法人が灯油代の負担を軽くするために使える「灯油の補助金」の中心は、国の燃料油補助(中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置)です。ただし、会社が申請して受け取る補助金ではありません。国は石油元売・輸入事業者に補助金を支給して卸価格を抑えており、灯油を買う側には、見積や請求書の単価に反映される形で効いてきます。2026年10月29日以降の灯油の支給単価は、1Lあたり52.4円です。
北海道や市町村の「福祉灯油」は、低所得の高齢者世帯などの世帯を対象にした制度で、法人・事業所は対象に含まれていません。北海道が公表している2026年10月5日時点の支援ガイドブックにも、一般の事業者の灯油購入費そのものを対象にした事業は載っていません(確認できた範囲)。法人が取れる対策は、見積・契約条件の確認、設備の効率改善、燃料転換の検討が中心になります。
この記事では、国の補助の仕組みと支給単価の推移、2026年10月16日に発表された追加対策、北海道・市町村の支援、法人の対策を、官公庁の公表資料をもとに整理します。値上がりの理由は「北海道の灯油価格はなぜ高騰?2026年の値上げ理由と企業の対策」、価格の決まり方と見積の確認項目は「北海道の灯油価格の決まり方と流通の仕組み|法人が見積・契約で確認する点」、タンクの設置基準は「灯油タンクの設置基準|札幌市の少量危険物の届出・防油堤・屋内設置」、燃料の比較は「灯油・重油・LPG・電気の熱量単価比較|燃料転換を数字で判断【北海道】」で扱っているため、この記事では補助と支援の整理に絞ります。
この記事でわかること
・法人が使える灯油の補助は何か(国・北海道・市町村の整理と「いつから」)
・国の燃料油補助の仕組みと、灯油の支給単価の推移・現在値(2026年10月29日時点)
・2026年10月16日に発表された追加対策(輸入灯油調整単価など)の内容と時期
・福祉灯油が法人の対象外である理由と、北海道が公表している事業者向けの支援
・法人が取れる対策(見積・契約の確認、設備の効率改善、燃料転換)
更新履歴
- 2026年10月29日:初版公開。2026年10月29日適用分の支給単価(灯油52.4円/L)までを反映
1. 法人が使える灯油の補助は?国・北海道・市町村の整理
最初に全体像です。2026年10月29日時点で公式に確認できた範囲を、法人が使えるかどうかで分けました。
| 区分 | 制度 | 法人の利用 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 国 | 緊急的激変緩和措置(燃料油の補助) | 会社が申請する仕組みは確認できない。元売・輸入事業者への補助が卸価格に反映される | 2026年3月19日から実施中。終了日は公式サイトのトップページに記載なし |
| 国 | 輸入灯油調整単価(2026年10月16日発表) | 同上(輸入価格と国内卸価格の差額を支給する措置) | 灯油の需要期である11月から3月までの措置 |
| 北海道 | 高齢者等の冬の生活支援事業(福祉灯油事業。市町村の取組を道が支援) | 対象外(低所得の世帯向け) | 受付期間は市町村により異なる |
| 北海道 | 特別生活資金(冬期生活資金)の貸付 | 対象外(個人向けの貸付) | 2026年10月1日〜2027年3月末 |
| 北海道 | 中小企業向けの融資(中東情勢対策特別枠など)と特別相談室 | 中小企業者が対象。補助金ではなく融資 | 特別枠の取扱期間は2026年7月6日〜2027年1月5日 |
| 札幌市 | エネルギー源転換補助金(灯油暖房・給湯から電気・ガスへ) | 対象外(札幌市民が自ら居住する住宅が対象) | 2026年6月19日〜2027年1月29日(先着順) |
表:灯油に関する主な支援(資源エネルギー庁、経済産業省、北海道、札幌市の公表資料をもとに作成。2026年10月29日時点)
「北海道 灯油 補助金 いつから」への答え
国の補助は、2026年3月19日から始まっています。福祉灯油は市町村ごとに受付期間が異なり、道の資料にも「市町村により異なる」と書かれています。事業所や自宅のある市町村の公表を見てください。輸入灯油調整単価は、11月から3月までの措置です。
2. 国の燃料油補助の仕組み|元売への補助で卸価格を抑える
国の補助の正式名称は、資源エネルギー庁の「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」です。2026年3月19日から始まり、ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料が対象です。最新の金額は、資源エネルギー庁の公式サイトで毎週更新されています。
