モーターのインバーター化とは、インバーターでモーターに送る電気の周波数と電圧を変え、モーターの回転数を必要な分だけに下げて運転できるようにすることです。ファンやポンプは、理論上、回転数を80%に下げると軸動力(必要な動力)が約51%まで下がります。風量や流量を絞って使う時間が長い設備ほど、電気代の削減効果が大きくなります。
一方で、どの設備でも効果が出るわけではありません。ずっと全速で動かす設備では、インバーター自身の損失の分だけかえって電力が増えることがあります。また、高い所へ水を押し上げるポンプのように、回転数を下げると必要な圧力が出なくなる設備もあります。高調波やノイズ、モーターの温度上昇など、導入前に確認すべき点もあります。
この記事では、ファン・ポンプの「相似則」による省エネの仕組み、ダンパ・バルブ制御との違い、仮定の数字を使った効果の計算方法、日本電機工業会(JEMA)の資料にもとづく注意点、トップランナーモーター(IE3)、2026年10月27日時点のSII補助金での扱いを、北海道の法人の設備担当者向けに整理します。
この記事でわかること
・インバーターでモーターの回転数が変わる仕組み
・ファン・ポンプの相似則(流量・圧力・軸動力と回転数の関係)と、ダンパ・バルブ制御との違い
・省エネ効果の計算式と、仮定の数字による試算
・インバーター化で注意すること(損失・高調波・ノイズ・モーター側の注意)
・トップランナーモーター(IE3)と、SII設備単位型の産業用モータ・インバータの扱い
更新履歴
- 2026年10月27日:全面改訂。相似則と計算式、ダンパ・バルブ制御との比較、仮定の数字による試算、JEMAの資料にもとづく注意点、トップランナーモーター(IE3)、SII設備単位型(4次公募)での扱いを追加。根拠を確認できない削減率・事例を削除
- 2023年11月4日:初版公開
1. モーターのインバーター化とは?仕組みをかんたんに
工場や建物で使う三相誘導電動機(一般的なモーター)は、商用電源にそのままつなぐと、ほぼ一定の速さで回り続けます。モーターの回転数は、次の式のとおり電源の周波数に比例するためです。
回転数 N(min-1)= 120 × 周波数 f(Hz)÷ 極数 P ×(1 − 滑り s)
例:50Hz・4極のモーターの同期速度は 120×50÷4=1,500 min-1(実際の回転数は滑りの分だけ少し低くなります)
インバーターは、商用の交流をいったん直流に変える「順変換部」と、その直流を好きな周波数・電圧の交流に戻す「インバータ部」を一つにした装置です。周波数を下げればモーターはゆっくり回り、上げれば速く回ります。これを使って回転数を無段階に調整できるようにすることが、モーターのインバーター化です。
なお、「インバーター」と「インバータ」は表記の違いで、意味は同じです。制度や資料の名前は原文の表記のまま引用します。
日本電機工業会(JEMA)の資料によると、2022年度の産業機器に占めるインバータの使用状況は、効果が大きいファン・ポンプ・圧縮機でも20%前後にとどまっています。まだ商用電源のまま一定速で動かしている設備が多いということです。
2. インバーター制御で省エネになる理由(相似則と3乗則)
ファン(送風機)や遠心ポンプには、回転数を変えたときに風量・圧力・動力がどう変わるかを示す関係があり、「相似則」と呼ばれます。環境省の「温室効果ガス排出削減等指針」の対策資料では、次のように説明されています。
流量(風量)∝ 回転数 圧力(揚程)∝ 回転数² 軸動力 ∝ 回転数³
Q₂=Q₁×(N₂/N₁)、P₂=P₁×(N₂/N₁)²、L₂=L₁×(N₂/N₁)³
(Q:流量・風量、P:圧力・揚程、L:軸動力、N:回転数。添え字1は変更前、2は変更後)
軸動力が回転数の3乗に比例するため、少し回転数を下げるだけで動力は大きく下がります。相似則のとおりに計算すると、次のようになります。
| 回転数(=流量) | 圧力(揚程) | 軸動力(理論値) |
|---|---|---|
| 100% | 100% | 100% |
| 90% | 81% | 72.9% |
| 80% | 64% | 51.2% |
| 70% | 49% | 34.3% |
| 60% | 36% | 21.6% |
| 50% | 25% | 12.5% |
