北海道の企業向け|エアコン「2027年問題」とは?値上げ・品薄を避ける更新計画をやさしく解説

北海道で事業をしていると、エアコンは「夏の冷房」だけじゃなく、近年は暖房(ヒートポンプ)としても重要になってきました。

そんな中でよく聞くようになったのが 「エアコン 2027年問題」。一言でいうと、2027年度から始まる省エネ基準の強化をきっかけに、エアコン市場が「じわっと」変わり、結果として 価格・選べる機種・工事の混み方に影響が出やすい、という話です。

この記事では、北海道の法人(店舗・事務所・施設・工場など)が損をしないために、何が起きるのか/いつ何をすればいいかを、専門用語をできるだけ使わずにまとめます。
(情報は 2025年12月時点で、公的資料と業界資料を中心に整理しています。)

1. まず結論:2027年問題で起きやすいのは「3つ」

エアコン2027年問題は、突然「今のエアコンが全部使えなくなる」みたいな話ではありません。
ただし、次の3つは起きやすいです。

① 低価格モデルが減りやすい(=選択肢が狭まる)
② 需要が集中しやすい(=品薄・納期延び・工事が取れない)
③ 省エネ性能を理由に“価格帯の底”が上がりやすい(=平均価格が上がる)

この背景にあるのが、国の制度(トップランナー制度)に基づく家庭用エアコンの次期省エネ基準です。経済産業省は、家庭用エアコンの次期基準を策定し、代表的な機種区分で現行基準に比べて最大34.7%改善を見込む、と公表しています。
また、資源エネルギー庁のトップランナー対象の説明でも、2027年度以降に適用される目標基準値の区分が明記されています。

メディア記事でも、基準未達の低価格モデルが市場から減る可能性、駆け込み需要による品薄・価格上昇の懸念が整理されています(※あくまで“懸念”であり確定予言ではありません)。


2. 「2027年問題」の“2027”はいつ?(ここ、地味に大事)

ここでいう 2027年は、ふだんのカレンダーの「2027年1月」ではなく、制度上は 2027年度(一般に2027年4月〜2028年3月)として語られることが多いです。
つまり、体感としては 2026年後半〜2027年にかけて、市場がソワソワしやすい、と考えるのが現実的です。


3. 北海道の法人こそ影響を受けやすい理由

3-1. 「止まると困る」度合いが高い

北海道は、真夏の暑さも年々きつくなってきましたが、同時に冬場の室内環境も重要です。
店舗なら客足、事務所なら生産性、福祉・医療なら安全と快適性、工場なら品質管理。エアコンが止まると、売上や現場が直接ダメージを受けます。

3-2. “更新の先送り”がコスト高になりやすい

2027年度以降は省エネ基準が強化され、結果として市場全体のラインナップが変わりやすい。ここで先送りすると、

  • 「欲しい機種がない」
  • 「工事が空いていない」
  • 「とりあえず在庫で妥協」
    が起きやすく、トータルコスト(購入+工事+運用)が膨らみやすいです。

4. もう1つの見落としポイント:「冷媒(れいばい)」の流れ

2027年問題は省エネ基準の話として語られがちですが、法人の現場目線では、もうひとつ大事なのが冷媒(熱を運ぶガス)です。

国際的には、モントリオール議定書のキガリ改正を背景に、HFC(代替フロン)の生産・消費を段階的に削減する流れがあります。環境省の資料でも、キガリ改正の履行としてHFCの消費量を大きく削減していく方向性や、供給が減ることによる補充用冷媒の不足への配慮が示されています。
また、NITE(製品評価技術基盤機構)の資料でも、キガリ改正に基づく段階的削減や、低GWP(温室効果の小さい)冷媒への転換の流れが整理されています。

ここで大事なのは、次の現実です。

  • 「古い機種=即アウト」ではない
  • でも、将来的に補充用冷媒が高くなる/手配に時間がかかる可能性はある
  • その結果、修理の判断が「直す」から「更新」に寄りやすくなる

つまり、法人は「壊れたら直す」前提でギリギリ運用を続けるほど、将来の選択肢が狭まりやすい、という構図です。


5. 用語をやさしく:APFとGWPだけ理解すればOK

エアコンの話で出てくる略語は多いですが、最低限はこの2つです。

APF(エーピーエフ)

ざっくり言うと「省エネ性能の良さ」を示す指標。数字が大きいほど効率がよい(電気代が下がりやすい)と考えてOKです。次期省エネ基準も、このAPFなどを基に設定されています。

GWP(ジーダブリューピー)

地球温暖化への影響度合い(温暖化係数)。冷媒の議論で使われます。キガリ改正では、HFC削減の枠組みとしてGWPを採用して段階的削減を進める考え方が説明されています。


6. 北海道の法人が取るべき「更新の考え方」:値段ではなく“損益”で決める

法人の空調更新は、家電の買い替えとは別物です。ポイントは「本体が安いか」ではなく、トータルで得かです。

トータルで見るべき費用は主に4つです。

  1. 本体+工事費(初期費用)
  2. 電気代(運用費)
  3. 修理・保守(維持費)
  4. 故障による損失(機会損失:売上、クレーム、作業停止など)

