法人の電気代高騰対策まとめ【北海道】|料金の仕組みから契約・設備・補助金まで

法人の電気代高騰への対策は、「①契約の見直し」「②基本料金」「③運用改善」「④設備更新」「⑤補助金」の5段階に分け、設備投資が小さく、自社の請求書で確かめやすいものから順に見るのが基本です。電気料金は項目ごとに決まり方が違います。どの項目が上がったのかを切り分けないまま設備を入れ替えても、狙った効果が出ないことがあります。

北海道では、2026年11月1日に北海道電力ネットワークの託送料金(送配電網の利用料金)が見直される予定で、北海道電力も同日から電気料金の単価を見直すと公表しています。高圧の業務用電力(一般料金)は、基本料金が1kWあたり2,693円20銭から2,970円10銭に上がる一方、電力量料金は1kWhあたり7銭の上昇にとどまる予定です。上げ幅は基本料金に集中しています。また、2026年7〜9月使用分の国の電気・ガス料金支援は終了しました。冬の支援については、2026年10月29日時点で、政府の公式発表は確認できません。最新情報は資源エネルギー庁の公式ページでご確認ください。

この記事は、道内の法人(札幌をはじめ北海道電力の供給区域にある事業所)を対象に、料金の内訳、2026年11月1日の見直し(予定)、国の支援の現状、5段階の対策を、公表資料にもとづいて整理した「まとめ記事」です。各対策の詳しい手順や計算は、既存のコラムに案内します。削減率は、自社の請求書とデータで確かめられる範囲だけを扱い、「何%下がる」という一般的な目安の数字は書きません。

この記事でわかること
・法人の電気料金の内訳(基本料金・電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金・託送料金)と、自社で動かせる項目
・2026年11月1日の北海道電力の料金見直し(予定)の内容と、仮定の数字による影響の計算
・国の電気・ガス料金支援の現状(2026年10月29日時点)
・対策を「契約・基本料金・運用・設備・補助金」の5段階で整理し、各段階の詳しい記事を一覧
・取り組む順番と、よくある失敗

更新履歴

  • 2026年10月29日:初版公開

1. 結論|法人の電気代高騰対策は「5段階」で順に見る

電気代の対策は、効果の大きさだけでなく、費用のかからなさと、自社のデータで確かめやすさの順に並べると進めやすくなります。次の表は、5段階それぞれで主に動く料金項目と、先に確認することをまとめたものです。

段階 主に動く項目 設備投資 先に確認すること 詳しい記事
① 契約の見直し 基本料金・電力量料金・調整額の単価と決まり方 不要 同じ使用量・契約電力・力率で計算した年間総額、契約期間と解約条件 新電力の料金プラン比較
規制料金と自由料金
燃料費調整額と電源調達調整費
② 基本料金 基本料金(契約電力・力率) 原則不要(監視装置などを入れる場合は必要) 過去12か月の最大需要電力と、毎月の力率 デマンド
力率改善
③ 運用改善 電力量料金(使用量)。ピークに効く場合は基本料金も 原則不要 時間帯別の使用状況、空調・照明の設定と運転時間 運用改善による暖房費削減
室温ルールの決め方
④ 設備更新 電力量料金(使用量)。ピークに効く場合は基本料金も 必要 設備の稼働時間、更新時期、見積りの前提 LEDの電気代試算
業務用エアコン更新
インバーター化
⑤ 補助金 設備更新の自己負担額 ④の負担を軽くする制度 公募期間、対象設備、交付決定前に発注しないこと 省エネ補助金まとめ

表:電気代高騰対策の5段階(本記事で整理した進め方。各項目の根拠は2章以降に記載)

①と②は、設備を入れ替えずに請求書と契約の確認から始められます。④は費用がかかるため、⑤の補助金の公募時期とあわせて計画します。どの段階がいちばん大きく効くかは、事業所ごとに違います。

2. 法人の電気料金の内訳|どの項目が上がり、どの項目を自社で動かせるか

北海道電力の高圧の電力契約標準約款では、料金は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の合計で、電力量料金には「燃料費等調整額」が加減されると定められています。請求書の金額は、次の式で整理できます。

