北海道の電気代はなぜ高い?法人向けに理由を公式データで整理【札幌の目安つき】

北海道の電気代はなぜ高い?単価・託送料金・冬の需要から理由を整理(法人向け)

北海道の電気代が高く見えるのは、公的な統計で、平均販売単価が全国10エリアの中で最も高い水準にあることが確認でき(低圧は調べた6か月すべてで最高、高圧・特別高圧は6か月合計で最高。ただし高圧は月によって1〜3位)、その背景に、石炭中心で原子力が動いていない電源、送配電網の利用料金である託送料金、冬に需要が増える北海道の事情、燃料費調整が重なっているためと考えられます。ただし、各要因がどれだけ単価に効いているかを分けて示した公的資料は確認できません。この記事では、確認できた事実と、確認できない部分を分けて書きます。

2026年11月1日に、北海道電力ネットワーク(ほくでんNW)の託送料金の見直しにあわせて、北海道電力も電気料金の単価を見直しました(2026年11月1日実施)。高圧の業務用電力の基本料金は、1kWあたり2,693円20銭から2,970円10銭になり、上げ幅は基本料金に集中しています。

この記事は、札幌をはじめ北海道電力の供給区域にある法人(総務・施設管理・経営者)向けに、「なぜ高いのか」を公式資料で整理し、自社で動かせる項目を既存コラムへ案内する構成です。対策の詳しい手順は繰り返さず、リンク先に任せます。

この記事でわかること
・結論:北海道の電気の平均販売単価は、電力取引報(令和7年8月〜令和8年7月のうち取得できた6か月)の合計で、特別高圧・高圧・低圧のすべてが全国10エリア中で最も高い。低圧は6か月すべてで最高。高圧・特別高圧は月によって1〜3位になる。背景は、電源・託送料金・冬の需要・燃料費調整の重なりと考えられる
・他エリアとの比較表(公的統計から計算、データ時点つき)と、その読み方の注意
・札幌の法人の電気代の目安の見方(仮定の数字による計算例)
・11月改定でどう変わったか(2026年11月1日実施)と、国の電気・ガス料金支援の現状
・自社で動かせる5つの項目と、詳しい既存コラム

更新履歴

  • 2026年11月1日:初版公開

1. 結論|「高い」と言える事実と、背景の4要因

まず、公的資料で確認できることと、確認できないことを分けます。

観点 確認できた事実(出典は記事末尾) 確認できないこと
単価の水準 電力取引報(令和7年8月〜令和8年7月の6か月)の合計では、北海道の平均販売単価が特別高圧・高圧・低圧のすべてで10エリア中最も高い。低圧は6か月すべてで1位、高圧・特別高圧は月によって1〜3位(2章) 個々の事業所の請求が他エリアより何%高いか(契約条件・使い方で変わる)
電源 北海道電力の2025年度の電源構成は石炭が38%で最大。原子力は公表図に表示がない(泊発電所が再稼働していない)(5章) 電源構成が料金を何円押し上げているか
託送料金 託送料金は電気料金の約30%(全国向けの説明)。2026年11月1日にほくでんNWの託送料金が見直された(4章) 北海道の託送料金が他エリアより高いかどうか(同じ条件で比べた公的資料は確認できなかった)
冬の需要 北海道エリアは、冬季の想定最大需要が夏季の見通しより大きい(6章) 冬の需要が単価に与える影響の大きさ
燃料費調整 高圧の燃料費等調整単価は、2026年11月分が0円75銭(5章) 他エリアとの燃調単価の高低の比較(基準が各社で異なる(推測))

表:北海道の電気代が高い理由 確認できた事実と確認できないこと(各公的資料より作成)

以降の章では、この順番で数字を確認します。料金単価の見直しの全体像は北海道電力の託送料金・電気料金 値上げまとめ【2026年11月改定対応】、電気代の対策全体は法人の電気代高騰対策【北海道】5段階で整理|契約・設備・補助金で扱っています。

2. 他エリアとの比較|電力取引報で見る平均販売単価(令和7年8月〜令和8年7月のうち6か月)