お金の流れ
公式サイトは、実施期間中、燃料油の元売に価格引下げの原資として補助金を支給し、卸価格を抑制することで小売価格の抑制を図ると説明しています。
図:燃料油補助のお金の流れ(資源エネルギー庁の公式サイトと、2026年3月19日付の依頼文をもとに作成)
補助額の基準
補助額は、ガソリンを基準に決まります。ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える見込みの場合、170円を超える部分を10分の10補助します。軽油・重油・灯油には、ガソリンと同額が支給されます。灯油・重油は、それまで5円/Lの定額引下げでした(2026年3月11日の資源エネルギー庁の資料)。2026年10月26日のガソリン全国平均価格は170.1円です。
支給単価の決まり方
支給単価は毎週改定され、木曜日から新しい金額が適用されます。2026年10月29日(木)適用分の計算は、公式サイトの資料に次のように示されています。
支給単価 = 今週のガソリン全国平均価格 + 前週の支給額 + 原油価格の変動分 + 調整単価の変動分 − 基準価格170円
10月29日適用分:170.1円 + 42.8円 + 6.0円 + 3.5円 − 170.0円 = 52.4円
前の週(42.8円)より9.6円上がりました。この式では、原油価格の変動分6.0円と調整単価の変動分3.5円で9.5円、残りの0.1円はガソリン価格(170.1円)と基準価格(170.0円)の差です。
調整単価は、元売や輸入事業者が代替調達で国際市場価格を上回って支払う費用(プレミアムなど)と、国家備蓄原油の譲渡価格による支払の減少額を調整し、調達の実態に合わせて月ごとに算定する単価です。2026年7月2日から支給単価に反映され、7月分は4.9円/Lでした。8月以降は前月20日までの影響を反映し、月初に最も近い木曜日から適用されます。11月分は7.2円/Lで、10月29日の支給単価に含まれています。国家備蓄の放出の仕組みは「石油の国家備蓄とは|放出の仕組みと北海道の灯油・電気料金への影響」で解説しています。
支給単価(52.4円)に使用量を掛けた金額が、自社に戻ってくるわけではありません。補助金は元売・輸入事業者に支給されます。資源エネルギー庁の説明資料には、補助金の効果は徐々に小売価格に反映され、補助金のほか原油価格の動向などの影響も受けるとの注記があります(2025年11月の補助拡充を説明したページ)。反映の度合いを示す数字は、公表資料では確認できませんでした。
3. 灯油の支給単価の推移と現在値(2026年10月29日時点)
灯油の支給単価の主な節目を表にまとめました。2026年10月29日以降は52.4円/Lで、従前の定額5円の約10倍です。
| 時期 | 灯油の支給単価 | 内容 |
|---|---|---|
| 〜2026年3月18日 | 5円/L | 灯油・重油への定額引下げ |
| 2026年3月19日〜 | ガソリンと同額(毎週改定) | 緊急的激変緩和措置を開始。ガソリンの全国平均小売価格を170円程度に抑える水準 |
| 2026年7月2日〜 | 調整単価を反映(7月分は4.9円/L) | 調達費用の実態を反映する調整単価を導入。以後は月次で算定 |
| 2026年10月22日の週 | 42.8円/L | 10月29日適用分の算定式にある「前週の支給額」 |
| 2026年10月29日〜 | 52.4円/L | 調整単価7.2円/L(11月分)を反映。ガソリン・軽油も同額 |
表:灯油の支給単価の主な節目(資源エネルギー庁の公式サイト、2026年3月11日の説明資料、調整単価の資料、ガソリン全国平均価格の推移をもとに作成)
ここに載せた以外の週の金額は、公式サイトで毎週確認してください。週ごとの全履歴は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。公式サイトのトップページ(2026年10月28日更新)には、現在の措置の終了日は記載されていません。
小売価格はどう動いたか
経済産業省の資料(2026年6月2日)は、補助の開始前の3月16日に154.1円だった灯油の全国平均小売価格が、140円程度の水準に下がったとしています。資源エネルギー庁の石油製品価格調査(店頭の現金価格、18L当たりの価格を1Lに換算、税込)で、全国と北海道を見ると次のとおりです。
| 調査日 | 全国(円/L) | 北海道(円/L) |
|---|---|---|
| 2026年3月9日(補助開始前) | 125.9 | 127.1 |
