「地域レジリエンス・脱炭素化補助金」とは、環境省の「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業等」(略称は「地域レジ事業」)のことです。地方公共団体が所有し、地域防災計画や業務継続計画(BCP)に位置づけられた公共施設に、太陽光発電や蓄電池などを導入する費用の一部を、国が補助する制度です。
2026年10月30日時点では、令和7年度補正予算の五次公募と、令和8年度当初予算の四次公募が、どちらも2026年10月13日から11月13日12時まで受付中です。令和7年度補正の一次〜四次公募と、令和8年度の一次〜三次公募は終了しています。申請書類は郵送か持参で提出し、メールでは受け付けていません。
北海道の民間法人の方は、先に次の点を確認してください。この補助金は自社の建物に設備を入れるための制度ではありません。申請できるのは地方公共団体で、民間企業は、PPAやリースなどで自治体の公共施設に設備を導入する場合に、自治体と共同申請する立場で関わります。地域防災計画で避難所に位置づけられた民間施設も、補助対象施設にはなりません。この記事では、公募状況、対象者と施設の条件、補助率、要件、手続きを、環境省と執行団体(一般財団法人 環境イノベーション情報機構、以下EIC)の公式資料で整理します。
この記事でわかること
・正式名称と、令和7年度補正・令和8年度当初予算の公募状況(終了した公募も明記)
・申請できる者と、北海道の法人が関われる条件(共同申請の民間企業)
・対象施設の条件(地域防災計画等での位置づけ、耐震性、ハザードマップ、国土強靱化地域計画)
・対象設備、補助率、費用効率性の上限、補助対象外の経費
・申請書類、手続きの流れ、採択後の義務
令和7年度補正予算の五次公募と、令和8年度当初予算の四次公募は、どちらも2026年10月13日(火)〜11月13日(金)12時までです(郵送・持参、12時必着)。それ以前の公募はすべて終了しています。一覧は「2. 公募状況」を参照してください。
更新履歴
- 2026年10月30日:全面改訂。正式名称、令和7年度補正・令和8年度当初予算の公募状況(終了した公募を明記)、補助率、対象者、対象施設、要件を、環境省とEICの公募要領・Q&Aにもとづいて更新。ハザードマップ、国土強靱化地域計画、補助対象外経費などの誤りを修正し、根拠を確認できない記述を削除
- 2026年1月27日:初版公開
1. 地域レジ事業とは?正式名称・目的・予算
地域レジ事業は、災害で停電しても避難施設や防災拠点の機能を保てるようにしながら、平時の脱炭素も進めるための事業です。環境省は、第一次国土強靱化実施中期計画(令和7年6月6日閣議決定)の対策であり、地球温暖化対策計画(令和7年2月18日閣議決定)にもとづく取組でもあるとしています。
| 正式名称 | 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業等(略称:地域レジ事業) |
| 実施の仕組み | 間接補助。環境省が選んだ執行団体(EIC)が、募集、採択、補助金の交付を行う |
| 補助金の区分 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金。令和7年度補正の公募では、地域脱炭素推進事業費補助金もあわせて公募している |
| 令和7年度補正予算額 | 40億円(一般分20億円、特別会計分20億円)。令和8年度当初予算の額は、今回確認した公式資料には記載が見当たらなかったため記載しません |
表:地域レジ事業の概要(環境省「地域レジ事業」ページ、令和7年度補正予算の事業概要、EIC公募要領をもとに作成)
2021年(令和3年)7月の環境省の公募発表では、事業名は「避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」でした。現在の名称は「公共避難施設・防災拠点への」です。古い名称の資料には現在と異なる条件が書かれていることがあるため、年度と公募回を確認してください。
この事業のキーワードは「同時実現」です。公募要領は、導入するすべての再エネ設備等について、平時も災害時も導入した施設で自家消費し、災害時には特定のエネルギー量を確保して自立的に稼働する機能を持つことを求めています。蓄電池も、停電時のみ使う非常用予備電源ではなく、平時に充放電を繰り返す設備とすることが条件で、FIT・FIPによる売電はできません。
