いまさら聞けない?「省エネ法定期報告情報の開示制度」を初心者にもわかりやすく解説

はじめに

「開示制度って最近よく聞くけど、正直よく分かっていない…」「SIIの省エネ補助金に関係あるらしい?」――そんな方に向けて、本稿では省エネ法定期報告情報の開示制度を、仕組みから実務、SII補助金との関係まで、初心者にもわかる言葉で整理します。最後に北海道企業向けの実行チェックリスト自由記述欄テンプレも用意しました。


開示制度をひとことでいうと?

省エネ法で毎年提出している「定期報告書」の主要項目を、企業の同意に基づき、国が見やすい形式(BIツール)で公表する仕組みです。企業側は既存データの活用なので負担が重くなりにくく、投資家・金融機関・取引先が横並びで評価しやすくなるのが特徴。国は「企業・投資家・エネルギーサービスの発展に資する」と位置づけています。


誰が対象?

制度の本格運用(令和6年度~)は、省エネ法の「特定事業者等」=エネルギー使用量が年1,500kL(原油換算)以上の大口需要家が対象になっています。試行開始後は参加企業が拡大し、制度の可視性が急速に高まっています。


2025年度(令和7年度)のスケジュール要点

  • 開示宣言の締切:今年度の参加を検討する事業者は11月14日までに宣言。
  • 自由記述欄9/1~11/30にEEGSで受付(速報版に載せたい場合は9/30までの入力が反映)。
  • 公表タイミング:秋に速報版、翌年に確報版の順で公開(確報版は国の確認後データ)。

補足:開示シートはPower BIで閲覧可能。比較・絞り込みがしやすい構成です。


何が公開される?

  • 定期報告書の主要項目(エネルギー使用量や改善状況など)
  • 選択開示項目(企業判断で開示可否を選べる項目)
  • 自由記述欄(取り組みの背景・将来方針などを文章で補足できる欄)
    これらはEEGS(省エネ法・温対法・フロン法の電子報告システム)から登録・管理します。画面上には選択開示・自由記述の登録状況が表示され、入力漏れの確認にも使えます。

企業が得られる主なメリット

  1. ESG・金融機関・取引先への説明がしやすい
    統一フォーマットでの開示により、第三者が評価しやすい形で自社の取組を示せます。サプライチェーンからの情報開示要請にも答えやすくなります。
  2. 同業他社・自社年次のベンチマークが簡単
    BI上で業種別・事業者別の比較が可能。社内KPI管理や次年度計画の根拠データ化に有用です。
  3. SII補助金で“事実上のパスポート”
    省エネ法の特定事業者等がSIIの省エネ補助金に申請する場合、開示制度への参加宣言や開示シート公表が要件になります(※制度や公募回により要件細目は異なるため、最新の公募要領・FAQで確認が必要)。

デメリット(というより注意点)

  • 社外比較が可能になるため、数値整合・社内合意を前倒しで。
  • 締切の厳守が重要(特に宣言日と自由記述の入力期日)。速報版/確報版の区別や反映条件も要チェック。

参加登録~入力の実務フロー(最短ルート)

  1. EEGSにログイン
     左メニュー「省エネ法(工場等)開示制度情報入力」から参加宣言、必要に応じて自由記述欄を登録。参加証明メールの再送も可能です。
  2. 自由記述欄の下書き→社内レビュー→提出
     今年は9/1~11/30が入力期間。速報版に載せたいなら9/30までに入力を終える段取りで。
  3. 公表後の社内活用
     公開シートをKPIレビューや来期投資計画、取引先説明資料に横展開。

SII補助金と開示制度の“関係”をもう少し詳しく

  • なぜ要件化?
     公的補助と企業の省エネ実績を透明に説明できる環境を整えるため。大企業向けの追加要件(クラス分けS/Aなど)と並び、開示制度への参加・公表が求められるケースがあります。 SII
  • 途中で特定事業者等になったら?
     申請後に新たに特定事業者等に指定された場合でも、参加宣言と開示シート公表が要件になります。早めにEEGSで対応を。

よくある質問(初心者向け)

Q1. 特定事業者ではない(1,500kL未満)会社もやるべき?
A. 法的義務の対象は特定事業者等ですが、SIIの申請要件に関係しない範囲でも、ESGや取引先対応の観点でメリットはあります。まずは自社の対象区分と申請予定を確認しましょう。

Q2. 速報版と確報版の違いは?
A. 速報版は国の確認前の提出情報を反映、確報版は確認後に公開されます。

Q3. 具体的にどこから始めれば?
A. EEGSログイン→参加宣言→自由記述欄作成→社内レビューの順が王道。所要の提出期限に注意。


北海道企業向け:最短アクション・チェックリスト

  1. 対象確認:自社が特定事業者等(1,500kL以上)かを確認。
  2. EEGSで参加宣言11/14までに完了。証明メールを保存。
  3. 自由記述欄の草案3年の実績・今後の計画・投資の方向性を簡潔に。
  4. SII公募要件の照合:申請予定区分の最新公募要領・FAQをチェック(要件は更新され得ます)。
  5. 社内合意・公開前レビュー:IR/サステナ/財務/工場の横串で整合性を確認。

自由記述欄の“そのまま使える”テンプレ(短文版)

当社の方針:2030年に向け、省エネと非化石転換を一体で推進。重要拠点でのEMS導入と高効率設備更新を継続します。
実績(直近3年):生産量増加下で原単位△X%、エネルギー使用量△Y kL、CO₂△Z t-CO₂を達成。主要要因はボイラ更新・インバータ化・運用最適化です。
今後の計画:①高温域向けHPの段階導入、②ベンチマーク指標の更改目標、③更新時の指定設備優先、④再エネ電力の調達を拡大。
体制:本社エネ管理部がKPIを四半期レビュー。SII補助や各種支援制度の活用も検討します。

※自由記述は社外公表される前提で、具体的かつ誇張のない表現に。EEGS登録前に広報・IR・法務の確認を。


totoka(北海道)による実務サポート

totokaは、北海道の企業様向けに

  • EEGSでの参加宣言・自由記述欄作成支援
  • 開示データを活用したKPI可視化・社内説明資料の整備
  • SII(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業)の要件照合~申請書作成支援(区分選定、要件・実績ロジック、見積・図面整理、工程計画、実績報告まで)
    ワンストップでお手伝いします。制度面の更新が多い分野なので、最新の公募要領・FAQに基づく運用で確実に進めましょう。

まとめ

  • 開示制度は、既存の定期報告を見やすく公表する仕組み。ESG・金融・取引先に説明しやすい“共通言語”になります。
  • 特定事業者等(1,500kL以上)は、期日までに参加宣言自由記述欄の対応を。速報版/確報版の違い・期日も要確認。
  • SII補助金では、申請区分によって参加宣言・公表が要件。最新の公募要領・FAQで条件を必ずチェック。

「どこから始めればいいか不安」という企業様は、totokaにご相談ください。北海道の現場事情に合わせて、最短ルートでの制度対応と補助金活用を設計します。