北海道で使える省エネ診断補助金を徹底解説|6市町の費用補助と実費を比較

北海道では、省エネ診断に関わる支援制度を持つ自治体が広がっています。診断費用そのものを補助する市町が6つ、診断の受診を設備補助の前提条件にしている制度が7つ、無料で診断や排出量の分析を受けられる支援が2つあります。

省エネ診断は、エネルギー管理士などの専門家が設備の運転状況を分析し、削減対策を提案するものです。令和8年度の自己負担額は9,460円から51,051円(診断メニューにより変動)で、自治体の補助を使えば実質無料になるケースもあります。

このコラムでは、北海道の中小企業・個人事業主の方に向けて、道内自治体の省エネ診断支援を制度タイプ別に整理します。診断メニューごとの実費と、自治体補助を使った場合の自己負担額まで一覧で示します。

この記事でわかること
✅ 北海道の自治体別 省エネ診断支援の早見表(10自治体・15制度)
✅ 診断費用を補助する6市町の補助率・上限額・申請期間の違い
✅ 令和8年度の省エネ診断メニュー別 自己負担額(税込・実額)
✅ 自治体補助を使うと自己負担がいくらになるかの早見表
✅ 診断が「設備補助の前提条件」になっている制度と、上限500万円の知内町の制度

📌 更新履歴

  • 2026年7月27日:初版公開。令和8年度の小樽市・知内町・栗山町・音更町・室蘭市・幕別町・苫小牧市・別海町・木古内町・江別市の制度を掲載

1. 北海道の自治体別 省エネ診断支援マップ

自治体の省エネ診断支援は、大きく3つのタイプに分かれます。この分類を先に押さえておくと、自社が使える制度を素早く絞り込めます。

タイプ1 診断費用を補助 小樽市・知内町 栗山町・音更町 室蘭市・幕別町 上限 2.5万〜5万円 全額補助の制度が4つ タイプ2 診断が設備補助の条件 知内町・小樽市 苫小牧市・室蘭市 別海町・木古内町・道 上限 20万〜500万円 診断なしでは申請不可 タイプ3 無料で受けられる支援 苫小牧市 江別市 費用負担なし 専門家派遣・排出量分析

図1:北海道の自治体における省エネ診断支援の3タイプ

① 自治体別 早見表

自治体タイプ診断費用の補助診断を前提とする設備補助
知内町1+210/10(診断費用の全額)1/3・上限500万円
小樽市1+2診断料の全額・上限5万円1/2・上限100万円
室蘭市1+210/10・上限25,000円2/3・上限20万円
栗山町1受診費用の全額・上限50,000円
音更町1上限5万円(税抜)
幕別町11/2・上限25,000円
苫小牧市2+3—(無料コンサルで代替可)1/2・上限40〜100万円
別海町22/3・上限50万円(+熱中症対策25万円)
木古内町2設備補助の対象経費に含められる1/2・上限100万円
江別市3—(排出量評価を無償支援)
💡 ポイント:知内町・小樽市・室蘭市は「診断+設備」が両方そろっています

診断費用の補助と設備更新の補助を両方持っている自治体は、道内では知内町・小樽市・室蘭市の3つです。診断から設備更新までを一貫して自治体の制度でカバーできるため、自己負担を最も抑えやすい設計になっています。とくに知内町は設備補助の上限が500万円と、道内市町村では突出した水準です。

2. 省エネ診断はいくらかかる?令和8年度の自己負担額

省エネ診断は国の補助が入っているため、事業者の負担は診断メニューに応じた定額です。令和8年度の自己負担額(税込)は次のとおりです。

① 省エネ最適化診断(省エネルギーセンター)

診断メニュー自己負担額(税込)内容
クイック診断9,460円診断(1人)/説明会なし
ベイシックA診断12,760円診断(1人)+説明会(1人)
ベイシックB診断20,240円診断(2人)+説明会(1人)
ベイシック大規模診断30,470円事前打合せ(2人)+診断(2人)+説明会(2人)
データプラスA16,170円事前打合せ(1人)+診断(1人)+説明会(1人)
データプラスB23,760円事前打合せ(1人)+診断(2人)+説明会(1人)
ステップアップ診断19,690円省エネ最適化診断を受けた場合のみ受診可能

