新電力の代理店とは?媒介・取次・代理の違いと、法人が提案を受けたときの確認点

電力の「媒介・取次ぎ・代理」は、電気を売る登録を受けていない会社が、電気の契約に関わる3つの形です。違いは「電気の契約書の相手方が誰か」で見分けます。媒介と代理では、契約の相手方は小売電気事業者(電気を売る登録事業者)です。取次ぎでは、契約の相手方は取次業者で、電気料金の支払先も取次業者です(経済産業省の指針のモデル図)。どの形でも、実際に電気を供給するのは小売電気事業者です。

「代理店だから危ない」「手数料が乗るから高い」と決まるわけではありません。媒介・取次ぎ・代理は電気事業法が認めている形です。電気事業法第2条の13は、媒介・取次ぎ・代理を行う会社にも、小売電気事業者と同じく、料金など供給条件の説明と書面の交付を義務づけています。法人が見るべきなのは、契約の相手方、請求と問い合わせの窓口、料金の中身(手数料の扱いを含む)、解約条件が、書面で説明されているかどうかです。

この記事では、2026年10月30日時点の電気事業法・施行規則・「電力の小売営業に関する指針」(令和8年6月8日最終改定)をもとに、3つの違い、説明・書面交付の義務、指針で問題となる行為、手数料について確認できること、提案を受けたときの確認項目、苦情・相談の窓口を整理します。特定の事業者の評価は扱いません。

この記事でわかること
・媒介・取次ぎ・代理の定義と、契約の当事者・請求先・責任の違い
・電気事業法第2条の13(供給条件の説明・書面交付)が、媒介等の会社にもかかること
・「電力の小売営業に関する指針」で問題となる勧誘・説明の行為
・代理店の手数料について、公的資料で確認できること・できないこと
・法人が提案を受けたときの確認項目と、苦情・相談の窓口

更新履歴

  • 2026年10月30日:全面改訂。記事名を「新電力の代理店とは?」の形に変更。電気事業法第2条の13・第2条の14と施行規則の説明事項、指針(令和8年6月8日最終改定)で問題となる行為、手数料について確認できる範囲、確認項目、苦情・相談窓口を追加。根拠を確認できない記述と、ガス事業の資料に基づく図を削除
  • 2024年9月5日:初版公開

1. 媒介・取次ぎ・代理とは?電気事業法上の位置づけ

電気を売るには、経済産業大臣の登録が必要です(電気事業法第2条の2)。登録を受けた事業者が小売電気事業者です。一方、登録のない会社でも、小売供給契約(電気の売買契約)の締結の「媒介」「取次ぎ」「代理」を業として行うことは、電気事業法上許容されています(指針38頁)。

指針は、3つを次のように説明しています。

形 指針の説明 やさしく言うと
媒介 小売電気事業者と、電気の供給を受けようとする者の間に立って、小売供給契約の成立に尽力する事実行為 契約がまとまるよう働きかける。契約を結ぶのは小売電気事業者と需要家
取次ぎ 自己の名で、小売電気事業者の計算において、小売供給契約をすることを引き受ける行為 取次業者が、自分の名前で需要家と契約を結ぶ。電気を供給するのは小売電気事業者
代理 小売電気事業者の名で、その者のためにすることを示して行う意思表示 小売電気事業者の名前で契約の意思表示をする。契約を結ぶのは小売電気事業者と需要家

表:媒介・取次ぎ・代理の定義(経済産業省「電力の小売営業に関する指針」2(2)ア、令和8年6月8日最終改定)

3つの形のどれでも、電気の小売供給を行い、小売電気事業者としての義務を負うのは小売電気事業者です。供給能力の確保や苦情・問い合わせの処理などの業務を他社に委託する場合でも、小売電気事業者が自ら需要家に電気を供給することと、自ら一般送配電事業者(送配電網を運営する事業者)と託送供給契約(送配電網の利用契約)を結ぶことは必要とされています(指針44頁)。

