【2026】札幌市製造業省エネ補助金|先着順・上限500万円

札幌市の製造業向け省エネ補助金「令和8年度 製造業省エネルギー設備導入補助金(企業向け)」とは、札幌市内に本社と製造拠点を有する中小企業者等が省エネ設備を導入する際に、補助率4分の3・上限500万円を受けられる制度です。公募期間は令和8年(2026年)7月6日から9月30日17時までです。

北海道の工場では、冬季の暖房負荷と電気料金の上昇が経営コストを直撃します。老朽化したボイラーやコンプレッサー、水銀灯を抱えたまま更新を先送りしている事業者にとって、補助率3/4という水準は極めて有利です。

ただし本補助金は先着順で、予算3億円に達した時点で受付終了となります。この記事では、対象要件・補助額・削減率10%の計算方法・必要書類・落ちやすいポイントまでを、公募要領と公式FAQに基づいて整理します。

この記事でわかること
✅ 補助上限500万円・補助率3/4の適用条件
✅ 「製造業」「みなし大企業」の判定基準
✅ エネルギー消費量10%削減(発電設備は5%)の計算方法
✅ 申請に必要な書類(必須16種類+必要に応じて定価証明書)と提出手順
✅ 対象外になりやすい設備・経費と、よくある失敗

1. 製造業省エネルギー設備導入補助金とは?

① 一言でいうと

札幌市内の中小製造業が、省エネ設備を導入する費用の4分の3(上限500万円)を札幌市が補助する制度です。エネルギー価格が高騰する中、多くのエネルギーを消費する製造業の工場等において、エネルギー消費量の低減に資する設備の導入を促進することを目的としています。

② 制度の背景と目的

札幌市がこの制度で狙うのは、単なる省エネではありません。エネルギーコストの削減を通じた生産性向上や賃上げ原資の確保を後押しし、持続可能な事業展開を支援することが目的として明記されています。

つまり「削減したコストを、賃上げや設備投資に回してほしい」という政策意図です。省エネは目的ではなく手段として位置づけられています。

③ 制度概要

正式名称令和8年度 製造業省エネルギー設備導入補助金(企業向け)
実施主体札幌市経済観光局
事業予算3億円
補助上限額500万円
補助率4分の3
採択件数100件程度(予算の範囲内・先着順)
公募期間令和8年7月6日(月)〜9月30日(水)17時必着
事業完了期限令和9年1月5日(火)
申請方法WEB申請(スマート申請フォーム)
事業HPhttps://sapporocity-seizougyoushien.jp/
重要 先着順・予算到達で終了

採択件数は100件程度で、先着順での交付決定となり、予算額に達した時点で公募を終了します。公募期間の終盤に動くと、予算枠が残っていない可能性があります。

2. 補助額はいくら?補助率3/4の計算例

結論として、税抜の補助対象経費に4分の3を掛けた額(上限500万円)が交付されます。補助金額が500万円に達するのは、補助対象経費が約667万円のときです。

補助対象経費(税抜)補助率3/4を適用した額実際の交付額自己負担額
200万円150万円150万円50万円
400万円300万円300万円100万円
666万円499.5万円499.5万円166.5万円
1,000万円750万円500万円(上限)500万円

※上表は補助率と上限額から機械的に算出した試算例です。実際の交付額は札幌市の審査により決定されます。

補助金を使わない場合

自己負担 400万円

設備投資額 400万円(税抜)
全額を自社で負担

本補助金を活用した場合

自己負担 100万円

補助金 300万円(3/4)
負担は4分の1に圧縮

図:補助対象経費400万円の場合の負担イメージ(※試算例。消費税は補助対象外)

⚠ 金額はすべて「税抜」で計算します

申請書類や見積書の金額は、すべて税抜き価格で記入・算出します。消費税及び地方消費税は一律で補助対象外経費です。見積書の「小計(税抜額)」をベースに収支予算書を作成してください。

3. 対象になる事業者は?「製造業」と「みなし大企業」の判定

結論として、札幌市内に本社(登記上の本店)と製造拠点の両方を有する中小企業者等で、みなし大企業でないことが要件です。3つの条件をすべて満たす必要があります。

① 「製造業を営む」とは?

