防雪フードは、エアコン室外機の吹出口と吸込口に取り付ける金属製の覆いです。横から吹き込む雪を防ぎ、雪が降る日でも室外機が空気を吸ったり吐いたりできる状態を保ちます。降雪・積雪のある地域では、三菱電機やダイキンなどの空調メーカーが、据付説明書やカタログで防雪フードの取付けを指示または推奨しています。
ただし、防雪フードだけで雪対策が終わるわけではありません。メーカー資料では、架台(高置台)で室外機を積雪より高く上げること、季節風が吹出口・吸込口の正面から当たらない向きにすること、霜取り運転で出る排水(ドレン)の凍結対策を、防雪フードとあわせて求めています。フードの向きや周囲の空間を誤ると、かえって空気の流れが悪くなるおそれもあります。
この記事では、空調メーカーの据付説明書・技術資料と気象庁の観測データをもとに、業務用エアコンの室外機に防雪フードが必要かどうかの見分け方、架台の高さの考え方、取付け時の注意点、材質と価格の例、冬の運用と点検を整理します。
この記事でわかること
・防雪フードの役割と、吹出フード・吸込フードの違い
・メーカーが防雪フードの取付けを求めている条件と、付けるべき現場の見分け方
・架台(高置台)の高さの決め方と、北海道各地の積雪深(気象庁の平年値)
・向き・ショートサイクル・併用できない部材など、取付け時の注意点
・材質の選び方、メーカー資料に載っている価格の例、冬の点検のポイント
更新履歴
- 2026年10月27日:全面改訂。空調メーカーの据付説明書・技術資料で確認できた内容に書き直し、架台の高さの基準、北海道各地の積雪深と季節風の向き(気象庁の平年値)、防雪フードの注意点、メーカー資料の価格例、ドレン凍結対策、冬の点検を追加。根拠を確認できなかった数値(電気代の増加率、修理費、能力低下率など)を削除
- 2026年1月23日:初版公開
1. 防雪フードとは?室外機の吹出口・吸込口を覆う雪よけ
エアコン(ヒートポンプ)の室外機は、外の空気をファンで吸い込み、熱交換器で熱をやり取りしてから吐き出しています。暖房のときは、外の空気から熱を集めて室内に運びます。この空気の通り道に雪が入り込むと、熱のやり取りができなくなります。
防雪フードは、この通り道を雪から守るための部材です。三菱電機システムサービスの「三菱電機ビル用エアコン 防雪フード取付取扱説明書」(2022年2月)では、防雪フードを「寒冷地や積雪地で室外ユニットの防雪対策として使用」するもので、室外ユニットを雪から守り、安定した能力を発揮させるものと説明しています。
| 部材 | 取り付ける場所 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 吹出フード(吹出ダクト) | ファンがある吹出口の前 | 吹出口への雪の吹き込みや着雪を防ぐ |
| 吸込フード(背面・側面) | 熱交換器がある吸込口(背面・左右) | 吸込口から風雪が入り込むのを防ぐ |
| 架台(高置台) | 室外機の下 | 室外機を積雪より高く上げ、雪に埋もれないようにする |
| 防雪ネット・防雪柵 | 室外機の周囲 | 雨・風・雪が直接当たる場所で、周囲を囲って風雪を和らげる |
| ベースヒーター・ドレンパンヒーター | 室外機の底部 | 霜取りで出た水が底部で凍るのを防ぐ |
表:室外機の主な雪対策部材(三菱電機・ダイキン・パナソニック(家庭用・住宅設備用エアコン)の据付説明書・カタログ・製品ページをもとに作成。名称と適用はメーカー・機種で異なります)
吹出フードと吸込フードは別々の品番で用意され、吹出・吸込のセット品もあります。三菱電機の資料では、材質としてステンレス(SUS304)と鋼板(塗装品)が用意されています。どの部材が必要かは、設置場所の雪と風の当たり方で変わります。
2. 雪で室外機に何が起きるのか
三菱電機の「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」(2023年9月作成)は、寒冷地・積雪地では、低い外気温による熱交換器の能力低下と、積雪による機器故障が大きな課題になると説明しています。挙げられている不具合は、強風で熱交換できない、熱交換器への着氷、積雪で室外ユニットが埋まる、の3つで、いずれも能力不足や機器故障につながるとしています。
