カーボンニュートラル投資促進税制とは?中小企業の控除率と期限【令和8年度】

カーボンニュートラル投資促進税制(以下「CN税制」)は、国の認定を受けた計画にもとづいて、脱炭素と付加価値向上を両立する設備を取得した事業者が、税額控除か特別償却のどちらかを選べる制度です。令和8年度(2026年度)税制改正で、計画の認定期限は2年延長され、2028年3月31日までに認定を受ければ使えます。

ただし、延長と同時に優遇の水準は下がりました。中小企業者等の税額控除は最大14%から最大10%に、特別償却は50%から30%になっています。2026年4月1日以後に認定を受ける計画は、この新しい水準が適用されます。改正前の数字(税額控除14%、特別償却50%など)とは違うので、注意が必要です。

この記事では、制度の概要、令和8年度改正の内容、申請の流れ、類似制度との違い、北海道の法人の検討の流れを整理します。数値や日付は、経済産業省・財務省・国税庁などの公表資料で確認できたものだけを書いています。税務上の最終判断は、顧問の税理士に確認してください。

この記事でわかること
・CN税制の対象設備(生産工程効率化等設備)と、対象外になるもの
・令和8年度税制改正で変わった点(認定期限の延長、控除率・特別償却率の引き下げ)
・中小企業者等の税額控除率(5%または10%)と特別償却率(30%)の決まり方
・事業適応計画の認定から確定申告までの手続と、北海道の窓口
・中小企業経営強化税制など類似制度との違い、北海道の法人の検討の流れ

更新履歴

  • 2026年10月29日:全面改訂。令和8年度税制改正(認定期限の2028年3月31日への延長、税額控除率・特別償却率の見直し)を反映。対象設備、手続、北海道の窓口、類似制度との違いを追加。根拠を確認できなかった記述と、改正前の数値を削除
  • 2025年4月10日:初版公開

1. カーボンニュートラル投資促進税制とは?制度の概要と対象設備

CN税制は、産業競争力強化法の計画認定制度(事業適応計画)と、租税特別措置法の税制優遇を組み合わせた制度です。経済産業省は、生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入に対して、税額控除または特別償却を措置する制度と説明しています。2021年度(令和3年度)に創設され、令和6年度に延長・拡充されました。

対象者 青色申告書を提出する法人・個人。業種や資本金の規模は問わない(経済産業省Q&A)
対象設備 認定を受けた事業適応計画に記載された「生産工程効率化等設備」。設備を導入する前後で、その事業所の炭素生産性が1%以上向上するもの
優遇措置 税額控除(中小企業者等は5%または10%)、または特別償却30%のどちらか
認定の期限 2028年3月31日までに計画の認定を受ける。認定日から3年を経過する日までに、設備を取得して国内の事業に使い始める
投資額・控除の上限 措置の対象になる投資額は500億円まで。控除できる税額は、法人税額または所得税額の20%まで

表:CN税制の概要(経済産業省「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」2026年9月30日更新、同「申請方法・審査のポイント」2026年9月、同「Q&A」をもとに作成)

対象になる設備は、機械装置、器具備品、建物附属設備、構築物のほか、これらを組み合わせたものです。経済産業省のQ&Aは、組み合わせの例として、生産ラインを構成する複数の加工装置、太陽光発電設備と一緒に使う蓄電池、同じEMS(エネルギー管理システム)で制御する熱源設備一式を挙げています。

ポイント:「需要開拓商品生産設備」は現在の対象ではありません

この税制には、以前、大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備(需要開拓商品生産設備)の区分もありました。国税庁の情報によると、令和6年度の税制改正で、需要開拓商品生産設備は対象資産から除外されました。現在、経済産業省の制度ページが対象としている設備は、生産工程効率化等設備です。戦略分野の国内生産を促す税制として、別に「戦略分野国内生産促進税制」があります(国税庁タックスアンサーNo.5922)。

2. 令和8年度税制改正で何が変わったか(延長と見直し)

