凍結防止ヒーターの電気代はいくら?自動温度制御で下げる【北海道】

凍結防止ヒーター(凍結防止帯)の電気代は、「消費電力(W)×通電時間×電力量料金の単価」で決まります。消費電力15W/mの製品を24時間通電すると、1mあたり1か月で約10.8kWh、1kWhを35円と仮定すると約378円です。

北海道の事業所では、屋外の給水管や受水槽まわり、屋上配管などに数十m単位で巻かれていることが少なくありません。札幌でも12〜2月の日最高気温の平年値は-0.4〜2.0℃で、サーモスタットが通電を始める温度を下回る時間が長くなります。合計100mのヒーターが常時通電していると、11〜3月だけで約19万円の計算です(35円/kWhと仮定)。

この記事では、北海道の施設管理者・総務担当者に向けて、凍結防止ヒーターの電気代の計算方法と早見表を示します。そのうえで、「自動温度制御タイプ」をヒーターの発熱方式と通電の制御方式に分けて比べます。冬の固定費をどこまで下げられるのかを、北海道の気温データを踏まえて整理します。

この記事の結論
・電気代は「W数×通電時間×単価」で計算でき、最も効くのは通電時間を減らすことです
・自己制御型ヒーターは出力が自動で下がりますが、ゼロにはならないためサーモスタットとの併用が前提です
・節電器の「約90%節電」はメーカーの試算条件つきの値で、北海道の真冬は削減余地が小さくなります
・削減の中心は11月と3〜4月、そしてシーズン外の「差しっぱなし」をなくすことです

この記事でわかること
・凍結防止ヒーターの電気代の計算式と、長さ別・通電率別の早見表
・電気代を左右する3つの要素(消費電力・通電時間・保温)
・自動温度制御タイプの違い(発熱方式2種類×通電の制御方式3種類)
・機器費・工事費を含めた投資回収の考え方
・札幌・旭川・帯広・函館・釧路の気温から見た、削減できる時期とできない時期
・見直しの手順と、凍結事故を起こさないための注意点

1. 凍結防止ヒーター(凍結防止帯)とは?業務用施設で使われる場所

① 一言でいうと「配管に沿わせて温め、水を凍らせない電熱線」

凍結防止ヒーターとは、水道管などの配管に沿わせて取り付け、電気で温めて管内の水の凍結を防ぐ電熱線です。「凍結防止帯」「水道凍結防止帯」「電熱帯」「ヒーティングケーブル」「ヒーター線」とも呼ばれます。

多くの製品はサーモスタットを備え、配管や外気の温度が下がったときだけ通電します。ヒーターの上から保温テープや保温材を巻き、熱を逃がさないように使うのが基本です。

主な呼び方凍結防止ヒーター/凍結防止帯/水道凍結防止帯/電熱帯/ヒーティングケーブル
主な方式定電力型(ニクロム線など。出力が一定)/自己制御型(温度に応じて出力が変わる)
消費電力の例定電力型:1mあたり15W(八光電機・電熱産業の金属配管用D型)
自己制御型:1mあたり14W(八光電機DSR(X)型、配管温度10℃での設計出力)
電圧100V(コンセント差し込み型が多い)/単相200V(長尺の業務用など)
通電の制御サーモスタット(配管温度感知式または外気温感知式)、後付けの節電器など。自己制御型にも外気温感知式サーモスタット付きの製品があります(八光電機DSRS型)
交換の目安八光電機のカタログでは定電力型(D型)10年、自己制御型8年(使用状況・環境により異なる)

② 事業所のどこに付いている?主な設置場所

凍結防止ヒーターは、建物内でも外気の影響を受ける場所に設置されます。業務用の施設では、次のような場所が代表的です。

設置場所よくある状況点検のしやすさ
屋外の給水管・立ち上がり管地上に出た部分から凍結深度までの区間に巻かれています比較的見やすい
受水槽・揚水ポンプまわり屋外や非暖房のポンプ室にあり、長尺になりがちです機械室の鍵が必要な場合あり
屋上・外壁沿いの配管保温材の劣化が見落とされやすい場所です見にくい
非暖房区画を通る給水・給湯管倉庫、車庫、ピット内などを通る配管です天井内・床下は見にくい
エアコンのドレン配管暖房運転中の霜取り水が凍って詰まるのを防ぎます室外機まわりで確認