月の電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費等調整額 + 再エネ賦課金

基本料金は契約電力(kW)で、電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金は使用電力量(kWh)で決まります。

項目 決まり方 自社で動かせるか
基本料金 契約電力(kW)×基本料金単価。力率が85%を上回る1%ごとに1%割引、下回る1%ごとに1%割増。契約電力が500kW未満なら、その月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値 動かせる。最大需要電力(デマンド)と力率で変わる
電力量料金 使用電力量(kWh)×電力量料金単価 動かせる。使用量と、契約先・契約メニューで変わる
燃料費等調整額 使用電力量×調整単価。北海道電力の高圧は「燃料費調整」「市場価格調整」「離島ユニバーサルサービス調整」の合計。燃料費調整と市場価格調整に上限はない 使用量は動かせる。単価は燃料価格・市場価格で毎月変わる
再エネ賦課金 使用電力量×賦課金単価。2026年度(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)は1kWhあたり4.18円 使用量だけ動かせる
託送料金 送配電網の利用料金。一般送配電事業者が設定し、小売電気事業者が負担して、電気料金を通じて回収される 直接は動かせない。契約先が変わっても発生する

表:法人の電気料金の項目と、自社で動かせる範囲(北海道電力の約款・燃料費等調整制度、経済産業省、資源エネルギー庁、電力・ガス取引監視等委員会の資料をもとに作成)

託送料金は、請求書では「単価」の中に入っている

託送料金は、電気を送るために使う送配電網の利用料金です。資源エネルギー庁は、小売事業者の料金を「事業者の裁量で算定される費目」と「法令等により算定される費目」の合計と説明し、託送料金と再エネ賦課金を後者に入れています。電力・ガス取引監視等委員会のページは、託送料金が電気料金の約30%を占めると説明しています。この割合は全国向けの説明で、個別の契約で同じ割合になるとは限りません。

北海道電力の今回の見直しでは、託送料金の変動分が基本料金・電力量料金の単価の改定として表れます(3章)。託送料金は、どの小売電気事業者と契約していても発生するため、新電力に切り替えれば消える費用ではありません。仕組みは「託送料金とは」、再エネ賦課金は「再エネ賦課金とは」、燃料費等調整額と電源調達調整費の違いは「電源調達調整費と燃料費調整額の違い」で詳しく解説しています。

小売電気事業者が負担する容量拠出金を料金に反映するかどうかは、広域機関によると各小売電気事業者の判断です。見積りでの扱いは「容量拠出金とは」をご覧ください。

ポイント:上がった項目を切り分ける

請求額が上がったとき、まず見るのは次の3点です。①基本料金(契約電力と単価)、②使用量(kWh)が前年同月と比べて増えていないか、③燃料費等調整額の単価に国の値引きが含まれていた月かどうか。この3点で、「単価の改定」「使い方の変化」「支援の終了」のどれが主因かを分けられます。

3. 2026年11月1日の北海道電力の料金見直し(予定)|上がるのは主に基本料金

北海道電力は2026年9月25日に、同年11月1日から電気料金の単価を見直すと公表しました。理由は、北海道電力ネットワークが物価や金利の上昇などを反映して託送料金を見直すことで、北海道電力はその変動分を電気料金に反映します。規制料金(低圧)については、2026年9月25日に特定小売供給約款の変更を経済産業大臣に届け出ています。以下は、北海道電力が公表した単価(本記事の公開日の2026年10月29日時点では実施前)です。

