令和7年度補正「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」を解説!北海道の企業が補助金を活用するポイント

北海道では冬場の暖房コストが事業経営に大きな影響を与えます。オフィスビルや商業施設、病院・学校など、業務用建築物のエネルギー消費を抜本的に減らすことは多くの企業にとって重要課題でしょう。そうした課題に対して、環境省が実施する「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」は、建物全体の省エネ改修や高効率設備導入を強力に後押しする補助金制度です。

令和7年度補正予算として48億円が計上された本事業は、新築・既存を問わず業務用建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を支援します。本コラムでは、北海道で事業を営む企業の経営者・施設管理者の方に向けて、制度の全体像をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
✅ 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業(令和7年度補正)の全体像
✅ 6つのメニュー別の補助率・補助上限・対象者
✅ 「業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」の公募スケジュール
✅ 北海道の企業が本制度を活用するためのポイント

北海道 寒冷地の業務用建築物こそ、ZEB化のメリットが大きい

北海道の業務用建築物は、長い冬季の暖房負荷が全国平均よりも高く、エネルギーコストが経営を圧迫しがちです。断熱改修や高効率空調への更新によるエネルギー削減効果が大きいため、本補助金を活用したZEB化は費用対効果の面でも有利になります。札幌・旭川・帯広・函館など主要都市の事業者様はぜひチェックしてください。

1. 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業とは?

本事業は、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)の早期達成を目指す環境省の補助金制度です。一度建てられると長期にわたってCO2排出に影響する建築物の脱炭素化を進めるため、ZEB化に必要な省CO2設備の導入を支援します。

ZEB(ゼブ)とは、「Net Zero Energy Building」の略称です。断熱・省エネ・再エネ技術を組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロまたは大幅に削減した建築物を指します。達成レベルに応じて、「ZEB」「Nearly ZEB」「ZEB Ready」「ZEB Oriented」の4段階に分類されています。

正式名称令和7年度補正 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
予算額48億円(令和7年度補正予算)
事業形態間接補助事業
補助対象者地方公共団体、民間事業者、団体等(メニューにより異なる)
連携省庁農林水産省・経済産業省・国土交通省(一部連携事業)
執行団体一般社団法人 静岡県環境資源協会(一部は公益財団法人 北海道環境財団)

2. 全5メニューの事業構成と補助内容

本事業は5つの大きな柱で構成されており、合計6つの事業メニューがあります。建築物の用途や状況に応じて、最適なメニューを選択できます。

①(1)ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業

新築・既存の業務用建築物に対するZEB化設備の導入と、既存建築物の省CO2改修調査を支援する事業です。以下の3つのサブメニューから構成されています。

■ 新築建築物のZEB普及促進支援事業 / 既存建築物のZEB化普及促進支援事業

建築物のZEB化に必要なシステム・設備機器(断熱材・窓、空調、換気、給湯、照明、太陽光、蓄電池、BEMSなど)の導入費用が補助されます。補助率は延べ面積・ZEBランク・用途によって異なります。

延べ面積ZEBランク新築(事務所等以外)新築(事務所等)既存(事務所等以外)既存(事務所等)
2,000㎡未満『ZEB』1/21/42/31/3
Nearly ZEB1/31/51/21/4
ZEB Ready対象外対象外対象外対象外
2,000㎡~10,000㎡『ZEB』1/21/42/31/3
Nearly ZEB1/31/52/31/3
ZEB Ready1/41/62/31/3
10,000㎡以上『ZEB』1/21/42/31/3
Nearly ZEB1/31/52/31/3
ZEB Ready1/41/62/31/3
ZEB Oriented1/4対象外対象外対象外
💡 ポイント:補助上限額は延べ面積に応じて3億~5億円

延べ面積に応じて補助上限が設定されています。既存建築物は新築よりも補助率が高く設定されている点が特徴です。特に「事務所等以外」の用途(ホテル、病院、商業施設、学校、飲食店など)では最大2/3の補助率が適用されるケースもあります。

■ 業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業

「いきなり大規模改修に踏み切るのは不安」という事業者向けのメニューです。既存建築物について、省CO2改修を行った場合にどの程度ZEB化を達成できるかという可能性調査に対して補助金が出ます。

