北海道・札幌で業務用エアコンを更新するときに使える補助金は、国の「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」が中心です。補助率は機器費の1/3以内(トップ性能枠は1/2以内)で、2026年10月上旬から4次公募が予定されています。
このほか札幌市・小樽市・苫小牧市などにも省エネ設備の補助制度がありますが、対象者や要件、受付時期はそれぞれ異なります。設置から10〜15年以上たった空調を抱える企業にとっては、「自社が対象になるか」「いくら補助されるか」を早めに見極めることが大切です。
この記事では、2026年10月3日時点の公募状況を早見表で整理し、自己負担額の計算例、申請の流れ、北海道の冬季工事の注意点までまとめました。
この記事でわかること
- 北海道・札幌で業務用エアコンに使える国・道・市の補助金の最新状況(早見表)
- 国の設備単位型の3つの申請枠と、自己負担額・電気代削減の計算方法
- 申請から補助金受領までの流れと、必要書類
- 採択されても補助金が出ない「よくある失敗」と回避策
- 寒冷地仕様・冬季工事など、北海道の事業者が押さえるべきポイント
更新履歴
- 2026年10月3日:設備単位型3次公募の終了(9月28日)と4次公募の予定、札幌市製造業補助金の受付延長(10月30日まで)、2次公募の採択結果、令和9年度概算要求を反映して全面改訂
- 2026年2月16日:初版公開(2026年度の公募予測として掲載)
- 1. 【早見表】北海道・札幌で業務用エアコンに使える補助金(2026年10月)
- 2. 国の省エネ補助金(設備単位型)とは?業務用エアコンの対象条件
- 3. 補助金はいくら?自己負担額と電気代の計算例
- 4. 補助の対象になる工事・ならない工事
- 5. 申請の流れ|機種選定から補助金受領までの7ステップ
- 6. 申請に必要な書類は?事前に準備できるもの
- 7. 公募スケジュールはいつ?4次公募の見通しと冬季工事の注意点
- 8. 業務用エアコン補助金でよくある失敗5選と回避策
- 9. 北海道の事業者が押さえるべき4つのポイント
- 10. 国・北海道・市町村の補助金は併用できる?制度の比較
- 11. なぜ今、業務用エアコンの更新を考えるべきなのか?
- 12. よくある質問(FAQ)
- 13. まとめ|「壊れる前」の準備が補助金活用のカギ
1. 【早見表】北海道・札幌で業務用エアコンに使える補助金(2026年10月)
結論から言うと、今すぐ動けるのは国の4次公募と、札幌市・小樽市・苫小牧市の制度です。北海道庁の制度は2026年度分の受付を終えています。
| 制度名 | 実施主体 | 補助率・上限 | 対象経費 | 受付状況(10月3日時点) |
|---|---|---|---|---|
| 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型) | 国(経済産業省)/SII | 1/3以内(トップ性能枠は1/2以内) 上限1億円〜3億円 | 設備費のみ | 予定 4次公募を10月上旬より実施予定。詳細は未公表 |
| 製造業省エネルギー設備導入補助金 | 札幌市 | 3/4 上限500万円 | 設備費・設計費・工事費 | 受付中 10月30日まで延長(製造業のみ・先着順。予算額に達した時点で終了) |
| 中小企業等省エネ推進補助金 | 小樽市 | 1/2 上限100万円 | 設備費・据付費・運搬費 | 受付中 11月30日まで(省エネ診断の受診が前提) |
| ゼロカーボン推進事業(省エネ設備導入補助) | 苫小牧市 | 1/2 上限50万円〜100万円 | 市の要綱による | 受付中 2027年2月26日まで(先着順) |
| 省エネルギー設備導入支援事業費補助金 | 北海道 | 1/2以内 上限500万円(コンソーシアム1,000万円) | 工事費を含む | 終了 2026年度は4月22日〜6月12日 |
※各制度の要件は一部のみ掲載しています。申請前に必ず各公式サイトの公募要領・交付要綱をご確認ください。上表の「対象経費」は概要であり、撤去費や消費税などは多くの制度で対象外です。
対象機種や工事費もあわせて確認したい方へ