日立の住宅設備用エアコン(寒冷地向けエアコン)の室外機設置のポイントでも、室外機の内部に雪が吹き込むと暖房能力が下がったり、凍結して運転できなくなったりすると説明しています。また、北海道立総合研究機構の資料は、室外機に雪や霜が付くと熱交換性能が著しく下がるため、霜を取る運転(デフロスト)が作動すると説明しています。
| 三菱電機の資料にある不具合例 | 関係する対策 |
|---|---|
| 防雪フードを付けておらず、吸込口が雪で覆われている | 防雪フード |
| 架台の高さが足りず、内部を凍結させている | 架台の高さ |
| 架台の下に融雪マット等がなく、底部近くまで氷ができている | 融雪マット・ヒーター |
| 排水先に冷媒配管や架台などの障害物があり、底部近くまで氷ができている | 排水経路の確保 |
| ドレン処理が適切でなく、排水の逃げ道がないため架台周りが凍結している | ドレン処理 |
| 外調機の系統や大きな風除室の系統など、連続運転時間が長く霜が多く付く | ベースヒーター |
表:寒冷地・積雪地での室外ユニットの不具合例(三菱電機「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」2023年9月作成)
この表のとおり、防雪フードで防げるのは「吹き込む雪」による不具合です。「積もる雪」と「排水の凍結」は、架台やドレン対策で防ぐ必要があります。霜取り運転の仕組みは「北海道のエアコン暖房と霜取り運転(デフロスト)|止まる時間と業務用の対策」で解説しています。
3. 防雪フードは必要?メーカーの指示と「付けるべき現場」の見分け方
メーカー資料での扱いは、次のとおりです。
- 三菱電機(パッケージエアコンの据付工事説明書):冬季に降雪・積雪が予想される地域や季節風が予想される地域では、雨・風・雪が直接当たる場合、オプションの防雪フード(吹出ダクト・吸込ダクト)を取り付け、ユニットの周囲を防雪ネットや防雪柵で囲うなどの対策をするよう求めています。
- 三菱電機(寒冷地・積雪地向けの資料):積雪地では防雪フードの取付けを検討するよう求めています。降雪が室外ユニットに積もると、ファンが凍結して動かなくなることがあるためです。
- ダイキン(ガスヒートポンプエアコン「ビル用マルチG-UP」カタログ、2009年11月発行):降雪地域では落雪のおそれのない場所に設置し、防雪フード(オプション品)を設置するよう求めています(発行当時のカタログの記載です)。
- 日立(住宅設備用の寒冷地向けエアコンの設置ポイント):積雪・風雪などの影響を受ける場所では性能が著しく低下するため、防雪フードや風雪ガードによる雪対策が必要としています。
つまり、メーカーの基準は「北海道かどうか」ではなく、雪や風が室外機に直接当たるかどうかです。北海道では当てはまる現場が多いと考えられるため(推測)、「付ける前提で、付けなくてよい理由があるかを確認する」という順番で考えると判断を誤りにくくなります。
| 現場の条件 | 防雪フードの考え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 雨・風・雪が室外機に直接当たる(屋根やひさしがない、開けた場所) | 取り付ける | 三菱電機 据付工事説明書 |
| 冬も外気10℃以下で冷房運転をする(サーバー室・電算室など) | 雨・風・雪が直接当たる場合は取り付ける | 三菱電機 据付工事説明書(電算室用空調機では防雪フードと防雪キット) |
| 屋上などで1台だけ単独設置している | 季節風の影響を受けやすいため、向きとあわせて検討 | 三菱電機 据付工事説明書 |
| 過去に吸込口が雪で埋まった、雪の日に暖房が効かなくなった | 取り付ける(架台の高さも確認) | 三菱電機 不具合例 |
| 建物の陰などで、雨・風・雪が直接当たらない | 不要な場合がある。ただし架台の高さとドレン対策は必要 | 三菱電機 据付工事説明書 |
表:防雪フードを付けるべき現場の見分け方(三菱電機のパッケージエアコン据付工事説明書、寒冷地・積雪地向け資料をもとに作成。最終判断は機種ごとの据付説明書で行ってください)