② SIIの省エネ診断(ウォークスルー診断・IT診断・伴走支援)

診断メニュー自己負担額(税込)
ウォークスルー診断 設備単位プラン1設備あたり6,006円(最大2設備まで診断可能)
ウォークスルー診断 工場・事業所全体プラン16,016円〜51,051円(事業所の規模により変動)
IT診断総額の1割(22,000円〜110,000円程度)/最大220,000円
伴走支援総額の1割(11,000円〜22,000円程度)/最大51,051円
💡 ポイント:診断は申込から報告まで1〜2か月かかります

SIIの省エネ診断は申込から診断報告会まで約1〜2か月、省エネルギーセンターの省エネ最適化診断も申込から診断結果説明会まで約1〜2か月が目安です。ステップアップ診断は3〜4か月程度かかります。設備補助の申請期限から逆算すると、年度前半に申し込まないと間に合わない計算になります。

3. 自治体補助を使うと自己負担はいくらになる?

ここが本記事の核心です。診断メニューの実費と、自治体の補助上限を突き合わせると、実際の自己負担額が見えてきます。

診断メニュー
(実費)
小樽市・栗山町・音更町
(全額・上限5万円)
知内町
(10/10)
室蘭市
(10/10・上限2.5万円)
幕別町
(1/2・上限2.5万円)
クイック診断
9,460円
0円0円0円4,730円
ベイシックA診断
12,760円
0円0円0円6,380円
ベイシックB診断
20,240円
0円0円0円10,120円
ベイシック大規模診断
30,470円
0円0円5,470円15,235円
ウォークスルー診断
設備単位 6,006円
0円0円0円3,003円
ウォークスルー診断
全体プラン 51,051円
1,051円0円26,051円26,051円

表:診断メニュー別の自己負担額イメージ ※試算例。端数処理(千円未満切捨て等)や消費税の取扱いは制度により異なります。実際の補助額は各自治体の審査により決定されます

💡 ポイント:上限5万円の制度なら、ほぼすべての診断が実質無料になります

省エネ最適化診断は最も高いベイシック大規模診断でも30,470円です。小樽市・栗山町・音更町の上限5万円なら、どのメニューを選んでも上限内に収まります。診断費用の実質負担ゼロで、専門家の現地調査と改善提案を受けられるということです。この費用対効果は、他のどの補助金にもない水準といえます。

重要 消費税の扱いは制度により異なります

音更町は「消費税および地方消費税を除く」と明記しています。小樽市も消費税・地方消費税・印紙税・振込手数料を補助対象経費から除くとしています。上の表は税込の診断費用をそのまま並べた試算であり、実際には税抜額が補助対象になる制度が多い点にご注意ください。

4. 省エネ診断5メニューの違いと選び方

自治体制度が対象にしているのは、主に国の中小企業等エネルギー利用最適化推進事業に基づく次のメニューです。

診断名実施団体向いているケース
省エネ最適化診断一般財団法人 省エネルギーセンター事業所全体を総合的に見てほしい。再エネ提案も欲しい
ステップアップ診断一般財団法人 省エネルギーセンター省エネ最適化診断を受けた後、計測データでさらに深掘りしたい
ウォークスルー診断登録診断機関、省エネお助け隊手軽に始めたい。設備単位プランなら1設備から診断可能
IT診断登録診断機関、省エネお助け隊数週〜数か月の計測で、設備・プロセスごとの使用状況を可視化したい
伴走支援省エネお助け隊診断後の設備更新や計画策定まで一緒に進めてほしい
💡 ポイント:設備の複雑さと、その後の補助金申請で選びます

照明と空調が中心の事務所・店舗であれば、ウォークスルー診断や省エネ最適化診断で十分な提案が得られます。ボイラー・コンプレッサ・冷凍機など負荷が変動する設備がある工場では、計測データを取るIT診断のほうが精度の高い提案につながります。ただし、その後に設備補助を狙うなら「事業所全体」を見る診断のほうが有利になる制度があります(後述の苫小牧市など)。

