【日本の燃料輸入先を円グラフで解説!】電気代上昇と北海道企業の対策

日本は、原油の約94%を中東から、石炭の約66%とLNG(液化天然ガス)の約40%をオーストラリアから輸入しています(2025年、貿易統計ベース)。燃料の輸入先が特定の国・地域に偏っているため、国際情勢や為替の変動が電気代や燃料代に伝わりやすい構造です。

2026年2月末以降は、中東情勢の悪化でホルムズ海峡の通航が困難になりました。経済産業省の「エネルギー白書2026」(2026年10月23日閣議決定)も、この影響を大きく取り上げています。「電気代や燃料費がなぜ動くのか」を知るには、まず輸入先の全体像を押さえるのが近道です。

この記事では、原油・LNG・石炭の輸入先を円グラフで示し、発電との関係、2026年の中東情勢、燃料価格が電気料金に反映される仕組み、北海道の法人が確認しておきたい点を、公的資料にもとづいて整理します。数値は、年・年度を明記しています。

この記事でわかること
・原油・LNG・石炭の輸入先と依存割合(2025年、貿易統計ベース)
・日本のエネルギー自給率と、発電に使われる燃料の内訳(2024年度)
・2026年のホルムズ海峡の通航困難が、原油・LNG・石炭に与えた影響の違い
・燃料価格が電気料金に反映される仕組みと、反映までの時間差
・北海道の法人が契約・燃料の面で確認しておきたいこと

更新履歴

  • 2026年10月30日:輸入先のデータを2025年(貿易統計ベース)に更新。自給率と電源構成を2024年度の確報値に更新。2026年のホルムズ海峡の状況、燃料費調整の仕組み、FAQを加筆
  • 2026年3月23日:初版公開

1. 日本のエネルギー自給率は16.3%(2024年度)

資源エネルギー庁の「令和6年度エネルギー需給実績(確報)」(2026年4月14日公表)によると、2024年度のエネルギー自給率(IEA基準)は16.3%で、前年度から1.1ポイント上昇しました。それでも、一次エネルギー供給の化石エネルギー依存度は80.1%、うち石油依存度は34.5%です。

つまり、日本で使うエネルギーの約8割は石油・石炭・天然ガスで、国内で産出される量はわずかです。このため、「どの国から、どれだけ買っているか」が、供給の安定と価格の両方に直結します。

指標(2024年度) 数値
エネルギー自給率(IEA基準) 16.3%
化石エネルギー依存度 80.1%
石油依存度 34.5%

表:日本のエネルギー自給率と化石エネルギー依存度(資源エネルギー庁「令和6年度エネルギー需給実績(確報)」)

ポイント:「年度」と「年」の違い

この記事の数値には、4月から翌3月までの「年度」(自給率・電源構成)と、1月から12月までの「年」(輸入先)が混在します。資料ごとに集計の区切りが違うため、表やグラフの注記で必ず確認してください。

2. 原油の輸入先:中東依存度は94.0%(2025年)

2025年の原油輸入量は約236万バレル/日です。輸入先はUAE(43.3%)とサウジアラビア(39.4%)で8割超を占め、クウェート、カタールを加えた中東全体の依存度は94.0%でした。このうち、ホルムズ海峡を通って運ばれる割合(ホルムズ依存度)は93.0%です。

中東依存度94.0%UAE 43.3%サウジアラビア 39.4%クウェート 6.2%カタール 4.2%米国 3.8%エクアドル 1.1%オマーン 1.0%その他 1.0%

図:日本の原油の輸入先(2025年、財務省貿易統計ベース。資源エネルギー庁資料より作成)

原油は、ガソリン・軽油・灯油・重油などの燃料やプラスチック原料になるほか、一部は発電にも使われます。電気料金だけでなく、暖房や配送に使う燃料の価格にも関わる点が、LNGや石炭との違いです。

3. LNG(液化天然ガス)の輸入先:最大でもオーストラリアの39.7%

LNGは、天然ガスを約−162℃に冷やして液体にした燃料で、火力発電と都市ガスの原料になります。2025年のLNG輸入量は約6,498万トンです。

オーストラリア39.7%オーストラリア 39.7%マレーシア 14.8%ロシア 8.9%米国 6.9%インドネシア 6.0%パプアニューギニア 5.3%カタール 5.3%オマーン 4.5%ブルネイ 4.0%UAE 1.0%その他 3.6%

