北海道の太陽光発電は法人に向く?自家消費・PPA・リースの選び方と雪の影響

北海道の太陽光発電 自家消費・PPAの選び方(法人向け)

北海道でも、法人の自家消費型太陽光発電は「条件がそろえば成り立つ」と考えるのが公的データに沿った見方です。自家消費型には、設備を自社で持つ「自己所有」、第三者が設備を持ち使った電気代を払う「オンサイトPPA」、定額で借りる「リース」の3つがあります(環境省の整理)。ここに、敷地外の発電所から電気を買う「オフサイトPPA」を加えて比べるのが、この記事の中心です。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベースでは、札幌の年間の日射量(水平面・年平均)は1日あたり3.37kWh/㎡で、東京の3.32、仙台の3.39とほぼ同じ水準です。違いは季節にあり、12〜2月の平均は札幌1.81、東京2.54と、札幌は東京の約7割です。冬に発電が少なく夏に多いこと、屋根に積もる雪の荷重とパネルへの着雪は、北海道ならではの検討点です。

この記事では、4つの導入形態の違い、オンサイトPPAの契約期間と料金の決まり方、再エネ賦課金がかからない範囲、北海道の発電条件、屋根の積雪荷重(建築基準法)、環境価値とScope2、2026年10月31日時点の補助金の状況を、官公庁の資料で確認できた範囲で整理します。PPA事業者などの会社名は挙げません。計算例は「仮定の数字」です。

北海道の法人でも自家消費型太陽光は成り立つのか。答えは「条件付きで成り立つ」です。年間の日射量は東京と同水準なので、日中に電気をよく使い、発電した電気の大半をその場で使い切れる建物なら、検討の土台に乗ります。ただし冬は発電が少なく、屋根が積雪荷重に耐えられることが前提です。採算は設備費・買電単価・契約条件で決まり、公的データだけでは断定できません。

この記事でわかること
・自己所有・オンサイトPPA・オフサイトPPA・リースの違い(比較表)
・オンサイトPPAの契約期間・料金の決まり方と、再エネ賦課金がかからない範囲
・札幌の日射量(NEDO)、日照時間と積雪(気象庁)からみた発電条件
・屋根の積雪荷重の考え方(建築基準法施行令第86条)と札幌市などの垂直積雪量
・環境価値とScope2の扱い、国・北海道・札幌市の補助金の現状(2026年10月31日時点)

更新履歴

  • 2026年11月1日:初版公開

1. 結論|北海道で自家消費型太陽光を考える順番

導入形態から決めるより、先に次の順で確認すると失敗が減ります。

順番 確認すること 見る資料
① 需要 昼間(特に休業日を含めた最小の使用量)の電力使用量。発電した電気を自社で使い切れるか 北海道電力の請求書・使用量データ
② 屋根・設置場所 屋根の構造と、積雪荷重+パネル・架台の重さ。雪下ろしの運用、落雪の方向 設計図書、構造の確認(建築基準法)
③ 導入形態 自己所有・オンサイトPPA・リース(敷地外ならオフサイトPPA)のどれが自社に合うか 3章・4章の表
④ 補助金・契約 補助金は契約・着工の前に申込む。PPA・リースは契約期間、中途解約、撤去、環境価値の帰属を確認 8章・9章

表:検討の順番(本記事の整理。各項目の根拠は2章以降に記載)

2. 北海道の発電条件|日射量・冬・積雪

札幌の年間日射量は東京並み、違いは冬と夏

NEDOは、全国837地点・1981〜2009年(29年間)の平均値を「MONSOLA-11」(年間月別日射量データベース)として公開しています。札幌、東京、大阪など主要都市の水平面日射量(月平均日積算、kWh/㎡・日)を比べると、年平均はほぼ同じで、季節の差が大きいことがわかります。

地点 年平均 冬(12〜2月) 夏(6〜8月)
札幌 3.37 1.81 4.75
仙台 3.39 2.40 3.98
東京 3.32 2.54 4.03
大阪 3.57 2.30 4.69
福岡 3.67 2.28 4.69