環境省の「地域レジ事業」ページは、再エネ等の導入が災害時に役立った事例の一つとして、平成30年北海道胆振東部地震に関連して、北海道の厚真町、遠軽町、弟子屈町(太陽光・蓄電池・地中熱ヒートポンプ等)を挙げています。事例の詳しい内容は、同ページの事例一覧で確認できます。
2. 公募状況(2026年10月30日時点):受付中の2公募と、終了した公募
EICは、令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の公募を、同じ時期に並行して行っています。公募回ごとの期間と状況は次のとおりです。
| 予算区分 | 公募回 | 公募期間(いずれも締切は12時) | 状況 | 事業完了の期限(原則) |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度補正 | 一次 | 2026年1月22日(木)〜1月30日(金) | 終了 | 2026年3月16日 |
| 令和7年度補正 | 二次 | 2026年4月13日(月)〜5月15日(金) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和7年度補正 | 三次 | 2026年6月30日(火)〜7月27日(月) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和7年度補正 | 四次 | 2026年8月28日(金)〜9月30日(水) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和7年度補正 | 五次 | 2026年10月13日(火)〜11月13日(金) | 受付中 | 2027年2月19日 |
| 令和8年度当初 | 一次 | 2026年4月13日(月)〜5月15日(金) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和8年度当初 | 二次 | 2026年6月30日(火)〜7月27日(月) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和8年度当初 | 三次 | 2026年8月28日(金)〜9月30日(水) | 終了 | 2027年1月29日 |
| 令和8年度当初 | 四次 | 2026年10月13日(火)〜11月13日(金) | 受付中 | 2027年2月19日 |
表:地域レジ事業の公募回ごとの期間と状況(EICの各公募ページをもとに作成。2026年10月30日時点。「終了」は締切日時を過ぎた公募)
受付中の2公募の違い
| 項目 | 令和7年度補正 五次公募 | 令和8年度当初 四次公募 |
|---|---|---|
| 補助金の区分 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金、または地域脱炭素推進事業費補助金のどちらかを選んで申請(重複申請は不可) | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 |
| 国土強靭化債 | 適用を予定する事業は、こちらに応募する | 適用できない |
| 事業期間 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費補助金は2か年を限度に複数年度も可。地域脱炭素推進事業費補助金は原則単年度 | 単年度での実施が困難な場合は、2か年を限度に複数年度も可 |
表:受付中の2公募の違い(EIC「五次公募のお知らせ」「四次公募のお知らせ」、公募要領をもとに作成)
地方債との関係は、Q&Aに記載があります。補正予算分の申請は、自治体の自己調達分が地方債(防災・減災・国土強靱化緊急対策事業)の対象となり得るとされ、当初予算分は対象になりません。起債の可否は、自治体の財政部局に相談するよう案内されています。
審査の予定と今後の公募
- 提出方法:応募に必要な書類(紙1部)と電子データを保存した電子媒体(CD-R・DVD-R等1枚)を、郵送または持参でEICに提出します。電子メールでの提出は受け付けていません。締切は11月13日12時必着です。
- 審査と採択:外部有識者等による審査委員会で審査します。審査期間は締切後1か月程度の予定で、公募要領のスケジュール例では採択の決定は11月下旬です(変更の可能性あり)。
- 今後の公募:EICは、公募の結果が予算額に達していない場合は引き続き公募を実施し、その後の公募は改めて案内するとしています。予算額に達した場合は、以降の公募を実施しないことがあります。
3. 誰が申請できる?北海道の法人が関われる条件
申請できる者は、公募要領で次の2つとされています。