表:相似則による回転数と圧力・軸動力の関係(理論値。環境省「温室効果ガス排出削減等指針」対策資料の式から計算)
三菱電機の技術資料でも、ファン・ポンプ・ブロワなどの「2乗低減トルク負荷」の消費電力は回転数の3乗に比例し、中間風量で運転する時間が長いほど、インバータ制御による省エネ効果が大きくなると説明されています。
3乗則がそのまま成り立つのは、圧力の大部分が配管やダクトの抵抗(流量の2乗で変わる部分)である場合です。高い所へ水を押し上げるポンプのように「実揚程(高さの分の圧力)」が大きい設備では、回転数を下げると揚程が足りなくなるため、3乗則どおりには下がりません。モーター効率やインバーター効率の変化も実際の消費電力に影響します。
3. ダンパ・バルブ制御とインバーター制御の違い
インバーターがない設備では、モーターは一定速で回したまま、ダクトのダンパ(羽根状の弁)や配管のバルブを絞って風量・流量を調整するのが一般的です。JEMAの資料では、この方式は風量や流量を下げても、ダンパやバルブで損失が発生し、モーターの軸動力の低減が期待できないと説明されています。
これに対して、インバーターで回転数そのものを下げると、余分な圧力をつくらずに済むため、動力が大きく下がります。世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(JASE-W、事務局:省エネルギーセンター)の「国際展開技術集」に富士電機が掲載した計算例では、次の値が使われています。
| 流量 | バルブ(ダンパ)制御の所要動力 | インバーターによる可変速運転の所要動力 |
|---|---|---|
| 85% | 91% | 61% |
| 60% | 76% | 22% |
表:バルブ(ダンパ)制御とインバーター制御の所要動力の例(定格を100%とした値。世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(JASE-W)国際展開技術集「F-04」富士電機の計算例より)
環境省の対策資料でも、ファンの風量をダンパで下げる方法より、インバーターでモーターの回転数を下げる方法のほうが省エネ効果が大きいとしています。同資料の試算では、22kWの排風機を風量80%で運転するケースで、ダンパ制御の軸動力比を95%、インバーター制御を51%と置いています。
| ダンパ・バルブ制御 | モーターは一定速。弁で絞った分の圧力は損失になる。装置は安いが、絞るほどムダが残る |
| インバーター制御 | 回転数を下げて流量を合わせる。動力は回転数の3乗で下がる(理論上)。インバーター自体の損失や、高調波・ノイズへの対策が必要 |
| 台数制御 | 複数台のうち運転台数を変える。高い揚程が必要な給水などでは、回転数制御より台数制御が向く場合がある(環境省資料) |
4. 省エネ効果の計算方法(仮定の数字で試算)
インバーター化の効果は、「どの風量・流量で、何時間動かしているか」で決まります。ここでは、説明のための仮定の数字で計算します(実際の設備の効果を示すものではありません)。
消費電力(kW)= 定格の軸動力(kW)× 軸動力比 ÷ モーター効率 ÷ インバーター効率
年間電力量(kWh)= 消費電力 × 運転時間(各風量ごとに計算して合計)
※ダンパ制御(インバーターなし)の場合は「÷ インバーター効率」を除く
仮定の条件:定格の軸動力11kWの送風機。モーター効率90%、インバーター効率95%(どちらも一定と仮定)。年間4,000時間運転し、そのうち風量100%が1,000時間、風量80%が3,000時間。風量80%の軸動力比は、ダンパ制御95%(環境省の試算例の値を借用)、インバーター制御51.2%(3乗則)とします。
| 運転条件 | ダンパ制御 | インバーター制御 |
|---|---|---|
| 風量100%(1,000時間) | 11÷0.90=12.22kW → 12,222kWh |
11÷0.90÷0.95=12.87kW → 12,865kWh |
| 風量80%(3,000時間) | 11×0.95÷0.90=11.61kW → 34,833kWh |
11×0.512÷0.90÷0.95=6.59kW → 19,762kWh |
| 年間電力量 | 47,056kWh | 32,627kWh |