日本標準産業分類(令和5年7月27日総務省告示第256号)における製造業(大分類番号E)を営んでいるものを指します。具体的には、次の2つの要件を両方満たす事業者です。

要件内容
①製造加工新製品の製造加工を行う事業者(新製品には部品等も含む)
②卸売製造加工した新製品を卸売する事業者。卸売とは、卸売業者・小売業者への販売、産業用使用者への販売、業務用に主として使用される商品の販売、同じ企業に属する他の事業所への製品引き渡しをいいます。

この「卸売要件」が実務上のハードルになります。自ら製造した製品であっても、店舗等で個人または家庭用消費者へ直接販売する事業所は、産業分類上「小売業」に分類され、対象となりません。

💡 ポイント:食品加工・水産加工の判定に注意

単なる製品の選別や包装(パック詰め)のみを行う場合は、産業分類上製造業とはならず対象外です。ただし生鮮水産物を原料として前処理(洗浄、頭部・内臓の除去等)を施し、冷凍水産食品へと加工・製造している事業所であれば製造業に該当します。北海道に多い水産加工・食品製造は、工程内容で判定が分かれます。

② 「本社」と「製造拠点」はどちらも札幌市内が必須

「本社」とは登記上の本店を指し、「製造拠点」とは実際に製造を行っている事業所を指します。単なる事務所や営業所は該当しません。

本社の登記および実際の製造拠点の「いずれもが札幌市内」にある中小企業者等が対象です。本社が東京、工場が札幌というケースは対象外です。

③ 「みなし大企業」に該当しないこと

みなし大企業に該当する(=対象外)
・発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
・発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
・大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
北海道 札幌の製造業は「小規模・エネルギー多消費」が多い

食料品製造、金属加工、印刷関連などの事業者でも活用が見込まれます。いずれも乾燥・加熱・冷凍・圧縮空気といったエネルギー多消費工程を抱えるためです。補助率3/4という条件は、単独では投資回収年数が長すぎて踏み切れなかった高効率ボイラーや冷凍冷蔵設備の更新を、現実的な選択肢に変えます。

4. 対象になる設備は?パターンAとパターンBの違い

対象設備は、更新か新規かによってパターンA(更新のみ・削減率10%以上)パターンB(発電関連設備・削減率5%以上)の2つに分かれます。

パターン更新/新規対象設備削減率要件
A更新のみ全て(Bを除く)更新前後の設備を比較し、エネルギー消費量を年率10パーセント以上低減
B更新・新規発電関連設備自家消費を目的とし、かつ施設等のエネルギー消費量を年率5パーセント以上低減

① パターンAの設備例

区分設備例
ユーティリティ設備高性能ボイラ、冷凍冷蔵設備、産業用モーター、空気圧縮機(コンプレッサー)、産業ヒートポンプ、高効率空調、業務用給湯器、調光制御設備、照明設備(LEDに限る)、変圧器 など
生産設備工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、ダイカストマシン など

② パターンBの設備例

高効率コージェネレーションシステム、太陽光発電システム、蓄電池(発電設備と同時に設置する場合のみ)が対象です。蓄電池は発電設備と同時に設置するものが対象で、電力買い取り制度(FIT、FIP)の認定を受けないことが条件です。

⚠ 太陽光の「余剰売電」「自宅共用」は対象外

発電した電気の全量を自社の製造拠点で消費する「自家消費目的」の設備のみが対象で、売電(FIT/FIPの利用含む)を行う構造のものは対象外です。また自宅兼工場で発電した電気を自宅でも使用するなど、製造業の業務以外と共用し、使用電力量を客観的に区分できない構造のものも対象外です。

