R7年度補助金【北海道小樽市の中小企業向け!】省エネ設備更新を支援する補助金徹底解説

北海道の中小企業の皆様にとって、エネルギーコストの最適化は経営の重要な課題の一つです。特に冬季の厳しい寒さや年間を通じた事業活動において、電力や燃料の使用量は避けて通れません。しかし、エネルギー価格の変動は経営を圧迫する要因となり得ます。こうした状況を打開し、事業の継続性を高めるためには、省エネルギー化への取り組みが不可欠です。省エネ設備への更新は、エネルギー消費量を削減し、ランニングコストを低減する直接的な方法です。さらに、二酸化炭素排出量の削減にも繋がり、企業のゼロカーボンへの貢献という社会的責任を果たす上でも重要です。

小樽市では、市内の中小企業等がこのような省エネ設備導入に取り組みやすいよう、「小樽市中小企業等省エネ推進補助金」を提供しています。この補助金は、市内の中小企業等に対し、省エネ設備の導入に要する経費の一部を補助することにより、中小企業等のゼロカーボンの推進支援及び事業継続を図ることを目的としています。本コラムでは、この補助金制度について、その目的から申請方法、補助対象など、詳細を解説します。

基礎知識:小樽市中小企業等省エネ推進補助金とは

小樽市中小企業等省エネ推進補助金」は、小樽市が定める「小樽市中小企業等省エネ推進補助金交付要綱」に基づいて運用される補助金制度です。この要綱は、小樽市補助金等交付規則に定めるもののほか、本補助金の交付に関し必要な事項を定めるものです。

補助金の目的

本補助金の目的は、市内の中小企業等に対し、二酸化炭素排出削減の取組として省エネ設備の導入に要する経費の一部を補助することにより、中小企業等のゼロカーボンの推進支援及び事業継続を図ることにあります。エネルギーコストの削減は、企業の経営安定に直結し、同時に環境負荷低減にも貢献するため、持続可能な事業運営を後押しする制度と言えます。

補助金の対象者

補助金の交付の対象となる事業者は、「中小企業者等」であり、かつ以下の要件を全て満たすものと定められています。

ここでいう「中小企業者等」とは、以下のいずれかを指します。

  • 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、小樽市内に事務所又は事業所を有するもの(個人事業者を含む)
  • 商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)第2条第1項に規定する商店街振興組合及び商店街振興組合連合会、中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条第1項に規定する中小企業団体その他特別の法律に規定する組合及び連合会であって、小樽市内で活動をするもの

対象となる事業者は、これらの定義を満たした上で、さらに以下の要件を全て満たす必要があります。

  • 小樽市暴力団の排除の推進に関する条例第2条第1号に規定する暴力団、同条第2号に規定する暴力団員又は第5条第1項に規定する暴力団関係事業者でないこと。
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業又は当該営業に係る接客業務受託営業を行う者でないこと。
  • 政治団体若しくは宗教上の組織又は団体でないこと。
  • 小樽市税に滞納がないこと

注意点として、法人の本社が市外にある場合であっても、市内で事業を行っている事業所があれば対象となります。ただし、事業所の代表者が申請する場合、本社の代表者が申請する場合を除き、委任状の提出が必要です。

省エネ・地域パートナーシップと省エネ診断

本補助金の対象となる事業は、原則として「省エネ診断」に基づいています。省エネ診断とは、省エネ・地域パートナーシップのパートナー省エネ支援機関が実施する省エネルギー効果を客観的に示す診断をいいます。省エネ・地域パートナーシップとは、中小企業等の省エネ取組を地域で支援するため、経済産業省資源エネルギー庁が立ち上げた、地域の金融機関や省エネ支援機関等と連携する枠組みです。

なお、省エネ・地域パートナーシップ立ち上げ前に実施された専門機関による診断を含むものとされています。この省エネ診断結果において、エネルギー消費量の合計が年率10パーセント以上低減すると報告された提案に基づいた省エネ対策事業が、補助対象となる事業内容となります。

補助対象となる事業・設備・経費の詳細

本補助金は、省エネ診断結果に基づき、特定の要件を満たす省エネ設備の導入を支援します。

補助対象事業の内容

補助対象となる事業は、省エネ診断結果によりエネルギー消費量の合計が年率10パーセント以上低減すると見込まれる提案を受けた省エネ対策事業です。この省エネ診断の提案は、補助金交付申請日から3年以内のものに限られます。つまり、補助金の申請を行う際には、有効な省エネ診断結果とその提案が必要となります。

補助対象設備

補助金の交付の対象となる設備(以下「補助対象設備」という。)は、前述の省エネ診断の提案に含まれる設備であり、以下のいずれにも該当するものと定められています。

  • エネルギー消費量が低減すると見込まれるものであること。
  • 現在、事業活動に供している設備に替えて導入するものであること。これは、既存設備の更新を意味し、新設及び増設は対象外です。ただし、EMS等制御装置については、既存の設備に付加するものを含むとされています。
  • 市内に所在する施設等において設備の導入を行うものであること
  • 導入する設備は借用品又は中古品でないこと
  • 主に従業員の福利厚生等を目的とする設備の導入でないこと。
  • 専ら居住を目的とした事業所又は居住エリアにおける設備の導入でないこと。