補助金を使えるかどうかは、更新する機種と工事の内容で決まります。札幌・北海道での業務用エアコンの入替について、寒冷地仕様の選び方、EHPとGHPの比較、工事費の目安を次のページにまとめています。
飲食・アミューズメント施設のGHP更新で、国の省エネ補助金を活用
| 施設の種類 | 道内の飲食・アミューズメント施設 |
| 更新した設備 | ガスヒートポンプエアコン(GHP) |
| 活用した補助金 | 国の省エネ補助金(SII 設備単位型・従来枠) |
| 採択額 | 最高800万円(機器費の1/3) |
| totokaの支援内容 | 既存機の調査、更新機種の選定、3者見積の比較整理、省エネ量の算定と申請に必要な技術資料の準備 |
GHPは機器費が大きいため、機器費の1/3が対象となる国の制度との相性がよい設備です。採択の可否は、機種選定と省エネ量の根拠を運転実態に即して整理できるかで大きく左右されます。
ポイント:国と道・市では「工事費」の扱いが違う
国の設備単位型は機器本体の費用(設備費)だけが補助対象で、据付工事費や撤去費は自己負担です。北海道や札幌市の制度は工事費も対象経費に含まれます。同じ「1/2」でも、どの費用に掛かる補助率なのかで手取り額は大きく変わります。
2. 国の省エネ補助金(設備単位型)とは?業務用エアコンの対象条件
一言でいうと「指定された高効率エアコンへの入替えを、機器費の1/3以内(トップ性能枠は1/2以内)で補助する制度」
設備単位型は、SIIが基準を満たすと認めて公表した「指定設備」へ既存設備を更新する事業を、設備ごとに支援する制度です。事業所全体の省エネ計画を作る必要がなく、エアコン数台の更新から申請できます。
| 正式名称 | 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(従来枠)/省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(GX設備単位型) |
| 通称 | 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)、SII省エネ補助金 |
| 所管・執行 | 経済産業省 資源エネルギー庁/一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
| 対象者 | 国内で事業を営む法人・個人事業主(個人は青色申告者)。医療法人・社会福祉法人等は従業員300人以下なら中小企業者等として扱われます |
| 対象となる空調 | 電気式パッケージエアコン(店舗用・ビル用マルチ・設備用)、ガスヒートポンプエアコン(GHP)、チリングユニット、吸収式冷凍機、ターボ冷凍機 |
| 省エネ要件 | 省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれか |
| 補助対象経費 | 設備費のみ(室外機・室内機・リモコン・パネル・全熱交換器) |
| 公式サイト | SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型) |
3つの申請枠の違いは?
申請枠は、導入する機器のメーカーと性能で決まります。どの枠でも補助率は中小企業と大企業で同じです。
| 申請枠 | 対象となる空調 | 補助率 | 上限額 | 更新/新設 |
|---|---|---|---|---|
| 従来枠 | 指定設備(EHP・GHPなど) | 1/3以内 | 1億円 | 更新のみ |
| メーカー強化枠(GX設備単位型) | GX要件を表明したメーカーの指定設備 | 1/3以内 | 3億円 | 更新のみ |
| トップ性能枠(GX設備単位型) | トップ性能基準を満たす電気式パッケージエアコン+同一メーカーのクラウドAI制御 | 更新:1/2以内 新設:1/5以内 | 3億円 | 更新・新設 |
※下限額はいずれも30万円(補助金額ベース)です。出典:SII「公募要領<3次公募用>」(2026年8月)
注意:GHPはトップ性能枠の対象外
トップ性能枠の高効率空調は、電気式パッケージエアコンとAI制御システムの組み合わせに限られます。ガスヒートポンプエアコン(GHP)の更新は、従来枠またはメーカー強化枠(補助率1/3以内)で申請します。
エアコンの性能基準(APF)と寒冷地仕様の扱い