契約 区分 基本料金(変更前→変更後) 電力量料金(変更前→変更後)
業務用電力(一般料金) 高圧 2,693円20銭→2,970円10銭/kW
(+276円90銭、約+10.3%)
23円40銭→23円47銭/kWh
(+7銭)
高圧電力(一般料金) 高圧 2,880円20銭→3,157円10銭/kW
(+276円90銭、約+9.6%)
21円62銭→21円69銭/kWh
(+7銭)
低圧電力 低圧・規制料金 1,413円06銭→1,681円02銭/kW
(+267円96銭、約+19.0%)
28円95銭→29円03銭/kWh
(+8銭)
従量電灯B(30A) 低圧・規制料金 1,254円00銭→1,716円30銭/契約
(+462円30銭、約+36.9%)
最初の120kWhまで
35円69銭→35円77銭/kWh(+8銭)
エネとくスマートプラン 低圧・自由料金 486円20銭→676円60銭/kW
(+190円40銭、約+39.2%)
日中時間
38円22銭→38円30銭/kWh(+8銭)

表:北海道電力の主な契約種別の単価(2026年11月1日実施予定。消費税等相当額を含み、燃料費等調整単価と再エネ賦課金単価は含まない。増減額・増減率は計算値。北海道電力「電気料金の見直しについて」2026年9月25日による)

どの契約でも、電力量料金は1kWhあたり7〜8銭の上昇です。一方、基本料金は、高圧では契約電力1kWあたり276円90銭(約10%)、表の低圧の契約では約19%〜約39%の上昇で、上げ幅が基本料金に集中しています。同じ使用量でも、契約電力が大きい事業所ほど影響が大きくなります。

影響額の計算例(仮定の数字)

次の条件で、高圧の業務用電力(一般料金)の見直し前後の差を計算します。数字はすべて仮定です。

契約 北海道電力 業務用電力(一般料金)
契約電力 100kW(毎月同じと仮定)
力率 95%(基本料金×0.90)
使用電力量 月20,000kWh(毎月同じと仮定)

表:計算例の前提(仮定の数字。燃料費等調整額・再エネ賦課金は含まない)

基本料金の増加 = 276.90円 × 100kW × 0.90 = 24,921円/月

電力量料金の増加 = 0.07円 × 20,000kWh = 1,400円/月

合計 = 26,321円/月(12か月で約315,852円、税込)

この仮定では、増加分の約95%が基本料金です。見直し前の基本料金と電力量料金の合計(710,388円/月)に対する増加率は約3.7%です。これは仮定の数字による試算で、実際の増加額は契約電力、力率、使用量で変わります。自社の数字で確かめるには、北海道電力の特設ページにある「電気料金見直し影響額シミュレーション」が使えます。全体像は「北海道電力の託送料金・電気料金 値上げまとめ」をご覧ください。

重要 見積りは「改定前の単価」か「改定後の単価」かをそろえる

11月1日の前後で、北海道電力の基本料金の単価が変わります。改定前の単価をもとにした見積りと、改定後の単価をもとにした見積りを並べても、正しく比べられません。比較するときは、どの時点の単価で計算した金額か、燃料費等調整額や再エネ賦課金を含むかを、見積りごとに確認してください。

4. 国の電気・ガス料金支援の現状(2026年10月29日時点)

国の電気・ガス料金支援は、使用量に応じて料金を値引きする仕組みです。電気は低圧と高圧の契約が対象として公表されています。直近の実施内容は次のとおりです。

対象の使用月 電気(低圧) 電気(高圧) 状況
2026年1月・2月使用分 4.5円/kWh 2.3円/kWh 実施済み
2026年3月使用分 1.5円/kWh 0.8円/kWh 実施済み
2026年7月使用分 3.5円/kWh 1.8円/kWh 実施済み
2026年8月使用分 4.5円/kWh 2.3円/kWh 実施済み
2026年9月使用分 3.5円/kWh 1.8円/kWh 実施済み(直近の実施)
2026年10月使用分以降 公表なし 公式発表は確認できず

表:国の電気料金支援の値引き単価(小売規制料金の単価。経済産業省の2025年12月16日・2026年6月12日の発表、資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」による)

冬の支援について、公式発表は確認できていません

2026年10月29日時点で、冬季の電気・ガス料金支援について、政府の公式発表は確認できません。資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」に掲載されている支援は、2026年7〜9月使用分までです。最新情報は同ページでご確認ください。決まるまでは、値引きがない前提で予算を組むのが安全です。当サイトでは「国の電気・ガス料金支援の最新状況」で更新しています。

