北海道では高齢化が全国平均を上回るペースで進み、建設業・製造業・運輸業・介護業界を中心に、60歳以上の労働者が事業運営の重要な戦力となっています。一方で、加齢による身体機能の低下は、転倒・腰痛・熱中症といった労働災害のリスクを高めます。札幌でも真夏日が続くようになり、暑熱環境での作業は北海道企業にとっても深刻な経営リスクです。
こうした課題を支援するのが、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」です。令和8年度(2026年度)は3つのコースに再編され、令和8年5月20日から申請受付が始まりました。本コラムでは、令和8年度の最新制度内容に基づき、北海道の中小企業が活用すべきポイントを解説します。
この記事でわかること
✅ 令和8年度エイジフレンドリー補助金の3コースの違い(補助率・上限額・対象)
✅ 令和7年度から変わった主な変更点(4コース→3コースへの再編)
✅ 熱中症対策コースで対象となるスポットクーラー・空調服・ウェアラブルデバイスの要件
✅ 令和8年度の申請スケジュールと、Jグランツ申請の追加
✅ 北海道企業がこの制度を活用するための実務ポイント
1. エイジフレンドリー補助金とは?2026年度版の基本
エイジフレンドリー補助金とは、高年齢労働者(60歳以上)の労働災害防止と労働者の健康保持増進を目的に、厚生労働省が中小企業に交付する補助金制度です。設備改善や専門家による指導の経費の一部を、最大100万円まで補助します。
令和8年度は、安全衛生の専門家による「リスクアセスメント」(職場の危険性の洗い出し)を起点に対策を実施する仕組みが強化され、コース構成が大きく見直されました。
| 制度名 | エイジフレンドリー補助金(令和8年度) |
| 所管 | 厚生労働省 |
| 事務局 | 一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会 (エイジフレンドリー補助金事務センター) |
| 対象者 | 中小企業事業者(60歳以上の労働者を常時1名以上雇用、1年以上事業を実施) |
| 補助率 | コースにより1/2 〜 4/5 |
| 上限額 | 最大100万円(消費税を除く。コラボヘルスコースは30万円) |
| 申請受付期間 | 令和8年5月20日(水)〜 令和8年10月31日(土) ※専門家総合対策コース第1段階のみ8月31日(月)まで |
| 支払請求期限 | 令和9年1月31日 |
| 申請方法 | 郵送 または Jグランツ(電子申請) |
| 申請回数 | 1年度につき1回まで(複数コース併用不可) |
| 事業センターHP | https://www.jashcon-age.or.jp/ |
厚生労働省は「高年齢者の労働災害防止のための指針」を令和8年4月1日から適用しています。経営トップが対策方針を表明し、安全衛生管理体制を確立することが事業者の責務として明示され、本補助金もこの指針に沿った対策を支援する制度として位置付けられています。
2. 令和8年度の主な変更点(4コース→3コースへの再編)
令和8年度は、令和7年度の4コース体制から3コース体制に再編されました。コース名称や対象範囲が変わっているため、令和7年度に申請を見送った企業も、令和8年度は対象になる可能性があります。
| 項目 | 令和7年度(2025年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| コース数 | 4コース | 3コース |
| 名称変更 | 総合対策コース | 専門家総合対策コース (第1段階/第2段階に分割) |
| 熱中症対策の位置付け | 職場環境改善コースの一部 | 独立した「熱中症対策コース」 |
| 運動指導コース | 独立コース(途中で受付終了) | 専門家総合対策コースの 第2段階Cに統合 |
| 申請方法 | 郵送のみ | 郵送 + Jグランツ(電子申請) |
| 申請開始 | 令和7年5月15日 | 令和8年5月20日 |
特に注目すべきは、「熱中症対策コース」が独立したコースになったことです。令和7年6月の労働安全衛生規則改正により、一定の暑熱作業について実施手順の作成や報告体制整備が事業者の義務となったことを受け、こうした体制整備を機器面から支える独立コースとして強化された形です。
3. 3つのコースを比較|どのコースを選ぶ?
