新電力はなぜ安い?法人向けに安さの理由と高くなる条件を解説【北海道】

新電力はなぜ安い?安さの理由と高くなる条件(法人向け・北海道)

新電力の見積が北海道電力より安く出るのは、電気の調達方法、販売にかかる費用、料金の組み立て、価格変動のリスクの持たせ方が、従来の料金と違うためです。電気料金のうち託送料金や再エネ賦課金は、どの契約先でも法令等で決まります。差が出るのは、契約先が自分で決められる部分だけです。

ただし、見積が安いことと、契約後も安いことは別です。燃料費や市場価格の調整に上限があるか、容量拠出金を単価に含むか別建てか、解約時に違約金がかかるかによって、年間の総額は逆転することがあります。

この記事では、北海道の法人(高圧・低圧)が新電力の見積を見るときに、安くなる理由(調達・販売費・料金設計・市場連動)と、安くならない条件、倒産・撤退時の扱い、見積の確認手順を、官公庁・JEPX・北海道電力・ほくでんNWの公表資料にもとづいて整理します。特定の会社やプランの優劣は扱いません。

新電力の見積が安く見えるのは、調達方法・販売費・料金の組み立て・価格変動リスクの持たせ方が従来と違うためです。ただし、安さは契約後も続くとは限らず、調整項目や契約条件で逆転することがあります。

この記事でわかること
・新電力の見積が安くなる4つの理由と、高くなる条件の比較表
・電気料金のうち、契約先によって差が出る部分と出ない部分
・「新電力はやめとけ」と言われる理由のうち、公表資料で確認できる事実
・新電力が撤退・倒産したときの流れと、最終保障供給の位置づけ
・見積を同じ条件で比べるための確認手順

更新履歴

  • 2026年10月31日:初版公開

1. 新電力はなぜ安いのか:安くなる要因と高くなる要因

新電力とは、みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者)以外の小売電気事業者のことです。電力・ガス取引監視等委員会の資料によると、2026年7月分の新電力のシェアは、販売電力量ベースで24.0%、契約口数ベースで25.2%です。北海道の高圧では、新電力の販売電力量は231,304MWhで、高圧全体(1,035,920MWh)の約22.3%です(totoka算出)。

新電力の見積が安くなる理由は、大きく4つに分けて考えられます。同じ4つの項目が、条件によっては高くなる要因にもなります。

項目 安くなる要因 高くなる要因
調達方法 卸電力取引所(JEPX)の価格が低い時期に、市場からの調達が多い 市場価格が高騰した時期に、調達コストが上がる。相対契約の価格も更新で変わる
販売費など 自社電源の設備や営業体制の費用を、料金に載せていない(推測) 利益の取り方や手数料の置き方が見積書から見えない
料金設計 基本料金と電力量料金の配分が、自社の使い方(ピークと使用量)に合っている 契約電力の置き方や、容量拠出金・損失率の扱いが、単価の見た目だけでは分からない
市場連動・調整 市場価格が基準より低い期間は、調整単価がマイナスになる 燃料費調整や市場価格調整に上限がなく、高騰期に単価が大きく上がる
契約条件 契約期間中に、同じ単価が続く 自動更新、違約金、撤退時の切替の手間が加わる

表:新電力の見積が安くなる要因と高くなる要因(新電力のシェアは電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況(令和8年7月分)」による。要因の整理は各公表資料にもとづくtotokaの整理)

以降の章で、この表の項目を順に見ていきます。

2. 電気料金のうち、契約先で差が出るのは「一部」だけ

資源エネルギー庁の「料金設定の仕組み」によると、自由化後の電気料金は、事業者の裁量で算定される費目と、法令等により算定される費目の合計です。

区分 費目 契約先を替えると
法令等により算定される費目 託送料金、再エネ発電促進賦課金、法人税等、消費税等、固定資産税 変わらない(託送料金は一般送配電事業者が設定し、経済産業大臣の認可を受ける)
事業者の裁量で算定される費目(自社電源の場合) 燃料費、減価償却費、修繕費、その他経費 事業者ごとに異なる
事業者の裁量で算定される費目(他社電源から調達する場合) 購入電力料、人件費、その他経費 事業者ごとに異なる