支援が終わると、請求書の調整単価が上がって見える

北海道電力は、国の支援による値引きを燃料費等調整単価から差し引く形で請求に反映してきました。2026年11月分の高圧の燃料費等調整単価は0円75銭/kWhで、国の値引きを反映していた10月分(−1円17銭)との差は1円92銭です。10月分の値引き前の単価は0円63銭なので、差のうち1円80銭は国の値引きがなくなったことによるもので、残りの12銭は値引き前の単価の上昇です。

差額(月)= 1.92円/kWh × 30,000kWh = 57,600円(税込)

仮定の数字:高圧で月30,000kWhを使う事業所。燃料費等調整額だけの差で、基本料金・電力量料金の見直しは含みません。

前年同月や前月と請求額を比べるときは、国の支援の有無をそろえてから比べてください。支援は、自由料金でも新電力を含む小売事業者を通じて値引きされる予定だと経済産業省は説明しています。契約先の請求書で、値引きが別の欄か、調整単価に含まれているかを確認します。

5. 対策① 契約の見直し|新電力比較・規制料金と自由料金・市場連動

契約の見直しは、設備投資なしで取り組める対策です。見るべきは「単価の安さ」ではなく、同じ使用量・契約電力・力率で計算した年間総額と、契約期間・解約条件・料金が変動する仕組みです。詳しい比べ方は「新電力の料金プラン比較5つのポイント」、見積りの取り方は「高圧電力の相見積・完全攻略マニュアル」、手順全体は「新電力で電気代を下げる全手順」で解説しています。

規制料金と自由料金

電気の小売の自由化は、特別高圧が2000年3月、高圧が2004年4月と2005年4月、低圧が2016年4月です。資源エネルギー庁によると、小売事業者間の競争が十分に進むまでは、地域の電力会社から規制料金(経過措置料金)が引き続き提供されます。北海道電力では、低圧の従量電灯B・低圧電力などが規制料金、エネとくプランが自由料金です。低圧の契約がある法人は、どちらの料金メニューかを請求書で確認してください。違いと比べ方は「規制料金と自由料金の違い」にまとめています。

市場連動プランと調整項目

市場連動プランは、卸電力市場の価格に連動して単価が変わる料金です。日本卸電力取引所のスポット市場は、翌日に受け渡す電気を前日に30分単位で取引する市場です。単価が市場価格で動くため、予算の振れ幅も大きくなります。管理料の違いなどの比べ方は「高圧電力の市場連動プランを徹底比較」をご覧ください。

北海道 北海道電力の高圧にも、市場価格を反映する調整がある

北海道電力の高圧・特別高圧の「燃料費等調整」には、燃料費調整のほかに、卸電力市場のスポット市場価格を反映する「市場価格調整」が含まれ、燃料費調整と市場価格調整の単価に上限はありません。「大手電力の料金は市場価格の影響を受けない」という前提は、北海道電力の高圧には当てはまりません。新電力と比べるときは、調整項目の中身を同じ基準で見る必要があります。

契約先を替えるときの確認点

契約先を替えるときの確認点は「新電力は本当にやばい?」、見積りの損失率の見方は「新電力を選ぶなら「損失率」を見ろ」で解説しています。

6. 対策② 基本料金を下げる|デマンドと力率

基本料金は、契約電力と力率で決まります。契約電力が500kW未満の高圧では、その月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値が契約電力になります。最大需要電力は、30分ごとの平均使用電力のうち、その月でもっとも大きい値です。一度ピークが出ると、その月から12か月間、契約電力が高いままになることがあります。

2026年11月1日の見直しで基本料金の単価が上がるため、契約電力1kWの重みは増します。仮定の数字として、力率95%の業務用電力(一般料金)では、契約電力が1kW減ると、基本料金は年に約32,077円(2,970円10銭×0.90×12か月、税込)減る計算です。

