北海道企業向け:フロン排出抑制法とフロン点検業務のポイント意外と知らない?「フロン点検業務」について解説

1. フロン排出抑制法とは?

フロン排出抑制法 とは、正式名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」といい、2015年4月1日に施行されました。
フロン類(HFC、HCFCなど)は地球温暖化やオゾン層破壊につながる強力な温室効果ガスであり、業務用エアコンなどの機器に使用されることが多いため、フロン類の適正な管理や漏えい防止 を定めています。

北海道の企業にとっての重要性

コンプライアンスと企業イメージ
道内外の取引先や顧客が、環境配慮や法令遵守を重視する風潮が強まっています。法令違反が明るみに出ると、企業の信頼にも大きく影響するでしょう。

暖房需要が高い地域
北海道では冬季の暖房需要が本州よりも大きく、業務用エアコンやヒートポンプなどを長時間稼働させがちです。フロン類が使われている機器の使用頻度も高まるため、点検・管理を怠ると漏えいリスク が上がる可能性があります。

2. フロン点検業務とは?

フロン排出抑制法により、業務用エアコン を使用している事業者(管理者)は、定期的な点検を実施しなければなりません。点検には以下の2種類があります。

  1. 簡易点検
    • 管理者自身 が行う
    • 3か月に1回以上 実施
    • 外観チェック(サビ、腐食、油漏れ、霜の付着など)や異音・異常振動の確認
  2. 定期点検
    • 有資格者(冷媒フロン類取扱技術者など)による点検
    • 一定サイズ以上の機器(7.5kW以上)で必要
    • 運転データや漏えい検知など、より専門的な検査を行う

フォローアップ:道内企業が気をつけたい点

高温・多湿の本州と異なり、寒暖差が大きい分、配管の劣化や結露トラブルに注意が必要です。

北海道の屋外機は積雪や凍結の影響を受けやすいため、外観チェック時に 雪害や凍害による破損 も確認するとよいでしょう。

3. 定期点検の頻度と有資格者

3-1. 冷凍能力別の点検頻度

  • 50kW以上 の業務用エアコン:1年に1回以上
  • 7.5kW以上50kW未満3年に1回以上

(7.5kW未満の小型機器は定期点検対象外。ただし、簡易点検は実施推奨。)

3-2. 有資格者とは?

定期点検を行う有資格者は、冷媒フロン類取扱技術者空調設備の専門資格を持つ技術者 が該当します。

特に北海道では、雪や氷による影響も考慮できる 地域の実情に詳しい専門家 に依頼するのが望ましいでしょう。

フロン漏えい時の対処法や空調機器の構造を熟知しており、適切な診断が可能。

環境省より引用:https://www.env.go.jp/earth/furon/operator/isshu_2.html

4. 点検を怠った場合の罰則

フロン排出抑制法には以下のような罰則規定 が設けられています。

違反内容罰則
フロン類をみだりに放出1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
機器の使用・破壊等に関する義務について、都道府県知事の命令に違反した場合50万円以下の罰金
算定漏えい量の未報告・虚偽報告10万円以下の過料

北海道の自治体の動き

法令違反が判明すると、地元メディアに報道されるリスクもあり、企業イメージを損ないかねません。

道庁や市町村も企業向けの啓発活動を行っており、セミナーや相談会 を定期的に開催している場合があります。

5. フロン点検を行うメリット

(1) コンプライアンスの確保

法令を順守することで、罰則や行政処分 を回避し、企業としての信頼性を高めます。

(2) 地球温暖化対策の貢献

フロン類はCO₂よりも強い温室効果を持つガスが多いため、漏えいを防ぐことは 環境保全 に大きく寄与します。

(3) トラブルの早期発見・省エネ効果

定期点検を行うことで、異常を早期に発見し、大規模修理や機器交換のコスト を抑えられる可能性があります。また、正常な状態であれば省エネ運転が可能になり、ランニングコストの節約にもつながります。

6. 北海道企業がスムーズにフロン点検を進めるコツ

  1. 点検スケジュールの可視化
    • シーズンごとの繁忙期に合わせ、余裕を持った計画 を立てましょう(特に暖房が必要な冬前に点検しておくと安心)。
  2. 地域の専門業者を活用
    • 北海道の気候や積雪状況を理解した技術者に依頼すると、より的確なアドバイスや点検を受けられます。
  3. 簡易点検の定着
    • 担当者が日常業務の延長で、3か月に1回の簡易点検を確実に実施。
    • チェックリストを整備 して記録を残す習慣をつける。

7. まとめ

フロン排出抑制法は、業務用エアコンなどで使用されるフロン類の適切な管理を義務づけ、漏えい防止や温室効果ガス削減を目指す法律です。北海道の企業にとっても、冬季の暖房需要や厳しい気候条件 を踏まえ、定期的な点検体制を整えることが必要となります。

  • 簡易点検 :3か月に1回以上、管理者自身が目視や異音確認
  • 定期点検 :有資格者が1年または3年に1回以上実施(冷凍能力による)
  • 罰則規定 :違反時には懲役や罰金、過料の対象となる場合がある

フロン点検の徹底 は、企業のコンプライアンスを強化するだけでなく、地球環境を守り、設備の保全やコスト削減にもつながります。北海道の企業として、持続可能な経営を推進するためにも、フロン排出抑制法のポイントをしっかり押さえ、適切な管理体制を整えましょう。