令和8年度の3コースは、補助率・上限額・対象者・対象内容が異なります。自社の課題に最も合うコースを1つだけ選んで申請します。
| コース | 補助率 | 上限額 | 取組に参加できる労働者 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ 専門家総合対策コース (職場環境改善・運動指導等) | A:4/5 B:1/2 C:1/2 | 100万円 (A・B・Cの合計) | A・B:60歳以上の労働者 C:60歳未満も含められる |
| Ⅱ 熱中症対策コース | 1/2 | 100万円 | 60歳以上の労働者 |
| Ⅲ コラボヘルスコース | 3/4 | 30万円 | 60歳未満も含められる |
3コースの併用申請はできません。たとえば「専門家総合対策コースと熱中症対策コースを両方申請」はできないため、自社の課題のうち最も優先度の高い対策に絞って申請するコースを選びます。
第2段階Cおよびコラボヘルスコースは、取組に参加する労働者については60歳未満も対象に含められます。ただし、申請する事業者としては、役員を除き60歳以上の労災保険適用労働者が常時1名以上就労しているという共通の応募要件を満たす必要があります。「60歳以上の従業員がいない会社」が申請できるわけではない点に注意してください。
図:令和8年度エイジフレンドリー補助金の3コース構造(いずれも応募事業者の共通要件として60歳以上の労働者が1名以上必要)
4. Ⅰ 専門家総合対策コース|2段階の申請で4/5補助
専門家総合対策コースは、労働安全衛生の専門家によるリスクアセスメント(第1段階)と、その結果を踏まえた労働災害防止対策の実施(第2段階)を組み合わせたコースです。「何から手をつければよいか分からない」企業に最も適しています。
① 第1段階:リスクアセスメントの実施
労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント等の専門家が事業場を訪問し、高年齢労働者の特性を考慮したリスクアセスメントを実施します。専門家依頼の経費が補助率4/5で補助されます(上限100万円のうちの内数)。
外部専門家への依頼ではなく、自社の安全衛生担当者(安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者など)がリスクアセスメントを実施することも認められています。その場合は第1段階の申請は不要で、第2段階から申請を行います。費用を抑えたい企業はこちらを選びます。
② 第2段階B:労働災害防止のための設備・装置の導入(補助率1/2)
リスクアセスメントの結果を踏まえ、高年齢労働者の身体機能の低下を補う設備・装置を導入する経費が補助対象です。具体的には次のような対策が想定されています(公式リーフレットより)。
| 対策カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 転倒・墜落災害防止 | 床や通路の段差解消、滑り防止床材、グレーチング、凍結防止装置、階段への手すり設置、踏み面の滑り防止 |
| 重量物取扱い・介護作業の負担軽減 | 作業台の設置、重量物搬送リフト、アシストスーツ、移乗介助機器、入浴介助機器、ノーリフトケア教育 |
| その他 | 業務用車両への踏み間違い防止装置 |
令和8年度リーフレットでは、転倒防止対策として「水場等への凍結防止装置の導入」が明示されています。冬期に屋外通路の凍結が常態化する北海道の事業所では、本コースで対策を検討する価値があります。
ただし対象範囲には注意が必要です。公式Q&Aでは、従業員が利用する事業場敷地内の通路など、労働者の作業動線に係る凍結防止装置が対象とされており、顧客・施設利用者が主に使う通路や、通路以外の場所(一般的な駐車場全面など)は対象外と整理されています。社員出入口から作業場への動線、構内通路、屋外作業エリアへのアプローチ部分などを中心に検討します。
③ 第2段階C:転倒防止・腰痛予防のための運動指導等(補助率1/2)