表:水平面日射量(kWh/㎡・日)の比較(NEDO「MONSOLA-11」。1981〜2009年の平均)

札幌では、南向き傾斜角30度の面の日射量が、12月は2.11、6月は4.96です(同データベース)。月の日数をかけて月間の合計で比べると、12月は6月の約44%です。冬は発電量が大きく下がるため、年間の合計で採算を見て、冬の月は電気代の削減が小さい前提で考えます。

北海道 気象庁の札幌の平年値(1991〜2020年)

年間の日照時間は1,718.0時間です。月別では、1月が90.4時間、12月が82.7時間で、6月の180.0時間、5月の200.4時間の約4〜5割です(90.4÷200.4≒0.45、82.7÷180.0≒0.46。最小は12月÷5月の0.41、最大は1月÷6月の0.50)。降雪の深さの年合計は479cm、年の最深積雪の平年値は97cmです。

積雪の影響は、日射量データには入っていない

NEDOの解説書では、積雪は「地面の反射率」の設定(積雪がない場合0.2、ある場合0.7)に使われています。パネルの上に雪が積もった状態の発電量は、日射量データからは読み取れません。着雪による発電の低下、設置角度と雪の落ち方、落雪対策は、既存記事「北海道の太陽光パネルの角度と雪の影響|最適傾斜角・積雪荷重・落雪対策」で整理しています。札幌の年間最適傾斜角など、角度ごとの日射量もそちらに掲載しています。

北海道の法人が発電量を見積もるときは、①日射量データによる計算、②積雪期の低下の見込み(設置業者のシミュレーションと近隣の実績)、の2段階で確認します。②を公的データだけで数値化することはできないため、この記事では発電量の「割合」は示しません。

3. 自己所有・オンサイトPPA・オフサイトPPA・リースの比較

環境省は、敷地内の自家消費型を「自己所有」「オンサイトPPA」「リース」の3つに分けています。敷地外の発電所から電気を買う「オフサイトコーポレートPPA」は、別の調達手法として整理されています。

項目 自己所有 オンサイトPPA リース オフサイトPPA
設備の持ち主 自社 PPA事業者(第三者) リース事業者 敷地外の発電事業者
設置場所 自社の敷地内 自社の敷地内 自社の敷地内 需要地ではない場所
初期費用 必要 基本的にゼロ 基本的にゼロ 需要家の設備投資は不要(設備は発電事業者が持つ)
支払い なし(借入なら返済) 使った電気の量に応じた電気料金 発電量に関係なく一定のリース料 契約で定めた価格・期間の電気料金に、託送料金が加わる(価格が期間中固定か、市場価格などに連動して変わるかは契約による)
維持管理 自社 PPA事業者が行う場合が多い(契約による) リース事業者が行う場合が多い(契約による) 発電事業者
余った電気 売電できる場合がある(系統連系の手続きが必要) PPA事業者のものになる 自社のものになる。売電できる場合がある 該当なし
会計上の扱い 資産計上(オンバランス) 一般的には資産計上されない 資産計上(オンバランス) 契約による
再エネ賦課金 かからない かからない かからない かかる
契約の縛り なし 長期契約。設備の処分・交換・移転は自由にできない 長期契約。中途解約や移転で違約金が出る場合がある 5年から20年程度(環境省の資料)

表:4つの導入形態の比較(環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「再生可能エネルギー(電力・熱)の調達と設備導入について」2026年2月、環境省「はじめての再エネ活用ガイド(企業向け)」2022年3月、環境省「オフサイトコーポレートPPAについて」より)

環境省の資料によると、自己所有は初期投資が大きい一方、サービス料がかからないため長期的な投資回収効率が最もよい形です。オンサイトPPAとリースは初期費用を抑えられますが、設備を自由に処分・移転できず、長期契約になります。リースは、発電がない場合も一定のリース料を払う点がPPAと異なります。

