【2026年】北海道の省エネ補助金 SII採択88件|設備別の傾向と金額

令和7年度補正|1次・2次公募の集計集計・分析:株式会社totoka2026年9月23日確認

2026年に交付決定された北海道の省エネ補助金(SII「省エネ・非化石転換補助金」1次・2次公募)は、88件・交付決定額の合計約23.13億円でした。totokaがSIIの公表資料から、事業実施場所が北海道の案件を独自に集計した結果です。

北海道では、冬の暖房や蒸気、食品の冷凍冷蔵など、熱を多く使う事業所が少なくありません。集計すると、全国と比べてボイラと冷凍冷蔵設備の比率が高いという特徴が見えてきました。

この記事では、道内の採択結果を設備別・金額別・市町村別に整理し、設備更新を検討する経営者や施設担当者の方が「自社ならどう考えるか」の参考になる着眼点をまとめます。

この記事でわかること

  • 北海道の交付決定88件の内訳と、全国に占める割合
  • 空調・ボイラ・冷凍冷蔵など設備別の件数と、交付決定額の分布
  • 全国と比べて北海道で目立つ設備と、その背景
  • 工場・事業場型8件の事例(排熱回収・EMSの活用)
  • 全国の採択率の読み方と、次の公募に向けた準備
北海道の交付決定881次51件+2次37件
交付決定額の合計23.13億円設備単位型+工場・事業場型
交付決定額の中央値435万円設備単位型80件の中央値

※本記事はSIIの公表資料をtotokaが独自に集計・分析したものです。掲載案件は当社の支援実績を示すものではありません。対象は令和7年度補正の1次・2次公募で、道内のすべての補助制度・公募回を網羅する集計ではありません。

目次
  1. 北海道の採択結果は88件・約23.13億円
  2. 全国に占める北海道の割合は?
  3. 設備別では空調32件・ボイラ17件・冷凍冷蔵12件
  4. 交付決定額はいくら?中央値は約435万円
  5. 工場・事業場型8件の採択事例
  6. 全国の採択率と設備別の省エネ率
  7. 採択結果でよくある4つの誤解
  8. 設備投資に生かす5つの着眼点
  9. 北海道の事業者にとってのポイント
  10. 次の公募はいつ?3次・4次公募の予定
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ

1. 北海道の省エネ補助金の採択結果は?88件・約23.13億円

① 集計した制度と条件

集計したのは、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)が執行する「省エネ・非化石転換補助金」です。「SII補助金」「省エネ補助金」とも呼ばれ、前年度までは「省エネルギー投資促進支援事業」の名称で公募されていました。

集計の概要
対象制度令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金」(設備単位型・工場・事業場型)
対象の公募回1次公募(2026年6月19日交付決定)、2次公募(2026年9月9日交付決定)
使用資料SII「交付決定案件一覧」「新規採択事業の結果について」
抽出条件交付決定案件一覧の事業実施場所が北海道の案件(本社所在地ではありません)
北海道の件数88件(設備単位型80件、工場・事業場型8件)
交付決定額の合計2,313,344,151円(約23.13億円)

出典:SII「設備単位型・交付決定情報」「工場・事業場型・交付決定情報」(2026年9月23日確認)。案件一覧の1案件を1件として集計しています。

② 設備単位型と工場・事業場型の内訳

結論から言うと、件数の9割は設備単位型、金額の7割近くは工場・事業場型です。

北海道の交付決定案件数と交付決定額
区分1次公募2次公募合計件数交付決定額の合計
設備単位型(Ⅲ・GXⅢ・Ⅱ)47件33件80件749,610,051円
工場・事業場型(Ⅰ・Ⅰ+Ⅳ)4件4件8件1,563,734,100円
合計51件37件88件2,313,344,151円

区分の記号:Ⅲ=設備単位型、GXⅢ=GX設備単位型、Ⅱ=電化・脱炭素燃転型、Ⅰ=工場・事業場型、Ⅳ=エネルギー需要最適化型。

件数 88件 設備単位型 80件(90.9%) 工場・事業場型 8件(9.1%) 交付決定額 約23.13億円 約7.50億円(32.4%) 工場・事業場型 約15.64億円(67.6%) 設備単位型 工場・事業場型