図:日本のLNGの輸入先(2025年、貿易統計ベース。資源エネルギー庁資料より作成)

最大の輸入先はオーストラリア(39.7%)で、マレーシア(14.8%)、ロシア(8.9%)、米国(6.9%)などに分かれています。中東(カタール・オマーン・UAE)への依存度は10.8%、ホルムズ海峡経由の依存度は6.3%で、原油に比べて低い水準です。

4. 石炭の輸入先:オーストラリアが66.3%(2025年)

2025年の石炭輸入量は約1億6,195万トンです。オーストラリアが66.3%、インドネシアが16.9%で、2国で8割を超えます。中東への依存度とホルムズ依存度は、どちらも0%です。

オーストラリア66.3%オーストラリア 66.3%インドネシア 16.9%米国 6.4%カナダ 5.6%南アフリカ 2.2%ロシア 0.7%コロンビア 0.7%その他 1.3%

図:日本の石炭の輸入先(2025年、貿易統計ベース。資源エネルギー庁資料より作成)

注意 旧版の数値との違い

この記事の旧版は、2024年度の「一般炭」の割合(オーストラリア72.4%)を掲載していました。今回の2025年の数値は、資料が「石炭」として示した輸入量全体に対する割合で、集計区分や年(度)が異なります。両者を単純に比べて「依存度が下がった」と読むことはできません。

5. 三つの燃料の輸入先を比べる

燃料(2025年) 輸入量 最大の輸入先 中東依存度 ホルムズ依存度
原油 約236万バレル/日 UAE 43.3% 94.0% 93.0%
LNG 約6,498万トン オーストラリア 39.7% 10.8% 6.3%
石炭 約1億6,195万トン オーストラリア 66.3% 0% 0%

表:原油・LNG・石炭の輸入先の比較(2025年、貿易統計ベース。資源エネルギー庁「エネルギーを巡る最近の動向について」2026年6月 ほか)

原油は中東に、石炭はオーストラリアに、それぞれ大きく偏っています。LNGは、輸入先が10か国以上に分かれている分、1国が止まっても代わりを探しやすい構造です。ただし、どの燃料も国内産が少なく、輸入に頼る点は共通しています。

6. 輸入した燃料は、発電にどう使われているか

電気をつくるときに使われる燃料の内訳は、次のとおりです。2024年度の発電電力量は9,911億kWhで、火力(石炭・LNG・石油等)が67.5%、非化石電源(原子力・再エネ)が32.5%でした(資源エネルギー庁の確報値)。

LNG32.2%石炭28.1%石油等7.2%原子力9.4%再エネ(水力含む)23.1%

図:日本の発電電力量の電源別構成(2024年度。資源エネルギー庁「令和6年度エネルギー需給実績(確報)」の発電電力量から算出)

電源(2024年度) 発電電力量(億kWh) 構成比 主な燃料の輸入先
LNG火力 3,194 32.2% オーストラリア・マレーシアなど
石炭火力 2,785 28.1% オーストラリア・インドネシアなど
石油等火力 711 7.2% 中東が中心(原油)
原子力 935 9.4% ―
再エネ(水力含む) 2,286 23.1% ―
合計 9,911 ― ―

表:電源別の発電電力量(2024年度確報)。LNG・石炭・石油等の構成比は、発電電力量から当社が計算

発電の主役はLNGと石炭で、中東に偏る原油(石油等)は7.2%にとどまります。電気料金への影響を考えるときは、原油の中東依存度の高さだけでなく、LNGと石炭の国際価格がより重要になります。

なお、電源構成は集計の方法によって数字が変わります。ここでは、自家発電を含めた資源エネルギー庁の総合エネルギー統計の値を使っています。電力会社ごとの電源構成は、別の記事(北海道電力を含めた旧一般電気事業者の電源構成について解説)で扱っています。

