業務用エアコンの入替や新設を検討して見積を取ると、「ユニック車」という項目が出てくることがあります。
ただ、施主(発注側)からすると「クレーン車?」「本当に必要?」「高い…」と感じやすいポイントでもあります。
結論から言うと、ユニック車は単なる追加コストではなく、安全・工期・品質(事故防止)を守るための車両です。特に北海道は、冬の雪や路面条件で“当日詰む”ケースが起きやすいので、仕組みを理解しておくと失敗が減ります。
この記事では、北海道で空調工事を検討している施主向けに、ユニック車の役割/必要になる条件/車両サイズ/アウトリガー(張り出し脚)/ユニック車から据付位置までの距離(作業半径)まで、分かりやすく解説します。
ユニック車とは?一言でいうと「クレーン付きトラック」
ユニック車は、荷台に小型クレーンが付いたトラックです。

業務用エアコン工事では主に、室外機などの重い機器を
- 運ぶ(搬入・搬出)
- 吊って上げ下げする(屋上、架台上など)
の両方を1台で行うために使われます。
施主目線で押さえるべきポイントはこれです。
ユニック車は“便利だから使う”というより、無理な人力作業をなくして事故を防ぐために出てくることが多い、ということです。
北海道の業務用エアコン工事でユニック車が必要になりやすいケース
1)室外機が重い・大きい(人力だと危険)
業務用エアコンの室外機は、機種や能力によって重くなります。
「持てるか」ではなく、安全に運べるかが判断基準です。
2)屋上・2階以上・庇(ひさし)上など高所に設置する
北海道は積雪対策で、室外機を地面より高い位置に設置しているケースもあります。
高所は落下・転倒リスクが上がるので、ユニック車が必要になりやすいです。
3)搬入経路が厳しい(狭い・曲がる・段差が多い)
裏口が狭い、通路に段差、階段しかない、建物の裏側へ回り込む…。
こういう条件があると、吊りや仮置きを組み合わせる必要が出ます。
4)冬期で“寄せられない”問題が起きやすい
北海道の冬は、雪山や凍結で車両の寄せが効かず、結果として
- ユニック車を据付位置に近づけない
- =吊る距離(作業半径)が伸びる
- =吊れる重さが下がる/届かない
という流れが起きやすいです。ここが追加費用の主因になります。
車両サイズの目安:2t・3t・4tで「入れる現場」と「届く性能」が変わる
ユニック車は、現場条件と機器条件に合わせてサイズを選びます。よく出るのは2t〜4tクラスです。
- 2tクラス(小さめ):狭い道路や敷地に入りやすい。反面、吊り能力や届く距離が控えめになりがち。
- 3t〜4tクラス(標準):業務用空調工事で登場が多い。吊り能力・リーチは取りやすいが、道路や駐車条件が厳しくなることがある。
施主にとって大事なのは、
「現場に入れる車両クラスが、工事方法と費用に直結する」という点です。
(入れない→手運び工程増/別車両手配/日数増…につながりやすい)
重要:アウトリガー(張り出し脚)を“出せるか”が勝負
ユニック車は、クレーン作業時にアウトリガーという脚を左右に張り出して、車体を安定させます。
ここが現場トラブルの最大ポイントです。

「車を停められる」=OKではない
停めるだけならできても、脚が張れなければ
- 安全上、作業できない
- もしくは 吊れる能力が大きく低下する
ことがあります。
アウトリガーが張れない典型例(北海道あるある)
- 雪山で脚を出すスペースがない
- 片側だけしか脚が出せない(=能力が落ちやすい)
- 縁石・花壇・ガードレール・電柱が邪魔
- 地面が弱い(砂利、沈みやすい、凍結融解でグズグズ)
※アウトリガーの下には通常「敷板(しきいた)」を入れて荷重を分散します。冬は凍って硬そうでも、日中に緩むことがあるので要注意です。
さらに重要:ユニック車から据付位置までの距離(作業半径)で「届く/届かない」「吊れる/吊れない」が決まる
施主が一番知っておくべき考え方がこれです。
ユニック車のクレーンは、近いほど強い/遠いほど弱いです。
ユニック車から吊り荷までの水平距離を「作業半径」と言い、作業半径が伸びるほど吊れる重量は下がります。
“届かない・吊れない”が起きるパターン
- 建物の正面に停められず、横や裏から吊る(距離が伸びる)
- フェンス越し・植栽越しで車を近づけられない
- 冬の雪山で寄せられず、道路側から吊るしかない
- 屋上で、建物から離さないとブームが当たる/安全に振れない
この結果、次のいずれかが起きやすいです。
- その車両では能力不足 → より大きな車両や別クレーンが必要
- 一度でできない → 仮置き・分割搬入・手運びなど工程増
- 工程が増える → 日数増・費用増
つまり、見積の「ユニック車代」は、車両そのものよりも“停め位置と作業半径をどう確保できるか”で変動しやすい項目です。
屋上設置は「距離+高さ+障害物」で難易度が跳ね上がる
屋上に上げる場合、作業半径だけでなく
- 建物の高さ
- 屋上の立上り(パラペット)
- 手すり、看板、樹木
- 電線(引込線含む)
などが絡みます。
特に電線は危険が大きく、条件次第で作業が止まります。
電線を避けて停め位置を変える→距離が伸びる→吊れない、という連鎖が起きることもあります。
見積で施主が確認すべき項目(トラブル防止チェック)
ユニック車が必要かどうか以前に、見積の書き方が曖昧だと追加費用になりやすいです。次を確認すると安心です。
1)ユニック車は何に使う?(搬入/搬出/屋上揚げ/架台載せ)
「ユニック車一式」より、用途が書かれている方が健全です。
例:室外機 搬出入(ユニック車・玉掛け含む) など
2)時間単位と回数(半日/1日、何回手配する?)
別日に追加吊りがあると、車両が増える可能性があります。
3)付帯費用(誘導員・道路使用・養生・敷板など)が想定されているか
札幌中心部や前面道路が狭い現場では、交通誘導員が必要になるケースがあります。
冬期は除雪状況によって難易度が変わるため、事前の想定が重要です。
施主が事前に用意できると強い情報(写真でOK)
「当日、車が入れない/脚が張れない/届かない」を避けるために、施主側で次の情報があると見積精度が上がります。
- 前面道路を含めた引きの写真(停め位置の想定ができる)
- 据付位置(室外機置場)の写真
- 停めたい位置から据付位置までの距離感(歩測でもOK)
- 冬なら、除雪後に確保できる幅と雪の置き場の写真
- フェンス・植栽・庇・看板・電線の位置がわかる写真
これだけで、追加費用や工程変更の確率がかなり下がります。
まとめ:ユニック車は「安全・工期・品質」を守るための現場の要
ユニック車は、施主にとってはコストに見えやすい一方で、
- 事故を防ぐ
- 工期を守る
- 無理な人力作業を減らす
- 結果として品質と再工事リスクを下げる
という意味で、現場を成立させるための重要な要素です。
北海道では特に、冬期の雪・凍結で停め位置が変わり、作業半径が伸びて条件が変わりやすいので、見積段階で「なぜ必要か」「どこから吊る想定か」を確認しておくと安心です。

