組状況などを定期報告書で報告するよう求めています。この対象は約1.2万者で、日本の最終エネルギー消費のうち、産業部門の約8割、業務他部門の約6割をカバーしています。

開示制度は、この定期報告書等の内容を事業者が外部に開示できる枠組みとして、資源エネルギー庁が創設したものです。開示される情報は、すでに作成して提出した定期報告書などがもとになります。そのため特定事業者等は負担感なく参加でき、対外的に法にもとづく質の高い情報を発信できると、資源エネルギー庁の手引きは説明しています。読み手の側には、投資家などが一覧性をもって評価しやすくなる効果が期待されています。

誰が決めるか 特定事業者等が「開示宣言」をして参加する。宣言にもとづく制度で、参加は事業者の判断(任意開示)
何が公表されるか 提出済みの定期報告書・中長期計画書の数値、EEGSで入力した自由記述、資源エネルギー庁が作成した業界の集計データ
どこで公表されるか 資源エネルギー庁の省エネポータルサイト(令和7年度分からPower BIで公表)

2. いつ始まった?年度ごとの参加状況と最新の開示年度

開示制度は、令和5年度(2023年度)に、対象を東証プライム上場企業等(その子会社を含む)に限った試行運用として始まりました。令和6年度(2024年度)から、全ての特定事業者等を対象にした本格運用に移っています。年度ごとの参加状況は次のとおりです。

年度 位置づけ 参加状況
令和5年度(2023年度) 試行運用(東証プライム上場企業等と子会社が対象) 47社と8省が参加。開示シートは2024年3月29日に公表
令和6年度(2024年度) 本格運用の開始(全ての特定事業者等が対象) 参加宣言1,695者。確報版の公表は1,670者
令和7年度(2025年度) 本格運用。公表形式をPDFからPower BIに変更 11月14日までの参加宣言2,343者。確報版の公表は2,338者
令和8年度(2026年度) 本格運用。参加受付中 2026年8月31日までに2,864者が参加宣言(10月7日更新)。速報版は11月初旬頃、確報版は令和9年(2027年)3月末頃に公表予定

表:開示制度の年度別の位置づけと参加状況(資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法定期報告情報の開示制度」「各事業者の開示シート(確報版)」「過去の開示シート」、経済産業省ニュースリリース2024年3月29日・同11月6日より)

ポイント:確認できた最新は「令和7年度の確報版」

2026年10月28日時点で、開示シートとして公表されている最新の年度は令和7年度です。令和8年度の2,864者は「参加宣言をした数」で、開示シートの公表数ではありません。対象は約1.2万者とされているため、2,864÷約1.2万の単純計算では約24%(概算)です。参加は対象全体の一部にとどまっています。

3. 2023年4月施行の改正省エネ法との関係

令和4年法律第46号による改正が2023年4月1日に施行され、法律の名称が「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」から「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に変わりました(e-Gov法令検索の改正履歴)。資源エネルギー庁の改正の説明では、事業者に関わる主な点は次のとおりです。

改正の柱 内容(資源エネルギー庁の説明)
エネルギーの使用の合理化 非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの合理化が求められる。これに伴い、非化石エネルギーも定期報告の対象に加わった(令和5年4月から)
非化石エネルギーへの転換 特定事業者等は、非化石エネルギーへの転換目標を盛り込んだ中長期計画を作成し、使用状況を定期報告する。目標の内容は、国が定める目安があるかどうかで異なる
電気の需要の最適化(旧:電気の需要の平準化) 再エネの出力制御時に需要を移したり、需給ひっ迫時に需要を抑えたりすることを促す。特定事業者等は、需給状況に応じた「上げDR」と「下げDR」の実績を報告する

表:2023年4月施行の改正の主な内容(資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法の改正」「省エネ・非化石転換法の概要」より)

法文でも、第4条に電気の需要の最適化に資する措置を講ずる努力が、第15条第2項に非化石エネルギーへの転換の中長期計画の作成が定められています。

開示シートへの反映

開示制度は2023年度に始まった別の仕組みですが、引用元の定期報告書・中長期計画書には、この改正で加わった項目が含まれています。そのため、開示シートには「電気需要の最適化」「エネルギー使用量(非化石エネルギー使用量・使用率を含む)」「非化石エネルギー転換」のタブがあります(令和7年度版の手引き)。たとえば非化石エネルギー転換のタブには、事業全体で使う電気の非化石率の目標と実績が、中長期計画書と定期報告書から引用されます。