他エリアと比べるときは、二次サイトのランキングではなく、国の統計を使います。電力・ガス取引監視等委員会は、毎月「電力取引の状況(電力取引報)」を公表しています。この資料には、エリア別・電圧区分別の販売電力量と販売額が載っています。単価そのものは載っていないため、販売額を販売電力量で割った値(円/kWh)を本稿で計算しました。

対象は、最新の令和8年7月分(2026年10月15日公表)を含む、令和7年8月〜令和8年7月の12か月のうち取得できた6か月(令和7年8月分・9月分・12月分、令和8年1月分・2月分・7月分)です。季節の偏りを減らすため、月ごとの単価の平均ではなく、6か月の販売額の合計÷販売電力量の合計で計算しています。令和7年10月分・11月分、令和8年3月分〜6月分は、本稿では取得できませんでした。

エリア 特別高圧 6か月 高圧 6か月 低圧 6か月 (参考)高圧 令和8年7月分
北海道 20.13 22.32 30.09 23.60
東北 18.25 22.16 26.80 23.63
東京 18.46 20.96 27.66 25.52
中部 16.82 19.78 25.23 22.34
関西 16.12 19.07 23.75 20.40
九州 15.47 18.59 23.14 19.28
全国計 17.17 20.35 25.89 22.75

表:エリア別の平均販売単価(円/kWh、本稿で計算)。対象:令和7年8月分・9月分・12月分、令和8年1月分・2月分・7月分の6か月。計算:6か月の販売額の合計÷販売電力量の合計。出典:電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況」各月の販売電力量と販売額(全小売電気事業者、電圧種別/エリア別)。表には代表6エリアのみ掲載(10エリア全体の順位は本文に記載)

北海道が月ごとに10エリア中で何位だったかは、次のとおりです。

対象月 特別高圧(円/kWh・順位) 高圧(円/kWh・順位) 低圧(円/kWh・順位)
令和7年8月分 19.74(2位) 22.30(2位) 31.20(1位)
令和7年9月分 19.12(2位) 22.05(2位) 31.03(1位)
令和7年12月分 20.61(1位) 22.67(1位) 31.03(1位)
令和8年1月分 20.68(1位) 22.40(2位) 29.65(1位)
令和8年2月分 20.61(1位) 20.87(2位) 25.92(1位)
令和8年7月分(最新) 19.90(3位) 23.60(3位) 34.28(1位)

表:北海道の平均販売単価と10エリア中の順位(月別、本稿で計算)。出典:電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況」

読み取れる点は、次のとおりです。

  • 6か月の合計では、北海道は特別高圧・高圧・低圧のいずれも10エリア中で最も高い水準でした。全国計との差は、特別高圧で2.96円/kWh、高圧で1.96円/kWh、低圧で4.19円/kWhです(小数第3位以下まで含めて計算しているため、表の丸めた値どうしの引き算とは0.01円ずれることがあります)。
  • 低圧は、調べた6か月すべてで北海道が最も高くなっています(低圧には家庭向けの電灯が含まれます)。
  • 高圧と特別高圧は、月によって順位が入れ替わります。高圧は6か月合計で北海道22.32円、東北22.16円と僅差で、令和8年7月分は東京(25.52円)と東北(23.63円)が北海道(23.60円)を上回りました。「北海道の高圧は必ず全国一高い」とは言えません。
重要 この表の読み方

・これはエリア全体の平均値です。販売額には基本料金・電力量料金などが混ざり、販売額に含まれる項目の範囲は資料に説明がありません。個々の事業所の単価や、同じ条件で計算した請求額の比較ではありません。
・販売電力量と販売額は、前月の検針日から当月の検針日の前日までの実績を「当月分」として計上できる扱いです(資料の注記)。実際の月の使用とはずれます。
・取得できたのは12か月中6か月で、夏〜秋(令和7年8月・9月)、冬(12月・1月・2月)、夏(令和8年7月)を含みますが、全月ではありません。取得できなかった月を含めると、結果が変わる可能性があります。
・国の電気・ガス料金支援の対象期間(2026年1〜3月使用分、7〜9月使用分など)の値引きが、販売額に含まれる月があると考えられます(推測)。値引きの単価は全国共通のため、エリア間の順位を大きく変える要因ではないと考えられます(推測)。
・低圧には、家庭向けの電灯が含まれます。法人の低圧契約だけの値ではありません。