図1:北海道88件の件数と交付決定額の構成比(SII公表資料をもとにtotoka集計)

工場・事業場型は1件あたりの金額が大きく、8件で約15.64億円を占めます。一方、設備単位型は空調やボイラなど、設備ごとの更新に広く使われています。

ポイント:交付決定額は「投資総額」ではありません

表の金額は補助金の交付決定額です。設備投資の総額や、事業完了後に確定する支払額とは異なります。補助対象外の工事費や諸経費は、事業者の負担になる点も押さえておきましょう。

各申請枠の違いは、省エネ補助金の設備単位型・新設枠の解説で紹介しています。

2. 全国に占める北海道の割合は?件数・金額とも約2%台

北海道の88件は、全国の採択件数の約2.4%にあたります。金額でも約2.3%で、件数・金額とも同じような水準です。

北海道と全国の比較(1次・2次公募の合計)
区分北海道の件数全国の採択件数北海道の割合金額ベースの割合(目安)
設備単位型(Ⅲ・GXⅢ・Ⅱ・Ⅳとの組み合わせ)80件3,202件約2.5%約2.0%
工場・事業場型(Ⅰ・Ⅳ)8件418件約1.9%約2.6%
合計88件3,620件約2.4%約2.3%

出典:SII「新規採択事業の結果について」1次・2次公募。全国の件数は採択件数の合計です。金額ベースの割合は、北海道の交付決定額合計を、SIIが公表した採択金額合計(設備単位型379.0億円、工場・事業場型611.4億円。いずれも億円単位の概数)で割った目安値です。

道内の案件は、札幌市だけに集中しているわけではありません。88件のうち66件(75%)は札幌市以外で、31市町村に分布しています。

北海道88件の市町村別件数(上位)
市町村件数市町村件数
札幌市22件石狩市4件
苫小牧市9件千歳市4件
函館市6件釧路市3件
北見市5件恵庭市3件
岩見沢市4件その他22市町28件

その他22市町:北斗市・旭川市・帯広市・江別市・登別市・余市町(各2件)、当別町・寿都町・赤平市・名寄市・七飯町・森町・愛別町・芽室町・釧路町・砂川市・小樽市・士別市・中富良野町・網走市・浜頓別町・大樹町(各1件)。

3. 設備別では空調32件・ボイラ17件・冷凍冷蔵12件

① 北海道80件の導入設備

設備単位型の北海道80件を導入設備で数えると、高効率空調が32件で最多でした。80件の40%に空調が含まれています。

高効率空調 32件 高性能ボイラ 17件(うち燃転型5件) 冷凍冷蔵設備 12件 工作機械 6件 制御機能付きLED 5件 プレス機械 3件 変圧器 2件 その他4区分 各1件(計4件) Ⅲ設備単位型・GXⅢ Ⅱ電化・脱炭素燃転型

図2:北海道80件の導入設備別件数(延べ81件。SII交付決定案件一覧をもとにtotoka集計)

その他4区分:産業用モータ・プラスチック加工機械・印刷機械・その他SIIが認めた高性能な設備(各1件)。空調と冷凍冷蔵設備を同時に導入した案件が1件あり、各設備に計上しているため延べ81件です。工場・事業場型8件は含みません。

② 全国と比べると、ボイラと冷凍冷蔵の比率が高い

各設備の全国採択件数に対して、北海道が占める割合を計算しました。全体の平均が約2.5%なのに対し、冷凍冷蔵設備は約9.3%、高性能ボイラは約7.7%と3倍以上の水準です。

全体 約2.5% 冷凍冷蔵設備 9.3% 高性能ボイラ 7.7% 制御機能付きLED 4.4% 変圧器 2.8% プレス機械 2.4% 高効率空調 2.3% 工作機械 0.9% ※北海道のⅢ・GXⅢ案件の件数 ÷ 全国の設備区分別採択件数(1次・2次合計)

