北海道の企業の皆様、日々の事業活動においてエネルギーコストの最適化は喫緊の課題ではないでしょうか。特に、世界情勢の変化や脱炭素化への国際的な潮流は、燃料価格の変動やCO2排出量削減のプレッシャーとして、私たちの経営に大きな影響を与えています。
しかし、この課題は同時に、持続可能な経営へと舵を切る大きなチャンスでもあります。政府は、工場の脱炭素化を加速させるための強力な支援策として、「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業（SHIFT事業）」を推進しており、その中でも「燃料転換」はCO2排出量削減とエネルギーコスト最適化に直結する有効な手段です。
本コラムでは、このSHIFT事業における燃料転換補助金に焦点を当て、北海道の企業がどのようにこの制度を活用し、持続可能な経営を実現できるかを詳細に解説します。
SHIFT事業とは？基礎知識を徹底解説
SHIFT事業は、環境省が推進する補助金制度です。2050年カーボンニュートラルや2030年度の温室効果ガス60%削減といった目標達成に向け、バリューチェーン全体のCO2排出削減を図り、排出削減と経済成長の同時実現を目指しています。
SHIFT事業の目的と全体像
SHIFT事業は、大きく分けて以下の二つの柱で構成されています。
- 省CO2型システムへの改修支援事業（改修支援事業）： 工場・事業場における電化・燃料転換・熱回収等の省CO2型システムへの改修を支援します。
- DX型CO2削減対策実行支援事業（実行支援事業）： DXシステムを用いた運用改善や運転管理データに基づく効果的な改修設計などのモデル的な取組を支援します。
補助対象となる「燃料転換」の定義と範囲
本コラムの主要テーマである「燃料転換」は、SHIFT事業において「単位エネルギー量あたりのCO2排出量がより小さい燃料への転換」を指します。これには、燃料利用から電力利用への転換である「電化」も含まれます。
【具体的な対策事例】
- A重油焚きボイラーから都市ガス焚きボイラーへの更新
- 灯油給湯器からガス給湯器への置き換え
- ガス給湯器からヒートポンプ給湯機への置き換え（電化）
ただし、LNGから都市ガスへの燃料転換など、排出係数が変わらない場合は補助対象外となります。
補助金の対象となる事業者と工場・事業場
SHIFT事業の補助金を申請できるのは、以下の条件を満たす法人・団体です。
- 民間企業（個人および個人事業主は除く）
- 独立行政法人、大学法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人
- 協同組合等
- 一般社団法人・財団法人、公益社団法人・財団法人
- 直近2期の決算において、連続の債務超過がないこと
特に、DX型CO2削減対策実行支援事業の申請者は、「中小企業基本法第2条に定義される中小企業者」である必要があります。
補助対象となる工場・事業場は、日本国内に存在し、以下のCO2排出量要件を満たす必要があります。
- 改修支援事業： 年間CO2排出量が50t-CO2以上
- 実行支援事業： 年間CO2排出量が50トン以上3,000トン未満
補助率と補助上限額
- 省CO2型システムへの改修支援事業
- 補助率：1/3
- 補助上限額：
- CO2排出削減量が4,000t-CO2/年未満の場合：上限1億円
- CO2排出削減量が4,000t-CO2/年以上の場合：上限5億円
- DX型CO2削減対策実行支援事業
- 補助率：3/4
- 補助上限額：200万円
補助金申請から交付までの具体的なステップ
SHIFT事業の補助金申請は、jGrantsという電子申請システムを介して行われます。
申請準備：支援機関の選定と見積もり
補助金申請の第一歩は、SHIFT事業に対応可能な「支援機関」の選定です。
- 支援機関の選定: 協会SHIFT事業ウェブサイトのリストから、2者以上のDX型支援が可能な支援機関から見積書を取得する必要があります。
- 見積書の保管: 相見積もり時の見積書は、交付申請時に必要となるため、必ず保管してください。
- 選定と合意: 提出された見積書と支援内容を比較し、支援機関を選定します。
交付申請：jGrantsでの手続きと提出書類
- GビズIDの取得: jGrantsを利用するためには、事前にGビズID（gBizIDプライムまたはgBizIDメンバー）の取得が必須です。発行には時間がかかる場合があるため、早めに準備してください。
- 申請期間: 令和7年度の公募期間は、令和7年7月14日（月）から令和7年8月22日（金）12時までです。
- 提出書類: 交付申請書、整備計画書、CO2削減計画書、CO2排出量計算書、経費内訳などの指定様式に加え、支援機関の見積書、決算書、事業場の図面などが必要です。