理学療法士・健康運動指導士などの専門家を職場に招き、労働者の身体機能チェック → 運動指導 → 効果確認の3ステップを実施する経費が補助対象です。取組に参加する労働者については60歳未満も含めることができます(応募要件として60歳以上の労災保険適用労働者が常時1名以上就労していることは引き続き必要です)。
運動指導は専門家との対面実施に限られます。オンライン指導や動画購入は対象外です。実施状況がわかる写真や身体機能チェック結果(10名分)の提出が必要なため、記録の保管も実施時から徹底します。
5. Ⅱ 熱中症対策コース|独立コース化で注目度上昇
令和8年度から独立コースとなった「熱中症対策コース」は、60歳以上の高年齢労働者を対象に、熱中症予防のための機器・設備の導入経費を補助率1/2、上限100万円で支援します。令和7年6月の労働安全衛生規則改正により、一定の暑熱作業について「重篤化防止のための実施手順の作成・関係者への周知・報告体制の整備」が事業者の義務として位置付けられた経緯があり、本コースはその体制整備を機器面から支える位置付けです。
令和7年6月の改正で義務化されたのは、一定の暑熱作業についての実施手順・体制・周知であり、スポットクーラーや空調服の導入そのものが一律に義務化されたわけではありません。本コースは、対策を実効的に進めるための任意の補助制度です。
① 対象になる「屋外作業等」の定義
本コースが対象とするのは「屋外作業等」での作業です。リーフレットでは次のように定義されています。
「屋外作業等」とは
屋外、または労働安全衛生規則第606条の温湿度調整を行ってもなお室温31℃または湿球黒球温度(WBGT)28℃を超える屋内作業場での作業を指します。
屋内作業場の場合は、温湿度調整をしても基準値を下回らない理由(例:炉があるため空間全体での温度調整ができない等)を申請時に説明する必要があります。
② 補助対象となる機器・設備の具体例
| 区分 | 具体例 | 要件・注意点 |
|---|---|---|
| 体表面の冷却 | 空調服(ファン付き作業服)、冷却ベスト、移動式スポットクーラー | スポットクーラーは熱排気を屋外等に逃がせるもの、標準使用期間5年以上のものに限る |
| 効率的な身体冷却 | アイススラリー・保冷剤を冷やすための専用冷凍ストッカー | 最大400Lまで。アイススラリー本体・スポーツドリンク・保冷剤は対象外 |
| 健康管理システム | ウェアラブルデバイスによる体調管理システム | 深部体温を推定でき、通信機能で集中管理できるものに限る。本人にのみ通知するタイプは対象外 |
③ 活用シミュレーション:用途が異なる機器の組み合わせ例
熱中症対策コースでは、同じ60歳以上の労働者に対して体温を下げる目的の機器は原則として1人につきいずれか1つという整理がされています(公式Q&A)。たとえばスポットクーラーと空調服を同じ作業員に重ねて適用する想定はできません。そこで、用途が異なる機器を組み合わせる例でシミュレーションします。
50万円
移動式スポットクーラー1台 30万円
+アイススラリー用冷凍ストッカー1台 20万円
=設備費用(税抜)※試算例
実質25万円
補助金25万円(補助率1/2)
差し引き後の実質負担額
※試算例
この例では、スポットクーラーは「作業場・休憩場所の冷却」、冷凍ストッカーは「アイススラリーを冷やして身体内部から冷却する」という異なる役割の機器を組み合わせています。一人の労働者に対して用途が重複しないため、両方とも補助対象として整理しやすい構成です。
空調服(ファン付き作業服)は補助対象ですが、対象は60歳以上の高年齢労働者の人数分(1人1着)に限られます。洗い替え用の予備や、60歳未満の労働者の分は対象外です。また、速乾性アンダーウェアなど熱中症予防効果が不十分なものも対象外となります。
6. Ⅲ コラボヘルスコース|医療保険者との連携で健康増進
コラボヘルスとは、医療保険者(協会けんぽ等)と事業主が連携して労働者の健康づくりを効果的に進める取組です。本コースでは、健康教育・研修、システム導入、栄養・保健指導の経費を補助率3/4、上限30万円で支援します。