図3:設備別の全国採択件数に占める北海道の割合(SII公表資料をもとにtotoka集計)

設備別の北海道件数と全国採択件数
導入設備北海道(Ⅲ・GXⅢ)全国の採択件数北海道の割合
冷凍冷蔵設備12件129件約9.3%
高性能ボイラ12件155件約7.7%
制御機能付きLED照明器具5件113件約4.4%
変圧器2件71件約2.8%
プレス機械3件124件約2.4%
高効率空調32件1,402件約2.3%
工作機械6件639件約0.9%
Ⅲ・GXⅢ全体75件3,043件約2.5%

出典:SII「新規採択事業の結果について」1次・2次公募の設備区分別採択件数(Ⅳとの組み合わせを含む)。比較条件をそろえるため、北海道の件数はⅢ・GXⅢの75件のみで数え、Ⅱ電化・脱炭素燃転型の5件(すべてボイラ)は含めていません。

反対に、工作機械は全国で639件採択されていますが、北海道は6件(約0.9%)にとどまります。全国では生産設備の更新が大きな比重を占める一方、道内では熱や冷却に関わる設備の更新が目立つ結果です。

北海道 ボイラと冷凍冷蔵が多い背景(totokaの見立て)

公表資料には採択理由や業種は書かれていないため、以下はtotokaの推測です。北海道は暖房期間が長く、食品加工・クリーニング・コンクリート製品など、蒸気や温水を使う事業所が多いと考えられます。

また、水産物や農産物の加工・保管に伴う冷凍冷蔵の需要も大きいと考えられます。こうした業種の構成が、ボイラや冷凍冷蔵設備の比率の高さにつながっている可能性があります。

③ 燃料転換(電化・脱炭素燃転型)の5件はすべて重油ボイラから

Ⅱ電化・脱炭素燃転型の北海道5件は、いずれも重油などを使うボイラをLPGやガス焚きのボイラに更新する内容でした。

北海道の電化・脱炭素燃転型5件(事業概要の要約)
公募回事業実施場所事業の概要(要約)交付決定額
1次岩見沢市重油焚ボイラから高効率LPG焚ボイラへ更新5,000,000円
1次砂川市重油焚炉筒煙管ボイラからLPG焚高効率ボイラへ更新10,658,500円
1次石狩市油焚きボイラからガス焚きボイラへ更新12,285,000円
2次札幌市A重油からLPGへ燃料転換し、高効率ボイラへ更新2,980,000円
2次岩見沢市A重油蒸気ボイラをLPG焚ボイラへ燃料転換5,000,000円

出典:SII「設備単位型」交付決定案件一覧(1次・2次公募)の(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型。

5件中4件はLPGへの転換です。都市ガスの供給エリアが限られる地域では、LPGが転換先の有力な選択肢になると考えられます。燃料転換では、ボイラ本体だけでなく、貯槽や配管などの供給設備、保安上の手続きもあわせて検討が必要です。

自社で検討するときは、この件数を参考にしながら、現在の使用量や稼働時間を確認することが大切です。空調なら使用する部屋と運転時間、ボイラなら蒸気・温水の用途、冷凍冷蔵設備なら必要温度と運転条件を整理すると、比較する設備や更新範囲が具体的になります。

4. 交付決定額はいくら?北海道80件の中央値は約435万円

設備単位型80件の交付決定額は、中央値が約435万円、平均が約937万円でした。80件のうち42件(52.5%)が500万円未満で、比較的小さな設備更新でも活用されています。

42件 15件 16件 6件 1件 500万円 未満 500万〜 1,000万円 1,000万〜 3,000万円 3,000万〜 1億円 1億円 以上 ※各階級は下限以上・上限未満

図4:北海道の設備単位型80件の交付決定額の分布(SII交付決定案件一覧をもとにtotoka集計)

設備別の交付決定額(早見表)

