LED工事の費用は、何を取り替えたかで「修繕費」になるか「資産計上(減価償却)」になるかが分かれます。器具はそのままで蛍光灯をLEDランプに替えるだけなら修繕費、照明器具ごとLEDに交換するなら建物附属設備として資産計上、というのが基本の考え方です。
北海道の事業所は冬の日照時間が短く、照明の点灯時間が長くなりがちです。一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに段階的に製造・輸出入が終わり、直管形も2027年末が期限です。こうした事情から、LED化を進める法人が増えています。一方で、経理の現場では「この工事は修繕費で落としてよいのか」という相談がよく出てきます。
この記事では、国税庁の公表事例と通達をもとに、LED工事の勘定科目・耐用年数・金額別の処理を整理します。工事を発注する側の担当者が、見積書の段階から経理処理を見通せるように解説します。
この記事でわかること
・LED工事が修繕費になるケース、資産計上になるケースの早見表
・国税庁の質疑応答事例(蛍光灯型LEDランプへの取替)の要点
・資産計上するときの勘定科目・耐用年数(15年)と、金額別の処理
・補助金を使った場合の処理と、見積書で気をつけること
- 1. LED工事は修繕費?資産計上?ケース別の早見表
- 2. 国税庁の事例「蛍光灯型LEDランプへの取替は修繕費」とは?
- 3. 修繕費か資本的支出かを判定する手順
- 4. 資産計上する場合の勘定科目と耐用年数は?
- 1. LED工事は修繕費?資産計上?ケース別の早見表
- 2. 国税庁の事例「蛍光灯型LEDランプへの取替は修繕費」とは?
- 3. 修繕費か資本的支出かを判定する手順
- 4. 資産計上する場合の勘定科目と耐用年数は?
- 5. 補助金を使ってLED化した場合の処理は?
- 6. 見積書で気をつけること|よくある失敗4つ
- 7. 北海道の事業者がLED工事を経理面で進めるポイント
- 8. 他の税制との関係
- 9. よくある質問(FAQ)
- 10. まとめ
1. LED工事は修繕費?資産計上?ケース別の早見表
結論から言うと、「器具に手を入れない部品の交換」は修繕費、「器具そのものの交換や新設」は資産計上が基本です。その中間にあたる安定器のバイパス工事は、工事の規模や金額で判断が分かれます。
| 工事の内容 | 主な処理 | 勘定科目の例 | 根拠・考え方 |
|---|---|---|---|
| 蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替える(器具には工事しない) | 修繕費 | 修繕費(少量なら消耗品費) | 国税庁の質疑応答事例で修繕費が相当とされている |
| 安定器を外して配線を直結し(バイパス工事)、LEDランプを付ける | 判断が分かれる | 修繕費 または 建物附属設備 | 器具に工事を行うため上記の事例とは前提が違う。金額基準(通達7-8-3・7-8-4)で判定するのが実務的 |
| 照明器具ごとLED一体型器具に交換する | 資産計上 | 建物附属設備 | 照明設備の取替にあたるため、資本的支出・新規取得として扱うのが一般的 |
| 照明を新たに増設する | 資産計上 | 建物附属設備 | 新たな設備の取得 |
| スタンドなど、建物に固定しない照明を買う | 資産計上または費用 | 器具備品(10万円未満なら消耗品費) | 建物附属設備ではなく器具及び備品 |
表:LED工事の内容別にみた経理処理の目安(個別の判断は顧問税理士にご確認ください)
同じ「LED化工事」でも、ランプだけの交換と器具ごとの交換では処理が変わります。工事の中身を見積書の段階で分けておくことが、経理処理を正しく決めるいちばんの近道です。
2. 国税庁の事例「蛍光灯型LEDランプへの取替は修繕費」とは?