| 補助対象 | 具体例 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 健康教育・研修等 | 産業医・保健師等による禁煙指導、メンタルヘルス対策、健康教育 | 専門家との対面実施に限る。 メンタルヘルスのみ単独申請は不可 |
| システム導入 | 健康診断結果の電子的保存・管理システム、事業所カルテ活用 | システム導入の初期経費のみ。 PC購入は対象外 |
| 栄養・保健指導 | 栄養指導、保健指導等の健康保持増進措置 | 健康診断・歯科健診費用は対象外 |
このコースは、事業主健診情報が医療保険者に提供されていることが補助の前提です。協会けんぽ等の「健康スコアリングレポート」「事業所カルテ」が申請書類になります。労働者数が少なく事業所カルテの提供を受けられない場合は、健診機関への同意書・契約書の提出が必要です。
7. 対象になる中小企業の範囲
業種ごとに「常時使用する労働者数」または「資本金等」のいずれか一方を満たせば、中小企業事業者として申請可能です。
| 業種 | 労働者数 | 資本金等 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業を含む) | 50人以下 | 5,000万円以下 |
| サービス業(医療・福祉、宿泊業、娯楽業、教育・学習支援業、情報サービス業、物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業等) | 100人以下 | 5,000万円以下 |
| 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
| その他(製造業、建設業、運輸業、農業、林業、漁業、金融業、保険業等) | 300人以下 | 3億円以下 |
さらに、共通要件として以下を満たす必要があります。
- 1年以上事業を実施していること
- 役員を除き、自社の労災保険適用の高年齢労働者(60歳以上)が常時1名以上就労していること
※この応募要件は3コースすべてに共通です。第2段階Cおよびコラボヘルスコースは、取組に参加する労働者の範囲を60歳未満まで広げられる、という違いに留まります
8. 申請から補助金支払までの流れ
本補助金は「交付決定」の通知を受けてから設備の発注・工事に着手するルールです。交付決定前に発注すると、後から書類を揃えても補助金は支払われません。手順を時系列で正しく理解することが、補助金獲得の絶対条件です。
① 熱中症対策コース・コラボヘルスコースの流れ
事業センターHPから様式をダウンロードし、郵送またはJグランツで提出します(メール送付は不可)。
申請書類は毎月末に取りまとめ、翌月に審査が行われます。個別審査の前倒しはできません。
結果連絡期間に交付決定通知書が郵送等で届きます。この通知書を手元で確認するまで発注・工事は厳禁です。
交付決定通知書が届いた後に、対象の機器・設備を発注し、購入・施工を完了させます。
取組完了後、業者へ代金を支払い(前払いは不可)、様式3を作成して支払請求書類を郵送します。
事務センターが書類を確認し、補助金額を確定して支払いを行います。
② 専門家総合対策コースは2段階の手続き
専門家総合対策コースは、第1段階(リスクアセスメント)と第2段階(労働災害防止対策)それぞれで交付申請が必要です。第1段階の交付決定 → リスクアセスメント実施 → 結果書発行 → 第2段階の交付申請、という流れで進みます。書類提出と審査が2回発生するため、他コースより手続きに時間がかかります。
9. 令和8年度のスケジュール|第1段階は8月31日締切に注意
令和8年度の申請受付期間は令和8年5月20日(水)から10月31日(土)までです。ただし、専門家総合対策コースの第1段階は8月31日(月)までと短くなっています。
| 項目 | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|
| 交付申請受付期間(全般) | 令和8年5月20日 〜 10月31日(当日消印有効) |
| 専門家総合対策コース第1段階の申請期限 | 令和8年8月31日(当日消印有効) |
