北海道で事業を営む経営者様、そして総務・施設管理のご担当者様、毎日の業務お疲れ様です。 私たち「totoka」は、北海道の企業の皆様と共に、エネルギーコストの削減や省エネ対策について日々知恵を絞っているコンサルティング会社です。
さて、昨今の電気料金の高騰や燃料費の値上がり、頭の痛い問題ですよね。 「古い空調やボイラーを更新すれば光熱費が下がるのはわかっている。でも、導入費用が高すぎて二の足を踏んでしまう……」 そんなお悩みを抱えていませんか?
もし御社が、設備導入に「リース」を検討されているなら、今回ご紹介する「ESGリース促進事業」は、まさに渡りに船の制度かもしれません。これは、環境省が管轄する補助事業で、簡単に言えば「脱炭素につながる最新機器をリースで導入すると、リース料総額の最大6%相当が補助される(安くなる)」というものです 。
「ESGなんて大企業の話でしょ?」と思われるかもしれませんが、実はこの制度、中小企業こそが主役です。特に暖房負荷が高い北海道において、高効率な省エネ機器への更新は経営改善に直結します。
この記事では、令和7年度(2025年度)の公募情報を踏まえ、制度の仕組みから対象機器、そして北海道の企業がどう活用すべきかを、専門用語を噛み砕いて徹底解説します。これを読めば、御社の設備投資計画がグッと現実的でお得なものに変わるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
1. そもそも「ESGリース促進事業」とは?制度の全体像をつかむ
まずは、この制度がどのようなものか、ざっくりと全体像を把握しましょう。
正式名称は「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業」といいます 。 名前が少し堅苦しいですが、目的は非常にシンプルです。「リース料の低減を通じて、脱炭素機器の普及を促進すること」です 。
1-1. 現金給付ではなく「リース料が安くなる」仕組み
一般的な補助金は、設備を購入した後に国から指定口座に現金が振り込まれるものが多いですが、この事業は少し違います。
- お客様(御社)が指定リース事業者と契約を結ぶ。
- 国からリース会社へ補助金が入る。
- リース会社は、その補助金分を差し引いて、御社へのリース料を安く設定する。
つまり、「毎月のリース支払額が下がる」という形でメリット還元される仕組みです 。後から現金が入るのではなく、ランニングコスト(支払い)そのものが最初から抑えられるため、キャッシュフローの観点からも非常に使い勝手が良い制度と言えます。
1-2. なぜ国は「リース」を後押しするのか?
「脱炭素機器」や「省エネ設備」は、性能が良いぶん、どうしても初期費用が高額になりがちです。中小企業にとって、数百万〜数千万円の投資を現金一括で行うのはリスクがあります。
そこで、初期費用ゼロで導入できる「リース」という手段に補助を出すことで、中小企業の設備更新を後押ししようというのが国の狙いです。また、この制度を通じて「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を考慮した取り組みを広めたいという意図もあります 。
1-3. 令和7年度(2025年度)のスケジュール
この制度はタイミングが命です。令和7年度のスケジュールは以下の通り発表されています。
- 申込期間: 令和7年(2025年)6月12日 〜 令和8年(2026年)3月5日
- 設置完了期限: 令和7年4月1日 〜 令和8年3月12日までに借受証が発行されること
重要なのは、「予算がなくなり次第終了する可能性がある」という点と、「契約・設置のタイミング」です。特に北海道の場合、冬場の工事が難しいケースもありますので、計画は前倒しで進める必要があります。
2. 御社は対象?「補助対象となる企業」の条件チェック
「うちは対象になるのかな?」と不安な方のために、対象者の条件を整理しました。結論から言うと、北海道の多くの企業様が対象になります。
2-1. 基本は「中小企業」と「個人事業主」
この補助金のメイン対象は中小企業です。定義は以下のいずれかに該当するものです 。
- 資本金の額、または出資の総額が3億円以下の会社(株式会社、有限会社など)
- 個人事業主
従業員数の制限についての記載は特に強調されておらず、「資本金3億円以下」という基準がメインです。これにより、比較的規模の大きな地場企業でも対象になる可能性があります。
2-2. 医療法人やその他の法人は?