雨どい・ルーフドレン用や、蛇口(水栓)用の専用ヒーターもあります。路面の雪を溶かすロードヒーティングは別の設備です。費用はロードヒーティング費用の解説記事で整理しています。

2. 凍結防止ヒーターの電気代はいくら?計算式と早見表

① 電気代の計算式

凍結防止ヒーターの電気代は、次の式で計算できます。製品の定格W数は、本体のラベルや取扱説明書に記載されています。

電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1,000 × 通電時間(h)× 電力量料金単価(円/kWh)

消費電力(W)= 1mあたりのW数 × 長さ(m)

単価には、使用量に比例して増減する部分だけを使います。具体的には、請求書の電力量料金単価に、1kWhあたりの燃料費調整単価(北海道電力では燃料費等調整単価)と再エネ賦課金単価を加えた値です。段階制の料金では、使用量が最も多い段階の単価が目安になります。

請求額を使用量で割った「平均単価」には基本料金が含まれるため、ヒーターを止めたときの削減額を見積もる用途には向きません。ヒーターを止めても、基本料金は通常変わらないためです(高圧の契約電力への影響は後述します)。

② 1mあたりの電気代はいくら?

1mあたり15Wの定電力型を24時間通電した場合、1か月(30日)で約10.8kWhを使います。1kWhを35円と仮定すると、1mあたり月約378円です。11月から3月までの151日間では、1mあたり約54kWh、約1,902円になります。

③ 長さ別・通電率別の早見表

実際の電気代は、シーズン中に電気が流れている時間の割合(ここでは「通電率」と呼びます)で大きく変わります。次の表は、11月1日〜3月31日の151日間の試算です。

合計の長さ
(消費電力)
常時通電
(通電率100%)
通電率50%通電率25%
10m(150W)544kWh/19,026円272kWh/9,513円136kWh/4,756円
20m(300W)1,087kWh/38,052円544kWh/19,026円272kWh/9,513円
50m(750W)2,718kWh/95,130円1,359kWh/47,565円680kWh/23,782円
100m(1,500W)5,436kWh/190,260円2,718kWh/95,130円1,359kWh/47,565円

※試算例:定電力型15W/m、11月1日〜3月31日(151日)、使用量に比例する単価(電力量料金+燃料費調整+再エネ賦課金)を35円/kWhと仮定。kWhは四捨五入、円は小数点以下切り捨て。基本料金は含みません。

常時通電(100%) 190,260円 通電率50% 95,130円 通電率25% 47,565円 ※試算例:合計100m(1,500W)、11月〜3月の151日間、35円/kWhと仮定

図:通電率による1シーズンの電気代の違い(合計100mの場合)

ポイント:自社の実際の通電率を測る方法

コンセント差し込み型なら、市販の簡易電力計(ワットチェッカー等)を挟んで1週間ほど使用量を記録すると、実際の通電率をつかめます。定格(例:15A)を超えない範囲で使用してください。

分電盤から直結されている場合は、電気工事士による回路ごとの電流測定などで確認します。

④ 高圧受電の施設は「基本料金」にも影響する

高圧受電で契約電力が500kW未満の場合、契約電力はその月と過去11か月の月次最大需要電力(30分デマンド値の最大)のうち最も大きい値で決まります。500kW以上の場合は、電力会社との協議で決まります(J-Net21)。

500kW未満の施設で、年間の最大需要電力が出る冬の時間帯にヒーターが通電していれば、その分だけ最大値を押し上げます。逆に、最大値がほかの時間帯や設備の稼働で決まっている場合は、ヒーターを止めても契約電力は変わりません。

