ESCO(エスコ)事業とは、省エネルギー改修にかかる費用を、改修で減った光熱水費でまかなう事業です。ESCO事業者が省エネ診断・設計・工事・運転管理・資金の手配までをまとめて引き受け、省エネ効果を保証する契約(パフォーマンス契約)を結ぶ点が、普通の設備工事との一番の違いです。効果が保証した量に届かなければ、ESCO事業者がその分を補います。
契約方式は、顧客が資金を出す「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が資金を出す「シェアード・セイビングス契約」の2つが基本です。どちらを選ぶかで、初期投資の負担や補助金の申請方法が変わります(設備の所有権は、どちらの方式でも契約で定めます)。たとえば国(SII)の省エネ補助金では、ESCO事業者と共同で申請できるのはシェアード・セイビングス契約に限られます。
この記事では、一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会(JAESCO)と環境省の資料をもとに、ESCO事業の仕組み、2つの契約方式、導入の流れ、計測・検証(M&V)、リース・オンサイトPPAとの違い、補助金との関係をわかりやすく整理します。あわせて、札幌市が公式に発表しているESCO事業の導入例も紹介します。
この記事でわかること
・ESCO事業(エスコ事業)の定義と、普通の省エネ改修工事との違い
・ギャランティード・セイビングス契約とシェアード・セイビングス契約の違い
・導入の流れと、計測・検証(M&V)・ベースラインの考え方
・リース・オンサイトPPAとの違いと、SII補助金でのESCOの扱い
・札幌市の市立札幌病院、区役所、公園照明灯、市有施設照明のESCO事業
更新履歴
- 2026年10月27日:全面改訂。JAESCO・環境省の資料にもとづき、契約方式の比較、導入の6ステップ、計測・検証の4つの方法、リース・オンサイトPPAとの比較、SII補助金(設備単位型4次公募)でのESCOの扱い、札幌市のESCO事業(2025年度の公園照明灯、2026年度の市有施設照明)を追記。根拠を確認できない記述を削除
- 2023年10月26日:初版公開
1. ESCO事業とは?仕組みをわかりやすく解説
ESCOは「Energy Service Company」の略です。JAESCOは、ESCO事業を、お客様が目標とする省エネルギー課題に対して包括的なサービスを提供し、実現した省エネルギー効果(導入メリット)の一部を報酬として受け取る事業だと説明しています。
ポイントは、お金の流れが「省エネで浮いた光熱水費」から出ることです。JAESCOの説明では、ESCO事業はすべての費用(建設費、金利、ESCO事業者の経費)を、省エネ改修で減った光熱水費などでまかなうことを基本にしています。そして、契約期間が終わった後の削減分は、すべて顧客の利益になります。
| 時期 | 光熱水費の支払い | 削減できた分の使い道 |
|---|---|---|
| ESCO事業の実施前 | 改修前の光熱水費をそのまま支払う | - |
| ESCO事業の期間中 | 改修後の(減った)光熱水費を支払う | 初期投資の返済、金利、ESCO事業者の報酬にあて、残りが顧客の利益になる |
| 契約期間の終了後 | 改修後の(減った)光熱水費を支払う | すべて顧客の利益になる |
表:ESCO事業のお金の流れ(JAESCO「ESCO事業のススメ」の図をもとに作成。図の出典は環境省「地方公共団体の為の環境配慮契約導入マニュアル」)
普通の省エネ改修工事との違い
普通の省エネ改修では、設計・工事・運転管理を別々の会社と契約することが多く、JAESCOは「省エネルギー効果の保証を得ることは困難」としています。ESCO事業では、詳細診断(詳細なエネルギー分析)から施工、計測・検証、運転管理までを一括で契約し、計画した省エネ効果が出たかを計測・検証し、その結果でサービス料を確定します。
| 比べる点 | 普通の省エネ改修工事 | ESCO事業 |
|---|---|---|
| 契約 | 設計契約・工事契約・維持管理契約が別々になりやすい | 詳細診断から施工・計測検証・運転管理まで一括で契約(予備診断はその前の段階) |
| 省エネ効果の保証 | 個別の契約では、省エネ効果を保証する責任はない | ESCO事業者が保証する(パフォーマンス契約) |
| 効果の確認 | 効果の測定や保証は行われない | 計測・検証を行い、顧客に報告する |
| 費用のまかない方 | 自己資金や借入で支払う | 光熱水費の削減分で、全額または一部をまかなう |
表:一般的な省エネ改修工事とESCO事業の違い(JAESCO「ESCO事業のススメ」をもとに作成。保証や特長は契約内容によります)
