【北海道の法人向け】ガソリン税の「暫定税率」廃止はいつ?トリガー条項の行方と企業が今すぐできるエネルギー防衛策

「毎月のガソリン代や軽油代の請求書を見るたびに、ため息が出る」 「札幌から地方への配送や営業活動が欠かせないのに、燃料費だけで利益が飛んでしまう」

北海道で事業を営む経営者様、車両管理担当者様であれば、このようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。広大な北海道において、自動車はまさに「経済の血液」。しかし、長引く燃料価格の高騰は、企業の体力をじわじわと、しかし確実に奪い続けています。

ニュースなどで「ガソリン税の暫定税率を廃止すべき」「トリガー条項の発動を」といった議論を耳にしたことがあるかもしれません。「もし税金が安くなれば、リッター25円も下がる」という話もありますが、実際のところ、この制度はどうなっているのでしょうか?そして、私たち北海道の企業は、国の決定をただ待っているだけで良いのでしょうか?

この記事では、複雑な「ガソリン税・暫定税率」の仕組みをわかりやすく解説するとともに、現状の政治的な動き、そして何より「税制が変わるのを待たずに、自社で今すぐできるコスト削減策」について、エネルギーのプロであるtotokaが具体的にご提案します。

これを読めば、燃料費の仕組みがすっきり理解でき、明日からのコスト管理に対する具体的な「次の一手」が見えてくるはずです。


ガソリン税の「暫定税率」とは? 仕組みをわかりやすく解説

まずは、燃料価格が高い「根本的な原因」の一つである税金の仕組みについて整理しましょう。

私たちが普段スタンドで給油しているガソリン価格には、実は本体価格のほかに多額の税金が含まれています。その中でも議論の的となっているのが「暫定税率(現在は「当分の間税率」と呼ばれています)」です。

ガソリン価格の約4割は「税金」

レギュラーガソリンの価格構成を見てみましょう。実は、大きく分けて4種類のコストと税金が積み重なっています。

  1. ガソリン本体価格(原油コスト+精製コスト+流通コスト+スタンドの利益)
  2. 揮発油税(本来の税率:24.3円/L)
  3. 地方揮発油税(本来の税率:4.4円/L)
  4. 消費税(全体の10%)

ここで登場するのが「特例(暫定)税率」です。 本来の税率(本則税率)に加えて、以下の金額が上乗せされています。

  • 揮発油税への上乗せ分:24.3円/L
  • 地方揮発油税への上乗せ分:0.8円/L
  • 合計:25.1円/L

つまり、私たちが支払っているガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)53.8円のうち、約半分の25.1円は「本来なら払わなくてよかったかもしれない上乗せ分」なのです。これが「暫定税率」と呼ばれるものです。

totokaの補足メモ
軽油(ディーゼル車)の場合も同様に、「軽油引取税」という税金がかかります。本則税率は15.0円/Lですが、ここに特例税率17.1円/Lが上乗せされ、合計32.1円/Lとなっています。北海道の物流を支えるトラック事業者様にとっては、こちらの数字の方が切実かもしれません。

なぜ「暫定(一時的)」なのに50年も続いているのか?

「暫定」という言葉を聞くと、「一時的なもの」というイメージを持ちますよね。 この制度が始まったのは、なんと1974年(昭和49年)まで遡ります。当時は道路整備が急務であり、その財源を確保するために「道路が整うまでの間だけ少し高くします」という理由で導入されました。

しかし、道路整備がある程度進んだ後も、「国の財政が厳しいから」「環境対策が必要だから」といった理由で延長が繰り返されました。 2010年には民主党政権下で一度廃止の動きがありましたが、財源不足を理由にすぐに復活。現在では「当分の間税率」という名前に変わり、事実上の「恒久的な増税」として定着してしまっているのが実情です。


期待される「トリガー条項」の発動と、その高い壁

ガソリン価格が高騰した際、この上乗せ分(25.1円)を一時的にカットして価格を下げる仕組みがあります。それが「トリガー条項」です。

トリガー条項とは?