4. 対象(特定事業者等)の要件と、提出の時期

開示制度の対象は、省エネ法の特定事業者等です。特定事業者の要件は、法第7条第1項と政令(施行令)第2条で定められています。設置している全ての工場等の、エネルギーの年度の使用量の合計が、原油換算で1,500kL以上であることです。年度は4月1日から翌年3月31日までで、本社、工場、支店、営業所、店舗などを合算します(北海道経済産業局の案内)。燃料のほか、熱と電気も原油に換算して合算します。

電気だけで1,500kLに届く量の目安(仮定の計算)

換算の方法は、施行規則第4条に定められています。購入した電気は、1,000kWhを8.64ギガジュール(GJ)とし、1GJを原油0.0258kLとして換算します(自家発電の一部は別の換算)。電気だけを使う事業者を仮定して、1,500kLに相当する電力量を計算してみます。

電気1,000kWhの原油換算 = 8.64GJ × 0.0258kL/GJ = 約0.223kL

仮定:燃料や熱は使わず、購入した電気だけを使う(全拠点の合計)
1,500kL ÷ 約0.223kL(1,000kWhあたり)= 約6,729(千kWh)= 約673万kWh/年

実際には燃料や熱の使用量も合算するため、この数字はあくまで電気だけの場合の目安です。自社が対象かどうかは、全ての燃料・熱・電気を原油換算して確認します。省エネ法の概要は「「省エネ法」とは何か?取り組みべき事項と優遇措置について解説」でも解説しています。

届出・中長期計画・定期報告の提出時期

手続き 根拠 提出時期
エネルギー使用状況届出書(前年度の使用量の合計が1,500kL以上の者。すでに特定事業者に指定された者を除く) 法第7条第3項、施行規則第5条 毎年度5月末日まで
中長期計画書(省エネの計画と、非化石エネルギーへの転換の計画) 法第15条、施行規則第35条 毎年度7月末日まで(一定の要件を満たす場合は提出の特例あり)
定期報告書 法第16条、施行規則第36条 毎年度7月末日まで

表:特定事業者に関わる主な提出と時期(e-Gov法令検索「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」「同施行令」「同施行規則」より)

いずれも、災害その他やむを得ない事由で期限までに提出することが難しいときは、経済産業大臣がその事由を勘案して定める期限までとされています。中長期計画書には、一定の要件を満たす場合に、最後の提出から5年を超えない範囲で提出の間隔を空けられる特例があります(施行規則第35条第2項・第3項)。ただし、定期報告書は毎年度の提出です。特例の要件は、規則の条文で確認してください。

開示シートは、各事業者が7月末に提出した中長期計画書・定期報告書をもとに作られます。つまり、7月末までの提出が、開示制度に参加するための前提になっています。

北海道 北海道経済産業局の窓口と提出先

北海道経済産業局の案内によると、主たる事務所が北海道にある事業者の提出先は次のとおりです。
・宛先:〒060-0808 札幌市北区北8条西2丁目 札幌第1合同庁舎 北海道経済産業局 資源エネルギー環境部 エネルギー対策課 省エネ担当
・連絡先:北海道経済産業局「省エネ法(工場等に係る措置)各種手続き」で最新の案内を確認してください
・定期報告書と中長期計画書は、本社所在地を所管する経済産業局に加えて、各工場等を所管する官庁にも提出する必要があると案内されています。

北海道経済産業局の省エネ法のページには、開示制度についての記載は確認できませんでした。資源エネルギー庁のお問い合わせページにも、北海道経済産業局エネルギー対策課の連絡先が載っています。連絡する前に、公式ページで最新の案内を確認してください。定期報告書の書き方は省エネ法ヘルプデスク(省エネルギーセンター、2027年3月31日まで開設)、EEGSの操作はEEGSヘルプデスクが窓口として案内されています。

5. 開示される項目:選択開示と自由記述欄

開示シートは、Power BI上で次のタブに分かれています(令和7年度版の手引き)。個別の項目は、定期報告書・中長期計画書から引用されるものが中心です。

タブ 主な内容
0 表紙 開示シートの概要説明
1 基本情報 企業名、銘柄コード、業種(中分類・細分類)、法人番号、エネルギー管理統括者、自由記述(カーボンニュートラルに向けた取組)、関連リンク
2 エネルギー使用の合理化 主たる事業のエネルギー消費原単位、前年度比、5年度間平均の原単位変化と分布、自由記述
3 電気需要の最適化 電気需要最適化評価原単位、DR実施日数、前年度比など
4 エネルギー使用量 エネルギー使用量(GJ・kL)、非化石エネルギー使用量と使用率、各分布
5 非化石エネルギー転換 電気の非化石率の目標と実績、目安設定業種の目標と実績、自由記述
6 調整後温室効果ガス排出量 調整後温室効果ガス排出量、算定に用いた認証排出削減量等の量
7 ベンチマーク指標 ベンチマーク区分、目指すべき水準、指標の状況、当該業種の最新年度の達成率
8 (参考)Sクラス事業者リスト クラス分け評価の結果に、開示制度への参加の有無を付記したもの

