COPは「決められた温度条件で運転したときの、その瞬間の効率」、APFは「1年間をモデル条件で運転したと仮定して計算した、通年の効率」です。どちらも「消費した電気の何倍の冷暖房ができるか」を表し、数字が大きいほど省エネです。エアコンの年間の省エネ性能を機種どうしで比べるなら、基本はAPFを見ます。
ただし、APFは東京の気象条件をモデルにして計算されています。また、ルームエアコン(家庭用)と業務用のパッケージエアコンでは、APFを計算する規格も、想定する建物・運転期間・運転時間も違います。業務用のカタログには「APF2006」と「APF2015」の2種類が載っていることもあり、数字をそのまま並べると比較を誤ります。
この記事では、経済産業省・資源エネルギー庁の資料、JIS規格に基づくメーカーの公開資料をもとに、COPとAPFの定義と違い、ルームエアコンと業務用エアコンの算定条件の違い、トップランナー制度の基準との関係、そして北海道のような寒冷地でカタログを読むときの注意点を整理します。冷房の部分負荷(中間能力)の読み方は、別の記事で詳しく扱っています。
この記事でわかること
・COPとAPFの定義と、計算式の違い
・ルームエアコン(JIS C 9612)と業務用エアコン(JIS B 8616)で、APFの算定条件がどう違うか
・業務用カタログの「APF2006」と「APF2015」の違いと、比べるときの注意
・省エネ法のトップランナー基準(目標基準値)とAPFの関係、寒冷地仕様の扱い
・北海道でCOP・APFを見るときに、あわせて確認したい暖房の低温性能
更新履歴
- 2026年10月27日:全面改訂。COP・APFの定義と計算式、ルームエアコンと業務用エアコンの算定条件の比較、APF2006とAPF2015の違い、トップランナー基準と寒冷地仕様、北海道の気温とAPFの前提の違いを追記。根拠の確認できない数値を削除し、参照資料を更新
- 2024年10月13日:初版公開
1. COPとAPFの違いを一言でいうと
COPもAPFも「投入した電気エネルギーに対して、どれだけの冷房・暖房ができるか」を示す効率の指標です。違いは、どんな条件で、どの期間を対象に計算するかです。
| 項目 | COP(成績係数) | APF(通年エネルギー消費効率) |
|---|---|---|
| 英語 | Coefficient of Performance | Annual Performance Factor |
| 表すもの | 決められた温度条件で運転したときの、消費電力1kWあたりの冷房・暖房能力(kW) | 1年間を一定の条件で使ったときの、消費電力量1kWhあたりの冷房・暖房能力(kWh) |
| 対象の時間 | ある1点の運転状態(瞬間値) | 冷房期間と暖房期間を合わせた1年間 |
| カタログでの見え方 | 冷房COP・暖房COP、冷暖房平均COPなど。能力と消費電力から計算できる | APFの数値。業務用はAPF2006・APF2015の表示がある |
| 向いている使い方 | 特定の条件(例:真夏の定格運転)での効率を見る | 年間の省エネ性能を機種どうしで比べる |
表:COPとAPFの違い(中小企業基盤整備機構 J-Net21「空調機の性能表示のCOPとAPFの違いは?」、資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」をもとに作成)
COP = 冷房(暖房)能力(kW)÷ 消費電力(kW)
決められた温度条件での1点の効率
APF = 1年間に必要な冷暖房能力の総和(kWh)÷ 期間消費電力量(kWh)
冷房期間と暖房期間を通した効率
たとえば、冷房能力2.8kW・消費電力0.7kWの機種なら、冷房COPは2.8÷0.7=4.0です(仮定の数字)。資源エネルギー庁の省エネ性能カタログには、APFの計算例として、冷房能力2.8kWのルームエアコンで「1年間に必要な冷暖房能力の総和5,611kWh ÷ 期間消費電力量850kWh = APF6.6」という例が載っています(JIS C 9612:2005に基づく例)。