5.【タイプ1】診断費用そのものを補助する6市町

① 小樽市省エネルギー診断補助金|対象診断がいちばん広い

補助金額診断機関に支払った診断料の全額(1事業者につき上限5万円)
対象診断・省エネルギーセンター:省エネ最適化診断、ステップアップ診断
・SII:省エネ診断(ウォークスルー診断、IT診断)、伴走支援
パートナー省エネ支援機関が実施する省エネ診断
申請期間令和8年4月15日(水)〜令和9年2月26日(金)
複数事業所同一事業者が複数の事業所で診断を実施した場合、全事業所分を補助対象経費にできます
実績報告診断報告書を受理してから30日を経過した日、または令和9年3月31日のいずれか早い日まで
所管小樽市 生活環境部 環境課
💡 ポイント:「パートナー省エネ支援機関」が対象に含まれるのは大きい

パートナー省エネ支援機関は、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネ・地域パートナーシップ」に参加する支援機関です。国の診断メニューの枠にとらわれず、支援機関が独自に実施する診断も対象になります。国の診断は年度の予算枠に上限があるため、枠が埋まった時期でも道が残る点で実務上の自由度が高い設計です。

② 知内町 しりうちゼロカーボン民間事業者脱炭素投資促進事業|補助率10/10

補助金額省エネ診断支援事業:補助率10/10(診断費用)
脱炭素投資支援事業:1/3・上限500万円
対象者町内に住所を有する個人事業主、または町内に本社・営業所等を有する中小企業者等
申請日時点で町内で1年以上継続して事業を営んでいること
対象施設空調、給湯、ボイラー、冷凍冷蔵設備、生産設備などにより相当程度のエネルギーを使用する事業所・工場・福祉施設等
対象診断省エネ最適化診断、ステップアップ診断、ウォークスルー診断、IT診断、伴走支援
受付期間令和8年6月1日〜令和8年9月30日(予算額到達で終了)
所管知内町 政策調整課(01392-6-7176)
重要 知内町は事前相談が必須です

町の案内では、施設のエネルギー使用状況・省エネ診断の内容・設備更新等の内容により補助対象となるかを確認する必要があるため、申請を希望する場合は必ず事前に担当窓口へ相談することとされています。また「一般的な事務所など、エネルギー使用量または削減効果が小さいと認められる施設は対象外」と明記されています。エネルギー多消費型の施設を持つ事業者に絞った制度設計です。交付決定前に契約・発注したものは補助対象外となります。

③ 室蘭市 中小企業カーボンニュートラル促進支援事業|補助率10/10

補助金額省エネルギー診断:補助率10/10・上限25,000円
省エネ設備導入:補助率2/3・上限20万円(診断受診が条件)
対象者室蘭市内に事業所を置く中小企業者等(室蘭市産業振興条例に定める業種に限る)
令和8年度の公募令和8年4月1日〜5月22日(受付終了
実施主体室蘭市/公益財団法人 室蘭テクノセンター
重要 室蘭市は公募期間が年度により大きく変わります

令和8年度の公募は4月1日から5月22日までで、すでに受付を終了しています。令和7年度は4月1日から翌年1月末までの公募でしたが、予算上限に達して途中で終了しました。年度によって公募期間の設計が変わっているため、活用を検討する場合は年度初めの案内を必ず確認してください。詳しくは室蘭市カーボンニュートラル促進支援事業の解説記事をご覧ください。

④ 栗山町中小企業等向け省エネルギー診断費用補助金|全額補助・先着順

補助金額省エネルギー診断受診費用の全額(上限50,000円)
対象者町内に工場・事務所その他の事業場を有する中小企業等
中小企業者のほか、医療法人、社会福祉法人、NPO法人等も含む
当該事業場で引き続き1年以上事業を営んでいること
対象診断SII登録診断機関による省エネ診断(ウォークスルー診断・IT診断)/省エネルギーセンターによる省エネ最適化診断
申請の順序先に診断機関へ申込を行い、年度内に診断を実施することが決定してから町へ申請
受付町予算の範囲内で先着順。栗山町環境生活課へ持参
💡 ポイント:医療法人・社会福祉法人・NPO法人も対象

