規制料金と自由料金の違いは、国の規制を受けた約款で決まる料金か、電力会社が自由に決める料金かです。規制料金は「経過措置料金」とも呼ばれ、北海道電力では従量電灯A・B・Cや低圧電力が該当します。それ以外の料金、たとえば北海道電力のエネとくプランや新電力のプランは、すべて自由料金です。
「どっちが得か」は、メニューと使い方で変わります。北海道電力の2026年11月1日実施の単価では、エネとくポイントプランは従量電灯Bより基本料金が月110円安く、電力量料金の単価は同じです。一方で、燃料費調整に上限があるのは規制料金だけです。燃料価格が大きく上がると、自由料金のほうが高くなることがあります。実際に北海道電力では、2022年12月分から2023年6月分(5月31日までの使用分)まで自由料金の燃料費調整単価のほうが高く、差は最大で1kWhあたり6.60円(2023年2月分)になりました。
この記事では、規制料金が低圧にだけ残っている理由、経過措置の解除をめぐる2026年10月時点の状況、北海道電力の規制料金メニューと自由料金メニューの単価の違い、法人の低圧契約(従量電灯C・低圧電力)で確認すべき点を、国と北海道電力の公表資料をもとに整理します。
この記事でわかること
・規制料金(経過措置料金)と自由料金の違いを一覧表で
・規制料金が低圧にだけ残っている理由と、解除をめぐる2026年10月時点の状況
・北海道電力の規制料金メニューと自由料金メニューの単価(2026年11月1日実施)
・燃料費調整の上限の有無で、過去にどれだけ差が出たか
・法人の低圧契約で、どっちが得かを判断するための計算と確認点
更新履歴
- 2026年10月27日:全面改訂。経過措置の解除をめぐる2026年6〜7月の国の公表内容、北海道電力の2026年11月1日実施の単価、燃料費調整の上限の実績(2022年12月分〜2023年6月分)、法人の低圧契約の比較計算と確認点を追加。根拠を確認できない記述を削除
- 2023年1月18日:初版公開
1. 規制料金と自由料金の違い【一覧表】
規制料金は、大手電力会社(旧一般電気事業者)が「特定小売供給約款」に定めて提供する低圧の料金です。資源エネルギー庁は、この約款について「有識者による厳正な審査の上で、経済産業大臣による認可を受けている」と説明しています。自由料金は、託送料金などの費用を踏まえつつ、原則として事業者の裁量で設定され、認可などの規制はありません。
| 比較項目 | 規制料金(経過措置料金) | 自由料金 |
|---|---|---|
| 料金の根拠 | 特定小売供給約款(経済産業大臣の認可) | 各社の約款・契約要綱など(認可は不要) |
| 提供している会社 | 各エリアの大手電力会社(北海道では北海道電力) | 大手電力会社(自由料金メニュー)と新電力 |
| 対象 | 低圧のみ | 低圧・高圧・特別高圧 |
| 値上げの手続き | 経済産業大臣の認可が必要(審査・公聴会あり) | 各社の判断で変更できる |
| 燃料費調整の上限 | あり(下限はなし) | 北海道電力の低圧の自由料金メニューは2022年12月分から上限なし。新電力は会社ごとに異なる |
| 北海道電力のメニュー例 | 従量電灯A・B・C、低圧電力、定額電灯、臨時電灯・臨時電力など | エネとくポイントプラン、エネとくS・M・Lプラン、エネとく動力プランなど |
| 供給の義務 | 北海道電力は正当な理由がなければ供給を拒めない(経過措置) | 契約条件による |
表:規制料金と自由料金の主な違い(資源エネルギー庁「電気料金の改定について(2023年6月実施)」、北海道電力「料金メニュー」「各種約款・要綱」、電気事業法等の一部を改正する法律附則第16条をもとに作成)
呼び方が3つありますが、指しているものは同じです。法律上は経過措置として残されている料金なので「経過措置料金」、約款の名前から「特定小売供給約款の料金」、国の規制を受けているので「規制料金」と呼ばれます。北海道電力は「規制料金メニュー(従量電灯などの特定小売供給約款に基づく料金メニュー)」と表記しています。
2. 規制料金が残っているのは低圧だけ|自由化の経緯
電気の小売の自由化は、契約の規模が大きい順に段階的に進みました。北海道を含む沖縄以外のエリアでは、高圧と特別高圧は2016年より前にすでに自由化されています。