2. 契約方式の違い(ギャランティード・セイビングスとシェアード・セイビングス)
ESCO事業者と顧客が結ぶパフォーマンス契約には、顧客が事業資金を調達する「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が事業資金を調達する「シェアード・セイビングス契約」の2種類があります。どちらも省エネ効果の保証はあり、光熱水費の削減分の中から一定額を支払う点は同じです。
| 比べる点 | ギャランティード・セイビングス契約 | シェアード・セイビングス契約 |
|---|---|---|
| 事業資金を出す人 | 顧客(自己資金や金融機関からの借入) | ESCO事業者 |
| 初期投資 | 顧客が負担する(初年度に改修工事費の支払いがある) | 顧客は負担しなくてよい |
| 省エネ効果の保証 | あり。目標に届かない場合はESCO事業者が不足分を補う | あり |
| 支払い | 光熱水費の削減分の中から一定額(サービス料) | 光熱水費の削減分の中から一定額(初期投資の返済分を含むサービス料) |
| JAESCOが示すメリット | シェアード契約に比べて、契約期間を自由に設定できる | 顧客の初期投資が不要なため、ギャランティード契約に比べて大規模な事業ができる |
| 設備の所有権 | 契約で定める | 契約で定める。JAESCOの導入ステップでは、終了時に設備所有権を顧客に移して終わるとされる |
表:ESCO事業の2つの契約方式(JAESCO「ESCO事業のススメ」「ESCO事業の導入」をもとに作成)
国の機関向けの環境省の解説資料(環境配慮契約法 基本方針 関連資料、令和8年3月)も、ESCO事業の契約方式にはギャランティード・セイビングス契約とシェアード・セイビングス契約があり、それぞれの特徴を考えて選ぶとしています。
民間のESCO契約には、法律で決まった年数はありません。国の機関については、環境配慮契約法(国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律)第7条で、国が省エネルギー改修事業について債務を負担する年限が10箇年度以内とされています。環境省の解説資料も、国の機関は事業規模にもとづき10箇年度を限度として事業期間を設定するとしています。後で紹介する札幌市の例では、シェアード・セイビングス契約の公園照明灯LED化ESCO事業がサービス期間10年、ギャランティード・セイビングス方式の市有施設照明LED化事業が契約締結から令和12年(2030年)3月末までです。民間の契約期間は、投資額・削減額・設備の耐用年数などから個別に決まります。
「ESCOの進化系」:保証のない受託サービスなども
JAESCOは、伝統的な2つの契約方式に加えて、老朽設備の更新を主目的とする「設備改修型ESCO」(保証あり)、ユーティリティ設備をサブスクリプション型で提供する「受託サービス」(保証なし)、電気・熱の供給を含む「ESP(エネルギー・サービス・プロバイダ)」(保証なし)を「ESCOの進化系(例)」として紹介しています。省エネ効果の保証がない形もあるため、「ESCO」という名前だけで保証付きと判断しないことが大切です。
JAESCOの市場調査(2025年7月公表)によると、2023年度の実績を回答した25社の集計で、ESCO事業の契約は99件・445億円でした。契約方式別にみると、業務部門(ビル・病院など)ではシェアード・セイビングス契約が19件・121億円、ギャランティード・セイビングス契約が3件・23億円で、産業部門のギャランティード・セイビングス契約は0件でした。件数が最も多かったのは産業部門の電気・熱供給契約型(ESP)の47件です。
3. ESCO事業の導入の流れ(6つのステップ)
JAESCOは、ESCO事業の導入を次のステップで整理しています。合意できなければ途中で中止できる流れになっており、詳細診断の前と契約の前の2回、判断のタイミングがあります。
複数の施設を持っている場合は、導入を検討したい施設に優先順位をつけます。
ESCO事業者が施設を目視で調査します(所要時間は半日〜1日)。その後、省エネ手法・削減効果・事業採算性の概要が示されます。JAESCOは、この段階は無償で対応するESCO事業者が多いとしています。合意できなければ中止します。
計測機器を取り付けるなどして、詳しいデータを集めます(調査期間は数日〜数か月)。その後、ベースラインの設定、改修工事計画、計測・検証方法、資金調達方法、効果の保証、契約年数などをまとめた計画書を確認します。JAESCOは、この段階はほとんどが有償対応としています。
ESCO事業の契約を結び、ESCO事業者が施工管理を行います。