| 支払請求書類の提出期限 | 令和9年1月31日(当日消印有効) |
| 事務センター電話(申請担当) | 03-6381-7507 |
| 事務センター電話(支払担当) | 03-6809-4085 |
| 受付時間 | 平日 10:00〜12:00/13:00〜15:00 (土日祝・夏季休暇・年末年始除く) |
エイジフレンドリー補助金は交付決定額が予算に達した時点で、申請期間中であっても受付が終了します。令和6年度は予定より1か月早く締め切られ、令和7年度も一部コースで早期に予算上限に達しました。10月末までに必ず申請が間に合うとは限らないため、夏までの申請を推奨します。
① 第2段階の申請は毎月末締切のサイクル
専門家総合対策コース第2段階および熱中症対策コース・コラボヘルスコースは、申請書類が毎月末に取りまとめられ、翌月に審査される運用です。
| 申請受付期間 | 審査期間 | 結果連絡時期 |
|---|---|---|
| 5月20日〜5月31日 | 6月 | 6月末〜7月上旬 |
| 6月1日〜6月30日 | 7月 | 7月末〜8月上旬 |
| 7月1日〜7月31日 | 8月 | 8月末〜9月上旬 |
| 8月1日〜8月31日 | 9月 | 9月末〜10月上旬 |
| 9月1日〜9月30日 | 10月 | 10月末〜11月上旬 |
| 10月1日〜10月31日 | 11月 | 11月末〜12月上旬 |
10. よくある失敗と回避策
エイジフレンドリー補助金で実務上よく発生する失敗パターンと、その回避方法を整理します。
① 交付決定前に設備を発注してしまう
最も多い失敗が、交付決定通知書が届く前に業者へ発注してしまうケースです。書類は揃っていても、発注日が交付決定日より前であれば一切補助されません。「申請書を出した = 内定」と誤解しないことが重要です。
② 業者への前払いをしてしまう
取組がすべて完了する前に業者へ代金の一部でも支払うと、「前払い」として補助対象外になります。請求書のタイミングや支払日を業者と事前に調整する必要があります。
③ 複数コースの併用を計画してしまう
「熱中症対策とコラボヘルスを両方やりたい」と考えても、1年度1コース1回のルールです。複数の課題がある場合は、年度をまたいで計画するか、最も優先度の高い1コースに絞ります。
④ 対象外の機器を申請してしまう
熱中症対策コースでは、アイススラリー・スポーツドリンク・保冷剤の購入費は対象外です(冷凍ストッカーは対象)。空調服も60歳以上の人数分が上限で、予備の追加購入は対象外です。リーフレット・Q&Aで対象範囲を確認してから見積りを取ります。
⑤ リスクアセスメントの様式を間違える
専門家総合対策コースは、リスクアセスメントを外部専門家に依頼する場合と自社で実施する場合で申請様式が異なります。また、第2段階の運動指導(転倒防止・腰痛予防)でもそれぞれ別様式が用意されています。事務センターHPの様式一覧から正しいものを選びます。
11. 北海道企業にとってのエイジフレンドリー補助金活用ポイント
北海道の中小企業がこの制度を最大限に活用するためのポイントを整理します。北海道は寒冷地特性・高齢化の進展・夏季の暑熱という3要素が同時に存在する、本補助金の活用余地が大きい地域です。
■ ポイント1:高齢化率の高い北海道は対象企業が多い
北海道の高齢化率は全国平均を上回り、特に建設業・運輸業・介護業界では60歳以上の戦力に依存する事業所が多数あります。本補助金の基本要件「60歳以上の労働者が常時1名以上」は、多くの北海道企業が満たしている状態です。
■ ポイント2:冬期の凍結防止装置を補助対象に
転倒防止対策として、リーフレットで「水場等への凍結防止装置」が明示されています。対象は従業員が利用する事業場敷地内の通路など、労働者の作業動線に係る部分です(顧客が主に使う通路や、通路以外の場所は対象外)。社員出入口から作業場への動線や構内通路など、転倒リスクのある箇所に絞って活用を検討します。
■ ポイント3:夏季の熱中症対策コースは札幌・帯広・旭川で活用余地大