COPやAPFが1を超えるのは、エアコンが電気で空気を直接温めるのではなく、冷媒を使って屋外と屋内の間で熱を移動させる「ヒートポンプ」だからです。ヒートポンプの仕組みは「ヒートポンプという高効率システムの解説」で紹介しています。
2. COPの見方:どんな温度条件で測った数字か
カタログのCOPは、JISで決められた「定格条件」で測った能力と消費電力から計算します。主な温度条件は次のとおりです。
| 運転 | 室内側の条件 | 室外側の条件 |
|---|---|---|
| 冷房(定格) | 乾球温度27℃/湿球温度19℃ | 乾球温度35℃ |
| 暖房(定格・標準) | 乾球温度20℃ | 乾球温度7℃/湿球温度6℃ |
| 暖房(低温) | 乾球温度20℃ | 乾球温度2℃/湿球温度1℃ |
表:COP・能力を測る主な温度条件(三菱電機 業務用エアコン資料〈JIS B 8616:2015・JRA4002:2016による条件〉、日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」、資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」より)
つまり、冷房COPは外気35℃の真夏日にフル能力で動かしたときの効率、暖房COPは外気7℃でフル能力で動かしたときの効率です。カタログには「冷暖房平均COP」(冷房COPと暖房COPの平均)が載っていることもあります。
一方、インバータ機は圧縮機の回転数を変えて、能力を上げ下げしながら運転します。定格の1点だけでは実際の使い方に近い評価が難しい、というのがAPFが使われるようになった理由です(次章)。
業務用カタログの「中間能力・中間消費電力」から中間COPを計算する方法や、北海道の冷房運転が部分負荷中心になる理由は、「業務用エアコンの冷房COPと部分負荷|カタログの正しい読み方」で解説しています。この記事では、APFの算定条件と暖房側の注意点を中心に扱います。
3. APFとは:なぜCOPからAPFに変わったのか
APF(通年エネルギー消費効率)は、1年間に必要な冷暖房能力の合計を、1年間にエアコンが使う電力量(期間消費電力量)で割った値です。外気温ごとの発生時間と、建物の冷暖房負荷をモデル化し、いくつかの評価点で測った性能から1年分の消費電力量を計算します。
資源エネルギー庁の省エネ性能カタログでは、エアコンの指標が「冷暖房平均COP」からAPFに変わった理由を、次のように説明しています。インバータ機は圧縮機の回転数を変えて能力が変化するため、定格条件だけでは実使用に近い評価が難しかった。APFは、能力の変化に伴う効率と外気温度の変化を考えて計算するため、実際の運転制御に合った評価になる、という説明です。
| 種類 | APFの根拠となる規格 | 主な経緯 |
|---|---|---|
| ルームエアコン(家庭用) | JIS C 9612(ルームエアコンディショナ) | トップランナー基準は、2010年度目標からAPF(JIS C 9612:2005)で評価。2027年度以降の新しい基準はJIS C 9612:2013で算出 |
| 業務用パッケージエアコン | JIS B 8616(パッケージエアコンディショナ) | 2006年10月からCOPに加えてAPFを表示。2015年3月にJIS B 8616が改正され、新しい算定方法(APF2015)が加わった |
表:APFの規格と経緯(資源エネルギー庁「トップランナー制度 エアコンディショナー」、中小企業基盤整備機構 J-Net21、日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」より)
APFは「年間の効率」ですが、実際の建物で測った値ではありません。JISで決めたモデル建物・モデル地域(東京)・モデルの運転時間で計算した値です。この前提を知っておくと、APFの数字を正しく使えます。
4. ルームエアコンと業務用エアコンでAPFの算定条件はどう違う?