医療機関に関しても、明確な基準があります。
- 対象: 厚生労働省の調査における「中・小病院(療養病床を有する病院も含む)」、および医療法におけるベッド数499床以下の医療提供施設 。
一方で、以下の法人は対象外となるため注意が必要です 。
- 社会福祉法人
- 学校法人
- 公益財団法人・公益社団法人
- 一般財団法人・一般社団法人
- NPO法人
- 管理組合
- 政府機関、地方公共団体
ここが落とし穴になりやすいポイントです。例えば、老人ホームを運営していても、運営母体が「株式会社」なら対象ですが、「社会福祉法人」だと対象外になります。
2-3. 「バリューチェーン」での取り組みが必須条件
令和7年度の資料には、要件として「バリューチェーン上の脱炭素化に資する取組を行っている者」という記述があります 。
「バリューチェーン」とは、原材料の調達から製造、販売、消費に至るまでの一連の流れのこと 。 難しく聞こえますが、要するに「取引先(大企業など)からCO2削減を求められている、または自社で自主的に脱炭素の目標を持って取り組んでいる」ことを示せればOKです。
これについては、自己申告制の誓約書や、目標設定がわかる資料を提出することでクリアできます 。
3. 北海道の企業におすすめ!補助対象となる「脱炭素機器」
では、具体的にどんな設備を入れるときに使えるのでしょうか。北海道の気候や産業特性に合わせて、特に利用価値の高い機器をピックアップしました。
3-1. 空調用設備・熱源設備(ボイラーなど)
【補助率:2%〜3%】
北海道のエネルギーコストの大部分を占めるのが「暖房」と「給湯」です。
- 高効率なエアコン(EHP/GHP): 古いエアコンを最新の省エネ型に入れ替える。
- ボイラー: 重油ボイラーから、高効率なガスボイラーやヒートポンプチラーへ更新する。
これらは対象機器の代表格です。特に「熱源設備(ボイラ)」については、基準補助率が**3%**と優遇されています 。冬の燃料費削減は、利益率改善の最短ルートです。
3-2. 業務用冷凍冷蔵設備
【補助率:2%】
食品加工業や水産加工業が多い北海道では、巨大な冷凍庫・冷蔵庫が24時間稼働しています。
- 冷凍機・コンデンシングユニット: 省エネ型への更新。
- ショーケース: スーパーマーケットやドラッグストアの陳列棚。
これらも対象です。電気代高騰の影響を一番受けている設備ですので、リースの補助を活用して一気に入れ替えるのは賢い選択です。
3-3. 産業用機械・建設機械
【補助率:2%】
ものづくり企業や建設業も対象です。
- 工作機械、射出成形機、鍛圧機械
- 建設機械: ハイブリッド建機やGX建設機械など
特に令和7年度からは、建設機械の対象に「GX建設機械」が明記されました。現場のCO2削減が求められる中、新しい重機の導入にも使えます。
3-4. 注意!今年度からの変更点(医療画像機器)
昨年度まで対象だった医療画像機器の一部に変更があります。
- 診断用核医学装置(PET/SPECT等)および関連装置は「補助対象外」になりました 。
- MRIやCTなどは引き続き対象ですが、補助率は2%となります 。
医療機関のお客様は、導入予定の機器が対象に残っているか、事前によく確認する必要があります。
4. いくら安くなる?補助率の仕組みと計算シミュレーション
「で、結局いくら得するの?」というのが一番気になるところですよね。補助率は少し特殊な計算方法になっています。
4-1. 基本補助率と上乗せボーナス
補助率は、機器の種類と「取り組み」によって変動します。
- 基準補助率: 機器ごとに決まっています(2% 〜 4%) 。
- ボイラ、ボイラ以外の熱源設備の一部:3%~4%
- 空調、冷凍冷蔵、産業機械、医療機器など:2%
- 上乗せ(ボーナス): ESGの取り組み状況に応じて加算されます。
- +1%: 「特に優良な取組」を行っている場合(借手またはリース会社のどちらか)
- +2%: 「極めて先進的な取組」を行っている場合(借手とリース会社の両方)
つまり、最大で「基準率 + 2%」の補助が受けられます。
【ここがポイント!】
実は、多くの「指定リース事業者」は、すでにESGの取り組み要件(SBT認定や再エネ宣言など)を満たしており、リース会社側だけで「+1%」の要件をクリアしているケースが多いです。 さらに、皆様(借りる側)が環境目標(例:エコアクション21の取得や、自社での脱炭素目標の設定)を持っていれば、最大の加算を狙える可能性があります 。
4-2. 試算:1,000万円の空調設備をリースする場合
わかりやすく計算してみましょう。(※簡易シミュレーションであり、実際の金額を保証するものではありません)
- 設備: 高効率空調設備(基準補助率 2%)
- リース契約額(総額): 1,000万円
- 取り組み状況:
- リース会社:ESG取組あり(+1%)
- 御社:脱炭素目標を設定(+1%相当)
- 合計補助率: 2% + 2% = 4%
【計算】 1,000万円 × 4% = 40万円
この40万円が、リース料総額から割り引かれます。 5年リース(60回払い)だとすると、月々の支払いが約6,600円安くなる計算です。 「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、これは「何もしなければ払うはずだったお金」です。さらに、最新機器による「毎月の電気代・燃料代の削減効果」がここにプラスされます。トータルで見れば、数百万円単位のコストメリットが出るケースも珍しくありません。
5. 北海道ならでは!totokaが教える「賢い活用術」
制度の概要がわかったところで、北海道の現場を知り尽くしたtotokaならではの視点で、この補助金をどう活用すべきかアドバイスします。