表:開示シートのタブと主な内容(資源エネルギー庁「省エネ法定期報告情報の開示制度 参加表明特定事業者向け手引き 2025年度版」より)

選択開示項目は5つ

多くの項目は定期報告書等から引用されますが、次の5項目は、EEGSで開示宣言をするときに「開示」か「非開示」かを選べます。手引きで選択できる項目として示されているのは、この5項目です。

開示・非開示を選べる項目(令和7年度版の手引き)

・主たる事業における電気需要最適化評価原単位
・DR実施日数
・電気需要最適化評価原単位の対前年度比
・非化石エネルギー総使用量
・調整後温室効果ガス排出量の算定に用いた認証排出削減量等の量

たとえば非化石エネルギー総使用量を非開示にすると、非化石エネルギー使用率の推移のグラフと、使用量・使用率の分布グラフ上の位置が表示されなくなります(エネルギー総使用量は表示されます)。表示のしかたは項目ごとに決まっています。数値の項目は「非開示」と表示され、表や推移のグラフは「データは非開示です」と表示されます。分布のグラフは、分布そのものは見えますが、その事業者の位置は表示されません。選択開示項目の登録状況は、EEGSの画面で確認できます。

自由記述欄:登録は任意、未登録なら空欄

数値だけでは伝わらない取組を補足する欄が、自由記述欄です。EEGSから入力し、登録は任意です。期日までに登録しなかった場合、開示シートの該当欄は空欄で公開されます。入力した内容は、そのまま開示シートに転記されます。

欄(掲載タブ) 書いてほしい内容 表示枠の目安
カーボンニュートラルの実現等に資する事業者独自の取組や革新的技術に係る研究開発等の取組について(タブ1) 全体方針や目標を達成するための具体的な取組、取組の詳細と成果、進まない事情があればその説明、今後の方針。省エネ補助金の交付を受けた場合は、その計画や実績 全角744文字(93文字×8行)
エネルギーの使用の合理化に関する事項(タブ2) 合理化の目標、目標に対する取組、成果、進まない事情があればその説明 全角285文字(95文字×3行)
非化石エネルギーの転換に関する事項(タブ5) 非化石エネルギー転換の目標、目標に対する取組、成果、進まない事情があればその説明 全角665文字(95文字×7行)
関連リンク(タブ1) 中長期ビジョン等を掲載しているホームページのタイトルとURL タイトルは全角25文字、URLは半角120文字

表:自由記述欄の内容と表示枠の目安(資源エネルギー庁の手引き 2025年度版より。文字数に制限はなく、枠を超えた分はスクロールで表示される)

このほか、業界団体等から要望があった場合に限り、業界固有の定量指標を記載する欄もあります。令和7年度は鉄鋼業とパルプ・紙・紙加工品製造業が対象でした。2026年10月28日時点で資源エネルギー庁のページに掲載されている手引きは令和7年度版のため、令和8年度の項目や表示枠は、更新された手引きで確認してください。

6. 参加の手続きと時期(令和8年度)

参加は、EEGS(省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム)から行います。ログイン後、左タブの「管理機能」から「省エネ法(工場等)開示制度情報入力」を開き、開示宣言と自由記述欄の登録をします。参加証明メールの再送も、同じ画面からできます。

1
EEGSにログインし、左タブの管理機能から「省エネ法(工場等)開示制度情報入力」を開く
↓
2
開示宣言を登録する(選択開示項目の開示・非開示も、この宣言のときに選ぶ)
↓
3
定期報告書・中長期計画書を期日(毎年度7月末日)までに提出する
↓
4
自由記述欄を期日までに登録・更新する(任意)
↓
5
速報版・確報版の公表後に、開示シートの内容を確認する

図:開示制度への参加の流れ(資源エネルギー庁「開示制度」ページ、「EEGSによる開示宣言方法」、手引きをもとに作成)