- 地方公共団体(都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合)
- 民間企業(上記の地方公共団体と共同申請する事業者)
補助の対象は、地方公共団体が所有する公共施設です。Q&Aは、公共施設を「地方公共団体が不動産登記法、公有財産規則等の法令に則り所有権を有している施設」と説明し、一部の所有権を持つ公共性の高い施設も含むとしています。Q&Aには「地域防災計画に避難所等として位置づけられている民間施設は、補助対象施設となるのか」という質問があり、回答は「なりません」です。
自治体と民間施設の所有者が避難所として使う協定を結んでいる場合について、個別に触れた記載は、今回確認した公募要領とQ&Aには見当たりませんでした。ただし、要件は「公共施設であること」で、民間施設は避難所に位置づけられても対象外とされているため、協定の有無にかかわらず民間所有の施設は対象にならないと読めます(推測)。個別のケースは、EICに確認してください。
| 法人の立場 | 対象になるか | 根拠・条件 |
|---|---|---|
| 自社が所有するビル・工場・店舗などに設備を導入したい | 対象外 | 公共施設であることが要件。民間所有の施設は、避難所に位置づけられていても対象にならない(Q&A) |
| 自治体の公共施設に、PPA・リース・エネルギーサービス・ESCOで設備を設置する事業者 | 共同申請者として可 | 設備の保有者(PPA事業者、リース事業者、ESCO事業者等)が代表事業者となり、自治体を共同申請者とする |
| 自治体が補助事業者となる工事の設計・施工・機器の納入を請け負う事業者 | 補助事業者ではない | 契約は一般競争入札が原則(Q&A) |
表:北海道の法人の立場と、この補助金の関わり方(EIC公募要領、Q&A集をもとに作成)
民間企業が共同申請する場合には、いくつかの条件があります。
- PPA方式、ファイナンスリース、シェアードセイビングス方式のESCOでは、設備保有者を代表事業者とし、地方公共団体等を共同申請者とします。
- リース料やサービス料から補助金相当分を減額(還元)することが交付の条件で、契約書案などを添付します。
- リース期間や電力供給契約の期間は、原則として法定耐用年数以上とされています。
- 民間企業が代表事業者になる場合は、直近2決算期の貸借対照表・損益計算書、定款、暴力団排除に関する誓約事項などの提出が必要です。補助率は、共同申請する地方公共団体の区分に応じて決まります。
北海道(都道府県)と札幌市(指定都市)が公共施設に太陽光発電設備を導入する場合は、民間企業を活用した導入方式に限られ、補助率は1/3です。Q&Aは、ESCOのうちギャランティード・セイビングス契約(自治体が代表申請者になる方式)は民間企業を活用した導入方式とは言えず、都道府県・指定都市の太陽光は対象外になると説明しています。市町村(指定都市を除く)の補助率は、「5. 対象設備と補助率」の表のとおり1/2または2/3です。
民間の法人が自社の施設で使える補助金は、別の記事で国・道・市の制度をまとめています。「北海道の省エネ補助金まとめ|国・道・市の制度と受付状況【2026年10月更新】」を参照してください。停電が起きたときに、自社で最初に何を確認し、どこへ連絡するかは「停電対応マニュアル|北海道の法人が最初の10分でやること・連絡先【ほくでんNW】」にまとめています。
4. 対象になる施設の条件
対象施設の要件は、公募要領の「事業要件」に書かれています。主な要件を整理します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 公共施設 | 申請者(地方公共団体)が所有する施設 |
| 防災上の位置づけ | 次のいずれか(予定を含む) ・地域防災計画で、避難施設(指定避難所に限る)または防災施設として位置づけている ・地域防災計画等で、広域防災拠点として位置づけている ・業務継続計画により、災害発生時に業務を維持するべき施設(発災から概ね3日間以内に優先業務を行う施設に限る) |
| 施設の耐震性 | 次のいずれか ・昭和56年(1981年)6月1日以降の建築確認で建築された(される)建築物 ・昭和56年5月31日以前の建築物で、耐震診断で「耐震性を有する」と診断されたもの ・耐震改修整備を実施した建築物 ・事業完了までに耐震改修整備が完了する建築物 |
| 設備の耐震性 | 省エネルギー設備を除く補助対象設備の設置にあたり、耐震クラス「S」を確保すること |