設備の種類によって、金額の水準は大きく異なります。空調・冷凍冷蔵・LEDは数百万円規模が中心で、生産設備は1,000万円を超える案件が多く見られます。

北海道の設備別交付決定額(設備単位型)
導入設備件数最小中央値最大
高効率空調32件約50万円約289万円約1,657万円
高性能ボイラ(燃転型含む)17件80万円500万円1,500万円
冷凍冷蔵設備12件約37万円約202万円約3,061万円
工作機械6件約647万円約1,972万円4,170万円
制御機能付きLED照明器具5件約124万円約138万円約246万円
プレス機械3件3,500万円約4,777万円約5,685万円

出典:SII「設備単位型」交付決定案件一覧(1次・2次公募)をもとにtotoka集計。複数設備を導入する案件は、案件全体の交付決定額を各設備に計上しています。1万円未満は四捨五入。

ポイント:金額が小さくても申請対象になり得ます

北海道では、交付決定額が100万円に満たない空調・冷凍冷蔵の案件も採択されています。「補助金は大きな投資でないと使えない」と決めつけず、更新予定の設備を一度洗い出すことをおすすめします。ただし、補助対象になるかは設備の型番・性能と公募要領の要件で決まります。

5. 工場・事業場型8件の採択事例|排熱回収やEMSも

工場・事業場型の北海道8件では、単体の設備更新だけでなく、排熱の回収や工程の再構成、EMSによる運用改善を組み合わせた事業が採択されています。

北海道の工場・事業場型8件の交付決定案件
事業者・事業所市町村区分主な事業内容(公表資料の要約)交付決定額
メビウス・千歳工場千歳市蒸気ボイラーと仕上設備の高効率化43,682,000円
エフビーエス・恵庭工場恵庭市スパイラルフリーザーの更新260,870,000円
太陽ふぁーむ浜頓別町乳牛のふん尿由来のバイオガスによる発電・熱供給360,000,000円
マルセンクリーニング釧路市Ⅰ+Ⅳ乾燥機更新、洗濯・脱水・乾燥の再構成、フラッシュ蒸気回収、地下水利用212,846,500円
東武・イーストモール端野店北見市水冷式パッケージエアコンを空冷式ヒートポンプ冷温水機に更新104,944,000円
クリーンリース・本社工場北見市排温水熱交換器を内蔵した連続式洗濯機の導入187,866,600円
ヤスダリネンサプライ・本社工場大樹町連続式洗濯機による排温水の熱回収と、搬送コンベアの制御統合161,875,000円
高野冷凍・余市工場余市町Ⅰ+Ⅳ冷凍設備の更新と、EMSによる運用の見える化・改善231,650,000円

出典:SII「工場・事業場型」交付決定案件一覧(1次・2次公募)。上の4件が1次、下の4件が2次です。区分のⅠ+Ⅳは、エネマネ事業者と組んでEMS(エネルギー管理システム)を活用する申請です。

① 洗濯工程では「捨てていた熱」を回収

8件のうち3件が、クリーニング・リネンサプライ業の案件です。北見市と大樹町の2件は、洗濯後の温かい排水の熱で、これから使う水を温める仕組みを導入しています。

新水 (冷たい水) 熱交換器 新水を予熱 連続式洗濯機 予熱した水で洗濯 温かい排水(これまで捨てていた熱) 熱を渡して温度が下がった排水

図5:洗濯排水の熱回収のイメージ(公表資料の事業概要をもとにtotokaが作成した概念図。実際の設備構成は案件ごとに異なります)

ボイラで水を温める量が減れば、燃料の使用量も減ります。設備そのものの効率に加えて、熱の出口と入口をつなぐ発想が評価につながっていると考えられます(totokaの見立て)。

② 冷凍設備の更新にEMSを組み合わせる

余市町の高野冷凍の案件は、冷凍設備の更新に加えて、EMSで運用状況を見える化し、運用改善を進める計画です。釧路市のマルセンクリーニングの案件も、Ⅳエネルギー需要最適化型との組み合わせで申請されています。

設備を新しくするだけでなく、導入後の運転をデータで管理する計画は、省エネ効果を持続させるうえでも有効です。

注意:公表概要からわからないこと

交付決定案件一覧に載っているのは、事業名・事業者名・場所・概要・金額までです。個別案件の採択理由や、導入後の実際の削減効果は判断できません。事例は「どのような取り組みが採択されているか」の参考として活用してください。

