ガソリンの暫定税率(法令上は「当分の間税率」)は2025年12月31日に廃止されました。軽油引取税の当分の間税率も2026年4月1日に廃止されています。廃止された上乗せ分は、ガソリンが1リットルあたり25.1円、軽油が17.1円です。どちらもすでに実施済みです。
ただし、「税が25円安くなったから価格も25円下がる」とは単純に言えません。ガソリンでは、税の廃止に合わせて補助金が段階的に引き上げられ、廃止日の12月31日に補助金が終了しました。さらに2026年3月19日からは、別の枠組みの補助(緊急的激変緩和措置)が再開されています。税率・補助金・原油価格のそれぞれが、ガソリンスタンドの価格に影響します。
この記事では、何がいつ決まって実施されたかを財務省・国税庁・総務省・資源エネルギー庁・北海道庁の資料で整理します。あわせて、トリガー条項の扱い、補助金の現状、北海道の事業者が請求書や契約で確認したい点をまとめます。2026年10月31日時点の情報です。
この記事でわかること
・ガソリンと軽油の暫定税率が、それぞれいつ・いくら廃止されたか
・廃止が決まるまでの経緯と、根拠になった法律
・トリガー条項が廃止された経緯
・2025年の補助金の段階的な引き上げと終了、2026年3月からの補助
・北海道の事業者が請求書・免税軽油などで確認したい点
更新履歴
- 2026年10月31日:全面改訂。ガソリン(2025年12月31日)と軽油(2026年4月1日)の廃止実施、根拠法、トリガー条項の廃止、補助金の推移を一次資料で確認して書き直し。根拠を確認できなかった数値と将来予測の記述を削除
- 2025年12月10日:初版公開
1. 結論:いつ、何が、いくら変わったか
廃止されたのは、揮発油税・地方揮発油税(ガソリン)と軽油引取税(軽油)の「上乗せ分」です。本来の税率(本則税率)は残っています。
| 項目 | ガソリン | 軽油 |
|---|---|---|
| 対象の税 | 揮発油税・地方揮発油税 | 軽油引取税 |
| 廃止前の税率(1リットル) | 53.8円(本則28.7円+上乗せ25.1円) | 32.1円(本則15.0円+上乗せ17.1円) |
| 廃止後の税率(1リットル) | 28.7円 | 15.0円 |
| 当分の間税率の廃止日 | 2025年12月31日 | 2026年4月1日 |
| 根拠になった法律 | 租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第81号、2025年12月5日公布) | 地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号、2026年3月31日公布) |
表:ガソリン・軽油の当分の間税率の廃止(財務省「令和8年度税制改正の解説」、国税庁、総務省、北海道庁の資料をもとに作成)
ガソリンの本則税率28.7円は、揮発油税24.3円と地方揮発油税4.4円の合計です(国税庁は1キロリットルあたり24,300円と4,400円、合計28,700円と案内しています)。軽油の15.0円は、北海道庁が「令和8年4月1日からは1キロリットルにつき15,000円」と案内している税率です。
2. 暫定税率(当分の間税率)とは何だったのか
財務省の解説によると、ガソリンの税率の特例は、1974年度(昭和49年度)の税制改正で税率を引き上げた際に、暫定的な措置として租税特別措置法で設けられました。その後、税率の引き上げのたびに特例が重ねられ、適用期限の延長が繰り返されました。税収は、昭和29年度以降、道路整備のための道路特定財源とされてきました。
2009年4月に道路特定財源が一般財源化され、2010年度(平成22年度)の税制改正では、10年間の措置としての暫定税率は廃止することとされました。しかし、地球温暖化対策の観点や厳しい財政状況を踏まえ、「当分の間の措置」として税率の水準は維持されました。これが「当分の間税率」です。財務省は、与野党の合意文書などで使われる「暫定税率」という呼び方と同義だと説明しています。
軽油引取税にも、地方税法の附則に基づく同様の「当分の間税率」がありました。今回の法律は、軽油についても廃止の日を2026年4月1日と定めています。
3. 廃止が決まるまでの経緯
財務省、参議院、総務省の資料から、主な日付を時系列にまとめます。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年7月30日 | 与野党6党の国会対策委員長間で、暫定税率の廃止に関する合意 |
| 2025年8月1日 | 野党7党が議員立法として、当分の間税率を廃止する法律案を衆議院に提出(当初案は2025年11月1日に廃止) |