「代理店」「取次店」という呼び名は、指針の用語ではありません。指針の用語は「媒介・取次・代理業者」です。営業の現場では、呼び名がどの形にも使われることがあります(推測)。呼び名ではなく、実際にどの形で契約が結ばれるのかを、書面で確認します。

2. 3つの違い:契約の当事者、請求・問い合わせ先、責任

指針のモデル図と電気事業法をもとに、3つの違いを表にまとめます。

項目 媒介 取次ぎ 代理
小売供給契約の当事者 小売電気事業者と需要家 取次業者と需要家(小売電気事業者は契約の締結主体にならない) 小売電気事業者と需要家
電気を供給する者 小売電気事業者 小売電気事業者 小売電気事業者
電気料金の支払先 小売電気事業者(契約の相手方であるため。指針に支払先の明記はなく、推測。契約書・請求書で確認) 取次業者(モデル図に、需要家の「電気料金の支払」と記載) 小売電気事業者(媒介と同じ。契約書・請求書で確認)
託送供給契約(送配電網の利用契約) 小売電気事業者が結ぶ 小売電気事業者が結ぶ 小売電気事業者が結ぶ
説明・書面交付の義務 媒介業者にある 取次業者にある 代理業者にある
苦情・問い合わせの処理義務(第2条の15) 小売電気事業者 小売電気事業者。取次業者が処理することは妨げられない(指針41頁) 小売電気事業者
手数料の記載(指針のモデル図) なし 「取次手数料の支払」の記載あり なし

表:媒介・取次ぎ・代理の違い(経済産業省「電力の小売営業に関する指針」のモデル図・本文、電気事業法第2条の13・第2条の15をもとに作成)

契約の当事者が違うのは取次ぎだけ

取次ぎでは、契約書の相手方、請求書の発行元、料金の支払先が取次業者になります。電気を供給するのは小売電気事業者ですが、需要家が契約を結ぶ相手は取次業者です。指針は、この特殊性から、次の点を守ることを求めています(指針41頁)。

  • 託送供給契約は、取次業者ではなく、小売電気事業者が一般送配電事業者と結ぶこと
  • 取次業者は、小売電気事業者の名称を説明するなど、説明義務・書面交付義務を守り、電気を供給するのは取次業者ではなく小売電気事業者であることを、誤解のないように説明すること
  • 供給能力の確保や苦情等の処理といった小売電気事業者の義務は、小売電気事業者が負うこと
  • 取次業者がさらに他の者に取次ぎを委託する「順次取次ぎ」と、需要家側の取次ぎを行わないこと
  • 小売電気事業者は、取次契約の解除等で需要家が不利益を受けないよう、十分な需要家保護策をとること(例:従前と同等の小売供給契約を、需要家と直接結ぶ)

責任の分担:供給は小売電気事業者、説明は媒介等の会社にも

供給能力の確保(電気事業法第2条の12)や苦情・問い合わせの処理(同第2条の15)は、小売電気事業者の義務です。一方、供給条件の説明と書面の交付は、小売電気事業者と媒介・取次ぎ・代理を行う会社の両方の義務です(同第2条の13・第2条の14)。

指針は、小売電気事業者が媒介・取次・代理業者に、説明義務・書面交付義務を守るよう指示・監督しないことも問題としています(指針39頁)。媒介・取次・代理業者が問題となる行為をしても、小売電気事業者の指導・監督が適切でない場合は、小売電気事業者自身の行為が問題になるという整理です(指針4頁ほか)。

ただし、指針が示しているのは、業務改善命令などの対象になり得る行為の考え方です。返金や損害の負担といった契約上の責任の分担は、契約書の定めによります(推測)。契約書で、誰が何に責任を持つのかを確認します。

もうひとつの「代理」:需要家の代理(需要家代理モデル)

指針は、需要家に代わって、小売電気事業者との料金交渉や料金請求などをまとめて行う「需要家代理モデル」も挙げています。このモデルの代理事業者はあくまで需要家の代理で、小売供給契約の主体は小売電気事業者と需要家です。電気事業法の規制の対象外とされています(指針43頁)。