6. 省エネ補助金の採択率は?全国の結果と設備別の省エネ率

① 事業区分別の採択率

SIIは全国の申請件数と採択件数を公表しています。設備単位型は9割超、工場・事業場型は8割台半ばの採択率でした。

全国の申請件数・採択件数・採択率
全国集計の区分1次公募2次公募
Ⅲ・GXⅢ(Ⅳとの組み合わせは別集計)1,816件中1,695件:93.3%1,410件中1,307件:92.7%
Ⅲ・GXⅢ+Ⅳ23件中23件:100.0%18件中18件:100.0%
Ⅱ 電化・脱炭素燃転型91件中84件:92.3%82件中75件:91.5%
工場・事業場型(Ⅰ・Ⅳ)250件中213件:85.2%245件中205件:83.7%

出典:SII「新規採択事業の結果について」(設備単位型・工場・事業場型)各1次・2次公募。

② 設備別の採択率と平均省エネ率(全国)

設備の種類ごとに見ると、採択率や平均省エネ率には差があります。自社の設備に近い区分の数値を確認しておくと、計画づくりの目安になります。

設備区分別の採択率・平均省エネ率(全国、Ⅲ・GXⅢ)
設備区分採択率
1次/2次
平均省エネ率
1次/2次
平均省エネ量(原油換算)
1次/2次
高効率空調93.7%/94.1%31.6%/32.2%9.0kl/7.2kl
高性能ボイラ92.0%/86.0%4.9%/5.0%19.0kl/12.6kl
冷凍冷蔵設備91.5%/94.1%34.7%/40.2%13.0kl/12.5kl
制御機能付きLED照明器具97.5%/89.7%53.4%/57.4%20.7kl/9.8kl
変圧器83.3%/93.9%55.4%/55.1%3.9kl/3.3kl
産業用モータ76.8%/72.0%16.5%/18.6%10.7kl/16.1kl
工作機械96.1%/96.1%46.2%/44.1%7.5kl/4.8kl

出典:SII「設備単位型 新規採択事業の結果について」1次・2次公募の設備区分別結果。平均値は新設事業を除く採択事業の値です。

専門家の視点:ボイラは「省エネ率」より「省エネ量」で見る

高性能ボイラの平均省エネ率は約5%と、空調やLEDに比べて低く見えます。しかし1件あたりの平均省エネ量は12.6〜19.0klと、空調(7.2〜9.0kl)より大きい値です。燃料の使用量が多い設備では、数%の改善でも削減量が大きくなります。率だけで比べず、使用量の規模とあわせて検討することが大切です。

③ 全国の採択率を、自社の採択確率と読み替えない

これらは実際に申請された案件の全国集計で、北海道だけの採択率ではありません。今回の交付決定一覧には不採択案件が載っていないため、北海道の採択率は算出できません。

また、SIIは公募要領に基づく評価項目で審査し、上位から予算の範囲内で採択するとしています。「9割が通るから、どの計画でも通る」という意味ではない点に注意が必要です。

7. 採択結果を見るときによくある4つの誤解

採択結果の数字は、読み方を誤ると判断を誤らせます。特に多い誤解を4つ整理しました。

誤解1:採択率が9割だから、申請すれば通る

採択率は、要件を確認して申請された案件の結果です。書類の不備や要件の不足があれば、採択以前に審査で時間を要します。自社の計画が公募要領の要件を満たすかを先に確認しましょう。

誤解2:件数が少ない設備は採択されにくい

北海道でLEDや変圧器の件数が少ないのは、申請件数自体が少なかった可能性があります。設備別の申請件数は都道府県ごとに公表されていないため、件数の少なさを「不利」とは判断できません。