参考として、同じ資料(令和8年7月分)では、高圧の販売電力量は北海道が1,035,920MWh、東京が8,172,443MWhで、北海道は東京の約1/8(計算)です。供給区域が広く、需要の規模が小さいことは、設備費用の負担に影響すると考えられますが、公的資料で効果を確認できていないため(推測)にとどめます。

平均単価の差を、仮定の数字で金額にすると、次のようになります。月20,000kWhを使う高圧の事業所が、全国計と北海道の6か月平均単価の差(1.96円/kWh)を単純に掛けると、20,000kWh×1.96円=39,200円です。仮定の数字による単純計算で、実際の請求差ではありません。

3. 札幌の法人の電気代の目安の見方|北海道電力の高圧単価と計算式

北海道電力の単価表には、市町村ごとの区分はありません。札幌も道内の他の都市も、同じ契約種別なら同じ単価表を使います。ここでは、事務所・病院・学校・店舗などが使う高圧の「業務用電力」を例に、電気代の目安の見方を整理します。

3-1. 2026年11月1日の見直し前後の単価(実施済み)

契約種別(標準電圧6,000V等) 項目 見直し前 見直し後(2026年11月1日実施) 変化
業務用電力(一般料金) 基本料金 1kW 2,693円20銭 2,970円10銭 +276円90銭(約+10.3%)
同上 電力量料金 1kWh 23円40銭 23円47銭 +7銭
高圧電力(一般料金) 基本料金 1kW 2,880円20銭 3,157円10銭 +276円90銭(約+9.6%)
同上 電力量料金 1kWh 21円62銭 21円69銭 +7銭
業務用電力A(60kV) 基本料金 1kW 2,619円50銭 2,742円40銭 +122円90銭(約+4.7%)
低圧電力(規制料金) 基本料金 1kW 1,413円06銭 1,681円02銭 +267円96銭(約+19.0%)

表:北海道電力の料金単価の見直し前後。消費税等相当額を含み、再エネ賦課金・燃料費等調整額を含まない。出典:北海道電力「電気料金の見直しについて」2026年9月25日。変化の%は本稿で計算

上げ幅は基本料金に集中し、電力量料金の上げ幅は1kWhあたり7銭です。契約電力が大きい事業所ほど、基本料金の影響が大きくなります。

3-2. 高圧の電気代のしくみ(業務用電力)

高圧の電気代は、次の合計で決まります(北海道電力の電力契約標準約款)。

電気料金=基本料金+電力量料金+燃料費等調整額+再エネ賦課金
基本料金=契約電力(kW)×基本料金単価×(185-力率)÷100

  • 契約電力:500kW未満の場合、原則として「その月の最大需要電力」と「前11か月の最大需要電力」のうち大きい値です。つまり、1回のピークが、その後12か月の基本料金に残ります。
  • 力率:その月の毎日午前8時から午後10時の平均力率で決まり、85%を基準に、1%上回るごとに基本料金が1%割引、1%下回るごとに1%割増になります。
  • 再エネ賦課金:2026年5月分〜2027年4月分は1kWhあたり4.18円です。

3-3. 計算例(仮定の数字)

契約電力100kW、力率95%、月間使用量20,000kWhの事業所が、業務用電力(一般料金)を使う場合を考えます。すべて仮定の数字で、実在の事業所ではありません。燃料費等調整額は、見直しの効果だけを見るため、2026年11月分の高圧単価(+0円75銭/kWh)を見直し前後で同じにしています。

項目 計算式 見直し前(円/月) 見直し後(円/月)
基本料金 100kW×単価×(185-95)÷100 242,388 267,309
電力量料金 20,000kWh×単価 468,000 469,400
燃料費等調整額 20,000kWh×0.75円 15,000 15,000
再エネ賦課金 20,000kWh×4.18円 83,600 83,600
合計 808,988 835,309

表:高圧(業務用電力)の月額料金の計算例(仮定の数字。単価は北海道電力の公表値、消費税等相当額を含む)

