デマンドとは?意味と30分デマンド値、契約電力・基本料金の決まり方と下げ方

デマンドとは、英語で「需要」という意味です。電気の世界では、30分ごとの平均使用電力(kW)を指し、この値を「デマンド値」と呼びます。1か月の中で最も大きかったデマンド値が「最大需要電力(最大デマンド)」です。

高圧で受電している事業所(契約電力500kW未満)では、当月を含む過去1年間の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力になり、基本料金はこの契約電力で計算されます。つまり、一度だけ出た30分のピークが、その後12か月分の基本料金を決めてしまうことがあります。北海道電力の業務用電力・高圧電力の基本料金単価は2026年11月1日から1kWあたり276円90銭上がります。デマンドを抑える意味は、これまでより大きくなります。

この記事では、デマンドの意味とデマンド値の計算方法、実量制(500kW未満)と協議制(500kW以上)の契約電力の決まり方、北海道電力の2026年11月1日実施の基本料金単価と力率割引、仮定の数字による計算例、電気暖房・電気融雪がある事業所で冬にデマンドが上がりやすい理由と下げ方を、約款・料金表などの一次情報をもとに整理します。

この記事でわかること
・デマンド(デマンド値)と最大需要電力の意味、30分平均の計算方法
・契約電力の決まり方(500kW未満の実量制/500kW以上の協議制)
・北海道電力の基本料金単価(2026年11月1日実施)と力率割引の計算
・30分のピークが1年間の基本料金に効く計算例(仮定の数字)
・電気暖房・電気融雪がある北海道の事業所での、冬のピークの下げ方

更新履歴

  • 2026年10月27日:全面改訂。北海道電力の電力契約標準約款(高圧)・料金表(2026年11月1日実施)にもとづき、実量制と協議制の契約電力、基本料金単価の改定前後の比較、力率割引、計算例、冬季のピーク対策、デマンド監視制御装置の使い方を追記
  • 2023年2月17日:初版公開

1. デマンドの意味|デマンド値・最大需要電力は「30分平均の電力」

デマンド(demand)は「需要」という意味の英語です。電気料金の話で「デマンド」と言うときは、需要電力=30分間の平均使用電力(kW)のことを指します。北海道電力は、使用した電力を30分ごとに計量し、その月で最も大きい30分平均の値を最大需要電力(デマンド)と説明しています。

デマンド(デマンド値・需要電力) 30分間の平均使用電力(kW)。30分の区切りを「デマンド時限」とも呼びます
最大需要電力(最大デマンド) 1か月のうちで最も大きかった30分平均の値。同時に使う設備が多いほど大きくなります
契約電力 契約上使用できる最大電力(kW)。高圧500kW未満では、最大需要電力から自動的に決まります(実量制)
使用電力量(kWh) 実際に使った電気の量。電力量料金の計算に使います。デマンド(kW)とは別の数字です

表:デマンドに関する用語(北海道電力「デマンド監視制御装置による省エネ・節電のご紹介」、電力契約標準約款(高圧)、三菱電機「デマンド監視制御装置 製品特長」をもとに作成)

デマンド値の計算方法

30分間は0.5時間なので、30分間に使った電力量(kWh)を2倍すると、その30分のデマンド値(kW)になります。

デマンド値(kW)= 30分間の使用電力量(kWh)÷ 0.5時間 = 30分間の使用電力量 × 2

例:ある30分間に100kWhを使った場合、その30分のデマンド値は200kWです。

デマンドは「30分の平均」なので、一瞬だけ大きな電力を使っても、そのままの値が記録されるわけではありません。たとえば(仮定の数字)、30分のうち25分間は180kW、残りの5分間だけ420kWで使った場合、平均は(180×25+420×5)÷30=220kWです。短い時間の重なりでも、30分の平均を押し上げることがわかります。逆に、時限の後半で負荷を下げれば、その30分の平均は下がります。デマンド監視制御装置が警報や負荷の遮断を行うのは、この仕組みを利用したものです。

ポイント:kW(デマンド)とkWh(使用量)は別の数字

電気料金のうち、基本料金はkW(契約電力)、電力量料金はkWh(使用電力量)で計算します。環境省の対策集でも、デマンドコントローラーは最大電力を引き下げるためのもので、電力消費量の削減には直接は寄与しないと整理されています。「使用量は減ったのに基本料金が変わらない」「基本料金は下がったのに使用量は同じ」ということが起きるのはこのためです。

