灯油タンクの設置基準|札幌市の少量危険物の届出・防油堤・屋内設置

灯油タンク(ホームタンク)の設置基準は、貯める量で3段階に分かれます。灯油の指定数量は1,000Lです。200L未満、200L以上1,000L未満(少量危険物)、1,000L以上(危険物施設)の順に規制が重くなります。200L以上1,000L未満のタンクは、札幌市では「札幌市火災予防条例」の技術基準に合わせる必要があります。1,000L以上は消防法にもとづく許可が必要です。

法人の事業所など(個人の住居に当たらない場所)では、容量(内容積の90%)が200L以上の灯油タンクを置くときは、あらかじめ所轄の消防署長への届出が必要です。個人の住居では、届出の基準が500L以上になります。また札幌市では、屋外のタンクは容量が500L以上(3m未満に並ぶ、それぞれ容量200L以上の複数タンクは合計500L以上)のとき、屋内のタンクは容量にかかわらず、防油堤などの流出防止措置が必要です。

この記事では、2026年10月27日時点で札幌市例規集に掲載されている札幌市火災予防条例・同規則の条文と、札幌市消防局の「ホームタンク技術基準」「条例の解説」をもとに、事業所の灯油タンクの届出、屋外・屋内の設置基準、離隔距離、防油堤、配管、点検を整理します。札幌市以外の市町村では基準が違うことがある点も説明します。

この記事でわかること
・灯油タンクの容量ごとの規制(200L・500L・1,000Lの境目)
・届出が必要になる量と、法人(事業所)と個人の住居の違い
・屋外・屋内に置くときの基準と、離隔距離・空地の数値
・防油堤が必要になる条件と、配管・点検のルール
・札幌市以外の市町村で基準が違う例

更新履歴

  • 2026年10月27日:札幌市火災予防条例・同規則の条文と札幌市消防局の解説で全面的に確認し直し。法人と個人の住居で届出の基準が違う点、届出の様式・提出先、標識・掲示板、屋内設置、保有空地、1,000L以上の扱い、他の市町村との違いを追記。根拠を確認できなかった記述を削除
  • 2025年12月22日:初版公開

1. 灯油タンクの規制は「量」で3段階に分かれる

灯油は消防法上の危険物で、第4類の「第2石油類」に当たります。消防法の別表では、第2石油類は「灯油、軽油その他1気圧において引火点が21度以上70度未満のもの」とされています。危険物の規制に関する政令では、第2石油類(非水溶性液体)の指定数量は1,000Lです。灯油の性質については灯油とは?成分・用途・1号と2号の違いでも解説しています。

消防法では、指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いの基準は市町村条例で定めることになっています(第9条の4)。一方、指定数量以上の危険物は、許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所(危険物施設)以外で貯蔵・取扱いをしてはいけません(第10条)。

灯油の量 区分 主なルール(札幌市の場合)
200L未満
(指定数量の5分の1未満)
指定数量未満の危険物 条例第35条の基準(防火上安全な場所で貯蔵する、漏れ・あふれを防ぐ等)。ストーブ・ボイラー等の燃料タンクは条例第3条の基準も適用
200L以上1,000L未満
(5分の1以上、指定数量未満)
少量危険物 条例第36条〜第37条の2の技術基準(タンク・配管・屋外・屋内・維持管理)。届出(法人は200L以上、個人の住居は500L以上)
1,000L以上
(指定数量以上)
危険物施設 消防法第11条の許可が必要。政令の技術基準が適用。危険物取扱者の取扱い・立会いが必要

表:灯油の量ごとの規制区分(消防法、危険物の規制に関する政令、札幌市火災予防条例から作成)

タンクの「容量」は内容積の90%で数える

札幌市火災予防条例では、タンクの容量は「タンクの内容積の90パーセントの量」とされています。札幌市の条例解説でも、指定数量未満のタンクの数量は、タンクの容積から10%を引いた数値で算定するとしています。屋外のタンクは、原則としてタンクごとにその容量で数えます。