| 削減量 | 14,429kWh/年(約30.7%) | |
| 電力量料金の差(単価25円/kWhと仮定) | 14,429kWh × 25円 = 約36万円/年 | |
表:ダンパ制御からインバーター制御に替えた場合の試算(数字はすべて仮定。モーター効率・インバーター効率の負荷による変化は考慮していません)
この試算のポイントは2つです。1つは、風量100%で動かしている時間は、インバーターの損失の分だけ電力が増えることです(12,222kWh→12,865kWh)。もう1つは、削減の大部分が風量を下げた時間から生まれることです。インバーター効率を環境省の試算例と同じ90%と置くと、削減量は12,616kWh(約26.8%)に下がります。運転パターンと効率の前提で結果は大きく変わるため、実際の検討では計測にもとづく数字を使います。
ダンパやバルブの開度、電流値、風量・流量・圧力を記録し、運転時間ごとの負荷の分布をつかむと、効果の見込みが立てやすくなります。常に全開・全速で動いている設備は、インバーター化よりも、まず設備の容量や運転時間が合っているかを見直すほうが先になる場合があります。
電気料金への影響は、電力量料金だけではありません。契約電力500kW未満の高圧(実量制)では、その月と過去11か月の最大需要電力(デマンド)のうち最も大きい値で契約電力が決まるため、ピークの時間帯にその設備の回転数を下げ続けられれば、基本料金の削減につながる可能性があります(推測。設備がピーク時にどう動いているか次第です。過去11か月の最大値が残るため、基本料金に表れるまで時間がかかることがあります)。デマンドの仕組みは「電気のデマンドとは?契約電力・基本料金の決まり方と下げ方」で解説しています。
5. 効果が出やすい設備・出にくい設備
環境省の対策資料では、送風・送水設備で常に定格運転をしている場合に、負荷変動に応じた運転に切り替えることでCO2削減効果が見込まれ、低負荷運転の割合が高いほど効果が大きくなるとしています。同資料が紹介する環境省SHIFT事業の採択案件(32事例)の実施計画書データでは、インバータ制御装置の導入によるCO2削減率の中央値は、高負荷の5事例で17%、低負荷の17事例で68%でした(計画値)。
| 効果が出やすい例 | 効果が出にくい・注意が必要な例 |
|---|---|
| ・ダンパやバルブで風量・流量を絞って運転している送風機・ポンプ ・空調の冷温水・冷却水ポンプ、換気・排気ファンなど、必要量が時間や季節で変わる設備 ・配管・ダクトの抵抗が圧力の大部分を占める設備(密閉系の循環配管など) |
・ほぼ全速で連続運転している設備(インバーターの損失で増えることがある) ・実揚程が大きい揚水・給水ポンプ(回転数を下げると揚程が不足する) ・コンプレッサやコンベアなどの定トルク負荷(動力は回転数にほぼ比例して下がるだけで、3乗では下がらない) |
表:インバーター化の効果が出やすい設備・出にくい設備(環境省「温室効果ガス排出削減等指針」対策資料、JEMA資料、中小機構J-Net21の解説をもとに整理)
環境省の対策資料では、大きな全揚程が必要な給水系統では、回転数を下げると吐出圧力も小さくなって揚程が不足し、制御できない場合があるため、流量制御はポンプの台数制御で行うとしています。大きな全揚程が必要ない場合は、回転数制御で行うとよいとしています。なお、中小機構のJ-Net21に掲載された技術士の回答(Q&A)では、仮定を置いた試算から、回転数制御が有効なのは実揚程が小さく、流量比30%〜80%程度までが目安とされています。これは一つの試算にもとづく目安です。
ベルト駆動の設備は「Vベルトと省エネベルト」もあわせて確認してください。
6. インバーター化の注意点(損失・高調波・ノイズ・モーター側)
JEMAは、一般的な三相かご形誘導電動機をインバーターで動かすときの注意点を「一般用低圧三相かご形誘導電動機をインバータ駆動する場合の適用指針(2024年度版)」にまとめています。主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 何が起きるか | 主な対策(JEMA資料の例) |
|---|---|---|
| 低速時の温度上昇 | モーターの冷却ファンも遅く回るため、低速ほど冷却能力が下がる。ファン・ポンプ(2乗低減トルク負荷)には使えても、定トルク負荷では使えない場合がある | 37kW以下はメーカーの許容トルク特性を参照して検討 |