一言で言うと、「ガソリン価格が上がりすぎたら、自動的に暫定税率分を安くするスイッチ」のことです。

  • 発動条件:レギュラーガソリンの全国平均小売価格が、3ヶ月連続で160円/Lを超えた場合。
  • 効果:上乗せされている25.1円/L分の課税を停止し、価格を下げる。
  • 終了条件:3ヶ月連続で130円/Lを下回ったら、元の税率に戻す。

今のガソリン価格(170円〜180円台)を見れば、条件はとっくに満たしています。「なぜ発動しないの?」と思われますよね。

なぜ発動されないのか?(凍結の理由)

現在、トリガー条項は法律によって「凍結」されています。 そのきっかけは2011年の東日本大震災でした。「復興財源を確保する必要があるため、税収が減るトリガー条項は停止する」と決められたのです。

現在も政府がトリガー条項の発動に慎重な理由は、主に以下の3点です。

  1. 税収の大幅な減少 国と地方合わせて年間1.5兆円規模の減収になると試算されており、財政へのダメージが大きい。
  2. 現場の混乱(買い控えと駆け込み需要) 「来週から25円安くなる」とわかれば、物流や配送現場で給油の手控えが起き、発動直前にはガソリンスタンドが大混雑する恐れがある。逆に、税率が戻るときには駆け込み需要が発生し、流通が麻痺するリスクがある。
  3. 脱炭素(カーボンニュートラル)への逆行 「化石燃料を安くすることは、CO2削減の流れに逆行するのではないか」という国際的な視点での懸念。

北海道の事業者様としては「そんなことを言っている場合ではない、死活問題だ」というのが本音かと思いますが、国の議論はこのような理由で膠着状態が続いています。


北海道の法人への影響と試算シミュレーション

ここからは視点を「北海道」に移しましょう。 北海道は他県に比べて、ガソリン税・燃料費高騰の影響を圧倒的に受けやすい構造にあります。

北海道特有の「3つの不利」

  1. 走行距離が長い(物流・営業コスト増) 隣の街へ行くだけで数十キロ、札幌〜函館間の移動なら片道300キロ超えは当たり前です。走行距離=燃料消費量に直結するため、単価の数円の差が経営に大きく響きます。
  2. 冬場の燃費悪化と暖房需要 冬道での走行、暖機運転、渋滞などにより、冬場の実燃費は夏場の2〜3割落ちると言われています。さらに、車両だけでなく事業所や工場の暖房に灯油や重油を使うケースも多く、石油製品全体の価格高騰がダブルパンチとなります。
  3. 価格競争の激化 輸送コストが上がったからといって、すぐに運賃や商品価格に転嫁できる企業ばかりではありません。特に下請け構造にある中小企業の場合、燃料高騰分を自社で被らざるを得ないケースも多々あります。

【試算】もし暫定税率が廃止されたら、いくら浮くのか?

北海道の中小企業(運送業・営業車保有)を想定して、簡単なシミュレーションをしてみましょう。

<モデルケース:札幌市内の配送・営業会社>

  • 保有車両:
    • 2トントラック(ディーゼル):5台(月間走行 2,000km/台、燃費 8km/L)
    • 営業車(ガソリン):10台(月間走行 1,500km/台、燃費 12km/L)

【現在の燃料消費量(月間)】

  • 軽油:(2,000km ÷ 8km/L) × 5台 = 1,250L
  • ガソリン:(1,500km ÷ 12km/L) × 10台 = 1,250L

【暫定税率分のコスト(月間)】

  • 軽油の上乗せ分(17.1円/L):1,250L × 17.1円 = 21,375円
  • ガソリンの上乗せ分(25.1円/L):1,250L × 25.1円 = 31,375円
  • 合計削減効果:月額 約52,750円(年間 約63万円)

いかがでしょうか? 年間60万円以上の利益が、税金の仕組み一つで変わってくる計算になります。車両台数が多い企業様であれば、この桁はさらに一つ、二つ増えるでしょう。


待っていても下がらない? 企業が今すぐできる「自衛策」

トリガー条項の凍結解除や暫定税率の廃止は、実現すれば大きな恩恵があります。しかし、政治的な動きを見る限り、「今すぐ」「確実に」実施される保証はどこにもありません。

経営において最もリスクが高いのは「不確定な外部要因(国の政策)をあてにして待つこと」です。 totokaでは、北海道の企業様に対して、「燃料費以外の部分も含めたエネルギー総コストの削減」による自衛策を推奨しています。

1. 燃料費そのものをコントロールする(カードの見直し)

「昔からの付き合い」で契約しているガソリンスタンドの法人カード、その単価は本当に適正でしょうか? 実は、契約するカード会社や系列を変えるだけで、リッター数円の差が出ることは珍しくありません。

totokaでは、自動車燃料カード(ガソリンカード)の診断・発行サポートも行っています。 北海道全域で利用可能な主要SSブランドの中から、貴社の利用エリア(市内メインか、全道移動か)や給油量に合わせて、最も割引メリットが出るカードをご提案可能です。