屋内では、原則として建築物ごとに数量を合算します(タンクの周囲に3m以上の空地がある場合や、防火設備の出入口以外に開口部のない不燃材料の床・壁で区画したタンク室の場合などは、その部分を一つの場所として数えることができます)。同じ建物の中にポリ容器やドラム缶で灯油を置いている場合は、その量も合算の対象になりうるため注意が必要です。

ポイント:灯油と重油・軽油を同じ場所に置くときは合算する

重油(第3石油類・非水溶性)の指定数量は2,000L、軽油(第2石油類)は灯油と同じ1,000Lです。札幌市火災予防条例第38条では、品名や指定数量が違う危険物を同じ場所で貯蔵する場合、それぞれの量を「指定数量の5分の1」で割った値の合計が1以上なら、少量危険物として扱うとしています。消防法第10条でも、指定数量で割った値の合計が1以上なら指定数量以上とみなされます。

1,000L以上は危険物施設として許可が必要

灯油を1,000L以上貯蔵するタンクは、消防法の危険物施設になります。設置や変更には、消防本部・消防署を置く市町村では市町村長の許可が必要です(消防法第11条)。札幌市消防局の申請書ページにも「危険物製造所等設置許可申請」が掲載されています。また危険物施設では、危険物取扱者以外の人は、甲種または乙種の危険物取扱者が立ち会わなければ危険物を取り扱えません(消防法第13条)。

なお、札幌市の条例解説では、少量危険物の貯蔵取扱所では法令上、危険物取扱者の立会いは不要とされています。

2. 届出が必要なのは?法人(事業所)と個人の住居で基準が違う

札幌市火災予防条例第71条では、指定数量の5分の1以上(個人の住居で貯蔵・取扱いをする場合は2分の1以上)指定数量未満の危険物を貯蔵・取扱いしようとする人は、あらかじめ所轄消防署長に届け出なければならないとしています。廃止するときも届出が必要です。灯油に当てはめると、次のとおりです。

項目 法人の事業所など 個人の住居
届出が必要な灯油の量 200L以上1,000L未満 500L以上1,000L未満
標識・掲示板 必要(200L以上) 屋外のタンクで、暖房・給湯などの燃料として500L未満を貯蔵する場合は不要
技術基準(タンク・配管・防油堤など) 200L以上で適用 200L以上で適用(届出が不要な量でも適用)
ボイラーの設置届出(条例第66条) 必要(労働安全衛生法施行令の「ボイラー」に当たるものを除く) 個人の住居に設けるものは対象外

表:灯油タンクに関する法人と個人の住居の違い(札幌市火災予防条例第36条の2・第66条・第71条、札幌市消防局「札幌市火災予防条例の解説」から作成)

札幌市の条例解説は、届出が不要な量(個人の住居の200L以上500L未満)でも、技術基準に適合させる必要があると明記しています。「届出が要らない=基準を守らなくてよい」ではありません。

重要 「個人の住居」に当たるかは建物ごとに確認が必要

札幌市の条例解説では、「個人の住居」には個人住宅や専ら個人が使う場所のほか、消防用設備等の設置を必要としない防火対象物も含むとしています。一方、消防用設備等の設置が必要な共同住宅の敷地内(個人が占有する居室を除く)は「個人の住居」から除かれます。アパートの共用タンクや小規模な事務所・店舗がどちらに当たるかは、建物の用途や規模で変わるため、所轄の消防署に確認してください。なお、少量危険物を貯蔵する建物には消火器の設置が必要になる(消防法施行令第10条第1項第4号)ため、事務所や店舗は通常「個人の住居」に当たらず、200Lの基準で考えるのが安全です(推測)。

届出の方法(札幌市)