2. 契約電力の決まり方① 500kW未満は実量制(当月を含む過去1年の最大値)

北海道電力の電力契約標準約款(高圧、2026年11月1日実施)では、業務用電力・高圧電力で契約電力が500kW未満の場合、各月の契約電力は「その1月の最大需要電力」と「前11月の最大需要電力」のうち、いずれか大きい値と定められています。これを一般に「実量制」と呼びます。北海道電力のデマンド解説ページでも、実量制の契約電力は当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち最も大きい値と説明されています。

業務用電力・高圧電力は、高圧で受電し、契約電力が原則として50kW以上2,000kW未満の需要が対象です。業務用電力は事務所・学校・病院・旅館・飲食店・商店・倉庫などで電灯・小型機器を使う需要(動力とあわせて使う場合を含む)、高圧電力は動力(付帯電灯を含む)を使う需要が対象です。

1
2027年1月に最大需要電力220kWが出る(仮定)
1月の契約電力は220kWになります。
▼
2
2月以降、毎月の最大需要電力を180kWに抑える
「前11月」の中に1月の220kWが残るため、2027年12月まで契約電力は220kWのままです。
▼
3
2028年1月に1年前の220kWが計算対象から外れる
その月と前11月の最大値(例:180kW)に下がります。ただし、2028年1月に再び220kWを出せば、また1年間220kWです。

図:実量制の契約電力の動き(仮定の数字。北海道電力 電力契約標準約款(高圧)14(4)イ・15(4)イにもとづく)

実量制の例外

  • 新たに電気の供給を受ける場合、低圧から高圧に切り替える場合:料金適用開始から12か月間は、その月と「料金適用開始の日から前月まで」の最大需要電力のうち大きい値です。ただし、この約款で供給を受ける前から同じ送配電設備を引き続き使っている場合は、それ以前の供給も契約電力の決定上はこの約款による供給とみなされます。
  • 契約受電設備を減らす場合など、1年を通じての最大需要電力が減ることが明らかな場合:減少した日以降12か月の契約電力は、設備の内容や同一業種の負荷率などを基準に、お客さまと北海道電力の協議で定めた値になります。協議値を実際の最大需要電力が上回れば、その値が契約電力です。

北海道電力のデマンド解説ページでは、デマンド監視制御装置を設置した場合に契約電力を減少できること、そのためには申込みや協議が必要なことが案内されています。約款では、1年を通じての最大需要電力が減ることが明らかな場合の協議の基準を、契約負荷設備・契約受電設備の内容、同一業種の負荷率等としています。1年待たずに見直せるかどうかや見直し後の値は協議で決まるため、北海道電力(新電力の場合は契約先)に確認してください。

3. 契約電力の決まり方② 500kW以上は協議制と契約超過金

契約電力が500kW以上の場合、契約電力は使用する負荷設備・受電設備の内容、同一業種の負荷率などを基準に、お客さまと北海道電力との協議で決めます(協議制)。また、500kW未満として契約しているお客さまの最大需要電力が500kW以上になった場合は、すみやかに協議制で契約電力を決め直し、それまでの間は実量制で決めると定められています。

協議制では、契約電力を超えて使ったときの扱いが重要です。北海道電力の約款では、契約電力を超えた場合、超えたkW(その月の最大需要電力-契約電力)に基本料金率を掛け、力率による割引・割増しをした金額の1.5倍を「契約超過金」として請求すると定めています。あわせて、契約が使用状態に比べて不適当な場合は、契約を適正なものに変更するよう求められます。

区分 契約電力の決め方 ピークが出たときの影響
500kW未満(実量制) その月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値 ピークの月から12か月間、契約電力が高いままになる
500kW以上(協議制) 負荷設備・受電設備、同一業種の負荷率などを基準に協議 契約電力を超えると契約超過金(超過分の基本料金の1.5倍)。契約の見直しを求められることがある

表:実量制と協議制の違い(北海道電力「電力契約標準約款(高圧)」2026年11月1日実施 14・15・29・30による)