ただし、需要家の保護の観点から、需要家代理モデルの代理事業者も、小売電気事業者に求められるものと同等の説明・書面交付を行うことが望ましいとされています(指針14頁・43〜44頁)。提案会社が「小売電気事業者の側の代理」なのか「自社の側の代理」なのかで、法律上の義務が違います。最初に確認します。

3. 電気事業法第2条の13:説明と書面交付は媒介等の会社にもかかる

電気事業法第2条の13は、次のように定めています(条文を要約)。

  • 第1項:小売電気事業者と、小売供給契約の締結の媒介・取次ぎ・代理を業として行う者(あわせて「小売電気事業者等」)は、小売供給を受けようとする者と契約をしようとするとき、またはその媒介・取次ぎ・代理をしようとするとき、経済産業省令で定めるところにより、料金その他の供給条件を説明しなければならない
  • 第2項:説明をするときは、省令で定める場合を除き、供給条件を記載した書面を交付しなければならない
  • 第3項:書面の交付に代えて、相手の承諾を得て、電子的な方法で提供できる

続く第2条の14は、契約を結んだとき(媒介の場合は、媒介により契約が成立したとき)に、小売電気事業者等の氏名・名称と住所、契約年月日、料金その他の供給条件を記載した書面を、遅滞なく交付することを求めています。つまり、原則として、契約の前(説明のとき)と後の2回、書面が必要です。

説明の相手は「小売供給を受けようとする者(電気事業者である者を除く)」です。法人も対象に含まれます。個人向けだけの制度ではありません。

説明で伝えられる主な事項

説明する事項は、電気事業法施行規則第3条の12第1項に26号まで定められています。媒介等の会社が関わる提案で、特に確認したい事項を抜き出します。

区分 主な事項(施行規則第3条の12第1項の号)
誰が契約し、誰に聞くか 小売電気事業者の名称と登録番号(1号)。媒介等を行う場合は、その旨と会社の名称(2号)。小売電気事業者と媒介等の会社それぞれの連絡先と、苦情・問い合わせに応じる時間帯(3号・4号)
料金 料金(額の算出方法を含む)(7号)。燃料や電力の取引価格で料金が変動する場合は、その旨、変動額の算出方法、上限の有無(8号)。電気計器・工事の費用負担(9号)。ほかに需要家の負担となるもの(10号)。支払方法(15号)
契約期間・解約 契約期間(17号)と更新(18号)。変更・解除・解約の連絡先と方法(19号)。期間の制限(20号)、違約金など負担(21号)、その他の条件(22号)。小売電気事業者または取次業者からの変更・解除・解約(23号)

表:供給条件の説明事項(電気事業法施行規則第3条の12第1項から抜粋。2026年10月30日時点の現行条文)

説明と書面のルール

  • 説明は、需要家の知識、経験、契約を結ぶ目的に照らして、需要家に理解されるために必要な方法と程度で行う(施行規則第3条の12第6項)。情報を渡すだけでは足りず、需要家が理解できるようにすることが趣旨とされています(指針58頁)
  • 契約前の書面(契約締結前交付書面)の記載事項は、説明する事項と同じ(同第9項)。文字は8ポイント以上で、判断に影響する特に重要な事項は枠の中に12ポイント以上で記載する(同第13項)
  • 電話で説明する場合は、相手の承諾があれば書面なしで説明できます。その場合も、説明のあと遅滞なく書面を交付する(同第7項第1号・第8項)
  • 相手の承諾を得て、電子メールなどの電子的な方法で書面に代えることもできる(電気事業法第2条の13第3項、施行規則第3条の12第14項)

違反したときの扱い

経済産業大臣は、小売電気事業者等が第2条の13第1項または第2項に違反したとき、業務の方法の改善に必要な措置をとることを命じることができます(電気事業法第2条の17第2項)。この命令に違反した場合は、罰則(300万円以下の罰金)の対象になり得ます(同第118条第1号)。

4. 「電力の小売営業に関する指針」で問題となる行為(勧誘・説明)

指針は、小売電気事業者と媒介・取次・代理業者を対象に、望ましい行為と、電気事業法上問題となる行為(業務改善命令または業務改善勧告の原因となり得る行為)を示しています(指針1〜2頁)。個別の事案は、取引の実態を踏まえて判断されるとされています(指針1頁)。