リースの会計・補助金の考え方は、LEDの例ですが既存記事「LED照明はリース・レンタル・購入のどれ?違いと会計・補助金の確認点」、PPAやリースとESCO事業の違いは「ESCO事業とは?わかりやすく解説|契約方式・導入の流れ・補助金と札幌市の例」にまとめています。

4. オンサイトPPAの仕組み|契約期間・料金の決まり方・再エネ賦課金

オンサイトPPAとは

PPAは、Power Purchase Agreement(電力購入契約)の略です。オンサイトPPAは、自社の敷地内に第三者のPPA事業者が太陽光発電設備を設置・所有・維持管理し、発電した電気を自社が購入する仕組みで、「第三者保有モデル」とも呼ばれます。自社が使い切れなかった電気は、PPA事業者のものになります。

料金の決まり方

PPAの料金は、使った電気の量(kWh)に単価(円/kWh)をかける従量課金が基本です。環境省の補助事業(後述の「ストレージパリティ」)の公募要領でも、オンサイトPPAは「1kWhあたりの単価に使用量を乗じた金額を請求するなど、契約期間の支払総額が確定していない」ことを要件としています。一方、リースは使用量にかかわらず毎月定額を請求する、と区別されています。

単価が契約期間中ずっと固定か、定期的に見直されるかは、官公庁の資料で一律には決められていません。契約書で確認する必要があります。なお、太陽光で足りない分は、これまでどおり北海道電力などから買うため、電気の請求は「PPA」と「買電」の2本になります。

契約期間

オンサイトPPAの契約期間について、年数を一律に示した官公庁の資料は確認できませんでした。補助金を使う場合は、設備を法定耐用年数が経過するまで継続して使うことを、需要家と事業者の間の書面で確約する必要があります(環境省の令和8年度公募要領、札幌市の補助制度)。太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。環境省の資料は、PPAでは長期間の契約を結ぶ必要があると説明しています。また公募要領は、契約期間の満了後に設備を譲渡する場合、解体・撤去・廃棄の責任を契約書や覚書に明記するよう求めています。

再エネ賦課金がかからない範囲

環境省の「はじめての再エネ活用ガイド(企業向け)」(2022年3月)は、敷地内の購入方式(自己所有)・リース方式・オンサイトPPA方式のいずれも「再エネ賦課金はかからない」とし、敷地外のオフサイトコーポレートPPAは「かかる」としています。自営線方式は「事業形態による」との記載です。

重要 賦課金がかからないのは、太陽光でまかなった分だけ

系統(北海道電力などの送配電網)から買う電気には、これまでどおり再エネ賦課金を含む料金がかかります。賦課金の仕組みと単価は既存記事「再エネ賦課金とは|2026年度4.18円・単価推移と法人の負担【北海道】」を参照してください。

5. 屋根の耐荷重と積雪荷重(建築基準法)

環境省の資料は、窓や壁に設置できる建材一体型について「これまでは耐荷重の問題等で屋根に導入できなかった建物」にも導入できる、と説明しています。屋根の耐荷重が、設置の可否を分ける場合があるということです。

積雪荷重の計算の考え方

建築基準法施行令第86条は、積雪荷重を「積雪の単位荷重 × 屋根の水平投影面積 × その地方の垂直積雪量」で計算すると定めています。主な内容は次のとおりです。

項目 施行令第86条の内容
積雪の単位荷重 積雪量1cmごとに1㎡につき20ニュートン以上。特定行政庁は、多雪区域を指定してこれと異なる定めをすることができる
垂直積雪量 国土交通大臣の基準に基づいて、特定行政庁が規則で定める数値
屋根の勾配 雪止めがない場合、勾配60度以下では勾配に応じた屋根形状係数をかける。60度を超える場合は零とすることができる
積雪が不均等になるおそれ その影響を考慮して計算する
雪下ろしの慣習 垂直積雪量が1メートルを超える地方でも、雪下ろしの実況に応じて1メートルまで減らして計算できる。この場合は出入口など見やすい場所に表示する

表:積雪荷重の規定(建築基準法施行令第86条。e-Gov法令検索)