デマンドの確認と見直し

北海道電力は、デマンド監視制御装置を設置すると契約電力を減らせるが、減額には申込みと協議が必要と案内しています。装置は最大需要電力の目標値を決めて、警報や設備の自動遮断で需要電力を抑えるもので、デマンドが出た時間帯の把握にも使えます。契約電力の決まり方、30分値の見方、冬のピークの下げ方は「デマンドとは?」で詳しく解説しています。営業の説明を受けるときの確認点は「悪質なデマンド営業に騙されないために」をご覧ください。

北海道 電気暖房・融雪がある事業所は、冬の朝を確認する

電気暖房や電気式の融雪設備がある事業所では、始業前の予熱や融雪の運転開始が重なる冬の朝に、ピークが出やすいと考えられます(推測)。灯油やガスで暖房している事業所では、ピークの季節や時刻が違うことがあります。まず、過去12か月の最大需要電力が出た月と時刻を請求書や30分値のデータで確かめてください。

力率の確認

力率は、その月の毎日午前8時から午後10時までの平均で、85%を上回る1%ごとに基本料金を1%割引、下回る1%ごとに1%割増します。力率が低い月が続いていないかを、請求書で確認します。仕組みと改善方法は「力率入門」、力率・負荷率・契約電力の関係は「キュービクル更新前に確認すべき3つの数字」で解説しています。低圧で動力契約がある場合は「業務用エアコンの動力契約とは?」をご覧ください。

7. 対策③ 運用改善、対策④ 設備更新

対策③ 運用改善|費用をかけずに使用量を減らす

資源エネルギー庁の「冬季の省エネメニュー」(令和6年10月発行)は、事業者向けに次のような運用の見直しを挙げています。

  • 使っていない会議室や廊下などの空調を止める
  • 空調のフィルターを清掃し、室外機の周りの障害物を取り除く
  • 夕方以降はブラインドやカーテンを閉めて、暖気を逃がさない
  • 執務室や店舗の照明を、必要な明るさを確保したうえで間引く(労働安全衛生規則の照度基準に留意)
  • 空室や昼休みに、可能な範囲で消灯する

同じ資料は、削減効果が一定の条件での試算であり、建物の利用状況によって変わること、保健衛生上・安全上不適切な状態にならないようにすることを注意しています。暖房の設定温度についても、業種共通の基準は示されておらず、20℃は効果を試算するための基準値として使われています。

運用を変えたあとは、使用量の変化が気温の影響でないかを確かめます。進め方は「設備投資ゼロ(運用改善)からの暖房費削減バイブル」「クレームにならない「室温ルール」の決め方」「サーキュレーター配置と節電運用ガイド」、効果の評価の仕方は「その省エネ対策は本当に効いた?」で解説しています。

対策④ 設備更新|使用量を減らす大きな投資

設備更新は主に使用電力量(kWh)を減らす対策です。最大需要電力(kW)が下がるかどうかは、更新する設備がピークの時間帯に動いているかで決まります。次の表は、主な設備と詳しい記事の対応です。

設備 判断の材料 詳しい記事
LED照明 現在の器具の消費電力と点灯時間、更新の時期、器具の価格 蛍光灯をLEDに変えると電気代はいくら下がる?
LED照明器具の価格改定2026
業務用エアコン 現在の機器の年数と性能、更新の時期、補助金の有無 北海道の業務用エアコン更新ガイド
エアコン2027年問題とは?
ポンプ・ファンのモーター 負荷の変動の有無、全速で動かす時間の長さ モーターのインバーター化とは?