仮に、500kW未満の契約で、ヒーターの通電によって最大需要電力が1.5kW増えていたとします。基本料金単価を1kWあたり月2,000円とすると、1.5kW×2,000円×12か月=年36,000円が基本料金側で上乗せになる計算です(単価は仮定。実際の単価はご契約の料金表で確認してください)。ピークと契約電力の関係はデマンドの仕組みを解説した記事で詳しく説明しています。

3. 凍結防止ヒーターの電気代を左右する3つの要素

電気代を決めるのは、①消費電力(W/m×長さ)②通電時間 ③保温の状態の3つです。見直しの効果が大きいのは②の通電時間ですが、①と③も確認しないと判断を誤ります。

① 消費電力:W/mと長さを台帳にする

定電力型の1mあたりの出力は製品によって異なり、同じ長さでも消費電力が違います。巻き付けピッチを詰めて施工している場合は、配管の長さよりヒーターの長さのほうが長くなります。

まずは設置場所ごとに「長さ・定格W数・方式・設置年」を一覧にすることが出発点です。合計W数がわかれば、早見表で冬の電気代の上限を見積もれます。

② 通電時間:サーモスタットの「感知する場所」と「設定温度」で決まる

サーモスタットには、配管の温度を感知するものと、外気の温度を感知するものがあります。八光電機と電熱産業のD型(定電力型)は配管温度感知式で、配管温度が約3℃まで下がると通電し、約10℃になると停止します。

外気温感知式は、周囲の気温が設定温度を下回っている間は通電を続けます。通電を始める温度は製品によって差があり、今回確認した資料では約3℃、5℃、6℃といった例がありました。設定温度が高いほど、通電時間は長くなります。

重要 サーモスタットの故障・未装備は「常時通電」になる

サーモスタットのない製品や、サーモスタットが故障して接点が入りっぱなしになった製品は、気温に関係なく通電し続けます。早見表の「常時通電」の列がそのまま当てはまる状態です。

暖かい日にも通電確認ランプが点いている、配管が手で触れて温かい、といった場合は点検が必要です。

③ 保温:保温材が傷むと通電時間が延びる

ヒーターは、上から巻く保温テープや保温材とセットで性能を発揮します。八光電機のカタログでも、保温テープはテープ幅の1/2が重なるように巻く取付方法が示されています。

保温材が破れたり濡れたりすると熱が逃げやすくなり、配管温度感知式では通電時間が延びます。凍結のリスクも上がるため、電気代と凍結防止の両面で確認が必要な項目です。

④ 見落としがちな「シーズン外の差しっぱなし」

自己制御型ヒーターは、凍結のおそれがない温度でも電力を消費する場合があります。部品販売店の解説記事では、外気温20℃でも1mあたり5.0〜6.5Wを消費する製品例が紹介されています。

仮に自己制御型100mを5月〜10月の184日間差しっぱなしにすると、1mあたり5.0Wで約2,208kWhです。35円/kWhと仮定すると約77,000円になります(試算例)。冬に使う設備の電気代が夏にもかかっていないか、春の時点で確認します。

4. 自動温度制御タイプとは?発熱方式と通電の制御方式の組み合わせ

ここでいう「自動温度制御タイプ」とは、温度に応じて通電や出力を自動で調整する凍結防止ヒーター、またはその制御機器を指します。「ヒーターの発熱方式」と「通電の制御方式」は別の軸で、実際の製品はこの2つの組み合わせで考えます。

① ヒーターの発熱方式は2種類

発熱方式仕組み電気代への効き方注意点
定電力型通電中は出力が一定です(例:15W/m)消費電力量は、ほぼ通電時間で決まります発熱部の重なりや、サーモスタットの取付位置はメーカーの指定に従います
自己制御型発熱部自体が配管の温度に応じて出力を加減します配管が温まると出力が下がります。ただしゼロにはなりません配管温度10℃での設計出力は定電力型と同程度の製品もあります