札幌市などの垂直積雪量

北海道(建築指導課)は、特定行政庁である市の垂直積雪量を次のように公表しています。

市 垂直積雪量
札幌市 140cm(南区の一部は190cm)
旭川市 130cm(江丹別の一部は230cm)
小樽市 150cm
函館市 70cm
室蘭市 70cm

表:特定行政庁の垂直積雪量(北海道「垂直積雪量」ページ。詳細な地域は各市の窓口に確認)

施行令の下限値で単純に計算すると、札幌市の140cmは、20N/㎡/cm × 140cm = 2,800N/㎡(約2.8kN/㎡)です。雪下ろしを行う前提で1mに減らす場合は2,000N/㎡です。これは式の確認のための数字で、実際の荷重は屋根形状係数、多雪区域の別の定め、建物ごとの設計で変わります。観測で得られる「最深積雪の平年値97cm」とは別の概念で、設計に使う垂直積雪量は特定行政庁が定めた値です。

屋上設置の建築基準法上の扱い

国土交通省は、令和5年3月13日の技術的助言(国住指第473号)で、次のように整理しています。

  • 建築物の屋上に、その建築物へ電気を供給するために設置する太陽電池発電設備は建築設備にあたり、設置後の建築物は建築基準関係規定に適合する必要がある
  • 屋上に架台を取り付けて設置し、架台下の空間に人が立ち入らず、屋内的用途に使わないものは、主要構造部にあたらない
  • 既存建築物の屋上にそのような設備を設置することは増築にあたらず、法第87条の4に規定する場合を除き、建築確認は不要

確認申請が不要でも、構造の安全性の確認が不要になるわけではありません。通知の対象は「屋上」に架台を取り付けて設置する場合です。屋根材に直接取り付ける場合など個別の扱いは、設計者や特定行政庁(札幌市は札幌市)に確認してください。

6. 環境価値とScope2

環境省の資料は、敷地内(オンサイト)と敷地外(オフサイト)の太陽光発電は、再エネ調達の手法の中でも「追加性」が高く、CDPやRE100といったイニシアティブでの評価が高い、としています。追加性は、世の中の再エネ電源が実際に増えることを指します(J-クレジットの追加性は「J-クレジットの「追加性」とは?北海道の企業向けにわかりやすく解説」を参照)。

Scope2は、環境省のサプライチェーン排出量の整理では「他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出」です。自己所有やリースで発電して自社で使った電気は、他社から供給された電気ではないため、購入する電気の量が減った分だけ、Scope2の算定に使う電力量が減る、というのが基本的な考え方です。

オンサイトPPAは、PPA事業者から電気の供給を受ける契約です。排出量の算定でその電気をどう扱うかは、環境価値(CO2排出削減効果)が誰に帰属するかによって変わります(推測を含むため、算定担当者や算定ルールで確認してください)。環境省の令和8年度の補助事業では、オンサイトPPAの場合も供給電力量に紐づく環境価値は需要家に帰属させることとし、法定耐用年数が経過するまで、その環境価値をJ-クレジットなどに登録しないことを求めています。補助金を使わない場合は、環境価値の帰属を契約書で明確にしておきます。取引先から排出量の削減を求められる場合の背景は、「Scope3とは?計算方法と取引先が脱炭素を求める5つの理由」で解説しています。

7. 費用の考え方|仮定の数字で計算の筋道を確認

年間発電量(kWh)= 太陽電池出力(kW)× 斜面の日射量(kWh/㎡・日)× 365日 × 出力係数

出力係数は、パネルの温度やパワーコンディショナーの損失などをまとめた係数です。下の計算では仮定の数字を使います。

計算例(仮定の数字):出力100kW、札幌で南向き傾斜角30度(日射量の年平均3.81、NEDO)、出力係数0.75(仮定)とすると、年間発電量は 100 × 3.81 × 365 × 0.75 = 約104,000kWhです。出力係数は計算の筋道を見せるための仮定で、公的な値ではありません。積雪による低下は含んでいません。実際の見積りでは、設置業者のシミュレーションで確認してください。

