ロスナイ・換気扇の電気代はいくら?止めてはいけない換気の基準【北海道の法人向け】

換気扇やロスナイ(全熱交換器)を回す電気代は、1台あたりでみると大きな金額になりにくい費用です。たとえば消費電力30Wの換気扇を24時間・30日回し、電力量単価を30円/kWhと仮定すると、電気代は月648円です。北海道の冬に費用を左右するのは、ファンの電気代よりも、換気で外に出ていく暖房の熱のほうです。

ただし、暖房費を減らすために換気を止めてよいとは限りません。建築基準法は原則としてすべての建築物の居室に機械換気設備(いわゆる24時間換気)の設置を求めています。延べ面積3,000㎡以上の店舗・事務所などの「特定建築物」は、建築物衛生法でCO2濃度1,000ppm以下などの基準を守る義務があります。事務所には、建物の規模に関係なく事務所衛生基準規則の基準がかかり、機械換気設備がある場合は定期点検の義務もあります。

この記事では、換気扇・ロスナイの電気代の計算方法、全熱交換器の交換効率の読み方と換気で失う熱の考え方、止めてはいけない法令の基準(2022年の改正点を含む)、夜間・休日の運転の考え方、寒冷地での凍結・結露対策を、2026年10月27日時点の法令とメーカーの技術資料をもとに整理します。第1種〜第3種の換気方式の違いは「第一種・第二種・第三種換気システムの違いと選び方」で解説しています。

この記事でわかること
・換気扇・ロスナイの電気代の計算式と、仮定の数字での目安
・全熱交換器の「温度交換効率」「全熱交換効率」の意味と、換気で失う熱の考え方
・建築基準法・建築物衛生法・事務所衛生基準規則が求める換気の基準と、2022年の改正点
・夜間・休日に換気を止める・弱めるときの判断の手順
・北海道の寒さでロスナイを使うときの凍結・結露の注意点と手入れの頻度

更新履歴

  • 2026年10月27日:全面改訂。電気代の計算式と仮定の計算例、メーカー技術資料による熱回収の計算例、建築物衛生法・事務所衛生基準規則の基準と2022年の改正点、夜間停止の考え方、寒冷地の凍結・結露対策、手入れの頻度を追記。根拠を確認できなかった数値(CO2濃度と眠気の関係、熱負荷の削減率の試算など)を削除
  • 2025年12月14日:初版公開

1. 換気扇・ロスナイの電気代はいくら?計算式と目安

換気設備の電気代は、次の式で計算できます。

電気代(円)= 消費電力(kW)× 運転時間(h)× 電力量単価(円/kWh)

消費電力はW(ワット)の値を1,000で割ってkWにします。電力量単価は契約メニューや燃料費調整額などで変わるため、自社の請求書で確認してください。

以下は、電力量単価を30円/kWhと仮定した計算例です。

機器(消費電力) 運転条件 月の電力量 月の電気代(30円/kWhと仮定)
小型の換気扇 30W(仮定の数字) 24時間×30日 21.6kWh 648円
ロスナイ 240W(メーカー技術資料の機種選定例の機種・50Hz強風量) 24時間×30日 172.8kWh 5,184円
同上 10時間×22日(平日の営業時間のみと仮定) 52.8kWh 1,584円

表:換気設備の電気代の計算例(240Wは三菱電機「ロスナイ技術資料」2020年3月作成(改訂版) p.14の機種選定例 LGH-N50RS3、50Hz・強風量の値。30Wと電力量単価30円/kWh、運転条件は仮定の数字)

ロスナイは、給気用と排気用の2つの送風機を持つ換気機器です。消費電力は機種・風量・運転ノッチ(強・弱)・電源周波数で変わります。三菱電機は、2020年7月発売の業務用ロスナイ天井埋込形でDCブラシレスモーターを採用し、定格消費電力をACモーターの従来機種より約26%減らしたと発表しています(風量650m3/hの機種、60Hz、強ノッチでの比較)。その後の機種でも、従来のDCモーター機種よりさらに10%以上減らしたとしています(一部機種を除く、強風量の定格での比較)。