ESCO事業の実施期間です。ESCO事業者は契約どおり定期的に削減量を把握し、省エネ効果を検証します。設備の運転管理は、基本的にはESCO事業者が行います。
パフォーマンス契約の期間が終わるとESCO事業は終了します。シェアード・セイビングス契約の場合は、設備の所有権を顧客に移して終了します。
図:ESCO導入のステップ(JAESCO「ESCO事業の導入」をもとに作成)
予備診断の前に用意しておくデータ
JAESCOは、次のデータが整理されていると診断が効率的に進むとしています。
| 建物の概要 | 竣工年月、改修年月、階数、延べ床面積など |
| 運用状況 | 年間の業務日数、業務時間帯、冷暖房の期間・時間帯 |
| エネルギー使用状況 | 月別のエネルギー使用量(3年分)とコスト(電力、ガス、油、水道水など)、夏季・冬季・中間期の代表日の日別使用量 |
| エネルギーの契約 | 契約電力、契約種別、受電電圧、電力単価、ガス・油の種別と単価 |
| 主要設備 | 機器仕様表(名称・容量・台数・製造年など)、受変電設備、ポンプ・ファン、照明、冷凍機、ボイラ、空調機など |
| 運転データ | 受変電日誌、ボイラ日誌、冷凍機日誌などの設備運転日誌 |
3年分の使用量をそろえるのは、後で説明するベースライン(導入前の基準)を決めるためにも役立ちます。省エネ診断の受け方は「北海道の省エネ診断とは?当日の流れ・費用・補助制度」でも解説しています。
4. 計測・検証(M&V)とベースライン:支払いの根拠になる部分
ESCO事業では、「どれだけ省エネできたか」を測って確かめること(計測・検証、M&V)が、効果の保証とサービス料の根拠になります。比べる基準になるのが、改修しなかった場合のエネルギー使用量を表す「ベースライン」です。
省エネ量 = ベースライン(改修前の基準の使用量)- 改修後の使用量
ベースラインの決め方と、測り方(どの方法で計測・検証するか)を、契約の前に決めておきます
環境省の解説資料(令和8年3月)は、国の機関がESCO事業者を選ぶときに、ベースラインの設定を含めた計測・検証方法の提案を求めるとしています。そして、代表的な4つのオプション(選択肢)を示しています。
| 方法 | 省エネ効果の求め方 | ベースラインの設定例 |
|---|---|---|
| オプションA | 対象機器ごとに、設備容量×稼働時間×省エネ率で評価する。設備容量は、対策前後に1回または短期の実測を行うか、メーカーのカタログデータで推定する | 一定の電力を使う機器:対策前の機器の消費電力×台数×稼働時間 |
| オプションB | 対策の前後に、対象機器の出力やエネルギー消費を一定期間または長期に計測する | 一定の電力を使う機器:同上。負荷によって変わる機器:相関の強いパラメータを使った統計解析モデル式 |
| オプションC | 施設全体または系統別のエネルギー消費の実測結果や、エネルギー会社の請求書をもとに統計的に処理する | 相関の強いパラメータを使った統計解析モデル式 |
| オプションD | 空調の熱負荷シミュレーターなどで、熱負荷やエネルギー消費を推計する | - |
表:計測・検証の4つのオプション(環境省「環境配慮契約法基本方針 関連資料(令和8年3月)建築物の改修に係る契約」)
環境省の資料は、オプションは省エネ対策の範囲のエネルギー用途、機器の特性、かけられるコストを考えて選ぶ必要があるとしています。細かく測るほど結果の確かさは上がりますが、計測の費用も増えます(一般的な考え方)。
暖房や融雪に使うエネルギーは、その年の寒さによって大きく変わります(一般的な考え方)。こうした「負荷によって変わる」使用量について、環境省の資料は、相関の強いパラメータを使った統計解析モデル式をベースラインの設定例に挙げています。
北海道の施設では、たとえば外気温などで補正するのか、補正しないのか、どのデータ(どの観測地点・どの期間)を使うのかを、契約前に文書で決めておくと、暖冬・厳冬の年に「効果が出た・出ない」で揉めにくくなります。どの指標が適切かは施設ごとに違うため、ESCO事業者の提案内容で確認してください。
JAESCOは、計測・検証は効果の把握だけでなく、設備の運転方法の調整にも欠かせないとしています。報告の頻度や内容も契約で決めておきます。
5. リース・オンサイトPPA・普通の工事との違い
「初期投資なしで設備を入れる方法」には、ESCO事業のほかにリースやオンサイトPPAもあります。違いは、省エネ効果の保証があるか、何に対してお金を払うか、設備は誰のものかです。
| 方式 | 初期投資 | 設備の持ち主 | 毎月・毎年の支払い | 省エネ効果の保証 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資金・借入で工事 | 必要 | 自社 | 借入の返済(借りた場合) | なし |