表:主な設備更新と詳しい記事(本記事で整理)

更新の前に現状の使用量と稼働時間を把握する省エネ診断もあります。流れと費用は「北海道の省エネ診断とは?」をご覧ください。

8. 対策⑤ 補助金|「電気代の補助」と「設備導入の補助」を分けて見る

電気代に関する「補助金」には、2種類あります。電気料金そのものを値引きする国の支援(4章)と、省エネ設備の導入費を補助する制度です。ここでは後者を扱います。設備導入の補助金は、年度や公募回ごとに期間と条件が変わるため、受付状況を確認してから計画します。

制度 状況(2026年10月29日時点)
国:省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)令和7年度補正 4次公募の期間は2026年10月5日〜10月30日(17:00必着)。申請書類は郵送で、直接持参はできない。交付決定は12月下旬の予定
北海道:省エネルギー設備導入支援事業費補助金(令和8年度) 募集期間は2026年4月22日〜6月12日で、募集終了
市町村 制度と受付状況は自治体ごとに異なる。所在地の自治体の公式案内で確認する

表:設備導入の補助金の状況(環境共創イニシアチブ「4次公募の概要」、北海道「令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金」による)

国の設備単位型の公募要領(4次公募)では、枠によって異なりますが、対象設備の区分に、高効率空調、変圧器、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具などが含まれています。補助率や上限額は枠によって違うため、公募要領で確認してください。制度ごとの詳細と受付状況は、次の記事で更新しています。

重要 交付決定の前に発注しない

国の設備単位型の公募要領では、事業開始日は交付決定日で、契約・発注は交付決定日以降に行うと定められています。交付決定の通知前に発注などを完了した事業は、補助の対象外です。例外の条件もあるため、公募要領を確認してから見積りと発注の順番を決めてください。4次公募の受付は2026年10月30日(金)17:00必着で、郵送のみです。これから申請書類を準備する場合は、次の公募の予定を確認してください。

9. 取り組む順番と、よくある失敗

取り組む順番は、1章の表のとおり、①契約→②基本料金→③運用→④設備→⑤補助金です。最初の作業は、過去12か月の請求書を並べて、基本料金・契約電力・力率・使用量・燃料費等調整額(国の値引きの有無)を月ごとに比べることです。ここで上がった項目を切り分けておくと、以降の対策の効果を確かめやすくなります。

注意 電気代の対策で起きやすい失敗

・請求額の増減だけを見て、原因を分けない:単価の改定、使い方の変化、国の値引きの終了は、別々の原因です。分けないと、対策の効果を判断できません。

・見積りの前提がそろっていない:改定前後の単価、燃料費等調整額の扱い、力率、契約電力がそろっていない見積りは、年間総額を比べられません。

・使用量(kWh)だけを見て、契約電力(kW)を見ない:省エネで使用量が減っても、ピークの30分が変わらなければ基本料金は下がりません。

・冬の国の支援が決まる前提で予算を組む:2026年10月29日時点で、政府の公式発表は確認できません。

・補助金の締切に合わせて、交付決定前に発注する:国の設備単位型では、交付決定前の契約・発注は原則として補助の対象外です。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 法人の電気代高騰対策は、何から始めればよいですか?

A. 過去12か月の請求書を並べて、上がった項目(基本料金、使用量、燃料費等調整額)を切り分けます。そのうえで、設備投資が不要な契約と基本料金の確認から、運用改善、設備更新、補助金の順に進めます。

Q2. 北海道の電気代は、他の地域より高いのですか?

A. 一概には言えません。電気代は、料金メニュー、契約電力、使用量、暖房の方式で変わるため、地域名だけで高い・安いは判断できません。この記事で参照した公的資料には、地域間の電気料金を同じ条件で比べたものがないため、順位や倍率は書きません。確認できる範囲で言えるのは、北海道電力の高圧の燃料費等調整には市場価格調整が含まれて上限がないこと、2026年11月1日に基本料金の単価が上がる予定であること、国の値引き支援が9月使用分で終了したことが、2026年11月分以降の請求額に影響することです。

Q3. 2026年11月1日以降、法人の電気代はどれくらい上がりますか?

A. 契約電力と使用量で変わります。北海道電力の業務用電力(一般料金)では、基本料金が1kWあたり276円90銭、電力量料金が1kWhあたり7銭上がる予定です。3章の仮定の数字では、基本料金と電力量料金の合計が約3.7%増える計算です。実際の金額は、自社の契約電力・力率・使用量で計算してください。

Q4. 冬の国の電気代補助は、ありますか?