営業・説明に関わる主な「問題となる行為」を、表にまとめます。

行為 指針の整理
供給条件の説明・書面交付をしない 小売電気事業者等が、説明義務や契約前の書面交付義務に違反することは問題(8頁)
料金について、虚偽や誤解を与える説明をする 料金について虚偽の事実を告げることは、説明義務に違反する。市場連動型や燃料費調整のある料金で、料金が安くなる点だけを告げ、高くなる可能性を告げないことも同様(10〜11頁)
媒介等の会社が「自社の電気を供給している」と表示する 実際に供給するのは小売電気事業者。広告・チラシ・説明などで、自社が電気を供給するかのように表示することは問題。指針は、媒介・取次・代理業者が「自社の電気を供給している」旨の表示等を行うと、需要家の誤解や混乱を招くおそれがあるため問題となる、としている(40頁)
電気とほかの商品・サービスのセット販売で、必要な説明をしない 契約先が異なるときはその旨、割引が適用される条件、キャッシュバックを誰がどのような手続で行うかを説明し、書面に記載する必要がある(9〜10頁)
受電実態のない者が、需要家に代わって契約名義人になる 受電実態のない者が、需要家に代わり自社名義で、または需要家の契約名義を書き替えて契約し、需要家に電気を提供する行為は、原則として問題。親子関係など「一定の特別な関係」がある場合は、例外的に許容されることがある(36〜37頁)
解約を不当に制約する 解除を一切認めない期間を設ける、不当に高額な違約金を設定する、自動更新で更新を拒否できる期間を極めて短くする、解除の申出に応じない、手続の方法を明示しない、などが例(46〜47頁)
料金の算出方法を明確に定めない 「当社が毎月末に請求する額」「時価」とするなど。明確な算式にもとづき、卸電力取引所の価格に連動する契約は問題がないとされる(46頁)
小売電気事業者が、媒介・取次・代理業者を指導・監督しない 説明義務・書面交付義務を守るよう指示・監督しないことは問題(39頁)

表:営業・説明に関わる主な問題となる行為(経済産業省「電力の小売営業に関する指針」令和8年6月8日最終改定。頁は指針の頁番号)

重要 「小売電気事業者の代理店」を名乗る営業への注意

指針は、小売全面自由化に便乗して、小売電気事業者やその代理店であると詐称し、不当に電気料金を取得したり、各種機器の販売を勧誘したりする事例が発生していると述べています。長期かつ高額のリース契約を伴い、解約でトラブルになるものもあるとされています(指針41〜42頁)。

指針は、小売電気事業者が、業務提携をしている媒介・取次・代理業者の名称を、自社のホームページで分かりやすく掲載することを「望ましい行為」としています(同42頁)。提案会社が名乗る小売電気事業者のホームページで、提携先として載っているかを確認する方法があります。ただし、掲載は義務ではないため、載っていないだけで問題があるとは言えません。

5. 代理店の手数料と電気料金の関係:確認できること・できないこと

「代理店は手数料で稼ぐから、料金が高くなる」という話を目にします。この点について、公的資料で確認できる範囲を、先に整理します。

区分 内容
確認できること 指針の取次ぎのモデル図に、取次業者と小売電気事業者の間の取次契約の内容として「電気料金の引渡し/取次手数料の支払」が示されている(39頁)。需要家が取次業者に支払った電気料金が小売電気事業者に引き渡され、取次手数料が支払われる関係を表した図と読める(推測を含む)
確認できること 説明の対象は、料金(額の算出方法を含む)と、そのほかに需要家の負担となるもの(施行規則第3条の12第1項第7号・第10号)。指針は、電気料金に工事費等が含まれている場合の請求書への内訳明記や、託送料金相当額などの内訳明記を「望ましい行為」としている(5〜6頁)
確認できないこと 媒介・代理のモデル図には、手数料や料金の流れの記載がない。手数料の水準や計算方法(単価への上乗せか、使用量・契約電力に応じてか、一時金か)を定めた規定や、公的な相場は見当たらない。このため、本記事では目安の数字を示さない
確認できないこと 手数料の額や、手数料が電気料金に含まれるかどうかを、需要家に開示するよう義務づける規定。説明事項(施行規則第3条の12第1項の26号まで)に、「手数料」という項目は見当たらない(本記事で確認した法令・指針の範囲)