| 時期 | 自由化の対象 | 主な需要家 |
|---|---|---|
| 2000年3月 | 特別高圧 | 大規模工場、デパート、オフィスビル |
| 2004年4月・2005年4月 | 高圧(段階的に拡大) | 中小規模工場、中小ビル |
| 2016年4月1日 | 低圧(小売の全面自由化) | 家庭、商店、小規模事務所など |
表:電力小売自由化の経緯(沖縄以外のエリア。資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」)
沖縄電力のエリアでは、高圧部門の料金規制が2016年4月以降も残っていました。国は2026年4月1日を目途にこれを解除することを決め、2025年10月15日に改正省令が公布されています。沖縄電力は、2026年4月1日から適用する高圧・特別高圧の標準的な電気供給条件を2025年11月7日に公表しています。
2016年4月の全面自由化のときに、大手電力会社による「規制なき独占」を防ぐため、低圧の規制料金に経過措置が設けられました。この経過措置は2020年3月末で撤廃されましたが、同年4月以降も、経済産業大臣が「電気の使用者の利益を保護する必要性が特に高い」と指定した供給区域では、規制料金が存続しています。
そのため、2026年10月時点では、高圧・特別高圧に規制料金はありません。高圧で受電している事業所が「規制料金に戻す」ことはできず、どの小売電気事業者とも契約が成立しない場合は、北海道電力ネットワークの「電気最終保障供給約款」による供給が受け皿になります。
低圧の場合、受け皿の役割は規制料金が担っています。法律(電気事業法等の一部を改正する法律附則第16条)では、指定された区域の大手電力会社(みなし小売電気事業者)は、正当な理由がなければ規制料金での供給(特定小売供給)を拒んではならないと定められています。新電力の撤退が心配な場合の考え方は、新電力の倒産・撤退リスクと契約前の確認点で詳しく解説しています。
3. 経過措置料金はいつ終わる?2026年10月時点の状況
結論として、2026年10月27日時点で確認できた範囲では、北海道を含むどのエリアでも経過措置料金の指定は解除されていません。ただし、2026年6月には沖縄エリアについて、解除の基準を満たす蓋然性があるという見解が示されました。
解除を判断する3つの要素
解除の判断は、2019年4月の「電気の経過措置料金に関する専門会合」のとりまとめに沿って、次の3つの要素を総合して行われます。
| 要素 | 主な確認内容 | 2026年6月19日の確認結果 |
|---|---|---|
| 第一要素:消費者等の状況 | 電力自由化の認知度、切替え(スイッチング)の動向 | 全エリアで一定の充足 |
| 第二要素:十分な競争圧力 | 低圧のエリアシェア5%以上の有力で独立した競争者が2者以上いるか など | 沖縄で2者以上。北海道・東京・中部・関西は1者 |
| 第三要素:競争の持続的確保 | 大手電力・JERAの内外無差別な卸売など、電力調達の公平性 | 北海道・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄で認められる(2025年6月時点の評価) |
表:経過措置料金の解除基準と競争状況の確認結果(電力・ガス取引監視等委員会 第21回制度設計・監視専門会合 資料4(2026年6月19日)、資源エネルギー庁 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 第1回電力事業環境整備ワーキンググループ 資料6(2026年7月7日)。第三要素は2025年6月の第10回制度設計・監視専門会合の評価による)
2020年4月時点では全エリアで存続が適当とされ、その後2021年から2025年まで毎年確認しても、競争状況に顕著な進展があるエリアは出ていませんでした。2026年6月19日の電力・ガス取引監視等委員会の専門会合では、沖縄エリアについて解除基準を満たす蓋然性があるとされ、今後、競争者の独立性やシェアの継続性などを精査するとされています。北海道エリアは、シェア5%以上の競争者が1者で、第二要素を満たしていません。