参考として、2020年発売のDCモーター機 LGH-N50RXW(風量500m3/h)の消費電力は、同社のニュースリリースの主な仕様で強215W・弱90W(ロスナイ換気時)です。上の表と同じ仮定(24時間×30日、30円/kWh)で計算すると、強で月4,644円(154.8kWh)、弱で月1,944円(64.8kWh)です。

ポイント:自社の機器の消費電力は型番で調べる

本体の銘板やリモコン付近の型番から、メーカーの仕様書・カタログを探します。強・弱で消費電力が違うため、実際に使っている運転ノッチの値で計算してください。台数が多い建物では、1台の金額が小さくても合計で確認します。

2. 換気で失う暖房の熱と、全熱交換器の交換効率

換気扇は、暖房した室内の空気を外へ出し、同じ量の冷たい外気を取り入れます。入ってきた外気を室内の状態まで暖めるのに必要な熱が「外気負荷(換気負荷)」です。三菱電機の技術資料では、外気負荷を次の式で表しています。

外気負荷 = 空気の密度 × 外気量 ×(室内と外気のエンタルピーの差)

エンタルピーは空気が持つ熱量で、温度と湿度の両方を含みます。空気の密度は標準状態で1.2kg/m3です。外気が冷たく乾いているほど室内との差が大きくなり、同じ換気量でも失う熱は増えます。

温度交換効率と全熱交換効率の意味

全熱交換器は、排気する室内の空気から熱と湿気を回収し、取り入れる外気に移してから室内へ送ります。性能は「交換効率」で表します。

温度交換効率(顕熱) 外気の温度を、室内の温度にどれだけ近づけて送れるかの割合。(外気温度−給気温度)÷(外気温度−室内温度)×100
エンタルピー交換効率(全熱) 温度と湿度を合わせた熱量(エンタルピー)で、同じ割合をみたもの。カタログでは温度とエンタルピーの効率が表示されています
給気と排気の風量 給気と排気の量が等しいとき、給気側と排気側の効率は等しくなります。排気量が少ない場合は効率が低くなります

温度交換効率がわかれば、室内に送られる空気の温度は次の式で求められます。

給気温度 = 外気温度 +(室内温度 − 外気温度)× 温度交換効率

メーカー資料の計算例:外気負荷は一般換気扇の約3割

三菱電機の技術資料には、外気0℃・相対湿度50%、室内20℃・50%、換気量500m3/hの冬の条件で、一般換気扇・顕熱交換器・ロスナイを比べた計算例があります。

項目 一般換気扇 顕熱交換器 ロスナイ(全熱交換)
温度交換効率 0% 71% 71%
エンタルピー(全熱)交換効率 0% ― 71.5%
室内へ送る空気の温度 0℃ 14.2℃ 14.2℃
外気負荷 5.63kW 3.25kW 1.61kW
一般換気扇に対する外気負荷の割合 100% 57.6% 28.5%

表:冬の外気負荷の比較(三菱電機「ロスナイ技術資料」2020年3月作成(改訂版) p.13の計算例。ロスナイのエンタルピー交換効率71.5%は、資料が変動率で補正した値)

同じ資料の機種選定例(LGH-N50RS3、500m3/h)では、回収する熱量4.02kWに対し、本体の消費電力は240W(50Hz・強風量)です。資料は回収熱量を暖房のエアコンの成績係数(COP)3.6で割って節約電力を1.11kWとし、暖房期750時間・電気料金27円/kWhの条件で、暖房期の節約額を22,477円と試算しています。同じ条件で本体の電気代を計算すると0.24kW×750h×27円=4,860円です。この条件では、回収した熱の価値のほうがファンの電気代より大きくなります。

なお、この試算は暖房をエアコン(COP3.6)で行う前提です。灯油やガスで暖房している建物は、燃料の単価と暖房機の効率で計算し直す必要があります。燃料ごとの熱量あたりの単価は「灯油・重油・LPG・電気の熱量単価比較」で整理しています。

北海道 外気が冷たいほど、換気で失う熱は大きくなる

気象庁の平年値(1991〜2020年)では、1月の平均気温は札幌−3.2℃、旭川−7.0℃、帯広−6.9℃、釧路−4.8℃です。外気負荷の式のとおり、外気が冷たいほど室内との差が広がり、同じ換気量でも失う熱は大きくなります。