| ハザードマップ | 地方公共団体が作成するハザードマップに該当しない施設。浸水被害危険性地域、土砂災害警戒区域等は、発災時にも設備を稼動させる措置を講じれば対象 |
| 国土強靱化地域計画 | 国土強靱化地域計画が策定されていること(Q&Aでも「策定していることが必要」とされている) |
| 売電・クレジット | FIT制度・FIP制度による売電をしない。法定耐用年数を経過するまで、J-クレジット制度に登録しない |
| 設置場所・セキュリティ | 建物等に設置する場合、設置場所の積載荷重が10kg/m2以下でないこと(構造計算書等で確認)。IP通信を用いる太陽光発電設備・蓄電池設備・EMSは、JC-STARの適合ラベル(公募要領の表記で星1つ以上)を取得した製品とする |
表:対象施設・事業の主な要件(EIC 令和8年度四次公募・令和7年度補正五次公募の公募要領をもとに作成)
施設の区分と例
公募要領は、対象施設を広域防災拠点、防災拠点、避難施設、業務継続計画に位置づけている施設の4区分に整理しています。防災拠点の例は庁舎、警察署、消防署、医療機関、防災倉庫などです。避難施設は指定避難所に限り、公民館、学校等、体育館等のスポーツ施設、社会福祉施設、道の駅等が例に挙がっています。業務継続計画の例は、代替庁舎、水道施設、給食センター、火葬場、廃棄物処理場などです。
確認しておきたい点
- まだ計画に位置づけられていない施設:位置づけを予定している施設も対象になり得ますが、事業完了の日の属する年度の終了後3年度以内を目処に計画に位置づけることが条件です。位置づけられなかった場合は、補助金の返還も視野に、自治体に理由が聴取されます(Q&A)。
- ハザードマップ:応募時点で最新のものを根拠資料にします。事業完了までに改訂されて要件を満たさなくなると、交付決定の取り消しとなります。Q&Aは、土砂災害警戒区域に含まれる場所は原則対象外とし、自治体が防災拠点・避難施設等に位置づけている施設は例外として事前相談を案内しています。公募要領と表現が異なるため、該当する場合は応募前にEICへ確認してください。
- 設備を導入できるエリア:地域防災計画等またはBCPで定める災害時の役割が確認できるエリア(動線部分やトイレなどを含む)に限られます。避難エリアとして定義されていない部屋の照明・空調などは対象外です。
5. 対象設備と補助率・費用効率性の上限
対象設備
| 区分 | 主な設備 | 条件の要点 |
|---|---|---|
| 1. 再エネ設備・未利用熱活用設備・コージェネレーション | 太陽光、風力、小水力、地中熱、廃熱や地熱、バイオマス資源、太陽熱、雪氷熱などを利活用する発電設備・熱供給設備。コージェネレーションシステム(熱電併給装置、燃料電池) | 太陽光はパネル出力合計10kW以上。バイオマスは依存率60%以上。コージェネはBOS(停電対応)仕様で、ガス供給が途絶した場合の復旧計画や燃料の確保が必要。BOS仕様のGHPはコージェネとはみなさない |
| 2. 蓄電池設備(据置型) | 太陽光・風力など自然変動型の再エネ設備を導入する場合は必須 | 要件を満たす据置型蓄電池がすでにある場合や、外部給電できる車載型蓄電池等で施設内に電力を供給する体制を作る場合は除く。停電時専用の非常用予備電源は不可。原則、系統からは充電しない |
| 3. 省エネルギー設備 | 高効率空調機器、高機能換気設備、高効率照明機器、高効率給湯機器、エネルギーマネジメントシステム、断熱材等、変圧器、省エネ型浄化槽(30人槽以上) | 1.の設備と併せて導入する場合に限る。災害時の役割が確認できるエリアで、災害時に再エネ等から供給を受けて稼働することを合理的に説明できるものに限る |
| 4. 付帯設備 | 車載型蓄電池(外部給電できるEV・PHV)、充放電設備、充電設備、自営線 | 車載型蓄電池は、従来車からの買換えで、充放電設備または充電設備とセットで導入する。EVは蓄電容量の1/2×4万円/kWhを補助 |
表:主な補助対象設備(EIC 令和8年度四次公募の公募要領、Q&A集をもとに作成)
GHP(ガスヒートポンプ)空調は、停電時に自立運転できても、再エネ発電設備等と同時に導入する場合に限り、省エネルギー設備(高効率空調機器)として補助対象になり得るとQ&Aに書かれています。このとき、ガス供給が途絶した場合の復旧計画や燃料確保などの条件を満たす必要があります。また、既存の太陽光発電設備と蓄電池設備がある施設に、省エネルギー設備だけを導入する申請は認められません。