これらの要件から、本補助金は、あくまで事業活動に使用する既存設備の省エネ型設備への更新を支援する制度であることがわかります。

補助対象経費

補助対象経費は、以下の費用となります。

  • 設備の購入に要する費用。
  • 導入する設備の据付け及び運搬に要する費用。
  • その他設備の導入に関して必要と認められる費用。

ただし、これらの費用には、消費税及び地方消費税に相当する額は含まれません。また、既存設備の廃棄に係る費用も補助対象外となります。申請にあたっては、これらの対象外経費を含めずに補助対象経費を算出する必要があります。

補助金額・申請手続き

補助金の金額や申請手続きについても、要綱や関連資料に詳細が定められています。

補助率・補助上限額

補助金の額は、補助対象経費を合算した額の2分の1以内の額(その額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)と定められています。ただし、その額が100万円を超えるときは、100万円を上限とします。

つまり、例えば補助対象経費が250万円の場合、その2分の1は125万円ですが、上限額が100万円であるため、補助金額は100万円となります。補助対象経費が150万円の場合、その2分の1は75万円となり、補助金額は75万円となります(千円未満切り捨てがない場合)。

なお、補助は予算の範囲内で行われるため、採択件数には限りがあります(チラシによると10件程度を目安としているようです)。

申請期間・方法

補助金の交付を受けようとする者は、補助事業を着手する前に、補助金交付申請書(様式第1号)に必要書類を添えて市長に提出しなければなりません。申請は別に定める期間内に行う必要があり、令和7年度の申請期間は令和7年5月8日(木)から令和8年1月30日(金)までと定められています。

申請先は小樽市産業港湾部産業振興課です。申請方法は、原則として電子データ(PDF形式)を電子メールにて提出することとされています。

申請時の添付書類

補助金交付申請書には、以下の書類を添付する必要があります。

  • 省エネ診断結果の写し
  • 導入予定の設備の見積書の写し
  • 小樽市税に滞納がないことを証する証明書
  • その他市長が必要と認める書類

申請にあたっては、必ず交付要綱を確認することが重要です。

交付決定

市長は、申請があったときはその内容を審査し、適正と認めたときは、補助金の交付の決定を行います。交付決定を受けた者(補助事業者)に対しては、補助金交付決定通知書(様式第2号)により通知されます。申請が採択されなかった場合は、補助金不交付決定通知書(様式第3号)により通知されます。

補助事業の変更・中止・廃止

補助事業者は、補助金の交付決定を受けた後に補助事業内容を変更、中止又は廃止しようとするときは、直ちに補助事業変更・中止(廃止)承認申請書(様式第4号)を市長へ提出しなければなりません。ただし、事業の遂行に支障がないと認められる変更(交付決定額の減少額が20パーセント未満の変更の場合に限る。)に限り、市長の承認は不要とされています。市長は、変更等の申請があった場合は審査し、適当と認めたときは補助事業変更・中止(廃止)承認通知書(様式第5号)により申請者に通知します。

実績報告

補助事業者は、補助対象設備の設置が完了し、支払いを終えたときは、その日から30日以内又は補助金の交付決定があった日の属する年度の3月末日のいずれか早い日までに、補助事業実績報告書(様式第6号)に必要書類を添えて市長に提出しなければなりません。

実績報告書には、以下の書類を添付する必要があります。

  • 請求書の写し
  • 支払いが分かるものの写し
  • 設置した場所が分かる図面及び設置した設備の写真
  • その他市長が必要と認める書類

補助金交付額の確定・交付

市長は、実績報告書を受けたときはこれを審査し、報告内容が交付決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めたときは、交付すべき補助金の額を確定し、補助事業者に補助金交付額確定通知書(様式7号)により通知します。補助金の交付は、この額の確定後に行われます。

対象期間は、補助金の交付決定日以降、令和8年3月31日までに導入設備の発注、納入、検収、支払等の全ての手続きを完了している必要があります。実績報告の期限とも関係するため、事業計画と合わせて期間をしっかりと管理することが重要です。

補助事業完了後の注意点

補助金の交付を受けた後も、いくつか注意すべき事項があります。

交付決定の取消しについて

市長は、以下の場合に交付決定の全部又は一部を取り消すことができるとされています。

  • 補助事業者が、法令、本要綱又は市長の指示に違反した場合。
  • 補助事業者が、補助対象事業に関して、不正、怠慢又はその他不適当な行為をした場合。
  • 補助事業者が、補助金を本要綱に定める用途以外に使用した場合。
  • 補助事業者が、交付の決定後生じた事情の変更等により、補助対象事業の全部又は一部を継続する必要がなくなった場合。
  • 補助事業者が、第11条に規定する実績報告を期限までに提出しなかった場合。

