【再エネの比率が過去最高に】北海道の再生可能エネルギー割合が初の40%超え

北海道で電気をつくる方法が、大きく変わりつつあります。2023年度、道内の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合が40.5%に達し、初めて4割を突破しました。全国平均が約22.9%であることを考えると、北海道はまさに「再エネ先進地」と呼べる水準です。

電気代の高騰やカーボンニュートラルへの対応に頭を悩ませている北海道の企業経営者にとって、この再エネの急拡大は無関係ではありません。本記事では、道内の再エネ最新データから国の政策動向、さらには今後の課題まで、北海道で事業を営む方が押さえておきたいポイントを解説します。

この記事でわかること
✅ 北海道の再生可能エネルギー比率40.5%の内訳と急伸の背景
✅ 第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)で示された2040年度の電源構成目標
✅ 石狩湾・松前沖など、道内で進む洋上風力発電の最新動向
✅ 送電網整備や出力抑制など、再エネ拡大に伴う課題と企業への影響

北海道 国の2030年度目標をすでに達成|全国に先駆ける北海道の再エネ

国の第6次エネルギー基本計画では、2030年度の再エネ比率目標を36~38%としていました。北海道は2023年度時点で40.5%に達しており、この目標をすでにクリアしています。再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが全国の約23%を占める北海道は、日本の再エネ普及を牽引する存在です。

1. 北海道の再生可能エネルギー比率が初の4割超え|2023年度の最新データ

① 再エネ比率40.5%の内訳

北海道の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2023年度に40.5%を記録しました。前年度の35.1%から5.4ポイントもの上昇です。わずか1年でこれほど大きく伸びた背景には、風力発電と太陽光発電の急速な拡大があります。

電源2022年度2023年度変化
風力発電4.6%7.9%+3.3pt
太陽光発電8.9%10.3%+1.4pt
水力・地熱・バイオマス等21.6%22.3%+0.7pt
再エネ合計35.1%40.5%+5.4pt

特に風力発電は前年度の約1.7倍に急増しました。北海道北部での新規風力発電所の稼働や、石狩湾新港沖の洋上風力発電所の完成が大きく寄与しています。

② 全国平均との比較

全国の2023年度における再エネ発電比率は22.9%です。北海道の40.5%は全国平均の約1.8倍にあたります。北海道は広大な土地と良好な風況、豊富な水資源を有しており、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった多様な再エネ資源に恵まれた地域です。

💡 ポイント:なぜ北海道で再エネが急拡大しているのか

北海道は再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが全国随一です。特に風力発電の適地が多く、北海道北部や日本海側では大規模な風力発電プロジェクトが相次いで稼働を開始しています。FIT制度(固定価格買取制度)による投資回収の見通しが立ちやすくなったことも、導入加速の後押しとなりました。

2. 国のエネルギー政策はどう変わった?|第7次エネルギー基本計画のポイント

① 2040年度の再エネ比率目標は「4割~5割」

2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成として再生可能エネルギーの比率を40~50%とする目標が示されました。再エネが初めて最大の電源として位置づけられた画期的な計画です。

電源2023年度(実績)2040年度(目標)
再生可能エネルギー22.9%40~50%
原子力8.5%20%程度
火力(化石燃料)68.6%30~40%

再エネの内訳としては、太陽光が23~29%、風力が4~8%、水力が8~10%が目標値です。特に洋上風力発電は導入拡大の「切り札」と位置づけられ、2040年までに浮体式を含む30~45GWの案件形成が目指されています。

② 北海道はすでに「2040年度の全国目標」水準にある

注目すべきは、全国の2040年度目標である再エネ比率40~50%を、北海道は2023年度の時点で達成しているという事実です。全国が今後15年以上かけて目指す水準に、北海道はいち早く到達しました。

これは北海道の企業にとって大きな意味を持ちます。再エネ電力の調達が比較的しやすい環境にあることは、脱炭素経営やRE100(事業活動に必要な電力を100%再エネで調達する国際イニシアティブ)への対応においてアドバンテージとなるでしょう。

💡 ポイント:温室効果ガス削減目標も大幅引き上げ

第7次エネルギー基本計画と同時に、政府は温室効果ガスの新たな削減目標も閣議決定しました。2013年度比で2035年度に60%減、2040年度に73%減という野心的な数値です。企業のCO2排出削減への対応は、ますます重要度を増しています。

3. 北海道で加速する洋上風力発電|石狩湾・松前沖の最新動向

① 石狩湾新港沖:道内初の大型洋上風力が商業運転へ

石狩湾新港の沖合では、出力約11.2万kWの洋上風力発電設備が建設されました。8,000kWの風車14基が設置され、商業運転が開始されています。北海道で本格的に稼働する大型洋上風力発電所の先駆けです。

さらに、石狩市沖は国から「有望な区域」に整理されており、今後は法定協議会の設置を経て促進区域への格上げが見込まれます。出力91万~114万kWという国内最大規模の洋上風力発電が計画されており、実現すれば道内の再エネ比率をさらに押し上げるでしょう。