札幌でも真夏日が連続する時代となり、内陸の帯広・旭川では35℃前後の極暑日も発生します。スポットクーラーや空調服に補助率1/2が適用される独立コースができたことは、北海道の現場業の経営者にとって大きな意味を持ちます。最大100万円を活用すれば、5〜10名規模の現場をまとめて熱中症対策できます。
■ ポイント4:早期申請の徹底を
予算上限到達による早期締切リスクを考えると、北海道企業は6〜7月の早い段階での申請を推奨します。さらに、北海道では冬季の工事制約により秋以降の発注が間に合わなくなるケースもあります。交付決定後に発注 → 冬前に工事完了 → 年内の支払いを目指すスケジュールが現実的です。
12. よくある質問(FAQ)
A. 熱中症対策コース・コラボヘルスコースの場合、申請から交付決定まで約1〜2か月、その後に設備の発注・施工・支払請求の手続きが続きます。早ければ申請から3〜4か月で振り込まれるケースもありますが、設備の納期や工事完了時期によって変動します。
A. 対象になりません。応募要件は「役員を除き、自社の労災保険適用の高年齢労働者が常時1名以上就労していること」と定められており、役員は除外されます。この要件は3コースすべてに共通するため、専門家総合対策コースの第2段階Cやコラボヘルスコースについても、申請するためには60歳以上の従業員が1名以上必要です。
A. メールでの申請はできません。郵送(消印確認のため料金別納・後納は不可)またはJグランツ(電子申請)のいずれかで提出します。Jグランツの利用にはGビズIDの取得が必要です。
A. 可能です。安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が自社でリスクアセスメントを実施し、その結果をもとに第2段階から申請できます。この場合、第1段階の申請は行いません。専門家への外部委託費用を抑えたい企業はこの方法を選択できます。
A. 同一の経費に対して国の補助金を重複して受けることは原則認められません。ただし、別の経費・別の設備に対してであれば、エイジフレンドリー補助金と省エネ補助金等を組み合わせて活用することは可能です。たとえば、熱中症対策コースで空調服を、省エネ補助金で空調設備本体を、というように対象経費を切り分けて申請するケースが考えられます。
13. まとめ
令和8年度エイジフレンドリー補助金は、令和7年度の4コース体制から3コース体制に再編され、特に熱中症対策が独立コースとして強化されました。北海道の中小企業にとっては、転倒防止・腰痛予防・熱中症対策・健康増進という幅広いニーズに対応できる、活用度の高い補助金です。
本補助金活用のポイントを5つにまとめます。
- 3コースから1コースを選択:専門家総合対策、熱中症対策、コラボヘルスの中から自社の課題に最も合うものを1つだけ申請します
- 申請期間は5月20日〜10月31日。ただし第1段階のみ8月31日締切、予算上限到達で早期終了の可能性あり
- 交付決定通知書が届くまで発注厳禁。前払いも補助対象外になります
- 北海道企業は冬期の凍結防止装置・夏期の熱中症対策・運動指導を組み合わせて活用できます
- 令和8年4月から高年齢者労働災害防止指針が適用。経営トップの方針表明と対策担当者の明確化が事業者責務として位置付けられています
高齢化と人手不足が深刻化する北海道において、高年齢労働者の安全と健康への投資は、貴重な人材を長く活かすための経営戦略そのものです。令和8年度の制度内容を正しく理解し、自社の課題に合うコースで早期申請を進めることをおすすめします。
記事情報
公開日:2026年5月20日
参照資料:
・厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
・一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会「令和8年度エイジフレンドリー補助金」https://www.jashcon-age.or.jp/
・令和8年度エイジフレンドリー補助金リーフレット
※本記事は令和8年度(2026年度)の制度情報に基づいて作成しています。最新情報は公式サイトをご確認ください。