なお、第三要素のもとになる内外無差別な卸売の評価は、その後更新されています。2026年7月31日の第22回制度設計・監視専門会合では、事務局の新しい評価案が委員に支持され、内外無差別が担保されているエリアは北海道・東北・北陸・関西・中国・四国・沖縄とされました。九州エリアは評価を確定できず、2026年度秋頃を目途に再評価するとされています。東京・中部エリアは、担保されているとは評価されていません。北海道エリアの評価(担保されている)は変わっていません。2026年10月27日時点で確認できた範囲では、この新しい評価をもとに経過措置料金の解除をあらためて判断した資料は公表されていません。
解除されたら何が変わるか
指定が解除されると、そのエリアの大手電力会社は自由料金メニューだけを提供することになり、低圧の最終保障供給は地域の一般送配電事業者が担うことになります。資源エネルギー庁の審議会(2025年11月28日)では、一般送配電事業者が低圧の最終保障供給を担うことは可能と整理しつつ、料金メニューの設定方法やシステム対応などの実務面の課題が挙げられています。
同じ資料では、規制料金の燃料費調整の上限について、委員から「引き上げや撤廃を含めた見直しが必要」といった意見が出ており、経過措置料金の在り方を引き続き検討するとされています。上限の扱いは今後変わる可能性がある論点として押さえておくとよいでしょう。
4. 北海道電力の規制料金メニューと自由料金メニュー
北海道電力の低圧の主なメニューを、規制料金と自由料金に分けると次のとおりです。法人の事務所・店舗で多いのは、電灯の「従量電灯C」と動力の「低圧電力」です。
| 区分 | メニュー | 主な適用条件 |
|---|---|---|
| 規制料金 | 従量電灯A | 最大電流5A以下(集合住宅の共同灯など) |
| 従量電灯B | 契約電流10〜60A(一般家庭など) | |
| 従量電灯C | 契約容量6kVA以上50kVA未満(大型住宅、小売店、医院など) | |
| 低圧電力 | 契約電力50kW未満で動力を使用(商店・小規模事務所の冷暖房など) | |
| 自由料金 | エネとくポイントプラン | 従量電灯B(10〜60A)の契約者向け |
| エネとくMプラン・Lプラン | B(10〜60A)とC(7kVA以上)がある。一定量までが定額 | |
| エネとく動力プラン | 低圧で動力を使用。主開閉器契約と実量制契約がある | |
| エネとくスマートプランなど | ヒートポンプ機器などを使う需要家向け |
表:北海道電力の低圧の主な料金メニュー(北海道電力「料金メニュー」各ページ、2026年10月27日確認)
2026年11月1日実施の単価で比べる
北海道電力は、北海道電力ネットワークの託送料金の見直しに伴い、2026年11月1日から低圧・高圧・特別高圧の料金を見直します。規制料金については、2026年9月25日に特定小売供給約款の変更を経済産業大臣に届け出ています。見直し後の単価を、規制料金と自由料金で並べると次のとおりです。
| 比べる組み合わせ | 基本料金 | 電力量料金 |
|---|---|---|
| 従量電灯B(規制)30A | 1,716.30円 | 120kWhまで35.77円/280kWhまで42.06円/超過分45.78円 |
| エネとくポイントプラン(自由)30A | 1,606.30円 | 従量電灯Bと同じ。電気料金200円につき1ポイント |
| 従量電灯C(規制) | 1kVAにつき572.10円 | 120kWhまで35.77円/280kWhまで42.06円/超過分45.78円 |
| エネとくMプランC(自由) | 1kVAにつき572.10円 | 250kWhまで定額9,025.50円/超過分44.09円 |
| エネとくLプランC(自由) | 1kVAにつき572.10円 | 400kWhまで定額15,444.00円/超過分43.42円 |
| 低圧電力(規制) | 1kWにつき1,681.02円 | 29.03円 |
| エネとく動力プラン(自由)主開閉器契約 | 1kWにつき1,255.65円 | 31.10円 |
| エネとく動力プラン(自由)実量制契約 | 1kWにつき2,068.55円 | 31.10円 |
表:北海道電力の規制料金と自由料金の単価(2026年11月1日実施、税込。電力量料金は1kWhあたり。燃料費等調整額と再エネ賦課金を含まない。北海道電力「電気料金の見直しについて」(2026年9月25日)、各料金メニューのページ)