補助率1/2
補助上限100万円
補助要件ZEBプランナーが関与すること、BEI(Building Energy Index)を算出すること、技術・設計手法・費用等のデータを公開すること 等
⚠ 一次公募の締切は令和8年4月23日(木)

「業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」は、令和8年3月19日(木)より一次公募が開始されています。締切は令和8年4月23日(木)です。二次公募以降も予定されていますが、予算に限りがあるため早めの検討をおすすめします。

②(2)ライフサイクルカーボン削減型の先導的な新築ZEB支援事業

建築物のライフサイクル全体(建設・運用・修繕・解体・廃棄)で排出されるCO2の削減に取り組む、先導的な新築プロジェクトを支援するメニューです。ライフサイクルカーボンの算定を行い、ZEB化に必要な省CO2設備を導入する事業が対象になります。

ZEBランク補助率(事務所等以外)補助率(事務所等)
『ZEB』55%30%
Nearly ZEB38%25%
ZEB Ready30%21%
ZEB Oriented30%対象外

補助上限は5億円です。ZEB Oriented以上の省エネ性能を満たすこと、エネルギー管理体制を整備することなどが要件とされています。

③(3)水インフラにおける脱炭素化推進事業

上下水道・ダム等の水インフラにおける脱炭素化を支援する事業です。2つのサブメニューがあります。

CO2削減設備導入支援水インフラへの再エネ設備・高効率設備・インバータ等の導入を支援(補助率:CO2削減率30%以上で1/2、15%以上30%未満で1/3)
再エネ地産地消モデル水インフラの再エネポテンシャルを活用し、小水力発電等で周辺地域に電力供給するモデル事業を支援(補助率:1/2)

④(4)省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業

業務用施設の省CO2化と、熱中症対策やレジリエンス(防災力)向上を同時に実現するための事業です。以下の4つの支援メニューと、独立型施設支援があります。

メニュー内容補助率上限
クーリングシェルター支援熱中症対策に資する高効率空調等の導入1/31,000万円
民間建築物の省CO2改修高効率機器への更新による省CO2化1/33,500万円
テナントビルの省CO2改修オーナー・テナント協働でのグリーンリース型省CO2化1/34,000万円
空き家等の省CO2改修空き家を業務用施設に改修しつつ省CO2化1/31,000万円
フェーズフリー独立型施設コンテナハウス等に高機能空調・再エネ設備を導入1/3

⑤(5)サステナブル倉庫モデル促進事業

営業倉庫への省CO2化・省人化機器と再エネ設備の同時導入を支援する事業です。無人フォークリフトや自動搬送車など省人化機器と、太陽光発電設備等の再エネ設備を同時に導入することが要件となっています。

補助率1/2
補助上限1億円
対象設備省人化設備、再エネ設備、蓄電設備、付帯設備、省CO2化設備

3. 執行団体と申請窓口はどこ?

本事業は、メニューによって執行団体(申請の窓口)が異なります。間違えないように確認しましょう。

事業メニュー執行団体
ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業一般社団法人 静岡県環境資源協会
ライフサイクルカーボン削減型の先導的な新築ZEB支援事業一般社団法人 静岡県環境資源協会
クーリングシェルター/民間建築物等の省CO2改修一般社団法人 静岡県環境資源協会
空き家等における省CO2改修一般社団法人 静岡県環境資源協会
フェーズフリーの省CO2独立型施設支援事業公益財団法人 北海道環境財団
サステナブル倉庫モデル促進事業公益財団法人 北海道環境財団
💡 ポイント:ZEBプランナーの関与が必須

ZEB普及促進事業や改修調査事業では、ZEBプランナー(ZEB設計・コンサルティングの専門家)が計画段階から関与することが補助要件です。ZEBプランナーの登録一覧は、環境省の「ZEB PORTAL」で確認できます。事前にZEBプランナーと連携してプロジェクトを進めることが大切です。

4. 公募スケジュール — 改修調査事業は七次公募まで予定

現在公募が開始されている「業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」は、令和8年10月まで七次公募が予定されています。ただし、予算がなくなり次第終了する可能性がある点には注意が必要です。

