エネルギーコストの高騰は、北海道の多くの企業にとって喫緊の課題であり、経営を圧迫する要因となっています。さらに、世界的な脱炭素の潮流は、企業経営に新たな変革を求めています。温室効果ガス排出量の削減は、もはや大企業だけの課題ではなく、サプライチェーン全体でその取り組みが求められる中、中小企業も脱炭素経営への移行が不可欠です。
しかし、「何から手を付けて良いか分からない」「専門知識がない」「初期費用がネックになる」といった声も少なくありません。そこで注目すべきが、各自治体が推進する「省エネルギー診断補助金」です。これは、専門家による診断を通じて、自社のエネルギー使用状況を可視化し、具体的な削減策を見つけるための強力な支援策となります。
本コラムでは、北海道内の企業、特に総務担当者様や経営層の皆様に向けて、省エネルギー診断の基本から、各自治体の補助金制度、そしてその活用方法までを、実務に役立つ形で詳しく解説します。
省エネルギー診断とは?
省エネルギー診断とは?脱炭素経営の第一歩
省エネルギー診断とは、エネルギー管理士などの専門家が事業所のエネルギー使用状況を詳細に分析し、光熱費やエネルギー消費量を削減するための具体的な対策や改善案を提案するサービスです。自社だけでは気づきにくい非効率な点の特定や、最新の省エネ技術の導入可能性など、専門的な視点からのアドバイスが得られる点が最大のメリットです。
この診断は、単にコスト削減だけでなく、企業の脱炭素経営を推進する上での重要な第一歩となります。省エネルギー診断は、以下のような点で貴社に貢献します。
- エネルギーコストの明確な削減: 専門家の知見に基づき、無駄なエネルギー消費を特定し、具体的な削減策を提案します。
- 脱炭素目標への貢献: CO2排出量削減に直結する対策を特定し、ゼロカーボンシティの実現に向けた企業の貢献を後押しします。
- 経営リスクの低減と競争力強化: エネルギー価格変動のリスクを低減し、持続可能な経営体制を構築することで、企業の競争力向上に繋がります。
- 補助金活用への道筋: 診断結果は、国や自治体が提供する設備投資補助金などの申請に役立つ情報を提供します。

北海道における脱炭素経営と省エネ補助金の重要性
北海道内では、小樽市、栗山町、音更町をはじめとする複数の自治体が「ゼロカーボンシティ」を宣言し、温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す取り組みを推進しています。
特に中小企業にとって、脱炭素経営は喫緊の課題です。大企業を中心に、取引先に対して温室効果ガスの排出削減を求める動きが強まっており、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる時代です。脱炭素への取り組みは、もはやCSRの一環だけでなく、経営リスクの低減、新たな成長機会の創出、そして企業価値向上に直結する「経営上の重要課題」と位置付けられています。
このような背景の中で、省エネルギー診断補助金は、北海道の企業が脱炭素経営へ踏み出すための非常に有効な支援策となります。
補助対象となる省エネルギー診断の種類
小樽市、栗山町、音更町の各補助金制度で共通して対象となっている主要な省エネルギー診断は以下の通りです。
- 一般財団法人 省エネルギーセンター (JEC) が実施する診断
- 省エネ最適化診断
- ステップアップ診断
- 一般社団法人 環境共創イニシアチブ (SII) が実施する診断
- 省エネ診断 (ウォークスルー診断)
- 省エネ診断 (IT診断)
- 伴走支援
- パートナー省エネ支援機関が実施する省エne診断
- 経済産業省の省エネ・地域パートナーシップ制度に登録された機関が実施する診断。
【重要】省エネルギーセンターおよび環境共創イニシアチブが実施する省エネ診断は、経済産業省補助金の対象事業のみが補助の対象となります。
北海道の主要都市における省エネルギー診断補助金の比較と具体策
小樽市省エネルギー診断補助金
- 補助対象事業: 令和7年4月1日から申請日までに、市内に所在する事業所において実施された省エネルギー診断等。
- 補助対象者: 過去に同一内容の補助金を受けていない、市税に滞納がない、暴力団員等でない事業者。
- 補助対象経費と補助金額:
- 診断料の全額が対象。
- 1事業者につき上限5万円。
- 消費税、印紙税、振込手数料は対象外。
- 申請期間: 令和7年4月15日(火)から令和8年2月27日(金)まで(予算に達し次第終了)。
- 関連事業: 診断後にエネルギー消費量を10%以上低減する設備更新費用を補助する「中小企業等省エネ推進補助金」も有り。
栗山町中小企業等向け省エネルギー診断費用補助金
- 補助対象事業: 栗山町内の事業所で、令和7年度内に診断を実施することが決定した省エネ診断。