令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日に閣議決定)には、CN税制について「特別償却率及び税額控除率を次のとおり見直した上、その適用期限を2年延長する」と書かれています。改正法(所得税法等の一部を改正する法律)は、2026年2月20日に国会へ提出され、2026年3月31日に成立・公布されました。施行は2026年4月1日です(別段の定めがあるものを除く)。

経済産業省の制度ページ(2026年9月30日更新)と国税庁のタックスアンサーNo.5925(2026年4月1日現在の法令等)も、改正後の内容を載せています。認定の期限は2028年3月31日(令和10年3月31日)までです。

区分 改正前(2026年3月31日までに認定) 改正後(2026年4月1日以後に認定)
中小企業者等・上の区分 向上率17%以上:税額控除14%/特別償却50% 向上率22%以上:税額控除10%/特別償却30%
中小企業者等・標準の区分 向上率10%以上17%未満:税額控除10%/特別償却50% 向上率17%以上22%未満:税額控除5%/特別償却30%
中小企業者等以外・上の区分 向上率20%以上:税額控除10%/特別償却50% 向上率25%以上:税額控除8%/特別償却30%
中小企業者等以外・標準の区分 向上率15%以上20%未満:税額控除5%/特別償却50% 向上率20%以上25%未満:税額控除3%/特別償却30%

表:CN税制の控除率・特別償却率の改正前後(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁タックスアンサーNo.5925をもとに作成。「向上率」は、認定を受ける計画全体の炭素生産性の向上率。サプライチェーン連携を行う「特定大企業」の向上率の基準は別に定められている)

重要 認定の最低ラインも上がっています

改正前は、中小企業者の区分の下限が「炭素生産性10%以上の向上」でした。改正後の経済産業省Q&Aでは、中小企業者等が認定を受けるには、計画全体の炭素生産性を17%以上向上させる目標が必要です。税額控除率の引き下げと合わせて、改正前より計画のハードルは上がっています。

経済産業省のQ&Aには、移行に関する扱いも書かれています。

  • 2026年3月31日までに認定を受けた計画:その計画に設備を追加する場合は、2026年4月1日以後に変更の認定を受けます。ただし、初回の認定日が2026年3月31日以前なので、率と要件は改正前のものが適用されます。取得・事業供用は、初回の認定日から3年以内です
  • 新しい取組を新規の計画として認定を受ける場合:改正後の率と要件が適用されます
  • すでに投資を決定している設備:経済産業省のQ&Aと「申請方法・審査のポイント」(2026年9月)は、2026年3月31日までに具体的な設備投資金額を含めて組織として投資決定している設備は対象にならないとしています。例外として、より効率の高い設備への変更、セットで使う設備の追加、投資の1年以上の前倒しのいずれかを行い、2026年4月1日以後に改めて決議・決定した場合を挙げています。一方、同ガイドの添付書面の一覧には「原則、2024年4月1日以後に決議又は決定がされたもの」という記載も残っています。投資決定日の扱いは資料間で記載が異なるため、経済産業省のガイド・Q&Aで最新の記載を確認してください

3. 税額控除と特別償却の仕組み(中小企業者等の控除率)

税額控除額 = 取得価額 ×(5%または10%) ※上限:その年度の調整前法人税額の20%

特別償却は、取得価額の30%を、通常の減価償却に上乗せして償却できる(中小企業者等・それ以外の法人とも共通)

設備を事業に使い始めた事業年度(供用年度)に、特別償却と税額控除のどちらか一方を選びます(国税庁タックスアンサー)。違いは次のとおりです。

  • 税額控除:法人税額から直接差し引きます。上限を超えた分の繰越しは認められていません(経済産業省Q&A)。そのため、法人税額が小さい年度は、控除しきれない場合があります
  • 特別償却:償却を前倒しする仕組みです。限度額のうち、その年度に損金にしなかった額は、1年に限り翌年度に特別償却できます(同Q&A)
  • 使い分け:同じ設備に、特別償却と税額控除の両方は使えません。設備ごとに使い分けることはできます(同Q&A)