ポイント:送配電網の契約電力も同じ考え方

北海道電力ネットワークの託送供給等約款(令和8年11月1日実施)でも、高圧で500kW未満となる場合の接続送電サービス契約電力は「その1月と前11月の最大需要電力等のうち大きい値」、500kW以上は協議で定めるとされています。高圧の最大需要電力等は、30分ごとの需要電力の最大値で、記録型計量器で計量した値です。託送料金は小売電気事業者が送配電網を使うための料金で、どの小売電気事業者と契約していても発生します。新電力に切り替えた後も、デマンドを下げる意味はなくなりません。小売の料金の計算方法は契約先ごとに違うため、約款・契約書で確認してください。

4. 基本料金の計算方法と北海道電力の単価(2026年11月1日実施)

北海道電力の業務用電力・高圧電力の基本料金は、基本料金単価×契約電力に、力率による割引・割増しをした金額です。力率は、その月の毎日午前8時から午後10時までの平均力率で、85%を上回る1%ごとに基本料金を1%割引、85%を下回る1%ごとに1%割増しします。進み力率の時間は100%として扱うため、割引は最大15%です。これを式にすると次のとおりです。

基本料金(月)= 基本料金単価(円/kW)× 契約電力(kW)×(185 - 力率)÷ 100

力率100%なら×0.85(15%割引)、力率85%なら×1.00、力率80%なら×1.05(5%割増し)

なお、その月にまったく電気を使わなかった場合の基本料金は半額です。力率の考え方は「力率改善の解説」、力率・負荷率・契約電力の関係は「キュービクル更新前に確認すべき3つの数字」で詳しく解説しています。

北海道電力の基本料金単価(高圧6,000V・改定前後)

契約種別・料金種別 2025年10月1日実施 2026年11月1日実施 1kWを1年持つと(力率100%)
業務用電力(一般料金・時間帯別料金) 2,693円20銭 2,970円10銭 約30,295円
業務用電力(業務用ウイークエンド電力) 3,254円20銭 3,531円10銭 約36,017円
高圧電力(一般料金・時間帯別料金) 2,880円20銭 3,157円10銭 約32,202円
高圧電力 Ⅰ型 2,264円20銭 2,541円10銭 約25,919円
高圧電力 Ⅱ型 2,550円20銭 2,827円10銭 約28,836円
高圧電力 Ⅲ型 3,287円20銭 3,564円10銭 約36,354円

表:北海道電力の基本料金単価(契約電力1kWにつき1か月、消費税等相当額を含む)。右列は「2026年11月1日実施の単価×0.85×12か月」で計算(北海道電力「標準電圧6,000Vで受電されるお客さま向け料金単価表」「料金表(高圧)2026年11月1日実施」「電気料金単価表(高圧受電のお客さま)」)

2026年11月1日の見直しは、北海道電力ネットワークの託送料金の見直しにともなうもので、代表例の業務用電力(一般料金)は基本料金が+276円90銭/kW(約10%)、電力量料金が+7銭/kWhです。上げ幅が基本料金に集中しているため、同じ電力量を使っていても、契約電力(デマンド)が大きい事業所ほど影響が大きくなります。改定の全体像は「北海道電力の託送料金・電気料金 値上げまとめ」、託送料金の仕組みは「託送料金とは」をご覧ください。

ポイント:高圧電力のⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型は「月平均稼働時間」で選ぶ

北海道電力は、高圧電力の型の目安を月平均稼働時間(=年間の使用電力量÷各月の契約電力の年間合計)で示しています。目安は300時間未満がⅠ型、300〜350時間未満がⅡ型、350時間以上がⅢ型です。使用電力量が同じでもデマンドを下げると月平均稼働時間は上がるため、デマンド対策のあとは料金種別が合っているかも確認するとよいでしょう。

5. 計算例|30分のピークが1年間の基本料金に効く(仮定の数字)

次の条件で、冬に一度だけ出たピークの影響を計算します。数字はすべて仮定です。

契約 北海道電力 業務用電力(一般料金)、2026年11月1日実施の単価 2,970円10銭/kW
力率 100%(基本料金×0.85)
ふだんの最大需要電力 180kW
ピークが出た日 2027年1月の朝、暖房・ロードヒーティング・照明が同時に立ち上がり、ある30分の平均が220kW
ピークの影響が残る期間 2027年1月〜12月の12か月(実量制)