| 高調波による温度上昇 | インバーター出力の高調波でモーターの損失が増え、商用電源より温度上昇が高くなる傾向 | 資料に対策例の記載なし(注意が必要とされている) |
| サージ電圧 | 急峻なサージ電圧で部分放電が起き、巻線の絶縁劣化の原因になる | サージ吸収器・交流リアクトル、絶縁を強化したモーター |
| 軸受の電食 | コモンモード電圧による軸電圧で、まれに軸受が電食する | キャリア周波数の低減、絶縁軸受、アースブラシ、適切な接地など |
| 漏れ電流 | 商用電源より漏れ電流が増え、漏電遮断器が不要に動作することがある | インバーター対応の漏電遮断器 |
| ノイズ | 高周波ノイズで、近くのAMラジオなどに雑音が入ることがある | ノイズフィルタ、確実な接地、動力線と制御線の分離 |
| 騒音・振動 | 騒音は商用電源時より+5〜+15dBが目安で、回転を下げても騒音レベルは下がらないのが一般的。振動は10μm程度増える場合がある | キャリア周波数の変更、交流リアクトル、防振など |
表:汎用モーターをインバーターで動かすときの主な注意点(日本電機工業会「一般用低圧三相かご形誘導電動機をインバータ駆動する場合の適用指針(2024年度版)」より)
インバーター自身の損失
インバーターは電力を変換するときに、わずかですが損失を出します。環境省の試算例ではインバーター効率を90%と想定しています。富士電機の高圧インバーターの紹介では、総合効率は約97%とされています。効率は機種や負荷で変わるため、回転数を下げない時間が長い設備では、効果が小さくなるか、電力が増えることを前提に検討します。
高調波(電源側への影響)
インバーターは入力側に高調波電流を出す機器です。JEMAの資料によると、高調波は電力用コンデンサの過熱、漏電遮断器の誤動作などの障害の原因になります。高圧または特別高圧で受電する事業所が高調波を出す機器を新設・増設・更新するときは、経済産業省の「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」(1994年制定、2004年1月改正)にもとづく検討が必要で、汎用インバーターは容量にかかわらず計算の対象になります。対策には、交流リアクトル・直流リアクトルの接続などがあります。また、実務で使う技術指針(JEAG 9702)は2023年12月に改定され、検討を省略できる条件が厳しくなっています。インバーターを増やすときは、電気主任技術者とあわせて確認してください。
保守と寿命
JEMAの資料では、機器の推奨交換時期の目安を、インバーターは約10年(周囲温度40℃・24時間365日運転の想定)、モーターは約15年(周囲温度40℃・1日8時間運転の想定)としています。インバーターの冷却ファンや平滑用のアルミ電解コンデンサは消耗部品です。導入費用だけでなく、更新・保守の費用も含めて判断します。
一方、JEMAの資料では、省エネ以外のメリットとして、加減速の時間を決めて機械への衝撃を抑えられることなどが挙げられています。始動電流については、同資料が例として引く船舶への適用指針で、インバーターで始動すると定格電流の100%〜150%に抑えられる(商用電源で始動すると700%〜1000%)とされています。
7. トップランナーモーター(IE3)との関係
モーターの効率は、国際規格(IEC)でIE1(標準効率)、IE2(高効率)、IE3(プレミアム効率)などのクラスに分けられています。日本では、省エネ法のトップランナー制度で三相誘導電動機が対象になり、2015年4月1日以降に国内出荷される対象範囲のモーターは、基本的にIE3レベルの効率が求められています。
| 対象の主な範囲 | 定格出力0.75kW以上375kW以下、2極・4極・6極、定格電圧1,000V以下、50Hz・60Hz(共用含む)、単一速度、商用電源で駆動するもの など |
| 主な対象外 | 防爆形、液体中で使う構造のもの、船舶用、デルタスター始動方式のもの、キャンドモータ、インバータ駆動専用の他力通風形 など |
| 目標の水準 | 各国の規制で最も高い効率クラスのIE3を目標基準値として設定(目標年度は2015年度) |