③ 対象外となる設備

対象になるもの対象外のもの
・既存設備の「更新」
・自家消費目的の発電設備(新規可)
・自ら所有し使用する設備
・市内製造拠点、または同一敷地内の事務所に導入する設備
・新規導入設備(発電関連設備を除く)
・「省力化・自動化」「高性能化」を主目的とするもの
・中古品、リース品
・取得価額10万円未満又は耐用年数1年未満の消耗品(LEDは除く)
・自動車、二輪車、フォークリフト等の車両
・パソコン、プリンター、複合機、電話等の事務関連設備
・福利厚生目的の冷蔵庫、電子レンジ、空気清浄機、自動販売機、温水洗浄便座 など
💡 ポイント:事務所の空調・LEDも「同一敷地内」なら対象

製造拠点と同一の敷地内にある事務所や営業所に導入する設備も対象です。ただし製造拠点と事務所が道路等で分断されている、あるいは別番地であるなど「同一の敷地内」にない事務所・営業所の設備投資は対象外となります。判定基準は原則として同じ番地・地番です。

5. 補助対象経費は?設備費なしの申請はできない

補助対象経費は3費目に限定されます。設備費の計上が必須で、工事費だけ・設計費だけの申請は認められません。

費目内容
①設備費補助事業の実施に必要な設備の購入に要する経費
②設計費補助事業の実施に必要な設備に係る設計費やシステム設計費等
③工事費補助事業の実施に不可欠な工事に要する経費
⚠ 対象外となる経費

・建屋等の建築物・外構等の工事費
・既存設備やシステムの解体・撤去・処分・移設に係る経費
・消費税及び地方消費税相当分
・親会社、子会社、関連会社及び関係会社から調達を受ける場合の経費
・補助事業者が自社(関連会社を含む)の技術等を調達する場合の経費
・振込手数料

特に設備の搬入に伴う工場床のコンクリート補強や壁の改修は「建屋等の建築物に係る経費」とみなされ、対象外です。設備費が計上されない、工事費のみ・設計費のみの申請も補助対象外となります。

実務上、ボイラーや空調の更新工事では「既存機器の撤去処分費」と「基礎補強費」が見積に含まれます。この2つは補助対象外のため、見積書の段階で対象経費と対象外経費を分けて記載してもらうことが、後の積算書作成を大きく楽にします。

6. 削減率10%はどう計算する?算定の考え方

削減率は、次の算式で求めます。パターンAは10以上、パターンBは5以上となることが必要です。

パターンA (1 - 導入後の年間エネルギー消費量 ÷ 導入前の年間エネルギー消費量)× 100 ≧ 10 パターンB (1 - 導入後の施設の年間消費量 ÷ 導入前の施設の年間消費量)× 100 ≧ 5

図:年間エネルギー消費量低減率の算式

① 変圧器は「年間損失電力量」で読み替える

変圧器を更新する場合は、年間エネルギー消費量を「年間損失電力量」に読み替えて算定します。更新前の変圧器の年間損失電力量と比較し、導入する補助対象変圧器の年間損失電力量が10%以上低減することを算定書で算出します。

② 燃料が変わる場合は熱量換算する

重油ボイラーから電気ボイラーへの転換など、更新前後で燃料種が異なる場合は年間エネルギー消費量を「熱量換算(原油換算値)」して比較します。資源エネルギー庁の「エネルギー消費量(原油換算値)簡易計算表」等を用いて各燃料を原油換算値(kL)に統一し、削減率を算定します。

重要 「機器ごと」に10%を満たす必要がある

複数の機器を入れ替える場合、全体を合算した削減率では判定されません。原則として「導入する機器の明細ごと(型番・系統ごと)」に更新前後のエネルギー消費量を比較し、削減率基準を満たす機器のみが補助対象となります。エアコン5台のうち3台しか10%を満たさなければ、その3台のみが対象です。