誤解3:交付決定額がそのまま手元に入る

交付決定額は上限の目安です。実際の支払額は、事業完了後の実績報告と審査を経て確定します。工事費の変更などで、交付決定額より少なくなる場合もあります。

誤解4:同業他社と同じ設備を入れれば同じ効果が出る

同じ種類の設備でも、運転時間・負荷・既存設備の状態で省エネ量は変わります。事例は方向性の参考にとどめ、自社のエネルギー使用量から効果を試算することが欠かせません。

8. 採択事例を自社の設備投資に生かす5つの着眼点

1.似た設備でも、使い方の違いを確認する

空調・ボイラ・冷凍冷蔵設備は、同じ種類でも使用時間や負荷が異なります。似た採択事例を見つけたら、自社の運転時間・使用量・必要な能力を整理し、更新前後を比較できる状態にしましょう。

2.熱の回収や工程の連携も検討する

工場・事業場型の案件には、洗濯排水の熱回収や工程の再構成が含まれていました。熱を捨てている場所と熱を必要とする場所、連動させたい設備を洗い出すと、更新計画の候補が広がります。

3.燃料転換は供給設備と保安までセットで考える

重油からLPGやガスへの転換では、ボイラ本体に加えて、貯槽・配管などの供給設備が必要になる場合があります。設置スペース、法令上の手続き、燃料単価の見通しまで含めて比較しましょう。

4.補助金額と、更新後の事業負担を分けて比較する

交付決定額が大きい案件が、そのまま自社に適した投資になるわけではありません。導入費、期待する光熱費削減、保守費用、工事中の稼働への影響を整理し、自己負担と運用面から判断することが必要です。

5.公募スケジュールから逆算して準備する

申請には、見積書、既存設備と導入設備の仕様、省エネ量の計算などが必要です。設備の型番が補助対象に登録されているかの確認も欠かせません。公募開始を待たずに、データと見積の準備を進めておくと安心です。

申請前の準備状況は、次のチェックリストで確認できます。

  • 過去1年分の月別エネルギー使用量(電気・重油・灯油・LPG・都市ガス)を整理した
  • 更新したい既存設備の型番・能力・設置年を確認した(銘板の写真があると確実)
  • 設備ごとの運転時間・運転期間(冬季のみ、通年など)を把握した
  • 導入候補の設備が、SIIの補助対象設備として登録されているか確認した
  • 複数社から見積を取り、補助対象経費と対象外経費を分けた
  • 工事で設備を止められる期間と、事業完了までの期限を照らし合わせた

複数の制度を比較したい方は北海道の省エネ補助金6選、申請から実績報告までを確認したい方はSII指定設備補助金の流れをご覧ください。

9. 北海道の事業者にとってのポイント

今回の集計から、北海道の事業者が省エネ補助金を検討する際に意識したいポイントを4つにまとめます。

北海道 活用のポイント

■ 札幌以外でも広く活用されている
88件のうち66件(75%)は札幌市以外で、苫小牧市・函館市・北見市のほか、寿都町や浜頓別町など31市町村に分布しています。旭川・帯広・釧路などの地方都市や町村の事業所でも、十分に検討する価値があります。

■ 熱を多く使う事業所は熱源更新を優先的に検討
北海道ではボイラと冷凍冷蔵設備の比率が全国より高く出ています。暖房・給湯・蒸気・冷却にかかる光熱費が大きい事業所は、熱源設備の更新や燃料転換が候補になります。

■ 冬季の工事制約を早めに確認
暖房や蒸気を止められない冬季は、熱源設備の入替工事の時期が限られがちです。積雪期の搬入・据付の条件も含め、事業完了期限に間に合う工程かを施工業者と早めに確認しましょう。

■ 灯油・重油・LPGの使用量データを整える
道内の事業所では、電気に加えて灯油・重油・LPGを使うケースが多く見られます。燃料ごとの月別使用量を請求書から整理しておくと、省エネ量の計算や燃料転換の比較がスムーズになります。