対象の再エネ・未利用熱の例に、雪氷熱(冷凍機を用いた人工的なものを除く)と地中熱が含まれています。また、Q&Aは設備の設計・導入の留意点として「寒冷地のように相当量の降雪等が予想される地域においては、あらかじめ地域の特性に応じた事業計画や計画値を設定してください」と案内しています。公募要領は、積雪荷重を含む太陽電池アレイ支持物の荷重の算出方法を定めたJIS C 8955を参考資料に挙げています。
補助率
| 申請者(共同申請の場合は共同申請する自治体の区分) | 導入する設備 | 補助率 |
|---|---|---|
| 市区町村等(指定都市を除く市町村、特別区、その組合) | 太陽光発電設備以外の再エネ設備、未利用熱活用設備 | 2/3 |
| 市区町村等 | 太陽光発電設備、コージェネレーションシステム | 1/2 |
| 離島(電気事業法上の離島となる区域) | — | 2/3 |
| 都道府県・指定都市 | 全て(太陽光は民間企業を活用した導入方式に限る) | 1/3 |
表:補助率(EIC 令和8年度四次公募の公募要領をもとに作成。令和7年度補正五次公募も同じ)
複数の再エネ設備を導入する場合、設備費や工事費を切り分けられるなら、それぞれの補助率が適用されます。省エネ設備の補助率は、最もエネルギー供給量の多い再エネ設備の補助率です(Q&A)。予算を超える応募があった場合は、施設数や補助金額に上限を設けることがあります。
費用効率性の上限(超えた分は補助対象外)
補助対象経費は、1t-CO2を削減するためにかけた費用(費用効率性)に上限があります。上限を超えた部分は、補助対象経費から除外されます。
| 補助金の区分 | 太陽光発電設備 | 太陽光で省エネ設備を同時導入 | 太陽光以外の設備 |
|---|---|---|---|
| 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 | 9万円/t-CO2 | 25万円/t-CO2 | 25万円/t-CO2 |
| 地域脱炭素推進事業費補助金(令和7年度補正の公募のみ) | 15万円/t-CO2 | 25万円/t-CO2 | 25万円/t-CO2 |
表:費用効率性の上限(EIC公募要領をもとに作成)
費用効率性は、公募要領の評価ポイントの注記で「補助対象経費(円)÷(CO2削減量(t-CO2/年)×耐用年数(年))」と示されています。耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の耐用年数表の数値を使います。
費用効率性(円/t-CO2)= 補助対象経費 ÷(年間CO2削減量 × 耐用年数)
仮定の数字:太陽光発電設備と蓄電池等の補助対象経費3,000万円、年間CO2削減量15t-CO2、耐用年数15年、省エネ設備の同時導入なし、市区町村(補助率1/2)
累計削減量 15 × 15 = 225t-CO2 → 費用効率性 3,000万円 ÷ 225t = 約13.3万円/t-CO2(上限9万円/tを超える)
補助対象経費の上限 9万円 × 225t = 2,025万円(超過分の975万円は除外)
補助金の目安 2,025万円 × 1/2 = 約1,012万円(実際の算定は交付規程によります)
設備を高スペックにしすぎたり、発電量が少ない場所に設置したりすると、費用効率性が上限を超えて、補助金が満額出なくなります。太陽光に省エネ設備を同時に導入すると、上限は9万円から25万円になります。
6. 補助対象外の経費・併用・売電の注意点
補助対象外になる主な経費
公募要領とQ&Aで、次の経費は補助対象外とされています。見積書や設計書には「補助対象外」と明記して、区分して計上します。
- 補助金の申請手続に係る経費、官公庁・電力会社・消防署等への申請・届出・登録の費用
- 既存設備の撤去・移設費(諸経費、実施設計費、工事監理費を含む)。設備更新の場合は、撤去の工事費と導入の工事費を切り分け、後者だけを計上します
- 既存設備の更新であっても、機能を新設時の状態に戻すだけの「単なる機能回復」の費用
- 数年で定期的に更新する消耗品(予備品)、設備の保守管理費などのランニングコスト
- 建物の躯体の一部となる基礎工事、建屋やカーポートの建築、簡易な地ならし、敷砂利・コンクリートの敷設、盛土・土壌改良、残土の処理費用
- 普及啓発用の機器(モニター等)、蓄電池を屋外に設置する場合の安全フェンス、浸水被害に対する措置の費用
- 災害時の役割が確認できるエリア以外の設備、中古設備(原則)
併用・売電・利益の扱い