💡 ポイント:既存設備は「カタログの定格値」で計算する

経年劣化による効率低下は客観的な証明が難しいため考慮しません。既存設備・導入予定設備ともに、原則としてカタログや仕様書に記載されている「メーカー公表の定格数値(初期性能)」をベースに比較算出します。「実測では効率が落ちているから削減率はもっと大きい」という主張は通りません。

既存設備の型番が不明な場合は、メーカーや納入業者にエネルギー消費量を算定・証明する書類を発行してもらいます。この証明書には担当者の個人印は不可で、必ず「発行企業の社判(社印・角印等)」の押印が必要です。

7. 申請から補助金受領までの流れ|5ステップ

STEP 1 相見積・書類準備 STEP 2 WEB申請 STEP 3 交付決定(約10営業日) STEP 4 発注〜支払 STEP 5 精算払

図:申請から補助金受領までの流れ

1
相見積の取得・書類準備
2者以上から同一条件で見積を取得します。カタログ、削減率の根拠書類、登記事項証明書、納税証明書などを揃えます。
2
WEB申請(〜令和8年9月30日17時)
スマート申請フォームから申請します。原本の郵送は不要です。受付時には登録メールアドレス宛に受付完了メールが届きます。
3
交付決定通知書の受領
交付決定は、申請書類受理後、概ね10営業日程度を必要とします。この通知書に記載された交付決定日が、すべての起点です。
4
発注・工事・納品・支払(〜令和9年1月5日)
交付決定日から令和9年1月5日までに、発注、工事、納品(検収)、および施工業者への支払までを完了させる必要があります。
5
実績報告・補助金の受領
補助金は精算払いです。実績報告書を受領後、審査のうえ補助金額を確定したのちに支払われます。

8. 必要書類は?申請時は最大17種類・実績報告時は10種類

① 申請時の提出書類

①〜⑨、⑪〜⑰の16種類が必須です。⑩補助対象設備の定価証明書は必要に応じて提出します。

No.書類名注意点
①〜⑦補助金交付申請書、事業計画書、年間エネルギー消費量削減率等算定書、収支予算書、補助対象経費積算書、宣誓書、誓約書兼同意書(様式 企-1〜7)公式サイトからダウンロード
補助対象設備のカタログ等製品紹介ホームページのプリントアウトも可
見積書2者以上から徴取。申請時点で有効期限内。補助対象経費の全てが確認できるもの
補助対象設備の定価証明書必要に応じて。2者以上の見積書を提出できない場合に製造者から徴取
年間エネルギー消費(損失電力)量の低減に関する根拠書類カタログにない場合はメーカー等の証明書(押印必須)
事業所の外観・内部写真製造業を営んでいることがわかるもの
更新前設備の写真発電設備の新設なら設置予定場所の写真
企業パンフレット等申請者の概要がわかるもの
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)3ヶ月以内に発行したもの
直近1期分の決算書貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書。個人事業主は青色申告書全様式(マイナンバー・口座は黒塗り)
市税の納税証明書(指名願用)3ヶ月以内発行。窓口で「指名願用」と指定して取得
💡 ポイント:相見積は「最安値の業者で発注」が原則

原則として2者以上から同一条件で徴取した有効期限内の見積書の提出が必須で、最も安価な価格を提示した業者での購入(発注)を予定してください。特殊設備等の理由で相見積が困難な場合は、製造元が発行した「定価証明書(社判捺印必須)」で代替可能です。

② 実績報告時の提出書類

実績報告書、補助金精算書、補助対象経費内訳書(様式 企-12〜14)、補助対象設備の台帳(固定資産台帳等)、発注書又は契約書等、納品書、請求書、銀行振込の証拠書類、導入した設備の写真、補助金振込口座の通帳の10種類です。