7. 2026年のホルムズ海峡の通航困難とは何だったのか

2026年2月末以降、米国・イスラエルとイランの攻撃の応酬を受けて、ホルムズ海峡の通航が困難になりました。エネルギー白書2026(2026年10月23日閣議決定)の概要は、次の点を記しています。

  • 2026年2〜3月に、海峡を通る船舶数が一時約99%減った
  • 原油価格が、2026年中に一時約6割上昇した
  • 2026年4月には、中東からの原油調達量が約3割まで低下した
  • 日本は、国家備蓄を2回に分けて放出した(第1弾は2026年3月26日に約850万kl、第2弾は5月1日に約580万kl)
  • 2026年7月末時点の石油備蓄は約206日分(国家103日、民間98日、産油国共同4日)
  • 2026年6月に覚書が署名されて停戦状態になったが、8月の交渉期限までに最終合意はなく、海峡の通航は回復していない(白書概要の記述)

資源エネルギー庁の資料(2026年5月12日時点)では、原油の代替調達は、4月調達分で約25%、5月調達分で約6割、6月調達分で7割以上の見通しと示されました。中東以外では、米国のほか、中南米やアジア太平洋、アフリカなどに調達先を広げています。

ポイント:影響は燃料ごとに違う

2025年の数字で見ると、ホルムズ海峡に依存する割合は、原油が93.0%、LNGが6.3%、石炭が0%です。2026年3月27日の資源エネルギー庁の資料は、大手電力のLNG在庫が3月22日時点で239万トンあり、事業者の見解として「直ちに安定供給に影響が出るものではない」と紹介しています。ただし同じ資料は、卸電力市場(JEPX)のスポット価格が2月27日の9.48円/kWhから3月27日の14.08円/kWhに上昇したことも示しています。量の不足より、価格の上昇が電気料金に表れやすいといえます。

備蓄放出の仕組みや、北海道の灯油への影響は、別の記事(石油の国家備蓄放出とは)で扱っています。

8. 燃料価格は、どのように電気料金へ反映されるのか

① 燃料費調整制度のしくみ

電気料金には「燃料費調整制度」があります。資源エネルギー庁によると、毎月の原油・LNG・石炭の貿易統計価格を加重平均し、そのうち3〜5か月前の3か月分を平均した「平均燃料価格」を、基準燃料価格と比べて料金に反映する仕組みです。基準燃料価格は、料金改定の申請時の直近3か月の貿易統計価格の加重平均にもとづきます。

1
国際市場で燃料価格が動く
原油・LNG・石炭の価格は、需給や地政学リスクで上下します。
▼
2
貿易統計の輸入価格に表れる
日本の輸入価格は円建てで集計されるため、為替の動きも影響します。
▼
3
3か月平均が、最短2か月後の料金に反映される
資源エネルギー庁の例では、12月〜翌2月の燃料価格が、5月の電気料金に反映されます。

上の例と同じ考え方を当てはめると、2026年3〜5月の燃料価格は、最短で8月分の料金に反映される計算です(当社による当てはめ)。燃料価格が動いてから、請求書に表れるまで数か月の時間差があります。

また、燃料費調整には、自動で反映できる上昇幅に上限(基準燃料価格の1.5倍)が設けられています。ただし、法人向けの自由料金や市場連動型のプランでは、調整の方法や上限の有無が契約ごとに異なります。契約書で確認してください。

② 電気料金が動く理由は、燃料だけではない

電気料金は、燃料費調整額のほかに、託送料金(送配電網の利用料金)、容量拠出金、再エネ賦課金などで構成されます。燃料価格が落ち着いても、こうした要素の改定で請求額が動くことがあります。北海道電力・ほくでんネットワークの2026年11月1日の改定(予定)はこちらの記事、燃料費調整と電源調達調整費の違いはこちらの記事、中東情勢と北海道の電気料金の関係はこちらの記事で扱っています。

9. 北海道の法人が、まず確認しておきたいこと

北海道 輸入燃料の動きを、自社の契約と設備に結びつける

① 電気料金の契約の中身 — 燃料費調整の有無、上限の有無、市場価格(JEPX)への連動の有無を、契約書・料金表で確認します。反映までの時間差があるため、請求額の変化は、燃料価格が動いた数か月後に表れます。