札幌市の手続き案内(2026年10月27日確認)では、届出は次のとおりです。

届出書 少量危険物貯蔵取扱所設置(廃止)届出書(様式24。札幌市火災予防規則第16条)
添付書類 建物求積表・図、外構図、油系統・配管図、平面図、設備図、仕様表、タンク製作図のうち該当するもの
提出先 貯蔵・取扱いをする場所を管轄する消防署(出張所を除く)の予防課
提出方法 郵送、窓口、電子申請。提出部数は1部、押印は不要。代理提出も可能
時期 貯蔵・取扱いを始める前(あらかじめ)。廃止するときも届出

表:札幌市の少量危険物の届出(札幌市「少量危険物貯蔵取扱所設置(廃止)届出書」手続き案内から作成)

案内には、貯蔵・取扱いには条例の基準があるため、事前に消防局または各消防署に問い合わせるよう書かれています。

標識・掲示板(法人の事業所など)

200L以上の灯油を貯蔵する事業所では、見やすい箇所に、少量危険物を貯蔵・取扱いしている旨の標識と、危険物の類・品名・最大数量を書いた掲示板、防火に関し必要な事項を書いた掲示板を設けます(条例第36条の2第2項第1号)。札幌市火災予防規則の別表では、大きさはいずれも幅30cm以上・長さ60cm以上です。標識と、危険物の類・品名・最大数量・取扱責任者を書いた掲示板は白地に黒文字、注意事項を書いた掲示板(灯油は「火気厳禁」)は赤地に白文字とされています。

重要 基準違反には罰則がある

札幌市火災予防条例第74条では、第35条の規定に違反して指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵・取扱いした者や、第36条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金としています。法人の業務で違反した場合は、行為者に加えて法人も罰せられます(第75条)。

3. 屋外に置く場合の基準(設置場所・離隔距離・固定)

200L以上1,000L未満のタンクの基準は、条例第36条の4に定められています。札幌市消防局は、これを具体化した「ホームタンク技術基準」(平成17年9月全部改正、平成17年10月1日から運用)を公開しています。対象は、灯油・軽油・重油を燃料とする燃焼機器などの専用タンクで、容量が指定数量の5分の1以上指定数量未満のもの(地下タンクと車両に固定したタンクを除く)です。

設置場所

  • 屋内または屋外の防火上安全な場所に設置する。屋上は、タンクの設置場所がない場合に限り、耐火構造・準耐火構造の建物に、屋上面に固定して落下しない場所に設置できる
  • 落雪のおそれや軒からの雨だれのない場所に設置する(条例でも「落雪又は周囲の物件により転倒又は破損するおそれのない場所」とされている)
  • 冬期間も点検できる位置に設置する
  • 注入口は火気使用場所から十分な距離をとるか、防火上有効に遮へいされた場所とする

固定方法と転倒防止

ホームタンク技術基準では、タンクは地中やコンクリートの地盤面などに埋設した束石、または建物の基礎と一体の鉄筋コンクリート造の突き出しの上に、アンカーボルトで強固に固定するとしています。脚の長いタイプは、必要に応じて建物の壁に補助的な支持を設けるなどの転倒防止措置をとります。壁に支持架台を固定して設置する場合は、脚があるものと同等以上の安全性を確保し、タンクと壁の間に点検に必要な空間を設けます。

同基準の別添には、壁面固定の耐震計算例として、札幌市の地域係数0.9、設計用標準震度1.5から、設計用水平震度を1.35(=0.9×1.5)とする計算が示されています。

距離・高さに関する数値

項目 基準 根拠
通気管の先端 タンクの高さ以上とし、建物の窓・出入口などの開口部や、火を使用する設備の給排気口から1m以上離す(開口部側に引火防止の網を設けた通気管、または開口部に防火設備がある場合を除く) ホームタンク技術基準 第3-5(4)
引火防止の網 40メッシュよりも細かい目の銅またはステンレスなどの網 ホームタンク技術基準 第3-5(4)
通気管の太さ・形状 内径20mm以上。先端は水平より下に45度以上曲げ、雨水が入らないようにする ホームタンク技術基準 第3-4(3)
屋外タンクの周囲の空地 容量が指定数量の2分の1以上(灯油500L以上)のタンクは、周囲に幅1m以上の空地か、防火上有効な塀が必要。開口部のない防火構造の壁や不燃材料の壁に面する場合を除く 条例第36条の3第2項第1号
防火上有効な塀の高さ タンクなどの施設の高さ以上。施設の高さが1.5m未満なら1.5m以上 条例の解説(第36条の3)
燃料タンクとたき口 2m以上の水平距離か、防火上有効な遮へい(油温が著しく上がるおそれのないタンクを除く) 条例第3条第1項第18号ウ(ボイラー・ストーブに準用)
タンク頂部と燃焼機器の高さ タンクと燃焼機器を直接つなぐ場合、タンク頂部から油量調整器の基準面まで2.5m以下 ホームタンク技術基準 第3-6(6)