照会の内容と国税庁の回答
国税庁は質疑応答事例「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」で、ランプの取替費用を修繕費として処理することが相当と回答しています。
| 照会の内容 | 事務室の蛍光灯100本を、すべて蛍光灯型LEDランプに取り替える |
| 工事の範囲 | 天井に装着された照明設備(建物附属設備)には工事を行わない |
| 費用 | ランプ1本10,000円+取付費1本1,000円、総額1,100,000円 |
| 回答 | 修繕費として処理することが相当 |
| 関係法令・通達 | 法人税法施行令第132条、法人税基本通達7-8-1、7-8-2 |
修繕費になる理由
LEDランプは節電効果や寿命が優れているため、資本的支出(資産の価値を高める支出)とも考えられます。しかし国税庁は、蛍光灯もLEDランプも照明設備という建物附属設備の一部品にすぎないとしました。部品の性能が上がっても、建物附属設備全体の価値が高まったとまではいえない、という整理です。
この回答は「器具に工事を行わない」ことが前提です。国税庁も、個別の取引では課税関係が異なる場合があると注記しています。器具ごとの交換や、安定器を外す工事を伴う場合は、そのまま当てはめないようにしてください。
3. 修繕費か資本的支出かを判定する手順
まず、新しく取得する工事(照明の増設や、器具を丸ごと新しくする工事)か、既存の照明設備の修理・改良かを分けます。新しく取得する場合は修繕費の基準ではなく、第4章の取得価額の基準で判定します。既存設備の修理・改良で判断に迷う場合は、法人税基本通達の基準を順に当てはめます。
図:LED工事の経理処理の判定の流れ(簡略版)
STEP 0:新しく取得する工事か
照明を増設する、器具を丸ごと新しくするといった工事は、既存設備の修理ではなく資産の取得です。20万円・60万円といった修繕費の基準は使わず、第4章の取得価額の基準(10万円・20万円・40万円)で処理を判定します。
STEP 1:20万円未満・3年以内の周期(通達7-8-3)
既存設備の1つの修理・改良等の費用が20万円未満の場合、または概ね3年以内の期間を周期として行われる場合は、修繕費にできます。
STEP 2:明らかに価値・耐久性を高める支出か(通達7-8-1)
資産の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりすることが明らかな支出は資本的支出です。この場合は資産計上します。
STEP 3:通常の維持管理・原状回復か(通達7-8-2)
通常の維持管理や、壊れた部分を元に戻すための支出は修繕費です。国税庁のLEDランプの事例も、部品の取替として修繕費と整理されています。
STEP 4:60万円未満・前期末取得価額の10%以下(通達7-8-4)
資本的支出か修繕費か明らかでない支出は、60万円未満、または対象資産の前期末の取得価額の概ね10%以下であれば、修繕費として処理できます。
STEP 5:それでも決まらない場合(通達7-8-5)
実質で判断します。継続して適用することを条件に、支出額の30%と前期末取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費、残りを資本的支出とする区分方法もあります。
20万円・60万円の判定は、1つの修理・改良等ごとに行います。どこまでを1つとみるかは、工事の目的や設備としてのまとまりなどの実態で判断します。見積書や請求書を分けただけでは、判定の単位は変わりません。複数のフロアや拠点にまたがる工事は、顧問税理士と事前に相談しておくと安心です。
4. 資産計上する場合の勘定科目と耐用年数は?