同じ「APF」でも、ルームエアコンと業務用エアコンでは、想定する建物・運転期間・運転時間が違います。どちらも地域は東京がモデルです。
| 項目 | ルームエアコン(家庭用) | 業務用:店舗・オフィス用エアコン | 業務用:ビル用マルチ・設備用エアコン |
|---|---|---|---|
| 規格 | JIS C 9612:2013 | JIS B 8616:2015(APF2015) | JIS B 8616:2015(APF2015) |
| 地域 | 東京 | 東京 | 東京 |
| モデルの建物 | 平均的な木造住宅(南向き) | 店舗 | 事務所 |
| 冷房期間 | 5月23日〜10月4日(135日) | 5月7日〜10月17日 | 4月19日〜11月11日 |
| 暖房期間 | 11月8日〜4月16日(160日) | 11月17日〜4月3日 | 12月3日〜3月15日 |
| 運転日数・時間 | 毎日 6:00〜24:00(18時間) | 週7日 8:00〜21:00 | 週6日 8:00〜20:00 |
| 設定温度 | 冷房27℃/暖房20℃ | (評価点の室内条件は冷房27℃・暖房20℃) | |
表:APFの算定条件の比較(ルームエアコン:日立「エアコン仕様表」〈JIS C 9612:2013の算出条件〉、経済産業省 総合資源エネルギー調査会 資料、中小企業基盤整備機構 J-Net21。旧規格JIS C 9612:2005では冷房6月2日〜9月21日・暖房10月28日〜4月14日。業務用:日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」)
中小企業基盤整備機構のJ-Net21の解説によると、住宅をモデルにした条件では暖房期間の負荷が大きく、事務所をモデルにした条件では冷房期間の負荷が大きくなります。そのため、ルームエアコンのAPFは暖房の中間期の性能が、ビル内事務所用の業務用エアコンのAPFは冷房の中間期の性能が、数値に強く影響するとされています。
規格・モデル建物・運転時間が違うため、「家庭用のAPF6.6」と「業務用のAPF5.0」を比べて、どちらが省エネかを判断することはできません。APFで比べるのは、同じ種類・同じ規格・同じくらいの能力の機種どうしです。事務所に家庭用エアコンを付ける場合の考え方は「業務用エアコンと家庭用エアコンの違い」で整理しています。
5. 業務用カタログの「APF2006」と「APF2015」の違い
業務用エアコンのJIS B 8616は2015年3月に改正されました。改正前の方法で計算した値を「APF2006」、改正後の方法で計算した値を「APF2015」と呼びます。同じ機種でも、APF2006とAPF2015は別の数字になります。
評価点が5点から最大8点に増えた
APF2015では、従来の5つの評価点に「中間冷房中温」「最小冷房中温」「最小暖房標準」の3点が加わり、最大8つの評価点から計算します(機種によって評価点の数は異なります)。
| 運転 | 評価点 | 室外の条件 | APF2006 |
|---|---|---|---|
| 冷房 | 定格標準 | 35℃DB | あり |
| 冷房 | 中間標準 | 35℃DB | あり |
| 冷房 | 中間中温 | 29℃DB | -(2015年に追加) |
| 冷房 | 最小中温 | 29℃DB | -(2015年に追加) |
| 暖房 | 定格標準 | 7℃DB/6℃WB | あり |
| 暖房 | 中間標準 | 7℃DB/6℃WB | あり |
| 暖房 | 最小標準 | 7℃DB/6℃WB | -(2015年に追加) |
| 暖房 | 最大低温(旧「暖房低温」) | 2℃DB/1℃WB | あり |
表:APF2015の評価点(日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」、三菱電機「省エネ性能の指標」より。DBは乾球温度、WBは湿球温度)
算定条件と発停運転の扱いも変わった
APF2006では、店舗・オフィス用エアコンは「戸建て店舗」をモデルに、冷房5月23日〜10月10日、暖房11月21日〜4月11日、週7日・8:00〜21:00の条件で計算していました。APF2015では、店舗・オフィス用は「店舗」、ビル用マルチ・設備用は「事務所」をモデルにし、外気温度の発生時間なども見直されています(前章の表)。