表:代理店の手数料について公的資料で確認できる範囲(経済産業省「電力の小売営業に関する指針」、電気事業法施行規則第3条の12をもとに作成)

ここから先は推測です。小売電気事業者が媒介等の会社に手数料を支払う場合、その原資は小売電気事業者の収入です。そのため、手数料の負担が電気料金の設定に織り込まれている場合があると考えられます(推測)。一方、手数料の有無や大きさが、提案された料金にどう影響しているかは、公的資料からは分かりません。

手数料があること自体は、指針が許容する仕組みの一部です。「手数料があるから高い」「手数料があるから不当」と、一律に言うことはできません。提案された料金が妥当かどうかは、同じ前提の見積りを並べて、年間総額で比べることで判断します。

手数料について聞くときのポイント

  • 提案会社の報酬は、誰から、どのような形(単価への上乗せ、一時金、そのほか)で支払われるのか
  • 提案された電気料金に含まれているのか、電気料金とは別の請求があるのか
  • 提案会社が需要家の代理の立場なら、その対価を誰がどのように支払うのか
  • 提案会社との関係が終わった場合に、単価や契約条件が変わるのか
  • ほかの小売電気事業者の見積りと、同じ前提(使用量・契約電力・力率・期間)で年間総額を比べたか

見積りの比べ方は、「新電力の料金プラン比較5つのポイント|法人の高圧・低圧の見積りの比べ方【北海道】」で解説しています。

6. 法人が提案を受けたときの確認項目

電気の提案を受けたときは、料金の安さに目が向きがちです。契約の相手方と窓口の確認を先にすると、あとで困りにくくなります。次の表の項目を、提案書や説明書面と照らして確認します。

確認項目 見る場所・聞き方 根拠
1. 電気を供給する小売電気事業者はどこか 説明書面の小売電気事業者の名称と登録番号を、資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」(令和8年10月30日現在、826事業者)で照合する 電気事業法第2条の2、施行規則第3条の12第1項第1号
2. 提案会社の立場は何か 「媒介・取次ぎ・代理」のどれか、またはどれでもない(需要家の代理など)。媒介等の旨と会社名が書面にあるか 同第2号、指針43〜44頁
3. 契約書の相手方、請求書の発行元、支払先 契約書の当事者欄、請求書の発行元、振込先。取次ぎなら、いずれも取次業者になる 指針38〜41頁
4. 問い合わせ・苦情・解約の窓口 小売電気事業者と提案会社それぞれの連絡先、受付の時間帯、解約の連絡先と方法 同第3号・第4号・第19号
5. 料金の算出方法と変動の仕組み 単価と算出方法、燃料費調整や市場連動で変わる場合の変動額の算出方法と上限の有無、別に負担するもの、手数料の扱い 同第7号〜第10号
6. 契約期間・更新・解約 契約期間、自動更新の申出期限、解約の制限、違約金、小売電気事業者や取次業者から解約される条件 同第17号〜第23号
7. 書面を受け取ったか 説明のときの書面(契約締結前交付書面)と、契約後に遅滞なく届く書面(契約締結後交付書面) 電気事業法第2条の13第2項、第2条の14
8. 営業での名乗り方・表示 電力会社であるかのように名乗っていないか。名乗る小売電気事業者のホームページに、提携先として載っているか 指針40頁・42頁
9. 今の契約の解約条件 現在の契約の期間と違約金。切替え先は、旧契約の解除が必要なことと違約金が生じ得ることを説明することが望ましいとされている 指針13頁
10. 取次ぎの場合:取次契約が終わったときの扱い 取次業者と小売電気事業者の契約が終わった場合に、需要家の契約がどうなるか。契約書にどう書かれているか 指針41頁

