本稿は令和6年度補正「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅲ:設備単位型)」を前提に、審査の追加評価(いわゆる加点)として押さえるべき5要素を、北海道の企業に最適化して解説します。記載は2025年9月時点の公表資料に基づきます。最新の公募要領・手引は必ず一次情報をご確認ください。(参照先:SII)
審査で一歩抜け出す“加点5本柱”を、実務目線でまるっと解説
補助金の審査は、点数の世界です。
省エネ率・省エネ量などの“土台点”が合否を決めるのはもちろんですが、最後の一押しになるのが加点。ここを押さえておくかどうかで、同じ内容でも通りやすさが変わります。
この記事では、SII「指定設備(Ⅲ:設備単位型)」で加点として評価されやすい5要素——
- 経営力向上計画
- 省エネ診断
- パートナーシップ構築宣言
- 経営革新計画(承認企業)
- パートナー金融機関による確認書
を、北海道の企業向けに、準備の順番・社内の巻き込み方・書類の“見せ方”まで含めて整理します。
※年度ごとに細部は変わります。最終判断は最新の公募要領をご確認ください。
なぜ加点が効くのか(30秒で把握)
- 基本の評価軸(省エネ率・省エネ量・費用当たりの効果など)で並ぶと、外部からの裏付けや経営としてのコミットがある案件が一歩前に出やすい。
- 書類を積み増すというより、“意思決定の筋道”を見せる作業だと捉えると整理が早くなります。
- 北海道は寒冷地特性・繁忙期の二峰性・物流距離といった事情で、提案の説得ポイントが多い地域。そこに加点要素を重ねていくと審査の読みがスムーズです。
5本柱の使い分けと最短ルート
① 省エネ診断 —— “投資の根拠”を外部が言ってくれる
第三者の専門家が現地やデータを見て、ムダと改善案を出してくれる制度。今回の設備更新と数字でつながるので、審査が読みやすくなります。
最初の一歩
請求明細・日報・BEMSがなくても動けます。月次の電気・ガス・燃料の請求書と、設備の型式・設置年だけでも準備して省エネ診断を受けてみましょう。
② パートナー金融機関の確認書 —— “社外の目利き”が背中を押す
道内の金融機関(地銀・信金など)に、省エネ投資の妥当性や取り組み状況を定型様式で確認してもらいます。地域の伴走者がいるという事実は、審査で好印象です。
既にお付き合いのある支店でOKです。
北海道のパートナー金融機関は以下の通りです。
北洋銀行 北海道銀行 北海道信用金庫 帯広信用金庫 空知信用金庫 北見信用金庫 北空知信用金庫 網走信用金庫 伊達信用金庫 稚内信用金庫
参考までに、資源エネルギー庁の「パートナー金融機関一覧」ページでも、北海道エリアの掲載(例:北洋銀行・北海道銀行)を確認できます。エネルギー庁
③ パートナーシップ構築宣言 —— 代表者としての約束を“見える化”
価格転嫁・支払条件・知財など、取引適正化への取り組みを代表者名で宣言し、ポータルで公開します。対外的な約束は、補助事業の信頼性にも直結します。
事業者が、サプライチェーン全体の付加価値向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指し、「発注者」側の立場から、「代表権のある者の名前」で宣言するものです。
引用元:https://www.biz-partnership.jp/outline.html
④ 経営革新計画(承認企業) —— 「数字で伸ばす」青写真
都道府県の承認を受ける中期の数値計画。新製品・新サービスだけでなく、省エネ投資による原価低減→付加価値向上の道筋も描けます。
中小企業等経営強化法に基づいて、都道府県知事の承認を受ける「中期の事業計画」です。
企業が新たな取り組み(新商品・新サービス・新たな生産方式など)を実行し、経営の向上(付加価値や売上高の伸び)を目指す計画をまとめたものです。
⑤ 経営力向上計画 —— 小さく速く申請、“運用力”を示す
人材・生産性・コスト管理などの経営力を底上げする計画を所管省庁に申請。税制・金融の優遇が受けられ、設備投資の妥当性を簡潔に説明できます。
「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
引用元:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html
まずはここだけ揃えてください(省エネ診断の初期ステップ)
- 直近12か月の電気・ガス・燃料の請求書
- 主要設備の型式・能力・設置年(写真でOK)
- 可能なら稼働時間の目安(日中/夜間、繁忙/閑散)
- 候補機器があれば型式(未定でも可)
まとめ
加点は“おまけ”ではありません。「なぜ今この投資をするのか」を第三者と数字で語るためのフレームです。
北海道の現場事情を踏まえつつ、5本柱を無理なく時系列で重ねることが、結果的に審査も工事もスムーズにします。