| リース | 基本的にゼロ | リース事業者 | 一定のリース料(使用量に関係なく) | なし |
| オンサイトPPA(太陽光など) | 基本的にゼロ | PPA事業者 | 使った電力量に応じた電気料金 | なし(電気を買う契約) |
| ESCO(ギャランティード・セイビングス) | 顧客が負担 | 契約で定める | 削減分の中からサービス料 | あり |
| ESCO(シェアード・セイビングス) | 不要 | 期間中は契約で定める。終了時に顧客へ移す形がある | 削減分の中からサービス料(初期投資の返済分を含む) | あり |
表:設備導入の方法の比較(環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「再エネ調達のための太陽光発電設備導入について」(2025年2月)、JAESCO「ESCO事業のススメ」をもとに作成。条件は個別の契約内容によります)
環境省の資料では、オンサイトPPAは「自社の敷地内に第三者であるPPA事業者が太陽光発電設備を導入し、PPA事業者に電気料金を支払う」仕組みで、「第三者保有モデル」とも呼ばれます。リースは、消費電力量とは関係なく一定のリース料を支払う形です。どちらも、設備の処分・交換・移転を自由にできないことと、長期契約になることがデメリットに挙げられています。
ESCO事業との大きな違いは、リースやPPAは「設備を借りる・電気を買う」契約であり、省エネ量そのものを保証する契約ではない点です。省エネ量の保証が欲しいのか、初期投資をなくしたいだけなのかで、選ぶ方式が変わります。リースについては「LED照明はリース・レンタル・購入のどれ?違いと会計・補助金の確認点」、リース料の補助については「ESGリース促進事業」の記事もあわせてご覧ください。
6. 補助金との関係:SIIの省エネ補助金でESCOはどう扱われる?
ESCO事業そのものの専用補助金ではありませんが、国(SII)の省エネ補助金には、ESCOを使う場合の申請方法が定められています。ここでは、2026年10月に公表された「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募」の公募要領で確認した内容をまとめます。
| 対象になる契約 | シェアード・セイビングス契約に限る(ギャランティード・セイビングス契約などは対象外)。設備の所有者と使用者が異なる場合のルールとして定められています |
| 申請のしかた | 設備の使用者とESCO事業者の共同申請。ESCO事業者は原則1申請につき1社 |
| 保証の条件 | 導入による省エネルギー量をESCO事業者が保証する契約(パフォーマンス契約)であること(エネルギーサービス契約の場合はその限りではない) |
| 補助金の反映 | ESCO料から補助金相当分が減額されていることを証明する書類(補助金の有無それぞれのESCO料の基本金額、資金コスト、手数料、保険料、税金など)を提示する |
| その他 | 同じ事業で、使用者による設備購入とESCO事業者による設備購入を併用しない。補助対象設備を処分制限期間使うことを前提とした契約であること。共同申請するESCO事業者には、大企業についての補助事業者要件は課さない |
| 他の補助金との併用 | 補助対象経費が重複する他の補助金とは併用できない。ただし、地方公共団体の一般財源による補助金などとの併用は認める |
| 4次公募の期間(2026年10月27日時点) | 2026年10月5日〜2026年10月30日17時(必着)で受付を締め切ります。締切後に読む場合は、次の公募の有無と日程をSIIの公式サイトで確認してください |
SIIの公募要領は、交付決定の通知より前に発注などを済ませた事業は補助金の対象にならないとしています。ESCO契約や工事の発注のタイミングは、補助金のスケジュールと合わせて決める必要があります。
ギャランティード・セイビングス契約で、顧客が自分で設備を購入して所有する場合に、顧客が通常の申請者として申請できるかどうかは、公募要領の上では明記されていません。この場合は、申請前にSIIに確認してください。設備単位型の全体像は「省エネ補助金(SII)は設備単位型がおすすめ?2026年度の公募と新設枠」、北海道で使える制度は「北海道の省エネ補助金まとめ」で解説しています。
7. 北海道・札幌市のESCO事業の導入例
北海道内では、札幌市が市立札幌病院や区役所施設でESCO事業を導入し、その後も公園照明灯や市有施設照明でESCO事業の公募を行っています。市有施設照明LED化事業は、2026年10月27日時点で契約候補者の決定までの段階で、契約の締結は2026年12月上旬頃の予定です。札幌市の公式ページや公募資料で確認できたものを整理します。
