業務用エアコンの動力契約とは?基本料金・契約電力の見直し方【北海道版】

業務用エアコンの多くは「動力」の電気で動き、基本料金は契約電力(kW)で決まります。北海道電力エリアの低圧のお客さまでは、動力の契約は主に「低圧電力」です。基本料金は使用量に関係なく毎月かかるため、契約電力の大きさがそのまま固定費になります。

北海道電力の低圧電力の基本料金は、2026年11月1日実施の単価見直しで上がります。1kWあたり1,413円06銭から1,681円02銭へ、約19%の増加です。エアコンの入替は、この契約電力を見直す良いタイミングです。ただし、省エネ型に交換するだけで基本料金が自動的に安くなるわけではありません。

この記事は、北海道の店舗・事務所・施設の担当者の方に向けた解説です。業務用エアコンと動力契約の関係、契約電力の決まり方、入替時の見直し手順をまとめます。

この記事でわかること

  • 業務用エアコンが「動力(三相200V)」で動く理由と、単相との違い
  • 北海道電力「低圧電力」の基本料金と2026年11月の単価見直し
  • 契約電力の決め方(主開閉器契約・負荷設備契約・実量制)
  • エアコン入替で基本料金が下がる仕組みと試算例
  • 入替時に契約を見直す手順と、よくある失敗

1. 業務用エアコンの「動力」とは?単相と三相200Vの違い

① 一言でいうと

動力とは、主にモーターを使う設備に使われる電気のことです。北海道電力の約款では「電灯および小型機器以外の電気機器」と定義されています。低圧電力の供給方式は、標準が三相200V(技術上やむを得ない場合は単相となることもあります)です。照明やコンセントに使う「電灯」とは、配線も契約も別になっているのが一般的です。

項目電灯動力
電圧・方式単相100V・200V三相200V(標準)
主な用途照明、コンセント、事務機器、家庭用エアコン業務用エアコン、冷凍冷蔵機器、ポンプ、コンプレッサー
北海道電力の主な契約従量電灯など低圧電力、エネとく動力プランなど
基本料金の決まり方契約容量・契約電流などによる契約電力(kW)×単価

② 業務用エアコンはなぜ三相200Vが多いのか

業務用エアコンは、圧縮機(冷媒を圧縮するポンプ)を大きなモーターで動かします。三相200Vは、こうした大きなモーターを安定して動かすのに向いています。そのため、店舗やオフィスの業務用エアコンの多くは動力で動いています。

ただし、小さい能力帯の業務用エアコンには単相200Vの機種もあります。入替の際は、既存の電源と新しい機種の電源仕様が合っているかを必ず確認します。

電柱からの引込線 電灯(単相) メーター・契約① 動力(三相200V) メーター・契約② 照明・コンセント・事務機器 業務用エアコン・冷凍冷蔵機器

図:低圧で受電する建物の電灯と動力のイメージ(一般的な例)

2. 北海道電力「低圧電力」の料金はいくら?2026年11月の単価見直し

北海道電力の低圧電力は、契約電力が50kW未満で動力を使う場合の標準的な料金メニューです。北海道電力は、対象の例として「商店、小規模事務所の冷暖房」を挙げています。

料金メニュー低圧電力(北海道電力)
対象動力を使用し、契約電力が原則50kW未満の場合
(従量電灯とあわせて契約する場合は、電灯側の契約電流〔10A=1kW換算〕または契約容量〔1kVA=1kW換算〕と契約電力の合計が原則50kW未満)
基本料金(1kWあたり)1,413円06銭(2025年10月1日実施)
1,681円02銭(2026年11月1日実施・見直し後)
電力量料金(1kWhあたり)28円95銭(2025年10月1日実施)
29円03銭(2026年11月1日実施・見直し後)
まったく電気を使わない月基本料金は半額(少しでも使用した月は満額)
料金情報確認日2026年10月9日(北海道電力公式サイト・特定小売供給約款)
基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力(kW)
電力量料金 = 電力量料金単価 × 使用電力量(kWh)
※実際の請求には、燃料費等調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金なども加わります

① 2026年11月の見直しで基本料金はどれくらい上がる?