照明器具ごとLEDに交換する場合は、建物附属設備「電気設備(照明設備を含む)」として資産計上し、法定耐用年数15年で減価償却するのが基本です。なお、製品のカタログにある寿命と、税法上の耐用年数は別のものです。
取得価額別の処理(中小企業者等の場合)
資産計上する場合でも、取得価額によっては一度に費用にできる制度があります。取得価額は通常1単位として取引される単位ごとに判定します(法人税基本通達7-1-11)。器具及び備品なら1個・1組・1そろいごと、単体では機能を発揮できないものは一の工事等ごとが目安です。
照明の場合、1台ずつ独立して使えるものか、照明設備全体として機能するものかといった実態で判断します。「1台40万円未満だから特例の対象」とは限らず、見積書を1台ずつに分けても判定の単位は変わりません。
| 取得価額(1単位あたり) | 処理 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 少額の減価償却資産として、全額をその期の費用にできる | 法人の規模を問わない |
| 20万円未満 | 一括償却資産として、3年間で均等に費用にできる | 法人の規模を問わない |
| 40万円未満 | 少額減価償却資産の特例で、全額をその期の費用にできる | 青色申告をする中小企業者等(常時使用する従業員400人以下など)。1事業年度の合計300万円まで。2026年4月1日以後に取得した資産から40万円未満に拡大(それまでは30万円未満)。2029年3月31日までに取得等したもの。租税特別措置法の特別償却・税額控除・圧縮記帳とは重複して適用できない |
| 上記以外 | 建物附属設備として、耐用年数15年で減価償却 | 定額法が原則(2016年4月1日以後に取得した建物附属設備) |
表:取得価額別の処理の目安(少額減価償却資産の特例は国税庁タックスアンサーNo.5408・中小企業庁の資料、その他は法人税法施行令等による)
40万円未満の少額減価償却資産の特例は、圧縮記帳や特別償却・税額控除を受ける資産には使えません。補助金を受けた器具交換では、圧縮記帳と特例のどちらを使うか(または通常の減価償却にするか)を、税負担の時期も含めて顧問税理士と試算してください。
LED工事の費用は、何を取り替えたかで「修繕費」になるか「資産計上(減価償却)」になるかが分かれます。器具はそのままで蛍光灯をLEDランプに替えるだけなら修繕費、照明器具ごとLEDに交換するなら建物附属設備として資産計上、というのが基本の考え方です。
北海道の事業所は冬の日照時間が短く、照明の点灯時間が長くなりがちです。一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに段階的に製造・輸出入が終わり、直管形も2027年末が期限です。こうした事情から、LED化を進める法人が増えています。一方で、経理の現場では「この工事は修繕費で落としてよいのか」という相談がよく出てきます。
この記事では、国税庁の公表事例と通達をもとに、LED工事の勘定科目・耐用年数・金額別の処理を整理します。工事を発注する側の担当者が、見積書の段階から経理処理を見通せるように解説します。
この記事でわかること
・LED工事が修繕費になるケース、資産計上になるケースの早見表
・国税庁の質疑応答事例(蛍光灯型LEDランプへの取替)の要点
・資産計上するときの勘定科目・耐用年数(15年)と、金額別の処理
・補助金を使った場合の処理と、見積書で気をつけること
1. LED工事は修繕費?資産計上?ケース別の早見表
結論から言うと、「器具に手を入れない部品の交換」は修繕費、「器具そのものの交換や新設」は資産計上が基本です。その中間にあたる安定器のバイパス工事は、工事の規模や金額で判断が分かれます。
| 工事の内容 | 主な処理 | 勘定科目の例 | 根拠・考え方 |
|---|---|---|---|
| 蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替える(器具には工事しない) | 修繕費 | 修繕費(少量なら消耗品費) | 国税庁の質疑応答事例で修繕費が相当とされている |
| 安定器を外して配線を直結し(バイパス工事)、LEDランプを付ける | 判断が分かれる | 修繕費 または 建物附属設備 | 器具に工事を行うため上記の事例とは前提が違う。金額基準(通達7-8-3・7-8-4)で判定するのが実務的 |
| 照明器具ごとLED一体型器具に交換する | 資産計上 | 建物附属設備 | 照明設備の取替にあたるため、資本的支出・新規取得として扱うのが一般的 |
| 照明を新たに増設する | 資産計上 | 建物附属設備 | 新たな設備の取得 |
| スタンドなど、建物に固定しない照明を買う | 資産計上または費用 | 器具備品(10万円未満なら消耗品費) | 建物附属設備ではなく器具及び備品 |
表:LED工事の内容別にみた経理処理の目安(個別の判断は顧問税理士にご確認ください)
同じ「LED化工事」でも、ランプだけの交換と器具ごとの交換では処理が変わります。工事の中身を見積書の段階で分けておくことが、経理処理を正しく決めるいちばんの近道です。
2. 国税庁の事例「蛍光灯型LEDランプへの取替は修繕費」とは?