公募回公募期間
受付中 一次公募令和8年3月19日(木)~ 4月23日(木)
二次公募令和8年5月1日(金)~ 5月22日(金)
三次公募令和8年6月1日(月)~ 6月22日(月)
四次公募令和8年7月1日(水)~ 7月22日(水)
五次公募令和8年8月3日(月)~ 8月24日(月)
六次公募令和8年9月1日(火)~ 9月24日(木)
七次公募令和8年10月1日(木)~ 10月22日(木)

その他の事業メニュー(新築ZEB、既存ZEB化、民間建築物省CO2改修など)の公募スケジュールは、今後順次公表される見込みです。執行団体のホームページをこまめに確認しましょう。

⚠ 公募スケジュールは変更される場合があります

上記スケジュールは2026年3月時点の予定です。状況により変更となる場合がありますので、最新情報は必ず一般社団法人 静岡県環境資源協会の公式サイトでご確認ください。

5. 申請の流れ — 改修調査事業の場合

最も取り組みやすいメニューである「業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」を例に、申請までの流れを確認しましょう。

1
ZEBプランナーへの相談
自社建築物の省CO2改修に関心がある旨を、環境省ZEB PORTALに登録されたZEBプランナーに相談します。
2
公募要領・申請様式のダウンロード
静岡県環境資源協会のホームページから公募要領、実施要領、交付規程を確認し、申請様式をダウンロードします。
3
申請書類の作成・提出
ZEBプランナーの協力のもと、調査計画やBEI算出方法などを記載した申請書類を作成し、公募期間内に提出します。
4
採択審査・交付決定
審査の結果、採択された場合に交付決定の通知を受けます。交付決定後に調査業務を開始できます。
5
調査の実施・報告
省CO2改修によるZEB達成可能性や省CO2効果について調査を実施し、結果を報告します。技術・設計手法・費用等のデータを公開する義務があります。

6. 知っておきたい優先採択・優遇措置

ZEB普及促進事業(新築・既存)では、一定の条件を満たす場合に優先採択採択時の優遇を受けられる仕組みがあります。

① 優先採択の対象

以下に該当する事業は、優先的に採択される可能性があります。

・補助対象事業者が締結した建築物木材利用促進協定に基づき木材を使用する事業
CLT等の新たな木質部材を使用する事業

② 採択時の優遇対象

建材一体型太陽電池を導入する事業は、採択時に優遇を受けられます。

💡 ポイント:木材活用は北海道林業との親和性も高い

北海道は国内有数の林業地域であり、CLT(直交集成板)をはじめとする木質部材の調達に有利な環境です。ZEB化と木材活用を組み合わせることで、優先採択の可能性が高まるだけでなく、地域経済への貢献にもつながるでしょう。

7. まとめ — 北海道の企業がいま取るべきアクション

「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」は、業務用建築物のエネルギーコスト削減と脱炭素化を同時に進められる心強い支援制度です。特に北海道のように暖房エネルギーの比重が高い地域では、ZEB化による省エネ効果がコスト削減に直結します。

まず取り組みやすいのは、補助上限100万円で既存建築物のZEB化の可能性を調査できる「省CO2改修調査支援事業」です。大規模な設備投資の前に、自社の建物にどの程度の改修ポテンシャルがあるかを把握できます。

北海道 北海道の企業が今すぐ検討すべき3つのアクション

❶ ZEBプランナーを探す
環境省「ZEB PORTAL」で北海道エリアのZEBプランナーを検索し、自社建築物のZEB化について相談を始めましょう。

❷ 改修調査事業の一次公募に応募する
令和8年4月23日が一次公募の締切です。まずは改修調査から着手し、自社建物の省エネポテンシャルを「見える化」してください。

❸ 本格的なZEB化改修の計画を立てる
調査結果をもとに、ZEB普及促進事業(既存建築物のZEB化)への申請を検討しましょう。既存建築物の場合は最大2/3の補助率が適用されるケースもあります。

記事情報
公開日:2026年3月23日
参照資料:一般社団法人 静岡県環境資源協会「令和7年度補正 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」公募ページ、環境省「エネ特ポータル 令和8年度予算(案)及び令和7年度補正予算 脱炭素化事業一覧」、環境省「事業概要PDF」
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新情報は静岡県環境資源協会の公式サイトおよび環境省 ZEB PORTALをご確認ください。