電気式パッケージエアコンは、能力ごとに定められたAPF(通年エネルギー消費効率)の基準値以上が対象です。たとえば店舗用4方向カセット形の10.0kW(112形)は、従来枠・メーカー強化枠で6.3以上、トップ性能枠で6.6以上が求められます。
北海道で多く使われる寒冷地仕様の機種は、従来枠・メーカー強化枠の指定設備では、基準値に0.9を掛けた数値を満たせば対象になります(公募要領 別表1の備考)。一方、トップ性能枠の基準表(別表2)には同様の緩和の記載がありません。寒冷地仕様でトップ性能枠を検討する場合は、型番ごとに対象かどうかを個別に確認してください。
水冷式や、オゾン層破壊物質を冷媒に使う機種は対象外です。実際に対象かどうかは、SIIの「指定設備」の補助対象設備一覧で型番を検索して確認します。
3. 補助金はいくら?自己負担額と電気代の計算例
国の設備単位型の補助額は、「3者見積のうち最低額の設備費」×補助率で決まります。工事費が大きい案件ほど、総額に対する補助の割合は小さくなります。
計算例:店舗の業務用エアコン更新(総額1,000万円の場合)
1,000万円
機器費600万円+工事費400万円
(すべて自己負担)
800万円
補助金200万円(600万円×1/3)
工事費400万円は自己負担
図1:補助金の有無による自己負担額の比較(※税抜・試算例)
| 申請枠 | 計算式 | 補助額 | 自己負担額 | 総額に対する補助の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 従来枠・メーカー強化枠 | 機器費600万円 × 1/3 | 200万円 | 800万円 | 20% |
| トップ性能枠(更新) | 機器費600万円 × 1/2 | 300万円 | 700万円 | 30% |
※試算例です。実際の補助額は審査と確定検査で決まります。トップ性能枠はAI制御システムの導入が必要なため、機器構成と費用が変わります。工事費の内訳は「北海道の業務用エアコン更新の費用相場」でも解説しています。
電気代はどれくらい下がる?「使用量で変わる料金」と「基本料金」を分けて試算
電気料金は、使用量に応じて変わる部分と、契約電力で決まる基本料金に分かれます。エアコンを更新しても、基本料金は使用量に比例して下がるわけではありません。そのため、削減額は2つに分けて試算します。
| 区分 | 計算式 | 試算例(仮の条件) | 年間削減額 |
|---|---|---|---|
| ①使用量で変わる料金 | 空調の年間電力量 × 削減率 × 従量単価 従量単価=電力量料金単価+燃料費等調整単価+再エネ賦課金単価 | 8万kWh × 30% × 25円/kWh | 60万円 |
| ②基本料金 | 下がった契約電力 × 基本料金単価 × 12か月 契約電力が実際に下がった場合のみ発生 | 5kW × 1,800円/kW・月 × 12か月 | 約10.8万円 |
| 合計 | 約70.8万円 | ||
※試算例です。各単価は計算方法を示すための仮の数値で、実際の単価は契約メニューや月ごとの燃料費等調整単価によって変わります。力率割引などは考慮していません。
ポイント:「請求総額÷使用量」で単価を出さない
請求総額を使用量で割った単価には基本料金が含まれるため、削減額を過大に見積もる原因になります。従量単価は、請求書の「電力量料金」「燃料費等調整額」「再エネ賦課金」の単価を合計して使いましょう。
基本料金については、高圧電力(契約電力500kW未満)は過去12か月の最大需要電力で契約電力が決まるため、ピークが下がっても反映までに最長で1年かかります。低圧電力は契約容量の見直し手続きが必要です。空調の更新だけでは契約電力が下がらない場合もあるため、②は「下がれば上乗せされる効果」と考えるのが安全です。
回収年数は「自己負担額 ÷ 年間削減額」で求めますが、建物の使い方や電気料金の契約で大きく変わります。省エネ効果だけで判断せず、故障リスクや修理が難しくなるリスク、快適性の改善も含めて検討することをおすすめします。
4. 補助の対象になる工事・ならない工事
設備単位型の対象は、いま事業で使っているエアコンを、同じ用途の高効率機に入れ替える工事です。新築や増設は原則として対象になりません。