見直しの影響は、北海道電力のモデル(従量電灯B・30A・月230kWh)で月11,115円から11,596円へ、481円(4.3%)増える試算です(燃料費等調整額を含まず、再エネ賦課金4.18円/kWhを含む)。低圧電力の基本料金は1kWあたり1,413.06円から1,681.02円に上がります。見直しの背景は北海道電力の託送料金・電気料金の値上げまとめで整理しています。
なお、北海道電力は2025年10月31日に、泊発電所3号機の再稼働後の値下げ見通しとして、規制料金の家庭向けで11%程度、低圧自由料金で平均11%程度という数字を公表しています。一定の前提を置いた見通しで、時期や実際の改定内容はまだ決まっていません。
5. 燃料費調整の上限は規制料金だけ|過去に出た差
燃料費調整は、原油・LNG・石炭の輸入価格の変動を毎月の電気料金に反映する仕組みです。北海道電力の低圧では、平均燃料価格が基準燃料価格(1kLあたり80,800円)を上回るとプラス、下回るとマイナスの調整になります。
燃料費調整単価 =(平均燃料価格 − 80,800円)÷ 1,000 × 基準単価17.3銭
規制料金は平均燃料価格121,200円/kLが上限。自由料金(北海道電力の低圧)は上限なし
計算式:北海道電力 特定小売供給約款・電気標準約款[低圧](2026年11月1日実施)の別表「燃料費調整」より(低圧・従量制の場合)
上限の121,200円で計算すると、規制料金の燃料費調整単価の上限は1kWhあたり約6.99円です((121,200−80,800)÷1,000×17.3銭=698.92銭。離島ユニバーサルサービス調整を除く。筆者計算)。自由料金にはこの上限がないため、燃料価格が上限を超えて上がると、その分だけ自由料金の燃料費調整が高くなります。北海道電力も料金メニューのページで「燃料価格が高騰した場合には、自由料金メニューのご請求額の方が高くなる可能性があります」と明記しています。
北海道電力は、低圧の自由料金メニューの燃料費調整の上限を、2022年12月分から設定しなくなりました。規制料金(従量電灯B・C、低圧電力など)の燃料費調整単価は、2022年8月分から2023年6月分(5月31日までの使用分)まで上限に張り付いていました。この間に自由料金との差が出た月の単価(1kWhあたり)は次のとおりです。
| 月分 | 規制料金 | 自由料金 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2022年12月分 | 3.66円 | 9.75円 | 6.09円 |
| 2023年1月分 | 3.66円 | 9.91円 | 6.25円 |
| 2023年2月分 | −3.34円 | 3.26円 | 6.60円 |
| 2023年3月分 | −3.34円 | 2.69円 | 6.03円 |
| 2023年4月分 | −3.34円 | 1.57円 | 4.91円 |
| 2023年5月分 | −3.34円 | 0.43円 | 3.77円 |
| 2023年6月分(5月31日までの使用分) | −3.34円 | −0.30円 | 3.04円 |
表:北海道電力の低圧の燃料費調整単価(規制料金は従量電灯B・C、低圧電力など。自由料金はエネとくプラン、エネとく動力プランなど。2023年2月分以降はどちらも国の激変緩和対策による値引き後の単価。差は筆者計算。北海道電力「過去の燃料費調整単価等一覧」)
差が最大だったのは2023年2月分の6.60円です。月3,000kWhを使う事業所なら、2023年2月分だけで19,800円、上の7か月の合計では約11万円の差になります(使用量は仮定。3,000kWh×6.60円=19,800円、3,000kWh×7か月の差の合計36.69円=110,070円。筆者計算)。なお、当時の単価は2023年6月の規制料金改定より前の基準で計算されたもので、現在の上限(約6.99円)とは基準が異なります。
一方、平常時は差が出ません。2023年6月分(6月1日以降の使用分)から2026年11月分まで、北海道電力の低圧の燃料費等調整単価は、自由料金メニューと規制料金(従量電灯A以外)で同じ値です。2026年11月分は−4.54円/kWhで、算定に使った平均燃料価格は54,400円/kLでした。上限の121,200円は、その約2.2倍にあたります(筆者計算)。