仮定の数字で給気温度を計算すると、外気−5℃・室内20℃・温度交換効率71%(上の計算例と同じ効率)の場合、給気温度は −5+(20−(−5))×0.71=約12.8℃ です。一般の換気扇では、−5℃の外気がそのまま入ってきます。

3. 止めてはいけないライン①:法令が求める換気の基準

換気について、建物の所有者や事業者に義務を課している主な法令は次のとおりです。

法令 対象 主な基準 管理の義務など
建築基準法 第28条、施行令 第20条の2 建築物の居室 換気に有効な窓などを床面積の1/20以上。足りない場合は換気設備を設ける。機械換気設備の必要換気量は V=20Af/N(1人あたり毎時20m3に相当) 建築時の技術基準
建築基準法 シックハウス対策(施行令 第20条の8。2003年7月1日施行) 原則としてすべての建築物の居室 機械換気設備の設置。換気回数は住宅等の居室で毎時0.5回以上、その他の居室で毎時0.3回以上 建築時の技術基準
建築物衛生法 施行令 第2条 特定建築物(店舗・事務所などの用途で延べ面積3,000㎡以上。学校教育法第1条の学校等は8,000㎡以上) CO2 1,000ppm以下、一酸化炭素6ppm以下、浮遊粉じん0.15mg/m3以下、気流0.5m/s以下、ホルムアルデヒド0.1mg/m3以下。空気調和設備がある場合は温度18〜28℃、相対湿度40〜70%も 2か月以内ごとに1回、空気環境を測定。特定建築物以外で多数の者が使う建物は、同じ基準に従う努力義務
事務所衛生基準規則 事務所(事務作業に従事する労働者が主に使う建築物またはその一部) 室のCO2 5,000ppm以下・一酸化炭素50ppm以下(第3条)。空気調和設備・機械換気設備がある場合、室に供給される空気のCO2 1,000ppm以下・一酸化炭素10ppm以下など(第5条) 機械換気設備は2か月以内ごとに1回点検し、記録を3年保存(第9条)

表:換気に関する主な法令の基準(e-Gov法令検索、国土交通省資料による。2026年10月27日時点)

建築基準法の換気回数は、在室者のためではなく、建材や家具から出るホルムアルデヒドへの対策として定められたものです。在室者がいる時間帯は、人数に応じた換気量が別に必要です。厚生労働省の資料は、室内のCO2濃度を1,000ppmに保つことは、1人あたり毎時約30m3の換気量を確保することに相当するとしています。

ポイント:延べ面積3,000㎡未満の建物でも無関係ではない

建築物衛生法は、特定建築物以外でも多数の者が使う建物について、同じ管理基準に従うよう努めることを求めています。事務所衛生基準規則には建物の規模による適用の線引きがなく、事務所として使う部分に適用されます。

2022年の改正で変わった点

建築物衛生法施行令は、令和3年政令第347号により2022年4月1日から、一酸化炭素の基準が10ppm以下から6ppm以下に、温度の下限が17℃から18℃に改められました。改正されたのはこの2点で、CO2の基準(1,000ppm以下)は変わっていません。

事務所衛生基準規則は、2021年12月1日に改正省令(令和3年厚生労働省令第188号)が公布されました。空気調和設備がある事務所の室温の努力目標は、2022年4月1日から17〜28℃が18〜28℃になりました。あわせて、一酸化炭素・CO2を測る測定器として、検知管方式と同等以上の性能を持つもの(CO2は非分散型赤外線吸収法=NDIR、一酸化炭素は定電位電解法)が使えることが明示されました。このほかトイレの設置基準(2021年12月1日施行)や作業面の照度(2022年12月1日施行)などの基準も見直されています。

なお、事務所衛生基準規則の一酸化炭素の基準(供給される空気で10ppm以下)は、建築物衛生法(6ppm以下)と数値が異なります。両方の対象になる建物は、厳しいほうに合わせて管理すると混乱が少なくなります。