- 他の補助金との併用:国の補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の適用を受けるもの)を同一の設備に併用することはできません。適正化法の適用を受けない地方公共団体の補助金等との併用は可能です。企業版ふるさと納税は併用でき、補助対象事業費のうち地方負担部分に充当します(Q&A)。
- 売電:FIT制度・FIP制度による売電はできません。休日などに蓄電池で吸収しきれない余剰電力は、一般送配電事業者に系統連系して逆潮流することが可能で、価格は電気事業者との個別契約で決めます。自己託送はできません(Q&A)。
- 利益等排除:補助事業者自身から自社製品を調達する場合は、利益を含めず、原価(製造原価など)で補助対象経費に計上します。根拠資料の提出が必要です。
7. 評価ポイントと申請書類
主な評価ポイント
公募要領に示された「主な評価ポイント」は次のとおりです。審査基準は審査委員会で決定されるため、これらは審査で想定される項目です。要件を満たす提案でも、付帯条件の設定、補助額の減額、不採択となる場合があります。
- 災害時のレジリエンス性:災害時に再エネ設備等から施設内へエネルギーを供給する体制の構築など
- エネルギー起源CO2の排出削減効果(特に重要):年間のCO2削減量と、費用効率性(1t-CO2削減あたりのコスト)
- 財政力:設備を導入する自治体の財政力指数など
- 国の施策への取組状況:対象施設が国土強靱化地域計画やクーリングシェルター(指定暑熱避難所)に位置づけられている、脱炭素先行地域に認定されている、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明している、デコ活宣言を実施している、など
令和7年度補正の五次公募では、地域脱炭素推進事業費補助金について、より地域のレジリエンス向上に資する項目を重視して評価することを想定している、とされています。この補助金の対象施設は、非常用発電設備がない施設、またはポータブルの非常用発電設備のみの施設に限られます。
主な申請書類
書類は、A. 応募申請書、B. 実施計画書等、C. 経費関係書類、D. 参考添付資料に分かれています。主なものは次のとおりです。実際の提出書類は、公募要領の提出書類チェックリストで確認してください。
- A. 応募申請書:応募申請書(様式第1)、提出書類チェックリスト、応募申請エントリーシート
- B. 実施計画書等:実施計画書(別紙1-1。連名申請は別紙1-2)、対象施設が記載された地域防災計画等またはBCP(表紙と該当ページの写し)、建築確認書・耐震診断結果等、ハザードマップ、導入量算出表(別添1)、機器の仕様書・単線結線図、導入設備の運用説明書、CO2排出量削減効果等集計表(別添2)とその算定根拠、積載荷重に関する資料
- C. 経費関係:経費内訳(別紙2、施設別)、見積書・金入り設計書、消費税仕入税額控除の取扱いチェックリスト
- D. 参考添付:予算書抜粋表(自治体の場合は必須)。民間企業が代表事業者の場合は決算書・定款・暴力団排除誓約。リースやエネルギーサービス契約の場合は契約書案
導入量算出表の考え方
導入量算出表(別添1)では、災害時に稼働させる特定負荷を記入し、導入量を算出します。補助対象になる高効率照明・空調・給湯機器は、「災害時特定負荷積算」の表にリストアップしたものに限られます。設備の規模について、Q&Aは「平時の施設利用で自家消費できる能力以下、災害時でも必要最低限の能力以上」を確保するよう求めています。
必要電力量(Wh)= 消費電力(W)× 使用時間(h)
仮定の数字(計算方法を示すための例で、実際の機器や台数とは関係ありません)
照明 300W × 10h = 3,000Wh、スマートフォン充電 500W × 5h = 2,500Wh、通信機器 100W × 24h = 2,400Wh
合計 7,900Wh(7.9kWh/日)
8. 手続きの流れと採択後の義務
公募要領のスケジュール例にもとづく流れです(実際の状況により変更される場合があります)。
図:応募から事業報告までの流れ(EIC 令和8年度四次公募の公募要領「事業の実施」をもとに作成)
採択後に守る事項
- 災害時の機能の履行:地域防災計画やBCPで、災害時に避難施設等や業務を維持する施設として機能が求められているのに、定められた内容を履行できなかった場合は、原則として交付決定の取り消しと、支払い済み補助金の返還の対象になります(災害により設備自体が被災した場合などは除く)。
- 報告:補助事業で導入した設備が災害や故障で使えなくなった場合や、対象施設の地域が被災して避難指示等が出た場合は、環境省への報告が必要です。設備が一時的に稼働停止する場合や、設備の所有者が変わる場合は、EICに連絡します。