表:灯油タンクの距離・高さに関する主な数値(札幌市火災予防条例、札幌市消防局「ホームタンク技術基準」「札幌市火災予防条例の解説」から作成)

タンク本体は、条例第36条の4で、容量に応じた鋼板の厚さ(250L超500L以下は2.0mm以上、500L超1,000L以下は2.3mm以上など)、水張試験で漏れや変形がないこと、さび止め、タンク直近の開閉弁などが定められています。ホームタンク技術基準では、底部に内容積の20%の範囲で水のたまり部分を設け、油と水を排出できる構造にするとしています。

4. 防油堤が必要になる条件(札幌市)

条例第36条の4第2項第13号・第14号は、タンクの周囲に、漏れた灯油の流出を防ぐ有効な措置(防油堤など)を求めています。ただし、引火点40度以上の液体を貯蔵する屋外のタンクで、容量が指定数量の2分の1未満の場合は除かれます。札幌市消防局は、灯油の引火点を40℃以上としています。

設置場所 防油堤など流出防止措置が必要な場合
屋内 すべてのタンク(200L以上)
屋上 ホームタンク技術基準ではすべてのタンク。条例の解説も、500L未満のタンクに措置を講じることが望ましいとしている
屋外(1基) 容量が500L以上(指定数量の2分の1以上)
屋外(複数) 容量200L以上のタンク相互の距離が3m未満で、容量の合計が500L以上(200L未満のタンクは合算しない)

表:札幌市で灯油タンクに防油堤などが必要になる条件(札幌市火災予防条例第36条の4、札幌市消防局「ホームタンク技術基準」から作成)

ホームタンク技術基準の別添「危険物の流出防止措置例(灯油)」では、次のような例が示されています。「タンク相互の距離」は、近接するタンクの外面どうしの最短の水平距離です。

屋外のタンクの置き方 判定 防油堤の容量
490L 1基 規制外 -
950L 1基 必要 950L以上
210L+210L(3m未満、合計420L) 規制外 -
490L+260L(3m未満、合計750L) 必要 490L以上
210L×3基(すべて3m未満、合計630L) 必要 210L以上
210L×3基(うち1基は3m以上離す、近接2基の合計420L) 規制外 -

表:防油堤の要否の例(札幌市消防局「ホームタンク技術基準」別添4から作成)

防油堤の構造

  • 容量はタンクの容量以上。1つの防油堤に2基以上を入れる場合は、その中で最大のタンクの容量以上
  • 複数のタンクを配管でつなぐ場合は、配管の破損時に開閉弁の操作などで、複数のタンクから同時に流出しないようにする
  • 大きさはタンクの水平投影(真上から見た範囲)以上
  • 鉄筋コンクリート造、ブロック造、金属板などの不燃材料でつくる。不燃材料の建物の基礎・壁・塀を一部に使うこともできる
  • 金属板は溶接かボルト締めとし、ボルト締めの継ぎ目には耐油性のパッキンを使う
  • 水抜口を設ける場合は、常時閉鎖の水抜きバルブか、耐油性の共栓を設ける
北海道 札幌市の防油堤の基準は「地域特性」から決められている