また、ダイキン工業のカタログ資料では、インバータ機が低負荷時に運転と停止を繰り返す「発停運転」について、APF2006では連続運転とみなしていたのに対し、APF2015では発停を考慮して計算すると説明されています。
対象になる機種の範囲
APF2015の対象は、「店舗・オフィス用エアコン」「ビル用マルチエアコン」「設備用エアコン」のうち、定格冷房能力56kW以下の「空冷式冷房専用形」と「空冷式冷房・暖房兼用(ヒートポンプ)形」です。日本冷凍空調工業会の規格JRA 4002:2016では、400kW以下が対象とされています。
業務用エアコンの省エネ法(トップランナー制度)の目標基準値とグリーン購入法の基準は、APF2006(JIS B 8616:2006)に基づく値です。そのため、カタログには「APF2015」と、基準達成の判定に使う「APF2006」の両方が載っていることがあります。機種を比べるときは、APF2015ならAPF2015どうし、APF2006ならAPF2006どうしで比べてください。
6. 省エネ法のトップランナー基準とAPFの関係
エアコンは、省エネ法のトップランナー制度の対象機器です。製造事業者・輸入事業者は、区分ごとに決められた目標基準値(APF)を、出荷台数で加重した平均で達成する必要があります。エアコンの目標基準値はAPFで決められています。
| 区分 | APFの測定方法 | 目標年度 | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| 業務用 | JIS B 8616(2006) | 2015年度以降 | 形態(四方向カセット形、マルチなど)と冷房能力ごとに、能力から基準値を求める算定式を設定 |
| 家庭用:壁掛け形(マルチを除く) | JIS C 9612(2013) | 2027年度以降 | 寒冷地仕様とそれ以外で区分を分けて基準値を設定 |
| 家庭用:壁掛け形以外・マルチタイプ | JIS C 9612(2013) | 2029年度以降 | 形態と冷房能力ごとに基準値を設定 |
表:エアコンのトップランナー基準の概要(資源エネルギー庁「トップランナー制度 エアコンディショナー」より。2026年10月27日時点で確認)
トップランナー制度のエアコンの対象からは、冷房能力50.4kWを超えるもの、水冷式、圧縮用の電動機を持たないもの、電気以外を暖房の熱源とするもの、などが除かれています。ガスエンジンで圧縮機を動かすGHP(ガスヒートポンプ)は、電気式エアコンとは別の枠組みで考える必要があります(推測)。
家庭用の壁掛け形は2027年度から新基準。寒冷地仕様は別の基準値
家庭用の壁掛け形は、2027年度以降の新しい目標基準値が決まっています。冷房能力2.8kW以下の場合、寒冷地仕様以外はAPF6.6、寒冷地仕様はAPF6.2です。寒冷地仕様は暖房性能を高めるぶん、基準値が別に設定されています。
資源エネルギー庁のページでは、「寒冷地仕様のもの」を次の3つをすべて満たすものと定めています。
ここでいう「寒冷地」は、建築物省エネ基準の地域区分の1〜4地域です。国土交通省の資料では、札幌市は2地域の例として示されています。家庭用エアコンの2027年度基準の影響については「エアコン2027年問題とは?」で整理しています。
家庭用エアコンの統一省エネラベルは2022年10月に新しくなり、省エネ性能を5.0〜1.0の41段階(多段階評価点)で示すほか、寒冷地仕様のエアコンには「寒冷地仕様」と明記されるようになりました。
7. 北海道でCOP・APFを見るときの注意点
APFの算定条件は東京がモデルで、暖房の評価点は外気7℃と2℃です。北海道の冬の気温は、この前提とは大きく違います。
| 地点 | 1月の平均気温 | 1月の日最低気温の平均 | 2月の平均気温 | 2月の日最低気温の平均 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 5.4℃ | 1.2℃ | 6.1℃ | 2.1℃ |