表:計算例の前提(仮定の数字)

差額(月)= 2,970.10円 ×(220kW - 180kW)× 0.85 = 約100,983円

12か月分 = 約100,983円 × 12 = 約121万円(税込)

この例では、1日の30分のピークを180kWに抑えられていれば、1年間で約121万円の基本料金を払わずに済んだことになります。同じ条件で力率が90%の場合は係数が0.95になるため、差額は月約11.3万円、12か月で約135万円に広がります。燃料費等調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金は電力量(kWh)にかかるもので、この差額には含めていません。

重要 効くのは「12か月で最も高い30分」

実量制では、1年のうち最も高い30分が契約電力を決めます。ふだんの月を何か月下げても、1回のピークで1年分の基本料金が決まってしまうため、「最も高くなる日・時間帯」を先に押さえることが大切です。

6. 北海道の冬とデマンド(電気暖房・融雪・ロードヒーティング)

北海道 電気暖房・融雪と冬のピーク、道内の契約メニュー

気温が下がると電力需要が上がる:北海道電力は、エネモールbizの見える化サービス「e-ディマンドマネージャー」の解説で、冬場は気温が下がると電力需要が上がり、その要因としてエアコン(EHP)や電気暖房を挙げています。同じ解説では、夏場は気温が上がると冷凍機や空調(EHP)で需要が上がる例も挙げています。電気で暖房している事業所は、冷え込みの強い日の始業前後に最大需要電力が出やすいと考えられます(推測)。

融雪・ロードヒーティングは冬だけ動く負荷:電気式のロードヒーティングや融雪設備は降雪期にだけ動くため、電気暖房と重なると冬のピークを押し上げると考えられます(推測)。北海道電力には、高圧で公道等の融雪のために電気式ロードヒーティングを使う需要向けの「エネとくスノープラン」があり、降雪期間(11月1日〜翌年2月28日)とその他期間で単価が分かれています。同じ需要場所に他の契約が併存しない場合に限られ、契約電力は実量制または協議制(500kW以上)です。

終了した割引・メニューもある:融雪用電力A〜D(ホットタイム19・22など)は2017年10月31日で新規加入の受付を終了し、検知制御装置付融雪用機器割引は2026年3月31日で適用を終了しました。古い資料の割引を前提にしないよう注意が必要です。

電気暖房や電気式の融雪設備がある事業所では、次のような機器が冬の朝に重なりやすいと考えられます(推測)。灯油・ガスで暖房している事業所や、冷凍・冷蔵の負荷が大きい事業所では、ピークの季節や時刻が違うことがあります。どれも「止める」のではなく、立ち上げの時刻と同時に動く台数をずらすことがデマンド対策の基本です。

  • 電気暖房・エアコン暖房の一斉起動(始業前の予熱)
  • ロードヒーティング・屋根融雪の運転開始
  • 凍結防止ヒーター(配管・タンク)の通電
  • 給湯・厨房機器、乾燥機などの朝の立ち上げ

ロードヒーティングの費用の考え方は「ロードヒーティング費用はいくら?」、凍結防止ヒーターの制御は「凍結防止ヒーターの電気代はいくら?」で解説しています。

7. デマンドの下げ方(デマンドカットの進め方)

デマンドを下げる(デマンドカット・ピークカット)には、「いつ、何が重なってピークが出ているか」を30分値で確かめてから、運用→制御→設備の順に手を打つのが無駄のない進め方です。