② 通電の制御方式は3種類

制御方式何を感知するか電気代への効き方注意点
配管温度感知式サーモスタット配管の表面温度(例:約3℃で通電、約10℃で停止)配管が温まると止まるため、保温が良いほど通電時間が短くなります配管への密着が必要です。保温材が傷むと通電時間が延びます
外気温感知式サーモスタット周囲の気温気温が設定温度を下回っている間は通電を続けます。設定温度が低いほど通電時間は短くなります日射や風の当たり方など、感知部の置き場所で動作が変わります
後付けの節電器・節電サーモ外気温など(方式は製品により異なる)通電を始める温度を下げる、通電を間欠的にするなどで通電時間を減らします接続できる合計W数・本数に上限があります。公称の節電率は試算条件つきです

たとえば八光電機の2026-27年カタログでは、自己制御型のDSRS型に外気温感知式のサーモスタットが付いています。2024-25年カタログの自己制御型DSR(X)型には、外気温感知式サーモスタット(DSR-P)を別に組み合わせる仕組みが示されています。同じ自己制御型でも、どの制御方式と組み合わさっているかで通電時間は変わります。

③ 自己制御型に替えるだけで電気代は下がる?

自己制御型は、分岐やバルブの多い配管でも発熱部の往復や重なりを気にせず取り付けられ、樹脂配管にも使える点が大きな利点です(八光電機カタログ)。配管が温まると出力が下がるため、無駄な発熱を抑えられます。

一方で、八光電機の自己制御型DSR(X)型は、配管温度10℃での設計出力が14W/mです(総合カタログ2024-25)。定電力型D型の15W/mと大きな差はありません。電気代を下げる決め手は、ヒーターの種類そのものより、通電する時間をどれだけ短くできるかにあります。

④ 節電器の「約90%節電」はどう読む?

後付けの節電器では、メーカーが大きな節電率を公表しています。テムコ「セーブ90+3」は約90%、サンジュニア「節電サーモ」は従来品比で約90%の節電をうたっています。

ただし、これらは特定の条件での試算や試験の結果です。テムコの試算は、10月〜5月の期間に外気温感知式サーモスタット付きヒーター(40W)を10本使う前提です。同社は節電効率は12〜2月より10・11・3・4・5月のほうが高いとしています。サンジュニアの節電サーモは、通電を始める温度を0℃に設定して凍る直前まで通電しない仕組みです。

つまり、気温が0℃前後を行き来する時期ほど効果が出やすく、終日氷点下の時期は削減できる時間が短くなります。北海道で使う場合は、この前提を踏まえて効果を見積もる必要があります。

北海道 札幌の気温で見る「削れる時期」と「削れない時期」

気象庁の平年値(1991〜2020年)では、札幌の日最高気温は12月2.0℃、1月-0.4℃、2月0.4℃です。真冬は日最高気温の平年値でも3℃を下回るため、通電を始める温度を下げても止められる時間は限られます。

一方、11月は日最低1.6℃・日最高8.7℃、3月は日最低-2.4℃・日最高4.5℃、4月は日最低3.4℃・日最高11.7℃です。この「端境期」は、設定温度の違いが通電時間の差になりやすい時期です。

ただし平年値は月の平均です。日々の気温の振れ、日射や風、ヒーターの設置場所によって、実際の通電率は変わります。気温データは見当をつけるための目安とし、効果の判断は簡易電力計などによる実測で行います。

10℃ 5℃ 0℃ -5℃ 3℃ 0℃ 8.7 1.6 2.0 -4.0 -0.4 -6.4 0.4 -6.2 4.5 -2.4 11.7 3.4 11月 12月 1月 2月 3月 4月 3℃:従来のサーモスタットが通電を始める温度の例 0℃:節電サーモの設定例

図:札幌の日最高・日最低気温の平年値(棒の上端=日最高、下端=日最低)
出典:気象庁「平年値(1991〜2020年)」をもとに作成

⑤ どれくらい下がる?見直し前後の試算例

見直しの効果は、現状の通電率と、見直し後にどこまで下げられるかで決まります。次の図は、合計100mのヒーターが常時通電している状態から、通電率を50%まで下げられた場合の試算例です。

見直し前

約19.0万円

合計100m(1,500W)
サーモスタット不良などで常時通電

→
見直し後

約9.5万円

同じ100m
温度制御の見直しで通電率50%(仮定)