令和8年度の日程

令和8年度の日程は、資源エネルギー庁の開示制度ページのスケジュール図(令和8年9月4日更新)に示されています。

項目 速報版と確報版の両方 確報版のみ
開示宣言 2026年4月1日から8月31日まで(受付は終了) 8月31日から11月13日まで
自由記述欄の登録 9月30日まで(速報版に反映)。確報版用の登録・更新は12月18日まで 12月18日まで
公表 速報版は11月初旬頃(予定)、確報版は令和9年(2027年)3月末頃(予定) 確報版は令和9年(2027年)3月末頃(予定)

表:令和8年度(2026年度)の開示スケジュール(資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法定期報告情報の開示制度」のスケジュール図、SII公募要領の掲載図より)

速報版に載るのは、8月31日までに開示宣言をし、定期報告書等を提出期日までに提出した事業者です。2026年10月28日時点では、速報版の開示宣言(8月31日)と速報版用の自由記述(9月30日)の期日はすぎています。確報版のみの開示宣言は、11月13日まで、あと2週間ほどです。令和7年度から継続して参加する事業者は、図の「速報版と確報版の両方」の区分に含まれます。SII公募要領の図には「令和7年度参加事業者は原則継続参加」とあるため、継続参加の状況はEEGSで確認してください。

注意 日付は年度ごとに違う

令和7年度は、確報版のみの開示宣言が11月14日まで、確報版の自由記述が11月30日まででした(令和7年度版の手引き)。令和8年度は、それぞれ11月13日、12月18日です。前年の日程をそのまま当てはめず、その年度のスケジュールを確認してください。

7. 公表サイトと開示シートの見方

開示シートは、資源エネルギー庁の省エネポータルサイトにある「省エネ・非化石転換法定期報告情報の開示制度」のページから見られます。主なページは次のとおりです。

・開示制度のページ(制度の説明、参加方法、スケジュール)
・令和7年度の開示シート(確報版)
・令和7年度の開示シート(速報版)
・令和6年度以前の開示シート(事業者ごとにダウンロード)
・令和8年度の参加事業者リスト(PDF、2026年8月31日時点)

Power BIの画面はPC専用で、携帯電話やタブレットでは正しく表示されない場合があります。画面右下の全画面表示で開くことが推奨されています。画面では、実績年度、特定事業者、業種の中分類・細分類を選んで、事業者を表示します。「検索条件」からは、本社所在地、直近のクラス分けがSクラスか、省エネ補助金の採択の有無でも事業者を絞り込めます。

項目によっては、開示事業者と同じ中分類の事業者(比較群)の集計データが併記されます。比較群の母集団は、本社所在地で絞り込めます。ただし、絞り込んだ結果のサンプルが10未満になると、集計データは表示されません。

北海道 「本社所在地」で絞り込める

手引きによると、検索条件の「本社所在地」で表示する事業者を絞れます。比較群も本社所在地で絞り込めるため、北海道に本社がある事業者の開示内容や、同じ業種の道内の集計との比較にも使えます。

8. 開示するメリットと注意点

資源エネルギー庁の資料から読み取れるメリットと、参加の前に押さえておきたい注意点を整理します。

資源エネルギー庁が示すメリット

・負担が小さい:開示される情報は、すでに作成して提出した定期報告書等がもとになるため、負担感なく参加できる
・対外的な情報発信:法にもとづく質の高い情報を、サステナビリティ投資家を含むステークホルダーに発信できる
・他社の取組を参考にできる:業界内の他社の取組を、自社の省エネ・非化石転換の参考にできる
・読み手が評価しやすい:一覧性があり、投資家などが評価しやすいツールになる

注意 参加の前に確認したい点

・外部から見られる:開示シートは公表されます。個別に非開示にできるのは、選択開示項目の5つです。数値の整合や社内の合意を、宣言の前に確認してください。
・速報版は確認前のデータ:速報版は国の確認前の提出情報、確報版は経済産業局の審査を踏まえて修正されたデータです。数値が変わることがあります。
・自由記述欄は転記される:入力内容がそのまま掲載されます。手引きも、入力内容に間違いがないか必ず確認して登録するよう求めています。未登録なら空欄のまま公開されます。
・対象は特定事業者等:本格運用の対象は特定事業者等です。1,500kL未満の事業者が参加できるとの記載は、確認できませんでした。

補助金の要件になることがある

開示制度への参加が、省エネ補助金の要件に含まれることがあります。2026年10月公表のSII「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」4次公募の公募要領では、省エネ法特定事業者等は、開示制度への参加を宣言し、令和8年度公表分の開示シートを公表することが要件とされています。要件を満たしていない場合は、補助金の返還を求めることがあると書かれています。あわせて、補助事業の計画と実績を、開示シートの自由記述欄に書くことも求められています。令和7年度版の手引きにも、令和6年度補正の省エネ補助金の申請には、令和7年度の開示制度への参加宣言が要件だと書かれています。

要件は公募ごとに変わります。申請を考えている場合は、その公募の最新の公募要領で確認してください。設備単位型の概要は「省エネ補助金(SII)は設備単位型がおすすめ?2026年度の公募と新設枠を解説」で整理しています。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 開示制度への参加は義務ですか?