| 対象になるもの | 対象にならないもの |
|---|---|
| ・事業で使用中の業務用エアコンの更新 ・EHPからEHP、GHPからGHPなど同用途の入替え ・室外機、室内機、リモコン、パネル、全熱交換器 ・リース(リース会社との共同申請) ・テナントの更新(建物所有者の設置承諾書が必要) |
・新築、増設(トップ性能枠の新設事業を除く) ・交付決定前に契約・発注した設備 ・据付工事費、撤去・廃棄費、配管・配線材料、消費税 ・中古品、予備機、使っていない設備の更新 ・居住専用の建物・エリアの設備 ・水冷式、オゾン層破壊物質を冷媒に使う機種 |
注意:灯油ストーブからエアコンへの置き換えは要確認
設備単位型は「更新前後で使用用途が同じ」ことが要件です。灯油やガスの暖房機をなくしてエアコン暖房に切り替えるケースは、既存エアコンの更新とは扱いが異なる可能性があります。計画段階でSIIの問い合わせ窓口に確認してください(※当社の見解であり、個別判断はSIIによります)。
5. 申請の流れ|機種選定から補助金受領までの7ステップ
申請は「SIIの補助事業ポータルに入力して書類を出力し、ファイルに綴じて郵送する」方式です。ポータル入力だけでは申請と認められません。
図2:国の設備単位型の申請から受領までの流れ(概要)
既存機の型番・設置年・能力・運転時間を調べ、SIIの指定設備一覧に載っている機種から更新機を選びます。
見積条件をそろえ、補助対象経費(設備費)と対象外経費(工事費等)を分けた明細で取得します。最低額の見積が補助対象経費の上限です。
SIIのホームページでアカウントを登録し、補助事業ポータルに事業内容・稼働時間等を入力します。空調は入力値から省エネ量が自動計算されます(指定計算)。
出力した書類と添付書類をA4ファイルに綴じ、配送状況が確認できる方法で締切日必着で郵送します。持参はできません。
交付決定通知を受けてから契約・発注します。着工前写真の提出と振込口座の登録(中間報告)も必要です。
期限までに設置・検収・支払いを完了させます。既存設備は原則として事業完了日までに撤去します。
実績報告書を提出し、確定検査を経て補助金が支払われます。その後、1週間以上の実測データで省エネ効果を報告します。
6. 申請に必要な書類は?事前に準備できるもの
ポータルから出力する書類のほか、会社や建物に関する添付書類が必要です。公募開始前に準備できるものを先にそろえておくと、短い公募期間でも慌てずに済みます。
| 書類 | 内容・取得先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 見積書(3者分) | 販売事業者から取得 | 同一資本関係の会社が含まれる場合は、資本関係のない2者以上が必要 |
| 商業登記簿謄本 | 法務局 | 発行から6か月以内のもの(個人事業主は確定申告書等) |
| 建物の登記簿謄本 | 法務局 | 設備を設置する建物のもの。発行から6か月以内 |
| 決算書 | 自社 | 直近1年分の貸借対照表。設備所有者が債務超過の場合は対象外 |
| 会社情報(法人概要) | 自社パンフレット等 | 業種・資本金・従業員数がわかる箇所に付箋とマーキング |
| エネルギーの合理化に関する中長期計画 | SII指定様式 | 省エネ法の定期報告義務がない事業者が作成 |
| 設備設置承諾書 | 建物所有者 | テナントが申請する場合に必要 |
| 加点用の書類(該当時) | 各制度の写し | 経営力向上計画の認定書、省エネ診断報告書の表紙、パートナーシップ構築宣言など |
※3次公募の公募要領・提出書類一覧に基づく主なものです。4次公募では変更される可能性があります。
ポイント:審査で加点される5つの取組
3次公募では、①中小企業者等の事業、②「省エネ・地域パートナーシップ」のパートナー金融機関の支援を受けた事業、③2023年度以降に国の事業で省エネ診断を受けた事業所、④経営力向上計画の認定または経営革新計画の承認を受けた企業、⑤パートナーシップ構築宣言を公表している企業、などが追加評価の対象でした。今からでも取得できるものは準備しておくと有利です。
7. 公募スケジュールはいつ?4次公募の見通しと冬季工事の注意点