図:見直し前後の1シーズン(11月〜3月)の電気代の試算例
※定電力型15W/m・35円/kWhと仮定。通電率50%は説明のための仮定で、実際の削減幅は機器・設置場所・気象条件で変わります

⑥ 投資回収の考え方|機器費・工事費を含めて判断する

電気代が下がっても、機器費や工事費が大きければ回収まで長くかかります。判断の基本は次の式です。

回収年数(年)=(機器費+工事費)÷ 年間の削減額(円)

年間の削減額=見直し前の電気代 − 見直し後の電気代(使用量に比例する単価で計算)

次の表は、年間の削減額ごとに「何年で回収したいなら、機器費と工事費の合計をいくらまでに抑えればよいか」を示したものです。

年間の削減額3年で回収5年で回収8年で回収
1万円3万円まで5万円まで8万円まで
2万円6万円まで10万円まで16万円まで
5万円15万円まで25万円まで40万円まで
10万円30万円まで50万円まで80万円まで

たとえば早見表の20m・常時通電(38,052円)を通電率50%(19,026円)にできた場合、年間の削減額は19,026円です。5年で回収するなら、機器費と工事費の合計は約9.5万円が目安になります(試算例)。

ポイント:回収年数は製品の交換目安と比べる

回収年数が、ヒーターの交換目安(八光電機のカタログでは定電力型D型10年、自己制御型8年)を超える場合は、費用対効果が合わない可能性が高くなります。

一方、既存のヒーターが交換時期を迎えている場合は、更新費用の一部はいずれ必要になる費用です。その場合は、同じ方式で交換する費用との差額で判断します。参考までに、電熱産業のカタログでは定電力型20m品(D-20)の標準価格が14,900円です(工事費・保温材の補修費は別)。

5. 凍結防止ヒーターを見直す手順|台帳づくりから交換まで

見直しは、いきなり機器を替えるのではなく、今どこに何mあり、どれだけ通電しているかを把握するところから始めます。

1
設置場所の台帳をつくる
場所・長さ・定格W数・方式(定電力型/自己制御型)・電圧・設置年・電源の取り方(コンセント/分電盤直結)を一覧にします。
▼
2
通電状態を確認する
暖かい日に通電確認ランプが点いていないか、配管が不自然に温かくないかを見ます。可能なら簡易電力計で1週間ほど実測します。
▼
3
保温材と被覆の状態を確認する
保温材の破れ・濡れ、ヒーター被覆の傷・焦げ・変色を確認します。損傷があるものは使用を中止して交換を検討します。
▼
4
方式を選ぶ
交換時期を過ぎたものは自己制御型+外気温感知式サーモスタット等へ更新し、使えるものは節電器の追加やサーモスタットの交換で通電時間を減らします。
▼
5
工事を手配する
コンセントに差し込む製品の交換は比較的簡単ですが、分電盤からの直結や200V回路、屋外コンセントの新設は電気工事士による工事が必要です。
▼
6
シーズン前後の運用ルールを決める
通電を始める時期と止める時期、担当者、点検日を決めておきます。止めるときは、凍結のおそれがなくなったことを確認してからにします。

シーズン前の点検チェックリスト

確認項目確認のしかた異常があった場合
□ 電源が入っているか電源確認ランプ、コンセントの抜けを確認差し直し、回路の確認
□ 通電が制御されているか気温が高い時間帯に通電ランプが消えているかサーモスタットの点検・交換
□ 被覆に傷・焦げ・変色がないか目視(保温材の端部や接続部も)使用を中止し交換を検討
□ 保温材が破れていないか屋外・屋上部分を重点的に目視保温材の補修
□ 交換目安を過ぎていないか台帳の設置年と製品の交換目安を照合更新計画に入れる
□ 漏電遮断器があるか回路に漏電遮断器が設置されているか電気工事士に相談
ポイント:漏電遮断器の確認

八光電機の単相200V自己制御型(WS型)の取付方法では、定格10A以上・感度電流30mA以下の漏電ブレーカーを元電源に設けることが示されています。屋外で水気にさらされる設備のため、回路の保護も合わせて確認します。