栗山町は補助対象者に、中小企業者だけでなく医療法人・社会福祉法人・NPO法人等を明示的に含めています。病院・介護施設・保育施設は、24時間の空調と給湯でエネルギー使用量が大きくなりがちな施設です。「うちは会社ではないから」と諦める前に、対象要件を確認する価値があります。

⑤ 音更町省エネルギー診断受診支援事業補助金|申請期限が柔軟

補助金額補助対象経費の額(上限5万円/千円未満切捨て)※消費税および地方消費税を除く
対象者町内に事務所または事業所を有する中小企業および個人事業主等
補助金の交付後も引き続き事業を継続する意思があること/町税を滞納していないこと
対象診断経済産業省の中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費の交付を受けた民間団体等が実施する省エネルギー診断
申請期限診断機関への診断費用の支払いが完了した年度の3月末日
※予算額を超える申請があった場合は期限内でも受付終了
様式交付申請書兼請求書(別記第1号様式)=申請と請求が一体化

⑥ 幕別町事業者省エネルギー診断支援補助金|年度をまたぐと対象外

補助金額補助対象経費の1/2(上限25,000円/千円未満切捨て)
対象者町内に事務所または事業所を有し、診断結果をもとに脱炭素化に取り組む意欲のある中小企業等
・中小企業基本法第2条に規定する中小企業者
・年間エネルギー使用量が原油換算1,500kL未満の、会社法に規定する会社以外の法人
対象診断ウォークスルー診断、IT診断、伴走支援、省エネ最適化診断、ステップアップ診断
申請期間令和8年6月1日(月)〜令和9年3月31日(水)
回数制限同一事業所への同一内容による省エネ診断に対する補助は1回限り
重要 幕別町は令和7年度以前に実施した診断が対象外です

幕別町の案内では、令和8年度は令和8年度に実施した省エネ診断が補助対象と明記されています。前年度に受けた診断の費用を今年度に申請することはできません。また、省エネ診断の申込みは補助対象者が自ら直接行う必要があるとされています。工事業者に代行してもらう形は想定されていない点に注意してください。

6.【タイプ2】診断が「設備補助の前提条件」になっている制度

道内では、設備更新の補助金に省エネ診断の受診を条件として組み込む例が増えています。診断を受けていないと、そもそも申請できません。

制度補助率・上限診断に関する条件
知内町 脱炭素投資支援事業1/3・上限500万円省エネ診断結果に基づく設備の更新・導入・改修。事前相談が必須
小樽市 中小企業等省エネ推進補助金1/2・上限100万円補助金交付申請日から3年以内の診断で、エネルギー消費量の合計が年率10%以上低減すると報告されたもの
木古内町 企業等省エネ対策促進事業補助金1/2・上限100万円診断は4種類から選択。診断費用も補助対象経費に含められます
苫小牧市 ゼロカーボン推進事業(省エネ設備)1/2・上限40〜100万円技術資格を有する者が行う省エネルギー診断を受診し、診断に基づく設備の導入であること
別海町 中小企業省エネルギー化支援事業補助金2/3・上限50万円
(+熱中症対策1/2・上限25万円)
省エネ最適化診断、省エネお助け隊による診断、登録診断機関による診断の結果を基に1年以内に導入
室蘭市 中小企業カーボンニュートラル促進支援事業2/3・上限20万円令和4年度以降に受診した省エネ診断で提案された設備であること
北海道 省エネルギー設備導入支援事業費補助金1/2・単独500万円/コンソーシアム1,000万円必須ではないが、省エネ診断を受けた場合は審査において優遇

① 苫小牧市は「診断の範囲」で上限額が4段階に変わります

苫小牧市の制度は、受けた診断の範囲と導入する設備の組み合わせで、補助上限額が4段階に分かれる独自の設計です。

診断の種類導入設備補助上限額
事業所全体の省エネ診断照明以外の設備を含む100万円
事業所全体の省エネ診断照明設備のみ80万円
設備単位の省エネ診断照明以外の設備を含む50万円
設備単位の省エネ診断照明設備のみ40万円
💡 ポイント:6,006円をケチると、補助上限が60万円下がります

