【令和8年度】北海道の省エネ補助金(最大1000万円)対象要件とスケジュール

北海道で事業を営む企業にとって、燃料費・電気代の高騰は経営を直撃する大きな課題です。寒冷地ならではの暖房需要や、複数拠点を持つ企業の電力使用量を考えると、省エネ設備への更新は「いつかやるべきこと」ではなく「経営判断として急ぐべきテーマ」になりつつあります。

そんな中、北海道(経済部GX推進局GX推進課)が独自に実施している補助制度が「省エネルギー設備導入支援事業費補助金」です。令和8年度(2026年度)の公募が、令和8年4月22日(水)から6月12日(金)までの期間で開始されました。最大の特徴は、複数の建物やサプライチェーンを横断する「面的な省エネ」を対象とする点で、補助率1/2・上限最大1,000万円(コンソーシアムの場合)と、設備投資の大きな後押しになる制度です。

本コラムでは、令和8年度の公募内容をベースに、対象者・対象設備・補助率・申請要件・スケジュールを整理します。北海道企業の経営者・施設管理者の方が、申請可否を判断するための実務情報として活用いただける内容を目指しました。

この記事でわかること
✅ 令和8年度「省エネルギー設備導入支援事業費補助金」の制度概要と公募スケジュール
✅ 単独事業者・コンソーシアム別の補助率と上限額(最大1,000万円)
✅ 「面的な取組」「年率20%以上の削減」など審査の重要ポイント
✅ 対象設備・対象外設備の判断基準と、リース利用の取扱い
✅ 申請から実績報告までの全体スケジュール

公募スケジュール(令和8年度)

公募期間:令和8年4月22日(水)〜 令和8年6月12日(金)
申請を検討される企業様は、6月12日の締切までに事業計画書の作成・提出が必要です。コンソーシアム申請の場合は、関係者間の調整・協定書締結も含めると相当の準備期間が必要となるため、早期の検討開始を推奨します。

1. 制度の概要 ― 北海道独自の「面的省エネ」支援補助金

本補助金は、北海道が掲げる「ゼロカーボン北海道」の実現に向け、高い省エネ効果が見込まれる設備の導入を支援する制度です。国の補助金(SII等)と異なり、北海道庁が直接窓口となる道独自の補助金である点が大きな特徴です。

① 制度の基本情報

制度名令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金
実施主体北海道(経済部GX推進局GX推進課 新エネルギー係)
公募期間令和8年4月22日(水)〜 6月12日(金)公募中
補助率補助対象経費の1/2以内
補助上限額単独事業者:500万円/コンソーシアム:1,000万円
リース利用対象(リース事業者と共同で実施可)
削減要件設備導入前と比較して、エネルギー消費量を年率20%以上削減
北海道 なぜ「道独自」の補助金が存在するのか

北海道は寒冷地特有の暖房需要・広域分散型の事業所立地・一次産業を中心としたサプライチェーンなど、本州とは異なるエネルギー構造を持っています。国の一律な補助金では拾いきれない地域課題に対応するため、北海道は独自に「ゼロカーボン北海道」関連の補助制度を整備しています。本制度はその一環として、道内企業の面的な省エネ取組を支える役割を担っており、令和4年度から継続的に実施されている制度です。

② 補助率と上限額のイメージ

単独事業者の場合

上限 500万円

補助率:補助対象経費の1/2以内
道内に事務所・事業所を有する法人

コンソーシアムの場合

上限 1,000万円

補助率:補助対象経費の1/2以内
複数の法人による共同体(リース事業者を含めることも可)

図:単独申請とコンソーシアム申請の上限額比較

2. 補助対象者 ― どんな法人が申請できるのか

補助対象者は、道内に事務所または事業所を有する法人に限定されています。個人事業主は対象外です。具体的には次の3パターンに整理されます。

① 申請可能な3つの形態

申請形態主な対象上限額
① 単独申請道内に事務所・事業所を有する法人(会社、医療法人、社会福祉法人、学校法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、NPO法人、各種組合・連合会)500万円
② リース活用申請①の法人と共同で事業を実施するリース事業者500万円
③ コンソーシアム申請複数の①による共同体(リース事業者を含めることも可)1,000万円
ポイント:コンソーシアム申請の活用余地