固定資産台帳には、取得年月日、設備の名称、型番、メーカー、数量、「製造業省エネルギー設備導入補助金」による取得であることを必ず記載します。

9. スケジュールと期限|いつまでに何をするか

時期やること
令和8年7月6日(月)公募開始
令和8年9月30日(水)17時公募締切(必着)※予算到達で早期終了
申請受理後 約10営業日交付決定通知書の送付
交付決定日以降発注・契約・着工が可能に
令和9年1月5日(火)補助事業完了期限(納品・支払完了)
事業完了後14日以内 or 令和9年1月5日の早い方実績報告書の提出
令和14年3月31日帳簿・書類の保存期限
重要 交付決定前の発注は全額対象外

札幌市からの「補助金交付決定通知書」の発行日以降に契約・発注・着工された事業のみが対象です。交付決定日より前に発注、納品、または支払いが行われた経費は、一部であってもすべて補助対象外となります。「先に業者を押さえておこう」は最も危険な判断です。

10. よくある失敗5選|回避するポイント

公募要領とFAQを読み込むと、落とし穴は概ね5つに集約されます。

失敗1:交付決定前に発注してしまう

工期を心配して先に発注すると、その時点で補助対象外が確定します。交付決定まで約10営業日かかることを前提に、業者には「交付決定後の発注」を明示して見積を取ってください。

失敗2:複数台の合算で削減率を計算する

機器ごとの判定が原則です。エアコン10台を一括更新する場合、全台が個別に10%以上を満たすか、事前にメーカー資料で確認します。

失敗3:撤去費・基礎工事費を対象経費に含める

既存設備の撤去処分費と建屋工事費は対象外です。見積段階で費目を分離しておかないと、積算書の作り直しになります。

失敗4:他補助金との併用

申請する設備について、国や自治体の他の補助金の交付を受けている事業は対象となりません。交付後に判明した場合は返還となります。SII省エネ補助金や北海道の補助金と同一設備で重複させないよう、設備単位で切り分ける必要があります。

失敗5:申請は1事業者1回限りと知らない

本補助金の申請は、1事業者1回限りです。複数回の申請はできません。ただし一つの事業計画の中での設備投資であれば、複数の製造拠点の設備投資(例:複数の工場の照明設備をLED化する事業計画)も対象となります。

💡 ポイント:1回限りだからこそ「事業計画のまとめ方」が効く

1事業者1回限りである以上、小さい設備で申請枠を使い切るのは得策ではありません。補助対象経費が667万円を超えると補助額は500万円で頭打ちになるため、対象経費を600〜670万円程度に組み立てた事業計画が費用対効果の面では合理的です(※試算に基づく考え方であり、札幌市が推奨するものではありません)。

11. 他の省エネ補助金との違い・使い分け

比較軸札幌市 製造業省エネ補助金SII 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)※年度・区分により異なる
実施主体札幌市環境共創イニシアチブ(国)
補助率4分の33分の1〜2分の1程度(区分による)
上限額500万円数千万円規模
対象者札幌市内に本社・製造拠点を持つ中小製造業全国の事業者(業種制限なし)
設備の自由度省エネ設備全般(更新のみ)SII指定設備に限定
申請回数1事業者1回限り公募回ごとに申請可

※SII補助金の補助率・上限額は年度・区分により変動します。詳細は当該年度の公募要領をご確認ください。

実務的な整理としては、補助率の高さを取るなら札幌市、規模の大きさを取るならSIIです。同一設備での併用はできないため、「A工場のボイラーは札幌市、B工場の空調はSII」のように設備単位で切り分けるのが現実的な組み立て方になります。

12. 北海道・札幌の事業者にとってのポイント

北海道 活用のポイント

■ 補助率3/4は国の省エネ補助金と比べても高い水準
国の省エネ補助金の補助率は3分の1〜2分の1が一般的です。本補助金の4分の3は、投資回収年数を単純計算で4分の1に短縮します。回収年数が長く見送っていた高効率ボイラーや冷凍冷蔵設備こそ、検討価値があります。