この仮定では、月に26,321円(約3.3%)、毎月同じ使用量なら年に315,852円の増加です。単価には消費税等相当額が含まれるため、使用量や契約電力が変われば税額も料金に比例して変わります。自社の数字は、請求書の契約電力・力率・使用量で同じ式に当てはめて確かめられます。デマンドの決まり方はデマンドとは?意味と30分デマンド値、契約電力・基本料金の決まり方と下げ方、規制料金と自由料金の違いは規制料金と自由料金の違い|どっちが得?北海道電力の低圧プランで比較で扱っています。

4. 11月改定でどう変わったか|託送料金とは何か

北海道電力は、2026年11月1日から、ほくでんNWが託送料金を見直すことに伴い、低圧・高圧・特別高圧の電気料金を同日から見直すと公表し、2026年11月1日に実施しました。見直しの背景として、北海道電力の資料は「物価や金利の上昇影響等を反映するため」と説明しています。規制料金については、2026年9月25日に、特定小売供給約款の変更を経済産業大臣に届け出ています。見直しは2026年11月1日に実施されました。

託送料金は、送電線・変電所・配電線など送配電網の利用料金で、電気料金に含まれます。電力・ガス取引監視等委員会は、託送料金が電気料金の約30%を占めると説明しています(全国向けの説明で、個別の契約で同じ割合とは限りません)。託送料金は、2023年4月に始まったレベニューキャップ制度のもとで、一般送配電事業者ごとに、国が審査した収入の見通しにもとづいて設定されます。同委員会のページは、2026年度の変更点として、物価等の上昇および事業報酬の取扱いに関する変更があることも示しています。

北海道の託送料金を他エリアと同じ条件で比べた公的資料は、本稿では確認できませんでした。そのため、「託送料金が高いから北海道の電気代が高い」とは書きません。確認できるのは、託送料金が電気料金の一部であり、2026年11月1日に見直されたことです。仕組みと単価は託送料金とは|仕組み・レベニューキャップ・北海道の単価をわかりやすく解説、再エネ賦課金は再エネ賦課金とは|2026年度4.18円・単価推移と法人の負担【北海道】で扱っています。

北海道 11月分の請求の見方

見直し後の単価がいつの使用分から請求に反映されるかは、契約書・約款・北海道電力の案内で確認してください。電力会社が北海道電力以外の場合は、契約先の案内もあわせて確認します。

5. 電源構成と燃料費調整|石炭中心で、原子力は動いていない

5-1. 北海道電力の電源構成(2025年度)

北海道電力が公表している2025年度の電源構成(離島分を除く)は、石炭38%、石油5%、LNG7%、水力(3万kW以上)5%、再エネ(FIT電気以外)6%、FIT電気8%、卸電力取引所7%、その他24%です。原子力は公表図に表示がありません。泊発電所が再稼働していないためです。

泊発電所3号機について、同社は2025年7月30日に原子力規制委員会から原子炉設置変更許可を受けました。2026年7月30日には、防潮堤の設置工事の完了時期を2027年8月と発表しています。2025年10月31日には、再稼働後の値下げ見通しを公表しました。一定の前提のもとで、規制料金(家庭向け)は11%程度、自由料金は全体で平均7%(低圧11%、高圧・特別高圧6%)程度の値下げとしています。再稼働の時期と値下げは、現時点では確定していません。他の旧一般電気事業者との比較は北海道電力を含めた旧一般電気事業者の電源構成について解説に書いています。

火力の割合が高いほど、燃料の国際価格の影響を受けやすいと考えられます(推測)。ただし、電源構成の割合から、料金の高低を直接説明することはできません。

5-2. 燃料費調整のしくみと2026年11月分

北海道電力の燃料費等調整は、3か月間の平均燃料価格が基準燃料価格(51,400円/kl)を上回るとプラス、下回るとマイナスになります。高圧・特別高圧では、平均燃料価格に上限がありません。このほかに、3か月の平均市場価格が基準市場価格(12円24銭/kWh)を上回る・下回る場合の「市場価格調整」もあります。