照会の内容と国税庁の回答
国税庁は質疑応答事例「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」で、ランプの取替費用を修繕費として処理することが相当と回答しています。
| 照会の内容 | 事務室の蛍光灯100本を、すべて蛍光灯型LEDランプに取り替える |
| 工事の範囲 | 天井に装着された照明設備(建物附属設備)には工事を行わない |
| 費用 | ランプ1本10,000円+取付費1本1,000円、総額1,100,000円 |
| 回答 | 修繕費として処理することが相当 |
| 関係法令・通達 | 法人税法施行令第132条、法人税基本通達7-8-1、7-8-2 |
修繕費になる理由
LEDランプは節電効果や寿命が優れているため、資本的支出(資産の価値を高める支出)とも考えられます。しかし国税庁は、蛍光灯もLEDランプも照明設備という建物附属設備の一部品にすぎないとしました。部品の性能が上がっても、建物附属設備全体の価値が高まったとまではいえない、という整理です。
この回答は「器具に工事を行わない」ことが前提です。国税庁も、個別の取引では課税関係が異なる場合があると注記しています。器具ごとの交換や、安定器を外す工事を伴う場合は、そのまま当てはめないようにしてください。
3. 修繕費か資本的支出かを判定する手順
まず、新しく取得する工事(照明の増設や、器具を丸ごと新しくする工事)か、既存の照明設備の修理・改良かを分けます。新しく取得する場合は修繕費の基準ではなく、第4章の取得価額の基準で判定します。既存設備の修理・改良で判断に迷う場合は、法人税基本通達の基準を順に当てはめます。
図:LED工事の経理処理の判定の流れ(簡略版)
STEP 0:新しく取得する工事か
照明を増設する、器具を丸ごと新しくするといった工事は、既存設備の修理ではなく資産の取得です。20万円・60万円といった修繕費の基準は使わず、第4章の取得価額の基準(10万円・20万円・40万円)で処理を判定します。
STEP 1:20万円未満・3年以内の周期(通達7-8-3)
既存設備の1つの修理・改良等の費用が20万円未満の場合、または概ね3年以内の期間を周期として行われる場合は、修繕費にできます。
STEP 2:明らかに価値・耐久性を高める支出か(通達7-8-1)
資産の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりすることが明らかな支出は資本的支出です。この場合は資産計上します。
STEP 3:通常の維持管理・原状回復か(通達7-8-2)
通常の維持管理や、壊れた部分を元に戻すための支出は修繕費です。国税庁のLEDランプの事例も、部品の取替として修繕費と整理されています。
STEP 4:60万円未満・前期末取得価額の10%以下(通達7-8-4)
資本的支出か修繕費か明らかでない支出は、60万円未満、または対象資産の前期末の取得価額の概ね10%以下であれば、修繕費として処理できます。
STEP 5:それでも決まらない場合(通達7-8-5)
実質で判断します。継続して適用することを条件に、支出額の30%と前期末取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費、残りを資本的支出とする区分方法もあります。
20万円・60万円の判定は、1つの修理・改良等ごとに行います。どこまでを1つとみるかは、工事の目的や設備としてのまとまりなどの実態で判断します。見積書や請求書を分けただけでは、判定の単位は変わりません。複数のフロアや拠点にまたがる工事は、顧問税理士と事前に相談しておくと安心です。
4. 資産計上する場合の勘定科目と耐用年数は?