1
過去12か月の最大需要電力を確認する
請求書や料金明細で、毎月の最大需要電力と契約電力を並べ、どの月のピークが契約電力を決めているかを確認します。
▼
2
30分値でピークの日・時刻を特定する
北海道電力のエネモールbizの見える化サービス「e-ディマンドマネージャー」では、デマンドをカレンダー形式で表示でき、気温との相関も見られます(データ保有は過去25か月まで、表示対象は北海道電力と契約している期間のデータ)。登録の要否・対象となる契約・費用などの利用条件は公開ページで確認できないため、北海道電力に確認してください。高圧のスマートメーターからは、北海道電力ネットワークの「Bルートサービス[高圧・特別高圧用]」(無料)で、30分平均電力や月間最大需要電力などを自社のEMS機器に送ることもできます。
▼
3
運用で重なりを崩す
暖房・空調の起動を系統ごとに時間差にする、ロードヒーティングや融雪の運転開始を始業時刻からずらす、乾燥機・ヒーターなど止めても支障の少ない負荷をピーク時間帯に重ねない、といった手順を決めます。
▼
4
デマンド監視制御装置で自動化する
最大需要電力の目標値を設定し、警報や設備の自動遮断で目標を超えないようにします。
▼
5
設備でピークそのものを小さくする
モーターのインバーター化や高効率機器への更新で運転電力を下げる、蓄電池や蓄熱でピーク時間帯の買電を減らす、などの方法があります。投資額と基本料金の削減額を比べて判断します。

図:デマンドを下げる手順

デマンド監視制御装置のしくみと注意点

北海道電力によると、デマンド監視制御装置は最大需要電力の目標値をあらかじめ設定し、警報や設備の自動しゃ断で最大需要電力を抑える装置です。設置には、各機器と接続する配線工事と、需要電力を計測するための計量信号(パルス)が必要で、北海道電力の計量器のパルスは別途手続きのうえで使えます。装置本体はメーカーや電気工事店に問い合わせる形です。環境省の対策集では、①現状の契約電力(最大需要電力)の把握、②目標値の設定、③実施前後の最大需要電力・エネルギー消費量の比較、という手順が示されています。

装置を入れても、警報が鳴ったときに何を止めるか(止めてよい設備の順番)が決まっていなければデマンドは下がりません。冬の北海道では、凍結防止や換気など止めてはいけない設備を自動遮断の対象から外すことも必要です。装置の契約内容や営業トークで注意したい点は「悪質なデマンド営業に騙されないために」にまとめています。

設備面の対策

ポイント:デマンド対策とDR(ディマンド・リスポンス)は目的が違う

資源エネルギー庁は、DRを消費者が電力の使い方を制御して電力需要のパターンを変えることと説明し、需要を減らす「下げDR」と増やす「上げDR」に分けています。DRは電力の需給に合わせた制御で、インセンティブ型では報酬が得られる場合があります。一方、この記事のデマンド対策は、自社の30分の最大値を下げて基本料金を抑えるためのものです。同じ「デマンド」という言葉でも、目的と評価のしかたが違います。

8. よくある失敗・注意点

注意 デマンド対策で起きやすい失敗

・使用量(kWh)だけを見て対策する:省エネで使用量が減っても、ピークの30分が変わらなければ基本料金は下がりません。kWとkWhは分けて確認します。

・ふだんの月だけ見て、冬の1回を見落とす:契約電力を決めているのは12か月で最も高い30分です。電気暖房や電気式の融雪設備がある事業所では、冬の朝を重点的に確認します。

・下げた翌月から基本料金が下がると思い込む:実量制では、過去11か月に高い値があれば契約電力は下がりません。デマンド監視制御装置の設置などで早く見直したい場合は、申込み・協議が必要です。

・止めてはいけない設備まで止める:凍結防止ヒーターや換気、冷凍・冷蔵など、止めると被害が大きい設備は制御の対象から外します。

・装置の「削減額」をうのみにする:削減額は、どの月のピークを何kW下げられるかで決まります。自社の30分値で根拠を確認してから判断します。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. デマンドの意味は?デマンド値とは何ですか?

A. デマンドは英語で「需要」という意味で、電気では30分間の平均使用電力(kW)を指します。この値をデマンド値(需要電力)と呼び、1か月で最も大きいデマンド値が最大需要電力です。30分間の使用電力量(kWh)を2倍するとデマンド値になります。

Q2. 契約電力(デマンド)は、一度上がるといつ下がりますか?

A. 北海道電力の高圧で契約電力500kW未満(実量制)の場合、各月の契約電力はその月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値です。そのため、ピークが出た月から12か月間は下がらず、13か月目に計算対象から外れます。設備の減少やデマンド監視制御装置の設置で最大需要電力が減ることが明らかな場合は、申込み・協議で見直せることがあります。

Q3. 契約電力500kW以上(協議制)で契約電力を超えるとどうなりますか?