| 事業 | 時期 | 契約方式・期間 | 概要(公式発表の内容) |
|---|---|---|---|
| 市立札幌病院 | 2004年度に導入を決定 | - | 2005年11月25日の市長定例記者会見で、前年度に導入を決定したと説明 |
| 区役所施設(北区役所・同区民センター、豊平区役所・同区民センター、手稲区役所など5施設) | 2005年11月に実施を発表 | 平成19年度(2007年度)からESCOサービスを開始する予定と発表 | 5施設を一括で導入。設計・工事・運転管理を一体で契約し、省エネメリットで工事費と管理運営費をまかなうと説明 |
| 札幌サンプラザ(札幌勤労者職業福祉センター) | - | - | 札幌市のページで、ESCO事業の導入事例として市立札幌病院・区役所施設とともに掲載 |
| 札幌市公園照明灯LED化ESCO事業 | 2025年6月に公募 | シェアード・セイビングス契約(民間資金活用型)。サービス期間は令和8年12月1日〜令和18年11月30日 | 対象の公園照明灯は合計6,561灯(うち水銀ランプ・高圧ナトリウムランプが2,467灯)。事業費の限度額は年間8,470万円×10年間(税込)。企画競争の結果、岩崎電気株式会社 札幌営業所を契約候補者に選定。2025年12月3日に同社と特定随意契約の見積合せ(見積額5億円・税抜)を実施(入札等執行調書) |
| 札幌市市有施設照明LED化事業(3ブロック) | 2026年に公募 | ESCO事業(ギャランティード・セイビングス方式)。契約締結(令和8年12月上旬頃の予定)から令和12年3月31日まで | 文化・福祉施設ほか(368施設・29,214台)、市民利用施設ほか(324施設・25,583台)、スポーツ施設ほか(367施設・21,837台)の3ブロック。2026年8月24日の審査で2ブロックの契約候補者(三共電気工業株式会社、大和リース株式会社)を決定し、スポーツ施設ほかブロックは不調 |
表:札幌市のESCO事業(札幌市「札幌市の取り組み」、2005年11月25日市長定例記者会見記録、「札幌市公園照明灯LED化ESCO事業」提案募集要項(令和7年6月)・公募ページ・入札等執行調書、「札幌市市有施設照明LED化事業」提案説明書・公募ページ)
民間では、日立製作所が2009年2月、サッポロビール北海道工場(恵庭市)と仙台工場でのESCO事業が、財団法人省エネルギーセンター主催の「第4回優良ESCO事業表彰」産業部門で銀賞を受けたと発表しています。プロジェクトファイナンスを活用したシェアード・セイビングス型のESCO事業です。
札幌市の2005年の記者会見では、市長が、ESCO事業はある程度の年数がかかるため、老朽化が激しい施設など長い期間使えるかわからない施設には限界がある、という趣旨を述べています。ESCO事業を考えるときは、契約期間中その建物・設備を使い続けるかを最初に確認することが大切です。
また、公園照明灯LED化ESCO事業の募集要項では、昭和53年以前に開園した公園の約788灯について、銘板によるPCB使用安定器の有無の確認を事業者の業務に含めています。古い照明器具や受変電設備を更新する場合は、ESCOでも通常の工事でも、PCBの確認が必要になることがあります。
8. ESCO事業で失敗しないための注意点
環境省の基本方針は、国の機関がESCO事業を行うときの基本的な事項として、長期の供用計画をつくって契約期間内に契約条件が変わらないよう十分検討すること、事業期間中に想定されるリスクの分担を事前に十分協議することを挙げています。民間の施設でも、同じ点が重要になります。
1. 施設を使い続ける期間:建て替え・売却・用途変更・大幅な営業時間の変更が契約期間中に起きないか。起きた場合の扱い(中途解約・精算)はどうなるか。
2. ベースラインと補正の方法:どの期間の使用量を基準にするか、気温や稼働量で補正するか。計測・検証のオプションは何か。
3. 保証の範囲:保証するのは「省エネ量(kWhなど)」か「金額」か。エネルギー単価が変わったときにどう計算するか。未達のときの補填方法。
4. 役割分担:運転管理・保守・データ提供・故障時の対応を、どちらがどこまで行うか。
5. 所有権と終了時の扱い:契約期間中と終了後の設備の持ち主、終了後の保守を誰が行うか。
また、「ESCO」と呼ばれていても、JAESCOが示す受託サービスやESPのように、省エネ効果の保証がない形もあります。提案書に「省エネルギー効果の保証」と「計測・検証の方法」が書かれているかを必ず確認してください。補助金を使う場合は、前の章のとおり、契約方式と発注のタイミングにも注意が必要です。
9. よくある質問(FAQ)