三菱電機の資料は、雪が吹き溜まる場所や、屋根からの落雪がある場所への設置を避けるよう求めています。つららなどの落下でファンが破損しない場所に設置することも求めています。こうした場所では、防雪フードを付けるより先に、設置場所そのものを見直す必要があります。
メーカー資料は「季節風が吹出口・吸込口の正面から当たらないように」と求めています。「北海道の冬は北西の風」と考えがちですが、気象庁の平年値(1991〜2020年)で1月に最も多く観測される風向を見ると、札幌・倶知安・室蘭は北西、函館・帯広は西北西、稚内は西、小樽は西南西、岩見沢・釧路は北北東、旭川は南南東です。
最多風向は「最も多く観測された風向」で、雪を運ぶ風向と一致するとは限りません。建物の周りでは風が回り込むこともあります。冬に現地を見て、雪の吹き溜まりや壁への着雪の跡から、雪がどちらから来るかを確かめるのが確実です。
4. 架台(高置台)の高さはどう決める?積雪深との関係
防雪フードは横から吹き込む雪を防ぐ部材で、室外機が下から雪に埋もれるのは防げません。パナソニックも、家庭用エアコンの室外機設置のポイントで、室外機が雪に埋もれると運転できなくなるため、置台などで雪に埋もれない高さまで上げるよう案内しています。架台の高さの基準は、メーカーや資料によって表し方が違います。
| 資料 | 架台・設置高さの基準 |
|---|---|
| 三菱電機「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」(業務用パッケージエアコン) | 予想される積雪量+50cmの架台の上に設置 |
| 三菱電機 パッケージエアコン据付工事説明書、防雪フード取付取扱説明書 | 防雪架台の高さは、予測される積雪量の約2倍 |
| ダイキン 寒冷地向けエアコン「スゴ暖ZEAS」カタログ(2022年5月発行、p.62) | 予想される雪面より底フレームが500mm以上高くなるように |
| 日立 寒冷地向けエアコン(住宅設備用)の設置ポイント | 排水のため、室外機底面から800mm以上の空間を空ける |
表:メーカー資料に記載された架台・設置高さの基準(各社の据付説明書・カタログ・製品ページ)。実際の施工は、設置する機種の据付説明書の値に従ってください
どの基準も、出発点は「その場所で予想される積雪量」です。気象庁の観測所の値を見ると、北海道の中でも積雪の深さは大きく違います。
| 観測地点 | 年最深積雪(平年値) | 観測地点 | 年最深積雪(平年値) |
|---|---|---|---|
| 倶知安 | 183cm | 稚内 | 72cm |
| 岩見沢 | 120cm | 帯広 | 71cm |
| 小樽 | 118cm | 網走 | 63cm |
| 札幌 | 97cm | 函館 | 45cm |
| 旭川 | 89cm | 釧路 | 34cm |
表:北海道の主な観測地点の年最深積雪の平年値(統計期間1991〜2020年。気象庁「過去の気象データ検索 平年値」)
架台の高さの目安(仮定の計算)
予想される積雪量を札幌の平年値97cmと仮定した場合
「積雪量+50cm」の基準:97cm+50cm=約1.5m
「積雪量の約2倍」の基準:97cm×2=約1.9m
上の計算は考え方を示すための仮定の数字です。平年値は毎年の最も深い積雪の平均なので、雪の多い年はこれを超えます。また、建物の陰の吹き溜まり、屋根からの落雪、除雪した雪の置き場の近くでは、観測所の値よりずっと深くなります。「予想される積雪量」は、観測値に現地の条件を加えて決める必要があります。
架台そのものについても、メーカー資料には次のような指示があります。
- 架台はアングル鋼材などで組み、風雪が素通りする構造にする。架台の幅は室外ユニットより大きくしない(大きいと、その上に雪が積もる)(三菱電機)
- 室外ユニットの底面から排水できるアングル構造にする(三菱電機)
- 室外ユニットを上下に重ねる二段設置はしない。上の室外機のドレン水で下の室外機が凍結するおそれがある(三菱電機・ダイキン。日立の住宅設備用エアコンの資料にも同様の記載)
- 架台の上の室外ユニットは強風で転倒するおそれがあるため、転倒防止の措置をする(三菱電機)
