2025年度【北海道企業向け】バイオマスボイラー導入補助金:「再エネ熱利用・工場廃熱利用等の価格低減促進事業」

北海道の企業が直面するエネルギーコストの課題は、気候変動対策と経済性の両面から喫緊の課題となっています。特に、暖房需要の高い北海道において、持続可能なエネルギー源への転換は、長期的なコスト削減と企業の競争力強化に直結します。本コラムでは、再生可能エネルギーの中でも注目されるバイオマスボイラーの導入に焦点を当て、環境省が推進する補助金制度「再エネ熱利用・工場廃熱利用等の価格低減促進事業」を徹底解説します。

この補助金制度は、バイオマスボイラーの導入を経済的に支援し、企業の脱炭素化とエネルギーコストの最適化を後押しするものです。北海道の企業担当者様が、この制度を最大限に活用し、エネルギーコスト削減を実現するための具体的な情報と、株式会社totokaが提供する専門的なサポートについて、深く掘り下げていきます。

基礎知識

バイオマスボイラーとは

バイオマスボイラーは、木材チップ、ペレット、農業残渣などの生物由来の有機物を燃料として燃焼させ、熱や蒸気を生成する設備です。この熱は、暖房、給湯、工場プロセスなど、様々な用途で利用されます。

バイオマス燃料は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しますが、これは植物が成長過程で吸収したCO2であるため、全体としてCO2排出量を増加させない「カーボンニュートラル」なエネルギーとみなされています。これにより、企業のCO2排出量削減目標達成に大きく貢献し、「省エネ」効果も期待できます。特に、北海道のような地域では、豊富な森林資源や農業残渣を有効活用できるため、地産地消のエネルギーモデルを構築する上で非常に有効な選択肢となります。

環境省の補助金制度「再エネ熱利用・工場廃熱利用等の価格低減促進事業」の概要

環境省は、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の一環として、「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」を進めています。このうち、「設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業」には、再生可能エネルギー熱利用・工場廃熱利用等の価格低減を促進する事業が含まれています。

補助金の執行は、一般社団法人 環境技術普及促進協会(ETA)が行います。この補助事業は、主に以下の3つの事業形態に区分されます。

  • 設備等導入事業A: 太陽熱またはバイオマス熱利用設備、あるいは自家消費型再生可能エネルギー発電設備(太陽光を除く)の導入
  • 設備等導入事業B: 地中熱、温泉熱、河川熱、海水熱、下水熱、雪氷熱利用設備の導入
  • 設備等導入事業C: 工場廃熱等利用設備または温泉供給設備更新時の省エネ設備等の導入

本コラムのテーマであるバイオマスボイラーの導入は、主に**「設備等導入事業A」**に該当します。事業完了後も、CO2削減効果などの事業報告書の提出や、適切な財産管理などが求められます。

応用・具体策

補助金活用のための「バイオマスボイラー」導入要件

設備等導入事業Aにおけるバイオマス熱利用設備を導入する事業は、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 対象設備であること: 太陽熱またはバイオマス熱利用設備であること。
  2. 別表第5の要件を満たすこと: 設備等導入要件を満たす設備の導入であること。
  3. CO2削減コスト基準を満たすこと: 補助対象経費を耐用年数期間のCO2削減量で除した値(CO2削減コスト)が、定められた基準を下回ること。
  4. 環境価値の帰属: 本補助事業により得られる環境価値のうち、需要家に供給されたエネルギーに紐づく環境価値は需要家に帰属させること。
  5. バイオマス燃料の出所証明: 木質バイオマスを利用する場合、調達するバイオマス燃料の出所がわかるもの(由来証明書など)を提出すること。

CO2削減コスト基準(バイオマス熱利用)

バイオマス熱利用設備におけるCO2削減コストの基準は以下の通りです。

  • 木質系: 21 千円/tCO2
  • 農作物残渣(もみ殻、廃菌床、稲わら等含む): 47 千円/tCO2
  • 食品廃棄物(動物性残渣、廃食品油等含む): 290 千円/tCO2
  • 家畜糞尿 メタン発酵バイオガス利用: 260 千円/tCO2

補助対象設備要件(バイオマス熱利用)

バイオマス熱利用設備は、以下の要件を満たす必要があります。

  • バイオマス依存率60%以上: 燃料の発熱量ベースでバイオマス燃料が60%以上を占めること。
  • 適切な燃料を使用し、適正な管理の下、利用・稼働状況を把握し、毎年報告すること。

補助対象となるバイオマスボイラーには、ボイラー本体の他、熱交換器、ヒートポンプ、蓄熱システムなどが含まれます。

補助対象となる経費と対象外となる経費

補助対象経費の範囲

補助事業を行うために直接必要な以下の経費が補助対象となります。

  • 工事費: 本工事費(材料費、労務費等)、間接工事費、付帯工事費
  • 設備費: 設備や機器の購入費、運搬費、据付け費など
  • 機械器具費: 事業に必要な機械器具の購入、借料など
  • 測量及試験費: 調査、測量、設計、工事監理、試験に要する費用
  • 業務費: 機器・設備等の調査、設計、製作、試験、検証に要する費用
  • 事務費: 事業に必要な事務に要する費用(賃金、旅費、消耗品費など)