| 札幌 | -3.2℃ | -6.4℃ | -2.7℃ | -6.2℃ |
| 旭川 | -7.0℃ | -11.7℃ | -6.0℃ | -11.8℃ |
表:冬の気温の平年値(1991〜2020年)(気象庁「過去の気象データ検索」平年値より)
札幌の1月の平均気温は-3.2℃、旭川は-7.0℃です。APFの暖房の評価点(7℃、2℃)より寒い時間が、冬の大半を占めます。エアコンの暖房は外の空気から熱をくみ上げる仕組みです。パナソニックは、外気温が低いと効率が下がるのはかつての欠点で、最新機種は暖房能力が大きく向上しているとしています。ただし、寒い時間にどれだけの能力が出るかは機種ごとに違います。APFの数字だけでは、北海道の冬にどれだけ暖められるかはわかりません。
資源エネルギー庁の省エネラベルガイドブック(2022年)では、ルームエアコンの目安電気料金を地域に合わせて補正する「地域補正係数」を示しています。東京を1.0としたとき、札幌は冷房0.1、暖房4.4、通年3.1です。同じエアコンでも、札幌では暖房の電力量が東京の4倍を超える計算になり、冷房の電力量はわずかです。北海道では、冷房よりも暖房の性能と電力量が年間コストを大きく左右します。
なお、この補正は家庭用ラベルの目安電気料金のためのもので、暖房能力が足りない場合は補助暖房(電熱ヒーター)の電力量を加えて計算されています。業務用エアコンにそのまま当てはめる数字ではありません。
北海道でカタログを読むときに確認したいこと
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 暖房低温能力(外気2℃) | APFの評価点の中で一番寒い条件。定格暖房能力(7℃)だけで能力を選ぶと、真冬に足りなくなるおそれがある |
| 寒冷地向け機種かどうか | 家庭用は「寒冷地仕様」の表示(-7℃で定格暖房標準能力以上など)。業務用の寒冷地向けパッケージエアコンは、APF2015で「最大暖房極低温」が必須の評価点に加わり、最大9点で評価される |
| さらに低い外気温での能力 | メーカーは寒冷地向け機種で、より低い外気温での暖房能力を独自に示している。たとえば三菱電機は、寒冷地向けパッケージエアコン「ズバ暖スリム」で、外気温-15℃でも定格能力と同等(ピーク時)を維持し、外気温-25℃まで暖房運転に対応するとしている |
| 霜取り運転 | 霜取り運転中は暖房が一時的に止まる(機種によっては暖房を続けるものもある)。寒冷地では、霜取り時の暖房の扱いも確認したい |
表:北海道で確認したい暖房側のポイント(資源エネルギー庁「トップランナー制度 エアコンディショナー」、日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」、三菱電機「ズバ暖スリム 室外機」、パナソニック「大雪が降ってもエアコン暖房であたたかく過ごすには?」より)
寒冷地向けエアコンと標準機の違いは「寒冷地エアコンとは?普通のエアコンとの違い」、霜取り運転は「霜取り運転の仕組み」、標準機で暖まらないときの原因は「業務用エアコンが暖まらない?標準機の限界」で解説しています。
8. COP・APFでよくある見方の失敗
業務用カタログで、A社はAPF2015、B社はAPF2006の数字を見て比べると、正しい比較になりません。どちらの規格の値かを必ず確認します。
定格COPは外気35℃(冷房)や7℃(暖房)でフル能力運転したときの1点の効率です。年間の省エネ性はAPF、冷房の部分負荷は中間COP、北海道の暖房は低温時の能力と、目的に合わせて見る数字を変えます。
APFは東京のモデル建物・モデル運転時間で計算した値です。北海道の建物では、運転期間・外気温・使い方が違うため、APFの比率がそのまま電気代の比率になるとは限りません。APFは機種どうしを比べる物差しとして使い、電気代の見積りは実際の運転時間や電力データをもとに行います。
北海道では、APFが高くても低温時の暖房能力が足りなければ、補助暖房が必要になったり、寒い日に室温が上がらなかったりします。暖房低温能力と、寒冷地向け機種かどうかを先に確認します。
9. よくある質問(FAQ)