表:電気料金の費目の分け方(資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」)

つまり、新電力と北海道電力の請求額の差は、調達費用、人件費などの経費、利益、調整の仕組みから生まれます。再エネ賦課金の2026年度の単価は4.18円/kWhで、2026年5月検針分から2027年4月検針分に全国一律で適用されます(経済産業省、2026年3月19日公表)。見積書の「再エネ賦課金」の行は、会社によって差が出ません。

北海道電力の託送料金・電気料金の改定は、北海道電力の託送料金・電気料金 値上げまとめ【2026年11月改定対応】で整理しています。

3. 安さの理由1:電気の調達方法(JEPX・相対・自社電源)

小売電気事業者が電気を調達する方法は、大きく3つです。

調達方法 内容 価格の特徴
卸電力取引所(JEPX) スポット市場(一日前市場)は翌日に受け渡す電気を、1日48コマ(30分単位)で取引する。約定方式はブラインド・シングルプライスオークション コマごとに価格が変わる
相対契約 発電事業者などと、期間・量・価格を個別に決めて購入する 契約で決めた条件。更新で変わる
自社電源 自社で発電した電気を使う 燃料費、減価償却費、修繕費などが原価になる

表:小売電気事業者の主な調達方法(JEPX「取引概要」、資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」)

調達の内訳(市場・相対契約・自社電源の比率)は事業者ごとに異なり、見積書からは分かりません。電力・ガス取引監視等委員会の指針は、需要家から要望があった場合に、価格変動がある電源を調達する場合の調達コスト変動への対応方針・取組(リスクヘッジ割合等の定量的な情報を含む)を提供することを、望ましい行為としています。

調達が安さにつながる仕組みは、次のとおりです。

  • 市場価格が低い時期は、市場から調達する比率が高い事業者ほど調達コストが下がります。
  • 相対契約は、契約を結んだ時点の価格水準で固定されます。契約期間中に市場価格が上がれば、市場調達の比率が高い事業者より有利になる場合があります。
  • 自社電源を持たない事業者は、発電設備の維持費を原価に載せなくて済みます(推測)。
北海道 北海道エリアのスポット価格は、年度で大きく動く

JEPXの公表データから集計した北海道エリアプライスの年度別の実績は、次のとおりです。

年度 平均(円/kWh) 最高(円/kWh)
2020年度 12.30 252.00
2021年度 13.74 80.02
2022年度 21.66 200.00
2023年度 11.44 50.00
2024年度 12.64 49.65
2025年度 11.70 80.00
2026年度(10月30日まで) 15.04 105.00

表:北海道エリアプライスの年度別平均と最高値(JEPX「スポット市場 約定価格」より集計)

2021年1月の北海道エリアの月平均は66.59円/kWhで、2022年度の平均も21.66円/kWhでした。一方、2023年度以降の平均は11〜13円台で推移しています。市場から調達する比率が高い事業者は、低い年度に安く提供でき、高い年度にはコストが急に上がります。市場連動プランの仕組みは、高圧電力の市場連動プランを徹底比較で詳しく解説しています。

4. 安さの理由2:販売費と料金の組み立て方

規制料金は総括原価方式、高圧は自由料金

資源エネルギー庁によると、規制料金(経過措置料金)は総括原価方式で決まります。営業費・燃料費・購入電力料・減価償却費・人件費などの費用に、事業報酬を加えた総原価と、電気料金収入が等しくなるように設定されます。低圧の規制料金は、各地域の電力会社が引き続き提供しています。

一方、高圧の小売は2004年4月と2005年4月に段階的に自由化されています。高圧では、北海道電力のメニューも新電力のメニューも、事業者が料金を設計します。このため、新電力の料金が「自由だから安い」のではなく、費用の積み上げ方と、調整の仕組みの違いで差が出ます。

販売費と利益の取り方

他社から電気を調達する事業者の裁量費目は、購入電力料、人件費、その他経費です。自社電源の設備や、広い営業体制を持たない事業者は、その費用を料金に載せなくて済む場合があります(推測)。ただし、見積書から販売費や利益の水準を読み取ることはできません。取次・媒介・代理の事業者が間に入る場合の手数料の扱いは、新電力の提案会社はどの契約方式?で整理しています。