交付決定が取り消された場合、既に補助金が交付されているときは、期限を付して補助金の全部又は一部の返還を命じられることがあります

取得財産の管理及び処分の制限

補助事業により取得した財産(以下「取得財産」という。)については、補助事業完了後においても善良なる管理者の注意をもって管理し、かつ、補助金の交付の目的に従ってその効率的運営を図らなければなりません

また、取得財産については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定める耐用年数を経過することとなるまでの期間(以下「処分制限期間」という。)において、この補助金の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、廃棄し、貸し付け、又は担保に供しようとする(以下「取得財産の処分」という。)ときは、あらかじめ、補助事業財産処分承認申請書(様式第8号)を市長に提出し、承認を得なければなりません

市長は、処分の申請があった場合は審査し、真にやむを得ない事情によるものと認めたときは、補助事業財産処分承認通知書(様式第9号)により申請者に通知します。承認を受けた場合、補助金の全部又は一部の金額に相当する納付金の納付を条件とされることがあり、その場合は指定された期日までに納付する必要があります。これは、補助金を受けて取得した財産が、補助金の目的に沿って適切に活用されることを担保するための規定です。

FAQ:よくある質問とその回答

Q1: 市外に本社がある場合でも対象になりますか?

はい、対象となります。小樽市内で事業を行っている事業所があれば対象です。

Q2: 事業所の代表者が申請する場合、委任状は必要ですか?

はい、必要です。本社の代表者が申請する場合を除き、委任状の提出が必要です。

Q3: 申請に必要な書類は何ですか?

申請には、補助金交付申請書の他に、省エネ診断結果の写し導入予定の設備の見積書の写し小樽市税に滞納がないことを証する証明書、その他市長が必要と認める書類が必要です。

Q4: 補助金はいつ受け取れますか?

補助金は、申請、交付決定、補助事業の実施、実績報告、そして交付額の確定を経てから交付されます。申請は事業着手前に行い、交付決定後に事業を開始し、完了後30日以内または年度末の早い方までに実績報告を行います。市長による実績報告の審査と交付額確定を経て、補助金が交付される流れとなります。

Q5: 既存設備の廃棄費用は補助対象になりますか?

いいえ、既存設備の廃棄に係る費用は補助対象外です。補助対象となるのは、設備の購入費、据付け費、運搬費などです。

Q6: 補助事業の内容を変更したい場合はどうすればよいですか?

補助事業の内容を変更、中止、または廃止する場合は、原則として事前に市長の承認が必要です。補助事業変更・中止(廃止)承認申請書を提出してください。ただし、交付決定額の減少を伴い、その減少額が20%未満である変更の場合は、市長の承認は不要です。

Q7: 実績報告書の提出期限はいつですか?

実績報告書は、補助対象設備の設置完了・支払い完了日から30日以内、または補助金の交付決定があった日の属する年度の3月末日のいずれか早い日までに提出する必要があります。

まとめ:エネルギーコスト削減と事業継続のために

小樽市中小企業等省エネ推進補助金は、小樽市内の中小企業等がエネルギーコスト削減とゼロカーボン推進に取り組む上で非常に有効な支援制度です。省エネ設備への更新は、企業の経営基盤強化に繋がり、同時に環境負荷の低減という社会的な要請にも応えるものです。本補助金を活用することで、初期投資の負担を軽減し、より円滑に省エネ化を進めることが可能になります。

本コラムでは、小樽市の補助金制度について、提供された資料に基づき詳細を解説しました。しかし、本コラムの内容は主に小樽市の補助金に関する情報に限定されており、文字数や網羅性の観点からは、広範な北海道全体の省エネ対策や他の補助金制度に関する情報は含んでいません。より総合的なエネルギーコスト削減策や、お客様の事業に最適な省エネ設備、他の利用可能な補助金制度などについては、専門家にご相談いただくことをお勧めします

エネルギーコストの削減でお悩みの際は、ぜひ株式会社totokaまでお気軽にご相談ください。totokaでは、省エネ診断から最適な設備提案、補助金申請支援まで、お客様のエネルギーコスト最適化をワンストップでサポートいたします。(※ここから先はソース外のtotokaのサービスに関する説明となります。)専門知識を持つスタッフが、お客様の事業規模や業種に合わせたきめ細やかなコンサルティングを行い、コスト削減と環境負荷低減を両立する最適なソリューションをご提案します。

エネルギーコストの課題解決を通じて、北海道、そして小樽市の中小企業の皆様の事業継続と発展に貢献できるよう、totokaは全力で支援いたします。まずはお問い合わせフォームまたはお電話にて、お気軽にご連絡ください。


出典情報: 本コラムは、以下の小樽市が公開している資料に基づいています。

  • 小樽市中小企業等省エネ推進補助金Q&A
  • 小樽市中小企業等省エネ推進補助金交付要綱
  • 小樽市中小企業等省エネ推進補助金 案内チラシ
  • 小樽市公式ウェブサイト「中小企業等省エネ推進補助金」ページ