照明器具ごとLEDに交換する場合は、建物附属設備「電気設備(照明設備を含む)」として資産計上し、法定耐用年数15年で減価償却するのが基本です。なお、製品のカタログにある寿命と、税法上の耐用年数は別のものです。
取得価額別の処理(中小企業者等の場合)
資産計上する場合でも、取得価額によっては一度に費用にできる制度があります。取得価額は通常1単位として取引される単位ごとに判定します(法人税基本通達7-1-11)。器具及び備品なら1個・1組・1そろいごと、単体では機能を発揮できないものは一の工事等ごとが目安です。
照明の場合、1台ずつ独立して使えるものか、照明設備全体として機能するものかといった実態で判断します。「1台40万円未満だから特例の対象」とは限らず、見積書を1台ずつに分けても判定の単位は変わりません。
| 取得価額(1単位あたり) | 処理 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 少額の減価償却資産として、全額をその期の費用にできる | 法人の規模を問わない |
| 20万円未満 | 一括償却資産として、3年間で均等に費用にできる | 法人の規模を問わない |
| 40万円未満 | 少額減価償却資産の特例で、全額をその期の費用にできる | 青色申告をする中小企業者等(常時使用する従業員400人以下など)。1事業年度の合計300万円まで。2026年4月1日以後に取得した資産から40万円未満に拡大(それまでは30万円未満)。2029年3月31日までに取得等したもの。租税特別措置法の特別償却・税額控除・圧縮記帳とは重複して適用できない |
| 上記以外 | 建物附属設備として、耐用年数15年で減価償却 | 定額法が原則(2016年4月1日以後に取得した建物附属設備) |
表:取得価額別の処理の目安(少額減価償却資産の特例は国税庁タックスアンサーNo.5408・中小企業庁の資料、その他は法人税法施行令等による)
北海道でも3月決算の中小企業は多くあります。少額減価償却資産の特例は、1事業年度で合計300万円までという上限があります。複数の拠点で器具交換を進める場合は、どの期にどの工事を取得するかで、一度に費用にできる金額が変わります。
5. 補助金を使ってLED化した場合の処理は?
補助金を受けた場合は、工事を資産計上するか修繕費にするかで、補助金の扱いも変わります。
| 工事の処理 | 補助金の処理 | ポイント |
|---|---|---|
| 資産計上 | 補助金は収益(益金)。圧縮記帳を使えば課税を先送りできる | 国庫補助金等で取得した固定資産は、圧縮記帳(法人税法第42条)の対象になり得る。圧縮記帳をした資産には、40万円未満の少額減価償却資産の特例は使えない |
| 修繕費 | 補助金は収益(益金)として計上 | 工事費と補助金が同じ期に計上されれば、両者が相殺されるため圧縮記帳は不要。期がずれる場合は注意 |
国(SII)・北海道・市町村のLED向け補助金は、交付決定の前に発注・着工すると対象外になるのが一般的です。補助金の探し方は「北海道のLED工事に使える補助金まとめ」で解説しています。
6. 見積書で気をつけること|よくある失敗4つ
LED工事の経理処理で困るケースの多くは、見積書に「LED化工事 一式」としか書かれていないことから始まります。工事を発注する前に、次の失敗を避けておきましょう。
失敗1:ランプ交換と器具交換が「一式」でまとめられている
修繕費になる部分と資産計上する部分が混ざると、区分ができません。見積書は、下の表のように項目を分けてもらいます。
| 見積書の項目 | 経理処理の目安 |
|---|---|
| LEDランプ(器具はそのまま) | 修繕費・消耗品費 |
| LED一体型器具・取付工事 | 建物附属設備(金額により特例) |
| 安定器のバイパス工事 | 金額基準で判定 |
| 既存器具の撤去・産業廃棄物の処分費 | 費用(撤去する資産の除却とあわせて処理) |
失敗2:撤去した古い器具の除却を忘れる
器具ごと交換した場合、古い器具に帳簿上の価額が残っていれば、除却損として費用にできることがあります。固定資産台帳から外し忘れると、使っていない資産の償却が続いてしまいます。
失敗3:補助金の圧縮記帳を検討しないまま申告する
資産計上した工事に補助金を受けた場合、圧縮記帳をしないと補助金を受けた期に課税が集中します。申告前に処理方法を決めておくことが大切です。
失敗4:バイパス工事を資格のない人が行う
安定器を外して配線を直結するバイパス工事は、電気工事士の資格が必要な電気工事です。経理処理とは別に、安全面からも有資格者が施工しているかを確認してください。工事の要否は「LEDのバイパス工事とは」で解説しています。
7. 北海道の事業者がLED工事を経理面で進めるポイント