ウォークスルー診断の設備単位プランは1設備6,006円、工場・事業所全体プランは16,016円からです。差額は1万円程度ですが、苫小牧市ではこの選択で補助上限が40万円と100万円に分かれます。診断を申し込む段階で、その後の設備更新まで見据えて範囲を決めてください。なお苫小牧市の要件は、CO2排出量が現行設備と比較して20%以上(照明設備は30%以上)削減されること、補助対象経費の総額が税抜30万円以上であることです。

② 知内町は設備補助が上限500万円と道内最大級です

知内町の脱炭素投資支援事業は、補助率1/3ながら上限が500万円です。道内の市町村補助では突出した水準で、北海道の省エネルギー設備導入支援事業費補助金(単独500万円)と同額になります。

重要 補助対象経費に消費税は含まれません

知内町の案内では、補助対象経費に消費税および地方消費税を含まないと明記されています。また国・北海道その他の団体から補助金等を受ける場合で、本補助金の対象経費と重複するときは重複額を控除するとされています。受付期間が令和8年6月1日から9月30日までと短く、予算額に達した場合は期間内でも終了します。

7.【タイプ3】無料で診断・排出量分析が受けられる支援

補助金ではなく、自治体が専門家を派遣する形で支援するタイプです。事業者の費用負担がありません。

自治体事業名内容
苫小牧市ゼロカーボン支援コンサルティング事業専門家を派遣し、支援無料。温室効果ガス排出量算定プラン/省エネルギー診断プラン/温室効果ガス削減目標設定プランの3種類
江別市事業者向け脱炭素化普及促進支援市が選定した受託事業者が、温室効果ガス排出量評価と削減ロードマップ策定支援を実施。事業者負担なし
重要 江別市の事業は2026年7月時点で個別案内が未掲載です

江別市の事業者向け脱炭素化普及促進支援は、北海道が公開する令和8年度の助成制度一覧に掲載されていますが、2026年7月27日時点で市公式サイトに個別の案内がありません。同一覧では募集期間が「受託事業者と契約締結後」とされており、受託事業者の選定後に案内が出るものと考えられます(この見通しは推測です)。開始時期は江別市環境室環境課へご確認ください。

8.【参考】診断が不要な設備補助もあります

省エネ診断を前提としない設備補助も存在します。代表例が札幌市の制度です。

制度名令和8年度 札幌市 製造業省エネルギー設備導入補助金
補助率・上限3/4・1事業者あたり最大500万円
対象製造業を営み、札幌市内に本社がある中小企業者
公募期間令和8年7月6日(月)〜9月30日(水)17時必着
※先着順での交付決定。予算額に達した時点で公募終了
💡 ポイント:補助率3/4は全国的にも最高水準です

札幌市の製造業向け補助は補助率3/4・上限500万円で、省エネ診断の受診は要件になっていません。診断を受けずに設備更新へ進めるという点で、スピード重視の事業者には有力な選択肢です。ただし製造業かつ市内本社という業種・所在地の要件があります。

9. 自社に合う進め方|3つの質問で絞り込む

1
自社の所在地に、診断費用の補助制度はあるか?
小樽市・知内町・室蘭市・栗山町・音更町・幕別町ならタイプ1が使えます。診断費用の自己負担がほぼゼロになります。
2
その後に設備を更新する予定はあるか?
ある場合は、設備補助の要件(削減率・診断の範囲・診断の有効期限)を先に確認します。診断の申込内容がここで決まります。
3
診断費用の補助制度がない地域か?
その場合も、国の診断メニューは全道どこでも申し込めます。実費は9,460円からです。北海道の省エネルギー設備導入支援事業費補助金では、診断の受診が審査で優遇されます。
北海道 診断は「冬の使用実態」を見てもらうと精度が上がります