令和7年度補正予算の設備単位型は、2026年度に3回の公募が行われ、4次公募が10月上旬より実施予定と発表されています(2026年9月28日 SII発表)。4次公募の期間・対象枠・予算は、10月3日時点で未公表です。
| 公募回 | 公募期間 | 交付決定 |
|---|---|---|
| 1次公募 | 2026年3月30日〜4月27日 | 2026年6月19日 |
| 2次公募 | 2026年6月1日〜7月9日 | 2026年9月9日 |
| 3次公募 | 2026年8月20日〜9月28日 | 11月下旬(予定) |
| 4次公募 | 10月上旬より実施予定(詳細未公表) | 未公表 |
過去の公募期間はいずれも約4〜6週間で、締切から交付決定まではおよそ2か月かかっています。4次公募も同程度なら、公募が始まってから見積や書類を集め始めるのでは間に合わない可能性があります(※過去実績からの推測)。
重要 事業完了期限と冬季工事に注意
3次公募の単年度事業は、2027年1月31日までに工事・検収・支払いを完了させる必要がありました。4次公募の期限は公募要領の公表を待つ必要がありますが、交付決定が冬に入るほど、積雪期の工事で工程を組むことになります。
北海道の冬季工事では、室外機まわりの除雪や搬入経路の確保、屋上・高所へのクレーン作業、防雪フードや架台の施工に通常より日数がかかることがあります。2年度にまたがる「複数年度事業」として申請できる場合もあるため、工期に不安があれば早めに検討してください。
来年度(2027年度)に向けた動き
経済産業省の令和9年度概算要求(2026年8月31日公表)では、「省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業」に2,108億円が要求されました。令和8年度当初予算は840億円、令和7年度補正予算は550億円です。
政府は補正予算への依存を抑え、継続的な施策を当初予算で措置する方針を示しています。ただし、要求額や制度名がそのまま来年度の公募内容になるとは限りません。12月ごろの政府予算案と、その後の公募要領を確認する必要があります。
8. 業務用エアコン補助金でよくある失敗5選と回避策
補助金は「採択されれば終わり」ではありません。手続きの順番や報告を誤ると、採択後でも補助金が受け取れなくなることがあります。
| よくある失敗 | 何が起きるか | 回避策 |
|---|---|---|
| ①交付決定前に発注してしまう | その設備は補助対象外になる | 契約・発注は必ず交付決定日以降。見積取得は事前に行ってよい |
| ②公募開始後に業者を探し始める | 3者見積や登記簿の取得が締切に間に合わない | 公募前に既存機の調査と見積依頼を済ませておく |
| ③見積条件がそろっていない | 適正な価格競争と認められず再提出を求められる | 同一機種・同一仕様・同一範囲で3者に依頼する |
| ④稼働時間を実態より多く入力する | 成果報告で計画値に届かず、補助金の返還を求められることがある | 運転実態に基づいて入力し、必要なら裕度(安全率)を設定する |
| ⑤既存機の撤去・フロン回収を後回しにする | 事業完了が遅れる、フロン排出抑制法の手続き漏れが生じる | 撤去と冷媒回収を工程に組み込み、引取証明書等を保管する |
ポイント:業務用エアコンはフロン排出抑制法の対象機器
業務用エアコンは「第一種特定製品」として、3か月に1回以上の簡易点検が必要です。圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器は、十分な知見を有する者による定期点検も義務づけられています。廃棄時は、第一種フロン類充塡回収業者に冷媒の回収を依頼しなければなりません。詳しくは「業務用エアコンの3ヶ月点検義務」で解説しています。
9. 北海道の事業者が押さえるべき4つのポイント
寒冷地の北海道では、機種選定・工事時期・制度の使い分けに本州とは違う判断が必要です。実際の申請実務で差が出やすい点をまとめました。
北海道 活用のポイント
■ 寒冷地仕様の「×0.9」は従来枠・メーカー強化枠の話
従来枠・メーカー強化枠の指定設備では、寒冷地仕様は基準値に0.9を掛けた数値で判定されます。トップ性能枠の基準表には同じ記載がないため、一律には当てはまりません。札幌・旭川・帯広・北見など冬の冷え込みが厳しい地域では、暖房能力を優先して機種を選び、そのうえで申請枠ごとに型番を確認する順番が現実的です。