| 規制の相手 | 製造事業者・輸入事業者。2015年4月1日以降の国内出荷が対象で、それより前に出荷された流通在庫は対象外(JEMAのFAQ) |
表:三相誘導電動機のトップランナー基準の概要(経済産業省「三相誘導電動機判断基準小委員会 最終取りまとめ」(2013年6月28日)、JEMA「トップランナーモータに係る問合せと回答(FAQ)」より)
2013年のJEMAの解説記事では、国内で使われるモーターの97%がIE1レベルで、モーター全体の消費電力量は国内の全消費電力量の約55%と推計されていました。古いモーターを使い続けている設備では、インバーター化とモーターの高効率化を同時に検討する余地があります。
JEMAのFAQでは、標準効率のモーターをトップランナーモーターに替えるときの注意点として、①モーターのサイズが大きくなる場合がある ②定格回転速度が高くなる傾向 ③始動電流が大きくなる傾向 ④力率が低下する傾向を挙げています。ファンやポンプでは回転速度が上がると動力が増えるため、交換後に流量や電流を確認します。JEMA(コントロールセンタ技術専門委員会)の注意事項では、トップランナーモーターは始動電流・突入電流が大きくなる傾向があり、配線用遮断器やサーマルリレーが不要動作するおそれがあるとして、瞬時引外し電流値の高い配線用遮断器への変更などの対策例を示しています。
力率が電気料金に与える影響は「北海道企業のための「力率」入門」で解説しています。
北海道は50Hzの地域です。北海道電力ネットワークの託送供給等約款(令和8年10月1日実施)は、周波数を「標準周波数50ヘルツ」と定めています。モーターの効率の基準値は50Hzと60Hzで分かれているため、トップランナー基準やSIIの基準表を見るときは50Hzの欄を確認します。たとえば4極・11kWの場合、トップランナー基準の50Hzの目標基準値は91.4%です。
また、50Hz・4極のモーターの同期速度は1,500 min-1です。インバーターの周波数を40Hzに下げれば、回転数はおよそ8割になります。
8. 補助金:SII設備単位型での産業用モータ・インバータの扱い
国の省エネ補助金「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」では、産業用モータ(モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機)とインバータが指定設備になっています。4次公募の受付期間は2026年10月5日〜10月30日17時必着です(2026年10月27日時点の情報。締切後は受付終了)。申請書類は郵送で、交付決定は12月下旬の予定とされています。単年度事業は、原則2027年1月31日までに事業を完了(設備の検収と経費の支払いまで)させる必要があります(4次公募の公募要領 1-12・1-14)。
| 9-1 産業用モータ | 産業用モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機本体、インバータ制御盤が対象範囲。インバータ制御で省エネ化を図るものが対象(インバータ一体の設備か、インバータを追加設置するもの)。IE3以上のモータは効率の基準を満たすとみなされる。例外として、高圧IE3モータと低圧・防爆IE3モータは、インバータ駆動を行わないモータ単体の更新も対象(トップランナー制度対象外のモータで、IE2相当以上の既設モータからの更新は対象外) |
| 9-2 インバータ | インバータ単体・インバータ制御盤。インバータを追加設置し、その制御で省エネ化を図るものが対象 |
| 対象外になる例 | 既設のインバータ設備を流用する場合。消火用ポンプなど常用・連続使用しないもの。生産設備全体を更新して、モータ部分だけを申請すること |
| 製品型番の扱い | 圧縮機を除く産業用モータ(モータ単体・ポンプ・送風機)は、原則として型番が事前に公表されないため、申請者が基準を満たすか確認して申請する |
| 省エネ要件 | ①省エネ率10%以上 ②省エネ量 原油換算1kl以上 ③経費当たり省エネ量1kl/千万円以上 のいずれか |
| 補助率・上限 | 従来枠:1/3以内・上限1億円・下限30万円。対象経費は設備費のみ(設計費・工事費・撤去費・配線や配管の材料費・消費税などは対象外) |
