- はじめに:なぜ、いま「北海道×空調更新」なのか
- 1. totokaの提供価値(最短で“数字”を出す伴走)
- 2. 北海道の空調更新で重視すべき3要素
- 3. 更新のメリット(企業目線で“効く”ポイント)
- 4. 更新で得られる6つの効果(KPIの持ち方)
- 5. 方式の選び方:EHP・GHP・併用の考え方
- 6. おおまかな費用感と回収年の考え方(素人でもできる簡易試算)
- 7. 補助金の使い方(国+道の二段構え)
- 8. 2025年のトレンド(意思決定に効く最新情報)
- 9. 工期と段取り(冬を味方にする計画術)
- 10. よくある質問(FAQ)
- 11. すぐできる“簡易診断”チェックリスト
- 12. まとめ:数字で意思決定し、冬前に仕掛ける
- 付録:手計算でできる“更新効果”の算出メモ
- 相談・見積の進め方(テンプレ)
はじめに:なぜ、いま「北海道×空調更新」なのか
北海道の空調更新は、単なる「古いから新しく」では終わりません。冬が長く、朝夕の冷え込みが厳しい地域特性ゆえに、暖房の底力(低外気温でも能力を維持できるか)と除霜の挙動(暖房を途切れさせない制御)が、ランニングコストにも快適性にも直結します。さらに、補助金の活用や冷媒の規制動向は、回収年や機種の将来性を大きく左右します。
本稿は、北海道の事業者が実務で使える判断軸を「最短で数字に落とす」視点でまとめました。最後に、手計算できる簡易試算のやり方も紹介します。
1. totokaの提供価値(最短で“数字”を出す伴走)
totokaは、請求書・設備台帳・冬の不満点(立ち上がりが遅い/除霜が多い等)を短時間で棚卸し、寒冷地性能×運用改善×補助金を1枚に集約します。
「どの方式・機種が良いか」「補助金を使うと回収は何年か」「工期はいつが最短か」――意思決定の肝を定量で示し、調達と施工、運用最適化まで伴走します。
2. 北海道の空調更新で重視すべき3要素
2-1. 寒冷地性能(暖房の底力と除霜の賢さ)
外気温−20〜−25℃でも暖房を継続できる寒冷地向けパッケージやビル用マルチは、北海道での第一選択肢です。
たとえば三菱電機「ズバ暖マルチR2」は外気温−25℃まで運転可能で、除霜中も暖房を継続する制御を備えます。パナソニックの寒冷地向けシリーズも全機種−25℃暖房運転に対応と明記。こうした“底力”が、冬の朝一番の快適性と、生産性・来店体験に効いてきます。
2-2. 費用回収(回る投資にする)
更新効果は、既設の効率低下や暖房使用時間、電力・ガス単価で大きく変わります。補助金を活用できるかも回収年を左右するポイント。
国の「省エネ投資促進支援事業(SII)」や、北海道の省エネルギー設備導入支援事業などを組み合わせると、1〜2年単位で回収短縮が見込めるケースがあります(年度で要件・公募期間が変動)。
2-3. 法規・冷媒(将来対応を先回り)
フロン排出抑制法の指定製品制度では、製品区分ごとの低GWP化の目標が定められ、ビル用マルチ等でも低GWP冷媒への移行が進んでいます。
2025年以降、GWP750以下の採用が義務化される新設カテゴリが出ており、更新機はこの潮流を前提に選ぶのが安全です。将来の保守・更新コスト、機種の選択肢にも関わるため、早めに織り込みましょう。
3. 更新のメリット(企業目線で“効く”ポイント)
- ランニングコストの削減:低外気温での効率差・除霜ロス低減が、冬の電気(またはガス)コストに直撃。
- 快適性・来店体験の改善:吹出温度の立ち上がりが速く、連続暖房が途切れにくい。執務・接客の質に寄与。
- 故障・停止リスクの低減:部品供給や点検容易性が向上。突発停止による売上機会損失を抑制。
- 脱炭素の推進:CO₂排出係数×削減エネルギーで削減量を見える化。報告・開示にも活用可能(例:北海道電力の2023年度係数0.532kg-CO₂/kWh)
4. 更新で得られる6つの効果(KPIの持ち方)
- 暖房立ち上がり時間の短縮
- 除霜回数の減少/連続暖房時間の延伸
- kWh・m³・デマンドピークの低減
- 故障回数・点検時間の削減
- 室温の安定(温度ばらつき・局所寒冷の抑制)
- 年間CO₂排出量の削減(係数×削減kWhで算出)