4. 止めてはいけないライン②:結露・空気の汚れと設備のトラブル

法令の基準のほかにも、換気を止めると次のような問題が起こりえます。

湿気と結露。人の呼吸、調理、加湿器などで出た水蒸気は、換気が止まると室内にたまります。札幌市の「広報さっぽろ」2014年12月号は、住まいの結露について、結露は湿度が高いと起こり、結露の予防に最も効果があるのは換気だと案内していました。同じ記事では、湿度70%以上はカビが発生しやすい目安とされています。札幌市保健所の現行のページ「結露・カビ対策」(2026年8月4日更新)も、カビが好む環境を湿度70%以上とし、炊事中や入浴後は換気をするよう案内しています。いずれも住まいを対象にした案内です。

空気の汚れ。三菱電機の技術資料(2020年3月作成の改訂版)のCO2の影響の表では、一般的な許容濃度0.10%(1,000ppm)が建築基準法・建築物衛生法などの基準とされています。同じ資料の2016年3月版の表には、室内の許容濃度はCO2そのものの有害限度ではなく、空気の汚れの指標としての濃度だという注記がありました。CO2濃度は、換気が足りているかを確かめる目安として使えます。

全熱交換器を止めたときの冷気の侵入。三菱電機の技術資料(2020年3月作成の改訂版)は、寒冷地・外風の強い場所や建物内が負圧になる設置環境では、運転停止時に冷気などが入り込むことがあるとして、外気側・排気側に電動ダンパーを併用するよう求めています。止めれば熱が逃げないとは限りません。

5. 夜間・休日など人がいない時間は止めてもいい?運転時間の決め方

人がいる時間帯は、換気を止めないのが基本です。人がいない時間帯の停止や弱運転は、次の資料が示す条件の範囲で検討します。

国土交通省の「建築物における効率的な換気の促進に関する取組事例集」(2022年6月)は、「建築物のシックハウス対策マニュアル」の記載を紹介しています。マニュアルは、ホルムアルデヒド対策の換気設備は常時運転できるものとしなければならないとし、このためスイッチは容易に止められないものが望ましいとしています。そのうえで、利用時間帯が日常的に限られる事務所などでは、夜間など人の不在時に限って運転を止める運用も考えられるとしています。ただし、止めている間に濃くなったホルムアルデヒドを、運転を再開したときに速やかに下げられる措置をとることが前提です。事例集は国土交通省自身の説明でも、同じ趣旨を書いています。示されているのは「この条件のもとで、停止の運用も考えられる」というところまでです。

文部科学省の学校施設向けの報告書も、夜間や長期休暇の停止は考えられるとしつつ、教室の使用時(授業開始の1時間前から授業終了まで)には基準以下まで速やかに換気できるよう、使用前の換気やタイマーなどの措置が必要だとしています。同じ事例集は、会議室で使用開始より前に換気を始め、使用後に止める運用も例に挙げています。

手順は次のとおりです。

1
換気設備の系統と役割を確認する
24時間換気用、居室の外気の取り入れ用、トイレ・厨房などの局所排気用を、図面や系統図で分けて把握します。
▼
2
法令の区分を確認する
特定建築物か、事務所か、中央管理方式の空調か。測定・点検の義務と基準値が決まります。
▼
3
使用時間中のCO2濃度を測る
人が多い時間帯に1,000ppmを超えていないかを確認します。超えている系統は、運転を減らす対象になりません。
▼
4
不在時の運転を決める
停止・弱運転・タイマーのどれにするかを決め、使用開始前に運転を再開する時刻を設定します。
▼
5
記録して見直す
運転時間とCO2濃度、結露の有無を記録し、季節ごとに設定を見直します。

在室時と不在時で必要な換気量がどれだけ違うかを、仮定の数字で比べると次のとおりです。

床面積100㎡・天井高2.6m・在室10人の事務所(仮定の数字)

建築基準法の必要換気量:20×100㎡÷10㎡/人=200m3/h
CO2 1,000ppmの目安(1人あたり毎時約30m3):30×10人=300m3/h
シックハウス対策の換気回数0.3回/h:100㎡×2.6m×0.3=78m3/h

人がいる時間とそうでない時間で、必要な換気量の考え方が変わることがわかります。弱運転で不在時の必要量を満たせるかは、機器の風量で確認します。

重要 換気を減らす前に確認すること

・換気量がすでに不足または適正な系統は、運転を減らすのが難しいとされています(国土交通省の事例集が紹介する環境省の指針)。
・調理室など火を使う設備がある室は、建築基準法第28条第3項で原則として換気設備が求められています。使用中は止めません。
・寒冷地でロスナイを止める場合は、停止中の冷気の侵入と結露に注意します(6章)。