| 2025年11月5日 | 与野党6党が、補助金を2週間ごとに5円ずつ引き上げること、暫定税率を12月31日に廃止すること、油槽所などの在庫への対応などで合意 |
| 2025年11月25日 | 衆議院が修正して可決(施行日を12月31日に変更、軽油の廃止日を2026年4月1日と定める規定を追加) |
| 2025年11月28日 | 参議院が可決し、成立 |
| 2025年12月5日 | 令和7年法律第81号として公布 |
| 2025年12月31日 | 施行。ガソリンの当分の間税率が廃止 |
| 2026年3月31日 | 地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)が参議院で可決され、同日公布 |
| 2026年4月1日 | 軽油引取税の当分の間税率が廃止 |
表:廃止までの主な日程(財務省、参議院、衆議院、総務省の資料をもとに作成)
令和7年法律第81号の附則第5条は、国が軽油引取税の当分の間税率について、財源の確保や流通への影響、地方財政への配慮などの課題に対応したうえで、「軽油の卸売価格の抑制を目的として国が交付する補助金に代えて、令和八年四月一日に廃止する」と定めています。軽油の廃止は、この規定を受けて地方税法の改正で実施されました。
附則第6条は、廃止に伴う安定財源の確保について、検討の方針と期限を定めています。内容は、法人税関係の特別措置などの見直しを検討して令和7年末までに結論を得ること、法律の公布からおおむね1年を目途に具体的な方策の結論を得ること、地方の財源は結論が出るまでの間、地方財政措置で対応することです。この点の検討状況は、この記事では扱いません。
4. トリガー条項はどうなったか
結論から言うと、トリガー条項は、当分の間税率の廃止に合わせて廃止されています。
トリガー条項は、ガソリン価格が高騰した場合に、当分の間税率の課税を停止する仕組みです(旧租税特別措置法第89条)。2011年の東日本大震災に関する特例法の法律案要綱は、これを「復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」としました。以後、この仕組みは凍結されたままでした。
財務省の解説は、トリガー条項の凍結解除や当分の間税率の廃止が与野党の様々な枠組みで協議されてきた経緯を述べたうえで、「当分の間税率の廃止に伴い、いわゆるトリガー条項についても廃止することとされました」と説明しています(旧租税特別措置法第89条、旧震災税特法第44条)。令和7年法律第81号の本則にも、これらの条文を削除する規定が置かれています。
ガソリンは本則の28.7円、軽油は本則の15.0円が現在の税率です。上乗せ分そのものが廃止され、トリガー条項も廃止されているため、「発動されるかどうか」を待つ必要はなくなっています。
5. 補助金はどうなったか
5-1. 2025年:税の廃止に向けて段階的に引き上げ、ガソリンは12月31日に終了
燃料油への補助は、2022年1月から燃料油価格激変緩和補助金として始まりました。2025年5月22日からは「燃料油価格定額引下げ措置」となり、2025年6月時点では、ガソリン1リットルあたり10円の定額補助でした(財務省の解説)。
資源エネルギー庁の資料によると、補助額は暫定税率の廃止に向けて、次の日程で引き上げられました。1回あたりの価格の変動を最大5円程度に抑えるための段階的な引き上げです。
| 適用日 | ガソリン | 軽油 |
|---|---|---|
| 2025年11月12日まで | 10円/L | 10円/L |
| 2025年11月13日 | 15円/L | 15円/L |
| 2025年11月27日 | 20円/L | 17.1円/L |
| 2025年12月11日 | 25.1円/L | 17.1円/L |
表:定額引下げ措置の補助額の引き上げ日程(資源エネルギー庁の資料。重油・灯油は5円/L、航空機燃料は4円/Lのまま)
資源エネルギー庁の資料によると、ガソリンの全国平均価格は、2025年11月10日時点の173.5円/Lから、12月15日時点で159.7円/Lになっています(レギュラーガソリン)。税の廃止分に相当する値下がりは、廃止日の前に補助金の引き上げを通じて先に起きた形です。資源エネルギー庁は、廃止日の12月31日に補助も終了し、税の廃止による価格変動は生じない想定だと説明していました。財務省の解説も、ガソリンへの補助金の支給は終了したと記しています。
軽油については、補助額を11月27日以降17.1円/Lとし、暫定税率の廃止(2026年4月1日)に合わせて補助も終了する想定でした。
ガソリンの12月31日は、税が25.1円下がると同時に補助金25.1円が終了した日でした。そのため、この日だけを見ても店頭価格はほぼ変わらない想定でした。請求書の単価を見比べるときは、ガソリンは2025年11月から12月、軽油は2025年11月下旬から2026年4月にかけての推移を確認する必要があります。