- 補助対象者: 町内で1年以上事業を営む中小企業等で、町税滞納や暴力団関係がない者。
- 補助対象経費と補助金額:
- 診断費用の全額が対象。
- 上限3万円。
- 消費税、印紙税、振込手数料は対象外。
- 申請手続き: 先着順。栗山町環境生活課へ持参して提出。
音更町省エネルギー診断受診支援
- 補助対象事業: 経済産業省の中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費の交付を受けた民間団体が実施する省エネ診断。
- 補助対象者: 町内に事業所を有する中小企業および個人事業主で、町税滞納や暴力団関係がない者。
- 補助対象経費と補助金額:
- 診断費用に相当する経費(消費税等を除く)。
- 上限5万円。
- 申請期限: 診断費用の支払いが完了した年度の3月末日(予算に達し次第終了)。
申請の共通点と注意点
- 共通する補助要件: 税金の滞納がないこと、暴力団等との関係がないこと、同一内容での過去の補助金交付がないこと。
- 補助対象外となる費用: 消費税および地方消費税、印紙税・振込手数料など。
- 【最重要】申請期間と診断期間の区別:「補助金の申請期間」と「省エネルギー診断の申込・実施期間」は異なります。まず各診断機関に診断の申込期間を確認し、その上で自治体の補助金申請期間に間に合うように計画を立てることが重要です。
totoka流!エネルギーコスト削減を最大化するノウハウ
省エネ診断の効果を最大限に引き出し、コスト削減を最大化するには、ただ診断を受けるだけでは不十分です。
- 診断前の徹底した準備とデータ収集 より精度の高い診断のため、過去のエネルギー使用量データ、主要な設備情報、事業所の図面などを可能な限り詳細に準備します。
- 診断結果を「絵に描いた餅」にしないための伴走支援 診断報告書を読み解き、貴社の予算や事業計画に合わせて最も効果的な対策から優先順位をつけ、具体的な実施計画(ロードマップ)を策定。最適な製品選定から施工管理まで一貫してサポートします。
- 診断後の設備投資補助金との連携 省エネ診断補助金以外にも、経済産業省の「省エネルギー投資促進補助金」など、設備投資を対象とした大規模な補助金が多数存在します。常に最新情報を収集し、貴社が利用可能な制度を網羅的にリストアップし、最適な補助金スキームを提案。複雑な申請手続きも全面的にサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q1: 補助金はいつ受け取れますか?
A1: 原則として、省エネ診断の実施および費用支払いが完了し、自治体へ実績報告書を提出した後、審査を経て交付(振込)されます。
Q2: 申請に必要な書類はどのようなものがありますか?
A2: 主に、自治体指定の申請書、誓約書、省エネ診断の申込みを証する書類の写しが必要です。実績報告時には、診断結果報告書や領収書の写しなどが追加で必要となります。
Q3: 複数の省エネルギー診断をまとめて申請することは可能ですか?
A3: 自治体によりますが、異なる診断機関の診断をそれぞれ受診する場合は、原則としてどちらか一方のみが補助対象となることが多いです。
Q4: 過去に補助金を受けた事業所でも、再度申請できますか?
A4: 原則として、同一の内容による診断については、同一事業所につき補助は1回限りです。
Q5: 診断費用に消費税が含まれている場合、消費税も補助対象になりますか?
A5: いいえ、消費税および地方消費税は補助対象経費から除かれます。
Q6: 申請期間はいつまでですか?
A6: 自治体によって異なり、予算に達し次第締め切られる場合もあります。補助金の申請期間と、診断機関の申込期間は別であることに注意してください。
Q7: 診断費用が補助上限額を超える場合、超過分はどうなりますか?
A7: 超過分は事業者の自己負担となります。補助金は上限額まで交付されます。
まとめ・CTA
本コラムでは、北海道の企業が直面するエネルギーコストと脱炭素化の課題に対し、省エネルギー診断補助金がどのように有効な解決策となるかを解説しました。小樽市、栗山町、音更町などが提供する補助金制度は、専門家による診断費用を支援し、貴社の脱炭素経営への第一歩を力強く後押しします。
省エネルギー診断は、単なるコスト削減に留まらず、企業の持続可能性を高め、環境負荷を低減し、結果としてブランドイメージ向上にも繋がる重要な投資です。
しかし、多岐にわたる補助金制度の中から自社に最適なものを選定し、複雑な申請手続きを滞りなく進めることは容易ではありません。
エネルギーコスト削減でお悩みの際は、株式会社totokaまでお気軽にご相談ください。 私たちは、貴社の状況に合わせた最適な省エネルギー診断の選定から、補助金申請のサポート、そして診断後の具体的な設備導入や運用改善に至るまで、一貫した支援を提供し、貴社の脱炭素経営とコスト最適化を強力に推進いたします。