国の電気・ガス料金支援による値引きも、規制料金と自由料金に同じ単価で適用されています。2026年8月分〜10月分の低圧の値引きは、8月分3.50円、9月分4.50円、10月分3.50円で、11月分は値引きがありません。規制料金に値引きを適用するため、北海道電力は「特定小売供給約款以外の供給条件」の認可を受けています(2026年6月12日)。支援の最新状況は国の電気・ガス料金支援の最新状況、燃料費調整と新電力独自の調整項目の違いは電源調達調整費と燃料費調整額の違いで解説しています。
6. 法人の低圧契約はどっちが得?仮定の数字で比較
ここでは、2026年11月1日実施の単価を使い、法人に多い2つの組み合わせを比べます。燃料費等調整額と再エネ賦課金は、平常時は1kWhあたりの単価が両方で同じなので、差には影響しません(燃料価格が上限を超えた場合を除く)。以下の使用量・契約電力はすべて仮定の数字です。
低圧電力とエネとく動力プラン(主開閉器契約)
エネとく動力プランは、基本料金が1kWあたり425.37円安い代わりに、電力量料金が1kWhあたり2.07円高くなります。契約電力が同じなら、損益の分かれ目は次の式で求められます。
分かれ目の月間使用量 = 契約電力 ×(1,681.02 − 1,255.65)÷(31.10 − 29.03)
= 契約電力1kWあたり約205kWh/月。これより少なければエネとく動力プラン、多ければ低圧電力が安い
| 仮定(契約電力10kW) | 低圧電力(規制) | エネとく動力プラン(自由) | 差 |
|---|---|---|---|
| 月1,500kWh | 60,355円 | 59,207円 | エネとく動力が約1,149円安い |
| 月3,000kWh | 103,900円 | 105,857円 | 低圧電力が約1,956円安い |
表:基本料金+電力量料金の比較(仮定の数字。燃料費等調整額・再エネ賦課金を含まない。円未満四捨五入。単価は北海道電力 2026年11月1日実施)
注意点として、規制料金の低圧電力は、契約負荷設備(機器の入力に係数を掛けて算定)か、契約主開閉器のどちらかで契約電力を決めます。エネとく動力プランは契約主開閉器で決めるため、切り替えると契約電力そのものが変わることがあります。比較するときは、切替後の契約電力を確認してから計算してください。実量制契約(エネとく動力プランQ)は、スマートメーターで計った30分ごとの使用量から求めた最大需要電力と前11か月の値のうち大きい値が契約電力になります。動力の契約電力の考え方は業務用エアコンの動力契約の見直し方と電気のデマンドとはも参考になります。
従量電灯CとエネとくMプランC・LプランC
3つとも基本料金の単価は1kVAあたり572.10円で同じです。契約容量(kVA)が同じなら、差が出るのは電力量料金だけなので、使用量ごとに比べると次のようになります。
| 月の使用量(仮定) | 従量電灯C(規制) | エネとくMプランC(自由) | エネとくLプランC(自由) |
|---|---|---|---|
| 300kWh | 11,938円 | 11,230円 | 15,444円 |
| 500kWh | 21,094円 | 20,048円 | 19,786円 |
| 800kWh | 34,828円 | 33,275円 | 32,812円 |
表:電力量料金の比較(仮定の数字。基本料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金を含まない。円未満四捨五入。単価は北海道電力 2026年11月1日実施)
使用量が多い月は自由料金のほうが安くなりますが、MプランCは月250kWh、LプランCは月400kWhまで定額です。電気をまったく使わない月も定額部分はかかります。たとえばLプランCは、月の使用量が約377kWhを下回ると従量電灯Cより高くなります(筆者計算)。季節で使用量が大きく変わる事業所は、12か月分の使用量で年間の合計を比べる必要があります。なお、MプランC・LプランCは契約容量7kVA以上が条件です。