| 2026年3月16日(補助開始前の週) | 154.1 | 152.7 |
| 2026年9月28日 | 141.0 | 145.6 |
| 2026年10月19日 | 142.9 | 155.7 |
表:灯油(店頭)の小売価格(資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の週次ファイルから、18L当たりの価格を1Lに換算して作成。税込)
全国は補助の開始後に140円台前半で落ち着いています。北海道は9月28日の145.6円から10月19日の155.7円へ上がり、全国より12.8円高い水準です。北海道が公表している10月26日の調査では、灯油(店頭)が156.2円、灯油(配達)が159.2円です。補助は小売価格を固定する制度ではないため、補助が続いていても店頭価格は動きます。値上がりの背景は「北海道の灯油価格はなぜ高騰?2026年の値上げ理由と企業の対策」で整理しています。なお、この統計は18L単位の小売価格で、法人のローリー契約の単価を直接示すものではありません。
4. 2026年10月以降の追加対策|10月16日発表の3点と11月の動き
経済産業大臣は、2026年10月16日の閣議後会見で、灯油の流通円滑化対策の強化を発表しました。北海道の知事定例記者会見の資料には、経済産業省作成の概要が載っています。
| 対策 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| ① 販売・注文量の要請 | 石油元売・輸入事業者に、卸売事業者向け販売は系列・非系列にかかわらず前年同月比で同量を基本とするよう要請。卸売事業者にも、同量を基本とした注文・販売を要請する | 資料に開始時期の記載なし |
| ② 灯油直販スキームの新設 | 供給の偏りや流通の目詰まりが発生する場合、卸売事業者や医療分野・農業分野などの需要家に、石油元売が直接販売する | 資料に開始時期の記載なし |
| ③ 輸入灯油調整単価 | 緊急的激変緩和措置の調整単価について、輸入灯油に対し、輸入価格と国内卸価格の差額を「輸入灯油調整単価」として支給し、灯油輸入への支援を重点化する | 灯油の需要期である11月から3月までの措置 |
表:2026年10月16日に発表された灯油の流通円滑化対策(経済産業省作成資料「灯油の流通円滑化対策の強化施策(灯油直販スキーム等)について」をもとに作成)
北海道の知事は同日の会見で、大臣が「灯油を含む石油製品は日本全体として必要となる量を確保できており、供給不足に陥る状況にはない」と述べたうえで、原油に比べて輸入灯油の価格が高止まりしていることから対策を強化すると説明した、と紹介しています。
確認できていない点
③の輸入灯油調整単価について、1Lあたりの金額、適用が始まる週、対象となる範囲は、経済産業省の資料では確認できませんでした。知事も会見で、いつからか、11月から3月までの支援が具体的にどういう形になるのかは、まだ詳細が分からないと述べています。2026年10月29日時点の公式サイトの表示も、灯油・重油はガソリンと同額の52.4円/Lで、輸入灯油調整単価の金額は確認できませんでした。金額が公表されたら、公式サイトで確認してください。
北海道は、積雪寒冷で広域分散型という地域特性から、冬期間の暖房用灯油の需要が大きいとしています。2026年10月16日には、北海道経済産業局を通じて経済産業大臣に、灯油の安定供給の確保と価格高騰対策を要望しました。内容は、供給等の実態把握、目詰まりの解消、灯油配達網の維持への支援、道民の負担軽減の4項目です。
要望書には、商社等を通じた輸入灯油が価格面などから調達困難になっているとの声があるとも書かれています。対策③は、この輸入灯油の価格差に対応する内容です。知事は会見で、目詰まりの解消と価格を安定させる部分について、一定の対応が得られたのではないかと述べています。
5. 北海道・市町村の灯油関連支援|福祉灯油は法人の対象外
「北海道 灯油 補助」で検索すると出てくる福祉灯油は、世帯向けの制度です。北海道は、低所得の高齢者・障がい者・母子世帯等を対象とした福祉灯油事業を行う市町村の取組を支援しています。知事も、例年、燃料費等の助成に取り組む市町村に対して、福祉灯油などの経費の一部を支援してきたと述べています。
| 項目 | 道の資料の内容 |
|---|---|
| 事業名 | 高齢者等の冬の生活支援事業(地域づくり総合交付金)。福祉灯油事業を含む |
| 対象 | 高齢者世帯、障がい者世帯、母子世帯とこれに準じて市町村が必要と認める世帯で、市町村民税の非課税世帯(生活保護世帯を除く) |