| トップ性能枠 | GX設備単位型のトップ性能枠(更新は1/2以内)は、産業用モータではIE4以上のモータ単体と熱回収機能付きの圧縮機が対象。ポンプ・送風機は対象範囲に挙げられていない |
表:SII設備単位型(4次公募)での産業用モータ・インバータの扱い(SII「公募要領<4次公募用>」「省エネルギー量計算の手引き【指定計算(産業用モータ)】」より)
指定計算ではインバータの効果は「一律10%」
SIIの指定計算では、インバータを併せて導入する場合、インバータ制御による省エネ効果を年間一律10%(係数0.9)として計算します。10%以外の効果で計算する場合は独自計算が必要で、効果を合理的に示す根拠資料を出さなければなりません。カタログに書かれた一般的な制御効果の数値は根拠として認められません。導入前後で定格出力が変わる場合も、指定計算は使えません。
消費電力量(kWh)= 定格出力 ÷ モータ効率 ×(インバータ制御効果係数 0.9)× 運転負荷率 × 稼働時間 × 台数
原油換算(kl)= 消費電力量 ÷ 1,000 × 8.64(GJ/MWh)× 0.0258(kl/GJ)
※係数0.9はインバータありの場合のみ。運転負荷率と稼働時間は更新前後で同じとする
仮定の数字での例:50Hz・4極・11kWのIE1モータ(SIIの参考値で効率87.6%)を、インバータ付きのIE3モータ(効率91.4%と仮定)に更新。運転負荷率80%、年間4,000時間と仮定します。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 既存の消費電力量 | 11 ÷ 0.876 × 0.8 × 4,000 | 40,183kWh/年(原油換算 8.957kl) |
| 導入後の消費電力量 | 11 ÷ 0.914 × 0.9 × 0.8 × 4,000 | 34,661kWh/年(原油換算 7.726kl) |
| 省エネ量 | 差し引き | 5,522kWh/年・原油換算1.231kl(省エネ率 約13.7%) |
表:SIIの指定計算の式による試算(数字はすべて仮定。実際の申請ではSIIの補助事業ポータルで計算します)
この例では省エネ率10%以上と1kl以上の要件を満たします。ただし、SIIは既存設備の計算結果を、検針票などで確認できる事業所全体の使用量と比べて、割合が適切か確認するよう求めています。また、交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外です。4次公募のあとの公募予定は、2026年10月27日時点でSIIのサイトでは確認できませんでした。制度の全体像は「省エネ補助金(SII)は設備単位型がおすすめ?2026年度の公募と新設枠を解説」、道内で使える制度は「北海道の省エネ補助金まとめ」で整理しています。
9. よくある質問(FAQ)
A. モーターにインバーターをつなぎ、電気の周波数と電圧を変えて回転数を調整できるようにすることです。ファンやポンプを必要な風量・流量に合わせた速さで回せるため、ダンパやバルブで絞る方式より電力を減らせます。「インバータ化」も同じ意味です。
A. 設備の運転パターンで大きく変わります。理論上、ファン・ポンプの軸動力は回転数の3乗に比例し、回転数80%で約51%になります。環境省の資料が紹介するSHIFT事業の計画データでは、CO2削減率の中央値が高負荷の事例で17%、低負荷の事例で68%でした。ほぼ全速で動く設備では効果は小さくなります。
A. 一般的な三相かご形誘導電動機は、インバーターで動かすことができます。ただしJEMAの適用指針では、低速時の冷却不足、サージ電圧による絶縁劣化、軸受の電食、騒音の増加などに注意が必要とされています。古いモーターの場合は、モーターとインバーターのメーカーに組み合わせを確認してください。
A. 回転数を下げない限り、ほとんど効果はありません。インバーター自身に損失があるため、全速運転ではかえって電力が増えることがあります。まず、ダンパやバルブを絞っていないか、設備の容量が大きすぎないかを確認します。
A. SIIの設備単位型では、インバータ(追加設置するもの)と、インバータ制御を伴う産業用モータ・ポンプ・送風機などが指定設備です(高圧・低圧防爆のIE3モータは、インバータなしの単体更新も対象)。補助率は1/3以内で、対象は設備費のみです。4次公募は2026年10月30日17時必着(10月27日時点の情報)で、単年度事業は原則2027年1月31日までに完了が必要です。既設インバータの流用や、交付決定前の発注は対象外になります。