次に、オンサイトPPAの電気料金と買電単価を比べる計算です。年間の自家消費量を80,000kWh(仮定)、現在の買電単価を25円/kWh(仮定)とします。

PPAの単価(仮定) 買電との差 年間の差額(80,000kWh)
18円/kWh 7円安い 560,000円
20円/kWh 5円安い 400,000円
23円/kWh 2円安い 160,000円
25円/kWh 差なし 0円

表:PPA単価ごとの年間差額(すべて仮定の数字。単価は消費税抜きの仮定で、消費税は料金に比例して増減するため、税込の差額は表の約1.1倍になる。買電単価の変動と、契約期間中の単価の見直しは含まない)

自己所有の場合は「年間の削減額 + 売電収入 − 維持管理費」で初期費用を割る形で回収年数を見ます。基本料金は、北海道電力の実量制契約では「当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力(30分平均)のうち最も大きい値」が契約電力になります。その30分に太陽光が発電していなければ、契約電力は下がりません。日没の早い冬の朝夕のピークには、太陽光が効きにくい場合があります(推測)。基本料金の仕組みは「業務用エアコンの動力契約とは?基本料金・契約電力の見直し方【北海道版】」で整理しています。

売電しない設計の場合は、昼間の使用量が最も少ない時間帯(休業日の昼など)に合わせて出力を決めます。余った電気を系統に流す(逆潮流)場合は電力会社との協議が必要で、出力制御の対象になることがあります(「出力制御とは?再エネの仕組みと北海道の実績・ルールの違い・法人の対策」を参照)。

8. 補助金の現状(2026年10月31日時点)

自家消費型太陽光に使える主な制度の状況です。受付中と確認できたのは札幌市の制度だけで、国と北海道の主な制度は、確認できた範囲ではいずれも受付が終わっています。次回の公募は発表を確認できませんでした。

制度 内容 状況
札幌市
自家消費型太陽光発電設備導入補助金
企業・医療法人・社会福祉法人など(リース・PPAの事業者を通じた申込みも可)。太陽光は出力1kWあたり5万円(上限245万円、1.5kW以上)。蓄電池は工事費の1/3(上限は容量×19万円/kWh×1/3と150万円の低い方) 受付中。募集期間は2026年6月19日〜2027年1月29日で、先着順。予算に達した日に終了(札幌市のページ更新日は2026年10月8日。残りの予算は確認できないため、申込み前に札幌市へ確認)
環境省
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(令和8年度当初予算)
太陽光と蓄電池を同時に導入する自家消費型。太陽電池は10kW以上、自家消費率50%以上、逆潮流なし。補助金基準額はオンサイトPPA・リースが5万円/kW、自己所有が4万円/kW(太陽光の上限2,000万円) 一次(7月9日〜7月31日)、二次(8月27日〜10月2日)とも受付終了。二次の採択結果は10月28日に公表。次の公募は確認できない
環境省
駐車場等への太陽光発電設備の導入促進事業(ソーラーカーポート)
駐車場を活用した太陽光発電設備と充電設備等 一次(4月24日〜6月11日)、二次(6月25日〜7月16日)とも受付終了。二次は採択事業なしと公表(8月28日)。次の公募は確認できない
北海道
新エネルギー設備導入支援事業費補助金(令和8年度)
道内に事務所・事業所を持つ法人も対象。地域の課題解決に寄与する公共性の高い事業。補助率は1/2以内、限度額5,000万円 令和8年度の3次公募の受付期間は8月28日まで(終了)。次の公募は確認できない。自社の自家消費だけで対象になるとは限らない
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(環境省) 自治体向けの交付金。札幌市の制度は、この交付金を活用して間接的に補助する。民間事業者は自治体を通じた間接交付が可能 令和8年度の新規募集はない(北海道地方環境事務所の施策集)。民間事業者が直接申請する制度ではない

表:自家消費型太陽光に関する補助金の状況(各制度の公式ページ。2026年10月31日時点で確認)