6. CO2濃度を測って、換気量を「必要な分」に合わせる

換気の過不足は、CO2濃度で確かめられます。厚生労働省が2020年11月にまとめた冬場の換気に関する資料は、次の点を示しています。

・CO2の測定器は、非分散型赤外線吸収法(NDIR)のセンサーが比較的安価で扱いやすい。ただし結果は目安として使い、製造者などが定期的に校正したものが望ましい
・設置場所は、ドア・窓・換気口から離れ、人から少なくとも50cm離れた場所
・建築物衛生法の測定として行う場合は、部屋の中央部の床上75cm以上150cm以下で測る

同じ資料は、窓開け換気の教室についての欧州空調協会連合会(REHVA)の推奨として、CO2モニターが800ppmでオレンジ、1,000ppmで赤に光る表示例を紹介しています。社内で運用ルールを作る際の参考になります。

測った結果を換気量に反映させる方法として、センサーによる自動制御もあります。三菱電機は、業務用ロスナイに別売のCO2センサーを付けると、室内のCO2濃度に応じて換気風量を自動調整し、ロスナイと空調機を合わせた電気代が未装着時より約27%減るという試算を示しています(居室容積243m3、最大在室12人、目標CO2濃度1,000ppm、27円/kWhなどの同社条件)。空調機の人感センサーと連動し、不在時に最小の風量へ切り替える機能もあります。

国土交通省の事例集でも、在室人数やCO2濃度に応じて換気量を自動で制御する建物が紹介されています。人のいない夜間は外気取入れダンパーの開度を下限にして、24時間換気に必要な最低限の換気量を確保している事例があります。「止める」か「回す」かの二択ではなく、必要な量に絞る考え方です。

7. 北海道の寒さとロスナイ:凍結・結露を防ぐ使い方

全熱交換器は、冷たい外気と暖かい室内の空気が素子の中ですれ違うため、厳寒期には凍結や結露への配慮が必要です。三菱電機の技術資料(2020年3月作成の改訂版)から、主な注意点をまとめます。

外気の使用条件 業務用ロスナイの多くの機種で、外気−10℃〜+40℃・相対湿度80%以下。一部の機種は、−10℃以下で給気用送風機を間欠運転することで−15℃まで使用可能(使用条件・状況に応じて結露防止対策が必要)。スタンダードタイプは寒冷地運転用回路(別売)を使うと−15℃まで(耐湿形以外は本体表面の結露防止が必要)
寒冷地間欠運転(業務用 天井埋込形など) 素子の凍結防止のため、外気が−10℃以下(−15℃より高い)では給気用送風機を60分運転ごとに10分停止。−15℃以下では5分運転ごとに55分停止。製品の使用温度範囲は外気−15℃までで、−15℃以下での運転を推奨する機能ではない
24時間運転の注意 外気0℃以下で、設置場所の露点温度が10℃以上(天井裏22℃以上・相対湿度50%以上など)のときは、本体表面やダクト接続部が結露・結氷するおそれがあり、断熱材の追加工事が必要。寒冷地など使用条件の範囲外になるときは24時間運転はできず、運転を停止する
停止時の冷気の侵入 寒冷地・外風の強い場所や建物内が負圧になる設置環境では、停止時に冷気・外風・高湿度空気などが入り込むことがあるため、外気側・排気側に電動ダンパーを併用する
霧・もやの多い場所 霧や高湿度の外気を吸い込むと、フィルターや素子から水滴が垂れ、機外に水が漏れることがある。山間部・湖・海岸など、地域に応じて霧浸入防止運転の設定を切り替える

表:寒冷地でロスナイを使うときの注意点(三菱電機「ロスナイ技術資料」2020年3月作成(改訂版) p.159、p.292、p.297。対応範囲は機種ごとに異なるため、設置機種の資料で確認が必要です)

北海道 内陸では「−10℃以下」が平年並みの寒さ

気象庁の平年値(1991〜2020年)では、1月の日最低気温は札幌−6.4℃、旭川−11.7℃、帯広−13.0℃、釧路−9.8℃です。旭川や帯広では、平年でも夜間から朝にかけて寒冷地間欠運転の条件(−10℃以下)に入る時間帯が多いと考えられます(推測)。