中小企業者等の範囲

CN税制での「中小企業者等」は、中小企業基本法の中小企業者とは異なります。経済産業省の資料では、租税特別措置法上の中小企業者(資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人など)と、常時使用する従業員が1,000人以下の個人を指します。大規模法人から一定以上の出資を受ける法人や、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人などは除かれます。

計算例(仮定の数字)

次の数字は、仕組みをつかむための仮定の数字です。実際の計画の数値ではありません。

項目 基準年度 目標年度(3年以内)
付加価値額 8,000万円 8,200万円
エネルギー起源CO2排出量 400t-CO2 340t-CO2
炭素生産性(千円/t-CO2) 200 約241
向上率 約20.6%(中小企業者等の「17%以上22%未満」の区分)

表:炭素生産性の計算例(仮定の数字。付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費、炭素生産性=付加価値額÷CO2排出量。経済産業省の定義にもとづく)

この計画に記載した設備(取得価額3,000万円。設備単位でも炭素生産性が1%以上向上すると仮定)を取得した場合の例です。どちらが有利かは、その年度の法人税額や資金繰りで変わります。

  • 税額控除を選ぶ場合:3,000万円×5%=150万円が控除限度額の計算上の金額です。その年度の調整前法人税額が600万円なら、上限はその20%の120万円で、控除できるのは120万円までです。超えた30万円は繰り越せません
  • 特別償却を選ぶ場合:3,000万円×30%=900万円を、通常の償却に上乗せして償却できます。税額そのものを減らす税額控除とは性質が異なり、償却を前倒しする仕組みです

4. 対象になる設備・ならない設備と、炭素生産性の考え方

CN税制の中心は、炭素生産性です。経済産業省は、次の式で計算すると説明しています。

炭素生産性 = 付加価値額 ÷ エネルギー起源CO2排出量

付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費(営業利益は売上総利益にすることも可能)

求められる向上は2段階です。1つ目は、計画全体の炭素生産性を、基準年度から目標年度(計画開始後3年以内)までに、中小企業者等は17%以上向上させること(税額控除10%を使う場合は22%以上)。2つ目は、設備ごとに、導入前後の事業所の炭素生産性が1%以上向上することです。基準年度は、原則として計画開始の直前の事業年度です。

設備・取得の形 扱い
広く一般に流通するLED等の照明設備 対象外
使用者の快適性を確保するためのエアコン 対象外(工業用クリーンルームの空調など産業用途は対象)
設備の修繕、中古品、貸付設備 対象外
敷地内にPPA契約で設置された発電設備 対象外(一般に、設備の所有者がPPA事業者のため)
既存設備への資本的支出 原則対象外(実質的に新たな資産を取得したと認められる場合を除く)
リース 所有権移転リースは税額控除・特別償却とも対象。所有権移転外ファイナンスリースは税額控除のみ。オペレーティングリースは対象外
認定前に取得や製作・建設を始めた設備、計画に記載のない設備 対象外(追加する場合は計画の変更認定が必要)

表:対象になる設備・ならない設備(経済産業省「Q&A」「申請方法・審査のポイント」2026年9月をもとに作成)

ポイント:LEDやエアコンも、計画全体の計算には入れられる

LED照明と快適性目的のエアコンは、税制の対象設備にはなりません。ただし、経済産業省のQ&Aは、これらの投資を事業適応計画の取組に位置づけた場合に、計画全体の炭素生産性の計算に含めることは可能としています。

重要 CO2排出量の計算で認められないもの

経済産業省のQ&Aと資料では、次のものは炭素生産性の向上に含めることができません。電力メニューの切替え(再エネ由来の電力への切替えを含む)、J-クレジットやJCMなどのクレジットの利用、敷地内のPPA設備による削減です。また、電気・熱・都市ガスの排出係数は、基準年度と目標年度で同じものを使います。