10. 次の公募はいつ?3次公募の締切と4次公募の予定

2026年9月23日時点で、SIIは3次公募を実施中です。さらに、4次公募を10月上旬から実施する予定と公表しています。

令和7年度補正「省エネ・非化石転換補助金」の今後の公募(2026年9月23日時点)
公募回設備単位型工場・事業場型
3次公募2026年8月20日〜9月28日17時必着(郵送)
交付決定は11月下旬の予定
2026年8月20日〜9月28日17時必着
交付決定は11月下旬の予定
4次公募10月上旬より実施予定(詳細は未公表)
GX設備単位型「トップ性能枠」に産業ヒートポンプの種別と高効率コージェネレーションを追加予定
10月上旬より実施予定(詳細は未公表)

出典:SII「設備単位型」公募情報(3次公募、2026年8月20日更新)、同事業トップ(2026年9月15日更新)、「工場・事業場型」公募情報(3次公募)・事業トップ(2026年9月15日更新)。

重要 最新の公募要領を必ず確認

4次公募の期間・要件・予算額は、本記事の確認時点では公表されていません。申請の際は、SIIが公表するその公募回の最新の公募要領・交付申請の手引きを必ず確認してください。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年の省エネ補助金で、北海道の採択件数は何件ですか?

A. SIIの令和7年度補正「省エネ・非化石転換補助金」1次・2次公募で、事業実施場所が北海道の交付決定案件は88件です。交付決定額の合計は約23.13億円です(totoka集計)。

Q2. 北海道の省エネ補助金で多い設備は何ですか?

A. 設備単位型80件では、高効率空調32件、高性能ボイラ17件、冷凍冷蔵設備12件の順に多くなっています。全国と比べると、ボイラと冷凍冷蔵設備の比率が高いのが特徴です。

Q3. 省エネ補助金(SII補助金)の採択率はどれくらいですか?

A. 全国では、設備単位型(Ⅲ・GXⅢ)が1次93.3%・2次92.7%、工場・事業場型が1次85.2%・2次83.7%です。北海道だけの採択率は、公表資料からは算出できません。

Q4. 小規模な設備更新でも省エネ補助金は使えますか?

A. 北海道の設備単位型80件のうち42件は交付決定額が500万円未満で、中央値は約435万円です。100万円未満の空調や冷凍冷蔵の案件も採択されています。対象になるかは、設備の性能と公募要領の要件で決まります。

Q5. 次の省エネ補助金の公募はいつですか?

A. 3次公募は2026年9月28日17時必着で、交付決定は11月下旬の予定です。SIIは4次公募を10月上旬から実施する予定と公表しています(2026年9月15日時点)。

12. まとめ

  • 2026年の北海道の交付決定は88件・約23.13億円で、全国の約2.4%にあたります。
  • 設備単位型では空調32件・ボイラ17件・冷凍冷蔵12件が多く、ボイラと冷凍冷蔵は全国比で割合が高い設備です。
  • 交付決定額の中央値は約435万円で、500万円未満の案件が半数を超えます。
  • 工場・事業場型では、排熱回収や工程の再構成、EMSの活用を組み合わせた事業が採択されています。
  • 全国の採択率は9割前後ですが、自社の採択確率ではありません。次の公募に向けて、エネルギー使用量と設備情報の整理から始めましょう。

記事情報・出典・集計条件

  • 集計確認日:2026年9月23日
  • 対象制度:令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金」(設備単位型・工場・事業場型)1次・2次公募
  • 参照資料:SII:設備単位型・交付決定情報SII:工場・事業場型・交付決定情報(「交付決定案件一覧」「新規採択事業の結果について」)、SII:設備単位型 公募情報(3次公募)
  • 抽出条件:交付決定案件一覧の事業実施場所が北海道の案件。本社所在地による抽出ではありません。
  • 計数方法:案件一覧の1案件を1件とし、共同申請者を別案件として加算していません。公募回をまたぐ同一企業の別案件は、それぞれ計上しています。
  • 金額:資料記載の補助金交付決定額を合算。概数の端数は四捨五入。全国比の金額はSII公表の採択金額(億円単位の概数)を用いた目安です。
  • 推測の扱い:「totokaの見立て」「推測」と記載した部分は、公表資料に根拠のない当社の見解です。
  • 集計・記事作成:株式会社totoka。最新情報はSII公式サイトをご確認ください。