注意点として、契約容量の決め方が違います。従量電灯Cは、原則として契約負荷設備の総容量に係数を掛けて契約容量を決め、希望すれば契約主開閉器で決めることもできます。エネとくMプランC・LプランCは、契約主開閉器の定格電流で契約容量を決めます(LプランCには、協議が整えば当分の間、契約負荷設備を基準に決める特別措置があります)。そのため、負荷設備で契約している従量電灯Cから切り替えると、kVA数が変わり、基本料金も変わることがあります。切替後の契約容量を確認してから比べてください。
7. 法人の低圧契約で確認すべき6つの点
検針票や請求書の契約種別が「従量電灯C」「低圧電力」なら規制料金、「エネとく〜」や新電力のプラン名なら自由料金です。切替えの手続きでは、あわせて供給地点特定番号も控えておきます。
負荷設備で決めているか、主開閉器で決めているか、実量制かで、切替後の基本料金が変わります。
定額部分のあるプランや、基本料金と電力量料金の配分が違うプランは、1か月だけでは判断できません。
新電力のプランは、燃料費調整の上限の有無や、市場価格を反映する独自の調整費の有無が会社ごとに違います。
規制料金の契約期間は料金適用開始日が属する年度の末日までで、その後は1年ごとに自動継続です。エネとく動力プランやエネとくM・Lプランは「1年を通じて」適用を希望することが条件で、契約期間の満了前は原則として他の契約種別に変更できません。
新電力に切り替える場合は、解約違約金や、撤退時の対応を契約書面で確認します。低圧なら、経過措置が続く間は北海道電力の規制料金が受け皿になります。
新電力を含めて比べる手順は、北海道の企業が新電力で電気代を下げる全手順にまとめています。
8. よくある失敗と注意点
定額部分のあるプランや、基本料金が安く電力量料金が高いプランは、使用量の少ない月と多い月で有利・不利が逆になります。必ず12か月分で比べてください。
平常時は燃料費調整の単価が同じでも、燃料価格が上限を超えると自由料金だけが上がります。北海道電力では2022年12月分から2023年6月分まで自由料金のほうが高く、差は最大で1kWhあたり6.60円になりました。使用量が多い事業所ほど影響が大きくなります。
負荷設備で決めていた契約電力が、主開閉器契約や実量制に変わると、kW数が増える場合も減る場合もあります。従量電灯CからエネとくMプランC・LプランCへの切替えでも、契約容量(kVA)が変わることがあります。単価だけでなく、切替後のkW数・kVA数で計算することが大切です。
規制料金も値上げされます。2023年6月には国の認可を経て大手電力7社の規制料金が値上げされ、2026年11月1日からは託送料金の見直しを反映して北海道電力の規制料金の単価が変わります(2026年9月25日に約款の変更を届出)。
9. よくある質問(FAQ)
A. 使用量と契約の形で決まります。北海道電力の場合、従量電灯Bの契約ならエネとくポイントプランは基本料金が月110円安く、電力量料金は同じです。従量電灯Cや低圧電力は、使用量によって有利・不利が分かれます。ただし燃料費調整の上限は規制料金にしかないため、燃料価格が大きく上がった場合のリスクも含めて判断します。
A. 低圧であれば、経過措置が続く間は戻れます。北海道電力のような指定区域の大手電力会社は、正当な理由がなければ規制料金での供給を拒めないと法律で定められています。ただし、今の契約先から解約違約金を請求される場合や、ポイントが失効する場合があります。
A. 終了の時期は決まっていません。国は毎年、エリアごとに競争状況を確認しています。2026年3月末時点のデータでは、沖縄エリアが解除基準を満たす蓋然性があるとして精査中で、北海道エリアはシェア5%以上の競争者が1者のため基準を満たしていません。
A. 選べません。北海道を含む沖縄以外のエリアでは、高圧は2004年・2005年、特別高圧は2000年に自由化されており、規制料金はありません。沖縄電力のエリアの高圧部門も、2026年4月1日を目途に料金規制を解除することが決まりました(2025年10月15日に改正省令を公布)。どの小売電気事業者とも契約が成立しない場合は、北海道電力ネットワークの最終保障供給が受け皿になります。高圧と低圧の比較は高圧受電と低圧受電の損益分岐点で解説しています。
A. 低圧の規制料金が経過措置として残っている仕組みと、規制料金の燃料費調整に上限がある点は、全国の大手電力会社で共通です。2026年10月27日時点で、どのエリアでも指定は解除されていません(2026年3月末時点のデータによる確認では、沖縄エリアを精査中)。ただし、料金単価や基準燃料価格、自由料金メニューの条件は会社ごとに異なるため、各社の公表資料で確認が必要です。