A. 開示制度は、特定事業者等の開示宣言にもとづく制度です。一方、定期報告書と中長期計画書の提出は、特定事業者の法律上の義務です(法第15条・第16条)。補助金の公募要領で、開示制度への参加が要件とされる場合もあります。

Q2. 1,500kL未満の会社も参加できますか?

A. 本格運用の対象は、エネルギー使用量が年1,500kL以上の特定事業者等と案内されています。それ以外の事業者が参加できるとの記載は、確認できませんでした。まず自社が特定事業者等にあたるかを、原油換算の使用量で確認します。

Q3. 速報版と確報版の違いは何ですか?

A. 速報版は、期日までに提出された定期報告書等の、国の確認前のデータで作ります。確報版は、経済産業局の審査を踏まえて修正されたデータで作ります。令和8年度は、速報版が11月初旬頃、確報版が令和9年3月末頃に公表される予定です。

Q4. 令和8年度の参加は、いまからでも間に合いますか?

A. 資源エネルギー庁のスケジュール図では、確報版のみの開示宣言は11月13日までです。速報版に載せる場合の宣言期日(8月31日)はすぎています。令和8年度の参加受付は、資源エネルギー庁のページで実施中と案内されています。期日は変わることがあるため、EEGSと資源エネルギー庁のページで最新の情報を確認してください。

10. まとめ

  • 開示制度は、特定事業者等の開示宣言にもとづき、提出済みの定期報告書等の内容を資源エネルギー庁がPower BIで公表する制度。令和5年度の試行を経て、令和6年度から本格運用
  • 確認できた最新の公表は令和7年度の確報版(宣言2,343者のうち2,338者)。令和8年度は2026年8月31日までに2,864者が参加宣言し、速報版は11月初旬頃の公表予定
  • 対象は原油換算で年1,500kL以上の特定事業者等。届出は毎年度5月末日、中長期計画書と定期報告書は毎年度7月末日まで。北海道は北海道経済産業局エネルギー対策課が窓口
  • 2023年4月施行の改正で加わった非化石エネルギー転換と電気需要最適化は、開示シートのタブに反映される。非開示にできるのは選択開示の5項目、自由記述欄は任意で未登録なら空欄
  • 令和8年度の確報版のみの開示宣言は11月13日、自由記述の確報版用登録は12月18日まで(資源エネルギー庁のスケジュール図)。補助金の要件になる場合があるため、最新の公募要領も確認する

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記事情報
公開日:2025年9月16日
最終更新日:2026年10月28日(全面改訂)
参照資料:
・資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法定期報告情報の開示制度」(資源エネルギー庁)、「各事業者の開示シート(確報版)」(資源エネルギー庁)、「同(速報版)」(資源エネルギー庁)、「過去の開示シート」(資源エネルギー庁)
・資源エネルギー庁「省エネ法定期報告情報の開示制度 参加表明特定事業者向け手引き 2025年度版」2026年3月(PDF)、「EEGSによる開示宣言方法」(PDF)、「令和8年度参加事業者リスト」(PDF)
・資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法の概要」(資源エネルギー庁)、「省エネ・非化石転換法の改正」(資源エネルギー庁)
・経済産業省ニュースリリース「令和7年度 省エネ法定期報告情報の開示制度 速報版の公表について」2025年11月4日(経済産業省)、2024年11月6日(経済産業省)、2024年3月29日(経済産業省)
・e-Gov法令検索「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(法令検索)、「同施行令」(法令検索)、「同施行規則」(法令検索)
・経済産業省北海道経済産業局「省エネ法関係情報」(北海道経済産業局)、「省エネ法(工場等に係る措置)各種手続き」(北海道経済産業局)
・SII「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募情報(4次公募)」(SII)、同公募要領2026年10月(PDF)
※2026年10月28日時点の情報です。令和8年度の公表予定・日程は変更される場合があります。開示項目や表示枠は令和7年度版の手引きにもとづくため、令和8年度の手引き、資源エネルギー庁の開示制度ページ、EEGS、補助金の最新の公募要領で確認してください。計算例の数字は仮定です。