5-2. 2026年3月19日から:緊急的激変緩和措置
財務省の解説によると、2026年2月のイラン情勢の変化に伴って原油価格が高騰したため、3月19日から、緊急的激変緩和措置としてガソリンへの支援が再開されました。資源エネルギー庁の資料では、概要は次のとおりです。
- ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える見込みの場合に、170円を超える部分を補助する(補助率10/10)
- 軽油・重油・灯油には、ガソリンと同額を補助する。航空機燃料には、ガソリンの補助額の4割を補助する
- 軽油には、暫定税率が廃止されるまでの間、暫定税率相当の17.1円を補助額に加える
経済産業省の資料(2026年8月)によると、制度開始前の3月16日時点の全国平均小売価格はガソリン190.8円、軽油178.4円、灯油154.1円でした。補助により、ガソリンは170円程度、軽油は160円程度、灯油は140円程度の水準まで下がったと説明されています。
2026年10月に確認した時点で、資源エネルギー庁の「エネルギー価格の支援について」のページは、この措置による補助を継続すると案内していました。同ページに終了の日付の記載は確認できませんでした。補助額は週ごとなどに見直されるため、最新の補助額や期間は同ページで確認してください。
6. 法人への影響をどう見積もるか(仮定の数字)
税率の差が、使用量に対してどの程度の金額になるかは、次の式で計算できます。
税額の差 = 使用量(L)× 上乗せ分の税率(円/L)
上乗せ分は、ガソリン25.1円/L、軽油17.1円/L(消費税を除く税額の差)
次の数字はすべて仮定です。実際の使用量に置き換えて計算してください。
- ガソリン:月1,250L使用 → 1,250L × 25.1円 = 31,375円(月)、年間376,500円
- 軽油:月1,250L使用 → 1,250L × 17.1円 = 21,375円(月)、年間256,500円
- 合計:月52,750円、年間633,000円
この金額は、「廃止された上乗せ分の大きさ」を示すものです。実際の支払額が同じだけ下がったという意味ではありません。補助金は、税の廃止前に引き上げられ、廃止とともに終わっています。さらに2026年3月からは、原油価格の動きに応じた補助が加わっています。支払額は、税率、補助金、原油価格、為替などの組み合わせで決まります。
自社の影響を確かめるには、請求書の単価(税込)を月ごとに並べるのが確実です。ガソリンは2025年10月〜2026年1月、軽油は2025年10月〜2026年5月ごろまで、期間を長めに取ると変化を追えます。
7. 北海道の事業者が確認したいこと
軽油引取税は道税で、北海道庁が案内を出しています。道庁は、令和8年3月31日までは1キロリットルにつき32,100円、4月1日からは15,000円と案内しています。また、課税は実際に納入が行われる時点で発生するため、ガソリンスタンドで軽油を実際に引き渡した時点の税率が適用されるとしています(特別徴収義務者に限った取り扱いです)。
農林業や建設、港湾などの特定の用途で使う軽油は、手続きにより課税が免除される場合があります(免税軽油)。道庁によると、免税軽油使用者証の交付申請から、免税証の交付、石油製品販売業者への免税証の提出という順で進みます。石油化学製品製造業以外の対象は、2027年3月31日までに行われる取引が免税の対象です。対象や手続きは、使用事業所を管轄する総合振興局・振興局・道税事務所の案内で確認してください。
実務で確認したい点は次のとおりです。
- 請求書の単価の推移:税込単価が、ガソリンは2025年11月〜12月、軽油は2026年3月〜4月にどう動いたかを確認する
- 給油カードなどの契約条件:店頭価格に連動する契約か、値引き額を固定した契約かによって、税率や補助金の変動の見え方が変わる。契約書面で価格の決まり方を確認する
- 免税軽油の使用者証・免税証:免税軽油を使っている場合は、有効期間と報告義務(引取り等の報告)を確認する
- 補助金の動向:現在の支援は資源エネルギー庁のページで更新される。予算管理では、補助が続く前提と終わる前提の両方の燃料費を試算しておく
燃料カードの仕組みや見直しの考え方は「【北海道の企業様へ】ガソリン・軽油の高騰はもう止められない?自動車燃料の仕組みと、今すぐできる経費削減の最終手段」、灯油の価格については「北海道の灯油価格はなぜ高騰?2026年の値上げ理由と企業の対策」、燃料別の単価の比べ方は「灯油・重油・LPG・電気の熱量単価比較|燃料転換を数字で判断【北海道】」で解説しています。