■ 運転実態とSIIの計算前提を必ず照合する
指定計算は、入力した稼働時間などから省エネ量を自動算出します。灯油暖房を併用して冬はエアコンを止めている、厨房など特定の時期だけ負荷が大きいといった使い方は、計算前提とずれやすい部分です。実態と合わない入力は、成果報告で計画未達となる原因になります。
■ 積雪期の工事を前提に工程を組む
交付決定が晩秋から冬にずれ込むと、室外機の設置や架台・防雪フードの施工が積雪期に重なります。屋上や高所の搬入はクレーン作業や除雪が必要になることもあります。事業完了期限から逆算し、工期に余裕を持たせた計画が欠かせません。
■ 国と道・市町村の制度を「時期」と「要件」で使い分ける
北海道の省エネルギー設備導入支援事業費補助金は、2026年度は4月から6月に公募されました。複数の建物やエリアで面的に取り組む事業、またはサプライチェーンを構成する複数事業者による事業が対象で、年率20%以上の削減が要件です。単独の事業所の更新であれば国の設備単位型、小樽市・苫小牧市など地元の制度は省エネ診断とセットで、という組み立てが基本になります。
10. 国・北海道・市町村の補助金は併用できる?制度の比較
国の設備単位型は、補助対象経費が重なる他の補助金との併用はできません。ただし、地方公共団体の一般財源(地方税など使途が特定されていない財源)による補助金との併用は認められています。
| 比較項目 | 国(設備単位型) | 北海道(省エネ設備導入支援) | 市町村(小樽市・苫小牧市の例) |
|---|---|---|---|
| 補助率 | 1/3以内(トップ性能枠1/2以内) | 1/2以内 | 1/2 |
| 上限額 | 1億〜3億円 | 500万円(コンソーシアム1,000万円) | 50万〜100万円 |
| 工事費 | 対象外 | 対象 | 制度による |
| 主な要件 | 指定設備への更新、省エネ率10%以上など | 面的またはサプライチェーンでの取組、年率20%以上削減 | 省エネ診断の受診、削減率10〜20%以上など |
| 対象規模 | 大企業も可(追加要件あり) | 道内に事業所を持つ法人 | 市内の中小企業等 |
| 受付方式 | 公募・審査で上位から採択 | 公募・審査 | 先着順が多い |
市町村の補助金が国との併用を認めているかどうかは、各市町村の要綱で判断が分かれます。併用を検討する場合は、申請前に国(SII)と市町村の両方に問い合わせてください。なお、中小企業経営強化税制との併用は可能と公募要領に明記されています。
11. なぜ今、業務用エアコンの更新を考えるべきなのか?
理由は3つあります。空調は事業所の電力消費の大きな割合を占めやすいこと、補助金の採択案件では計画上3割前後の省エネが見込まれていること、そして古い冷媒の機器は修理が難しくなる場合があることです。
空調は電力消費の「最大項目」になりやすい
経済産業省の「夏季の省エネ・節電メニュー」では、オフィスビルの夏季ピーク時間帯の電力消費のうち、空調が48.6%を占めると示されています。冬季(1日間)でも空調は33.5%で、照明と並ぶ最大項目です。
図3:オフィスビルの用途別電力消費の内訳(夏季ピーク時・主な項目のみ)
北海道 暖房の熱源で「空調の比率」は大きく変わる
上記の数値は本州以南向けの節電メニューに基づくものです。北海道では、暖房を灯油やガスのボイラ・FF式暖房機でまかない、エアコンは冷房中心という建物も少なくありません。その場合、エアコン更新による削減効果は夏季の冷房分が中心になります。
反対に、寒冷地向けエアコンで冬も暖房している事業所では、空調の電力比率がさらに高くなる傾向があります。まずは自社の空調が「冷房のみ」か「冷暖房」かを確認することが、効果を正しく見積もる第一歩です。
採択案件の計画上の平均省エネ率は32.2%
国の設備単位型2次公募(2026年9月9日交付決定)では、高効率空調の申請627件のうち590件が採択されました。採択案件の計画上の平均省エネ率は32.2%です。これは申請時に算定した計画値で、導入後に実測した削減結果ではない点に注意が必要です。