② 松前沖・檜山沖:促進区域に指定

2025年には、北海道松前沖と檜山沖の2海域が洋上風力発電の「促進区域」に指定されました。促進区域とは、国が事業者を公募するための正式な海域指定です。早ければ2025年秋にも事業者の公募が始まる見通しとなっています。

北海道の日本海側は年間を通じて強い風が吹く好風況の海域です。今後もさらなる洋上風力発電の拡大が見込まれています。

③ 北海道から本州への海底送電線計画

北海道で生み出される大量の再エネ電力を本州にも届けるため、国の「広域連系計画マスタープラン」では北海道と本州を結ぶ海底送電線の新設が計画されています。既存の北本連系線(90万kW)に加え、2030年度を目標に大規模な海底直流送電ケーブルの整備が進められる見通しです。

⚠ 注意:再エネの「出力抑制」にも注意が必要

再エネの導入が進む一方、電力の供給が需要を上回ると「出力抑制」(発電を一時的に止めること)が発生します。北海道でも将来的には出力抑制の頻度が増える可能性があります。自家消費型の太陽光発電を導入する企業は、蓄電池の併用なども視野に入れて計画することが望ましいでしょう。

4. 再エネ拡大は北海道の企業にどう影響する?|課題と今後の展望

① 送電網の整備と電力コストへの影響

再エネの大量導入を支えるには、送電網の増強が不可欠です。現在の北海道の送電容量では、すべての再エネ電力を送り切れない場面も出てきています。送電網整備のための投資は、託送料金(送電にかかる費用)として電気料金に反映される可能性があり、企業の電力コストに影響を与え得る要素です。

② 冬季の電力需要と蓄電技術の重要性

北海道は寒冷地であり、冬季の暖房需要により電力消費が大きく跳ね上がります。一方、太陽光発電は冬季に発電量が落ちるため、季節変動への対応が重要な課題です。蓄電池や水素への変換による長期貯蔵技術の活用が、今後ますます求められるでしょう。

③ GX投資の呼び込みと地域経済への効果

北海道の豊富な再エネ資源は、データセンターや半導体工場といったGX(グリーントランスフォーメーション)関連産業の誘致にもつながっています。北海道と札幌市は「GX投資最大40兆円の呼び込み」を掲げ、再エネを活用する産業の集積を目指しています。

洋上風力発電の建設やメンテナンスに関連する雇用も期待されており、北海道の地域経済にとってプラスの波及効果が見込まれます。

④ 地域社会との共生

再エネの急速な拡大は、景観への影響や生態系への配慮など、地域社会との調和も重要な課題です。国の第7次エネルギー基本計画でも「地域との共生」が再エネ導入の前提条件として明記されています。事業者と地域が対話を重ねながら、持続可能な形で導入を進めることが求められます。

北海道 再エネ拡大の中で北海道企業が意識したい4つのポイント

再エネ比率4割超えの時代に、北海道の企業が押さえておきたいポイントは以下の通りです。

電力調達の見直し:再エネ電力の割合が高い北海道では、RE100やカーボンニュートラルへの対応が他地域より進めやすい環境にある
自家消費型再エネの検討:太陽光発電+蓄電池の導入により、電気代削減と脱炭素を同時に実現する企業が増えている
補助金・制度の活用:国や北海道のGX関連補助金、省エネ支援策の最新情報をチェックし、投資のタイミングを見極める
排出量取引への備え:2026年から本格化するGX-ETS(排出量取引制度)に向け、自社のCO2排出量の把握と削減計画の策定を進める

5. まとめ|再エネ4割超えの北海道が描くエネルギーの未来

北海道の再生可能エネルギー比率が40.5%を達成したことは、全国に先駆けた大きな成果です。風力発電の急拡大を中心に、太陽光・水力・バイオマスなど多様な再エネが道内の電力供給を支えています。

国の第7次エネルギー基本計画では、2040年度に再エネ比率40~50%が目標として掲げられました。北海道はすでにこの水準にあり、洋上風力発電のさらなる導入や送電網の増強により、今後も全国のモデルケースとなり続けるでしょう。

一方で、送電インフラの整備、冬季の電力需給バランス、地域との共生といった課題も残されています。再エネ拡大はチャンスであると同時に、企業にとっても電力調達やコスト構造を見直す転換点です。最新の動向にアンテナを張りながら、自社のエネルギー戦略を考えてみてはいかがでしょうか。

記事情報
公開日:2026年3月22日
参照資料:北海道新聞「北海道内の再エネ比率40%超 23年度」(2024年7月)、資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月閣議決定)、資源エネルギー庁「令和5年度エネルギー需給実績」、北海道庁 GX推進局「道内における新エネルギー導入の状況」、日本経済新聞「北海道を洋上風力海域に指定へ」(2025年6月)
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新情報は資源エネルギー庁および北海道庁 GX推進局をご確認ください。