| 対象経費の例 | 燃料(灯油、石炭、ガス等)の購入費、暖房器具の購入費、冬用衣料等の購入費 |
| 受付期間 | 市町村により異なる |
| 問い合わせ先 | お住まいの市町村 |
表:福祉灯油(高齢者等の冬の生活支援事業)の概要(北海道「道民・道内事業者支援ガイドブック【2026.10.5時点版】」をもとに作成)
対象は世帯で、法人・事業所は含まれていません。同じガイドブックの「特別生活資金(冬期生活資金)」は、高齢者や障がい者、母子世帯などに灯油などの購入資金を貸し付ける制度で、2026年10月1日から2027年3月末まで、1世帯5万円まで、無利子です。これも個人向けです。
札幌市の「エネルギー源転換補助金」は、灯油暖房・給湯から電気・ガスの機器に替える費用の一部を補助します。申込者は札幌市民で、自ら居住する札幌市内の住宅に機器を設置することが条件のため、法人の事業所は対象になりません。2026年6月19日から2027年1月29日まで先着順で受け付けています。
道は市町村の取組を支援する立場で、実施するかどうか、対象世帯、金額、受付期間は市町村ごとに決まります。2026年度の実施状況を道内の全市町村について確認することはできませんでした。気になる場合は、市町村の福祉担当の窓口か公式サイトで確認してください。
6. 事業者向けの支援|北海道の公表資料で確認できた範囲
北海道は、物価高対策の事業を「道民・道内事業者支援ガイドブック」にまとめています。2026年10月5日時点の版と、北海道の経済対策のページ(2026年10月21日更新)を確認しました。灯油などの購入費そのものを対象にした、一般の事業者向けの事業は、この版には載っていません。燃油や光熱費に関わる事業は、医療・福祉施設、漁業、林業など対象が限られ、多くは受付が終了しています。
| 事業 | 内容 | 状況 |
|---|---|---|
| 医療機関・社会福祉施設等物価高対策支援事業 | 医療機関、介護・障がい福祉施設、保育所、私立学校等の光熱費・食材料費の高騰分に支援金を支給 | 受付終了 |
| 漁業用燃油価格対策事業 | 国の漁業経営セーフティーネット構築事業の積立金相当額を支援(漁業者向け) | 終了 |
| 林業・木材産業物価高対策事業 | 燃油消費量が10%以上低減する省エネ化機械などの導入を支援(補助率1/2以内) | 終了 |
| 漁業協同組合省エネルギー化推進事業 | 燃油等の高騰への負担軽減として、漁業協同組合の省エネルギー化設備の導入を支援 | 受付期間は2027年2月中旬まで |
| 中小企業総合振興資金「中東情勢対策特別枠」 | 運転資金の融資。1億円以内、10年以内(据置3年以内)。固定金利は5年以内で年1.4%、10年以内で年1.6%。信用保証協会の保証付き | 取扱期間は2026年7月6日〜2027年1月5日 |
| 省エネルギー設備導入支援事業 | 補助率は1/2以内、上限500万円(コンソーシアムは1,000万円)。エネルギー消費量を設備の比較で年率20%以上削減できる設備が対象。道内の複数の建物やエリアで面的に実施する事業などの要件あり | 2026年度は4月22日〜6月12日で募集終了 |
表:灯油・燃油・光熱費に関わる北海道の事業者向け事業(北海道「道民・道内事業者支援ガイドブック【2026.10.5時点版】」と、北海道の省エネルギー設備導入支援事業のページをもとに作成)
中東情勢対策特別枠の対象は、中東情勢の影響に伴う石油化学製品等の供給制約等により直接的または間接的な影響を受け、売上高等が減少しているか、売上原価率等が増加している中小企業者等です。借入を希望する場合は、所定の申込書を添えて商工会議所・商工会へ申し込むのが基本です。北海道は2026年3月19日に「原油価格高騰に伴う中小企業経営・金融特別相談室」も設置しています。
市町村が独自に行う事業者向けの燃料費支援は、道内の全市町村を公式に確認することはできませんでした。確認が必要な場合は、事業所のある市町村の商工担当課か商工会議所・商工会に聞くのが確実です。省エネ設備の補助は市町村ごとに公募時期が違うため、「北海道の省エネ補助金まとめ|国・道・市の制度と受付状況【2026年10月更新】」で受付状況を整理しています。
7. 法人が取れる対策|見積・契約、設備の効率改善、燃料転換
灯油の単価は自社では動かせません。法人が動かせるのは、契約条件、使用量、燃料の選び方の3つです。
7-1. 見積・契約条件を確認する
国の補助は卸価格に入る形のため、見積や契約の条件によって、補助の効果の出方が変わります。確認する項目の例です。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 単価の表示 | 税込か税別か、1Lあたりか缶あたりか、配送料の扱い |