- 財産処分:補助金で取得した財産を法定耐用年数内に補助金の目的に反して使用・譲渡・貸付などをする場合は、事前にEICの承認が必要です。
9. よくある質問(FAQ)
A. 使えません。補助対象は地方公共団体が所有する公共施設で、民間所有の施設は、地域防災計画で避難所に位置づけられていても補助対象施設になりません。民間企業が関われるのは、自治体の公共施設にPPA・リース・エネルギーサービス・ESCOなどで設備を設置する事業者として、自治体と共同申請する場合です。
A. どちらも2026年11月13日12時まで受付中で、要件の大半は共通です。主な違いは、補正の五次公募では地域脱炭素推進事業費補助金も選べること、国土強靭化債の適用を予定する事業は補正の五次公募に応募する必要があり、当初の四次公募では適用できないことです。起債の可否は、自治体の財政部局に確認してください。
A. 国の補助金等を同一の設備に併用することはできません。適正化法の適用を受けない地方公共団体の補助金等や、企業版ふるさと納税(地方負担部分に充当)は併用できます。詳しくは「6. 補助対象外の経費・併用・売電の注意点」を参照してください。
A. 位置づけを予定している施設も対象になり得ます。ただし、事業完了の日の属する年度の終了後3年度以内を目処に計画に位置づけることが条件で、位置づけの状況は事業報告書で報告します。新設の施設は、避難施設等として利用される予定が明記された書類の写しを提出します。
A. EICは、公募の結果が予算額に達していない場合は引き続き公募を実施し、その後の公募は改めて案内するとしています。一方で、予算額に達した場合は、以降の公募を実施しないことがあります。次の公募があるかどうかは決まっていないため、最新の案内は環境省とEICのウェブサイトで確認してください。
10. まとめ
- 地域レジ事業は、地方公共団体が所有し、地域防災計画やBCPに位置づけられた公共施設に、再エネ設備と蓄電池などを導入する費用の一部を補助する環境省の事業で、執行団体はEICです。
- 2026年10月30日時点で、令和7年度補正の五次公募と令和8年度当初の四次公募が、2026年11月13日12時まで受付中です。それ以前の公募はすべて終了しています。
- 北海道の民間法人は、自社施設には使えません。自治体の公共施設にPPA・リース等で設備を導入する事業者として、自治体と共同申請する場合に関われます。
- 補助率は、市区町村が1/2〜2/3、都道府県・指定都市が1/3です。費用効率性の上限(太陽光9万円/t-CO2など)を超えた部分は補助対象外になります。
- 国土強靱化地域計画の策定、耐震性、ハザードマップ、災害時の役割が確認できるエリアへの導入、FIT・FIPによる売電をしないことなど、要件を一つずつ確認します。
記事情報
公開日:2026年1月27日
最終更新日:2026年10月30日(全面改訂)
参照資料:
・環境省 脱炭素地域づくり支援サイト「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業等(地域レジ事業)」(環境省)
・環境省「防災拠点や避難施設となる公共施設への再生可能エネルギー設備等導入支援事業」令和7年度補正予算の事業概要(PDF)
・環境省 報道発表「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)の公募について」2021年7月5日(環境省)
・一般財団法人 環境イノベーション情報機構(EIC)「【五次公募のお知らせ】令和7年度(補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金及び地域脱炭素推進事業費補助金」(EIC)、公募要領(PDF)
・EIC「【四次公募のお知らせ】令和8年度(当初予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」(EIC)、公募要領(PDF)、Q&A集(PDF)
・EIC 過去の公募ページ:令和7年度補正の一次公募(EIC)、二次公募(EIC)、三次公募(EIC)、四次公募(EIC)、令和8年度当初の一次公募(EIC)、二次公募(EIC)、三次公募(EIC)
・総務省「指定都市一覧」(総務省)
※2026年10月30日時点の情報です。公募期間、要件、補助率は公募回ごとに変わることがあります。申請にあたっては、必ず最新の公募要領・交付規程・Q&A集をEICのウェブサイトで確認してください。記事中の計算例の数字はすべて仮定です。