基本料金と電力量料金の配分、契約電力の置き方

高圧の料金は、基本料金(契約電力×単価)と電力量料金(使用電力量×単価)が中心です。同じ年間総額でも、基本料金を高くして電力量料金を低くする設計と、その逆の設計があります。自社の使い方(ピークの大きさと使用量)に合う設計が、安く感じる見積になります。

北海道電力の高圧の標準約款(2026年11月1日実施版)では、契約電力500kW未満の場合、各月の契約電力は、その月の最大需要電力と前11か月の最大需要電力のうち大きい値です。力率は、毎日午前8時から午後10時までの平均力率で、85%を上回る1%ごとに基本料金を1%割引、下回る1%ごとに1%割増しします。新電力の約款では決め方が異なる場合があるため、見積書に、契約電力を何kWで試算したかが書かれているかを確認します。

損失率の補正による見かけの単価の違いは、損失率の解説で詳しく扱っています。

5. 安さの理由3:市場連動と、価格変動のリスクを誰が持つか

見積の安さは、「リスクを誰が持つか」で説明できる場合があります。固定単価のプランは、事業者が市場価格の変動リスクを持ちます。市場連動プランは、その変動を需要家に反映させるため、基準単価を低く設定できます(推測)。

北海道電力の高圧・特別高圧の燃料費等調整は、次の式で決まります。

市場価格調整単価 =(平均市場価格 − 基準市場価格12円24銭)× 調整係数(高圧0.229)
平均市場価格 = 全日の単純平均 × 0.6760 + 毎日午前8時〜午後4時の単純平均 × 0.3240

平均市場価格は3か月の平均で算定し、高圧・特別高圧では上限の設定はありません(北海道電力)。2026年11月分の高圧の燃料費等調整単価は0円75銭/kWhで、このうち市場価格調整は、平均市場価格12.77円(2026年6〜8月)にもとづきます。

この式では、市場価格が1円上がっても、調整単価は0.229円しか上がりません。仮に、電力量料金が市場価格に1対1で連動するプランがあるとすると、市場価格が1円上がれば、単価も1円上がります。月間50,000kWhの場合、北海道電力の式なら月11,450円、1対1の連動なら月50,000円の差になります(仮定の数字による算術)。市場連動プランの安さは、このリスクを受け入れた分の安さでもあります。

市場連動プランの安さを判断する3つの見方

1. 基準になる単価が、固定単価のプランと比べてどれだけ低いか
2. 市場価格が高い時間帯(夕方など)の使用が多くないか(JEPXの北海道エリアでは、2025年度の16〜19時の平均が16.49円、11〜14時が7.74円)
3. 市場価格が高騰した期間の単価を、過去のデータで試算しているか

6. 安さが続かない・逆転するケース

見積の安さが逆転する典型的な条件を、表にまとめます。

条件 何が起きるか 見積書・契約書で確認すること
燃料費調整・市場価格調整に上限がない 燃料や市場の価格が上がると、調整単価が際限なく上がる。北海道電力の高圧も上限なし 算定式、連動する指標、上限の有無
市場連動の反映 高騰期に、電力量料金そのものが上がる 過去の高騰期の単価を試算した資料
容量拠出金の転嫁 単価に含むか、別建てで加算するかで、見かけの単価と総額が変わる 込みか別建てか、別建ての単価と計算式
損失率の補正 市場価格などを補正する場合、見かけの単価が変わる 補正の有無と式
契約期間・自動更新・違約金 期間中の解約で違約金がかかる。更新時に条件が変わる 契約期間、更新の拒否期限、違約金の算定方法
契約電力の置き方 試算の契約電力が、実際の最大需要電力より小さいと、基本料金が試算より高くなる 試算に使った契約電力と、その根拠のデータ

表:新電力の見積が逆転する主な条件(北海道電力「燃料費等調整の方法」、電力・ガス取引監視等委員会「電力の小売営業に関する指針」2026年6月8日最終改定、広域機関の容量拠出金説明資料)

北海道電力の低圧の規制料金(特定小売供給約款)では、平均燃料価格が121,200円/klを上回る場合は121,200円/klを上限として算定します。高圧・特別高圧にはこの上限がありません。「調整に上限があるか」は、低圧と高圧で前提が異なります。