2026年11月分の燃料費等調整単価(消費税等相当額を含む)は、高圧が0円75銭、特別高圧が0円74銭、低圧が-4円54銭です。高圧の2026年10月分は、国の支援による値引き(1円80銭/kWh)後が-1円17銭で、値引き前が0円63銭でした。違いの詳しい読み方は電源調達調整費と燃料費調整額の違い|北海道電力の単価と新電力の確認点、中東情勢と燃料価格の関係は【2026年最新】中東情勢で北海道の電気料金は上がるのか?を参照してください。

6. 冬の需要と北本連系|北海道は「冬に電気が増える」エリア

6-1. 冬の最大需要は夏より大きい

電力広域的運営推進機関(広域機関)の「電力需給検証報告書」(2026年5月)には、次の数字があります。

区分 北海道エリアの最大需要(万kW) 備考
2025年度冬季の実績 507 2026年1月26日10〜11時
2025年度冬季の厳気象H1想定 571 厳気象(北海道は2022年度並み)を想定した最大需要
2026年度夏季の見通し 486 7月後半・8月前半。厳気象H1需要に対する最大需要時の値(送電端)

表:北海道エリアの冬季と夏季の最大需要。出典:電力広域的運営推進機関「電力需給検証報告書」2026年5月。想定と実績で前提が異なるため、差を厳密な比率として扱わない

冬季の想定が夏季の見通しを上回り、北海道では暖房の時期に需要のピークが出ることがわかります。法人の事業所でも、冬は暖房の補機(ファン・ポンプ)、照明の点灯時間、ロードヒーティングなどで使用量が増えやすいと考えられます(推測)。

3章で見たとおり、500kW未満の高圧では、冬のピークが翌年の夏まで契約電力(基本料金)に残ります。電気暖房や融雪を使う事業所は、冬の朝に最大需要電力が出やすい場合があります(推測)。暖房にかかる電気代の計算は北海道の法人経営者必見!暖房にかかる電気代を計算式から正しく理解し経費削減を実現、ロードヒーティングはロードヒーティングの費用と電気代|方式別の仕組み・ランニングコストの計算方法に譲ります。蓄熱暖房機など、夜間の電気を使う暖房機器の電気代も、同じ考え方(使用量×単価と、基本料金への影響)で確認できます。

6-2. 北本連系(北海道本州間連系設備)

北海道は、北海道本州間連系設備(北本連系)で本州とつながっています。広域機関の運用容量検討会の資料(2026年6月9日)は、この連系設備を90万kW(北海道本州間連系設備60万kW、新北海道本州間連系設備30万kW)として扱っています。同資料は、2027年度に北海道本州間連系設備30万kWの増強を予定していると記載しています。

連系線の容量に限りがあることは、他エリアの供給力を使える量に上限があることを意味します。これが料金に与える影響の大きさは、公的資料では確認できていません(推測を避け、事実のみ記載します)。

7. 国の電気・ガス料金支援の現状と、「補助金」の2つの意味

国の電気・ガス料金支援は、2026年7月・8月・9月使用分で終了しています。資源エネルギー庁のページによると、高圧の値引き単価は、7月・9月使用分が1.8円/kWh、8月使用分が2.3円/kWhでした。2026年冬(2027年1月以降)の支援については、2026年10月31日時点で、同ページにも経済産業省の直近のプレスリリース一覧(最新は2026年10月29日付)にも、公式発表を確認できていません。最新の状況と法人の対象は国の電気・ガス料金支援の最新状況|値引き単価と法人の対象【2026年10月更新】に集約しています。