見直し前後の差は1kWあたり月267円96銭で、約19%の値上がりです。一方、電力量料金の上がり幅は1kWhあたり8銭にとどまります。今回の見直しでは、使用量よりも契約電力の大きさが負担を左右しやすくなります。

見直し前(2025年10月1日実施)

月 14,131円

契約電力10kW × 1,413円06銭

→
見直し後(2026年11月1日実施)

月 16,810円

契約電力10kW × 1,681円02銭

図:契約電力10kWの場合の基本料金(試算例、1円未満四捨五入)。年間では約32,000円の増加です

3. 契約電力はどう決まる?主開閉器契約と負荷設備契約

北海道電力の低圧電力では、契約電力の決め方に「主開閉器契約」と「負荷設備契約」の2種類があります。どちらで契約しているかによって、エアコン入替後の見直し方が変わります。

① 主開閉器契約:ブレーカーの大きさで決まる

主開閉器契約は、契約主開閉器(配線用遮断器など)の定格電流から契約電力を決める方法です。計算式は次のとおりです。

契約電力(kW)= 定格電流(A)× 電圧(V)× 1.732 × 力率100% × 1/1,000
例:30A × 200V × 1.732 × 100% ÷ 1,000 ≒ 10kW
契約主開閉器の定格電流契約電力
30A10kW
50A17kW
75A26kW
100A35kW
125A43kW

北海道電力は、一度に多くの電気機器を使わないお客さまは、主開閉器契約にすることで契約電力を低く抑えられるとしています。

② 負荷設備契約:使う機器の合計から決まる

負荷設備契約は、使用する電気機器の容量(入力)を合計し、一定の係数を掛けて契約電力を決める方法です。次の3段階で計算します。

1
入力換算
電気機器の容量は「入力」で計算します。電動機の「出力」で表示されている機器は、出力×125%で入力に換算します。エアコンのカタログにある冷房能力・暖房能力(kW)とは別の数値なので、仕様書の電動機出力や消費電力で確認します。
▼
2
台数圧縮
入力の大きい順に、最初の2台は100%、次の2台は95%、それ以外は90%を掛けて合計します。
▼
3
容量圧縮
合計のうち最初の6kWは100%、次の14kWは90%、次の30kWは80%、50kWを超える部分は70%を掛けます。

北海道電力の資料には、コンプレッサー3.7kW・ポンプ2.2kW・エアコン(圧縮機2.2kWほか)の計算例があります。この例では、契約電力は10kWです。エアコンの圧縮機の容量が小さくなれば、この計算結果も小さくなります。

③ エネとく動力プラン:実際の使い方で決まる「実量制」

北海道電力の「エネとく動力プラン」は、動力機器の稼働時間が比較的少ないお客さま向けのプランです。契約の決め方には主開閉器契約と実量制契約があります。

実量制(需給契約要綱上の名称は「エネとく動力プランQ」)では、30分ごとの使用電力量の最大値を2倍した値が、その月の最大需要電力になります。原則として、その月と前11か月の最大需要電力のうち、大きいほうが契約電力です。

エネとく動力プラン基本料金(1kWあたり)
2025年10月1日実施
基本料金(1kWあたり)
2026年11月1日実施
電力量料金(1kWhあたり)
2026年11月1日実施
主開閉器契約1,040円49銭1,255円65銭31円10銭
実量制契約1,716円99銭2,068円55銭31円10銭

低圧電力と比べると、エネとく動力プラン(主開閉器契約)は基本料金が低い代わりに電力量料金が高い構成です。2026年11月1日実施の単価で、契約電力が同じ10kWの場合を比べると次のようになります。

比較項目(契約電力10kW)低圧電力エネとく動力(主開閉器)
基本料金(月・満額)16,810円12,557円
電力量料金(1kWhあたり)29円03銭31円10銭
月の使用量の分かれ目約2,055kWh(これより多く使う月は低圧電力が有利)

基本料金の差は月4,253円70銭、電力量料金の差は1kWhあたり2円07銭です。そのため、月の使用量が約2,055kWhを超えると、この2つの単価だけで見れば低圧電力が有利になります(※試算。燃料費等調整額・再エネ賦課金を除き、同じ契約電力・基本料金満額の前提)。

注意:エネとく動力プランは単価だけで選ばない

エネとく動力プランは自由料金メニューで、燃料費調整の算定に使う平均燃料価格に上限が設定されていません。また、契約期間の満了前は原則として他の契約種別に変更できないなどの制限があります。燃料価格が上がった場合も含めて、年間で比較することが大切です。