6. よくある失敗と回避策

凍結防止ヒーターの見直しでは、電気代を下げようとして凍結事故を招くことがあります。よくある失敗と回避策を整理します。

① 自己制御型にしたから大丈夫と思い、通年で差しっぱなしにする

自己制御型は温度が上がっても出力がゼロになりません。外気温感知式サーモスタットを併用するか、シーズン外はプラグを抜く・ブレーカーを切る運用にします。

② 節電器の公称値をそのまま見積もりに使う

「約90%」はメーカーの試算条件での値です。北海道の真冬は削減余地が小さくなるため、月別の気温を踏まえて控えめに見積もります。

③ 節電器にヒーターをつなぎすぎる

節電器には接続できる合計W数・本数の上限があります。テムコ「セーブ90+3」は製品により100W〜300Wまで、サンジュニア「節電サーモ」の大容量タイプは合計1,000W・3本までです。台帳の合計W数と照らして選びます。

④ 電気代を気にして通電を止め、凍結・破裂させる

凍結で配管が破裂すると、修理費だけでなく水損や営業停止の損失が生じます。止める場合は水抜きとセットにします。札幌市水道局も、凍結防止には水道管の水抜きが最も効果的としています。

⑤ 交換目安を大きく過ぎたヒーターを使い続ける

被覆の劣化は外から見えにくいことがあります。台帳で設置年を管理し、交換目安を過ぎたものから計画的に更新します。

7. 北海道の事業者にとってのポイント

北海道 凍結防止ヒーターの電気代を下げるポイント

■ 内陸の旭川・帯広は、真冬の通電はほぼ避けられない
気象庁の平年値では、1月の日最高気温は旭川-3.3℃、帯広-1.5℃、釧路-0.2℃です。真冬の削減は難しいと割り切り、11月と3〜4月、そしてシーズン外の通電を減らすことに力を入れます。

■ 端境期の長さは地域で違う
11月の日最低気温は札幌1.6℃、函館1.8℃に対し、旭川-1.5℃、帯広-1.1℃です。4月の日最低気温は札幌3.4℃、函館2.8℃、旭川0.2℃と、春の止めどきも地域で変わります。止める時期は自社の地域の気温で決めます。

■ 年末年始や長期休業は「水抜き」と組み合わせる
使わない期間に水抜きができる系統は、水抜き後にその区間のヒーターを止められる場合があります。ただし受水槽や消火設備など水を抜けない系統は対象外です。系統ごとに判断します。

■ 高圧受電の施設は冬のピークとの重なりを確認する
冬に電力使用のピークが来る施設では、ヒーターの通電が契約電力を押し上げる要因になり得ます。デマンドの記録とヒーターの通電を照らし合わせると、基本料金への影響を確認できます。

■ 保温材の傷みは雪と風で進みやすい
屋上や外壁沿いの保温材は、積雪・落雪・強風で破れやすい場所です。シーズン前の点検で保温材を補修するだけでも、通電時間の短縮と凍結防止の両方に効きます。

都市11月
日最低
1月
日最高
1月
日最低
3月
日最低
4月
日最低
札幌1.6℃-0.4℃-6.4℃-2.4℃3.4℃
旭川-1.5℃-3.3℃-11.7℃-6.1℃0.2℃
帯広-1.1℃-1.5℃-13.0℃-5.4℃0.8℃
函館1.8℃0.9℃-6.0℃-2.2℃2.8℃
釧路-0.3℃-0.2℃-9.8℃-4.2℃0.7℃

出典:気象庁「平年値(1991〜2020年)」

8. 他の凍結対策との比較|水抜き・保温・不凍液

凍結防止ヒーターは、電気代がかかる代わりに、水を使いながら凍結を防げる方法です。系統の使い方に応じて、他の方法と組み合わせます。

対策向いている系統電気代注意点
凍結防止ヒーター冬も使い続ける給水・給湯管、ドレン配管かかる通電の制御と保温が前提
水抜き夜間・休業中に使わない系統かからない毎回の操作が必要。抜けない系統には使えない
保温材の強化すべての露出配管かからない単独では寒冷時の凍結を防ぎきれない場合がある
不凍液(ブライン)暖房・融雪などの密閉循環系統かからない(循環ポンプ等は別)飲用・給水系統には使えない。濃度管理が必要

暖房や融雪の循環系統で使う不凍液の管理は、不凍液(ブライン)管理の解説記事で詳しく説明しています。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 凍結防止ヒーターの電気代は1mあたりいくらですか?