コンソーシアムを組む場合は「コンソーシアム協定書」の締結が必要になります。同業他社との連携、グループ会社内での共同申請、サプライチェーン上の取引先企業との共同取組など、関係者をどう束ねるかが上限額1,000万円を引き出すカギになります。締切まで時間が限られるため、関係者調整は早期着手が重要です。

3. 補助対象事業 ― 「面的な取組」と「20%削減」が必須要件

本制度の最大の特徴は、補助対象事業の要件にあります。単独施設への設備更新ではなく、「面的な広がり」と「明確な省エネ効果」の両方を満たす事業のみが対象となります。

① 対象事業の必須要件(すべて該当が必要)

補助対象事業の5つの必須要件+削減目標 要件1(OR条件) 複数の建物・街区・エリアで「面的」に取り組む事業、 または、サプライチェーンを構成する複数事業者で行う事業 要件2 省エネ効果を客観的に示せる 要件3 事業の進捗・課題・成果を公表できる 要件4 他の道事業に採択されたことがない 要件5 事業終了後に成果等の普及啓発を行う 【最重要】エネルギー消費量を 年率20%以上 削減 ※当該設備の更新前後の比較でOK(事業所全体の比較は不要)

図:補助対象事業の5つの必須要件と削減目標

② 「面的な取組」とは具体的に何を指すのか

本制度で求められる「面的な取組」は、ソース資料上、次の2つのいずれかと定義されています。

  • 地理的な面的取組:道内の複数の建物、街区、エリアを対象に省エネ設備を導入する事業
  • サプライチェーン型の面的取組:サプライチェーンを構成する複数の事業者によって実施される事業

たとえば、複数拠点を持つ企業が全拠点で同種の設備を更新するケースや、製造業がグループ会社や取引先と共同で省エネに取り組むケースが想定されます。1拠点・1設備の単発更新は対象になりにくい点に注意が必要です。

ポイント:審査優遇の対象となる「省エネ診断」

省エネセンター・地域プラットフォーム構築事業者・エネルギー管理士による省エネ診断、または省エネ法に基づく特定事業者の取組などを活用した場合、審査優遇の対象となります。事前の省エネ診断は、削減効果の客観性を示す資料としても有効です。

4. 補助対象設備 ― 「更新」が原則、「新設・増設」は対象外

本制度で補助対象となる設備には、明確な線引きがあります。原則として「既存設備の更新」のみが対象となり、新たに増やす設備は対象外です。

① 補助対象設備の条件

条件内容
更新であること現在、事業活動に供している設備・機器に「替えて」導入する設備(EMS等の制御装置は既存設備への付加もOK)
新設・増設は不可既存設備がない場所への新規導入、能力増強のための増設は対象外
設置工事を伴う設置工事を伴い、容易に移設できないものであること(可搬式の機器等は対象外)
居住目的は不可専ら居住を目的とした事業所・居住エリアにおける設備導入は対象外
新品であること借入(リースを除く)及び中古品は対象外
注意:「新設・増設」と「更新」の線引きに注意

新築建物への設備設置や、既存設備に追加する形での増設は補助対象外です。たとえば「老朽化した空調を高効率機種に入れ替える」は対象になりますが、「これまで空調がなかった部屋に新たに設置する」は対象外となります。事業計画書を作成する前に、自社の取組が「更新」に該当するかを必ず確認してください。

② リース利用の取扱い

本制度では、リースによる導入も補助対象として認められています。設備の自己所有が経営的に難しい場合や、初期投資を抑えたい場合に有効な選択肢です。リース事業者と共同で事業を実施する形態となるため、申請時には「リース契約内容等申告書」の提出が必要になります。

5. 申請から事業完了までの流れ

本制度は、事業計画の認定 → 補助金交付申請 → 工事実施 → 実績報告という、北海道庁の補助金として標準的なフローを踏みます。

① 全体スケジュールのイメージ

STEP 1 公募案内・交付要綱の確認、事業計画書の作成 STEP 2 公募期間内(〜6/12)に事業計画書を北海道へ提出 STEP 3 事業計画の認定 → 補助金交付申請の提出 STEP 4 交付決定 → 設備発注・工事 → 工事完了届の提出 STEP 5 実績報告書の提出 → 補助金の精算・交付