8. よくある質問(FAQ)
A. 2025年12月31日です。揮発油税・地方揮発油税の当分の間税率(上乗せ分25.1円/L)が廃止され、同日以後に製造場から移出されるガソリンなどには本則の28.7円/Lが適用されています。
A. 2026年4月1日です。軽油引取税は、3月31日までの1リットルあたり32.1円から、4月1日以降は15.0円になりました。税率は、軽油を実際に納入した時点のものが適用されます。
A. 使えません。財務省の解説によると、当分の間税率の廃止に伴い、トリガー条項も廃止されました(旧租税特別措置法第89条、旧震災税特法第44条)。
A. ガソリンでは、税の廃止に先立って補助金が引き上げられ、廃止日に補助が終了したため、税の廃止日に価格が一度に下がったわけではありません。価格は原油価格や為替の動向にも左右されます。さらに2026年3月以降は、別の補助が加わっています。
A. 2026年10月に確認した時点で、資源エネルギー庁のページは、2026年3月19日から実施している緊急的激変緩和措置による補助を継続すると案内していました。同ページに終了日の記載は確認できませんでした。最新の情報は資源エネルギー庁のページで確認してください。
A. 北海道庁のページには、税率変更に伴う免税軽油の手続きの変更に関する記載は確認できませんでした。免税証や使用者証の扱いは、従来どおり管轄の総合振興局・振興局・道税事務所の案内に従ってください。
9. まとめ
- ガソリンの当分の間税率(25.1円/L)は2025年12月31日に、軽油引取税の当分の間税率(17.1円/L)は2026年4月1日に廃止された
- 廃止後の税率は、ガソリンが本則の28.7円/L、軽油が本則の15.0円/L
- 根拠は令和7年法律第81号(2025年12月5日公布)と、地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号、2026年3月31日公布)
- トリガー条項は、当分の間税率の廃止に伴い廃止された
- ガソリンは補助金を段階的に引き上げて税の廃止につなげ、12月31日に補助が終了した。2026年3月19日からは別の緊急的激変緩和措置による補助が続いている
- 自社の影響は、請求書の単価(税込)を月ごとに並べて確認する。軽油は納入時点の税率で、免税軽油の手続きは北海道庁の案内に従う
記事情報
公開日:2025年12月10日
最終更新日:2026年10月31日(全面改訂)
参照資料:
・財務省「令和8年度税制改正の解説」租税特別措置法等(間接税等関係)の改正、六 揮発油税等関係の改正(PDF)
・衆議院「租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和7年法律第81号)(衆議院)
・参議院「租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案」審議経過(参議院)
・国税庁「揮発油税等の特例税率の廃止について」(国税庁)
・国税庁「揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止に伴う手持品控除の取扱いについて(法令解釈通達)」令和7年12月5日(国税庁)
・参議院「地方税法等の一部を改正する法律案」審議経過(参議院)
・総務省「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について」総税企第44号、令和8年4月1日(PDF)
・北海道庁「令和8年4月1日から軽油引取税の税率が変わります」(北海道庁)、「軽油引取税の課税免除」(北海道庁)
・資源エネルギー庁「燃料油価格支援及びガソリン・軽油の暫定税率に係る状況について」令和7年11月(PDF)、事務局説明資料 令和7年12月(PDF)
・資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」(資源エネルギー庁)、「イラン情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置について(依頼)」2026年3月19日(PDF)
・経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保に向けた取組等について」令和8年8月(PDF)
・財務省「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案要綱」(財務省)
※2026年10月31日時点の情報です。燃料油の補助は見直されることがあり、最新の内容は資源エネルギー庁のページでご確認ください。計算例の数字はすべて仮定で、実際の請求額を示すものではありません。