| 価格改定のルール | 改定の頻度(週・月)、何をもとに改定するか、改定を知らせる時期 |
| 補助の扱い | 見積の単価に補助の効果がどう織り込まれているか、補助の水準が変わったときに単価が動く条件 |
| 数量と供給 | 前年同月の購入量、冬季の配送の頻度、最低・最大の数量、供給が詰まったときの連絡先と対応 |
| タンクと在庫 | タンクの容量と残量、発注から納入までの日数 |
| 比較の条件 | 複数の見積は、数量・納入場所・支払条件・税込税別をそろえて比べる |
見積の見方と契約の確認項目は「北海道の灯油価格の決まり方と流通の仕組み|法人が見積・契約で確認する点」で詳しく整理しています。タンクの設置基準や届出は、札幌市の例を「灯油タンクの設置基準|札幌市の少量危険物の届出・防油堤・屋内設置」で解説しています。
単価の改定ルールを決めておく理由は、支給単価が週ごとに動くからです。実際に、10月22日の週の42.8円から10月29日の週の52.4円へ、9.6円動いています。年間の影響は、次の式で見積もれます。
年間の灯油代の増減 = 年間使用量(L)× 単価の差(円/L)
仮定:年間使用量20,000L、見積の単価差3円/L → 20,000L × 3円 = 60,000円/年
仮定:同じ使用量で単価が10円/L動いた場合 → 20,000L × 10円 = 200,000円/年
※数字はすべて説明のための仮定です。自社の使用量と、請求書の単価で計算してください。
7-2. 設備の効率改善で使用量を減らす
使用量を減らす方法は、運用の見直しと設備の更新に分かれます。まず、納品書から月別・拠点別の購入量を集計し、どの設備でどれだけ使っているかを把握します。そのうえで、老朽化したボイラや暖房機を高効率の機器に更新できないかを検討します。
設備更新に使える補助金は、公募期間が限られます。たとえば北海道の省エネルギー設備導入支援事業は、2026年度の公募が4月22日から6月12日までで、すでに募集を終えています。要件や過去の公募は「北海道の省エネ設備導入支援事業費補助金とは|補助率1/2・最大1000万円の要件と公募状況」で、国・道・市町村の受付状況は「北海道の省エネ補助金まとめ|国・道・市の制度と受付状況【2026年10月更新】」で整理しています。
7-3. 燃料転換を検討する
灯油から電気やガスに切り替える場合は、燃料ごとの単価を、同じ熱を得るための費用(熱量あたり)で比べます。比べ方は「灯油・重油・LPG・電気の熱量単価比較|燃料転換を数字で判断【北海道】」で、灯油・重油からガスへの転換の全体像は「北海道の企業様必見!灯油・重油からガス燃料への転換 完全ガイド|コスト削減・補助金・BCP対策を徹底解説」で解説しています。札幌市のエネルギー源転換補助金は住宅向けで、法人の事業所は対象ではありません。
7-4. 供給を確保する
2026年10月16日に、国は卸売事業者に前年同月比で同量を基本とする注文・販売を要請しました。灯油直販スキームでは、供給の偏りや目詰まりが起きたとき、卸売事業者や医療・農業などの需要家に元売が直接販売します。前年同月の購入量と、必要な配送の頻度を整理しておくと、供給会社に状況を伝えやすくなります。
8. よくある失敗・注意点
・補助金が会社に支給されると考える(国の補助は元売・輸入事業者に支給される。会社が個別に申請する手続きは、公式サイトでは確認できない)
・支給単価の分だけ、自社の灯油単価が下がると考える(効果は徐々に小売価格に反映され、原油価格の動向などの影響も受ける。反映の度合いを示す数字は、公表資料では確認できない)
・福祉灯油を法人も使えると考える(対象は市町村民税の非課税世帯などの世帯で、法人・事業所は含まれない)
・輸入灯油調整単価の金額や開始時期を、決まったものとして扱う(2026年10月29日時点では、金額と適用開始週は確認できない)
・統計の小売価格を、自社の契約単価と直接比べる(統計は18L単位の小売価格で、ローリー契約の単価を直接示すものではない)
9. よくある質問(FAQ)
A. 国の燃料油補助は、石油元売・輸入事業者に支給される仕組みで、会社が個別に申請する手続きは資源エネルギー庁の公式サイトでは確認できません。法人には、仕入れ単価(見積や請求書の単価)への反映という形で影響します。福祉灯油は世帯向けで、法人は対象ではありません。
A. 国の補助は、2026年3月19日から実施されています。輸入灯油調整単価は、灯油の需要期である11月から3月までの措置です。福祉灯油は市町村ごとに受付期間が異なる(道の資料に「市町村により異なる」と記載)ため、お住まいの市町村で確認してください。