重要 札幌市の制度は、契約・工事の前に申込む

札幌市の制度は、対象機器の設置に係る契約の締結と工事着手の前に申込み、「補助金交付決定通知書」を受け取る必要があります。契約済みの機器は対象外です。FIT・FIPの認証を受けないこと、発電量の30%以上を自家消費したうえで自家消費分を含めて50%以上を札幌市内で消費すること、国の他の補助制度と併用しないこと、法定耐用年数(17年)まで使い続けることが条件です。リース・PPAの場合は、事業者に交付された補助金の相当額が、需要家が払う料金から控除されます。

札幌市の5万円/kWの補助を使う場合の計算(仮定の数字):出力30kWなら 30 × 5万円 = 150万円です。出力100kWでは 100 × 5万円 = 500万円ですが、上限の245万円までになります(出力は、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの合計出力の低い方)。

ほかの市町村の補助金は「北海道の省エネ補助金まとめ|国・道・市の制度と受付状況【2026年10月更新】」と「太陽光や蓄電池の補助金に!北海道の「地域脱炭素推進交付金」活用ガイド」、駐車場の太陽光は「ソーラーカーポート補助金 令和8年度公募|駐車場で太陽光発電|北海道企業の導入ガイド」、蓄電池は「【北海道の事業者必見】令和7年度補正「業務産業用蓄電池」補助金で電力コスト削減とBCP対策を実現!」で扱っています。制度の状況はこの記事の確認結果(2026年10月31日時点)を優先してご覧ください。

9. 契約前に確認すること・よくある失敗

重要 PPA・リースの契約書で確認する項目
  • 契約期間と、期間満了後の扱い(設備の譲渡、撤去、廃棄費用の負担者)
  • 電気料金の単価が固定か、見直しがあるか。見直しの条件
  • 中途解約、建物の売却・建替え・移転のときの違約金と手続き
  • 屋根の防水工事や修繕のときの、パネルの脱着費用の負担者
  • 積雪・落雪・風による設備の損害、第三者への被害の責任分担
  • 保守の範囲と、発電停止時の対応
  • 環境価値(CO2排出削減効果)の帰属
  • 屋根の耐荷重を確認する前に、導入形態を決める。設置できない屋根では、どの形態でも導入できません。
  • 補助金の申込み前に契約・発注する。札幌市の制度などは、交付決定前の契約が対象外です。
  • 自家消費率を見ずに出力を決める。補助金には自家消費率の要件があります(札幌市は30%以上かつ市内消費50%以上、環境省のストレージパリティは50%以上)。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 北海道は雪が多いのに、法人の太陽光発電は採算が合いますか?

A. 公的データだけでは、採算が合うとも合わないとも断定できません。NEDOのデータでは札幌の年間日射量は東京と同水準で、冬は少なく夏は多い傾向です。採算は、買電単価、設備費、自家消費できる量、積雪期の低下、契約条件で決まります。設置業者のシミュレーションと自社の電力データで確認してください。

Q2. オンサイトPPAとは何ですか?

A. 自社の敷地内に、第三者のPPA事業者が太陽光発電設備を設置・所有し、発電した電気を使った分だけ購入する契約です。環境省は「第三者保有モデル」とも説明しています。設備の維持管理は、契約によりますが、PPA事業者が行う場合が多いとされています。

Q3. オンサイトPPAの電気に、再エネ賦課金はかかりますか?

A. 環境省のガイド(2022年3月)では、オンサイトPPAで自家消費する分は「再エネ賦課金はかからない」とされています。ただし、不足分を北海道電力などから買う電気には、賦課金を含む料金がかかります。オフサイトPPAは賦課金がかかるとされています。

Q4. オンサイトPPAとリースは、どちらがよいですか?

A. 支払い方が違います。PPAは使った電気の量に応じて払い、設備は一般的に資産計上されません。リースは発電がない場合も一定のリース料を払い、資産計上が必要です。どちらも長期契約で、設備を自由に処分・移転できません。発電量が見込みを下回ったときの影響は、定額のリースのほうが大きくなります。自社の条件で総額を試算して比べてください。

Q5. 屋根に雪が積もると、太陽光パネルはどうなりますか?