仮定の数字で見る:調整単価が逆転の分かれ目になる例

以下は説明のための仮定の数字です。実在の料金メニューの単価ではありません。前提は、契約電力200kW、月間使用量50,000kWhで、託送料金や再エネ賦課金など契約先で変わらない費目は比較から除きます。

項目 見積X(仮定) 見積Y(仮定)
基本料金 1,700円/kW × 200kW = 340,000円 1,900円/kW × 200kW = 380,000円
電力量料金 20.0円/kWh × 50,000kWh = 1,000,000円 22.5円/kWh × 50,000kWh = 1,125,000円
調整単価が+1.0円のとき +50,000円(合計1,390,000円) 調整なし(合計1,505,000円)
調整単価が+4.0円のとき +200,000円(合計1,540,000円) 調整なし(合計1,505,000円)

表:調整単価によって月額の大小が入れ替わる仮定の例(見積Xは調整あり・上限なし、見積Yは調整なし)

見積Xは、調整単価が+1.0円のとき月115,000円安く見えます。分かれ目は、調整単価が115,000円 ÷ 50,000kWh = 2.3円/kWhのときで、これを超えると見積Yの方が安くなります。見積の比較では、調整単価を「0円」と置くのではなく、プラスとマイナスの複数のケースで試算します。

容量拠出金の扱いでも、同じことが起きます。見積Aが容量拠出金込みで21.0円/kWh、見積Bが19.8円/kWhで容量拠出金を別建て(1.5円/kWh相当)にした場合、Bは21.3円/kWhになります。月間50,000kWhでは、Aが1,050,000円、Bが1,065,000円で、月15,000円(年180,000円)Bが高くなります(仮定の数字)。容量拠出金は、広域機関が小売電気事業者等から徴収する費用で、需要家への請求方法は契約ごとに異なります。詳細は容量拠出金とはを参照してください。

重要「単価が安い」より「年間総額と悪いケース」

見積の単価だけで決めず、調整単価や市場価格が上がったときの年間総額まで並べて比べます。比較の手順は、高圧電力の相見積・完全攻略マニュアルで詳しく解説しています。燃料費調整と電源調達調整費の違いは、電源調達調整費と燃料費調整額の違いにまとめています。

7. 新電力のリスクと、「やめとけ」と言われる理由

「新電力はやめとけ」という声には、公表資料で確認できる事実があります。ただし、リスクの大きさは、プランの種類と契約先の選び方で変わります。

言われる理由 公表資料で確認できること
市場価格の高騰で電気代が跳ね上がった 北海道エリアは2021年1月の月平均が66.59円/kWh、2022年度の年度平均が21.66円/kWh(JEPX)。市場連動型の料金は、この影響を受けた
メリットしか説明されなかった 指針は、市場連動型や燃料費調整のあるメニューでは、変動の算出方法と上限の有無の説明を求める。料金が安くなることだけを告げ、高くなる可能性を告げないことは、説明義務違反とされる
契約を解除しにくい 指針は、解除を一切許容しない期間の設定や、不当に高額な違約金の設定を、問題となる行為としている
事業者が撤退した 事業者は、休廃止の前に需要家へ周知する義務がある(電気事業法第2条の8第3項)。撤退の流れは次章で説明する
停電が増えるのではないか 資源エネルギー庁によると、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)は、どの会社から買っても同じ

表:「やめとけ」と言われる理由と、公表資料で確認できること(JEPX、電力・ガス取引監視等委員会「電力の小売営業に関する指針」2026年6月8日最終改定、資源エネルギー庁)

電力・ガス取引監視等委員会の「電力取引の状況(令和8年7月分)」で、全国の高圧の販売額を販売電力量で割ると、新電力は23.3円/kWh(販売額175,230,141千円÷販売電力量7,507,405MWh)、みなし小売電気事業者は22.5円/kWh(同415,802,522千円÷18,466,485MWh)です(totoka算出)。この1か月の数字では、新電力の方が高い結果でした。資料には販売額に含まれる費目の定義がなく、使用の時間帯や負荷率、地域による差も含まれるため、単純な比較はできません。新電力が常に安いわけではなく、使い方に合うかどうかで決まります。