  • 請求の一元化: バラバラだった従業員の立替精算をカード一本に集約し、経理業務を削減。
  • 適正価格での給油: 全国一律価格やエリア価格など、貴社の走行パターンに有利な契約をご案内します。

まずは「今のカードよりも安くなるか?」を診断するだけでも価値があります。

2. 「電気代」で原資を捻出する(totokaの得意分野)

ガソリン代は、業務上どうしても減らせない「聖域」になりがちです。しかし、オフィスの電気代や工場の動力費はどうでしょうか? 燃料費高騰に悩む企業の多くが、電気料金の契約内容や使用状況には無頓着なケースが少なくありません。

  • 基本料金の適正化 契約電力(kW)が実態よりも大きくなっていませんか?特に北海道で冬場にデマンド(最大需要電力)が跳ね上がり、そのまま高い基本料金を払い続けているケースが散見されます。これを適正化するだけで、ガソリン税削減分以上のコストダウンができることも珍しくありません。
  • 新電力への切り替え・再見積もり 現在の北海道電力のプランと、最新の市場連動型や別のプランを比較することで、削減の余地が見つかる可能性があります。
  • 省エネ設備の導入(LED・空調・断熱) 古い水銀灯をLEDに変える、空調を最新型にするなど、ランニングコストが下がれば、その分を燃料費高騰の補填に回せます。

3. 北海道ならではの補助金をフル活用する

北海道や札幌市、各自治体では、原油価格高騰対策として「省エネ設備導入補助金」や「中小企業向け支援金」を不定期で公募しています。 これらの情報は日々更新されるため、本業で忙しい担当者様が全てをチェックするのは困難です。こうした情報のキャッチアップこそ、外部の専門家を頼るべきポイントです。

の情報は日々更新されるため、本業で忙しい担当者様が全てをチェックするのは困難です。こうした情報のキャッチアップこそ、外部の専門家を頼るべきポイントです。


専門家が考える「今後の見通し」

最後に、今後のエネルギー情勢について少し触れておきます。

現在、政府はガソリン価格の激変緩和措置として、石油元売り会社に対して補助金を出し、価格を抑制しています。しかし、これはあくまで「応急処置」であり、いつ打ち切られるかわかりません。 また、世界的な脱炭素の流れの中で、ガソリン車やディーゼル車への風当たりは強まる一方です。

長期的には、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)への転換も視野に入れる必要がありますが、寒冷地である北海道ではバッテリー性能の低下など課題も多く、すぐに全車両を入れ替えるのは非現実的です。

だからこそ、「今ある設備・車両を使いながら、無駄なコストを極限まで削る」という地道なアプローチが、企業の生存戦略として最も確実性が高いのです。


まとめ

今回のコラムの要点をまとめます。

  1. ガソリン価格の約4割は税金であり、そのうち約25円/Lは「暫定税率(当分の間税率)」という上乗せ分である。
  2. 価格を下げる「トリガー条項」は現在凍結中。国の財政事情などにより、即座の発動は期待しにくい状況。
  3. 北海道の企業にとって燃料費は死活問題だが、税制改正を待つだけではリスクが高い
  4. ガソリン代そのものの見直しに加え、電気代や設備投資など「エネルギーコスト全体」で削減を行い、利益を守る視点が必要。

【明日からできる3ステップ】

  1. 現状把握:直近1年間の「ガソリン・軽油代」と「電気代・ガス代」の総額を書き出してみる。
  2. 意識改革:社内で「アイドリングストップ」や「不要な照明の消灯」など、コスト意識を共有する。
  3. プロに相談:契約内容や単価が適正か、第三者の視点で診断してもらう。

totokaへの相談

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そんなときは、私たちtotokaにお任せください。 totokaは北海道の法人様に特化したエネルギーコンサルタントです。

【totokaでできること】

  • 無料コスト診断:現在のガソリン・軽油・電気・ガスの検針票や契約書を見せていただくだけで、適正価格かどうかを診断します。
  • 補助金活用のご提案:北海道内で使える最新の省エネ補助金情報をお伝えし、申請サポートも行います。
  • トータルコスト削減:電力だけでなく、LED化や空調、デマンド管理など、貴社に最適な削減プランをオーダーメイドで作成します。

「まずは話を聞くだけ」でも大歓迎です。 ガソリン税が下がるのを待つのではなく、今すぐできる対策で、利益を確実に守りましょう。 お気軽にお問い合わせください。