5. 申請手続:事業適応計画の認定から確定申告まで

CN税制を使うには、先に事業適応計画(エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画)を作り、主務大臣の認定を受けます。認定が先で、設備の取得は認定の後です。

1
事前相談
計画開始(認定)を予定する時点の約2か月前までに、事業を所管する省庁へ事前相談します。事前相談から正式申請までは、概ね1〜2か月が目安です。
▼
2
計画の申請
所定の申請書と添付書類を、原則としてWEBで提出します。審査期間は1か月程度が目安です。
▼
3
計画の認定
認定の日が計画の開始です。認定された計画は、認定省庁のホームページ等で原則としてただちに公表されます。
▼
4
設備の取得と事業供用
認定の日から同日以後3年を経過する日までに、設備を取得(製作・建設を含む)し、国内の事業に使い始めます。
▼
5
確定申告
設備を事業に使い始めた事業年度の確定申告で、特別償却または税額控除を申告します。所定の明細書、認定計画の写し、認定書の写しが必要です。
▼
6
実施状況の報告
計画期間中は、毎事業年度、実施状況を報告します。提出時期は原則として事業年度終了後3か月以内で、報告内容は公表されます。

図:CN税制の手続の流れ(経済産業省「申請方法・審査のポイント」2026年9月、国税庁タックスアンサーNo.5925をもとに作成)

認定申請書のほかに、定款の写し、直近の事業報告・貸借対照表・損益計算書、炭素生産性の向上率の根拠書類、計画終了年度に黒字となることを示す書類、経営方針の決議・決定の過程を示す書類(取締役会の議事概要など)、資金の使途と調達方法の内訳などが必要です(経済産業省「申請方法・審査のポイント」)。

北海道 申請の窓口は、業種と投資規模で決まります

経済産業省所管の業種(製造業、流通・小売業など)で、資本金が100億円以下かつ投資額が10億円以下の計画に限り、地方経済産業局への申請が可能です。北海道の窓口は、北海道経済産業局 資源エネルギー環境部 環境・資源循環経済課(カーボンニュートラル担当)と、経済産業省の資料に載っています(2026年9月版)。連絡先は、同資料の窓口一覧と北海道経済産業局の公式ページで確認してください。本社と対象事業所で管轄の経済産業局が異なる場合は、原則として本社の所在地を管轄する経済産業局へ申請します。

他省庁所管の業種は、その省庁が窓口です。経済産業省の制度ページは、食品産業を農林水産省、運輸業や建設業などを国土交通省、廃棄物処理業を環境省としています。どの省庁に当たるかは、事前相談の前に確認してください。

6. 中小企業経営強化税制など、類似制度との違い

設備投資の税制は、CN税制のほかにもあります。中小企業が検討しやすい制度との違いを、概要だけ整理します。

項目 CN税制 中小企業経営強化税制 特定生産性向上設備等投資促進税制(新設)
手続の中心 事業適応計画の認定(産業競争力強化法) 経営力向上計画の認定(中小企業等経営強化法)。類型により、工業会等の証明書や経済産業大臣の確認書が必要 投資計画について、経済産業大臣の確認(産業競争力強化法)
主な条件 計画全体の炭素生産性を17%以上(中小企業者等)向上。設備ごとに1%以上 A類型(生産性向上)、B類型(収益力強化)、D類型(経営資源集約化)、E類型(経営規模拡大)の設備 投資計画の設備の取得価額の合計が35億円以上(中小企業者は5億円以上)、投資利益率15%以上などの見込み(大綱)
優遇 税額控除5%・10%、または特別償却30%(中小企業者等) 即時償却、または取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人は7%) 即時償却、または7%の税額控除(建物等は4%)
期限 認定は2028年3月31日まで 2027年3月31日まで(中小企業庁ページ) 確認は2026年7月31日〜2029年3月31日(国税庁)

表:設備投資税制の比較(経済産業省、中小企業庁「中小企業経営強化税制」、国税庁タックスアンサーNo.5924、財務省「令和8年度税制改正の大綱」をもとに作成。内容は概要)

