【速報解説】北海道電力が電気料金を「11%」大幅値下げへ!2027年泊原発再稼働で私たちの暮らしとビジネスはどう変わる?

2025年10月31日、北海道電力株式会社は、泊発電所3号機の再稼働を前提とした電気料金の値下げ見通しを公表しました。家庭向けなどの規制料金で約11%、企業向けなども含めた自由料金全体では平均7%程度の値下げとなる見込みで、実現すれば道民の暮らしや企業活動の負担軽減に繋がる大きなニュースとなります。

しかし、この発表には「泊発電所3号機の再稼働後」という重要な前提条件があり、多くの詳細な情報が含まれています。

本コラムでは、北海道電力が公開した公式資料「泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて」を基に、誰にでも分かりやすく解説します。

  • なぜ、これほど大幅な値下げが可能になるのか? その具体的な内訳と金額。
  • あなたの家の電気代は、具体的にいくら安くなるのか? モデルケースでシミュレーション。
  • 企業向けの料金はどう変わるのか? 契約規模による値下げ率の違いも解説。
  • 値下げが実施される上で知っておくべき注意点とは?

第1章:なぜ「11%」もの値下げが可能になるのか?公式発表の3つの要因

今回の値下げ見通しは、いくつかの要因を組み合わせて試算されています。北海道電力の資料によると、その原資となるのは年間で約500億円。その内訳は、大きく分けて1つのコスト削減効果、1つのコスト増加要因、そして1つの経営努力から成り立っています。

要因1【コスト減】:泊発電所3号機再稼働による効果(年間 約600億円の費用低減)

今回の値下げにおける最大の要因は、泊発電所3号機の再稼働です。

現在、北海道の電力供給の多くを担う火力発電は、LNG(液化天然ガス)や石炭などを燃料としています。これらの燃料は海外からの輸入に頼っており、価格や為替の変動が電気料金に直接影響します。

一方、原子力発電は火力発電に比べて発電単価が安価なため、再稼働によって燃料費等を大幅に減少させる効果があります。北海道電力の試算では、泊発電所3号機が再稼働すると、安全対策費や定期検査費用の増加分を考慮しても、それを大きく上回る燃料費等の減少効果があり、結果として年間で約600億円の費用低減が見込まれています。

要因2【コスト増】:物価・金利上昇による影響(年間 約300億円の費用増)

良いニュースばかりではありません。社会経済情勢の変化によるコスト増加も見込まれています。

近年の物価上昇は、発電所の修繕費や諸経費など、費用全般の増加に繋がります。また、金利が上昇すると、社債の発行や金融機関からの資金調達に伴う利息負担が増加します。

これらの物価・金利上昇の影響により、年間で約300億円の費用増が見込まれています。

要因3【経営努力】:経営効率化のさらなる深掘り(年間 約200億円の費用削減)

上記のコスト増を緩和するために、北海道電力はこれまでの経営効率化の取り組みをさらに深掘りするとしています。

具体的には、

  • 全社的なカイゼン活動の推進強化
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した発電所の運用・保守高度化(遠隔監視、自動巡視点検ロボット等)
  • 生成AIを活用した抜本的な業務見直し

といった追加の取り組みにより、年間で約200億円の費用削減を計画に織り込んでいます。

結論:差し引き「500億円」を利用者に還元

これら3つの要因を計算すると以下のようになります。

(-600億円) + (+300億円) + (-200億円) = -500億円

この、差し引きで生まれた年間約500億円の費用削減効果を、電気料金の値下げという形で利用者に還元するのが、今回の発表の全体像です。


第2章:【モデル別】電気料金はいくら安くなる?

それでは、この値下げによって私たちの電気料金は具体的にどのくらい変わるのでしょうか。公式資料に示されたモデルケースを見ていきましょう。

ご家庭向け(規制料金):月々1,000円、年間12,000円の負担減へ

一般家庭で多く契約されている「従量電灯B、30A、月間使用量230kWh」という平均的なモデルで試算されています。

  • 現在の電気料金(2025年11月分):9,335円
  • 泊3号機再稼働後の料金:8,300円程度

このモデルの場合、月間で約1,000円年間では約12,000円の値下げとなる見通しです。値下げ率は約11%に相当します。

この試算は、後述する2025年10月1日からの託送料金見直しによる値上げ分(+124円/月)を反映した上で、さらに値下げされる計算となっています。

企業向け(自由料金):平均7%の値下げ。ただし契約規模で差あり

商店や工場、オフィスビルなど、企業向けの自由料金については、全体を平均すると約7%程度の値下げとなる見通しです。ただし、契約規模によって値下げ率が異なります。

  • 低圧自由料金(商店、小規模工場など):平均 約11%程度の値下げ
    • 対象プラン例:エネとくポイントプラン、スマート電化プランなど
  • 高圧・特別高圧料金(大規模工場、ビルなど):平均 約6%程度の値下げ