北海道では、夏と冬でエネルギー使用量が大きく変わります。年間の使用実績データを揃えたうえで診断を受けると、暖房負荷を織り込んだ提案が得られます。可能であれば、直近12か月分の電力・燃料の請求書を診断前に準備しておくことをおすすめします。灯油・重油の納品書は社内で散在しがちなので、早めに集めておくと当日の聞き取りがスムーズです。

10. 申請でよくある失敗と回避策

よくある失敗回避策
前年度に受けた診断で申請しようとした幕別町のように「当該年度に実施した診断のみ」とする制度がある。年度をまたがない計画にする
診断の申込を業者に代行してもらった幕別町は補助対象者が自ら直接申し込むことが必要。制度ごとの申込主体を確認する
設備単位の診断だけ受けて上限額が下がった苫小牧市は診断の範囲で上限額が最大60万円変わる。設備補助まで見据えて診断範囲を決める
事前相談をせずに申請した知内町は事前相談が必須。対象施設の要件も厳しめに設定されている
公募期間が短く、気づいたら終わっていた室蘭市は令和8年度が4月1日〜5月22日、知内町は6月1日〜9月30日。年度初めに自治体の案内を確認する
診断報告書を受け取ってから放置した小樽市は報告書受理から30日を経過した日が実績報告の期限のひとつ。受領後すぐ手続きに入る
消費税分まで補助されると思っていた多くの制度で消費税・地方消費税・振込手数料は補助対象外。税抜で計算する

11. 診断から設備更新までのモデルスケジュール

4〜6月 診断の申込・受診 6〜8月 診断費用の補助申請 8〜11月 設備補助の申請・工事 12〜2月 実績報告 ※制度により申請期間・完了期限が異なります。上記は年度内完結を前提とした一般的な組み立て例です

図2:診断から設備更新・実績報告までのモデルスケジュール

重要 診断の申込から報告書受領までに1〜2か月かかります

省エネ診断は、申し込んですぐ受けられるものではありません。診断機関の日程調整、現地調査、報告書の作成という工程を経て、報告会まで約1〜2か月が目安です。年度後半に動き始めると、報告書を受け取った時点で設備補助の申請期限を過ぎている、という事態が起こり得ます。設備更新まで視野に入れるなら、診断の申込は年度前半が原則です。

12. 北海道の事業者にとってのポイント

北海道 活用のポイント

■ 寒冷地は診断の「費用対効果」が出やすい
北海道の事業所は、暖房・給湯のエネルギー消費が本州より大きくなります。灯油・重油ボイラーを長く使い続けている事業所も多く、熱源側に改善余地が残っているケースが目立ちます。1万円前後の診断費用で年間数十万円の削減余地が見つかることもあり、投資効率という点では突出した制度です。

■ 診断は「補助金の共通パスポート」になります
道内の市町村補助金では診断が申請の前提条件になり、北海道の省エネルギー設備導入支援事業費補助金では審査で優遇されます。国のSII補助金でも、省エネ効果の算出根拠として診断結果が活きます。1回の診断が、複数の制度への入口を同時に開けます。

■ 診断の「範囲」を先に決めることが最重要
苫小牧市の例が象徴的ですが、設備単位の診断か事業所全体の診断かで、その後に使える補助上限が変わります。診断は安いほうを選べばよいわけではありません。設備更新の構想を先に描いてから、診断メニューを決めてください。

■ 自社の市町村に制度がなくても諦めない
診断費用の補助制度がある市町村は6つに限られます。制度がない地域でも、国の診断メニューは全道どこでも申し込めます。実費はクイック診断で9,460円、ウォークスルー診断の設備単位プランで1設備6,006円です。補助がなくても十分に手が届く金額です。

■ 制度は年度ごとに新設・変更されます
令和8年度は栗山町・幕別町・知内町で事業者向けの診断支援が新たに整備されました。ゼロカーボンシティを宣言した市町村は道内で増えており、今後も同種の制度が新設される可能性があります(この見通しは推測です)。年度替わりのタイミングで自社の所在地の制度を確認する習慣をつけておくと、取りこぼしがありません。

13. よくある質問(FAQ)

Q1. 北海道で省エネ診断の費用を補助している自治体はどこですか?