補助対象外経費の代表例

  • 消耗品費
  • 用地確保に要する経費
  • 建屋の建設にかかる経費
  • 既存施設・設備等の撤去費、処分費
  • 建築確認申請費用、系統連系申請費用など
  • 工事会社等への振込手数料
  • 売電に必要な経費
  • CO2削減に寄与しない設備・機器

利益排除について

補助対象経費の中に、補助事業者自身の製品調達や施工に係る経費が含まれる場合、利益分は排除され、原価(製造原価など)をもって補助対象経費に計上する必要があります。

申請プロセスとスケジュール

  1. 情報入手・応募申請: 公募期間内に応募書類を提出します。一次公募は令和7年4月3日~5月8日正午、二次公募は令和7年6月5日~7月3日正午必着です。
  2. 審査・採択: 応募締切から約2か月後に採択通知が送られます。
  3. 交付申請・交付決定: 採択通知後、交付申請書を提出。約1か月後に交付決定通知が送られます。補助事業は交付決定日以降に開始できます。
  4. 事業の遂行・支払い: 当該年度の1月31日までに検収と支払いを完了する必要があります。
  5. 完了実績報告: 事業完了後30日以内、または当該年度の2月10日のいずれか早い日までに報告書を提出。
  6. 補助金の支払い: 交付額確定後、請求書を提出し、補助金が支払われます。
  7. 事業報告: 事業完了の翌年度から3年間、CO2削減効果などを報告する必要があります。

【重要】請負業者との契約(発注)は、協会の交付決定日以降に行う必要があります。

共同事業について

補助事業を2者以上で共同実施する場合、代表者を定めて応募します。PPA契約やファイナンスリース方式の場合、PPA事業者やリース事業者が代表事業者となり、需要家(エネルギーを利用する企業)が共同事業者となります。

ケーススタディ/データ分析

北海道におけるバイオマスボイラー導入の可能性とCO2削減効果(シミュレーション)

北海道の製造業A社が、年間2,000tCO2を排出する重油ボイラーから、年間1,500tCO2を削減できる木質バイオマスボイラーへ転換するケースを考えます。

  • 導入計画:
    • 導入にかかる補助対象経費:5,000万円
    • 年間CO2削減量: 1,500 tCO2
    • 耐用年数: 15年
  • CO2削減コストの計算:
    • 耐用年数期間のCO2削減量: 1,500 tCO2/年 × 15年 = 22,500 tCO2
    • CO2削減コスト = 5,000万円 / 22,500 tCO2 ≒ 2,220円/tCO2
  • 判定:
    • この値は木質系の基準である21,000円/tCO2を大きく下回るため、補助対象となる可能性が高いと判断できます。
  • 補助金によるメリット:
    • 設備等導入事業Aの補助率は3分の1です。
    • 補助対象経費5,000万円に対し、補助金は最大で約1,666万円となります。
    • これにより、初期費用を大幅に抑え、投資回収期間の短縮と長期的なエネルギーコストの安定化が見込めます。

FAQ(Q&A)

よくあるご質問と回答

Q1. 補助金申請に必要な書類は何ですか?
A1. 応募申請書、実施計画書、経費内訳、見積書、CO2削減量算出表、会社の概要など多岐にわたります。協会のホームページから様式をダウンロードして作成します。

Q2. 補助金はいつ受け取れますか?
A2. 事業完了後の実績報告と審査を経て交付額が確定し、その後請求書を提出して支払われます。通常、事業完了年度の3月31日までに支払いが完了します。

Q3. 他の補助金と併用は可能ですか?
A3. 国からの他の補助金とは原則として併用できません。地方公共団体からの補助金との併用は可能ですが、条件があります。

Q4. 直近の決算で債務超過がある場合、応募できないのですか?
A4. 原則として補助対象外ですが、関連企業等による事業継続の確約書などを提出し、事前に協会に相談すれば応募可能な場合があります。

Q5. 発電設備で発電した電力のうち、余剰の電力を売電してもよいですか?
A5. 自家消費率が30%以上を確保し、FIT/FIP制度を利用しない場合に限り、余剰電力の売電が可能です。

Q6. 既存の事業所に設備を増設することは、本補助事業の対象になりますか?
A6. はい、導入量が適切であることを示せる場合は対象となり得ます。CO2排出削減効果は、今回導入する補助事業による数値が必要です。

Q7. 熱利用設備のCO2削減コストの計算方法について教えてください。
A7. 「補助対象経費(円)を耐用年数期間で稼働させたときのCO2削減量(t-CO2)で割った値」として計算します。この結果が、公募要領記載の基準を下回る必要があります。

まとめ

まとめ

本コラムでは、北海道の企業が直面するエネルギーコスト課題に対し、バイオマスボイラー導入がいかに効果的か、そして環境省の補助金制度「再エネ熱利用・工場廃熱利用等の価格低減促進事業」の活用方法を解説しました。

バイオマスボイラーは、「カーボンニュートラル」な燃料でCO2排出量を削減し、化石燃料に依存しないことでエネルギーコストの安定化と長期的な「電気代削減」、「省エネ」を推進します。この補助金制度は、導入にかかる初期投資の負担を軽減し、企業の脱炭素化と経済性の両立を強力にサポートします。

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