「電気代 補助金」は、2つの意味で使われます。

8. 自社で動かせる5つの項目|既存コラムへの案内

地域の単価水準は自社では変えられません。自社で動かせるのは、次の5項目です。詳しい手順は、各コラムに任せます。

項目 動くもの 先に確認すること 詳しい記事
① 契約電力・デマンド 基本料金 過去12か月の最大需要電力と、ピークが出た月・時間帯 デマンドとは?
業務用エアコンの動力契約とは?
悪質なデマンド営業に騙されないために
② 力率 基本料金(割引・割増) 請求書の力率欄。毎月の値と、85%との差 北海道企業のための「力率」入門
キュービクル更新前に確認すべき3つの数字
③ 運用 電力量料金(使用量)。ピークに効く場合は基本料金も 時間帯別の使用状況、暖房・照明の設定と運転時間 設備投資ゼロ(運用改善)からの暖房費削減バイブル
気温データ×使用量で成果を評価する方法
④ 設備更新 電力量料金と、ピーク時の最大需要電力 設備ごとの使用量と運転時間、更新時期 蛍光灯をLEDに変えると電気代はいくら下がる?
北海道の業務用エアコン更新ガイド
⑤ 契約先・料金メニュー 単価の決まり方(基本料金・電力量料金・調整額) 同じ使用量・契約電力・力率で計算した年間総額、契約期間と解約条件 新電力の料金プラン比較5つのポイント
高圧電力の相見積・完全攻略マニュアル

表:自社で動かせる5項目と詳しい記事

順番の考え方

設備投資が小さく、自社の請求書で確かめやすい項目(①②⑤)から確認し、次に運用(③)、最後に設備更新(④)を検討する順番が、判断を間違えにくくなります。5段階の全体像と失敗例は、法人の電気代高騰対策【北海道】5段階で整理|契約・設備・補助金にまとめています。

9. よくある誤解と注意点

  • 「エリア平均が高い=自社の請求が高い」ではない:2章の表は平均値です。契約電力に対して使用量が多い(負荷率が高い)事業所は、基本料金の割合が小さくなり、kWhあたりの平均単価は低く出ます。負荷率は電気の負荷率とは?で扱っています。
  • 「他エリアの単価が安い=切り替えれば安くなる」ではない:北海道の供給区域で電気を使う限り、他エリアの単価表は使えません。比べるのは、同じ条件の見積りどうしです。
  • 原因を1つに決めない:電源、託送料金、冬の需要、燃料費調整は別々の要因です。公的資料で個別の寄与を示したものは確認できないため、「これが原因」と断定する情報には、根拠の有無を確認してください。
  • データの時点を確認する:2章は令和7年8月〜令和8年7月のうち取得できた6か月、3章以降の単価は2026年11月1日実施の見直し後のものです。年度や月が違うと、数字は変わります。

北海道の光熱費全体(暖房費を含む)の考え方は北海道企業が光熱費を削減するべき理由6選、病院・介護施設は北海道の病院・介護施設の光熱費を下げる完全ガイドが参考になります。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 北海道の電気代はなぜ高いのですか?

A. 公的統計(電力取引報、令和7年8月〜令和8年7月のうち取得できた6か月の合計)では、北海道の平均販売単価が、特別高圧・高圧・低圧のすべてで全国10エリアの中で最も高くなっています。背景として、石炭中心で原子力が動いていない電源、託送料金、冬に需要が増える事情、燃料費調整が重なっていると考えられます。ただし、各要因の寄与を分けて示した公的資料は確認できません。

Q2. 北海道の電気代は全国で一番高いのですか?

A. 電力取引報から計算した6か月(令和7年8月・9月・12月、令和8年1月・2月・7月分)の合計では、特別高圧・高圧・低圧のいずれも北海道が10エリア中で最も高くなっています。ただし、月別に見ると、低圧は6か月すべて1位、高圧と特別高圧は月によって1〜3位です(最新の令和8年7月分は高圧・特別高圧とも3位)。エリア全体の平均で、個々の事業所の請求が同じとは限りません。

Q3. 札幌の法人の電気代は、いくらが目安ですか?

A. 業種・契約電力・使用量・力率で大きく変わるため、一律の目安は示せません。高圧なら「契約電力×基本料金単価×(185-力率)÷100+使用量×電力量料金単価+燃料費等調整額+再エネ賦課金」で計算できます。3章の計算例(仮定の数字)の式に、自社の請求書の数字を入れて確かめてください。

Q4. 2026年11月の改定で、法人の電気代はどのくらい上がりましたか?