A. NEDOの日射量データには、パネルの上に積もった雪の影響は入っていません。着雪による発電の低下、設置角度と落雪、落雪対策は、既存記事「北海道の太陽光パネルの角度と雪の影響|最適傾斜角・積雪荷重・落雪対策」に整理しています。屋根の荷重は、建築基準法施行令第86条と、特定行政庁が定める垂直積雪量(札幌市は140cm)で確認します。

Q6. 札幌市の補助金は、PPAやリースでも使えますか?

A. 使えます。リース・PPAの事業者が申込み、交付された補助金の相当額が、需要家が払うリース料やサービス料から控除されます。2026年10月31日時点で、募集期間は2027年1月29日までの先着順です。契約・工事の前に申込む必要があります。

11. まとめ

  • 北海道でも、昼間の電力使用が多く、屋根が積雪荷重に耐えられる建物なら、法人の自家消費型太陽光は検討の土台に乗る。採算は設備費・買電単価・契約条件で決まる。
  • NEDOの日射量では、札幌の年間日射量は東京と同水準で、冬(12〜2月)は東京の約7割、夏は多い。積雪による発電の低下は、日射量データには入っていない。
  • 自己所有・オンサイトPPA・リースは、環境省の整理で再エネ賦課金がかからない(自家消費分)。オフサイトPPAはかかる。PPAは従量課金、リースは定額。
  • 積雪荷重は、建築基準法施行令第86条と垂直積雪量(札幌市140cm)で確認する。既存建築物の屋上への設置は建築確認が不要な場合があるが、構造の確認は必要。
  • 補助金で受付中と確認できたのは札幌市の制度(2027年1月29日まで、先着順)。環境省のストレージパリティ、ソーラーカーポート、北海道の新エネルギー設備導入支援事業の令和8年度の公募は終了している。

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記事情報
公開日:2026年11月1日
最終更新日:2026年11月1日
参照資料:
・環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「再生可能エネルギー(電力・熱)の調達と設備導入について」2026年2月(環境省)
・環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「再エネ調達のための太陽光発電設備導入について」2025年2月(環境省)
・環境省「はじめての再エネ活用ガイド(企業向け)」2022年3月(環境省)
・環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「オフサイトコーポレートPPAについて」2021年3月作成・2022年3月更新版(環境省)
・環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」(環境省)
・NEDO「日射関連データベース(MONSOLA-11)」「NEDO標準気象データベースの解説書」(NEDO、解説書)
・気象庁「平年値(年・月ごとの値)札幌」1991〜2020年(気象庁)
・建築基準法施行令第86条(e-Gov法令検索)
・北海道「垂直積雪量」(北海道)
・国土交通省「建築物の屋上に太陽電池発電設備を設置する際の建築基準法の取扱いについて(技術的助言)」令和5年3月13日(国土交通省)
・札幌市「自家消費型太陽光発電設備導入補助金制度」2026年10月8日更新(札幌市)
・環境省「令和8年度予算『ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業』の公募について」、一般財団法人環境イノベーション情報機構「公募要領」「二次公募の採択結果」(環境省、環境イノベーション情報機構)
・環境省「令和8年度予算『駐車場等への太陽光発電設備の導入促進事業』の公募について(二次公募)」、一般社団法人環境技術普及促進協会「公募情報」(環境省、環境技術普及促進協会)
・北海道「新エネルギー設備導入支援事業」令和8年度3次公募案内(北海道)
・ゼロカーボン北海道タスクフォース「北海道内 地域脱炭素関連補助施策集 令和8年度〈第2版〉」2026年7月(北海道地方環境事務所)
・北海道電力「デマンド(最大需要電力)」(北海道電力)
※2026年10月31日時点の情報です。計算例の数字は仮定です。補助金は、受付状況・予算・要件が変わることがあります。最新の内容は各制度の公式ページでご確認ください。