② 灯油・重油・LPガスの使用量 — 冬の暖房や給湯に使う燃料は、原油などの国際価格と為替の影響を、電気とは別に受けます。月別の使用量と単価を並べて記録すると、変動の影響を把握しやすくなります。

③ 使用量そのものを減らす取り組み — 照明や空調、ボイラーの効率を上げて使用量を減らせば、価格が変動しても影響額は小さくなります。具体的な方法は、灯油・重油・LPG・電気の熱量単価比較の記事が参考になります。

④ 国・自治体の支援情報 — 電気・燃料の価格に対する支援策は、期間や条件が変わります。利用前に、資源エネルギー庁や北海道の最新の公表を確認してください。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 日本の原油の輸入先は、どこが多いですか?

A. 2025年は、UAEが43.3%、サウジアラビアが39.4%、クウェートが6.2%、カタールが4.2%でした。中東全体で94.0%を占めます(貿易統計ベース、資源エネルギー庁資料)。

Q2. 石炭とLNGは、どこから輸入していますか?

A. どちらも最大の輸入先はオーストラリアで、2025年は石炭が66.3%、LNGが39.7%です。LNGは、マレーシア(14.8%)、ロシア(8.9%)、米国(6.9%)など、輸入先が10か国以上に分かれています。

Q3. ホルムズ海峡が通れないと、電気は足りなくなりますか?

A. 2025年のホルムズ依存度は、原油が93.0%、LNGが6.3%、石炭が0%です。2026年3月27日の資源エネルギー庁の資料は、大手電力のLNG在庫が239万トン(3月22日時点)あり、事業者が「直ちに安定供給に影響が出るものではない」との見解を示していると紹介しています。一方で、卸電力市場の価格は上昇しました。

Q4. 燃料価格が上がると、電気料金はいつ上がりますか?

A. 燃料費調整制度では、3〜5か月前の3か月分の平均燃料価格が、最短2か月後の料金に反映されます。例として、12月〜翌2月の燃料価格は、5月の料金に反映されます。市場連動型のプランは、契約ごとに反映の仕組みが異なります。

Q5. 日本のエネルギー自給率は、どのくらいですか?

A. 2024年度は16.3%(IEA基準、確報)です。化石エネルギー依存度は80.1%でした。

11. まとめ

  • 原油は中東に94.0%、石炭はオーストラリアに66.3%、LNGはオーストラリアに39.7%を依存しています(2025年、貿易統計ベース)。
  • 自給率は16.3%、化石エネルギー依存度は80.1%です(2024年度)。発電では、LNGが32.2%、石炭が28.1%を占めます。
  • 2026年のホルムズ海峡の通航困難では、依存度が高い原油への影響が大きく、LNGと石炭は量より価格の面で影響が出やすい構造です。
  • 燃料価格は、燃料費調整制度を通じて、最短2か月後の電気料金に反映されます。契約ごとの調整方法を確認しておくことが大切です。
  • 電気・灯油・重油・LPガスの使用量と単価を月別に記録し、使用量そのものを減らす取り組みを進めると、価格変動の影響を小さくできます。

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記事情報
公開日:2026年3月23日
最終更新日:2026年10月30日(全面改訂)
参照資料:
・資源エネルギー庁「令和6年度エネルギー需給実績(確報)」2026年4月14日公表(資源エネルギー庁、概要PDF)
・資源エネルギー庁「エネルギーを巡る最近の動向について」2026年6月(PDF)
・資源エネルギー庁 資源・燃料部「資源・燃料政策を巡る状況について」2026年5月15日(PDF)
・資源エネルギー庁「燃料調達をめぐる動向と電力・ガスの安定供給について」2026年3月27日(PDF)
・経済産業省「「令和7年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2026)が閣議決定されました」2026年10月23日(経済産業省、概要PDF)
・資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」(資源エネルギー庁)
※2026年10月30日時点の情報です。輸入先の割合は、資源エネルギー庁の資料に掲載された貿易統計ベースの値で、集計区分や年(度)により数字が異なります。中東情勢は変化が続いているため、最新の状況は経済産業省・資源エネルギー庁の公表をご確認ください。