LED照明などの省エネ設備を中心に検討する場合は、中小企業経営強化税制で省エネ設備を即時償却|北海道企業の節税と補助金併用ガイドも参考にしてください。LED工事の費用を修繕費とするか資産計上するかの整理は、LED工事は修繕費?資産計上?勘定科目と国税庁の判断【法人向け】で解説しています。

経済産業省のQ&Aは、同一の設備に複数の税制を重ねて適用することはできないとしています(固定資産税の特例措置とは重複して利用できます)。また、特定生産性向上設備等投資促進税制の確認を受けた法人は、その投資計画の期間中、CN税制と中小企業経営強化税制を適用できない、と大綱に書かれています。

補助金との関係については、経済産業省のQ&Aは「併用は可能」としています。ただし、同Q&Aは、法人税法上の圧縮記帳を適用した場合は圧縮記帳後の金額が税務上の取得価額になるとしています。国税庁のタックスアンサーNo.5925には、租税特別措置法上の圧縮記帳や他の制度の特別償却・税額控除との重複適用は認められない旨の記載があります。資料ごとに触れている範囲が異なるため、補助金を受ける場合の処理は、経済産業省のガイド・Q&Aで最新の記載を確認したうえで、事前に税理士に確認してください。

7. 北海道の法人の検討の流れ

北海道 道内の事業者が押さえたい3点

単独の事業所でも計画を作れる:計画全体の炭素生産性は原則として事業者全体で測りますが、中小企業者等は、年間のエネルギー使用量が3,000kl(原油換算)未満でも、事業所を単位に目標を設定できます。

電力メニューの切替えは、削減に数えられない:電力の契約見直しによるCO2削減は、CN税制の計算に含められません。設備の更新による削減で評価されます。

補助金と組み合わせられる:国や北海道、市町村の省エネ関連の補助金とは併用できるとされています。受付状況は、北海道の省エネ補助金まとめ|国・道・市の制度と受付状況【2026年10月更新】で確認できます。

検討は、次の順序で進めると整理しやすくなります。

  1. 前提の確認:青色申告をしているか、中小企業者等に当たるか、法人税額が出る見込みか(税額控除は法人税額から差し引くため)を、税理士と確認します
  2. 基準年度のデータを集める:付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費)と、電気・燃料・ガスの使用量から計算したCO2排出量を整理します。計算ツールが使えます
  3. 設備候補を絞る:候補の設備ごとに、導入前後で事業所の炭素生産性が1%以上向上するかを、メーカーの性能値などで試算します。あわせて、計画全体で17%以上を達成できるかを見ます
  4. 経営方針の決議:申請には、設備投資計画を含む経営方針の決議・決定の過程を示す資料(取締役会の議事概要など)が必要です。投資決定日の扱い(2026年3月31日を基準とする記載があります)は資料間で記載が異なるため、経済産業省のガイド・Q&Aで最新の記載を確認し、決定の時期を整理しておきます
  5. 事前相談から申請:所管省庁(経済産業省所管なら北海道経済産業局)に相談し、計画を申請します。認定を受けてから、設備を取得します
  6. 期限の余裕を見る:認定の期限は2028年3月31日です。ただし経済産業省は、審査に一定の期間がかかるため、2027年中の申請が望ましいとしています

8. よくある失敗・注意点

重要 次の点に注意が必要です

・認定前に設備を取得、または製作・建設を始めた:その設備は対象外です。認定の後に取得する順序を守ります
・認定から3年以内、かつ認定期限(2028年3月31日)までに間に合わなかった:事業供用が3年を超えた場合や、申請しただけで期限までに認定を受けられなかった場合は、対象になりません
・計画に記載のない設備を後から買った:対象外です。投資内容を変えるときは、変更認定を受けます
・改正前の数字で試算した:2026年4月1日以後の新規認定は、新しい控除率と要件が適用されます