KPIは「体感」と「計測」の両輪で。請求書・BEMS・室温ログを月次で見る習慣をつくれば、次の投資判断が速くなります。
5. 方式の選び方:EHP・GHP・併用の考え方
5-1. EHP(電気式ヒートポンプ)
ラインナップが豊富で、寒冷地向けの高効率機も多い。電力のCO₂排出は系統の排出係数に依存するため、脱炭素のストーリーを描きやすい側面があります。除霜制御の賢さやAI制御との相性も強み。
5-2. GHP(ガス式ヒートポンプ)
暖房の立ち上がりが早いのが特徴で、外気温の低下にも強い。排熱活用により霜取りのロスを抑えやすい設計もあり、寒冷地の朝一番の負荷に向く現場があります。ランニングはガス単価・保守費も加味してTCOで評価します。
5-3. 使い分けの定石
- オフィス・店舗:EHP中心+デマンド管理/必要に応じてGHP併用
- 学校・医療・避難所:BCP観点でGHPやハイブリッドも検討
- 工場・倉庫:寒冷地EHP+ゾーニング、人感・スケジュール制御で“上乗せ”
6. おおまかな費用感と回収年の考え方(素人でもできる簡易試算)
6-1. まず揃える数字(自社の値に置換)
- 能力帯/台数/既設の年式・冷媒
- 使用時間(特に暖房)と契約単価(電力・ガス)
- 補助率・上限(国+道+市町村)
- 保守費・故障頻度(年平均)
6-2. 削減量の考え方(電気式の例)
(1)既設と新設の消費電力差(kW)を計算
(2)差(kW)×年間稼働時間(h)=年間削減kWh
(3)年間削減kWh×電力単価(円/kWh)=電気代削減額
(4)保守費削減(部品・点検の減)を上乗せ
(5)補助金適用後の実質初期費用を算出
(6)単純回収年=実質初期費用÷(電気代削減+保守費削減)
※CO₂削減は、年間削減kWh×排出係数でOK。北海道電力の2023年度調整後係数は0.532kg-CO₂/kWhです。
6-3. ざっくり例(考え方の一例)
- 既設の冬季平均消費電力がX kW、更新後がY kW、差がΔ=X−Y
- 冬期の実稼働がh時間/年、電力単価p円/kWh
- 年間削減kWh=Δ×h、電気代削減=(Δ×h)×p
- 補助率1/3の場合、初期費用の実負担は2/3に低減
- 最後に、保守費削減と合わせ回収年を計算。
(SIIや道の補助制度は年度で要件・公募スケジュールが変動するため、最新情報の確認が重要)
7. 補助金の使い方(国+道の二段構え)
まずは国の省エネ補助金(SII)を確認。設備単位で高効率空調が対象になる枠があり、補助率1/3(中小要件で加点・優遇の年もあり)などの条件が代表的です。スケジュールは年度や補正で動くため、公募開始の前に設計を終わらせるのがコツです。
次に北海道の独自制度。2025年度(令和7年度)の「省エネルギー設備導入支援事業」は4〜6月で公募し、予算枠内で採択される形式でした。要件・時期は年度で変動するため、道のページで必ず最新をチェックしましょう。
(自治体メニューは市民向けが多い一方、事業者を対象とするものもあります。制度名称・対象者区分の読み落としに注意)
8. 2025年のトレンド(意思決定に効く最新情報)
- 低GWP化の加速:フロン排出抑制法の指定製品制度に基づき、ビル用マルチの一部カテゴリでGWP750以下が義務化。更新機はR32等の採用が進んでいます。将来の保守・更新コストを見据え、次の更新でも主流が続く冷媒を選ぶ構えが重要です。
- 寒冷地モデルの高度化:−25℃運転や、除霜中も暖房を継続する制御など、“止まらない暖房”が当たり前に。朝の生産性・来店体験への寄与が大きく、現場満足度が上がります。
- 制御×運用の一体設計:AIやセンサー制御、BEMS連携で「人がやらないと動かない省エネ」から卒業。設計段階で運用ルール(時差立上げ・人感・スケジュール)まで織り込むと、導入効果が安定します。
9. 工期と段取り(冬を味方にする計画術)
- 現地調査→基本設計→見積→補助申請→採択→施工までを逆算し、冬前のラッシュを避ける工程を。
- 竣工後は、除霜ログや室温ログを最初の1〜2か月で点検。朝の一斉起動はデマンド悪化の温床です。時差点灯・ゾーニングのルールを運用に落とし込みましょう。
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 北海道でEHP暖房は本当に実用的?