A. 使えません。道の資料では、対象は高齢者世帯、障がい者世帯、母子世帯とこれに準じて市町村が必要と認める世帯で、市町村民税の非課税世帯(生活保護世帯を除く)です。対象は世帯で、法人・事業所は含まれていません。
A. 2026年10月29日時点で、資源エネルギー庁の公式サイトのトップページ(10月28日更新)に、現在の緊急的激変緩和措置の終了日は記載されていません。支給単価は毎週改定され、調整単価は月ごとに算定されるため、金額は今後も変わります。
A. 2026年10月29日以降は、52.4円/Lです(灯油・重油・ガソリン・軽油が同額。調整単価7.2円/Lを反映)。前の週は42.8円でした。毎週改定されるため、最新の金額は公式サイトで確認してください。
A. 緊急的激変緩和措置の調整単価について、輸入灯油に対し、輸入価格と国内卸価格の差額を「輸入灯油調整単価」として支給する措置です。灯油の需要期である11月から3月までの措置とされています(経済産業省作成の資料)。金額や適用が始まる週は、2026年10月29日時点の公式資料では確認できませんでした。
10. まとめ
- 法人が実質的に効果を受ける灯油の補助は、国の燃料油補助。元売・輸入事業者に支給され、会社が申請する手続きは確認できない
- 灯油の支給単価は毎週改定される。2026年10月29日以降は52.4円/L(前週は42.8円、2026年3月18日までの定額は5円/L)
- 2026年10月16日に、前年同月比同量の要請、灯油直販スキーム、輸入灯油調整単価(11月〜3月)が発表された。調整単価の金額と適用開始週は確認できていない
- 福祉灯油は低所得の世帯向けで、法人は対象外。北海道の事業者向け事業に灯油購入費そのものを対象とするものは確認できず、燃油・光熱費に関わる事業は多くが終了している
- 法人は、見積・契約の確認(単価・改定ルール・補助の扱い・数量)、使用量を減らす設備の効率改善、熱量あたりの単価での燃料転換の検討を進める
記事情報
公開日:2026年10月29日
最終更新日:2026年10月29日
参照資料:
・資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」(公式サイト)
・資源エネルギー庁「ガソリン全国平均価格の推移」2026年10月28日更新(PDF)
・資源エネルギー庁「イラン情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置について」2026年3月11日(PDF)
・資源エネルギー庁「緊急的激変緩和措置の支給単価の算定方法変更について・調整単価の算定について」(PDF)
・資源エネルギー庁・公正取引委員会「イラン情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置について(依頼)」2026年3月19日(PDF)
・経済産業省「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要」2026年10月16日(経済産業省)
・経済産業省「灯油の流通円滑化対策の強化施策(灯油直販スキーム等)について」2026年10月16日(北海道の知事定例記者会見の配付資料)(PDF)
・経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保の対応状況」2026年6月2日(PDF)
・資源エネルギー庁「石油製品価格調査」週次ファイル 2026年10月21日公表(Excel)
・北海道「原油・石油製品・円相場の価格推移について」(北海道)
・北海道「北海道の経済対策について」2026年10月21日(北海道)
・北海道「道民・道内事業者支援ガイドブック【2026.10.5時点版】」(PDF)
・北海道「知事定例記者会見(令和8年10月16日)」(北海道)
・北海道「北海道が国に対して灯油の安定供給の確保及び価格高騰対策に関する要望を行いました」(北海道)
・北海道「原油価格高騰に伴う中小企業経営・金融特別相談室」(北海道)
・北海道「令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金」(北海道)
・札幌市「エネルギー源転換補助金制度」(札幌市)
※2026年10月29日時点の情報です。支給単価は毎週、調整単価は月ごとに改定されます。輸入灯油調整単価の金額と適用開始週は、確認できた時点で追記が必要です。市町村の制度や受付期間は、各市町村の公表をご確認ください。計算例の数字はすべて仮定です。