A. 1mあたり15Wの製品を24時間通電した場合、1か月(30日)で約10.8kWhです。1kWhあたり35円と仮定すると約378円です。実際の金額は、製品のW数・通電時間・契約単価で変わります。

Q2. 凍結防止ヒーターはつけっぱなしで大丈夫ですか?

A. 凍結シーズン中は、サーモスタット等で自動的に入り切りする前提の製品が一般的です。ただし製品によってはシーズン外も電力を消費するため、凍結のおそれがなくなったらプラグを抜くかブレーカーを切る運用にします。

Q3. 自己制御型ヒーターに替えれば電気代は必ず下がりますか?

A. 必ず下がるとは限りません。自己制御型は配管温度に応じて出力を下げますが、出力はゼロにならず、配管温度10℃での消費電力が定電力型と同程度の製品もあります。外気温感知式サーモスタットと組み合わせ、通電時間を減らすことが重要です。

Q4. 節電器の「約90%節電」は北海道でも期待できますか?

A. 公称値は、メーカーが示す地域・期間・ヒーター構成での試算や試験の結果です。札幌では1月の日最高気温の平年値が-0.4℃のため、真冬は通電を止められる時間が短く、削減の中心は11月や3〜4月になると考えられます。

Q5. 凍結防止ヒーターの交換時期の目安は何年ですか?

A. 八光電機のカタログでは、使用状況や環境で異なるとしたうえで、定電力型(D型)は10年、自己制御型は8年を交換の目安としています。被覆に傷・焦げ・変色がある場合は、年数にかかわらず使用を中止して交換を検討します。

10. まとめ

凍結防止ヒーターの電気代は、W数・通電時間・単価の掛け算で決まります。北海道では冬の間ほぼ通電するため、長さが増えるほど固定費として効いてきます。

・電気代は「消費電力(W)÷1,000×通電時間×単価」で計算でき、15W/mを24時間通電すると1mあたり月約10.8kWhです
・削減の決め手はヒーターの種類より、通電時間を短くすることです
・自己制御型は出力がゼロにならないため、外気温感知式サーモスタットとの併用とシーズン外の電源オフが前提です
・節電器の公称値は条件つきで、北海道では11月と3〜4月が削減の中心になります
・電気代を下げても凍結事故を起こしては意味がないため、水抜き・保温・点検とセットで見直します

記事情報
公開日:2026年10月21日
参照資料:
・八光電機「総合カタログ2026-27 凍結防止工具」(PDF)
・八光電機「総合カタログ2024-25 凍結防止工具」(自己制御型DSR(X)の仕様。PDF)
・電熱産業「水道凍結防止帯 D型・PLD型」カタログ(PDF)
・気象庁「過去の気象データ検索 平年値(1991〜2020年)」札幌・旭川・帯広・函館・釧路(気象庁)
・札幌市水道局 広報紙 令和2年秋冬号(No.32)(PDF)
・J-Net21(中小企業基盤整備機構)「契約電力と30分デマンド値の関係について教えてください。」(ページ)
・テムコ「水道凍結防止ヒーター用節電器 セーブ90+3」(製品サイト)
・サンジュニア「節電サーモ」(製品ページ)
・ベストなパーツ「自己制御型凍結防止ヒーターの隠れた電力消費を抑えるサーモスタット」(記事)
※電気代・回収年数はすべて試算例です。使用量に比例する単価35円/kWh・基本料金単価2,000円/kWは説明のための仮定です。製品の仕様・節電効果は各メーカーの最新資料をご確認ください。