A. 省エネ改修にかかる費用を、改修で減った光熱水費でまかなう事業です。ESCO事業者が省エネ診断・設計・施工・運転管理・資金の手配などをまとめて提供し、省エネ効果を保証します。効果が保証に届かない場合は、ESCO事業者が損失を補います。
A. 事業資金を誰が出すかの違いです。ギャランティード・セイビングス契約は顧客が資金を調達し、シェアード・セイビングス契約はESCO事業者が資金を調達します。どちらも省エネ効果の保証があり、光熱水費の削減分の中からサービス料を支払います。
A. シェアード・セイビングス契約なら、顧客は初期投資を負担しなくてよい仕組みです。ギャランティード・セイビングス契約では、顧客が改修費用を負担します。どちらの場合も、契約期間中はサービス料を支払います。
A. SIIの省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)では、設備の使用者とESCO事業者の共同申請ができます。ただし、シェアード・セイビングス契約に限られ、ESCO料から補助金相当分が減額されていることを示す書類が必要です。2026年10月の4次公募の公募要領で確認した内容です。
A. 札幌市が、市立札幌病院、区役所施設、札幌サンプラザで導入しています。2025年には公園照明灯のLED化(シェアード・セイビングス契約)、2026年には市有施設の照明LED化(ギャランティード・セイビングス方式)でESCO事業の公募を行いました。
10. まとめ
- ESCO事業は、省エネ改修の費用を光熱水費の削減分でまかない、ESCO事業者が省エネ効果を保証する事業です。
- 契約方式は、顧客が資金を出すギャランティード・セイビングスと、ESCO事業者が資金を出すシェアード・セイビングスの2つが基本です。
- 支払いの根拠は計測・検証(M&V)とベースラインです。補正の方法や保証の範囲は、契約前に文書で決めておきます。
- リースやオンサイトPPAは、初期投資をなくせても省エネ量の保証はありません。
- SIIの設備単位型でESCO事業者と共同申請できるのは、シェアード・セイビングス契約に限られます(2026年10月の4次公募時点)。
- 札幌市は市立札幌病院・区役所施設などでESCO事業を導入し、その後も公園照明灯(2025年度に契約候補者を選定)、市有施設照明(2026年12月上旬頃に契約予定)とESCO事業の公募を続けています。
記事情報
公開日:2023年10月26日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO事業とは」(JAESCO)
・一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO事業について」(2019年版ページ)(JAESCO)
・一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO事業のススメ」(JAESCO)
・一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO事業の導入」(JAESCO)
・一般社団法人ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO・エネルギーマネジメント事業の市場動向(2023年度実績)」(PDF)
・「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(平成19年法律第56号)第7条(e-Gov法令検索)
・環境省「環境配慮契約法基本方針」(環境省)
・環境省「環境配慮契約法基本方針 関連資料(令和8年3月)08_建築物の改修に係る契約」(PDF)
・環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「再エネ調達のための太陽光発電設備導入について」(2025年2月)(PDF)
・SII「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募」(SII)
・SII「公募要領<4次公募用>」(PDF)
・札幌市「札幌市の取り組み」(札幌市)
・札幌市「市長定例記者会見記録(2005年11月25日)」(札幌市)
・札幌市「札幌市公園照明灯LED化ESCO事業」に係る公募型企画競争の実施について(札幌市)/提案募集要項(PDF)/入札等執行調書(PDF)
・札幌市「札幌市市有施設照明LED化事業に係る公募型企画競争入札(プロポーザル)」(札幌市)
・日立製作所「『第4回優良ESCO事業表彰』において日立のESCO事業が産業部門『銀賞』を受賞」(2009年2月10日)(日立製作所)
※2026年10月27日時点の情報です。補助金の要件・受付期間は公募ごとに変わります。最新の情報は各機関の公式サイト・公募要領でご確認ください。