間欠運転中は給気が止まる時間があります。メーカーも、保護のための運転が働くと間欠運転になる場合があるため、換気計画に注意するよう求めています。厳寒地では、機種の使用条件と保護運転の内容を、更新や新設の前に確認しておきます。

8. フィルター・エレメントの手入れと点検の頻度

三菱電機の技術資料は、ロスナイの手入れの頻度を次のように示しています。具体的な方法は製品の取扱説明書で確認します。

・エアフィルター:1年に1度以上点検し、清掃する。汚れがひどい場合は水か、中性洗剤を入れた40℃以下のぬるま湯で押し洗いし、よく乾かす
・ロスナイエレメント(熱交換素子):2年に1度以上清掃する(1年に1度以上を推奨)。入口部分の表面のちり・ほこりを掃除機で吸い取る

新しい業務用ロスナイには、フィルターの詰まりなどで圧力損失が増えても、モーターの回転数を自動で調整して風量を一定に保つ機能があります。風量が保たれる代わりに、詰まった状態では送風機の負担が増え、消費電力が上がる可能性があります(推測)。

事務所では、事務所衛生基準規則第9条により、機械換気設備を初めて使うとき、分解して改造・修理したとき、そして2か月以内ごとに1回、異常の有無を点検し、記録を3年間保存する必要があります。清掃の記録も同じ台帳にまとめておくと管理しやすくなります。

9. よくある失敗と注意点

注意 換気の運用で起こりやすい失敗

・ファンの電気代だけで判断する:電気代は小さくても、換気で失う熱は大きくなりえます。逆に、止めれば熱が残るとも限りません(停止時の冷気の侵入)。
・24時間換気のスイッチを切ったまま忘れる:不在時に止める運用をとるなら、使用開始前に再開する仕組み(タイマーなど)をセットにします。
・CO2測定器を窓際や換気口の近くに置く:外気の影響で低い値が出ます。ドア・窓・換気口から離して設置します。
・古い基準値で管理を続ける:建築物衛生法の一酸化炭素は6ppm以下、温度の下限は18℃です(2022年4月から)。
・メーカーの試算をそのまま当てはめる:試算は暖房方式や電気料金の前提が決まっています。灯油・ガス暖房の建物は計算し直します。
・厳寒期に使用条件の範囲外で運転する:結露・結氷や水漏れの原因になります。機種ごとの外気条件を確認します。

暖房費そのものを抑える方法は、換気以外にもあります。室内の温度むらを減らす運用は「暖房代を削減するサーキュレーター配置と節電運用」で紹介しています。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. ロスナイをつけっぱなしにすると、電気代はいくらかかりますか?

A. 消費電力(kW)×運転時間(h)×電力量単価(円/kWh)で計算します。メーカー技術資料(2020年3月作成の改訂版)の機種選定例の機種(LGH-N50RS3、240W・50Hz強風量)を24時間・30日運転し、単価を30円/kWhと仮定すると、月約5,184円です。2020年発売のDCモーター機 LGH-N50RXW(強215W・弱90W)なら、同じ仮定で強は月4,644円、弱は月1,944円です。設置機種の仕様書の値で計算してください。

Q2. 冬は換気扇を止めたほうが暖房費の節約になりますか?

A. 換気で失う熱は減りますが、人がいる時間帯は止めないのが基本です。特定建築物にはCO2 1,000ppm以下などの基準があり、事務所にも事務所衛生基準規則の基準があります。暖房費を抑えたい場合は、全熱交換器の活用やCO2濃度に応じた換気量の調整を検討します。

Q3. 24時間換気は、夜間に止めてもかまいませんか?

A. 国土交通省の事例集が紹介するシックハウス対策マニュアルは、換気設備は常時運転できるものでなければならないとしています。そのうえで、利用時間が日常的に限られる事務所などでは、人の不在時に限って止める運用も考えられるとしています。その場合は、運転再開時にホルムアルデヒド濃度を速やかに下げる措置が必要です。措置の例として、文部科学省の学校施設向けの報告書は、使用前の換気やタイマー装置などを挙げています。

Q4. 温度交換効率と全熱交換効率は何が違いますか?