札幌市の条例解説によると、平成元年の改正に合わせて国の火災予防条例準則では、指定数量の5分の1以上のタンクに流出防止措置が規定されました。これに対し札幌市は、地域特性から、屋外では指定数量の2分の1以上のタンクに措置を求めることにしました。その後、平成11年の改正で、3m未満に近接するタンクの合計が2分の1以上の場合という現在の形になりました。

また、札幌市消防局のリーフレットは、灯油を「灯油ストーブやロードヒーティングボイラーなどに使用している」北国の生活に欠かせないものとしたうえで、流出事故の主な原因として、配管の破損・腐食、ゴムホースの劣化、燃料コックの閉め忘れ、過剰注油、いたずら(配管の切断・折り曲げ)などを挙げています。

5. 屋内に置く場合の基準

200L以上1,000L未満の灯油を屋内で貯蔵する場所は、条例第36条の3の2の基準に合わせます。

  • 壁・柱・床・天井は、不燃材料でつくるか覆う
  • 窓と出入口には防火戸を設ける
  • 床は灯油が浸透しない構造とし、適当な傾斜をつけて、ためますを設ける
  • 架台を設ける場合は不燃材料で堅固につくる
  • 必要な採光・照明・換気の設備を設ける
  • 可燃性の蒸気が滞留するおそれがある場合は、屋外の高所に排出する設備を設ける

条例の解説では、床の傾斜はおおむね1/200、ためますは縦・横・深さをそれぞれ最低30cm以上を標準としています。さらに屋内のタンクは、容量にかかわらず流出防止措置(防油堤など)が必要で、周囲に点検に必要な空間を確保します(条例第36条の4第2項第16号)。解説では、タンクの外面と壁などの離隔距離は50mm以上としています。

200L未満のタンクでも、炉・ボイラー・ストーブにつながる燃料タンクには条例第3条第1項第18号の基準がかかります(ボイラーは第4条、ストーブは第5条で準用)。炉・ボイラーの燃料タンクを屋内に設ける場合は、容量100L未満のものを除き、不燃材料でつくった床の上に設けます。この床の基準はストーブには準用されません。一方、たき口との距離(2m以上か遮へい)、地震で転倒・落下しない設置、水抜きができる構造、タンク直近の開閉弁などは、ストーブの燃料タンクにもかかります。

6. 配管の基準と、凍結・損傷への備え

条例第36条の2第2項第9号は、少量危険物の配管について、最大常用圧力の1.5倍以上の水圧試験で異常がないこと、火災の熱で容易に変形しないこと(地下などを除く)、外面の腐食防止、地下・床下の接合部の漏えい点検措置、屋外の配管は落雪や周囲の物件で破損しないよう設置することなどを定めています。

ホームタンク技術基準では、さらに次の点を定めています。

  • 露出配管は外面の腐食防止措置をとり(銅管・ステンレス鋼管・亜鉛めっき鋼管などは除く)、地面に接しないように設置する
  • 埋設配管はポリエチレン被覆・防食塗装・防食テープなどで防食し、埋め戻しは砂などで傷つけないようにする
  • 車両の荷重がかかるおそれのある場所の埋設配管は、コンクリート造のU字溝などで保護する
  • 屋外タンクの下部に被覆銅管など折れやすい配管を使う場合は、保護カバーや脚部の囲いを設けるか、漏えいを検知できる設備を設ける
  • タンク直近の配管には可撓管継手を設ける。合う継手がない細い配管は、タンク直近の配管を地面と水平に直径10cm以上のループ状にする
  • 燃焼機器の直近の金属配管部分に開閉弁を設け、配管の圧力試験は開閉弁も含めて行う

ストーブやボイラーなど燃焼機器側の配管は、条例第3条第1項第19号(ボイラー・ストーブに準用)で金属管が原則です。燃焼装置や燃料タンクなどに接続する部分で金属管が困難な場合に限り、燃料に侵されない金属管以外の管を2m以内で使えます。