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 令和8年度の改正で、控除率は上がったのですか、下がったのですか。

A. 下がりました。中小企業者等の税額控除は最大14%から最大10%に、特別償却は50%から30%になりました。認定の期限は2年延長され、2028年3月31日までです。

Q2. 補助金を受ける設備でも、この税制を使えますか。

A. 経済産業省のQ&Aでは「併用は可能」とされています。ただし、法人税法上の圧縮記帳を適用した場合は圧縮後の金額が税務上の取得価額になるとされ、国税庁のタックスアンサーには、租税特別措置法上の圧縮記帳との重複適用は認められない旨の記載があります。資料により記載が異なるため、経済産業省のガイド・Q&Aで最新の記載を確認し、具体的な処理は税理士に確認してください。

Q3. LEDへの交換やエアコンの更新は、対象になりますか。

A. 広く一般に流通するLED等の照明設備と、快適性を確保するためのエアコンは、税制の対象設備になりません。ただし、事業適応計画の取組として位置づければ、計画全体の炭素生産性の計算には含められます。

Q4. 赤字の年度でも使えますか。

A. 税額控除は法人税額から差し引くため、法人税額が小さい年度は控除しきれず、超えた分は繰り越せません(経済産業省Q&A)。また、認定を受ける計画は、計画終了年度に黒字となることを示す必要があります。特別償却も含めた有利不利は、税理士に確認してください。

Q5. 個人事業主も使えますか。

A. 青色申告書を提出する個人・法人であれば、業種や資本金の規模を問わず対象になり得ます(経済産業省Q&A)。所得税にも同様の措置があります。

10. まとめ

  • CN税制は、認定を受けた事業適応計画に記載した生産工程効率化等設備を取得した青色申告の事業者が、税額控除か特別償却を選べる制度
  • 令和8年度改正で、認定期限は2028年3月31日に延長された一方、中小企業者等の税額控除は最大10%、特別償却は30%に引き下げられた。2026年4月1日以後の新規認定に適用される
  • 計画全体の炭素生産性を17%以上向上させる計画が必要で、設備ごとにも導入前後で1%以上の向上が条件。LED照明・快適性目的のエアコン、中古・貸付設備などは対象外
  • 手続は、事前相談、計画の申請、認定、設備の取得と事業供用、確定申告、実施状況報告の順。認定前の取得は対象外。北海道の窓口は北海道経済産業局(経済産業省所管の業種で、一定の規模以下の場合)
  • 同一設備に複数の税制は重ねられない。補助金とは併用可能とされるが、圧縮記帳の扱いなど税務の最終判断は税理士に確認する

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記事情報
公開日:2025年4月10日
最終更新日:2026年10月29日(全面改訂)
参照資料:
・経済産業省「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」2026年9月30日更新(経済産業省)
・経済産業省 GX推進企画室「エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画(カーボンニュートラルに向けた投資促進税制)の申請方法・審査のポイント」2026年9月(PDF)
・経済産業省「エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画(CN税制)Q&A」(PDF)
・財務省「令和8年度税制改正の大綱(3/9)」(財務省)、同「令和8年度税制改正について」(PDF)
・財務省「所得税法等の一部を改正する法律案(第221回国会)」(財務省)
・経済産業省「令和8年度税制改正要望事項(カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の延長等)」(PDF)、同「令和6年度税制改正要望事項」(PDF)
・国税庁 タックスアンサーNo.5925「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」(令和8年4月1日現在法令等)(国税庁)、No.5924「特定生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除」(国税庁)
・国税庁「法人税関係 令和6年度税制改正(第42条の12の7関係)」(PDF)
・中小企業庁「中小企業経営強化税制」(中小企業庁)
※2026年10月29日時点の情報です。税制の適用条件、控除率、期限は変更されることがあります。計算例の数字はすべて仮定です。具体的な適用の可否や有利不利の判断は、顧問の税理士と、事前相談の窓口(事業を所管する省庁)に確認してください。