A. 2026年10月29日時点で、政府の公式発表は確認できません。直近の実施は、2026年7〜9月使用分でした。最新情報は資源エネルギー庁の公式ページでご確認ください。当サイトでは「国の電気・ガス料金支援の最新状況」をご覧ください。

Q5. 電気代の補助金は、北海道の法人でも使えますか?

A. 電気料金を値引きする国の支援は、低圧・高圧の契約が対象として公表されています(4章)。省エネ設備の導入費の補助金は、国・北海道・市町村に制度があり、期間と条件が違います。受付状況は「北海道の省エネ補助金まとめ」で更新しています。

Q6. 新電力に切り替えれば、電気代は下がりますか?

A. 一律には言えません。同じ使用量・契約電力・力率で計算した年間総額が、現在の契約より低いかどうかで判断します。託送料金はどの契約先でも発生するため、単価だけの比較は避けてください。

11. まとめ

  • 法人の電気代高騰対策は、「契約の見直し」「基本料金」「運用改善」「設備更新」「補助金」の5段階で、費用のかからないものから順に見る。
  • 電気料金は、基本料金(契約電力)と、使用量に連動する項目(電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金)に分けて、上がった項目を切り分ける。
  • 北海道電力は2026年11月1日に料金の単価を見直す予定で、上げ幅は基本料金に集中している。契約電力と力率の確認が、これまで以上に重要になる。
  • 国の電気・ガス料金支援は2026年9月使用分で終了した。冬の支援は、2026年10月29日時点で政府の公式発表は確認できない。最新情報は資源エネルギー庁の公式ページで確認する。
  • 設備更新の補助金は、交付決定前に発注しない。国の設備単位型の4次公募の受付は2026年10月30日17:00必着で、郵送のみである。

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記事情報
公開日:2026年10月29日
最終更新日:2026年10月29日
参照資料:
・北海道電力「電気料金の見直しについて」2026年9月25日(北海道電力)
・北海道電力「託送料金の見直しに伴う電気料金の見直しについて」「法人のお客さま」(北海道電力、法人向けページ)
・北海道電力「標準電圧6,000Vで受電されるお客さま向け料金単価表」「電気料金単価表(2026年11月1日実施)規制料金・自由料金」(高圧単価表、規制料金、自由料金、高圧の変更前後)
・北海道電力「電力契約標準約款(高圧)」2026年2月1日実施(北海道電力)
・北海道電力「デマンド監視制御装置による省エネ・節電のご紹介」(北海道電力)
・北海道電力「燃料費等調整制度」「燃料費等調整の方法」「2026年11月分電気料金の燃料費等調整に関するお知らせ」(制度、方法、11月分)
・資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」「電力自由化で料金設定はどうなったの?」「料金の仕組みと料金メニュー例のご紹介」(料金設定、自由化、料金メニュー)
・電力・ガス取引監視等委員会「託送料金とレベニューキャップ制度」(電取委)
・経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」2026年3月19日(経済産業省)
・経済産業省「2026年1月、2月及び3月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」2025年12月16日(経済産業省)
・経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」2026年6月12日(経済産業省)
・資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」、経済産業省「電気・ガス料金負担軽減支援事業」(資源エネルギー庁、事業概要)
・日本卸電力取引所「取引概要」(JEPX)
・電力広域的運営推進機関「容量拠出金を知ろう!」(広域機関)
・資源エネルギー庁「冬季の省エネメニュー(事業者向け)」令和6年10月発行(資源エネルギー庁)
・一般社団法人環境共創イニシアチブ「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募の概要」「公募要領」(概要、公募要領)
・北海道「令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金」(北海道)
※2026年10月29日時点の情報です。2026年11月1日の料金見直しは実施前のため「予定」と記載しています。料金単価は消費税等相当額を含み、燃料費等調整額・再エネ賦課金を含みません。計算例は仮定の数字です。冬の国の支援は、公式発表があった場合に内容が変わります。最新の単価・制度の条件は、北海道電力・契約先の電力会社・各制度の公式資料でご確認ください。