【なぜ大規模契約の方が値下げ率が低いのか?】

公式資料によると、高圧・特別高圧料金については、卸電力市場価格の低下が既に燃料費等調整額として電気料金に反映されていることなどから、規制料金や低圧自由料金に比べて値下げ幅が小さくなっている、と説明されています。つまり、大規模契約者はすでに一部の価格低下メリットを享受しているため、今回の追加の値下げ幅が相対的に小さくなるということです。


第3章:知っておくべき重要事項と注意点

今回の発表はあくまで「見通し」であり、いくつかの重要な前提条件と注意点があります。

注意点1:値下げは「泊発電所3号機の再稼働後」に実施

最も重要な点は、この値下げ計画は泊発電所3号機の再稼働が前提であるということです。北海道電力は、早期再稼働に総力を挙げて取り組むとしていますが、現時点で具体的な値下げの実施時期が確定しているわけではありません。

注意点2:前提条件の変動で値下げ幅は変わる可能性

今回の試算は、為替レート(145円/ドル程度)や原油価格(70ドル/bl程度)などを一定の前提条件として算出されています。

今後、これらの燃料価格や為替レート、物価・金利などが変動した場合は、電気料金の値下げ幅も変動するとされています。

注意点3:「託送料金の見直し」は既に反映済み

2025年10月1日から、送電線の利用料金である「託送料金」の見直しに伴う電気料金の改定が実施されています。標準的な家庭モデルでは月額124円の値上げ影響がありましたが、今回の値下げシミュレーションは、この料金改定を反映した上で算出されています。


第4章:【北海道の企業様へ】この発表を機に考える、自社のエネルギー戦略

北海道電力による今回の値下げ見通しの発表は、道内経済にとって非常に明るいニュースです。特に、電力コストが経営に大きく影響する企業にとっては、コスト構造を改善する大きなチャンスとなり得ます。

しかし、「ただ値下げを待つ」だけで終わらせるのは得策とは言えません。この電力市場の大きな変動期を「自社のエネルギー戦略を根本から見直す絶好の機会」と捉えることが重要です。

そこで、選択肢の一つとして検討すべきなのが「新電力」への切り替えです。

「新電力」とは?

2016年の電力小売全面自由化以降に参入した、北海道電力以外の電力会社のことです。ガス会社、通信会社、再生可能エネルギー専門の会社など、様々な事業者が独自の料金プランやサービスを提供しています。

なぜ今、新電力を検討するのか?

北海道電力の値下げ後の料金が、必ずしもすべての企業にとっての「最安値」とは限りません。

  • 多様な料金プラン: 新電力は、夜間や休日の電力使用量が多い工場向け、基本料金を抑えたい店舗向けなど、企業の特定のニーズに合わせた、より専門的な料金プランを提示できる場合があります。
  • コスト構造の可視化: 電力会社の切り替えを検討するプロセスは、自社が「いつ・どれだけ・何に」電気を使っているのかを正確に把握する良い機会となります。これにより、無駄な電力消費を発見し、より効果的な省エネ対策に繋がる可能性があります。
  • 環境価値の向上: 再生可能エネルギー由来の電力を供給する新電力を選ぶことで、企業のSDGsへの取り組みや環境への配慮を対外的にアピールすることも可能です。

比較検討には専門知識が不可欠

一方で、数多く存在する新電力の中から自社に最適な一社を選び出す作業は、非常に複雑です。料金単価だけでなく、燃料費調整額の計算方法、契約期間の縛り、サポート体制など、多角的な視点での比較検討が求められます。

表面的な価格だけで判断すると、かえってコストが上がってしまうケースも少なくありません。

まとめ:未来のために、今こそ最適なエネルギー選択を

本コラムで解説した通り、北海道電力の値下げ見通しは、公式資料に基づいた確かな計画です。しかし、その恩恵を最大限に活かし、さらに一歩進んだコスト削減を実現するためには、企業ごとの能動的なアクションが不可欠となります。

  • 北海道電力は、泊原発3号機再稼働を前提に、家庭向けで約11%、企業向けで平均7%の値下げ見通しを発表しました。
  • この値下げは、年間約500億円の費用削減効果を利用者に還元するものです。
  • ただし、値下げの実施は再稼働後であり、今後の経済情勢によって値下げ幅が変動する可能性もあります。
  • この変動期を好機と捉え、自社の電力契約を根本から見直すことが、将来の競争力強化に繋がります。

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