10. まとめ
- 規制料金は、大手電力会社が国の認可を受けた特定小売供給約款で提供する低圧の料金。北海道電力では従量電灯A・B・C、低圧電力などが該当する
- 高圧・特別高圧は、北海道を含む沖縄以外のエリアでは2000〜2005年に自由化済み(沖縄電力の高圧部門は2026年4月1日を目途に規制解除)。規制料金が残っているのは低圧だけ。2026年10月時点で、どのエリアでも指定は解除されていない
- 燃料費調整の上限は規制料金だけ。北海道電力では2022年12月分〜2023年6月分に自由料金のほうが高く、差は最大1kWhあたり6.60円(2023年2月分)。平常時は同じ単価
- 2026年11月1日実施の単価では、エネとくポイントプランは従量電灯Bより基本料金が月110円安い。従量電灯Cや低圧電力は、使用量によってどちらが安いかが変わる
- 法人の低圧契約は、契約種別・契約電力の決まり方・12か月の使用量・契約期間と戻り先を確認してから比べる
記事情報
公開日:2023年1月18日
最終更新日:2026年10月27日(全面改訂)
参照資料:
・資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」(資源エネルギー庁)
・資源エネルギー庁「電力自由化で料金設定はどうなったの?」(資源エネルギー庁)
・資源エネルギー庁「電気料金の改定について(2023年6月実施)」(資源エネルギー庁)
・資源エネルギー庁「経過措置料金の指定解除に係る競争状況の確認結果について」次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 第1回電力事業環境整備ワーキンググループ 資料6(2026年7月7日)(経済産業省)
・電力・ガス取引監視等委員会 第21回制度設計・監視専門会合 資料4(2026年6月19日)(電力・ガス取引監視等委員会)
・電力・ガス取引監視等委員会 第22回制度設計・監視専門会合 資料3「現時点における旧一般電気事業者及びJERAの内外無差別な卸売の評価結果(案)等について」(2026年7月31日)(電力・ガス取引監視等委員会)、同 議事録(電力・ガス取引監視等委員会)
・電力・ガス取引監視等委員会 第15回制度設計・監視専門会合 資料3「沖縄電力の高圧部門の料金規制解除に伴う『特別な事後監視』の詳細設計について」(2025年11月21日)(電力・ガス取引監視等委員会)
・資源エネルギー庁「経過措置料金の解除に係る課題等の整理」資料8(2025年11月28日)(経済産業省)
・電力・ガス取引監視等委員会「経過措置料金解除関連条文」(電気事業法等の一部を改正する法律附則第16条)(電力・ガス取引監視等委員会)
・北海道電力「料金メニュー」(北海道電力)、「従量電灯」(北海道電力)、「低圧電力」(北海道電力)、「エネとく動力プラン」(北海道電力)、「エネとくポイントプラン」(北海道電力)、「エネとくMプラン」(北海道電力)、「エネとくLプラン」(北海道電力)
・北海道電力「各種約款・要綱」(特定小売供給約款・電気標準約款[低圧]・各需給契約要綱、2026年11月1日実施)(北海道電力)
・北海道電力「託送料金の見直しに伴う電気料金の見直しについて」(2026年9月25日)(北海道電力)
・北海道電力「2026年11月分電気料金の燃料費等調整に関するお知らせについて」(2026年9月29日)(北海道電力)
・北海道電力「過去の燃料費調整単価等一覧」(北海道電力)
・北海道電力「国が実施する電気・ガス料金支援に関する『特定小売供給約款以外の供給条件』の認可について」(2026年6月12日)(北海道電力)
・北海道電力「泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて」(2025年10月31日)(北海道電力)
・北海道電力ネットワーク「最終保障供給のご案内」(北海道電力ネットワーク)
※2026年10月27日時点の情報です。料金単価は2026年11月1日実施のもの(税込)です。燃料費等調整単価・再エネ賦課金・国の支援による値引きは月ごとに変わるため、最新の値は北海道電力の公表資料でご確認ください。