A. 高圧の業務用電力(一般料金)は、基本料金が1kWあたり2,693円20銭から2,970円10銭、電力量料金が1kWhあたり23円40銭から23円47銭になりました(2026年11月1日実施)。3章の仮定(契約電力100kW、力率95%、月20,000kWh)では、月に26,321円の増加です。自社の金額は契約電力と使用量で変わります。

Q5. 泊発電所が再稼働すれば、電気代は下がりますか?

A. 北海道電力は2025年10月31日に、一定の前提のもとで、再稼働後に自由料金は平均7%(高圧・特別高圧は6%)程度の値下げとなる見通しを公表しました。ただし、防潮堤の完了時期が2027年8月とされており、再稼働の時期と値下げの実施は確定していません。

Q6. 北海道の電気代に補助金や支援はありますか?

A. 国の電気・ガス料金支援は2026年9月使用分で終了し、冬(2027年1月以降)の支援は、2026年10月31日時点で、公式発表を確認できていません。電気代を減らす設備(LED・空調など)への補助金は別の制度で、受付状況は制度ごとに異なります。

11. まとめ

  • 北海道の電気の平均販売単価は、電力取引報の6か月(令和7年8月〜令和8年7月のうち取得分)の合計で計算すると、特別高圧・高圧・低圧のすべてで全国10エリア中最も高い。低圧は6か月すべて1位だが、高圧・特別高圧は月によって1〜3位になる。
  • 背景として、石炭中心で原子力が動いていない電源、託送料金、冬に需要が増える事情、燃料費調整が考えられるが、各要因の寄与を分けた公的資料は確認できない。
  • 2026年11月1日に、託送料金とあわせて電気料金の単価が見直された。高圧の業務用電力は、基本料金が1kWあたり2,970円10銭になり、上げ幅は基本料金に集中する。
  • 500kW未満の高圧では、冬のピークが12か月の基本料金に残る。契約電力・力率・運用・設備・契約先の5項目は、自社で動かせる。
  • 国の電気・ガス料金支援は終了しており、冬の支援は10月31日時点で公式発表を確認できていない(詳しくは「国の電気・ガス料金支援の最新状況」)。

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記事情報
公開日:2026年11月1日
最終更新日:2026年11月1日
参照資料:
・電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況」令和7年8月分(2025年11月20日公表)、9月分(2025年12月15日)、12月分(2026年3月16日)、令和8年1月分(2026年4月15日)、2月分(2026年5月20日)、7月分(2026年10月15日公表、同月29日修正)(8月分、9月分、12月分、1月分、2月分、7月分)
・北海道電力「電気料金の見直しについて」2026年9月25日(北海道電力)
・北海道電力「託送料金の見直しに伴う電気料金の見直しについて」「法人のお客さま」(北海道電力、法人向けページ)
・北海道電力「標準電圧6,000Vで受電されるお客さま向け料金単価表」(北海道電力)
・北海道電力「電力契約標準約款(高圧)」2026年2月1日実施(北海道電力)
・北海道電力「燃料費等調整の方法」「2026年11月分電気料金の燃料費等調整に関するお知らせについて」2026年9月29日(調整の方法、11月分)
・北海道電力「電源構成・CO2排出係数」(北海道電力)
・北海道電力 プレスリリース「泊発電所3号機の原子炉設置変更許可について」2025年7月30日、「泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて」2025年10月31日、「泊発電所における防潮堤工事の完了時期について」2026年7月30日(設置変更許可、値下げ見通し、防潮堤)
・電力・ガス取引監視等委員会「託送料金とレベニューキャップ制度」(電取委)
・電力広域的運営推進機関「電力需給検証報告書」2026年5月(広域機関)、運用容量検討会「各連系線の運用容量 算出方法・結果」2026年6月9日(広域機関)
・資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」、経済産業省「エネルギー・環境カテゴリー一覧(プレスリリース)」(資源エネルギー庁、経済産業省)
※2026年11月1日時点の情報です(冬の支援の公式発表の有無は2026年10月31日時点で確認)。2026年11月1日の料金見直しは実施済みです。2章の単価は、公表資料の販売額を販売電力量で割った本稿の計算値で、取得できた6か月の合計に基づきます。計算例の数字はすべて仮定です。最新の単価・制度の条件は、北海道電力・契約先の電力会社・各制度の公式資料でご確認ください。