北海道にデータセンターが建設される理由【北海道に適した産業の創出】

データは21世紀の貴重な資源

データは現代社会で、石油に匹敵するほどの価値があると言われています。オンライン会議、通信販売、SNSなど、私たちの日常生活でデータは不可欠です。そのため、データをどこで安全に保管するかが大きな課題となっています。

データセンターの必要性

データセンターは大量のデータを保管・処理する場所で、その需要は急増しています。特にコロナ禍により、データの量が急激に増加し、その処理には大量の電力が必要です。

データの安全性と経済安全保障

データは国家の安全にも関わるため、データセンターの立地は慎重に考える必要があります。海外にデータを託すと、その国の政府がアクセスする可能性もあるため、日本にデータを置くことが経済安全保障上の重要な考え方です。

北海道の利点

なぜ北海道が注目されているかというと、いくつかの利点があります。

  • 冷涼な気候:データセンターは大量の電力を消費し、冷却が必要です。北海道の気候はデータセンター運用に適しており、電力を節約できます。
  • 再生可能エネルギー:北海道は再生可能エネルギーの利用が進んでおり、データセンターの運用に再生可能エネルギーを活用できます。
  • 通信の戦略的拠点:北海道はアジアと欧米を結ぶ通信の最短ルートに位置しており、データ通信の遅延を減らすために重要な役割を果たすことが期待されています。

補助金の交付

経済産業省は企業が北海道と九州にデータセンターを設置した場合に開設費用の半額を補助します。地方を指定して補助金を支給するのは珍しく、電力が豊富な地域に新設を促し、リスク分散を狙いです。

実例(さくらインターネット株式会社様の場合)

インターネットの利用増加により、データセンターの需要が増えています。最近のデータセンターのサーバは熱をたくさん出して、その冷却が大きな問題になっています。例えば、通常のオフィスより10倍以上の冷房が必要です。この問題に対応するため、2011年に北海道石狩市に「さくらインターネット石狩データセンター」が作られました。これは日本で初めての外気を利用した冷房方式のデータセンターで、年のほとんどの時間で外気だけで冷房ができる特別な設計がされています。その結果、従来のデータセンターよりも年間の電力使用量とCO2排出が約80%減少しています。

まとめ

データーセンターは機器の冷却で大量に電力を使うため、雪などを利用した自然冷却でコスト削減が可能な道内は利点が多いです。また、国内のデータセンターは約6割が首都圏に集中していることから、大規模災害に備えて政府は費用補助などを通じた立地分散を促しており、道は事業者の誘致を強化してきました。

再生可能エネルギーのポテンシャルが高い北海道では、ますます産業が活発化されていくことが期待されます。