北海道 配管のループは「冬の凍結防止」も考えた形にする

札幌市の条例解説では、配管をループ状にする場合は8φ程度の銅管などを使い、径100mm以上のループを複数連続させるとしています。あわせて、配管内に水がたまるのを防ぐ(冬季間の凍結防止)ため、ループ配管は地盤面に対してほぼ水平(送油先に向けて下り勾配)にするとしています。

なお、札幌市消防局のリーフレットは、配管を保護するカバーなどの設置を推奨しつつ、「法令等に基づく設置義務はありません」と明記し、「設置しなければなりません」と言って勧誘する悪質な商法に注意するよう呼びかけています。消防署は販売やあっせんをしていないとしています。

7. 点検と維持管理(チェックシート)

条例第37条の2は、少量危険物のタンクや配管などが、技術基準に適合するよう適正に維持管理されていることを求めています。条例の解説では、危険物施設のような定期点検と記録保存の義務は生じないものの、流出事故防止の観点から、自主的なチェック表で定期的に点検することが望ましいとしています。

ホームタンク技術基準は、「ホームタンクチェックシート」で定期的に点検し、使用時期が限られるタンクの使用前後や、近くで草刈りや工事をした後にも随時点検するとしています。

区分 主な点検項目
タンク本体 外面(特に底部)や脚部のさび、小さな穴からの漏れ、ストレーナーのひび割れ・接続部の漏れ・汚れ、脚部の固定の緩み、燃料ゲージの動き、使っていないタンクの元バルブが開いていないか
配管・接続部 地上部分の配管や接続部・分岐部からの漏れ、ストーブなどにつないだゴムホースの亀裂
防油堤 中に水やごみがたまっていないか、穴や亀裂、水抜き栓・バルブが開いたままになっていないか
その他 使用量のわりにゲージの減りが早くないか、屋外・屋内・床下の油の臭い、水道水や排水口の油臭、急な給油量の増加

表:ホームタンクの点検項目(札幌市消防局「ホームタンク技術基準」別添5「ホームタンクチェックシート」から要約)

タンクの底の水や汚れの管理については、灯油のホームタンク洗浄の重要性もあわせてご覧ください。

8. よくある失敗と、札幌市以外の市町村との違い

注意 事業所で起きやすい見落とし

・「家庭用と同じ490Lだから届出は不要」と考える:個人の住居は500L以上で届出ですが、法人の事業所などは200L以上で届出が必要です。
・2基目を近くに増設して防油堤が必要になる:屋外で3m未満に並ぶと容量を合計して判定します。490L+260Lのように合計500L以上になれば防油堤が必要です。
・屋内にタンクを移して基準が重くなる:屋内では容量にかかわらず流出防止措置が必要で、部屋の構造(不燃材料、防火戸、ためます等)の基準もかかります。
・屋内の容器を数え忘れる:屋内は原則として建物ごとに合算するため、ポリ容器などの灯油も含めて量を確認します。
・廃止の届出を忘れる:タンクを撤去したときも届出が必要です。

指定数量未満の危険物の基準は、消防法第9条の4により市町村条例で定めるため、市町村によって内容が違うことがあります。消防庁も令和2年3月17日の通知で、少量危険物タンクの基準は国が示す「火災予防条例(例)」を踏まえて各市町村の条例で運用されているとしています。

たとえば、苫小牧市が公開している苫小牧市火災予防条例の第4章(令和元年6月28日改正)では、流出防止措置が必要なタンクを「指定数量の2分の1以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンク」とし、標識・掲示板の例外を「個人の住居において使用する燃料としての灯油(JIS K2203に適合するもの)等を屋外に設置したタンクで貯蔵する場合」としています。札幌市の「屋内は全タンク」「3m未満は合算」「個人の住居で500L未満」といった条件とは書き方が異なります。札幌市以外に事業所がある場合は、その地域の消防本部・消防署に基準を確認してください。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 事業所に490Lの灯油タンクを置くとき、消防への届出は必要ですか?