4. エアコン入替で基本料金が下がる仕組みと試算例

省エネ型の業務用エアコンに更新すると、年間の電気使用量(kWh)が減ることがあります。一方、基本料金を下げるには、契約電力(kW)そのものを見直す必要があります。この2つは必ずしも連動しません。

例えば、更新で使用量が大きく減っても、主開閉器契約で契約主開閉器の定格電流を下げなければ、基本料金は変わりません。負荷設備契約でも、契約電力は決まった計算方法で求めるため、使用量の削減率と契約電力の削減率は一致しません。契約電力を下げられるかは、入替後の機器の入力や主開閉器の容量を確認して判断します。

例えば、主開閉器契約の建物で、エアコン入替後に必要な容量が下がり、契約主開閉器を75Aから50Aに変更できたと仮定します。この場合の基本料金の差は次のとおりです。

入替前 75A(26kW) 入替後 50A(17kW) 年 約52.4万円 年 約34.3万円 基本料金の差:年 約18.2万円 ※試算例。低圧電力・2026年11月1日実施の単価1,681円02銭、12か月とも電気を使用する場合

図:契約主開閉器を75Aから50Aに変更できた場合の年間基本料金(試算例)

計算式は、9kW(26kW−17kW)×1,681円02銭×12か月=約18.2万円です。これは12か月とも電気を使用して基本料金が満額かかり、かつ契約電力の変更が認められた場合の試算です。例えば冷房専用で6か月はまったく使わない場合、その6か月は基本料金が半額のため、差額は約13.6万円になります。

また、ブレーカー交換などの工事費は含めていません。契約主開閉器を下げられるかは、機器の構成と使い方によって決まります。電力量料金の削減効果は、別途機器の省エネ性能から試算します。

重要 契約電力は自動的には下がりません

エアコンを入れ替えても、契約の変更を申し込まなければ契約電力はそのままです。主開閉器契約ではブレーカーの交換と申込、負荷設備契約では機器の申告と再算定が必要です。実量制は原則として過去11か月の最大需要電力が残りますが、主開閉器の定格電流を下げるなどして年間の最大需要電力が減ることが明らかな場合は、北海道電力との協議で契約電力を定める規定があります。入替時に、早期に見直せるかどうかも確認しましょう。

5. エアコン入替時に動力契約を見直す5つの手順

入替の計画段階から電気の契約をセットで確認すると、工事後の見直し漏れを防げます。手順は次のとおりです。

1
請求書で契約内容を確認する
動力の契約種別(低圧電力・エネとく動力プランなど)と、契約電力(kW)を確認します。
▼
2
契約電力の決め方を確認する
主開閉器契約か、負荷設備契約か、実量制かを確認します。主開閉器契約なら、契約主開閉器の定格電流も確認します。
▼
3
新しいエアコンの電源仕様と入力を確認する
三相か単相か、定格の消費電力(入力)はいくつかを仕様書で確認します。
▼
4
入替後の契約電力を試算する
動力の負荷全体(冷凍冷蔵機器なども含む)で、必要な容量を電気工事の担当者と確認します。エアコンを新設・増設する場合は、電灯側の契約とあわせて50kWの目安を超えないかも確認します。
▼
5
契約変更と料金プランの比較を行う
契約電力の変更を申し込み、あわせて料金メニューや電力会社の比較も検討します。

6. 動力契約でよくある失敗と回避策

失敗1:入替後に契約電力の見直しを申し込んでいない

よくあるのが、工事は終わったのに契約がそのままになっているケースです。工事の完了報告と一緒に、契約電力の変更が必要かどうかを確認する段取りを組んでおきます。

失敗2:ブレーカーを下げすぎて、起動時に落ちる

契約主開閉器を小さくしすぎると、複数の機器が同時に動いたときに遮断されるおそれがあります。北海道では、冬の朝に暖房を一斉に立ち上げる時間帯が要注意です。容量の判断は、電気工事の有資格者に依頼します。

失敗3:電源の種類を確認せずに機種を選ぶ

既存が三相200Vなのに単相の機種を選ぶと、電源工事の追加が必要になることがあります。逆に、電灯側に業務用エアコンを追加すると、電灯の契約容量が足りなくなる場合もあります。電灯側の容量についてはエアコン設置でブレーカーが落ちる問題で解説しています。