A. COPは、決められた温度条件(冷房は外気35℃、暖房は外気7℃など)で運転したときの、消費電力1kWあたりの冷暖房能力です。APFは、1年間をモデル条件で運転したと仮定し、1年間に必要な冷暖房能力の合計を期間消費電力量で割った値です。COPは1点の効率、APFは通年の効率です。
A. エアコンの省エネ法の目標基準値はAPFで決められており、COPの一律の目安は示されていません。COPは機種の能力や形態、測った条件で変わるため、同じ能力・同じ条件のカタログ値どうしで比べてください。年間の省エネ性能は、APFと省エネ基準達成率で確認するのが基本です。
A. APF2015は2015年3月に改正されたJIS B 8616による値で、評価点が最大8点に増え、より実態に近い条件で計算されます。一方、省エネ法の基準値とグリーン購入法の基準はAPF2006による値です。機種どうしを比べるときは、同じ種類のAPFで比べることが大切です。
A. APFが高いほど、モデル条件での年間の省エネ性は高いといえます。ただし、APFは東京をモデルに計算しており、暖房の評価点は外気7℃と2℃です。札幌の1月の平均気温は-3.2℃なので、APFに加えて、暖房低温能力や寒冷地向け機種かどうか、より低い外気温での暖房能力を確認してください。
A. 比べられません。ルームエアコンはJIS C 9612で木造住宅をモデルに、業務用はJIS B 8616で店舗や事務所をモデルに計算しており、運転期間や運転時間も違います。APFは同じ種類・同じくらいの能力の機種どうしで比べてください。
10. まとめ
- COPは決められた温度条件での1点の効率、APFは1年間をモデル条件で計算した通年の効率
- APFはルームエアコンがJIS C 9612、業務用がJIS B 8616で、モデル建物・運転期間・運転時間が違うため、横並びで比べない
- 業務用カタログのAPF2015は評価点が最大8点。省エネ法の基準値はAPF2006で判定されるため、同じ種類のAPFどうしで比べる
- 家庭用の壁掛け形は2027年度から(壁掛け形以外・マルチは2029年度から)新しい目標基準値になり、寒冷地仕様は別の基準値(2.8kW以下でAPF6.2)が設定されている
- APFの前提は東京の気象。北海道では暖房低温能力、寒冷地向け機種かどうか、低い外気温での能力をあわせて確認する
記事情報
公開日:2024年10月13日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・資源エネルギー庁「トップランナー制度 エアコンディショナー」(資源エネルギー庁)
・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 2018年冬版(エアコン)」(省エネ型製品情報サイト)
・資源エネルギー庁「2022年 省エネラベルガイドブック」(省エネ型製品情報サイト)
・中小企業基盤整備機構 J-Net21「空調機の性能表示のCOPとAPFの違いは?」(J-Net21)
・日立グローバルライフソリューションズ「APF2015とは」(日立グローバルライフソリューションズ)
・三菱電機「省エネ性能の指標(店舗・事務所用パッケージエアコン)」(三菱電機)
・三菱電機「パッケージエアコン 基礎知識」(三菱電機)
・三菱電機「ズバ暖スリム 室外機」(三菱電機)
・日立グローバルライフソリューションズ「ルームエアコン 仕様表」(日立)
・経済産業省 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー小委員会 エアコンディショナー及び電気温水機器判断基準WG 資料(PDF)
・パナソニック「大雪が降ってもエアコン暖房であたたかく過ごすには?」(パナソニック)
・ダイキン工業 業務用エアコン カタログ「省エネ基準について」(ダイキン工業)
・国土交通省「地域区分の見直し」(国土交通省)
・気象庁「過去の気象データ検索」平年値 札幌(気象庁)・東京(気象庁)・旭川(気象庁)
※2026年10月27日時点の情報です。COP・APFの算定条件はJIS規格の改正などで変わることがあります。機種ごとの数値は、各メーカーの最新カタログ・技術資料でご確認ください。文中の計算例のうち「仮定の数字」と記したものは説明用の値です。