A. 温度交換効率は温度(顕熱)だけをみた回収の割合で、全熱交換効率(エンタルピー交換効率)は温度と湿度を合わせた熱量でみた割合です。メーカー資料(2020年3月作成の改訂版)の冬の計算例では、温度交換効率71%・全熱交換効率71.5%のロスナイで、外気負荷が一般換気扇の約3割(28.5%)になっています。

Q5. 北海道の真冬でもロスナイは使えますか?

A. 使えますが、機種ごとの外気の使用条件(多くの機種で−10℃まで、一部の機種や別売部品の併用で−15℃まで)を守る必要があります。−10℃以下では凍結防止のため給気用送風機が間欠運転する機種があり、結露・結氷を防ぐ断熱工事が必要な場合もあります。

Q6. 2022年にCO2の基準は変わったのですか?

A. 建築物衛生法のCO2の基準(1,000ppm以下)は変わっていません。2022年4月1日に改正されたのは、一酸化炭素(10ppm以下→6ppm以下)と温度の下限(17℃→18℃)です。事務所衛生基準規則では、室温の努力目標の下限が18℃になり、CO2測定器にNDIR方式などが使えることが明示されました。

11. まとめ

  • 換気設備の電気代は「消費電力×運転時間×電力量単価」で計算でき、1台あたりの金額は大きくなりにくい
  • 北海道の冬に大きいのは換気で失う暖房の熱で、メーカー資料の例では全熱交換器で外気負荷が一般換気扇の約3割(28.5%)になる
  • 建築基準法・建築物衛生法・事務所衛生基準規則に換気の基準がある。2022年4月から建築物衛生法の一酸化炭素は6ppm以下、温度の下限は18℃。CO2 1,000ppm以下は変わらない
  • 人がいる時間帯は止めない。不在時の停止・弱運転は、CO2濃度の確認と、使用前の再開をセットで決める
  • 寒冷地では機種の外気条件、間欠運転、結露・結氷対策、停止時の冷気の侵入を確認し、フィルターは年1回以上の点検・清掃を行う

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記事情報
公開日:2025年12月14日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・三菱電機「全熱交換形換気機器 ロスナイ 技術資料」2020年3月作成(改訂版)(三菱電機)
・三菱電機「全熱交換形換気機器 ロスナイ 技術資料」2016年3月(旧版。CO2の表の注記のみ参照)(三菱電機)
・三菱電機 ニュースリリース「2020年度『三菱業務用ロスナイ 天井埋込形』発売のお知らせ」2020年1月23日(主な仕様)(三菱電機)
・三菱電機「業務用ロスナイ(天井埋込形)」製品ページ(三菱電機)
・建築基準法(e-Gov法令検索)、建築基準法施行令(e-Gov法令検索)
・国土交通省「住宅等における換気等に関する情報提供について」(国土交通省)
・国土交通省「シックハウス対策のための規制導入 改正建築基準法」パンフレット(国土交通省)
・国土交通省「建築物における効率的な換気の促進に関する取組事例集」2022年6月(国土交通省)
・建築物における衛生的環境の確保に関する法律(e-Gov法令検索)、同施行令(e-Gov法令検索)、同施行規則(e-Gov法令検索)
・厚生労働省「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令」(令和3年政令第347号)(厚生労働省)
・事務所衛生基準規則(e-Gov法令検索)
・厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 リーフレット「職場における労働衛生基準が変わりました」(厚生労働省)
・厚生労働省「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気について」2020年11月27日(厚生労働省)
・文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」第4章(2)(文部科学省)
・札幌市「広報さっぽろ」2014年12月号 住まいの衛生展(結露対策)(札幌市)
・札幌市保健所「結露・カビ対策」2026年8月4日更新(札幌市)
・気象庁「過去の気象データ検索 平年値(年・月ごとの値)」札幌(気象庁)、旭川(気象庁)、帯広(気象庁)、釧路(気象庁)
※2026年10月27日時点の情報です。電気代・必要換気量・給気温度の計算例は仮定の数字によるもので、実際の値は機種・運転条件・契約により異なります。メーカー技術資料(2020年3月作成の改訂版)の数値は同資料に掲載された機種・条件での値です。機器の使用条件や手入れの方法は、設置している機種の取扱説明書・技術資料で確認してください。