採択率は94.1%と高水準ですが、これは要件を満たした申請に対する結果です。採択は先着順ではなく、省エネ量などの評価をもとに予算の範囲内で上位から決まります。次回以降も同じ採択率になるとは限りません。
古い冷媒(R22)の機器は修理が難しくなることがある
2000年代前半までの業務用エアコンには、冷媒にR22(オゾン層破壊物質のHCFC)が使われている機種があります。R22は国内生産がすでに全廃されており、冷媒や部品の調達状況によっては修理が難しくなる場合があります。
真夏や真冬に突然止まると、営業停止や従業員・利用者の健康リスクにつながります。故障してからの緊急更新では補助金の申請が間に合わないため、「壊れる前に計画的に更新する」ことが補助金活用の大前提です。
12. よくある質問(FAQ)
あります。中心は国の省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)で、機器費の1/3以内(トップ性能枠は1/2以内)が補助されます。このほか札幌市や小樽市、苫小牧市などにも省エネ設備の補助制度があります。
国の設備単位型は、4次公募が2026年10月上旬より実施予定と発表されています。期間や対象枠は2026年10月3日時点で未公表のため、SIIのホームページで確認してください。
国の設備単位型では補助されません。対象は室外機・室内機などの設備費のみで、据付工事費、撤去・廃棄費、配管材料、消費税は自己負担です。北海道や札幌市の制度は工事費も対象経費に含まれます。
従来枠・メーカー強化枠では対象になり、寒冷地仕様は性能基準値に0.9を掛けた数値で判定されます。トップ性能枠の基準表には同様の記載がないため、型番ごとの確認が必要です。ガスヒートポンプエアコン(GHP)は従来枠とメーカー強化枠の対象で、トップ性能枠の対象は電気式パッケージエアコンに限られます。
発注してはいけません。交付決定前に契約・発注した設備は補助対象外になります。一方、3者以上の見積取得は交付決定前に行っても有効です。
13. まとめ|「壊れる前」の準備が補助金活用のカギ
- 北海道・札幌の業務用エアコン更新は、国の設備単位型(機器費の1/3以内、トップ性能枠1/2以内)が中心
- 国の4次公募は2026年10月上旬より実施予定。札幌市の製造業向け補助金は10月30日まで延長(先着順)
- 国は設備費のみ、道・市は工事費を含むなど、補助率が掛かる費用の範囲が制度ごとに違う
- 電気代の削減額は「使用量で変わる料金」と「基本料金」に分けて試算する
- 寒冷地仕様の判定は申請枠ごとに確認し、積雪期の工程管理を前提に計画する
補助金を活用した空調更新のご相談
次の3点がわかれば、補助金の対象になりそうか、どの制度が合うかを確認できます。
- 設置地域(市町村名)
- 更新したいエアコンの台数
- 既存機の型番(室外機の銘板に記載されています)
機種選定や省エネ計算、工事の段取りまで含めて検討したい方は、お気軽にご相談ください。補助金の利用可否や採択を保証するものではありません。
工事の内容や費用の目安は「札幌の業務用エアコン工事・入替」をご覧ください。
記事情報
公開日:2026年2月16日
最終更新日:2026年10月3日
参照資料
- SII「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募情報(3次公募)」(2026年9月28日更新)
- SII「公募要領<3次公募用>」(2026年8月)
- SII「新規採択事業の結果について[2次公募]」
- 札幌市「製造業省エネルギー設備導入補助金」(2026年9月30日更新)
- 小樽市「中小企業等省エネ推進補助金」
- 苫小牧市「ゼロカーボン推進事業(省エネ設備導入補助)」募集要領
- 北海道「令和8年度 省エネルギー設備導入支援事業費補助金」
- 経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」
- 経済産業省「夏季の省エネ・節電メニュー」「冬季の省エネ・節電メニュー」(令和4年)
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。試算例は一定の前提を置いた参考値です。制度の内容は変更されることがあるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