事業者の経営面は、指針が、財務状況の公表情報をホームページで提供することを望ましいとしています。需要家の要望があれば、価格変動のある電源を調達する場合の対応方針や、リスクヘッジ割合などの定量的な情報を提供することも、望ましい行為です。契約前に、これらの情報を求めることができます。撤退・倒産の実態と、契約前に確認する点の全体像は、新電力は本当にやばい?倒産・撤退の実態と法人が契約前に確認すべき5つの点で詳しく解説しています。

8. 新電力が倒産・撤退したらどうなるか:最終保障供給と切替

契約先の新電力が撤退・倒産しても、電気がすぐに止まるわけではありません。資源エネルギー庁によると、撤退・倒産する場合は、電力会社から無契約状態になるまでの期日について通知が来ます。原則、その期日までに新しい小売電気事業者と契約すれば、引き続き電気の供給を受けられます。期日までに契約が間に合わなかった場合も、ただちに止まるわけではありません。ただし、無契約状態が長期間続くと、供給が止まることもあり得ます。

1
契約先から、休廃止や解除の通知を受け取る。休廃止の場合、休廃止日の前日から60日前(高圧契約を含む事業者は90日前)までに周知が必要(電気事業法施行規則第3条の11)
↓
2
無契約になる期日を確認する。倒産等による解除は、指針で15日程度前までの予告が求められている
↓
3
期日までに、新しい小売電気事業者に切り替える。間に合わない場合は、最終保障供給を申し込む

最終保障供給は、ほくでんNWが提供する制度です。北海道内(離島等を除く)の高圧・特別高圧で、いずれの小売電気事業者とも契約が成立しない需要が対象です。契約使用期間は1年をこえないものとされています。

最終保障供給の料金は、2026年11月1日から見直される予定です。最終保障電力A(6kV)の基本料金は1kWあたり3,564.12円、電力量料金は1kWhあたり25.73円です(消費税等相当額を含み、燃料費等調整・市場価格調整・再エネ賦課金を含まない)。基本料金は、北海道電力の業務用電力(6kV・一般料金)の2,970円10銭/kW(2026年11月1日実施予定)の約1.2倍です。期日までに新しい契約先へ切り替えるのが原則です。

北海道 北海道の最終保障供給の契約件数は、2022年に増え、その後減っている

電力・ガス取引監視等委員会が公表した、最終保障供給の契約件数は次のとおりです。

時点 北海道(件) 全国(件)
2022年3月31日 456 5,478
2022年10月3日 1,562 45,866
2026年10月1日 16 1,546

表:最終保障供給の契約件数(電力・ガス取引監視等委員会、2022年11月15日公表および2026年10月15日公表の資料)

2022年に件数が増えた時期は、市場価格が高騰した時期と重なります。その後の減少は、市場価格の下落や、最終保障供給料金への市場価格調整の導入など、複数の要因によると考えられます(推測)。

停電に関わるのは送配電、契約先を決めるのは小売という役割の違いは、新電力に乗り換えても停電しない仕組みで解説しています。

9. 見積が本当に安いかを確認する手順

1
現在の請求書で、契約電力、月別の使用量、最大需要電力、調整単価を確認する
↓
2
同じ条件(30分値のデータ、契約電力、力率)で、複数の見積を同じ形式で出してもらう
↓
3
各見積を、年間総額に直す。調整単価と市場価格は、プラスとマイナスの複数のケースで試算する
↓
4
契約期間、自動更新、違約金、撤退時の扱いを、契約書で確認する
確認項目 見積書で見るところ
電力量料金と基本料金 単価、契約電力の置き方、力率の扱い
調整の仕組み 連動する指標、算定式、反映の時期、上限の有無
容量拠出金・損失率 込みか別建てか、補正の式
契約条件 契約期間、更新の拒否期限、違約金の算定方法
事業者 登録小売電気事業者か、財務状況の公表情報、リスクヘッジの方針

表:新電力の見積の確認項目(電力・ガス取引監視等委員会「電力の小売営業に関する指針」2026年6月8日最終改定をもとに整理)

見積の比べ方の全体像は新電力の料金プラン比較5つのポイントで整理しています。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 新電力はなぜ安いのですか?