失敗4:実量制で、短時間の同時運転が1年間の基本料金を決めてしまう

実量制では、30分間だけでも使用量が大きくなると、その値が原則として最大11か月先まで契約電力に影響します。エアコンの一斉運転を避け、時間をずらして立ち上げる運用が有効です。最大需要電力(デマンド)の考え方はデマンドの仕組みと確認ポイントをご覧ください。

7. 北海道の事業者にとってのポイント

北海道 動力契約と空調更新を一緒に考えるポイント

■ 2026年11月の単価見直しで、契約電力の重みが増す
低圧電力の基本料金は1kWあたり月267円96銭上がります。契約電力が20kWなら、年間で約6.4万円の増加です(試算)。入替の予定がある場合は、契約電力の見直しまでを一体で計画すると効果的です。

■ 冷房専用の動力は、使わない季節の基本料金も含めて比べる
札幌や旭川などでは、冷房を夏の数か月しか使わない店舗・事務所もあります。低圧電力では、まったく電気を使わない月の基本料金は半額になります(10kWなら月約8,405円)。ただし少しでも使えば満額です。稼働時間が短い動力では、エネとく動力プランなども含めて年間費用で比較すると判断しやすくなります。

■ 暖房をエアコンに切り替えると、動力の使い方が変わる
灯油やガスの暖房からエアコン暖房に切り替えると、冬の動力使用量と最大需要電力が増えます。燃料ごとの費用の比べ方は熱量単価比較の解説を参考にしてください。

■ 高圧受電の建物では考え方が異なる
キュービクルで高圧受電している建物では、エアコンの動力も高圧の契約に含まれます。この場合は、建物全体のデマンドで契約電力が決まります。高圧受電と低圧受電の違いは高圧受電と低圧受電の比較で解説しています。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 業務用エアコンはなぜ動力(三相200V)なのですか?

A. 圧縮機を動かす大きなモーターを安定して動かすのに、三相200Vが向いているためです。小さい能力帯には単相200Vの機種もあるため、入替時は機種ごとに電源仕様を確認します。

Q2. 北海道電力の低圧電力の基本料金はいくらですか?

A. 契約電力1kWあたり1,413円06銭です(2025年10月1日実施)。2026年11月1日実施の見直し後は1,681円02銭になります(2026年10月9日に公式サイトで確認)。

Q3. エアコンを使わない月も基本料金はかかりますか?

A. 北海道電力の低圧電力では、1か月まったく電気を使用しなかった場合、基本料金は半額になります。少しでも使用した月は満額です。冷房専用の動力契約では、使わない季節の料金も含めて年間費用で比較することが大切です。

Q4. エアコンを入れ替えれば基本料金は自動的に下がりますか?

A. 自動的には下がりません。主開閉器契約や負荷設備契約では変更の申込と再算定が必要です。実量制は原則として過去11か月の最大需要電力が残りますが、主開閉器の変更などで最大需要電力が減ることが明らかな場合は、北海道電力との協議で見直せる規定があります。

Q5. 主開閉器契約と負荷設備契約はどちらが得ですか?

A. 一度に多くの機器を使わない使い方なら、主開閉器契約で契約電力を低く抑えやすいと北海道電力は案内しています。実際には機器の構成と使い方で変わるため、両方で試算して比較します。

9. まとめ

  • 業務用エアコンの多くは三相200Vの動力で動き、北海道電力の低圧では主に「低圧電力」で契約します。
  • 低圧電力の基本料金は、2026年11月1日実施の見直しで1kWあたり1,681円02銭(約19%増)になります。
  • 契約電力の決め方には、主開閉器契約・負荷設備契約・実量制があり、見直し方がそれぞれ異なります。
  • 省エネ型への更新で使用量が減っても、契約電力が自動的に下がるわけではありません。まったく使わない月は基本料金が半額になる点も含めて、年間で比較します。
  • 入替の計画段階から、電源仕様と契約電力の確認をセットで進めることが大切です。

記事情報
公開日:2026年10月9日
料金情報確認日:2026年10月9日
参照資料:北海道電力「低圧電力」/北海道電力「契約電力の決定方法のご案内(低圧電力・低圧時間帯別電力)」/北海道電力「エネとく動力プラン」/北海道電力「特定小売供給約款[2026年11月1日実施]」/北海道電力「エネとく動力プラン 需給契約要綱[2026年11月1日実施]」
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。料金単価や契約条件は変更される場合があるため、最新情報は北海道電力の公式サイトをご確認ください。