A. 札幌市では、法人の事業所など個人の住居以外の場所は、灯油200L以上1,000L未満で届出が必要です。設置前に、少量危険物貯蔵取扱所設置届出書(様式24)を所轄の消防署予防課に提出します。郵送や電子申請もできます。

Q2. 家庭用の490Lホームタンクも届出が必要ですか?

A. 札幌市では、個人の住居は灯油500L以上で届出が必要なため、490Lなら届出は不要です。ただし、200L以上は技術基準(固定、落雪対策、配管など)に適合させる必要があります。

Q3. 屋外の灯油タンクに防油堤は必要ですか?

A. 札幌市では、屋外のタンクは容量500L以上のとき、または3m未満に近接する、それぞれ容量200L以上の複数タンクの容量の合計が500L以上のときに必要です。490L 1基を単独で置く場合は不要です。屋内と屋上は、ホームタンク技術基準ではすべてのタンクが対象です。

Q4. 灯油タンクを屋内に設置できますか?

A. できます。200L以上なら、壁・柱・床・天井を不燃材料にする、窓と出入口に防火戸を設ける、床にためますを設けるなどの基準と、防油堤などの流出防止措置が必要です。200L未満でも、炉・ボイラーの燃料タンクは屋内では不燃材料の床上(100L未満を除く)に設けるなどの基準があり、ストーブの燃料タンクにも、たき口との距離や転倒防止などの基準があります。

Q5. 灯油タンクと建物・ボイラーの離隔距離は?

A. 札幌市の基準では、通気管の先端を窓などの開口部や給排気口から1m以上離す、燃料タンクとボイラー等のたき口は2m以上離すか遮へいする、500L以上の屋外タンクは周囲に1m以上の空地か防火上有効な塀を設ける、などが定められています。

10. まとめ

  • 灯油の指定数量は1,000L。200L以上1,000L未満は少量危険物として市町村条例、1,000L以上は消防法の許可が必要
  • 札幌市の届出は、法人の事業所などは200L以上、個人の住居は500L以上。届出が不要な量でも技術基準は守る
  • 屋外は落雪・雨だれを避け、アンカーボルトで固定。通気管の先端は開口部から1m以上
  • 防油堤は、屋外で500L以上(3m未満に並ぶ200L以上のタンクは合計)、屋内はすべてのタンクで必要
  • 配管は落雪・車両・凍結に備え、可撓管継手やループで地震時の損傷を防ぐ
  • 札幌市以外では基準が違うことがあるため、所在地の消防署で確認する

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記事情報
公開日:2025年12月22日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・札幌市「札幌市火災予防条例」(札幌市例規集)
・札幌市「札幌市火災予防規則」(札幌市例規集)
・札幌市消防局「札幌市火災予防条例の解説・指導指針」(札幌市)
・札幌市消防局「ホームタンク技術基準(平成17年9月全部改正)」(PDF)
・札幌市消防局「条例の解説 第4章(概要)」(PDF)、「第36条の2」(PDF)、「第36条の3」(PDF)、「第36条の3の2」(PDF)、「第36条の4」(PDF)、「第37条の2」(PDF)、「第71条」(PDF)、「第3条(炉)」(PDF)
・札幌市「少量危険物貯蔵取扱所設置(廃止)届出書」手続き案内(札幌市)
・札幌市消防局「申請書・届出書」(札幌市)
・札幌市消防局「ガソリンや灯油、軽油の取扱いに注意しましょう」(札幌市)
・札幌市消防局 リーフレット「ホームタンクを設置する皆様へ」(PDF)
・e-Gov法令検索「消防法」(e-Gov)
・e-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」(e-Gov)
・消防庁「指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに係る火災予防条例(例)の運用について」令和2年3月17日 消防危第71号(PDF)
・苫小牧市「苫小牧市火災予防条例 第4章」(PDF)
※2026年10月27日時点の情報です。条例の条文は札幌市例規集の掲載内容で確認しています。基準の適用は建物の用途・構造・タンクの設置状況で変わるため、設置・変更の前に所轄の消防署で確認してください。札幌市以外の市町村では、その市町村の火災予防条例が適用されます。