A. 北海道電力の約款では、超えたkWに基本料金率を掛けて力率で割引・割増しした金額の1.5倍を「契約超過金」として請求すると定めています。使用状態に合わない場合は、契約を適正なものに変更するよう求められます。

Q4. 契約電力を1kW下げると、基本料金はいくら下がりますか?

A. 北海道電力の業務用電力(一般料金)は2026年11月1日実施の単価が2,970円10銭/kW(税込)です。力率100%なら1kWあたり月約2,525円、12か月で約30,295円です(燃料費等調整額・再エネ賦課金を除く)。単価は契約種別・料金種別によって異なります。

Q5. 新電力と契約していてもデマンドは関係ありますか?

A. 関係します。北海道電力ネットワークの託送供給等約款でも、高圧500kW未満の接続送電サービス契約電力(託送料金の計算に使う契約電力)はその月と前11か月の最大需要電力等で決まり、託送料金は小売電気事業者を問わずかかるためです。小売の料金の計算方法は契約先の約款・契約書で確認してください。

Q6. 力率割引は廃止されたのですか?

A. 北海道電力の電力契約標準約款(高圧、2026年11月1日実施)には、力率が85%を上回る1%ごとに基本料金を1%割引し、下回る1%ごとに1%割増しする規定があります。2026年11月1日の見直しで変わるのは、進相用コンデンサを開放する際の力率の協議方法などで、割引・割増しの仕組みそのものではありません。新電力の場合は契約先の約款で確認してください。

10. まとめ

  • デマンドは「需要」の意味で、電気では30分間の平均使用電力(kW)。30分のkWhを2倍した値がデマンド値です。
  • 高圧500kW未満は実量制で、その月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値が契約電力。1回のピークが12か月続きます。
  • 500kW以上は協議制で、契約電力を超えると超過分の基本料金の1.5倍の契約超過金がかかります。
  • 北海道電力の業務用電力・高圧電力の基本料金単価は2026年11月1日から276円90銭/kW上がります。改定後の業務用電力(一般料金)では、1kWあたり年約3万円(力率100%)です。
  • 電気暖房や電気式の融雪設備・ロードヒーティングがある事業所では、冬の朝がピークになりやすいと考えられます(推測)。夏に冷凍機・空調でピークが出る例もあるため、30分値で自社のピークの日時を特定してから、運用→監視制御→設備の順に対策します。

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記事情報
公開日:2023年2月17日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・北海道電力「デマンド監視制御装置による省エネ・節電のご紹介」(北海道電力)
・北海道電力「電力契約標準約款(高圧)」2026年11月1日実施(北海道電力)
・北海道電力「料金表(高圧)」2026年11月1日実施(北海道電力)
・北海道電力「標準電圧6,000Vで受電されるお客さま向け料金単価表」(北海道電力)
・北海道電力「電気料金等の見直しに関するご案内」(北海道電力)
・北海道電力「電気料金単価表(高圧受電のお客さま)2026年11月1日実施」(北海道電力)
・北海道電力「料金メニュー(高圧6,000V)」(北海道電力)
・北海道電力「各種約款」(北海道電力)
・北海道電力「エネとくスノープラン(高圧)」オプション契約約款 2026年11月1日実施(北海道電力)、同リーフレット(北海道電力)
・北海道電力 エネモールbiz「e-ディマンドマネージャー 活用術」(北海道電力)、「e-ディマンドマネージャー FAQ」(北海道電力)
・北海道電力ネットワーク「託送供給等約款」令和8年11月1日実施(北海道電力ネットワーク)
・北海道電力ネットワーク「電力メーター情報発信サービス(Bルートサービス)[高圧・特別高圧用]」(北海道電力ネットワーク)
・資源エネルギー庁「ディマンド・リスポンス(DR)について」(資源エネルギー庁)
・環境省「温室効果ガス排出削減等指針 対策:デマンドコントロール装置等の自動制御装置の導入」(環境省)
・三菱電機「デマンド監視制御装置 製品特長」(三菱電機)
※2026年10月27日時点の情報です。料金単価は北海道電力の2026年11月1日実施の料金表によるもので、消費税等相当額を含み、燃料費等調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は含みません。計算例は仮定の数字です。最新の単価・契約条件は北海道電力または契約先の約款でご確認ください。