■ 冬の点灯時間が長いほど回収は早い
北海道は冬の日照時間が短く、照明の点灯時間が長くなりがちです。電気代の削減額が大きいほど、資産計上して15年で償却する場合でも、投資の回収は早くなります。
■ 蛍光ランプの製造終了を見据える
水銀に関する水俣条約を受けて、一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに段階的に製造・輸出入が禁止されます。コンパクト形は2026年末、直管形は2027年末(ハロりん酸塩系は2026年末)までです。今ある蛍光灯の使用や、在庫品の販売・購入は禁止されません。在庫がなくなってから慌てて器具ごと交換すると、資産計上の金額が一度に膨らみます。計画的に期をまたいで進めると、少額減価償却資産の特例の上限も使いやすくなります。
■ 補助金の公募時期と決算期を重ねて考える
国(SII)や北海道、市町村の補助金は、交付決定の時期が決まっています。工事の完了月がどの事業年度になるかで、費用や補助金を計上する期が変わります。
■ 見積書の段階で税理士と共有する
ランプ交換・器具交換・バイパス工事・撤去処分を分けた見積書を、発注前に顧問税理士へ共有しておくと、決算時の判断がぶれません。
8. 他の税制との関係
LED照明を含む設備投資では、ほかの税制も検討できます。少額減価償却資産の特例の詳細は「少額減価償却資産の特例が拡大」、即時償却や税額控除を受けられる中小企業経営強化税制は「中小企業経営強化税制で省エネ設備を即時償却」で解説しています。いずれも要件があるため、適用できるかは個別に確認が必要です。
9. よくある質問(FAQ)
A. 器具には工事をせず、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えるだけであれば、国税庁の質疑応答事例で修繕費として処理することが相当とされています。少数の交換であれば消耗品費で処理する会社もあります。
A. 照明器具ごと交換する場合は、建物附属設備(電気設備・照明設備)として資産計上するのが一般的です。取得価額によっては、少額減価償却資産や一括償却資産として処理できる場合があります。
A. 建物に取り付ける照明設備は、建物附属設備「電気設備(照明設備を含む)」の「その他のもの」にあたり、法定耐用年数は15年です。製品のカタログにある寿命とは別のものです。
A. 工事を資産計上する場合は、圧縮記帳を使うと補助金への課税を先送りできます。ただし、圧縮記帳をした資産には40万円未満の少額減価償却資産の特例は使えません。修繕費で処理する場合は、補助金を収益(益金)として計上します。
A. 国税庁の事例は器具に工事をしない前提のため、そのまま当てはまるとは限りません。工事の金額や内容によって判断が変わるため、見積書で工事内容を分けたうえで顧問税理士に確認してください。
10. まとめ
- 器具はそのままで蛍光灯をLEDランプに替えるだけなら、国税庁の事例どおり修繕費が基本です
- 照明器具ごとの交換や増設は「資産の取得」として、建物附属設備(耐用年数15年)で資産計上するのが基本です
- 判断に迷う工事は、20万円未満・60万円未満などの金額基準を順に当てはめます
- 青色申告の中小企業者等は、2026年4月1日以後の取得から40万円未満の資産を一度に費用にできます(年300万円まで。圧縮記帳とは併用不可)
- 見積書でランプ・器具・バイパス工事・撤去処分を分けておくことが、正しい処理への近道です
本記事は一般的な取扱いを整理したものです。個別の経理処理は、工事内容と金額をもとに顧問税理士にご確認ください。
記事情報
公開日:2026年10月27日
最終更新日:2026年10月27日(判定の流れ、少額減価償却資産の特例の条件、蛍光ランプの規制の説明を補足)
参照資料:
・国税庁 質疑応答事例「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」(国税庁)
・国税庁 法人税基本通達 第7章第8節「資本的支出と修繕費」(国税庁)
・国税庁 法人税基本通達 7-1-11「少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定」(国税庁)
・国税庁 タックスアンサーNo.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(国税庁)
・環境省「一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入禁止について」(環境省)
・中小企業庁「少額減価償却資産の特例」(PDF)
※税務上の取扱いは個別の事実関係により異なります。最終的な処理は顧問税理士または税務署にご確認ください。