A. JEMAのFAQでは、サイズが大きくなる場合があること、定格回転速度が高くなる傾向、始動電流が大きくなる傾向、力率が低下する傾向が挙げられています。ファン・ポンプは回転速度が上がると動力が増えるため、交換後の流量や電流を確認します。
10. まとめ
- モーターのインバーター化は、周波数と電圧を変えてモーターの回転数を調整できるようにすること
- ファン・ポンプの軸動力は理論上、回転数の3乗に比例する。ダンパ・バルブで絞る運転からの切り替えで効果が大きい
- 効果は運転パターン次第。全速運転が多い設備や実揚程が大きいポンプでは効果が小さい。計算では仮定と実測を区別する
- 導入前に、インバーター自身の損失、高調波(高圧受電はガイドラインの対象)、ノイズ、モーター側の温度上昇・絶縁・電食を確認する
- 2015年4月からモーターはトップランナー基準(IE3レベル)。IE3への交換では回転速度・始動電流・力率の変化に注意
- SII設備単位型ではインバータと産業用モータが指定設備(4次公募は2026年10月30日17時必着。10月27日時点)。指定計算ではインバータ効果は一律10%
記事情報
公開日:2023年11月4日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・環境省 温室効果ガス排出削減等指針「インバーター制御装置等の回転数制御装置の導入」(PDF)
・環境省 温室効果ガス排出削減等指針「排気量可変排気ファンの導入」(PDF)
・環境省 温室効果ガス排出削減等指針「給排水ポンプの流量・圧力の適正化」(PDF)
・世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(JASE-W、事務局:省エネルギーセンター)国際展開技術集「F-04 高圧インバータによる省エネ」富士電機(PDF)
・三菱電機「E800 NEWS Vol.04 省エネ編」L(名)06140-A、2022年9月(PDF)
・日本電機工業会「一般用低圧三相かご形誘導電動機をインバータ駆動する場合の適用指針(2024年度版)」2025年3月(PDF)
・日本電機工業会「汎用インバータ及びサーボアンプの高調波抑制対策について」2022年4月(PDF)
・日本電機工業会「高調波抑制対策 万全ですか!?」2025年3月(PDF)
・日本電機工業会「トップランナーモータに係る問合せと回答(FAQ)」2014年12月4日(PDF)
・日本電機工業会『電機』2013年4月号「三相誘導電動機のトップランナー基準(案)の紹介」(PDF)
・経済産業省「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー基準部会 三相誘導電動機判断基準小委員会 最終取りまとめ」2013年6月28日(省エネルギーセンター掲載PDF)
・中小企業基盤整備機構 J-Net21「実揚程の大きなポンプにインバータを取り付けても省エネ効果が少ないのはなぜ?」(J-Net21)
・日本電機工業会 コントロールセンタ技術専門委員会「モータコントロールセンタへのトップランナーモータ適用に当たっての注意事項」(PDF)
・中小企業基盤整備機構 J-Net21「トップランナーモータが2015年度からスタートします。」(J-Net21)
・SII「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募情報(4次公募)」(SII)
・SII「公募要領<4次公募用>」(PDF)
・SII「省エネルギー量計算の手引き【指定計算(産業用モータ)】<4次公募>」(PDF)
・北海道電力ネットワーク「託送供給等約款」令和8年10月1日実施(13 電気方式,電圧および周波数/契約電力の決定)(託送供給等約款および要綱)
・北海道電力「デマンド監視制御装置による省エネ・節電のご紹介」(北海道電力)
※2026年10月27日時点の情報です。計算例の数字はすべて仮定で、実際の設備の効果を示すものではありません。補助金の要件・受付状況は、SIIの公募要領と公式サイトで最新の内容をご確認ください。