5-1. 「更新時期」が来ていなくても検討する価値あり
北海道の冬、ボイラーや暖房が故障したら死活問題です。「壊れてから交換」では、納期の関係で何週間も寒い思いをしたり、足元を見られた高い金額で急いで買わされたりすることになります。
この補助金を使えば、コストを抑えながら「壊れる前の計画的な更新」が可能です。特に製造業やホテル・旅館業において、設備のダウンタイム(停止時間)リスクを避けるための保険として、この制度を活用することをお勧めします。
5-2. 複数の機器をまとめる「パッケージ導入」
1つのリース契約に含まれる脱炭素機器部分の総リース料が「65万円以上」であれば申請可能です 。 例えば、「工場のLED照明(※LED単体は対象外の場合が多いですが、要確認)と空調をセットにする」「事務所のエアコンと給湯室のボイラーをセットにする」など、複数の設備更新をまとめてリース契約することで、補助対象のボリュームを増やし、事務手続きの手間も一度で済ませる戦略が有効です。
※注:LED照明は、かつては対象でしたが、近年は省エネ効果が当たり前になりつつあるため、本事業の「脱炭素機器」リストに含まれていないケースがあります。ただし、制御システム等とのセットで認められる場合もあるため、詳細はご相談ください。
5-3. 「リースバック」は対象外!ここだけは注意
たまにご相談いただくのが、「すでに持っている設備をリース会社に売って、リースし直す(リースバック)」手法ですが、これは本事業の対象外です 。 また、中古品の導入も原則対象外です(メーカー保証のあるリファービッシュMRIなど一部例外あり) 。あくまで「新品の導入」が条件であることを覚えておいてください。
6. 申請の流れと、私たちtotokaができること
この補助金は、「指定リース事業者」を通じて申請します。皆様が直接環境省に書類を出すわけではありませんが、リース会社との連携が不可欠です。
6-1. 導入のステップ
- 導入計画の策定: どの設備を更新するか決める。
- リース会社・販売店への相談: 「ESGリース促進事業を使いたい」と伝える。
- 利用申込書の提出: リース契約の審査と並行して進めます 。
- リース契約締結: 契約書の中に「補助金相当額をリース料から減額する」という特約が入ります 。
- 補助金交付申請: リース会社が行いますが、皆様も一部資料協力が必要です 。
- 交付決定・機器設置: 決定通知が来てから納品・検収を行います。(※契約は先でもOKですが、設置時期に注意)
- 実績報告・リース開始: 設置完了を報告し、リース料の支払いが始まります 。
6-2. totokaがサポートします
弊社で協業先であるリース会社を紹介させていただきます。
また、どのメーカーのどの機種を選べば最も省エネ効果が高いかという、技術的な選定サポートも私たちの得意分野です。
7. よくある質問(Q&A)
最後に、お客様からよくいただく質問をまとめました。
Q1. ほかの補助金と併用できますか?
A. 国(環境省や経産省など)の他の補助金との併用はできません 。 ただし、経済産業省の「リース信用保険制度」との併用は可能です 。また、北海道や札幌市など、自治体独自の補助金とは併用できる場合がありますので、個別の確認が必要です。
Q2. リース期間の決まりはありますか?
A. あります。法定耐用年数の70%以上(10年以上の資産は60%以上)の期間を設定する必要があります。また、最低でも3年以上の契約である必要があります 。 途中解約は原則NGで、もし解約すると補助金の返還義務が生じるため注意してください 。
Q3. まだリース会社が決まっていません。
A. 環境省から指定を受けた「指定リース事業者」と契約する必要があります 。大手リース会社の多くは指定を受けていますが、地場のリース会社が対応しているかは確認が必要です。totokaにご相談いただければ、対応可能なリース会社様をご紹介したり、連携を取ったりすることも可能です。
まとめ
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。 今回の「ESGリース促進事業」について、ポイントを整理します。
- 現金給付ではなく「リース料総額の2〜6%」が割引される制度である。
- 北海道の中小企業(全業種)や個人事業主も幅広く対象になる。
- 空調、ボイラー、冷凍冷蔵庫など、光熱費削減に直結する設備が対象。
- 「ESG」と言っても難しく考えず、自社の省エネ目標などを整理すれば加点(割引率UP)が狙える。
エネルギー価格が高止まりする今、古い設備を使い続けることは、穴の空いたバケツで水を汲むようなものです。この補助金を活用して設備を新しくすれば、「リース料の割引」と「毎月の光熱費削減」のダブルの効果で、経営体質を筋肉質に変えることができます。
【まずは何をすればいい? 3つのステップ】
- 現状把握: 直近1年間の電気代・ガス代・灯油代の明細を用意する。
- 設備チェック: 15年以上使っているエアコン、ボイラー、冷凍機がないか確認する。
- 専門家に相談: 「これを更新したら、どれくらい安くなる?」と試算を依頼する。
totokaへご相談ください
「自社の設備が対象になるか知りたい」 「補助金の手続きが面倒そうで不安」 「一番省エネ効果が高いメーカーを教えてほしい」
そんなときは、ぜひ一度totokaにご相談ください。 まずは、現在の光熱費の明細と、既存設備の型番がわかる写真を共有いただくだけで、簡易的な省エネ診断と補助金活用シミュレーションを無料で行います。
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