寒冷地での業務用エアコン設置の注意点は「業務用エアコン設置で差がつく10のチェックリスト|寒冷地施工の注意点」にもまとめています。
5. 防雪フードを付けるときの注意点
フードの向き:季節風に正面から向けない
三菱電機の据付工事説明書は、一方向からの風が続く場所で防雪フードを付ける場合、風が吹出口の正面から当たらないようにするよう求めています。三菱電機のビル用エアコン向け防雪フードの取付取扱説明書は、防雪フードの吹出口の方向を風向と対向させないよう注意したうえで、風量が下がり、冷房時は高圧カット、暖房時は霜が付きやすくなるおそれがあると説明しています。
ショートサイクル:吹き出した空気の逃げ道を確保する
三菱電機システムサービスのビル用エアコン向け防雪フード取付取扱説明書は、設置環境によってはショートサイクル(吹き出した空気を再び吸い込んでしまう状態)を招くおそれがあるとして、吹き出し風路の確保と、周囲の障害物を取り除くことを求めています。防雪フードを付けると室外機の寸法も変わります。三菱電機のビル用エアコン向けのある吹出フードでは、室外ユニットの全高が856mm高くなると記載されています。周囲に必要な空間は、フード付きの状態で据付説明書を確認する必要があります。
能力への影響:一律の低下率は示されていない
今回確認したメーカー資料には、「防雪フードを付けると暖房能力が何%下がる」といった一律の数値は見当たりませんでした。メーカーは防雪フードを、能力を安定させるための部材として位置づけています。一方で、上記のとおり向きや周囲の空間を誤ると風量が下がるおそれがあると注意しています。
併用できない部材がある
ダイキンの「スゴ暖ZEAS」カタログ(2022年5月発行)の別売品のページは、防雪フード、防護ネット、背面保護網は併用できないとしています。三菱電機の資料に掲載されている防雪フードにも、吸込側の背面網とは併用できないものがあります。既存の室外機に後付けする場合は、いま付いている部材を確認しておく必要があります。
・室外機の周りに障害物を置き、吹き出した空気の逃げ道をふさぐ(メーカー資料は、ショートサイクルを起こさないよう周囲の障害物を除くよう求めています)
・防雪フードは付けたが、架台が低く、室外機が下から雪に埋もれる
・二段架台の下段にも室外機を置き、上段のドレン水で下段が凍る
・フードの吹出口を、冬の季節風が来る方向に向けてしまう
三菱電機システムサービスの防雪フード取付取扱説明書は、取付けを販売店または専門業者に依頼し、防雪フードを改造しないよう求めています。
6. 材質の選び方と、メーカー資料に載っている価格の例
三菱電機の資料に掲載されている防雪フードには、ステンレス(SUS304)製と鋼板製(溶融亜鉛めっき鋼板に焼付粉体塗装をしたものなど)があり、耐塩塗装品も用意されています。材質を選ぶときの目安として、資料には次の記載があります。
- 沿岸部など潮風の影響を受ける場所には、耐重塩害仕様を勧める。ただし、どの仕様も腐食に対して万全とはいえない
- 室外ユニットが耐塩害・耐重塩害仕様の場合は、防雪フードも耐塩塗装品(ステンレス製)を勧める
- 河川・海岸地域、塩素などの腐食性ガスが出る場所、ほこりがたまる場所、常に湿っている場所、融雪剤を使う場所などは、さびや腐食のおそれがある
価格の例として、三菱電機の「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」(2023年9月作成)に掲載されている、ビル用マルチエアコンの室外ユニット(PUHY-HP224・280SDMG5など)に適用する防雪フード(三菱電機システムサービス製)の税抜価格を示します。資料の注記によると、これは事業者向けの積算見積価格で、一般消費者向けの販売価格ではありません。
| 品名 | ステンレス製 | 鋼板製 |
|---|---|---|
| 吹出フード | 141,000円 | 73,200円 |
| 吸込フード(左右) | 156,000円 | 88,600円 |
| 吸込フード(後) | 84,000円 | 42,000円 |
| 吹出・吸込フード(セット) | 381,000円 | 203,800円 |