表:電気の提案を受けたときの確認項目(電気事業法、施行規則第3条の12、経済産業省「電力の小売営業に関する指針」をもとに作成)

料金の比較の手順は「新電力の料金プラン比較5つのポイント|法人の高圧・低圧の見積りの比べ方【北海道】」、契約先の撤退・倒産時の通知や最終保障供給は「新電力は本当にやばい?倒産・撤退の実態と法人が契約前に確認すべき5つの点」、電気代全体の対策の中での契約見直しの位置づけは「法人の電気代高騰対策まとめ【北海道】|料金の仕組みから契約・設備・補助金まで」で解説しています。

重要 法人の契約では、クーリング・オフが使えないことがある

特定商取引法の訪問販売・電話勧誘販売の規定(クーリング・オフを含む)は、営業のために、または営業として締結する契約には適用されません(同法第26条第1項第1号)。事業のために電気を契約する法人は、契約したあとに申込みを撤回する手段に頼れない場合があります。契約前の説明と書面の確認が、いっそう大切です。

7. 困ったときの苦情・相談の窓口

提案の内容や営業のしかたに疑問があるときの、相談の進め方です。

1
契約書・説明書面にある窓口へ申し出る
小売電気事業者には、苦情・問い合わせを適切かつ迅速に処理する義務があります(電気事業法第2条の15)。小売電気事業者等が苦情・問い合わせに応じる連絡先は、供給条件の説明のときに伝えるほか、ホームページ等でも確認できるようにすることが求められています(指針48頁)。申出の日付と内容は、メールなどで記録を残します。
▼
2
電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(情報提供窓口)に連絡する
電話は03-3501-5725、受付は9時30分〜18時15分です(土日祝日と年末年始(12月29日〜1月3日)を除く)。窓口は、小売供給契約を結ぶ際のトラブル等の相談と、事業者の法令違反行為の相談・情報提供を受け付けています。あっせん・仲裁は行っていません。窓口の案内には「消費者の皆様が小売供給契約を結ぶ際のトラブル等」と書かれており、法人の契約が相談の対象に含まれるかは明記されていません。まず電話で確認してください。
▼
3
文書で苦情の申出をする
電気事業法第111条は、小売電気事業者等の電気の供給、または小売供給契約の締結の媒介・取次ぎ・代理について苦情のある人が、経済産業大臣または電力・ガス取引監視等委員会に、理由を記載した文書を提出して苦情の申出をできると定めています(委員会に対するものは、電力の取引に関するものに限る)。申出があったときは、誠実に処理し、結果を申出者に通知しなければならないとされています。

図:苦情・相談の進め方(電気事業法第2条の15・第111条、電力・ガス取引監視等委員会「相談窓口(情報提供窓口)」をもとに作成)

返金や損害の負担といった契約上の争いは、窓口ではあっせん・仲裁が行われません。契約書の定めにもとづき、当事者間で協議するか、弁護士などの専門家に相談します。

8. よくある失敗と注意点

注意 「電力会社の担当者」だと思い込んで進める

名刺やパンフレットに、小売電気事業者の名称があっても、提案会社が媒介・取次ぎ・代理のどの立場なのかが分からないことがあります。指針は、媒介等の会社が「自社の電気を供給している」と表示することを問題としています。電気を供給する会社の名称と、提案会社の立場(媒介・取次ぎ・代理)を、書面で確認します。

注意 口頭の説明だけで申し込む

供給条件の説明には、書面の交付が必要です(電話での説明に承諾した場合は、説明のあと遅滞なく交付)。書面が届かない、または説明の内容と書面が違う場合は、申し込む前に、提案会社と小売電気事業者に確認します。

注意 単価の安さだけを見て、解約条件と自動更新を見ない

指針は、解除を著しく制約する契約条項を問題としています。契約期間、自動更新の申出期限、違約金を、見積りの金額と同じ重さで確認してください。

注意 取次ぎで、契約の相手方を取り違える

取次ぎでは、契約の相手方、請求書の発行元、支払先、解約の連絡先が取次業者になります。電気を供給する会社とは別の会社です。請求書と契約書で、どちらの会社の名前になっているかを確認します。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 媒介・取次ぎ・代理の違いを、一言で言うと何ですか?