A. 調達方法(市場や相対契約)、販売費、料金の組み立て、価格変動リスクの持たせ方が、従来の料金と違うためです。託送料金や再エネ賦課金は契約先で変わらないため、差が出るのは、事業者が決められる費目だけです。

Q2. 新電力は北海道電力より必ず安いのですか?

A. 必ずではありません。使い方(ピークと使用量)や、調整の上限、容量拠出金の扱いによって逆転します。電力・ガス取引監視等委員会の「電力取引の状況(令和8年7月分)」から算出した全国の高圧の平均単価は、新電力が23.3円/kWh、みなし小売電気事業者が22.5円/kWhでした(費目の定義がなく、単純比較はできません)。

Q3. 新電力はやめとけと言われるのはなぜですか?

A. 市場価格の高騰で電気代が上がった事例や、事業者の撤退が背景にあります。公表資料では、メリットだけを説明することは説明義務違反とされています。リスクは、プランの種類と契約条件を確認することで抑えられます。

Q4. 新電力が倒産したら電気は止まりますか?

A. ただちには止まりません。無契約になる期日の通知が来るため、期日までに新しい小売電気事業者と契約します。間に合わない場合は、最終保障供給を申し込みます。無契約状態が長く続くと、供給が止まることもあり得ます。

Q5. 新電力に切り替えると、停電は増えますか?

A. 増えません。資源エネルギー庁によると、電気の品質や信頼性は、どの会社から買っても同じです。送配電網は、ほくでんNWのものを使い続けます。

Q6. 新電力の見積で、最初に確認する項目は何ですか?

A. 調整単価の算定式と上限の有無、契約電力の置き方、容量拠出金の扱い、違約金の4つです。単価だけでなく、調整単価がプラスになった場合の年間総額まで試算します。

11. まとめ

  • 新電力の見積が安く見えるのは、調達方法、販売費、料金の組み立て、価格変動リスクの持たせ方が、従来の料金と違うためです。
  • 託送料金や再エネ賦課金は契約先で変わらず、差が出るのは、事業者が決められる費目だけです。
  • 調整に上限がない場合や、容量拠出金が別建ての場合、違約金がある場合は、安さが逆転することがあります。
  • 撤退・倒産しても電気はただちには止まらず、通知の期日までに切り替えるか、最終保障供給を使います。
  • 見積は、同じ条件で、調整単価と市場価格の複数のケースを年間総額に直して比べます。

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法人の電気料金を、新電力を含む各社の年間総額で比べて見直しています。

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記事情報
公開日:2026年10月31日
最終更新日:2026年10月31日
参照資料:
・資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」(資源エネルギー庁)、「電力小売全面自由化 よくある質問」(資源エネルギー庁)、「電力小売全面自由化とは」(資源エネルギー庁)
・電力・ガス取引監視等委員会「電力の小売営業に関する指針」令和8年6月8日最終改定(PDF)、「最終保障供給契約件数について」2022年11月15日(PDF)・2026年10月15日(PDF)、「電力取引の状況(令和8年7月分)」2026年10月15日(PDF)
・日本卸電力取引所「取引概要」(JEPX)、「スポット市場 約定価格」(JEPX)
・北海道電力「燃料費等調整の方法」(北海道電力)、「燃料費等調整のお知らせ(高圧・特別高圧)2026年11月分」(PDF)、電力契約標準約款(高圧)2026年11月1日実施(PDF)
・ほくでんネットワーク「最終保障供給」(ほくでんNW)、2026年10月14日公表の料金単価表(PDF)
・経済産業省「令和8年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金等の単価」2026年3月19日(経済産業省)
・電気事業法、電気事業法施行規則(e-Gov法令検索)
※2026年10月31日時点の情報です。北海道電力・ほくでんNWの2026年11月1日の改定は、実施予定の内容です。平均単価は電力取引報の販売額と販売電力量からtotokaが算出した参考値です。市場価格の実績はJEPXの公表データから集計したもので、将来の価格を示すものではありません。試算の数字はすべて仮定です(再エネ賦課金の単価を除く)。実際の単価と契約条件は、各社の見積書と契約書で確認してください。