表:防雪フードの価格例(税抜。事業者向けの積算見積価格で、一般消費者向けの販売価格ではない。運賃・工事費・設置調整費・使用済商品の引取り費は含まない。三菱電機「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」2023年9月作成。現在の価格は販売店・メーカーで確認してください)
この例では、セット品の鋼板製はステンレス製の5割強の価格です。価格は室外機の大きさや適用機種で大きく変わり、別途、取付工事費や架台の費用がかかります。業務用エアコン更新の費用全体については「【北海道版】業務用エアコン更新の費用相場!工事費と追加コスト」で整理しています。
7. ドレン(排水)の凍結対策もあわせて考える
暖房中に霜取り運転をすると、室外機から多くの水(ドレン水)が出ます。三菱電機の資料は、この排水について次のような対策を求めています。
- 排水の凍結対策と経路の確保を行う。人が通る場所や、凍結すると問題のある場所への設置は避ける
- ヒーター機能のない集中排水ドレンパンやドレンソケットは使わない(ドレン配管が凍結するおそれ)
- 室外ユニットの下に冷媒配管を通さない。架台の下には融雪マットなどの設置を検討する
- 次の地域ではベースヒーター(凍結防止ヒーター)の取付けを検討する:月平均の最低気温が−10℃以下の地域で運転する場合、月平均の最低気温が0℃〜−10℃の地域で外調機を接続する場合や連続的に長時間運転する場合
ダイキンの「スゴ暖ZEAS」カタログ(2022年5月発行)も、外気温度−15℃以下・相対湿度80%以上の状態が12時間以上続く地域では、ドレンパンヒーターを使うよう求めています。
気象庁の平年値(1991〜2020年)で1月の日最低気温の平均を見ると、帯広−13.0℃、旭川−11.7℃、釧路−9.8℃、倶知安−9.6℃、岩見沢−9.2℃、札幌−6.4℃、函館−6.0℃です。帯広や旭川は、三菱電機が示す「月平均の最低気温−10℃以下」の目安に当たります。札幌なども、外調機を接続する系統や長時間連続運転する系統では検討の対象になります。
なお、三菱電機の資料は、年によって暖冬・寒冬の差があるため、直近5年程度の月ごとの平均最低気温で判断するよう求めています。上の値は30年間の平年値なので、実際の判断では直近の観測値も確認してください。
8. 冬の運用と点検:大雪の後にやること
防雪フードと架台があっても、大雪の後の確認は必要です。三菱電機の「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」には、次のような運用上の注意があります。
家庭用エアコン「霧ヶ峰」の雪対策のリリース(三菱電機 霧ヶ峰PR事務局、2024年12月3日)では、室外機の周りに雪が積もっていたら、エアコンの電源を入れずに、吹き出し口の前が200mm以上空くように雪を取り除くよう案内しています。室外機の内部の雪には触らないこと、雪を溶かそうとしてお湯や水をかけると、熱交換器に氷ができて目詰まりの原因になることがあることも挙げています。また、暖房が一時的に止まるのは、霜を溶かす「霜取り」運転の可能性があり、少し時間を置くと通常運転に戻るとしています。
防雪フード自体の点検も必要です。三菱電機のビル用エアコン向け防雪フード取付取扱説明書は、定期点検として、フード本体と室外ユニットとの取付部のネジの緩み、さびや腐食の有無を確認し、緩みは増し締め、さびや腐食は修復するよう求めています。フードの上に物を置いたり、踏み台にしたりしないことも求めています。パナソニックと日立の住宅設備用エアコン向けの資料は、防雪部材の屋根や室外機への積雪で置台の積載質量(日立は積雪荷重)を超える場合は、雪下ろしをするよう案内しています。
雪の日に限らず暖房が効かない場合の原因の切り分けは「【北海道】業務用エアコンが暖まらない?標準機の限界と故障リスク」で解説しています。
9. よくある質問(FAQ)
A. 雨・風・雪が室外機に直接当たる場所では必要です。三菱電機のパッケージエアコンの据付工事説明書は、降雪・積雪が予想される地域で雨・風・雪が直接当たる場合、防雪フード(吹出・吸込)を取り付けるよう求めています。建物の陰などで雪が直接当たらない場所では不要な場合もありますが、架台の高さとドレン対策は必要です。