- CO2排出量計算の重要性: 申請にはCO2排出量計算書とCO2削減計画書の策定が必須です。環境省が提供する**「設備更新等によるCO2削減効果の算定ツール」**の使用が推奨されています。
交付決定から事業実施、そして完了まで
申請書提出後、協会による審査を経て、交付決定通知書が発行されます。
- 事業開始のタイミング: 補助事業は、協会の交付決定日以降に開始することができます。交付決定日以前に発注や契約を行った経費は補助対象外です。
- 完了実績報告書の提出: 実行支援事業の場合、遅くとも令和8年2月13日までに事業を完了させ、事業完了日より30日以内、または令和8年2月20日のいずれか早い日までに完了実績報告書を提出します。
- 補助金の交付: 完了実績報告書の審査を経て交付額が決定し、請求書提出後に指定口座に振り込まれます。
- 事業実施後の報告義務: 補助金交付後3年間、年度ごとにCO2排出量の実績等を報告する義務があります。
事例で見る！北海道企業が燃料転換補助金を活用するメリット
ここでは、北海道企業がSHIFT事業の燃料転換補助金を活用する具体的なイメージを、ご紹介します。
北海道の製造工場におけるA重油ボイラーから都市ガスボイラーへの転換
北海道の製造工場が、老朽化したA重油焚きボイラーを高効率な都市ガス焚きボイラーへ転換する計画を立てました。
- 【現状（対策実施前）】
- 燃料種別: A重油
- 年間使用量: 72kL
- ボイラー効率: 90%
- 【計画（対策実施後）】
- 導入設備: 都市ガス焚きボイラー
- ボイラー効率: 96%
- 【CO2削減効果の算定（シミュレーション）】
- 計算ツールによると、A重油100kL/年から都市ガスへの転換で、CO2削減量91t-CO2/年、削減率33.2%といった試算例が示されています。
- 【補助要件への適合】
- この事例は、SHIFT事業の要件である「主要なシステム系統で30%以上削減」を満たす可能性が高いです。
- 【totokaのノウハウで成功を後押し】
- totokaは、DXシステムの導入・活用支援、データに基づく最適な運用改善の提案、複雑なCO2削減効果算定のサポート、事業実施後の継続的な報告義務への対応など、補助金活用を全面的にサポートします。
よくある質問（FAQ）
Q1: SHIFT事業の補助金申請に必要な書類は何ですか？
A1: 交付申請書、整備計画書、CO2削減計画書、CO2排出量計算書、経費内訳などの指定様式に加え、支援機関の見積書（2者以上）、決算書、事業場の図面など多岐にわたります。
Q2: 補助金はいつ受け取れますか？
A2: 事業完了後、完了実績報告書を提出し、審査を経て交付額が確定した後、請求書に基づいて支払われます。
Q3: 補助対象外となる経費にはどのようなものがありますか？
A3: 交付決定日より前に発生した経費、事務所の家賃、既存設備の撤去費用、DXシステムの維持管理費（ランニングコスト）などは補助対象外です。
Q4: どのような工場・事業場がSHIFT事業の対象となりますか？
A4: 日本国内に所在し、年間CO2排出量が50t-CO2以上の工場または事業場です。DX型の場合は、年間50トン以上3,000トン未満の中小企業等が対象です。
Q5: 燃料転換以外の対策も必要ですか？
A5: はい。特にDX型では、設備導入以外の運用改善策を3つ以上検討し、複数実施することが原則必須です。
Q6: 補助金の申請手続きは難しいですか？
A6: jGrantsでの電子申請やCO2削減効果の算定など、専門的な知識と正確な情報が必要となるため、複雑な側面があります。
Q7: 北海道での具体的な燃料転換の成功事例はありますか？
A7: 参照資料に特定の北海道企業の事例はありませんが、前述の仮想事例のように、SHIFT事業の取り組みは北海道の工場でも十分に実現可能で、大きな効果が期待できます。
まとめ：エネルギーコスト削減はtotokaへ
本コラムでは、北海道の企業の皆様が直面する課題に対し、SHIFT事業における燃料転換補助金がいかに有効な解決策となるかを解説しました。
SHIFT事業は、単なる設備更新に留まらず、DXシステムを活用した運用改善やデータに基づく継続的な脱炭素化を促す、先進的かつ実践的な補助金制度です。「北海道 補助金 燃料転換」を検討されている企業様にとって、この制度は将来を見据えた投資を強力に後押しするものです。
複雑な申請要件やCO2排出量算定など、補助金活用には専門的な知見が不可欠です。
エネルギーコスト削減でお悩みの際は、ぜひ株式会社totokaまでお気軽にご相談ください。 貴社の持続可能な成長と、豊かな北海道の未来のために、totokaが全力で伴走します。