メディアでも、最新モデルは電気代の削減により長期では得になりうる、という観点が紹介されています。
そして国の発表としても、省エネ基準の改善が見込まれている以上、効率面の差が広がりやすいのは自然です。


7. 「いつ動くべき?」北海道の法人向けタイムライン(現実的な順番)

焦って全台交換する必要はありません。けれど、準備なしで2027年度に突入すると、混雑や価格変動の影響を受けやすい。
おすすめは、“台帳づくり→優先順位→分割更新”の順番です。

7-1. 今すぐ(〜1か月):空調の台帳を作る

最低限この5項目だけで十分です。

  • 設置場所(店舗、厨房、事務所、客席、倉庫など)
  • 台数/メーカー/型番
  • 設置年(だいたいでOK)
  • 故障歴(ガス漏れ、基板、異音、効きが悪い)
  • 重要度(止まると致命的か)

7-2. 次に(〜3か月):優先順位をつける

一般的に、先に手を付けたいのは次のタイプです。

  • 客席・執務室など、止まると影響が大きい
  • すでに効きが落ちている、ガス漏れ歴がある
  • 真夏・真冬の稼働が長い
  • 設置から年数が経っている(目安として7〜10年超)

※年数はあくまで“目安”です。重要なのは故障傾向と重要度です。

7-3. 最後に(〜6か月):工事の山を避ける

法人の更新は工事が必須なので、繁忙期(暑くなる直前)に駆け込まないのが最大の節約です。
2027年度が意識され始めると、前倒しで動く人が増える可能性があります(需要集中の懸念は複数記事で指摘されています)。


8. 法人は「フロン排出抑制法」の観点も忘れない

業務用の空調(特に一定規模の機器)では、フロン排出抑制法に基づき、管理・点検・記録などが関係してきます。
環境省の説明資料や、関連機関の資料では、法改正や、点検を含む管理の重要性、キガリ改正の履行と合わせて社会的混乱回避が論点として出ています。

現場的には、「管理が面倒」というより、漏えいが起きると修理も高くつくので、結果として運用コストの差になります。


9. 省エネ機種の選び方:北海道なら“暖房の強さ”も必ず見る

北海道でよくある失敗は、冷房能力だけ見て決めてしまうことです。
冬の運用を考えるなら、少なくとも次を意識すると失敗しにくいです。

  • 暖房をどのくらい使うか(時間・期間)
  • 低外気温時に能力が落ちないか(機種の特徴差が出やすい)
  • 室外機の設置環境(吹雪、着雪、排気の再循環など)

そして、空調だけ入れ替えても改善しないケースもあります。
本当に効かない原因が「換気」「断熱」「扉の開閉」「厨房排気」などの場合、空調更新は“対症療法”になりがちです。ここは現地の使い方と合わせて設計すると、投資効率が上がります。


10. 補助金・支援策は「対象かどうか」だけ先に当てる

省エネ設備更新を支援する制度はありますが、年度や公募で要件が変わります。
少なくとも、SII(環境共創イニシアチブ)の省エネ補助金の公的ポータルは、最新情報の一次確認に使えます。

大事なのは、最初から全部を調べ切ろうとしないことです。
まずは、

  • 対象になりそうか(設備種類・規模)
  • いつ公募か
  • 何が必要か(見積、図面、仕様、運用データなど)

この“当たり”だけつけると、更新計画が一気に現実になります。


11. よくある誤解Q&A(2027年問題で混乱しやすいところ)

Q1. 2027年になったら、今のエアコンは使えなくなる?

いいえ。「使えなくなる」という性質の話ではなく、新しい省エネ基準が始まることで、市場に出る機種の構成が変わる話です。

Q2. 今買うと損?2027年まで待つべき?

一概に逆です。法人は「止まる損失」が大きいので、状態が悪い機器を引っ張るほど損になりやすいです。
一方で、新しめの機器まで全部前倒し交換する必要はありません。台帳で“替える台”と“待つ台”を分けるのが正解です。

Q3. 冷媒の規制で修理できなくなる?

「必ず修理不可」ではありません。ただ、国際枠組みによる段階的削減が進むため、将来は補充用冷媒の不足や価格上昇が論点として扱われています。


12. totokaの考え方:空調更新は“工事”ではなく“経営判断”

totokaでは、空調を「設備」ではなく「経営の固定費」として扱います。
やることはシンプルで、

  • 台帳化して見える化
  • 優先順位をつける
  • 更新を分割して、繁忙期の山を避ける
  • 電気代(運用費)まで含めて損益で判断する

この流れに落とし込みます。
2027年問題は、怖がるイベントではなく、更新計画を“主導権を持って”進めるチャンスです。北海道は空調の重要度が高い分、段取りの差がそのまま利益の差になります。

エアコンの更新等を検討の法人様は弊社までお気軽にご相談ください。まずは無料で対応させていただきます。