A. 今回確認したメーカー資料には、一律の能力低下率は示されていませんでした。メーカーは防雪フードを、雪から室外機を守り能力を安定させる部材と説明しています。ただし、吹出口を風向に向けたり、吹き出す空気の逃げ道がなかったりすると、風量低下やショートサイクルのおそれがあると注意しています。
A. 機種と資料によって基準が違います。三菱電機の寒冷地・積雪地向け資料は「予想される積雪量+50cm」、三菱電機の据付工事説明書は「予測される積雪量の約2倍」、ダイキンの寒冷地向けカタログ(2022年5月発行)は「予想される雪面より底フレームが500mm以上高く」としています。設置する機種の据付説明書に従い、現地の吹き溜まりや落雪も考えて決めます。
A. 三菱電機のパッケージエアコンの据付工事説明書は、外気10℃以下で冷房運転をする場合も、雨・風・雪が直接当たるときは防雪フード(吹出・吸込ダクト)を取り付けるよう求めています。電算室用空調機の据付工事説明書では、雨・風・雪が直接当たる場合に、防雪フードと防雪キットを取り付けるよう求めています。
A. 室外機の大きさと材質で変わります。例として、三菱電機の資料(2023年9月作成)では、ビル用マルチエアコンの室外ユニット(PUHY-HP224・280SDMG5など)用の吹出・吸込フードのセットが、ステンレス製381,000円、鋼板製203,800円(いずれも税抜の事業者向け積算見積価格で、一般消費者向けの販売価格ではありません。運賃・工事費等は別)です。現在の価格は販売店やメーカーで確認してください。
10. まとめ
- 防雪フードは、室外機の吹出口・吸込口に付けて風雪の吹き込みを防ぐ部材。雨・風・雪が直接当たる場所では、メーカーが取付けを求めている
- 防雪フードは「積もる雪」には効かない。架台で予想される積雪量より高く上げることが前提
- 架台の高さの基準は資料で違う(積雪量+50cm、積雪量の約2倍、雪面+500mm以上など)。機種の据付説明書に従い、現地の吹き溜まりや落雪も考える
- フードの吹出口を季節風に向けない、吹き出す空気の逃げ道を確保する、併用できない部材を確認する
- 霜取りで出るドレン水の凍結対策(ヒーター・融雪マット・排水経路)と、大雪の後の除雪・フードの点検までをセットで考える
記事情報
公開日:2026年1月23日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・三菱電機「据付・設置ポイント集(寒冷地・積雪地向け)」2023年9月作成(三菱電機)
・三菱電機「パッケージエアコン 室外ユニット PUZ-KP224・280CM4 据付工事説明書」(三菱電機)
・三菱電機「スプリット形電算室用空調機 室外ユニット PUD-P224・280CM-E 据付工事説明書」(三菱電機)
・三菱電機システムサービス「三菱電機ビル用エアコン 防雪フード取付取扱説明書」2022年2月(三菱電機システムサービス)
・三菱電機 霧ヶ峰PR事務局「【霧ヶ峰 Times】エアコンの雪対策」(家庭用エアコン)2024年12月3日(三菱電機)
・ダイキン工業「寒冷地向けエアコン スゴ暖ZEAS カタログ」2022年5月発行 p.61 別売品(ダイキン工業)、p.62 寒冷地エアコン室外機設置のポイント(ダイキン工業)
・ダイキン工業「ガスヒートポンプエアコン ビル用マルチG-UP カタログ」2009年11月発行 p.139(ダイキン工業)
・日立グローバルライフソリューションズ「室外機設置のポイント」(住宅設備用エアコン 寒冷地向けエアコン)(日立)
・パナソニック「室外機設置の3つのポイント」(家庭用エアコン)(パナソニック)、「防雪部材一覧」(住宅設備用エアコン)(パナソニック)
・北海道立総合研究機構「スーパー防雪フードの品質評価試験」(道総研)
・気象庁「過去の気象データ検索 平年値(年・月ごとの値)」札幌ほか各地点(気象庁)
※2026年10月27日時点の情報です。架台の高さや必要な空間、適用できる部材は機種ごとに異なるため、施工時は設置する機種の据付説明書に従ってください。価格はメーカー資料(2023年9月作成)に掲載された税抜の事業者向け積算見積価格の例で、現在の価格とは異なる場合があります。架台の高さの計算例は仮定の数字です。