A. 契約書の相手方が誰か、です。媒介と代理では、契約の相手方は小売電気事業者です。取次ぎでは、契約の相手方は取次業者です。どの形でも、電気を供給するのは小売電気事業者で、説明と書面交付の義務は媒介等の会社にもあります(電気事業法第2条の13・第2条の14)。

Q2. 代理店を通すと、電気料金は高くなりますか?

A. 一律には言えません。法令や指針には、媒介等の会社に支払う手数料の水準や、手数料を需要家に開示する義務を定めた規定は見当たらず、公的な相場も確認できませんでした。手数料の有無にかかわらず、同じ前提(使用量・契約電力・力率・期間)で複数の見積りを年間総額で比べて判断します。

Q3. 契約書の相手方が提案会社で、電気は別の会社が供給すると言われました。問題ですか?

A. 取次ぎの形と考えられます。取次ぎは、電気事業法上許容された形です。そのうえで、取次業者は小売電気事業者の名称などを説明する必要があります。請求書の発行元や支払先、取次契約が終わった場合の扱いを、書面で確認してください(指針41頁)。

Q4. 法人でも、クーリング・オフはできますか?

A. 営業のために、または営業として締結する契約には、特定商取引法の訪問販売・電話勧誘販売の規定(クーリング・オフを含む)は適用されません(同法第26条第1項第1号)。事業のための電気契約では、使えない場合があると考えて、契約前に確認します。

Q5. 取次業者との契約が終わったら、電気は止まりますか?

A. すぐに止まると決まっているわけではありません。指針は、小売電気事業者に、取次契約の解除等で需要家が不利益を受けないよう、十分な需要家保護策をとることを求めています(例:従前と同等の契約を需要家と直接結ぶ)。また、需要家の責めに帰すべき事由によらず、小売電気事業者または取次業者から契約を解除等する場合は、高圧・特別高圧では90日の期間を確保する必要があります(指針53頁)。撤退・倒産時の通知や切替えの手順は「新電力は本当にやばい?倒産・撤退の実態と法人が契約前に確認すべき5つの点」で解説しています。

10. まとめ

  • 媒介・取次ぎ・代理の違いは、契約書の相手方。取次ぎだけ、契約・請求・支払の相手が取次業者になる
  • どの形でも、電気を供給するのは小売電気事業者。説明と書面交付の義務(電気事業法第2条の13・第2条の14)は、媒介等の会社にもかかる
  • 指針は、自社の電気を供給していると表示する、料金で誤解を与える、解約を不当に制約するなどを問題としている
  • 手数料は、取次ぎのモデル図に記載がある。水準や開示の定め、公的な相場は確認できない。年間総額で比べて判断する
  • 提案を受けたら、供給する小売電気事業者、提案会社の立場、窓口、料金の算出方法、解約条件を書面で確認する。法人はクーリング・オフが使えないことがある
  • 困ったときは、契約書の窓口、電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口、第111条の文書による苦情の申出の順に相談する

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記事情報
公開日:2024年9月5日
最終更新日:2026年10月30日(全面改訂)
参照資料:
・e-Gov法令検索「電気事業法」(昭和39年法律第170号)(e-Gov法令検索)
・e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」(平成7年通商産業省令第77号)(e-Gov法令検索)
・e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(e-Gov法令検索)
・経済産業省「電力の小売営業に関する指針」(令和8年6月8日最終改定)(PDF)
・資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」(令和8年10月30日現在)(資源エネルギー庁)
・電力・ガス取引監視等委員会「相談窓口(情報提供窓口)」(電力・ガス取引監視等委員会)
※2026年10月30日時点の情報です。法令・指針は改正されることがあります。指針の頁番号は、令和8年6月8日最終改定版の頁番号です。個別の契約の判断は、契約書と説明書面の内容にもとづいてください。手数料の仕組みに関する「推測」と書いた部分は、公的資料では確認できていない見立てです。