A. 令和8年度に確認できる範囲では、小樽市・栗山町・音更町(上限5万円)、室蘭市・幕別町(上限25,000円)、知内町(補助率10/10)の6市町です。制度は年度ごとに見直されるため、申請前に各自治体へご確認ください。

Q2. 省エネ診断の費用はいくらかかりますか?

A. 令和8年度の自己負担額(税込)は、省エネ最適化診断がクイック診断9,460円からベイシック大規模診断30,470円まで、ウォークスルー診断が設備単位プラン1設備6,006円、工場・事業所全体プラン16,016円〜51,051円です。

Q3. 省エネ診断を受けないと設備の補助金は使えませんか?

A. 制度によります。知内町・小樽市・苫小牧市・室蘭市・別海町・木古内町の設備補助は、いずれも省エネ診断の受診が前提条件です。一方、札幌市の製造業省エネルギー設備導入補助金は診断が要件になっていません。

Q4. 診断費用の補助と設備更新の補助は併用できますか?

A. 対象となる経費が異なるため、併用できる場合があります。知内町・小樽市・室蘭市は診断と設備の両方の制度を持っています。ただし同一経費への重複補助は認められません。事前に各所管課へご確認ください。

Q5. 前の年度に受けた診断でも申請できますか?

A. 制度によります。幕別町は令和8年度に実施した診断のみが対象です。一方、小樽市の設備補助は交付申請日から3年以内の診断、室蘭市の設備補助は令和4年度以降の診断が対象とされています。年度の取扱いは必ず各自治体の要綱で確認してください。

Q6. 診断の申込から結果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 申込から診断報告会まで約1か月から2か月が目安です。ステップアップ診断の場合は3か月から4か月程度かかります。設備補助の申請期限から逆算して、早めに申し込んでください。

14. まとめ

  • 北海道の自治体の省エネ診断支援は、①診断費用の補助 ②設備補助の前提条件 ③無料の専門家派遣の3タイプに整理できます
  • 診断費用を補助しているのは小樽市・栗山町・音更町(上限5万円)、室蘭市・幕別町(上限25,000円)、知内町(10/10)の6市町です
  • 令和8年度の診断費用は9,460円〜51,051円。上限5万円の制度なら、ほぼすべてのメニューが実質無料になります
  • 知内町の脱炭素投資支援事業は1/3・上限500万円と道内市町村では最大級。ただし事前相談が必須で、対象施設の要件も厳格です
  • 苫小牧市は診断の範囲で補助上限が40万円と100万円に分かれます。診断メニューは「安さ」ではなく「その後の補助金」で選んでください

記事情報
公開日:2026年7月27日
最終更新日:2026年7月27日
参照資料:
・(一財)省エネルギーセンター/(一社)環境共創イニシアチブ「省エネ診断フローチャート」(令和7年度補正・令和8年度版)
・(一財)省エネルギーセンター「事業者向け省エネ補助金一覧(2026年度)」2026年7月22日時点
・小樽市「小樽市省エネルギー診断補助金について」「中小企業等省エネ推進補助金」
・知内町「令和8年度しりうちゼロカーボン民間事業者脱炭素投資促進事業について」
・公益財団法人室蘭テクノセンター「令和8年度 中小企業カーボンニュートラル促進支援事業」
・栗山町「令和8年度栗山町中小企業等向け省エネルギー診断費用補助金」
・音更町「【令和8年度】省エネルギー診断の受診支援について」
・幕別町「幕別町事業者省エネルギー診断支援補助金」
・苫小牧市「ゼロカーボン推進事業補助金」「ゼロカーボン支援コンサルティング事業」
・別海町中小企業省エネルギー化支援事業補助金交付要綱/申請事務フロー
・木古内町「企業・事業者対象の省エネ促進事業」
・札幌市「令和8年度 製造業省エネルギー設備導入補助金」
・北海道 経済部GX推進局GX推進課「令和8年度 省エネ・新エネ関連助成制度一覧」「令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金」
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新情報および詳細条件は各自治体の公式サイト・交付要綱をご確認ください。補助制度の内容は予告なく変更されることがあります。