図:申請から補助金受領までの基本フロー

② 事業完了後にも提出書類がある点に留意

本制度は、補助金を受領して終わりではありません。事業完了後にも継続的な報告義務があります。

提出書類提出期限
事業状況報告書事業完了後75日以内
実施状況報告書事業実施翌年度以降5年間、年度終了後30日以内
注意:5年間の報告義務と成果公表

本制度は、補助事業終了後も5年間の実施状況報告と、補助事業者自らによる成果の普及啓発が求められます。補助金を受け取ったら終わり、ではない点を踏まえ、社内の報告体制をあらかじめ整えておくことが重要です。

6. 北海道企業がこの制度を活用する際の判断ポイント

令和8年度の公募期間は6月12日(金)までと、準備期間が限られています。北海道企業として申請を検討する際の判断ポイントを整理します。

① 「面的な取組」を組成できるかが最初の関門

本制度の根幹は「面的な省エネ」にあります。1拠点・1設備の更新であれば、国のSII補助金(省エネルギー投資促進支援事業)など他制度の方が適合する場合があります。複数拠点・複数事業者での取組を組成できる場合に、本制度の本来の強みが発揮されます。

② 「年率20%以上の削減」を客観的に示せるか

削減効果は当該設備の更新前後の比較でよいとされていますが、20%以上という水準は決して低くありません。LED照明、高効率空調、ヒートポンプ、高効率ボイラー、コンプレッサー、変圧器など、技術的に20%超の削減が見込める設備を選定し、カタログ値や省エネ診断結果に基づく定量的な算出根拠を準備する必要があります。

③ コンソーシアム組成のメリットを最大化する

上限額が単独500万円・コンソーシアム1,000万円と倍になるため、グループ会社・取引先・同業他社などとの連携可能性は早めに検討する価値があります。コンソーシアム協定書の締結など事務作業は増えますが、補助上限が2倍になるインパクトは大きいといえます。

④ 過去の認定事業計画も参考になる

北海道庁の公式ページでは、令和4年度〜令和7年度の認定事業計画がPDFで公表されています。どのような事業内容・規模が採択されているかを確認することで、自社の取組の方向性を検討する材料になります。

北海道 道内企業が今すぐ取るべきアクション

令和8年度の公募期間は 令和8年4月22日〜6月12日。準備期間は実質1か月半程度しかありません。北海道企業として今すぐ着手すべきは次の3点です。

① 自社の省エネ余地を把握する(既存の省エネ診断結果や、今後実施予定の診断計画を整理)
② 「面的取組」の組成可能性を検討(複数拠点・グループ会社・取引先との連携余地の確認)
③ 公募案内・交付要綱を入手し、事業計画書のドラフト作成に着手する

7. まとめ ― 「面的な省エネ」を後押しする北海道独自の制度

北海道が実施する「省エネルギー設備導入支援事業費補助金」は、複数の建物・サプライチェーンを横断する面的な省エネ取組を対象とする、道独自の補助制度です。補助率1/2、単独500万円・コンソーシアム1,000万円の上限額は、設備投資の大きな後押しになります。

一方で「面的な取組」「年率20%以上の削減」「5年間の報告義務」など、満たすべき要件は決して軽くありません。申請を検討する企業は、自社の省エネ取組が制度の趣旨に合致するかを、早期に見極めることが重要です。

令和8年度の公募は 令和8年6月12日(金)まで。締切まで日数が限られているため、活用を検討される企業様は、できるだけ早期に検討を開始されることをお勧めします。

8. 補助金活用の技術的支援について

株式会社totokaでは、北海道の企業様向けに省エネ補助金の技術的支援を行っています。本コラムで取り上げた北海道独自の補助金をはじめ、SII(環境共創イニシアチブ)の省エネ補助金、各種国庫補助金など、複数の制度にわたる申請支援の実績があります。

当社は経済産業省「パートナー省エネ支援機関」として登録されており、SII認定の省エネ診断機関でもあります。代表は1級管工事施工管理技士・2級電気工事施工管理技士の資格を保有し、設備更新計画の策定から省エネ効果算定、事業計画書の作成まで、技術的観点からの支援が可能です。

「自社の取組がこの補助金の対象になるか分からない」「年率20%以上の削減効果をどう算定すればよいか」「コンソーシアム組成の進め方を相談したい」といった段階からのご相談にも対応しています。北海道で省エネ設備の更新・補助金活用をご検討の企業様は、お気軽にtotoka公式サイトよりお問い合わせください。

記事情報
公開日:2026年4月24日
参照資料:令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金(北海道経済部GX推進局GX推進課)
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新の公募案内・交付要綱・申請様式は北海道庁の公式ページを必ずご確認ください。