■ 寒冷地の暖房・給湯負荷が削減率10%クリアの追い風になる
札幌の年間暖房度日は本州主要都市を大きく上回ります。ボイラー・産業ヒートポンプ・高効率空調は、稼働時間が長いほど年間エネルギー消費量の削減幅が大きくなり、削減率10%の要件をクリアしやすくなります。逆に、稼働時間の短い設備は10%要件が厳しくなる傾向があります。

■ 水産・食品加工は「製造業該当性」の事前確認を
札幌市内には水産加工・食品製造の事業所が多く存在します。前処理を伴う加工であれば製造業に該当しますが、選別・包装のみは対象外です。また卸売を行っていない直販型は小売業扱いとなります。申請前に事務局(050-3500-2177)へ確認するのが確実です。

■ 冬季施工リスクを見込んだスケジュール設計を
事業完了期限は令和9年1月5日です。札幌では11月〜12月に降雪・凍結による工程遅延が発生しやすく、屋外機の設置や配管工事は特に影響を受けます。交付決定が9月末になると、実質的な工期は3ヶ月程度しかありません。7月〜8月中の申請が、先着順対策としても工程管理としても合理的です。

13. よくある質問(FAQ)

Q1. 補助上限額と補助率はいくらですか?

A. 補助上限額500万円、補助率は4分の3以内です。金額はすべて税抜で算定します。

Q2. 既に発注済みの設備は対象になりますか?

A. 対象になりません。交付決定通知書の発行日以降に契約・発注・着工された事業のみが対象です。

Q3. 新品の設備を新規導入する場合も対象ですか?

A. 原則として対象外です。新規導入設備は対象外で、例外は自家消費目的の発電関連設備のみです。既存設備の「更新」が基本要件です。

Q4. 古い設備の型番がわからず、消費エネルギー量が算定できません。

A. メーカーや納入業者に、機器の仕様や稼働実態に基づくエネルギー消費量を算定・証明する書類を発行してもらいます。担当者の個人印は不可で、発行企業の社判(社印・角印等)の押印が必要です。

Q5. 申請から交付決定まで何日かかりますか?

A. 申請書類受理後、概ね10営業日程度です。不備対応が発生した場合は、交付決定が遅れる場合があります。

Q6. 交付決定後に設備の型番を変更できますか?

A. 事前に「計画変更等承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。ただし当初の交付決定額から「増額」することは認められません。

14. まとめ

令和8年度 札幌市 製造業省エネルギー設備導入補助金の要点を整理します。

この記事の要点
✅ 補助率4分の3・上限500万円。予算3億円・100件程度の先着順
✅ 対象は札幌市内に本社と製造拠点の両方を持つ中小製造業(みなし大企業は除く)
✅ 削減率は更新10%以上/発電設備5%以上。機器ごと・カタログ定格値で判定
✅ 公募は令和8年9月30日17時まで。事業完了は令和9年1月5日まで
交付決定前の発注は全額対象外。撤去費・建屋工事費・消費税も対象外
✅ 申請は1事業者1回限り。事業計画の組み立てが費用対効果を左右する

先着順・予算到達で終了という設計上、この制度は「検討している間に枠がなくなる」タイプの補助金です。削減率10%の根拠づくりと相見積の取得には相応の時間がかかります。導入候補設備が決まっている事業者は、公募開始直後の動き出しが最も確実です。

記事情報
公開日:2026年7月8日
参照資料:札幌市経済観光局「令和8年度 製造業省エネルギー設備導入補助金(企業向け)公募要領」/製造業省エネルギー設備導入補助事業事務局「よくあるご質問」
公式サイト:https://sapporocity-seizougyoushien.jp/札幌市 公式ページ
お問い合わせ:製造業省エネルギー設備導入補助事業事務局 TEL 050-3500-2177(平日9:00〜17:00)
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新情報は公式サイトをご確認ください。