PASSIVE(パッシブ技術)とは何か?外皮断熱、日射遮蔽、自然採光について解説

PASSIVE(パッシブ技術)とは?

「パッシブ技術」に関するコラムになります。
パッシブ技術とは、外皮断熱(高性能断熱材、高性能断熱・遮熱窓)、日射遮蔽、自然採光などにより、エネルギーの需要を減らすことを指します。以下の図はわかりやすい構成になっています。

環境省:https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html

ZEBを実現するための技術は、大きく「エネルギーを減らすための技術(省エネ技術)」と「エネルギーを作るための技術(創エネ技術)」に分けられます。さらに省エネ技術は、「建物内の環境を適切に維持するために必要なエネルギー量(エネルギーの需要)を減らすための技術(パッシブ技術)」と「エネルギーを効率的に利用するための技術(アクティブ技術)」に分けることができます。

実際にZEBを実現する場合には、①パッシブ技術によってエネルギーの需要を減らし、②どうしても必要となる需要についてはアクティブ技術によってエネルギーを無駄なく使用し、③そのエネルギーを創エネ技術によって賄うといったステップで検討することが重要です。

また、建物の運用段階では、どこにエネルギーの無駄が発生しているか、どのように効率的に設備を運用するかなど、エネルギーをマネジメントする技術(エネマネ技術)も重要です。このエネマネ技術によって継続的なエネルギー消費量の削減を図ることができます。

環境省:https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html

パッシブ技術の例

省エネのパッシブ技術とは、建物や機器などの設計や構造を工夫することで、自然のエネルギーを利用し、エネルギー消費を減らす技術のことを指します。以下に代表的なパッシブ技術をいくつか紹介します。

  • 断熱:建物の外壁や屋根、床などに断熱材を使用し、熱の逃げを減らすことで、室内の温度を保つことができます。
  • 日射利用:冬は日光を取り入れることで暖房効率を上げ、夏は遮光することで冷房効率を上げることができます。
  • 自然換気:風通しを良くすることで、自然の風を利用し、空調機器を使わずに済むようにすることができます。

具体的な手法

具体的な例を3点に絞り、解説していきます。主に外気を遮熱する方法を説明していきます。

【外皮断熱】

外皮断熱とは、建物の内部と外部を仕切る壁、屋根、床などの部分を、熱が伝わりにくい高性能断熱材を使って施工することで、建物内部の熱の出入りを制限し、快適な室温を保つために必要なエネルギーを節約する技術です。

この技術により、夏場には日射熱の侵入を抑え、冬場には室内の熱が外に逃げることを防ぐことができます。これにより、建物内の温度差を小さくすることができ、空調機器の使用を減らし、エネルギー消費を削減することができます。また、外皮断熱によって、建物の表面温度と室温の差も少なくなり、室内の温度差や温度ムラを抑えることができます。

外皮断熱には、熱伝導率が低く、高い断熱性能を持つ素材を使用することが重要です。高性能な断熱材を使うことで、建物内部の熱の出入りを制限することができます。これにより、建物の冷暖房にかかるエネルギー消費効率を高め、建物の省エネ効果を高めることができます。

環境省:https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html

【高性能断熱・遮熱窓】

建物の窓は熱の出入りが多いため、高性能な断熱性能を持つ複層ガラスやLow-E複層ガラスを採用することが重要です。複層ガラスは中空層に乾燥した空気やアルゴンガス・クリプトンガスを封入して断熱性能を高め、Low-E複層ガラスは特殊金属膜でガラス間の中空層の熱放射を防ぎ、断熱性能と遮熱性能を高めることができる。

窓のからの熱損失の割合は非常に大きいです。特に窓が多いオフィス等の場合、高効率空調を導入するのではなく、高断熱の窓を導入する方が光熱費の削減への影響が大きい可能性もあります。

【日射遮断】

日射遮蔽は、夏の暑い季節に冷房負荷を抑制するために、屋根、外壁、窓から侵入する日射を遮る技術です。特に、窓から侵入する日射熱が多く、窓ガラスに対する日射遮蔽が重要です。冬期には日射熱を取り込み、暖房負荷を抑制することができます。

具体的な対策として、ブラインド、ルーバー、庇、高性能ガラスなどがあり、これらを効果的に組み合わせることで、複数の要求性能にうまく対応できます。開口部以外の壁面等でも、植栽の利用や日射反射率の高い素材の採用により、遮蔽性能を向上させることができます。

まとめ

パッシブ技術を活用することで、季節ごとに変わる太陽光の日射角度の違いや、立地によって変わる風向き利用して、エネルギー消費を抑えながらも快適な仕事環境をつくることができます

電気やガスの使用量を減少させるため、省エネで地球環境にも良いということで、最近注目を集めています。

省エネを検討する場合、高効率設備等の導入も非常に重要ですが、熱損失を防ぎ、外部の熱を有効活用することは非常に重要な視点です。遮熱等の対策をしていない場合は、まずは簡単に始められるブラインドなどの設置を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社では、総合的な省エネ提案を実施しております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。