A. 寒冷地モデルは−25℃対応の機種もあり、除霜中も暖房継続できる制御を搭載。ボイラーやGHPの既存熱源と全体最適で比較検討するのが定石です。
Q2. 補助金は毎年同じですか?
A. いいえ。公募時期・要件・枠が年度や補正で動きます。国(SII)と道の最新ページを都度確認し、設計を先に終えるのが採択・工期短縮のコツです。
Q3. 冷媒規制は更新判断に影響しますか?
A. します。低GWP化が進み、ビル用マルチの一部カテゴリではGWP750以下が条件化。将来の保守・更新コスト、機種選択の自由度にも関わるため、対応済み機を選ぶべきです。
Q4. GHPの強みは?
A. 暖房立ち上がりの速さや、低外気温時の強さが特長。ガス側の価格・保守費を含め、TCOで評価しましょう。
11. すぐできる“簡易診断”チェックリスト
- 冬の朝、室温が目標に届くまで何分かかっているか
- 除霜で暖房が何分途切れているか(ログ/体感)
- 冬季ピークの時刻とデマンド値は
- 既設機の年式・冷媒、最近の故障履歴
- 使用時間・契約単価(電力・ガス)を最新化
- 該当しそうな補助金の要件(対象者/設備区分/期間)
12. まとめ:数字で意思決定し、冬前に仕掛ける
北海道の空調更新は、寒冷地性能と除霜制御が効率と快適性を決め、補助金と冷媒トレンドが回収年と将来性を決めます。
最短で成果を出すには、
(1)現状の数字を集める→(2)機種と補助金を同時に設計→(3)運用ルールまでまとめて実装
の順番が近道です。
「まずは自社の一次仮説を持つ」ために、請求書・設備台帳・冬の不満点を整理し、簡易試算から始めましょう。
付録:手計算でできる“更新効果”の算出メモ
(電気式EHP更新の例)
- 既設の平均消費電力:X kW
- 更新後の平均消費電力:Y kW
- 差:Δ=X−Y(kW)
- 冬期の年間稼働時間:h(時間)
- 年間削減電力量:Δ×h(kWh)
- 電気代削減:(Δ×h)×p(円) ※pは電力単価
- 保守費削減:年間▲A円(点検・部品等の減)
- 補助後の実質初期費用:初期費用×(1−補助率)
- 単純回収年=実質初期費用÷(電気代削減+保守費削減)
- CO₂削減=年間削減kWh×0.532(kg-CO₂/kWh)(北海道電力2023年度調整後係数の例) ヘプコ
(ガス式GHP更新の例)
電力とガスの原単位(円/kWh・円/m³)をそれぞれ使い、年間削減額を合算。保守費やデマンド低減(電力基本料金)の効果も別建てで入れると精度が上がります。
相談・見積の進め方(テンプレ)
- ご用意いただくもの:請求書(直近3か月)、設備台帳(型式・年式)、冬の不満点メモ
- totokaの進め方:現地調査 → 設計(方式・機種・補助金) → 試算(kWh/円/CO₂・回収年) → 施工 → 運用最適化
- まずは1〜2拠点でパイロット導入 → 実績を確認して横展開
参考・出典(主要な根拠)
- 北海道電力:2023年度CO₂排出係数(調整後)0.532kg-CO₂/kWh。暫定0.531から確報0.532へ更新。 HEPCO
- SII:令和6年度補正「省エネ投資促進支援事業」公式案内(公募・手続・算定ツール等の総合窓口)。年度で要件・期間が変動。 SII
- 北海道(道):「令和7年度 省エネルギー設備導入支援事業」告知(公募期間・事業概要)。毎年度の案内を要確認。 北海道庁
- フロン排出抑制法/指定製品制度:低GWP化の目標と対象区分、事業者の遵守事項。 経済産業省
- 冷媒低GWP化の動向(例):ビル用マルチの新設カテゴリでGWP750以下義務化の解説記事。 三菱自動車
- 寒冷地モデルの技術:三菱電機「ズバ暖マルチR2」(−25℃運転、除霜中も暖房継続)、パナソニック寒冷地向けシリーズ(全機種−25℃)。 三菱電機 オフィシャルサイト空調・換気・給湯設備(ビジネス) | Panasonic
- GHP/EHPの特徴:パナソニック公式ブログによる比較解説(暖房立ち上がり等)。